劉備「ジャンヌ・ダルク助けるぞwww」サトシ「分かったぜ!」 (58)

「貴様は悪魔じゃ!」

「そんな! あたしは違います! 悪魔ではありません!」

「いいや、悪魔じゃろ。髪もあんまり長くないしなァ!」

1430年、フランス北部の都市アラスにて。
太陽の光も届かぬ暗い牢獄に、一人の少女が繋がれていた。
オルレアンを解放した救国の英雄、ジャンヌ・ダルクである。
ブルゴーニュ公国軍によって捕縛されたジャンヌは、一旦この地に移送されてきたのだ。
本来ならシャルル7世が身代金を支払って、人質のジャンヌを取り返すはずだった。
しかし、皇帝となった彼はジャンヌを見捨て、終始無言を貫いたのである。
神はかくも簡単に、人を見放すものなのか。
ジャンヌは今、深い絶望と悲しみに打ちひしがれていた。
彼女のガラス細工のように繊細な心は、非情なる歴史の手によってすっかり握り潰されていたのだ。

ジャンヌ「私は、いったい何のために戦っていたのかしら……」

ジャンヌ「主のため、国のため。身を粉にして剣を振るってきた。で、結果がこのザマよ」

ジャンヌ「主よ、どうして私を見捨てたもうたのですか!? 主よ! 主よおおおおおおおおあああああああああああああああおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

劉備「暴れんなよwwwお嬢さんwwwwwwバチョってんぞwwwwww」

ジャンヌ「バチョ……?」

劉備「そそwww馬超みたいになってるってことwwww」

ジャンヌ「何だかよく分からないけど、あなたもアラスの牢獄に繋がれているのね」

劉備「んーとねーwwwwちょっと違うんだよねーwwwwぼくちんはキミを救いに来たのwwww」

ジャンヌ「救いに!? ハッ笑わせないでよ! 私は全てに見捨てられた! 今更アンタがどうこうしたところで、運命は変わらないわ!」

劉備「あのwwwぼくちん腐っても蜀の皇帝なんだがwww今からキミを蜀の成都まで連れてこうと思ってるのwwww」

ジャンヌ「きっと、私は八つ裂きにされて死ぬんだわ。両手両足に縄をくくりつけられて、馬がそれを四方八方に引いていくの」

劉備「うわwwwこいつ人の話聞いてねぇわwwwww」

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劉備「ここの壁wwww結構もろくなってたんだよねwwwww」

劉備玄徳と名乗るその男は、牢獄の苔むした壁に手を置いた。
彼がグッと腕に力を入れただけで、壁は崩れ落ち、新鮮な秋の風が光と共に獄中へ吹き込んだ。
ジャンヌは金色の髪を風になびかせながら、朝陽の中に立つ男を見上げて問うた。

ジャンヌ「アンタは……何者なの……?」

劉備「通りすがりの皇帝って言ったらwww笑う?wwww」

ジャンヌ(ちがう、皇帝なんかじゃない。この人が、この方こそが私を救いに来てくださった本当の神様なんだ)

劉備「さぁwwwそろそろ行こうかwwww」

ジャンヌ「うん」

通りすがりの皇帝と救国の英雄は、二人そろって高い塔の上から躍り出た。
東より聞こえてくる朝の産声と、まだ人気の少ない石畳の通りと、山のようにそびえる聖ヴィート大聖堂。
息を呑むほど美しい景色であったが、このままでは劉備と一緒に地面へ叩きつけられてしまう。

ジャンヌ「どうすんのよ、このままじゃ私達、死刑になる前に地獄行きよ!」

劉備「落ち着いてwwwwwぼくちんには勝算があるwwwwwwwww」

ムクホーク「ケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」

劉備「こっちだwwwムクホークwwwwぼくちんとこの娘を乗せて東へ飛べェいwwwwwwwww」

ジャンヌ「あんな大きい鳥、ドンレミ村でも見なかったわ!」

劉備「こいつはムクホークの中でも特に大きい個体でねwwwww翼を広げたサイズで10mありますwwww」

ジャンヌ「もはや怪鳥ね……これもアンタの力によるものなの?」

劉備「違うよwwww」

サトシ「おーい、劉備! ムクホーク! 無事か!」

オンバーン「おーん(*^ω^*)」

劉備「ごめんねーwwwあwwwこちらジャンヌちゃんwww牢獄にいたんで逃げるついでに連れてきたwwww」

サトシ「まさか、リンゴを一個盗んだだけで宗教裁判にかけられちまうとはな! 劉備も堕ちたもんだぜ!」

劉備「ひどすぎワロタwwwwwwwwww」

サトシ「あ、俺はマサラタウンのサトシ! よろしくな、ジャンヌ!」

ジャンヌ「よ、よろしく……」

ジャンヌ(どういうことなの? 主に協力者がいるってこと? 全然分からないわ!)

劉備「さてwwwww一応のところ役者はそろいましたしwww行きますかwww」

サトシ「そうだな! いけ、オンバーン! そらをとぶッ!」

劉備「もう飛んでるんだがwwwwwwwwwwwww」

サトシ「たしかに、そうだったな! じゃあブレバで町を破壊しろーッ!」

劉備「アラスを荒らす必要はなし!wwwwwwwwwww」

ジャンヌ(どうしよう……二人の会話にまったくついていけない)

ジャンヌ「で、これからどうするの? 私はイギリスから悪魔と憎まれているし、フランスからも見捨てられた身よ」

ジャンヌ「他の国へ行くとしても、結局はイギリスに送られて終わるだけだわ」

劉備「だから言ってんだろwww成都まで行っちまえばwwwwこっちの勝ちよwwww」

サトシ「そうだな! 成都で一休みして、マサラタウンへ飛ぶのもありだぜ!」

ジャンヌ「どっちも知らないから迷いようがない……。まぁいいわ、アンタらは私を塗炭の苦しみより救い上げてくれた」

ジャンヌ「それだけでも、じゅうぶん感謝に値するもの」

劉備「塗炭の苦しみってどんなwwwwwただ牢獄に繋がれてただけじゃんwww一応ながらメシも出るしwwww」

サトシ「衣食住に困らない生活って憧れるぜ! 俺はバトルに勝って金を奪わないと、自販機の『おいしいみず』ですら買えないんだぜ!」

ジャンヌ「王様には分からないでしょうね。母国に裏切られた人間の気持ちなんて」

ジャンヌ「それに……犯されたのよ、私」

劉備「は?wwwww」

ジャンヌ「アラスに来る前の牢獄で、沢山の殺人鬼どもに何度も何度も……」

ジャンヌ「たぶん処女を失った時点で、主は私のことを見放していらっしゃったんだと思うわ」

サトシ「ジャンヌの気持ち、わかるぞ。俺もエイセツシティでウルップのクレベースに敗れた時」

ジャンヌ「違う! そんなのとは次元が違う屈辱なのよ! あんたみたいなボンボンに何が分かるっていうのよ!」

サトシ「じゃあ話せよ! 洗いざらいぶちまけちまえよ!」

ジャンヌ「うるさい! これは私の問題なのよ! クソガキは引っ込んでろ!」

劉備「ひゅ~wwww荒んでますな~~wwwwww」

三日後、中央アジア・サマルカンド にて

アブルハイル「ほほう、そんなわけでサマルカンドに置いてほしいと。そうおぬしらは言っているのだな?」

劉備「そうっすねwwwwちょっと数日かくまってくれるだけで良いんすよwww孔明くんと合流する手はずになってるんでwwww」

サトシ「ポケモンセンターはあるか!? ムクホークとオンバーンを休ませたいんだ!」

ジャンヌ「絶対にブルゴーニュ公国軍が探しに攻めて来るわ。ちゃんと守ってくれるよね!?」

アブルハイル「待て待て待て待て、そう一度に迫られても困る。かくまってやるが、条件をつけるとしよう」

劉備「条件だってwwww面倒くせぇなwwww忍耐なんて蓆を編んでた時で十分だよwwwww」

サトシ「言ってくれ。俺は何としても、こいつらを休ませなくちゃならないんだ」

ムクホーク「ケーン」

オンバーン「おーん(;_;)」

アブルハイル「このアブルハイル=ハンとポケモンバトルをするのだ。劉備、サトシ、ジャンヌ。それぞれ二体ずつ。6対6の戦いぞ」

サトシ「やっぱりタダじゃねぇよな。流石、シャイバニ朝の君主といったところか!」

ジャンヌ「待ってよ。二体って、私達を乗せてた化け物のこと!?」

サトシ「ポケモン、な!」

ジャンヌ「そ、そうね。そのポケ……モン? とかいうの持ってないよ! 私はアランソン公の副官・ドンレミ村のジャンヌ!」

劉備「突然の自己紹介wwwwあwwぼくちんは劉備ッスwww字は玄徳ねwww?郡?県の楼桑里出身wwwよろしこwww」

サトシ「俺! マサラタウンのサトシ! はやくバトルしようぜ!」

アブルハイル「フム」

ジャンヌ「もしどうしても化け物と戦えってんなら、私はこの剣で戦う。主の加護がついてるもの、負けっこないわ」

アブルハイル「にや~り」

サトシ「アブルハイルのやつ……ニヤついてんぞ、気持ち悪いな」

ピカチュウ「ピッカァ……」

劉備(とはいえwwwぼくちんもポケモン持ってないんだよなwwwwどうしよwww)

