【艦これ】地獄艦娘4【胸童邂逅編】 (37)
イベント開始を目前に控え、各提督たちが資材の備蓄に励んでいる頃。
特に仕事の依頼が無いぬいたちは、家で穏やかな日々を過ごしていた。
胸童「みんなーおやつやでー」
ほっぽ「ワーイ オヤツオヤツ♪」
胸童「姫、ちゃんとおもちゃ片付けたか?」
ほっぽ「カタヅケタ! テモ アラッタ!」
胸童「姫はええ子やなー。ほな、ちょっちフスマ開けてくれるか」
ほっぽ「ソォイ!」
ガラッ
胸童「お待たせやで。今日はお嬢の好きな間宮羊羹……って、なんやのこれはーっ!」
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閻魔ぬい「間宮羊羹ですか。まあ頂いておきます」
胸童「お嬢、おやつの前に部屋片付けぇって言うたやろ」
閻魔ぬい「……」
胸童「こんなに折り紙やらお手玉散らかして」
閻魔ぬい「……」
胸童「ちょっ、ウチの大事なお笑い大全集DVDまで出しっぱなしやないの!」
閻魔ぬい「…羊羹」
胸童「あかん。ちゃんと片付けるまでおあずけや」
閻魔ぬい「…青目蓮、よろしく」
青目蓮「はい、お嬢」
胸童「甘やかしたらあかん!お嬢、自分でするんや!」
閻魔ぬい「…なんでしょうか。不知火に落ち度でm」
胸童「ちょい待ちぃぃぃ!!!」
いや、決して穏やかではないのかも知れない。
胸童「は~びっくりした…」
青目蓮「あっはっは、お嬢も冗談が好きですねー」
胸童「あれ冗談なんか?とてもそうは見えんかったで」
閻魔ぬい「…愛乳道」
愛乳道「はいお嬢。膝枕よ」
閻魔ぬい「…飯女」
飯女「はいお嬢。あ~んして」
閻魔ぬい「…レロレロレロレロ」
胸童「お嬢、行儀悪いで」
閻魔ぬい「……」ギロッ
胸童「ひっ…!」
愛乳道「あら、膝枕はもういいの?」
閻魔ぬい「ええ、座って食べることにするわ」
胸童「…………フフフ、怖い」
青目蓮「いやー胸童さんが来て以来、お嬢も随分と感情豊かになりましたね」
胸童「はぁ?」
愛乳道「そうねぇ。すぐに顔に出ちゃうからわかりやすいわ」
閻魔ぬい「……」
飯女「お嬢、そんなに照れることじゃないですよ?」
閻魔ぬい「……」
ほっぽ「ヌイヌイ ウレシソウ」
胸童(……全然わからへん)
青目蓮「やっぱりあれが切っ掛けですかね。お嬢がマジギレしたあの…」
飯女「胸童さんと初めて会った時ですね?」
胸童「ウチからしたら、あれが標準やと思ったけどなぁ」
話は少し前、北方棲姫が仲間になったすぐ後くらいの頃まで遡る。
麿提督「はい……はい……承知いたしました。全て麿にお任せあれと、総司令にお伝えくだされ」
龍驤「邪魔すんでー、って電話中やったか」
麿提督「構わぬ。今済んだところじゃ」
龍驤「なんや?今度はどんな悪だくみしとるんや」
麿提督「阿呆ぅ。新しい任務の確認じゃ」
龍驤「ふーん、まあええけど。それより第四艦隊が戻ったで」
麿提督「おおそうか!すぐに通すが良い」
潮「あの……艦隊、戻りました」
麿提督「おうおう、よう戻った。怪我はせなんだか?問題は無かったかえ?」
潮「ひゃあぁっ!あ、あまり触らないでください」
龍驤「こーらキミ、堂々とセクハラしとらんと早う休ましたり」
麿提督「ふん、古参面だけは一人前じゃの……さあ潮や、褒美じゃ。間宮券を取らせる」
潮「いいんですか…?ただのお使い遠征なのに」
麿提督「よいよい。浜風、長波と共にたーんと味わってくるがええ」
龍驤(ひのふのみ……3枚だけ?まーた悪いクセが出とるみたいやな)
夕立「…ちょっと提督さん?夕立も同じ艦隊で頑張ってきたっぽい!」
麿提督「なんじゃ煩いのぅ。下がって次の命があるまで待機しておれ」
夕立「ずるいずるいーっ!あたしも間宮券欲しいっぽい!」
麿提督「田分け!褒美が欲しければさっさと練度を上げてこぬか!」
夕立「むぅぅ~っ」
麿提督「成長して良き肉付きになれば、存分に可愛がってやるのじゃがのぉ」ワキワキ
夕立「提督さんのバカーッ!スケベーッ!改二になっても触らせてなんかあげないっぽいーっ!」
ダダダダ…バタン!