劉備(孔明くんや~いwww早く来ちょくれ~www趙雲くんと魏延っちを連れてくるはずだったろwww)

劉備(やっぱ孔明くん、反骨があるキモスと揉めちまったのかなぁwwwwマジで厄日wwwうはwwww)

サトシ「劉備、ジャンヌ、ピカチュウ! 準備はいいか? サマルカンドジムの攻略といこうぜ!」

ピカチュウ「ビッガヂュヴ!」

ジャンヌ「もう始めるのね。主よ、主よ、我を守り給え。仇なす業魔に断罪の剣を今こそ振るわん」

劉備「魔獣使いに厨二病患者っすかwwwぼくちんは孔明くんが来るまで陰で休んでよっとwwww」

アブルハイル「では、参るッ!」

~シバン家のアブルハイル=ハンが勝負をしかけてきた!~

アブルハイル「ゆけっ! キテルグマ! ヨワシ!」

キテルグマ「ブモォーーーーーーーーーーーッ!」

ヨワシ「ピギュギュウウウン」

アブルハイルの放ったモンスターボールから、頭が桃色のかわいらしい熊と涙目の小魚が飛び出す。
ジムリーダーと言うわりに、使役しているのが予想外にショボくれたポケモン。

ジャンヌ「なんだ、ただの魚じゃない。遠征地で散々煮付けにして食べて来たわ」

少し安堵したジャンヌは隣のサトシを横目で見た。
サトシは顎に手を当て、ポケモンをジッと睨んでいる。
しかし、ポケモンバトルにおいて思考時間はほとんど与えられない。 サトシはすぐにポケットからモンスターボールを取り出し、宙へ放り投げた。

サトシ「出てこい、ゲッコウガ! キテルグマにいあいぎりだ!」

劉備(おっwwwサトシが使うのはピカチュウと蛙先生かwww相手のタイプは分からないけどwwwこれなら余裕じゃねwww)

アブルハイル「キテルグマ、インファイトだ!」

キテルグマ「グルアアアアアア!!!!!!! ゴアアアアア!!!!!!!!!!」

劉備「口からよだれが垂れてんぞwwwちゃんと拭けよwwwイッテルグマwwwwww」

サトシ「させるかよ! ピカチュウ、キテルグマにアイアンテールだ!」

ピカチュウ「ピカピカピカピカピカ」

ゲッコウガのいあいぎりは空を斬った。
真上に飛び上がって攻撃をかわしたキテルグマ、間髪入れずに北斗百裂拳をカエルに打ち放つ。

ゲッコウガ「ゲゲ!?」

横合いからピカチュウがゲッコウガを弾き飛ばし、硬質化した銀色の尾をキテルグマに叩きつける。
鳴り響く乾いた金属音、飛び散る蒼い火花、ピカチュウのダメージカウンターがわずかに下がる。
インファイトはただのパンチでは無い、何百回も敵を拳で殴打する技なのだ。
ゴリ押しでピカチュウのHPが削られるのは、火を見るよりも明らかなのである。 加勢しようとしたジャンヌを片手で制し、サトシは鬼の形相で叫んだ。

サトシ「ボルテッカーからの、10万ボルトッ! ゲッコウガ、いあいぎりでキテルグマの首を落とせ!」

劉備「アホじゃねーのwwwそんなことしたらw蛙先生まで感電しちまうじゃねーかよwwww」

隅で見守っていた劉備は、扇を悠々とあおぎながらつぶやいた。 同じ技を連発するトレーナーは愚かであると、諸葛亮孔明から教えられている。
たとえば、いつも突破力に優れた騎馬隊を先鋒に置く軍師がいるとすれば、どうであろう。
敵に『あーあ、またこいつ騎馬隊のゴリ押し戦法なんだろうな、組し易しだわバーカ』と思われるに違いない。
ポケモンバトルにおいて、ポケモンは将であり、トレーナーは将に指示を与える軍師だ。
軍師が一つの戦術しか用いない軍が、はたして強いと言えるだろうか。

アブルハイル「答えは、否!」

ジャンヌ「いきなり何!?」

アブルハイル「ヨワシ、あれを見せてやれ。『ぎょぐん』で強くなるのだッ!」

ヨワシ(集合体)「ドギュウウウウン」

サトシ「なんだあのドデケェ魚わぁ!」

ジャンヌ「あれじゃ、ヨワシじゃなくてツヨシね……。ますます倒しにくくなったわ」

サトシ「ジャンヌ、劉備、ヨワシは任せたぞ。いっけー! ピカチュウ、10万ボルトだああああッ!」

ピカチュウ「オラァァァ!」

キテルグマ「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!!!!!!!」ビリビリビリ

アブルハイル「な、なんということだ……。キテルグマがやられてしもうた……」

サトシ「ケケケ! ティムール朝を援けサマルカンドを奪取しておきながら、俺みたいなクソガキ一人にも負けちまうなんてなァ!」

サトシ「とどめだ、ゲッコウガ! いがいぎりッーーーーーーーーーーーーーー!」

アブルハイル「インファイト」

サトシ「なにッ!?」

次の瞬間、目にも留まらぬ速さでキテルグマの両腕がゲッコウガの鳩尾に叩きこまれた。
キテルグマはピカチュウの10万ボルトを喰らって動けないのではなかったのか。
狼狽するサトシを見て、アブルハイルの口元が醜くゆがむ。

劉備「ハッタリだねwwwサトシwww」

サトシ「なんだと!? 劉備、お前わかるのか!?」

劉備「10万ボルトで戦闘不能になったのはwキミの目を欺くための演技wwwゲッコウガでとどめを刺してくることなど見え見えだったからねwwww」

劉備「ピカチュウとゲッコウガwアブルハイルからすれば戦いにくいゲッコウガを先に潰したというわけさwwwww」

劉備「安易に攻撃をしかけるからこうなるんだよwwwおバカサトシくんwwwwww」

サトシ「劉備! テメェ!」

劉備「ってジャンヌ・ダルクが言ってましたーwwwww」

ジャンヌ「ちょ、ちょっとぉ!」

一騎当〇

ポケモン

FGOのクロスssかな

着たいカピ―京様出ないかな

ジャンヌ「ともかく、劉備さん! あの業魔をブチッとのめしますよ!」

劉備「へいへーいwwwwくらえーいwww石ころ攻撃wwwwwww」

劉備は貧農時代、暇つぶしにと近くの川で石切りをよくやっていた。
最初は1回も跳ねず川床に沈むだけであったが、何回も訓練を重ねるうちに数十メートルまで飛距離を伸ばしたのだ。
距離に比例して的を貫く精密さも向上し、劉備の技量はもはや石切りの域を逸脱したものとなった。
彼が腕をひと振りすれば、轟音と共に疾風が巻き起こり、数キロ先の地面に土煙が立ちのぼる。

アブルハイル「ヨワシ、劉備に向けてハイドロポンプッ!」

ヨワシ「ぱるるるぅ!」ゴゴゴァッ

劉備の投げた剛速球とヨワシのハイドロポンプが激しく衝突する!
石は回転しながら水の勢いを削ぎ落としているが、ハイドロポンプも負けじと石を押し返す。
一進一退、といったところであろう。

劉備「頑張れーwwww石ーwwwwww」

アブルハイル「ヨワシェ!!!!!! 貴様の力はこれほどものかァッ!!!!!!!!!!!!!」

ヨワシ「ゴぼ……ごぼぼごぼッ。オエッ……」

ジャンヌ「やった、あいつ苦しそうよ!」

アブルハイル「ぐぬぬ、見ちゃオレンの実! おいキテルグマ、劉備にけたぐり! 肋骨へし折ってやれ!」

キテルグマ「アシャシャシャブシャアアアア!!!!!!!!!!!!」

劉備「ひえ~wwwなんか来たんすけどwwwwwwww」

ジャンヌ「私に任せて。主の加護がついた剣を舐めるなよ、では参りますッ!」ババッ

サトシ「ピカチュウ! ヨワシに10万ボルトッ!」

ピカチュウ「オラァ!」

ヨワシ「グワァーッ!」

10万ボルトをモロに食らったヨワシは、真っ黒い炭塊となった。時を同じくして、ジャンヌもキテルグマの両腕を一撃で斬り落とした。
この勝負、劉備・サトシ・ジャンヌ連合軍に軍配が上がった。

>>9
三国志演義
ポケモン
史実

のつもりだけど好きに解釈してください

なぜその組み合わせでSS書こうと思ったのか全く分からんがわりと面白いので続けてどうぞ

アブルハイル「やりおるな。マサラタウンのサトシ、ドンレミ村のジャンヌ。手塩にかけて育てたヨワシとキテルグマがこうも簡単に敗れるとは」

劉備「せやねーwwwこちとら経験量がお前とは段違いなんだよwwww」

ジャンヌ「あんた別に何もしてないでしょ」

劉備「バレてましたかwwww」

サトシ「そんじゃ、約束通りサマルカンドに数日いさせてもらうぜ! アブルハイルさんよ!」

アブルハイル「ぐぬぬ……約束してしまったものは仕方がない。ポケモンセンターは街の外れにある。自由に使うがよい」

サトシ「やったな、ゲッコウガ! ピカチュウ! お前達のおかげでムクホークとオンバーンの傷を癒せるぜ!」

ピカチュウ「ピッカァ!」

ゲッコウガ「ゲコッ」

アブルハイル「それからジャンヌ、貴様は城に来なさい。身の上に関して、伺いたいことがある」

ジャンヌ「はぁ……」

劉備「おwwwそろそろ頃合いだなwww孔明くん迎えに行こっとwww」

こうして三人はひとまずシャイバニ朝の首都・サマルカンドに滞在することとなった。

ジャンヌ・ダルクの失踪はイングランドだけでなく欧州全体に激震をもたらした。
中でもジャンヌを捕らえたリニー伯ジャン二世と、政治的利用を画策したシャルル七世の怒りは相当なものだった。
まだジャンヌは処刑されていない。まだ何処で生きている。
イングランド・ブルゴーニュの民は半狂乱となって、悪魔ジャンヌ・ダルクを再び捕らえるようにデモ行進を行った。
デモを鎮めるために多くの兵士が派遣され、穏やかなロンドンとディジョンの街並みは血に染まった。

~リニー伯の館~

ジャン二世「ジャンヌ・ダルクを逃がすとは! 伯母様、イングランドに何と説明するおつもりですか」

伯母「私が逃がしたのではありません。知らない内に煙と消えていたのですよ」

ジャン二世「しらばっくれるのもいい加減にしなさい。では誰が、彼女を聖ヴィート大聖堂から連れ出したんだ!」

伯母「それが私も分からないのですよ。窓から飛び降りたら、間違いなく全身の骨が砕けてしまうでしょうに」

ジャン二世「ジャンヌ・ダルクは悪魔の力を借りて空を飛んだんだ。いや、そうに違いない。次捕らえた時は即座に首を斬ってしまおう」

伯母「まぁ正直ね、内心ホッとしましたよ。あの娘が逃げてくれて」

ジャン二世「あ、ああ、あんだて?」

伯母「いえね、異端審問があまりに理不尽で。少し同情してしまったのですよ」

ジャン二世「何が理不尽だ。敵国の人間はみな魔女なんだ。根絶やしにするまで私は戦い続ける所存です」

伯母「……ふぅ。武運を祈ってるわ、私のかわいいかわいいリュクサンブール」

ジャン二世「ありがとうございます。しっかり闘って参りますよ」フッ

真紅のマントを風に靡かせ、ジャン二世は回廊を足早に立ち去った。

ジャン二世「ジャンヌが東に向かったのは調査で分かっているんだ。殺してやる。魔女も、魔女の協力者も全て火にくべてやる!」コツコツ

一方その頃、サマルカンドでは

劉備「孔明く~んwwwお~いwww」

諸葛亮「陛下、ここにおわしましたか。いきなり西へ征くと言い出したものですから、流石の私も驚きましたよ」

劉備「兵はどれくらい連れて来てんのwww」

諸葛亮「そうですな。歩兵五千に騎兵三千、弓箭兵が三千。これらはみな、趙雲が支配しております」

趙雲「チンカスが……舐めたいッ! ぐああッ! チン……カスッ……! チンカスをッ……!」

劉備「うわwww禁断症状起こしてるじゃんwwwダメだよwwwしっかり一日三回はチンカスを与えないとwww」

諸葛亮「誰のチンカスを舐めさせればよろしいか、悩んでいましたら康国(サマルカンド)についてしまいまして」

劉備「バカだなーwwwそんなの、馬のチンカスでいいだろwww馬はチンコ洗ってないし、卯の花みたいにバカスカ採れるよwwww」

趙雲「誰でもいいから、早くチンカス舐めさせろ! オイッ! 俺はチンカスを舐め舐めしたいんだッ! そこの御老人、股を開き給え!」

老人「およ、およよよ……」

諸葛亮「やめなさい。して、陛下。お連れのサトシ殿は何処にいらっしゃりますか?」

劉備「マサラタウンのサトシはポケモンセンターにいると思ふwwwあとさwwwそろそろ魏延くんにも話振ってあげなよwww」

魏延「クソ……諸葛亮の野郎、俺だけ無視して陛下とイチャコラかましやがって……。テメェらホモセクシャルか! クソ……クソ……」

諸葛亮「いいのですよ、反骨のあるキモスは黙っておれば。ビンビサーラ王がアジャセ王子を塔に幽閉した気持ちが、少しだけ分かります」

劉備「ああwwwいつか王子が私を殺すかもしれないから、その前に元凶の王子を殺してしまえってやつねwwwスッゲー共感www」

魏延「クソ……! クソ……!」

劉備「ジャック・バウアーかよwww」

劉備「都の方はどうなってんのwww」

諸葛亮「ご安心を。関羽殿、張飛殿、姜維殿を残しておりますので、魏や呉の侵略に対しては上手く対処できるでしょう……多分。劉封殿や孟達殿、馬謖もおりますし」

劉備「後者三名クッソ心配なんだがwww特に馬謖みたいな無能ナルシストいらねぇだろwww」

魏延「話の腰を折って申し訳ございませんが、ゴビ砂漠の辺りでミッキーマウス率いる賊軍が不穏な動きを見せているようです。斥候の報告で判明しました」

諸葛亮「馬謖と私は刎頸の友……とまでは行きませぬが、馬謖はかわいい存在なのです。小動物的な愛くるしさが……」

趙雲「きっと馬謖のチンカスは、茘枝みたいに甘いんだろうなぁ。フン! ヌン! 俄然やる気出てきた! ホワァ!」

劉備「二人とも興奮するなってwww気持ちわるwwwとりあえずポケモンセンターに案内するわwww兵は詰所にでも置いといてwww」

魏延「また無視された……! 人が下手に出りゃあ、どこまでもツケ上がりやがって! クソ……! クソ……! クソォオオオ!」

魏延の反骨心はムクムクと膨れ上がっていった。塵も積もれば山となるという諺が示すように、どんな些事でも積み重なると巨大な反乱の起爆剤となる。今の魏延にとって些事とは「劉備、諸葛亮に無視され続けること」だった。

私知ってます。
ワールドヒーローズ2ですよね?

~ポケモンセンター~

ジョーイ「お待ちどうさま。お預かりしたポケモンは皆、元気になりましたよ」

サトシ「ありがとう、ジョーイさん! あの、どうして全身を黒い絹で覆ってるんですか? 遠くから見たら、まるで墨を塗られたディグダみたいだぜ! GETしちまうぞ、コラ!」

ジョーイ「うふふ。これはイスラム圏の女性が着る、ニカーブという服なのよ。ほら、シャイバニ朝はイスラム圏でしょう?」

サトシ「あんだって? メカブ?」

劉備「ニカーブだよwww難聴少年www」

サトシ「あッ、テメェは劉備! 趙雲! それと……孔明先生じゃないですか!」

諸葛亮「お久しぶりです、サトシ殿」

劉備「えwww君ら知り合いなのwww」

諸葛亮「かつて、司馬徽大師の下で一緒に軍略を学んでいたことがあるのです。当時の優等生は私、?統、徐庶、サトシの四人でした」

劉備「ふえーwww賢すぎワロタwww」

趙雲「サトシ殿のチンカス……未だ味わったことがない。今宵、ひっそり部屋に忍びこんで舐めてみるか」

サトシ「それにしても、やっぱりポケモンセンターは便利ですよね」

諸葛亮「当然でしょう。無料且つ数秒で、眷属の魔獣を回復させることができるのですから。数多の古人も利用したらしく、例えば屈原の『楚辞』には、ポケモンセンターの偉大さを讃えた詩がいくつか散見されます」