潮「あ、あの、私…」
麿提督「気に病むでない。能力に応じて差をつけるのは当然のことじゃ」
龍驤「夕立、ちょっとええか?」
夕立「ぐすっ、龍驤さん…」
龍驤「あのな、司令官のことやけど」
夕立「あたし、もう我慢の限界っぽい!噂に聞いた地獄通信を使って、お仕置きしてもらうっぽい!」
龍驤「アホなこと言うとらんと落ち着いて聞き。預かりもんがあるんや」
夕立「え?これって……伊良湖最中?」
龍驤「あんたの分や。司令官は表には出さへんけど、ちゃんと見てるんやで」
夕立「じゃあ、提督さんは夕立のこと嫌ってないっぽい?」
龍驤「せやで。ハッパかけるためにあんな言い方するけどな、全ては期待を込めてのことなんや」
夕立「そうなんだ…」
龍驤「あんたは甘えたやからなー。ちぃと厳しくいかなあかん、て思ってるんやろな」
夕立「あーっそれひどーい!」
龍驤「あっはっは。ま、そういうことやから、シャキッとしーや」
夕立「うん!あたし、もっともっと頑張るっぽい!」
龍驤(ハァ……また買い足しに行かんと。小遣い残っとったかな)
山城「龍驤…」
龍驤「ん?ああ山城か。お疲れさん」
山城「相変わらずね。あなたはそれでいいの?」
龍驤「艦娘たちが不平不満を持たんようにするのが、ウチみたいな古株の仕事やからな」
山城「損な役割ね。あの提督が考えを改めるとは思えないけど」
龍驤「ウチは信じてる。いつか司令官もわかってくれるはずや」
山城「……」
龍驤「山城、あんたも少し肩の力抜いてみ?いっつも気ぃ張りつめとったら持たへんで」
山城「…そうね。ありがとう龍驤」
山城(本当に、余計なことで悩まされることが無ければいいのに…)
コンコン
山城「…失礼します。山城、参りました」
麿提督「待っておったぞ。例の件、今日こそは良い返事を聞かせてもらえるかの?」
山城「ケッコンカッコカリなら、何度もお断りしているはずです」
麿提督「やれやれ、頑固な奴じゃ。せっかく我が鎮守府に、扶桑が配属される目途が立ったというのに」
山城「姉さまが!ほ、本当ですか!?」
麿提督「新たに依頼された任務の成功報酬としての。本来は正規空母の予定じゃったが、そなたの為に無理を通したでな」
山城「……」
麿提督「麿の気持ち、伝わったかの?」
山城「だったら尚の事。姉さまを差し置いては…」
麿提督「あくまで麿を拒否すると申すか」
山城「提督には潮や浜風たちがいるじゃないですか!まだケッコン艦が足りないというのですか!」
麿提督「仕方ないのぉ。そこまで嫌がるのであれば」
山城「分かっていただけましたか?」
麿提督「ああ、じゃがこのままでは、フラれたショックで艦隊運用に支障をきたすかもしれんのう」
山城「え…?」
麿提督「誤って1‐5に入手したばかりの戦艦を単独投入したり、うっかり大破進軍なども…」
山城「…っ!あ、貴方という人は…!」
麿提督「ふほほほっ……扶桑が来るまでの間、今しばらくの猶予を与えてやろうぞ」
山城(姉さま……私はどうすればいいのでしょう)
午前○○○○
閻魔ぬい「あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤いマフラーを解けばいい」
山城(地獄通信……これを使えば、提督は地獄へ流される。でも…)
閻魔ぬい「人を呪わば穴二つ。契約を交わしたら、あなたも轟沈後に地獄へ落ちる」
山城「ひどいわね。困っている人を助けてくれるんじゃないの?」
閻魔ぬい「…私はただ、依頼を受けて遂行するだけ。あとは、あなたが決めることよ」
山城「行くも地獄、引くも地獄…」
山城「私さえ我慢すれば、姉さまと一緒に過ごせるようになるのね…」
翌日、執務室
山城「提督のお申し出、受けさせていただきます」
麿提督「おお、まことか!よう言うてくれた」
山城「ですから、どうか姉さまの事は…」
麿提督「うむうむ、心配は無用じゃ。二人ともきちんと愛でてやるでの」
山城「え?あの、私だけでは…?」
麿提督「せっかく姉妹が揃うのじゃ。片方だけ放っておく事はあるまい」
山城「そんな…」
山城(この男、始めからそのつもりで…!)