サトシ「ああ、それ知ってます! 天式の従横はポケセン離るれば爰に死すって詩ですよね」

諸葛亮「その通り。サトシ殿は博識ですね」

劉備「なんだこいつらwww」

サトシ「そういや劉備、ジャンヌのやつ見なかったか? あいつにポケモンの素晴らしさを伝えたいんだ」

劉備「まだ城にいるんじゃねwwwぼくちんあの後ずっと門の前で孔明くん待ってたしww」

趙雲「ひとっ走りして様子を見てきます」

劉備「頼んだよwww趙雲www」

アブルハイル=ハンの居室は意外にも小ぢんまりしたユルトだった。予算を軍費に充て過ぎて、贅沢ができなくなったのかもしれない。
それでも床に敷かれている緻密な刺繍が施されたフェルトの絨毯といい、芸術品とも呼べる金細工といい、王の威厳だけは最低限保っているようだ。アブルハイルは一段上の座布団に胡座をかいて座っていた。

アブルハイル「ようこそ客人。今一度、お主らの来訪を歓迎しよう」

ジャンヌ「ありがとうございます。アブルハイル陛下に主の恩恵がありますように」

アブルハイル「さて、早速聞かせてもらおうか。お主らが西より『逃げてきた』理由を」

ジャンヌ「大したものではありません。敵軍に捕まり、あれだけ尽くした祖国にも見放され、本気で死を覚悟した時。通りすがりの皇帝が私を救ってくれたのです」

アブルハイル「フム、通りすがりの皇帝とは誰のことを申すのだ?」

ジャンヌ「劉備玄徳。みすぼらしい服を着た、やけに耳たぶが長い男の人です」

アブルハイル「あーあー、ヨワシのハイドロポンプを小石で防いだあやつか」

ジャンヌ「それから、マサラタウンのサトシにも感謝しています。全てが終わったら私、マサラタウンに住むつもりです。一人の村娘として、静かに主への信仰を続けたい」

?を赤く染めて自分の思いを語るジャンヌ。そんな彼女に、アブルハイルは一枚の紙を見せた。途端にジャンヌが青ざめる。

ジャンヌ「それは……」

アブルハイル「ブルゴーニュ公国軍からの密書じゃ。もしジャンヌと名乗る金髪の若い女性が来たならば、こちらに引き渡せと書いてある」

ジャンヌ「私を引き渡すつもりですか」

アブルハイル「まさか。大切な客人にそんな物騒なことはせんよ。どうぞごゆるりと、街の見物でもするがよい。引き留めてくれて悪かったな、救国の英雄ジャンヌ・ダルク」

ジャンヌ「ど、どうかその名前で呼ぶのはやめて下さい。ただ主の御言葉に従っただけで、私は特に何も……」

アブルハイル「誇りを持て、少女よ。国を救うとは、早々できることではない」

ジャンヌ「……分かりました」

「?」でさえ「?」になるのか……
そんな難しい漢字ではないのに

?はホオです

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アイギスカッスと御城課金厨運営でサービス刀化しそうで怖いンゴ

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なぜ表示されないんだ……

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やっぱりダメだ
undefinedってなる
意味が分からない
行数は多くないし、タブーな言葉もない

アブルハイルのユルトから出ると、天幕に耳を押し付けている鎧姿の大男がいた。
魚鱗の模様が施された鎧はフランスではおろか、サマルカンドの兵士も着用していない。
ジャンヌは眉根を寄せて、訝しむように声をかけた。

ジャンヌ「こそこそ他人の話を聞くのはやめてください。あんた誰ですか」

趙雲「おっと、これは失礼。私は劉備玄徳が配下、常山の趙子龍と申す者。命を受けジャンヌ殿、貴殿を迎えに参上致しました」

ジャンヌ「私の味方と見ていいのね?」

趙雲「いかにも。ここに貴殿の敵は一切ござらん。いるとすれば間諜でしょうが、それらも私を筆頭とする豪傑達が目を光らせておるため、目立った動きはできぬはずです」

ジャンヌ「ありがとう。主の声が聞こえなくなったから、遂に私の命運も尽きたかと覚悟していたけど、人生って分からないものね」

趙雲「ジャンヌ殿。そう簡単に、死を匂わせる発言はしてはなりませんぞ。英雄は常に陣頭に立ち、兵を扇動する太陽の如き存在。太陽が輝きを失ってしまうと、兵は惑い恐れます」

ジャンヌ「じゃあ、どうしたら……」

趙雲「武人として生を受けた。ならば、良き死に場所を得るまで力尽きてはなりませぬ。それが両親、祖国、ひいては貴殿の信奉する主への最大の恩返しと言えるのではありますまいか」

ジャンヌ「主への、恩返し……」

そうだ、声が聞こえなくても主はまだ自分を天から御覧になっているのかもしれない。
天の導きがなくとも運命を切り拓いてゆけるか、きっと主は試されているのだ。
首に下げた銀のロザリオを強く握りしめる。

ジャンヌ「主よ、試練を乗り越えよと仰るのですね。かつて、モーセがイスラエル人を率いエジプト軍の追撃から逃れたように」

返事はない。
しかし、ロザリオがほんのりと温かみを帯びたような気がした。
ジャンヌにとっては、それだけで十分だった。

ジャンヌ「趙雲さん、私、目が覚めました! 未だここは死地に非ず。自分の力で未来を掴んでみせます! ……趙雲さん?」

趙雲「ウッ……禁断症状が……チンカス……チンカスが舐めたいッ!!!!!!」ブルブル

ジャンヌ「え? チンカス?」

趙雲は『破ァ!!』と一喝すると、肉屋の隣に繋がれているロバの股間めがけてダイブした。
仰向けの状態で、目の前にぶら下がった一物を口いっぱいに咥え込む。

ジャンヌ「うわ、なにしてんの、あの人……」

趙雲「うじゅるうじゅる! ペロペロッ! なかなかスパイスが効いているではないか。山椒を混ぜているのかな!?」

ジャンヌは両肩を抱いて震え上がった。

ジャンヌ「き、気持ち悪ッ! ひぃいいいいい!」ダダダダダッ

遅めの昼食をとる趙雲を背に、救国の英雄は脱兎の勢いで逃げ出したのだった。

ジャンヌ「ロバの股間を舐めるなんてどうかしてる! あの変態性、ジルと通ずるものがあるわね」

彼女は鎧を脱ぎ捨て、チュニック姿のまま全力疾走した。
しかし、なにぶんサマルカンドの街は迷路のように入り組んでいる。
走っては角を曲がり、走っては角を曲がり。灼熱の気候と強烈な直射日光も相まって、ジャンヌの体力はいつしか底をついていた。

ジャンヌ「ゼェ……ゼェ……なによ、この街……。暑いわ入り組んでるわで、もうへとへと! 劉備、サトシ、あんたらどこにいるのよ」

ターバンの老人「これこれ、そこのお嬢さん」

ジャンヌ「え? 何? 乞食ジジイはお呼びでないわ。どっか行ってくれる?」

ターバンの老人「強い剣、欲しくないかの」

ジャンヌ「興味はあるけど、どうせ贋作を売りつけるつもりでしょ」

ターバンの老人「まぁ聞け、ジャンヌ」

ジャンヌ「なぜ私の名前を知ってるの? もしかして、あなた様は主の使い……!?」ハッ

ターバンの老人(それっぽい名前を口ずさんだら、相手が勝手に話を進めよった。ククク、善き哉善き哉)

ターバンの老人「伝説の刀工がダマスカス鋼を鍛え作り上げた、凍結の魔剣・アルダスパン」

ジャンヌ「凍結の魔剣?」

ターバンの老人「ウム。斬れば斬るほど刃の鋭さは増し、骨肉を断つ音は聞く者全てを凍てつかせる。ちと厨二要素が強過ぎたかのう?」

ジャンヌ「いえ、そんなことありません。とっても素敵だと思います!」キラキラ

ターバンの老人「チョロいのー。これだから厨二病患者は扱いやすいんじゃ」ボソ

ジャンヌ「ん? 何か言った?」

ターバンの老人「いんや、小鳥のさえずりじゃろ。話を進めるぞ、ジャンヌ」

ターバンの老人「凍結の魔剣・アルダスパンは勿論、タダで手に入るわけではない。それ相応の試練を受けてもらう」

ジャンヌ「上手い話には裏がある。騎士時代にロベール隊長から散々教えられてきました」

ターバンの老人「ここから東、トゥルファン地方に火焔山という赤土の山があってな、そこに伝説のポケモン・ファイヤーがいるそうなのじゃ」

ジャンヌ「ポケモン……というとサトシが使ってたピカチュウやゲッコウガみたいな化け物のことですよね」

ターバンの老人「あんなものとは比較にならん。中央アジアに生息するポケモンの中で、トップクラスの危険度を誇る三鳥の一角じゃぞ」

ジャンヌ「残りの二羽は?」

ターバンの老人「サンダーとフリーザーじゃが……それらは関係ない。ファイヤーの吐く三昧真火こそ、アルダスパンを鍛える上で必要なのじゃ」

ジャンヌ「トゥルファン……火焔山……ファイヤー……」

何ひとつ分からない。
思えば生まれてから十数年、フランスより東にある地域の存在など考えたこともなかった。
なるほど、自分が思っているよりもずっと世界は広い。

ターバンの老人「さてと。情報を与えたことじゃし、お嬢さんには礼としてバター茶を奢ってもらおうかの」

ジャンヌ「え!? そんな、私お金持ってないです」

ターバンの老人「あんだって? 裕福そうな身なりをして、無一文なわけがあるか。とにかく、ポケモンセンターへゆくぞ」

ジャンヌ「まぁ、なるようになるか……」

ジャンヌ「主の使いよ、本当にこの赤い建物がポケモンセンターで合っているのですか?」

ターバンの老人「どうした、あまりに豪華なので目を回したか」

ジャンヌ「光沢を放つすべすべした外壁、火を灯してないのに輝く看板、どちらも私の暮らしてきたドンレミ村やシャルル陛下の王宮でさえ、見たことがありません」

ターバンの老人「スルタン・アブルハイルはポケモンの育成に力を注いでおる。私財を全て建設費に回し、何十年もかかる大工事を行い、去年やっとポケモンセンター第1号店を造り上げたのじゃ」

ジャンヌ「なんだか、ポケモンセンターだけ浮いて見えますね。周りの家屋が貧相だから?」

ターバンの老人「トレーナーのほとんどが利用するのだ。目立っていないと、逆に困る」

ターバンの老人はガラスの前に立った。すると、どうしたことだろう。ガラスが左右に動いて道を開けたではないか。まるで、出エジプト記において、モーセが紅海を割ったように。

ジャンヌ「流石、主の使いね。硬いガラスも、手を使わず易々と動かしてみせた」

ターバンの老人「自動ドアじゃ。お嬢さん、あんた理知的な外見に反し、意外と無知じゃな」

ジャンヌ「も、申し訳ございません! 私の勉強不足でした。どうかお赦しを……」

ターバンの老人「やめろやめろ、へりくだるな。それより、こちらに手を振ってる若者がおるようじゃが、知り合いかの?」

ジャンヌ「え?」

劉備「お~いwwwジャンヌちゃんや~いwww随分と遅かったじゃないかwww」

ジャンヌ「劉備! アンタ、ポケモンセンターにいたの!? 私だって探したんだから!」

劉備「ってか趙雲くんどこ行ったのwww」

ジャンヌ「趙雲さんなら、ロバのチンカス舐めてたわよ」

劉備「あいつwww百叩きの刑安定だわwww」

劉備「そうそう、サトシが少し前に出て行ったぞwwwジャンヌにポケモンGETさせてやるんだとか叫んで叫んでwww」

ジャンヌ「色々とややこしくなってるわね。サトシの件は置いといて、そちらの扇を振ってる御仁は誰?」

諸葛亮「私は諸葛亮孔明。蜀の丞相……あなたの国で言う所の宰相を務めております。以後、お見知り置きを。女傑・ジャンヌ殿」

ジャンヌ「だから、女傑なんて讃えるのはやめてってば。もう、フランスには戻らない。聖女ジャンヌ・ダルクは死んだのよ」

諸葛亮「フム……。では、ただのジャンヌ殿と呼べばよろしいですかな」

ジャンヌ「ただの、ってなによ。諸葛亮さん、あなたデリカシーに欠ける人ね!」

諸葛亮「フッ、よく言われます」

劉備「ところでジャンヌさんよwwwアブルハイルに何されてきたんだよwwwぼくちんそれが心配なんだがwww」

ジャンヌ「いや、特に何も。私達を歓迎してくれるらしいわ。ブルゴーニュ公国軍からの密書も無視するって言ってたし」

劉備「へーwwwポケモンバトルに負けたんだwwwその対応が普通だよねwww」

諸葛亮「……いけませんね。陛下、ジャンヌ殿、すぐにサマルカンドを出立しましょう。アブルハイルはブルゴーニュ公国軍とやらと内通しております。あくまで可能性ですが」

ジャンヌ「どうして?」

諸葛亮「我らを匿う利点が無いからです」

ジャンヌ「メリットがない? どういう意味よ、それ。私は無価値ってこと?」

劉備「あのさwww自分の立ち位置分かってる?www君、三日前まで『牢獄』にブチ込まれていたんだぜ?www」

ヨーロッパにおける今のジャンヌ・ダルクは救国の女傑でなく、悪魔と契約した憎き魔女という認識で通っている。匿ったところで誉れとなるわけでなし、かえって国民を戦火に晒す危険性があるのだ。
普通の君主ならばまず、ジャンヌの首を斬るか身体を縛り上げるかして、ブルゴーニュ公国軍に差し出すはずだ。

ジャンヌ「でも、アブルハイルはそれをしなかった。客人として迎えてくれたわ」

諸葛亮「油断させるための罠でしょう。何せこちらにはピカチュウや蛙先生などを使役する、手練れのポケモントレーナーがおりますゆえ。下手に手出しはできません」

劉備「加えて孔明くんが精兵を1万近くも連れてきたwwwアブルハイル今ごろ冷や汗ダラダラだろうねーwww」

ジャンヌ「そこまで安全なら、なにもすぐサマルカンドを出立するなんて急かさなくても」

諸葛亮「仮初の安泰ですよ。我々はサマルカンドという籠の中の小鳥。馴らして殺すのが、アブルハイルのやり口です」

ジャンヌ「卑劣な……! そうだ、先にスルタンを殺してしまえば良いんだわ。闇討ちをかけるのよ。人糞や尿を……」

劉備「アホかwww闇討ちなんかしたら、シャイバニ朝と無駄な戦争をするハメになるじゃんwwwぼくちん争うの嫌なんじゃがwww」

諸葛亮「しかし、ただ逃げるだけというのも癪ですねぇ。ちょいと懲らしめてやりましょう」

劉備「そうだwwwいっちょ川でも曲げてみるかwwwどうせブルゴーニュ公国軍が来るまで、少しは時間残されてるっしょwww」

諸葛亮「私も同意見です。サマルカンドの近くにはザラフシャン川が流れており、これを曲げるとアラ不思議、水攻めに使えるではありませんか」

趙雲「堀を巡らせて、そこに川の水を引き込むのですね。陛下と丞相は、なかなか面白い遊びを考えられますな」

諸葛亮「ジャンヌ殿、ブルゴーニュ公国軍がここまで来るのに大体どれくらいかかるか予想して頂けますか?」

ジャンヌ「そうね……。おそらく、一ヶ月半くらいじゃないかしら」

諸葛亮「完成の目安は一ヶ月後。突貫工事ですが、何とか間に合うでしょう」

ジャンヌ「ちょっと聞いていい? 堂々と堀を掘っていたら、アブルハイルに怪しまれたりするんじゃないの?」

諸葛亮「そのために、まず噂を流すのですよ。『サマルカンドに堀を巡らせる件』について、アブルハイルと劉玄徳の間で合意がなされたと」

劉備「アブルハイル本人が否定しても、『民』という外堀が埋まってるんで時既に遅しってやつかwwwww」

ジャンヌ「それってデマじゃない! 嘘をつくのは、神罰がくだるから止めた方がいいわ」

諸葛亮「勝ちたいのなら、私の言葉に従いなさい。敗北を喫したければ、一人で特攻するがよい」

ジャンヌ「ク……言い返せない」

劉備「孔明くん珍しく手厳しいッスねーwwwいいじゃんいいじゃんwww軍師っぽくて好きよwww」

諸葛亮「私は蜀の丞相且つ軍師です。その台詞、聞き捨てなりませんな。陛下は私を何だと思っていらしたのです」

劉備「うーんwwwわかんねwwwひよこ鑑定士とかwww」

趙雲「まさか、チンカスの醸造年度を鑑定する……?」

劉備「オイまた趙雲が暴走しかけてるぞwww」

ターバンの老人「何ということを聞いてしまったのじゃ、わしは……!」ダダダダダ

ターバンの老人「奴らはいずれ動くだろう。そして、サマルカンドを水浸しにしてゆくつもりじゃ」ダダダダダ

ターバンの老人「どんな手を使っても、このことをスルタン・アブルハイルにお伝えしなくては!」ダダダダダ

無我夢中で走る老人は、前から迫る人の気配に全く気が付かなかった。
額と鷲鼻を硬い鎧のような鉄板に打ち付けてしまい、くらくらと後じさる。
尻餅をつきそうになったところで、丸太の如く太い腕に背中を抱えられた。

趙雲「御老人! 御老人! 怪我はないか!」

老人がぶつかったのは、肉屋の前でロバのチンカスを舐めていた趙雲だった。
しかし、老人は趙雲が劉備の将だということなど露も知らない。
鼻血で赤く染まった手を伸ばしながら、低く呻くような声で訴えたのである。