山城「ね、姉さまには手を出さないと約束してください!」
麿提督「それは良いがの。ただ、先日の大破進軍の話を扶桑にすればどうなるかのぉ」
山城「卑劣な……ですが、提督がそうおっしゃるのなら、こちらにも考えがあります」
麿提督「…地獄流しか。そんなものが麿に通用するとでも?」
山城「な、なぜそれを!?」
麿提督「くかかっ、やってみるがいい!出来ねばそなたたちは一生、麿の慰み者じゃ!」
山城「くっ…!」
『怨み、聞き届けたり』
煽られるまま、マフラーを解いてしまう山城。契約は成立し、麿提督の姿は地獄へと送られた。
山城「これで……良かったの?姉さま、私はこれからどうすれば…」
麿提督「むう、ここはどこじゃ?」
愛乳道「ぱんぱかぱーん、クラブ【閻魔堂】へようこそー」
麿提督「クラブ?酒場のことかの」
青目蓮「その通りです!今なら大型建造一回分で食べ放題飲み放題、プラス女の子2人がお酌しますよー」
麿提督「なんじゃそれは。ぼったくりではないか」
飯女「相場の半額ですよ?早く注文して私にご飯食べさせてください」
麿提督「いいや高い。酌の相手が魔物ともなれば尚更じゃ」
愛乳道「お、お客様?一体何を…」
ペタッ…
青目蓮「え?身体が……動かない!?」
麿提督「その札は魔物の動きを封じるものじゃ。早々に正体を現したの」
愛乳道「うふふっ、凄いわね~私たちのことを見抜ける人間がいるなんて」
麿提督「それだけではないぞ?ヌヌヌ……出てまいれ龍驤!」
バシュゥゥゥ…
龍驤「うわわっ、ちょ、なんやのいきなり!」
麿提督「任務じゃ。準備せい」
龍驤「あのなキミ、呼ぶときは時間と場所をわきまえ、って言うたやろ?ウチ食事中やで」
麿提督「田分け!呑気に食うておる場合ではない。ここはいくさ場じゃ!」
龍驤「そういや何かけったいな場所やなぁ」
愛乳道「…さすがに驚いたわ。艦娘まで召喚してくるなんて」
青目蓮「この人、何者ですか?ただの助平提督だと思ったのに」
麿提督「くくく、麿は式神型発艦術を編み出した、由緒正しき陰陽師の一族!そなたたちの命運、ここに尽きたと知れ!」
龍驤「新しく受けた任務って、この子らを退治することなんか?魔物とは言え、深海棲艦よりやりにくいなあ」
飯女「敵艦載機、来ます!」
愛乳道「私と飯女さんで迎撃するわ。ほっぽちゃんはその間に青目蓮さんの札を剥がして!」
ほっぽ「ワカッタ!」
青目蓮「あ、あの、優しくお願いしますね?優し…あああああああ!」
飯女「続いて艦爆隊発艦!」
愛乳道「目標に向けて前進、ヨーソロー」
青目蓮「ひどい目に合いました……お返しさせてもらいますよ!」
ほっぽ「ナガシチャエ♪ ナガシチャエ♪」
ゴォォォ…
龍驤「な、なんやのこの子ら、めっちゃ強いやん!」
麿提督「こんな小物相手に何を手こずっておる」
龍驤「見とらんとキミも手伝ってや!多勢に無勢やわ!」
麿提督「ふん、未熟者めが。そいっ!」
撒かれた札は麿提督を守るように、フワフワと浮かぶ。
青目蓮「さっきのお札があんなに……厄介ですね」
飯女「近づくのは危険です。ここは距離を取りましょう」
麿提督「くくく、もう終いか?ならばこちらから行こうかの!」
愛乳道「札が追いかけてくる!?」
青目蓮「か、数が多すぎて迎撃が間に合いません!」
ほっぽ「ナニコレ… キモイ」
飯女「真上……直上!?」
無数の札は次々と貼りつき、瞬く間に三ぬいプラスほっぽの動きを封じていった。
麿提督「他愛ないのぅ」
龍驤「最初からキミ一人で良かったんちゃう?」
麿提督「未知の敵に囮を使うのは当然じゃ」
龍驤「…ウチ、もう帰ってええか?」
龍驤「ところで、この子ら捕まえてどうするんや?」
麿提督「検体はいくつあっても良いからの。ふむふむ」