ターバンの老人「将軍……将軍……わしの代わりに、スルタンに伝えてくだされ……」

趙雲「なんだ、申してみよ。この趙雲、御老人の言葉をしかと心に留めよう」

ターバンの老人「異国の者が……街を……水没……諸葛亮……」

趙雲「丞相がどうなされた? 水没とは何なのだ!? 御老人、まだ力尽きてはならぬ! 御老人!」

諸葛亮の名を最後に、ターバンを巻いた老人は息絶えた。
老人の亡骸を横たえると、趙雲は背中の槍を構えてアブルハイルのユルトへ大股で歩いていった。
交差した二つ又の槍が、趙雲の行く手を阻む。

守衛「スルタンは御昼寝の最中である。無礼者、矛を収めよ」

趙雲「アブルハイルに伝えておけ。異国の者が街を水没させると。その名は諸葛亮孔明であると!」

守衛「なッ……貴様は何を言っているんだ?」

趙雲「然らば、これにて失礼する!」

踵を返すと、颯爽とした足取りで趙雲は去っていった。
残された二人の守衛は、ただただ首を傾げるばかりであった。

しまった
>>37の趙雲はいなかったことにしてください
致命的ミス

ジャンヌ「あ、えーと……」

サトシ「マサラタウンのサトシ! お前が持ってるその赤いボールは、モンスターボールっていうんだ! 真ん中のボタン押してみろよ!」

言われるがままにボタンを押してみる。
すると小さな球体が風船のように膨らみ、手ごろなサイズになった。
魔法がかかっているのか? ジャンヌは目を白黒させて手中のボールを見つめていた。

サトシ「そいつでポケモンをGETするんだぜ。言葉だけじゃ分からないだろうから、俺が実際に見せてやるよ」

サトシに誘われ、ザラフシャン川の川岸まで来た。
湿った土の匂いが、ツンと鼻をつく。空には厚い鈍色の雲が広がっている。
前を行く少年の足が止まる。ポケットから赤い長方形の機械を取り出すと、川の中州に向けた。

サトシ「おい! ジャンヌ、ポッポがいるぞ! ポッポだ! ポッポ!」

ポッポ? 
ジャンヌには雌のクジャクにしか見えない。
それとも、中央アジアでは雌のクジャクを『ポッポ』と呼んでいるのか。

サトシ「俺が今持っているのが『ポケモン図鑑』だ! これをポケモンに向けると、自動的に登録してくれるんだぜ!」

ポケモン図鑑「ポッポ。ドラゴンポケモン。くうかんのつながりを じざいに あやつることで とおくの ばしょや いくうかんに いどうできるのだ」

サトシ「あれ~? 変だな。ポッポってこんな説明だったっけ?」

ジャンヌ「私に聞かれても知らないよ、そんなもの」

サトシ「ま、いいか。故障してるなら後で直せばいい。よし、ピカチュウ! ポッポに十万ボルトッ!!!」

またミスッた
>>40はナシでお願いします

劉備と諸葛亮が喫茶店で水攻めの策を練る間、ジャンヌはフレンドリィショップでモンスターボールの物色をしていた。
赤いボール、青いボール、黄色と黒のボール。色合いから大きさまで様々だ。
一体、片手で握られるほど小さい球体を何に使うのだろう。敵のこめかみを狙って当てる遠距離武器なのかもしれない。

サトシ「よう、ジャンヌ。やっと見つけたぜ!」

ピカチュウ「ピッカァ!」

ジャンヌ「あ、えーと……」

サトシ「マサラタウンのサトシ! お前が持ってるその赤いボールは、モンスターボールっていうんだ! 真ん中のボタン押してみろよ!」

言われるがままにボタンを押してみる。
すると小さな球体が風船のように膨らみ、手ごろなサイズになった。
魔法がかかっているのか? ジャンヌは目を白黒させて手中のボールを見つめていた。

サトシ「そいつでポケモンをGETするんだぜ。言葉だけじゃ分からないだろうから、俺が実際に見せてやるよ」

サトシに誘われ、ザラフシャン川の川岸まで来た。
湿った土の匂いが、ツンと鼻をつく。空には厚い鈍色の雲が広がっている。
前を行く少年の足が止まる。ポケットから赤い長方形の機械を取り出すと、川の中州に向けた。

サトシ「おい! ジャンヌ、ポッポがいるぞ! ポッポだ! ポッポ!」

ポッポ? 
ジャンヌには雌のクジャクにしか見えない。
それとも、中央アジアでは雌のクジャクを『ポッポ』と呼んでいるのか。

サトシ「俺が今持っているのが『ポケモン図鑑』だ! これをポケモンに向けると、自動的に登録してくれるんだぜ!」

ポケモン図鑑「ポッポ。ドラゴンポケモン。くうかんのつながりを じざいに あやつることで とおくの ばしょや いくうかんに いどうできるのだ」

サトシ「あれ~? 変だな。ポッポってこんな説明だったっけ?」

ジャンヌ「私に聞かれても知らないよ、そんなもの」

サトシ「ま、いいか。故障してるなら後で直せばいい。よし、ピカチュウ! ポッポに十万ボルトッ!!!」

ピカチュウ「ピ、カ、ヂュウ~!」

バチバチっと何かの弾けるような音と共に、眩い光球が川の中州めがけて猛スピードで飛んでいった。10万ボルトを当てるためには、ある程度の至近距離まで近づく必要がある。

サトシ「そのまま川も渡り切っちまえ!」

ピカチュウ「ピカッ!」

ピカチュウが塵芥の流れる黄土色の激流に飛び込んだ瞬間、光球はパッとその輝きを消した。否、消したというより消えてしまったと呼ぶべきか。それもそのはず、ピカチュウは押し寄せる波に呑まれ、溺れてしまっていたのだ。

ピカチュウ「ガバボッ……ピィ~カァ~!」

サトシ「クソッ! ピカチュウ、かわせ!」

ジャンヌ「何をどうかわせっつーのよ。サトシ、アンタのポケモン借りるわね!」

ジャンヌはサトシのポケットから強引にモンスターボールを奪うと、地面に投げつけた。光の尾を引いてゲッコウガが飛び出す。

サトシ「おい! もっと優しく投げてくれよ!」

ジャンヌ「蛙先生、ピカチュウを助けてあげて! 溺れてしまっているの!」

ゲッコウガ「……フン」

ジャンヌ「どうして言うこと聞いてくれないのよ!?」

サトシ「そりゃバッジが少ないからさ。他人のポケモンを使役するには、ジムバッジが必要なんだよ! いいからどけ!」

ゲッコウガ「ヌ!」

サトシ「ゲッコウガ、かげぶんしん! 分身体を橋にして、ピカチュウの元まで助けに行くんだ!」

ゲッコウガ「ゲッコ!」

ゲッコウガの上にゲッコウガの分身体Aが乗り、ゲッコウガの分身体Aの上にゲッコウガの分身体Bが乗り。そんなことを十回ほど繰り返し、見事ゲッコウガの梯子が完成した。

ジャンヌ「す、すごい! 攻城戦にうってつけの技じゃない!」

サトシ「バカ、かげぶんしんは攻撃するだけの技じゃねぇんだ。トーシロのお前じゃ考えもしなかった方法だろうがな。ケケケ」

ジャンヌ「なによ、トーシロって……」

蛙の梯子がゆっくりと、ピカチュウの流れてくるであろう地点に倒れてゆく。幸いにも苔むした岩があったので、梯子が分解する心配はない。やがて、瀕死のピカチュウが蛙の梯子に力無く引っかかった。

サトシ「スゲー! ピカチュウだけでなくコイキングも沢山取れてるぞ。もう梯子っつーより漁網だな、こりゃァ!」

ジャンヌ「ピカチュウは無事なの?」

サトシ「問題ない。ポケモンセンターで休んでもらうさ。それよりジャンヌ、お前コイキングGETしてみろよ!」

するとサトシは、背ビレと腹ビレに王冠を戴いた鯉のようなポケモンを放り投げてきた。

ジャンヌ「ひいッ! デカい!」

サトシ「そいつはコイキング。みずタイプのポケモンだ! 名前の通り、鯉の王者。水中では敵なしの性能を誇るぜ! さ、GETするんだ!」

ジャンヌ「そ、そんなに強いの!?」

ポケモン狂いの少年から貰った、モンスターボールを投げてみる。光の粒子となったコイキングは、瞬時にボールの中へ吸い込まれた。
動いて、動いて、施錠音。

サトシ「やったじゃねぇか! 初めてのポケモンだぜ、大事にしてやりな!」

ジャンヌ・ダルクはコイキングをGETした。

サトシの大ウソつきめ(^^)

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コイキング「コッコッココッ」ビチビチッ

ジャンヌ「コイキング、レベル12、おくゆかしい性格、渋い食べ物が好き、覚えている技は『はねる』だけ。うーん、見た目はとても非力そうだわ。サトシ嘘ついたんじゃないの?」