愛乳道「ちょっと、どこ触ってるの!」
麿提督「むほほっ、魔物にしておくには惜しい身体じゃの」
青目蓮「ううっ、私が被写体の立場になるなんて…」
飯女「一航戦の誇り、こんなところで汚されるくらいなら…!」
閻魔ぬい「……」
愛乳道「お、お嬢!?」
ほっぽ「ヌイヌイ!」
麿提督「そなたが地獄艦娘か。もっとこう、良きおなごかと思うたが……貧相じゃの」
閻魔ぬい「……」
麿提督「まあ良い。早う任務を終えて、こやつらで楽しませてもらおうぞ」
青目蓮「お嬢、逃げてください!この男には我々の力が通じません!」
閻魔ぬい「…迎撃開始」
麿提督「ほう、下僕どもに比べて、少しは骨があるようじゃの」
ターゲットに向かってゆっくりと歩を進めるぬい。群がる札は、ぬいに触れる前に青白い炎になって消滅する。
麿提督「地獄艦娘よ、麿がその力、全て暴いてくれる!」
閻魔ぬい「……」
麿提督「麿の目は誤魔化せんぞ?弱点が見えてきたわい」
駆逐艦 閻魔ぬい
耐久16 火力10
装甲 6 雷装24
回避44 対空 9
対潜24 索敵 6
運 ?? 魔力??
物理無効 魔力無効 神通力ほぼ無効
麿提督「くくく、やはり麿の力には弱いようじゃの」
閻魔ぬい「……」
麿提督「では根比べといこうか。いつまで耐えられるかの?」
次々と繰り出される札を迎撃しつつ、前進するぬい。
それでも撃ち損じた数枚が鋭い刃となって、襲い掛かってくる。
麿提督「ほれほれどうした?もう息が上がってきたのか?」
閻魔ぬい「…っ!」
愛乳道「お嬢が……押されてる!?」
飯女「あの男の力が、お嬢を上回っているというの?」
麿提督「くかかっ、その通りじゃ!日ノ本の加護を受けし麿の力は無限!個で一国に抗うなど愚かの極みよ」
青目蓮「それじゃ、勝ち目無いじゃないですか…」
ほっぽ「ヌイヌイ…」
閻魔ぬい「ゼェ…ゼェ…」
麿提督「麿の前までよう来たの。じゃが、もはや力尽きる寸前のようじゃな」
愛乳道「もうやめて!これ以上お嬢を傷つけないで!」
麿提督「…良い下僕を持っておるの。跪き、許しを乞うなら命は助けてやろう」
閻魔ぬい「……」
麿提督「麿に屈服せよ!履き物に接吻をし、絶対の服従を誓うのじゃ!」
閻魔ぬい「…沈め」
ゴシャッ!
麿提督「ぷお!?」
愛乳道「あれ?」
青目蓮「え?」
為すすべなく、降伏するかと思われたぬいから、まさかの鉄拳が繰り出された。
麿提督「あががが…」
閻魔ぬい「沈め……沈めっ!」
ぬいのターン。人中、眼窩、天突、鳩尾などに、特に容赦のない攻撃が叩き込まれていく。
愛乳道「お、お嬢…?」
ほっぽ「ボッコボコ」
青目蓮「ぅゎ ぉι゛ょぅ っょぃ」
飯女「慢心ですね……魔力が尽きたからって、お嬢が攻撃(物理)できないと思ったのでしょうか」
龍驤「あ、あわわわ…」
青目蓮「あっ、身体が動きます」
飯女「魔力も神通力も、操るには強い精神力が必要…」
愛乳道「ぶん殴って心を折れば、後はただの人間ってことね」
青目蓮「…ところで、お嬢はいつまで殴ってるんでしょうか?」
ほっぽ「サア?」
飯女「青目蓮さん、止めてみます?」
青目蓮「またまた御冗談を」
龍驤(あ、アカン。これウチも詰んだわ)
麿提督「た、助へて……許ひて……」
閻魔ぬい「闇に惑いし哀れな影よ……艦娘を傷つけ貶めて……」
ぬいが麿提督の顔面を鷲掴みにして吊り上げると、横に果てしない断崖絶壁が現れる。
閻魔ぬい「罪に溺れし業の魂……」
麿提督「ひ…っ、ひぃぃぃっ!」
閻魔ぬい「 し ぬ が よ い 」
麿提督「ひぎゃぁぁぁぁ!!!」
ほっぽ「ポイ シチャッタ」
青目蓮「あの決め台詞、やばくないですか?」
愛乳道「…黙ってなさい」