サトシ「よし、早速だがバトルしようぜ! ヌメルゴン、キミに決めたッ!」

ヌメルゴン「ヌメ〜」

ずんぐりむっくりとした、粘液まみれの生物が地響きを鳴らして現れた。目は胡桃のように円らだが、その巨体は悠に2mを超える。二足歩行するナメクジという表現が、この化け物を喩えるに最も正しいやもしれぬ。

ジャンヌ「え、もうバトルするの? 技の出し方も何も分からないよ!」

サトシ「うるせぇ! 手持ちのポケモンを早く出しやがれ! どうせコイキングみてぇなゴミポケしか持ってねぇんだろ!」

ジャンヌ「アンタ、コイキングは最強だって自分で話していたじゃない!」

サトシの豹変ぶりに、ジャンヌは竦み上がった。この少年、自分より弱い相手とバトルを行う際、言動が粗暴になるようだ。心なしか、瞳に宿る光も怪しくギラついている。狩人のそれと言って相応しい。

サトシ「カカカ! それでは首を捥ぎ取らせて頂くとするぜ、ジャンヌ・ダルク! ヌメルゴン、あのクソアマに向けて冷凍ビームDA! 今日がテメェの命日よ、ギャーッハハハァ!!!」

ヌメルゴン「ヌゥメ〜!」ゴゴゴゴゴ

ジャンヌ「ちょ……ちょ……! コイキング、なんとかしなさいよ! 跳ねるでもいいから技を出して! 冷凍ビームに対抗しなきゃ!」

冷凍ビームがジャンヌの胸を貫こうとした、その刹那。サトシの目に、信じ難い光景が飛び込んできた。コイキングが獅子の如き雄叫びをあげて、空高く跳ね上がったのである。コンキングにしがみついたジャンヌも、宙へ舞い上がる。彼女の爪先を冷凍ビームが掠った。

ジャンヌ「いやあッ……靴が凍ってる! コイキング、アンタ意外とやるわね! アンタが跳ねて、私が攻撃。良いコンビになれそうよ」バシャアン

まだ安心はできない。ザラフシャン川の激流に落ちたジャンヌは、何度も川底の岩に叩きつけられた。間一髪、ゲッコウガの橋で助かったが、流されるのも時間の問題だろう。

サトシ「一回避けた程度で、勝ち誇んなやボケがァ! ヌメルゴン、あまごい! 川を増水させてジャンヌを押し流すんだ!」

ジャンヌ「サトシ! 蛙先生まで溺死させる気なの!? 良い加減にしなさいよ!」

サトシ「黙れ黙れ黙れェ! ゲッコウガは水タイプだ、岸まで泳いでこれるさ。だがしかし! テメェはノーマルタイプ。溺れ死ぬしか、残された道は無いようだなァ!」

ジャンヌ「主よ、主よ、願わくば私を激流のより救い出されんことを……」

サトシ「無駄だね! テメェはここで死ぬんだよォーッ!」

武将ぎ延はどこいったんだ?

???「ギャーオ!!」

ジャンヌ「ん!?」

サトシ「は!?」

二人の視線が上空へ向けられる。
甲高い奇妙な鳴き声が激流の音に紛れてはっきりと聞こえた。

サトシ「ジャンヌ、あの山だ! 目の前にそびえる、剣山みてぇな山の上にファイヤーがいるぞ!」

ジャンヌ「ファイヤー!? どこどこ? あッ……」

燃えていた。
たてがみ、翼、尾羽に至るまで全てが赤く燃え盛っていた。
羽ばたくごとに、火の粉がキラキラと黄金色の輝きを放つ。
山の端に沈みゆく太陽を背に飛ぶファイヤーは、まさしく太陽神そのものであった。
時折口から吐き出す桃色の炎。あれは老人の言っていた三昧真火であろうか。
恐ろしい火勢だ。万の軍勢も一瞬で消し炭にされてしまうに違いない。
ファイヤーは日没と共に、東の空へと消えていった。

サトシ「スゲェもん見ちまった……。なぁ、ジャンヌ。ゲッコウガに掴まって岸まで来いよ」

ジャンヌ「バトルの決着は、ひとまずお預けってことでいいのね?」ザパッザパッ

サトシ「煮え切らないバトルは好きじゃないが、今それどころじゃないんでな。まだ瞼の裏に焼き付いてるぜ。ファイヤーの姿がよ」

ジャンヌ「GETしたい?」ブルブルッ

サトシ「もちろんさ、俺がGETしないで誰がGETするんだよ! よし、出てこいムクホーク、オンバーンッ!」

ジャンヌ「ちょっと待った!」

サトシ「どうしたんだ急に。まさか、伝説のポケモンなんでGETすんのが憚られるってか?」

ジャンヌ「サマルカンドのお爺さんからね、ファイヤーはトゥルファン地方の火焔山に棲んでると聞いたの」

サトシ「トゥルファン!? かなり距離があるじゃねぇか! 多分ムクホークでも一週間以上はかかるぜ」

ジャンヌ「時間がかかるなら、行くのは止めるべきよ。私だってファイヤー欲しいけど、劉備さんや諸葛亮さんもいるわけだし。自分だけ勝手に遠出するのは、いけないと思うわ」

サトシ「そんなノロノロしてたら他の誰かにGETされちまうだろ! 近くまで来ていた今勝負を賭けるのが普通なんだよ!」

ジャンヌ「そう……よく分かった。私は行かない。先にポケモンセンターまで帰ることにするわ。怪我しても知らないから」プイッ

サトシ「クハハ、怪我なんぞするわけがなかろう! いけ、ムクホーク! そらをとぶッ!」

ムクホーク「ケーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン」バサバサッ

その夜、全身に大やけどを負った少年がポケモンセンターに運ばれてきたのは語るまでもない。

草木も眠る丑三つ時。
チューリップ咲き乱れる庭園の中央で、ひたすら地団太を踏む男の影があった。

魏延「クソッ……! クソクソッ……! チューリップのくせに、幸せそうに咲きやがって。クソ!」

彼の名は魏延、字は文長。元の主君である韓玄を斬り伏せ、劉備の荊州南四郡攻略の立役者となった人物だ。
本来ならば、関羽や張飛や趙雲までとはゆかずとも、その次くらいには重用されてよいはずである。
しかし、憎き諸葛亮めが『反骨の相あり』と劉備に進言したため、主君や周りの将から腫物に触るような対応をされている。
西への大遠征ということで、ようやく自分にも活躍の場が与えられるかと思いきや、主役は二十歳にも満たない異国の小娘。
魏延の腸は日々の鬱憤と嫉妬の炎で、地獄の釜のように煮えくり返っていた。

魏延「クソッ……! 益州の時だって、藤甲軍との戦の時だって、いつも冷や飯を喰らっているのは俺だ!」

???「そう。貴君は仕える主君を誤った」

魏延は素早く腰の剣を鞘走らせると、声のした方へ剣先を向けた。
常に戦場で命のやり取りをする武人にとって、この反応はもはや条件反射の領域である。
右斜め前、巨大なミナレットの陰に誰かが隠れている。

魏延「どこのスパイだか知らんが、俺を暗殺しようってなぁ良い度胸だ」

間諜「とりあえず、チューリップ畑から出給えよ。ここはサマルカンドで一、二を争う富豪の庭だ。いくら貴君でも斬首は免れない」

魏延「ケッ、好き勝手に言いやがってクソが。何をしに来た」

間諜「一日、尾行させてもらった。相当、周りに対して不平不満を抱いている様子。少し手助けをしてやろうと思ってね」

魏延「ふざけるな。誰が怪しいスパイの助けなど借りるか」

間諜「私は貴君が仕えるべき真の英雄を知っている」

魏延「……曹操だの孫権だの、ありきたりな名前を挙げるのではないだろうな」

間諜「名を知りたくば、ジャンヌ・ダルクの情報を携え明日の深夜、グーリ・アミール廟の前まで来い」

間諜は闇に溶け、踏み荒らされたチューリップの庭園と魏延だけが残された。

魏延「くだらねぇ。俺は一度、韓玄を裏切った。二度も謀反を起こすとなると、流石に腰が引けるぜ」

魏延「だが……クソッ。うまく考えがまとまらねぇ。畜生!」ゲシッゲシッ

くっそワロタわ

ジャンヌ「う~ん……はぁ」

視界が明るい。うっすらとまぶたを開けたジャンヌは、両腕を上に伸ばしながらあくびをした。
葡萄の香りが爽やかな朝の涼風に乗って、窓からそよそよと吹いてくる。
ポケモンセンターの寝具はベッドではなく布団を床に直接敷いたものだが、何層も重ねているので寝心地は悪くなかった。
久しぶりにぐっすりと眠った気がする。
聖女として戦に駆り出されていた時に比べ、地位も栄誉も失った現在の方が穏やかな朝を迎えられるとは、何たる皮肉か。

ジャンヌ「劉備さんとサトシには、感謝してもし切れないわね」

アブルハイルの城には泊まらなかった。選択する以前の問題で、泊めさせてもらえなかったのだ。
猜疑心に満ち溢れた彼は、どこの馬の骨とも知れぬジャンヌに寝込みを襲われる事態を恐れた。
そのため、客人であるはずのジャンヌは一歩たりともアブルハイルの起居するユルトに立ち入ることができなかった。
諸葛亮の献策により仕方なく、中立的な立場のポケモンセンターを宿として選んだのである。

ジャンヌ「お腹空いた……」グウゥゥ

エリートトレーナー「フリーザーの吹雪を喰らってから、僕のヤトウモリが目を覚まさないんです! どういうことですか、これは!」

ジョーイ「フム……この子はもう駄目ですね。心ノ臓が凍りついています。ポケモンタワーへゆくと良いでしょう」

エリートトレーナー「そんな、薄情な!」

対戦するポケモンの間に力量差があり過ぎると、敗者が死亡するのは当然のこと。
エリートトレーナーの慟哭を横目に、ジャンヌはのそのそと出口へと向かった。
溢れんばかりの陽光が、彼女を祝福するかのように降り注ぐ。

ジャンヌ「主よ……無事に悪魔の夜を乗り切れたことを感謝致します」

劉備「あッwwwおはよう尚香ちゃ~んwww」

諸葛亮「陛下、彼女は孫夫人でなくジャンヌ殿でしょう。ラグマンのつゆをこぼさない!」

趙雲「後で兵達にも炊き込みご飯を持って行ってやらなくてはな」

魏延「ジャンヌ……」ピクッ

四人の武将が唐草模様の赤い絨毯を敷き、料理を囲んで談笑していた。
サトシはやけど治療のため、一日ポケモンセンターの奥に軟禁されているという。
劉備は右にずれて、ジャンヌに座るよう命じた。

劉備「名前www間違えちゃってごめんねwww尚香ちゃんに似てるからさぁwww」

ジャンヌ「は、はぁ……」

劉備「ぼくちんと尚香ちゃんの惚気話www聞いとく?www朝の小咄にはもってこいっしょwww」

ジャンヌ「別にいいよ、それより料理について教えて」

劉備「あれわ十年前の昼下がりのことだったwww」

ジャンヌ「話聞いてないし……」

~十年前・洛陽ディズニーシー~

劉備「ふおおおおwwwwwここが鼠的海(ディズニーシー)ですかぁwwww広いねーwwwwねーwwww」

孫尚香「ったく! どうしてあたしが! こんなド田舎ニートとデートしなきゃならないんですかァーーーーーー!」

劉備「と言いつつしっかりついてくる尚香ちゃんに萌えwwww孫権くんも良い妹さんを持ったもんだねーwwwwうふふーwwww」

孫尚香(くっ……! かくなるうえは、レイジングスピリッツ搭乗時にこいつのシートベルトを小刀で切って……)

劉備「あwそうそうwwwwぼくちんを殺したら蜀と呉の同盟が破綻するからwwww怖い人が沢山キミの祖国をめったくそに蹂躙するからwwwww」

孫尚香「ううぅ~。ここで蜀呉の同盟を持ちだすなんてズルいわよ! あんた、どこまで性格悪いのよ!」

~ででーん! パレードが始まる~

ミッキーマウス「ハハッ!☆彡 みんなも大好きミッキーマウスだよ! ハッピーパラダーイス!☆彡」キラーン

群がるクソガキ共「米老鼠! 米老鼠!」

劉備「やべぇwwwwなんか、ぼくちんとキャラかぶってる奴来たwwww尚香ちゃ~んwwwちょっとそこで待っててくんないwwww」タッタッタッ

孫尚香「え!? ええ!? ちょっとあんた、どこ行くつもりなのよ~!」

劉備「おいwwwwそこのブルジョワネズミwwww」

ミッキーマウス「ハハッ☆彡 誰だいキミは?」

劉備「涿県の劉備ッスwwww今日もガッポガッポみたいッスねwwww」

ミッキーマウス「ガッポガッポ? どこがガッポガッポなんだい?☆彡」

劉備「いやぁ……www勿論ねww金の話ッスよwwwこれだけガキ共を魅了してりゃ、それなりの給料は貰えるでしょ?wwww」

ミッキーマウス「うーん、ボクはそんなチンケな問題気にしてないな☆彡 小さい子が喜んでくれれば、それで満足なんだ☆彡」

劉備「何言ってんだよwwwそれは建前の話だろ?wwwやっぱり休日にはミニーとデートしたりすんだろ?wwww」

ミッキーマウス「ミニーはボクの良き友人だよ☆彡それより、パレードの続きをしたいから行く手を阻まないでもらえるかな?☆彡」

劉備「嘘をつけwwwお前の腹黒さなんて孔明くんがとっくに見抜いてんだよwwwwあいつは三国統一を目指しているとねwwwww」

ミッキーマウス「三国統一? ハハッ☆彡 よくもそんなバカげた流言を信じているね。ボクはもっとでっかい目標を持ってるんだよ☆彡」

劉備「何だよwwww言ってみろよwwwwwネズミのくせにwwwww」

ミッキーマウス「世界……征服さ。ま、薄汚れたクソゴミには理解できないと思うけどね☆彡」

ジャンヌ「……なんですか、それは」

色々と突っ込みどころが多すぎて思考が追い付かない。
そもそも、これは孫夫人とやらの話ではない。
代わりに答えたのは、涼しげに扇を振る諸葛亮だった。

諸葛亮「ミッキーマウスですか。久方ぶりに、その名を聞きました。赤壁の戦いでしたっけ? 初めて我々と矛を交えたのは」

劉備「そそwwwよく覚えてたねwwwあの変則的な戦法にはだいぶ苦労させられたよwww」

趙雲「連環の計を一瞬で見破りましたしな。相手が魏軍だから良かったものの、もしミッキーマウス軍と対峙していたら……」

諸葛亮「こうして青梅を煮て英雄を論ずることもできなかったわけですな」

劉備「それぼくちんと曹操のネタだろwww勝手に盗んな臥龍先生wwwつか趙雲まともだねwww」

趙雲「昨日、旅商人から性欲を抑える漢方を頂きました。これで何がいてもチンカスを舐めずに済みます」

劉備「良かったねwwwもうその漢方、手放せないねwww」

魏延「丞相! 今だからこそ申し上げます。ゴビ砂漠付近で、ミッキーマウスが賊軍を連れているとの情報あり!」

諸葛亮「黙れタコ。ささ、ジャンヌ殿。あなたの分も取ってありますよ。こちらはシャシリク。金串に鳥や羊の肉を焼いて刺した料理です」

ジャンヌ「へー、おいしそう! これはトマト? それともイチジクかなー。ま、いいや。いただきまーす! はむッ……おいし~い!」パアァァッ

魏延「タコと……? 丞相、俺のことをタコと……?」ピキピキィ

劉備「反骨キモスが苛立ってんぞwww孔明くんって頭は良いけど、空気が絶望的に読めないんだよねwww」

趙雲「神は二物を与えず。賢人と奇人は紙一重。陛下、あなたも立派に賢人であり且つ変人の域へ踏み込んでいるのですよ」

劉備「ピョエーwww変人なんてwwwお前に一番言われたくないわwww」

今日はここまで

朝食の後、昼までしばしの自由時間を得たジャンヌは、どこか広い場所を求めて街を歩き回った。
サマルカンドブルーに照り映えるグーリ・アミール廟の前まで来ると、近くに立っている大樹の下に腰を落ち着けた。
昨日サトシから貰ったモンスターボールを取り出し、地面に向かって投げてみる。
光を放ちながらボールが割れ、炎天下の中ただ無性に跳ね続けるコイキングがそこにいた。

コイキング「ココッコココ」ビチビチッ

ジャンヌ「コイキング、跳ねて!」

しかし、何も起こらない。
昨日のサトシ戦でコイキングが見せた鬼神の如き跳躍は、どこへ行ってしまったのか。
ジャンヌは苛立たしげにコイキングの身体を蹴りつけた。

ジャンヌ「あいだぁーーーーッ!!!」

硬い。あまりに硬すぎる。
鉄球を思い切り蹴ったような感覚だ。
爪先を押さえて地面を七転八倒していると、頭上から声が降ってきた。

短パン小僧「馬鹿だなぁ、硬いコイキングを蹴るなんて。姉ちゃん、それでもポケモントレーナーなの?」

ジャンヌ「なによ、なんか文句あるっての」

短パン小僧「大ありだね! 実力のないトレーナーに飼われて、そのコイキングが可哀想だよ」

ジャンヌ「実力がない、ですって? あのねぇ、私は数日前に初めてポケモンというものを知ったのよ。ルーキーに決まってるじゃない」

短パン小僧「ポケモン歴の長短は関係ない。ポケモントレーナーは目が合えばバトル! 姉ちゃんのコイキング、叩き潰させてもらうよ」

これは面白い

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