無数の燈籠が浮かぶ静かな水面
その中を一隻の駆逐艦が進む
麿提督の足に、直接繋がれた牽引ロープを引きながら…
麿提督「ブボボボボボ」
閻魔ぬい「この怨み……地獄へ流します……」
チリーン…
龍驤「あ、あの~、つかぬことを伺いますが、ウチはどうなるんやろ?」
青目蓮「えっと…」
飯女「地獄、来てしまってますよね」
愛乳道「お嬢、なんとかなる?」
閻魔ぬい「…無理」
龍驤「ですよねー」
青目蓮「逆恨みで流される人も可哀そうですが、巻き添えって形も酷いですね」
閻魔ぬい「……」
龍驤「ウチが甘かったんやろな……裏で支えていれば、いつかわかってくれるって思っとったんやが……ここまで怨み買うてたなんて」
閻魔ぬい「……」
龍驤「ウチも地獄逝きか……どうせなら、海で沈みたかったな……」
閻魔ぬい「…一つだけ、回避する方法があるわ」
龍驤「ほぇ?」
閻魔ぬい「私に付いてくるなら、少なくとも地獄逝きは逃れられる」
龍驤「司令官を流したあんたに従え言うんか?」
閻魔ぬい「無理強いはしない」
龍驤「………わかった。どの道、グズッても仕方ないことやな」
閻魔ぬい「では軽空母龍驤、今から……【胸童】と名乗り、閻魔ぬいに仕えなさい」
龍驤改め胸童「今、どこ見て名前決めた?」
大本営、会議室
総司令「彼が行方不明になって一週間か…」
参謀「残念ながら、生存は絶望的かと」
総司令「やはり不確定要素が多すぎたな……やむを得ん。地獄艦娘の鹵獲計画は無期限の凍結、関係書類は厳重に秘匿せよ」
参謀「はっ!今回の件を引き起こした山城の処分はいかがいたしますか?」
総司令「轟沈後の地獄逝きは決まっているのだろう?ならば口外無用とだけ伝え、そっとしておいてやれ」
参謀「では、そのように」
総司令「……」
総司令「地獄艦娘……戦局を覆す力になり得るかと思ったが、我々が扱うにはまだ早過ぎたようだな」
~現在、ぬいの家~
胸童「…考えてみたらウチは、お嬢のお情けで救われとるんやな」
愛乳道「ふふっ、私たちも同じよ?」
胸童「すんませんお嬢、いろいろ生意気なこと言うてしもて」
閻魔ぬい「別に構わないわ。あなたには、私が忘れてしまった人の心を思い出させて欲しいから」
胸童「そ、そうなんか?」
閻魔ぬい「仕事は別として、私が間違ったことをした場合、それを正すのがあなたの役目よ」
胸童「そっか……わかったで。ほな早速やけど、おもちゃはちゃんとそこの棚へ。自分が使った食器は自分で流しに持って行ってな」
閻魔ぬい「……」
胸童「あと、服は脱ぎっぱなしにせんと、脱衣カゴへ。パンツは個別にネットに入れるんやで。ホンマだらしないんやから」
閻魔ぬい「……」
胸童「えーっとそれから…」
閻魔ぬい「…ぬいを怒らせたわね」
胸童「ちょ、なんでやねん!」
青目蓮「そういえばあの時のお嬢の力、あれってやっぱり運営が…」
ガシッ
青目蓮「えっ?おああああ!」
愛乳道「あらあら、死にたい艦はどこかしら?」
愛乳道の両拳が青目蓮のこめかみにあてがわれ、メキメキと音を立てて締め上げる。
青目蓮「も、もう言いません!もう言いませんから神戸牛はやめてぇぇぇ!」
ほっぽ「コウベギュー?」
飯女「こうべ(頭)をぎゅーってするから神戸牛よ」
ほっぽ「ほっぽモ オテツダイ♪」
青目蓮「ああああ!ワレアオバ!ワレアオバぁぁぁぁ!」
『あなたの怨み、晴らします』
地獄艦娘4【胸童邂逅編】~完~
※神戸牛…静かなるドン~最終章~参照
地獄少女4期をご覧になる皆さんの脳内でも、不知火が再生されるよう、お祈りしておきます。
乙
乙です
ら
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