島村卯月「笑顔を育ててくれた場所」 (22)

卯月のSSです。
ぽつぽつ投下していきます。
よろしくお願いします。

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某日・レッスンルーム

トレーナー「うん、三人ともいい動きですね。…今日はここまでにしておきましょうか。初めての単独ライブ、頑張ってくださいね」

未央「はいっ!頑張ろうね、しまむー、しぶりん!」

卯月「うんっ!」凛「うん」

トレーナー「ふふっ、それでは私は失礼しますね」

三人「ありがとうございました!」

凛「…ねえ、少しだけ自主レッスンしない?」

未央「ふっふっふ、ちょうど未央ちゃんもそう思ってました!」

卯月「私もです!」

凛「ふふ、気が合うね。じゃあサビのところからやろうか」

卯月「はぁはぁ…今の、今の良かったですよね!」

未央「うん…忘れないうちにもう一回やりたい!けど…」

凛「さすがにやめておこっか」

ガチャッ

P「おつかれさん、調子はどうだー?」

卯月「あ、プロデューサーさん!聞いてください、今すごく良い感じで…!」

未央「うんうん!」

P「おお!…三人ともレッスン頑張ってるもんな。よーし、俺もがんばるぞー」

凛「プロデューサーはがんばりすぎだよ。たまには休まないとダメ」

P「あはは…ライブが終わったらしっかり休むよ」

卯月「約束ですよ?」

P「うん、約束だ」

未央「えへへ、プロデューサーが心置きなく休めるようにライブ成功させよう!」

卯月・凛「うん!」

P「三人ともありがとな。よし、今日は何かうまいものでも食いに行くか!」

未央「やったー!」

卯月「ふふ、楽しみだな♪」

ライブ前日・卯月の部屋

卯月(いよいよ明日かあ…緊張してきたかも)

ピロン

卯月「…?あ、養成所の先生からだ!」

先生『卯月ちゃん、明日のライブ頑張ってね。私も見に行けるから楽しみにしてるよ』

卯月「先生が見に来てくれるんだ…よーし」

卯月『先生も笑顔にできるように頑張ります!』

ピロン

先生『うふふ。卯月ちゃんに元気もらいにいくね』

卯月(成長した姿を見せたいな…よし、頑張ろう♪)

ライブ当日朝・控室

コンコン

未央「プロデューサーかな?どうぞー」

P「お、三人ともいるな。今時間あるだろ?たくさんフラワースタンドが来ているからぜひ三人にも見てほしくてな」

凛「フラワースタンド…うん、見たい」

卯月「ふふ、みんなすごく考えてきてくれて嬉しいですよね」

未央「うんうん!じゃあ、ニュージェネレーションズ~しゅっぱーつ!」

卯月「わあ~きれいです~!」

凛「これは…アネモネがたくさん使われてる…。ふふ、嬉しいな」

未央「見て見て!このフラスタ!私たちの顔がお花でできてるよっ」

卯月「かわいい~!ふふ、未央ちゃんと凛ちゃんいい匂いするよ」

凛「ちょ、ちょっと卯月その言い方何か恥ずかしいよ」

卯月「え?そうかな?」

P「はは…ん?あっ、卯月こっちこっち」

卯月「…?あっ!」

未央「なになに?どうしたの?」

卯月「えへへ…」ニコニコ

P「卯月のいた養成所の先生がお花を出してくれたんだ。それと…元養成所のメンバーの子達もかな?」

凛「そうなんだ。良かったね、卯月」

卯月「はいっ!今日のライブ見に来てくれるらしいんです」

未央「おおー、じゃあいいとこ見せなきゃだねっ」

卯月「えへへ、そうですね!あと未央ちゃんと凛ちゃんを自慢しちゃいます♪」

凛「ふふ、卯月が安心して自慢できるように精一杯頑張るよ」

未央「未央ちゃんもがんばっちゃうぞー!」

P「元気はもらえたか?」

凛「うん。ファンのみんなの期待も伝わってきた」

未央「そうだね。うぅ~!楽しみー!!」

P「よっしゃ、準備を始めようか!」

三人「はいっ!」

未央「プロデューサー!一言お願いっ!」

P「よし。初めての単独ライブだけど…ニュージェネがアイドル界一のユニットだと俺は思ってる。だから自信を持って、全力で楽しんで来い!」

卯月「はい!頑張ります!」

凛「うん!楽しんでくるよ」

未央「へへっ、よーし。いくよ?せーのっ」

三人「生・ハム・メローン!!!」

未央『みんなー!お待たせー!!私たちー』

三人『ニュージェネレーションズです!!!』

ワアアアアアアアアアア

ライブ翌日・島村家

卯月「うーん…」

卯月母「どうしたの卯月?」

卯月「今日お休みなんだけど、事務所に行こうか悩んでて…」

卯月母「ふふ、プロデューサーさんに会いに行くの?」

卯月「うぇぇ!?ち、違うよ~!え、あ、会いたくないわけじゃなくてその…そ、それに今日プロデューサーさんお休みだし!」

卯月母「誰に言い訳してるのよ、ふふふ」

卯月「もう…ママのバカ」

ピロン

卯月(あれ?養成所の…えっ…)

卯月「…」

卯月母「…?どうしたの?」

卯月「な、なんでもない、なんでも…ちょっと出かけてくる!」

卯月母「え?あら…どうしたのかしら」

数日後・事務所

P「おはようございます!」

ちひろ「おはようございます♪リフレッシュできましたか?」

P「はい、おかげさまで!…ちひろさん、ありがとうございました。色々仕事を引き受けてくださって…」

ちひろ「いいんですよ。プロデューサーさんが過労で倒れたりしたらアイドルたちも私も悲しいですから」

P「ちひろさん…よーし、また頑張りますよー!」

ちひろ「ふふ、期待してますよ♪」

P「ははっ。凛と未央は雑誌の撮影の仕事で、えーっと卯月は…」

ちひろ「ホワイトボードのマグネットだと卯月ちゃんレッスンルームにいることになってますけど…」

P「え?もうですか?早いな…じゃあ顔出してきますね」

ガチャッ

P「卯月いるかー?」

卯月「あ…プロデューサーさん…」

P「おう、おはよう。どうしたんだ?こんなに早く…」

卯月「おはようございます、プロデューサーさん、あの!」

P「ん?どうした?」

卯月「お願いが…お願いがあるんですっ」

P「…お願い?」

卯月「はい…私、恩返しがしたいんです」

P「恩返し?一体誰に?」

卯月「それは…養成所の先生に、です」

数日前・島村家

ピロン

卯月(あれ?養成所の…ともよちゃんからだ)

ともよ『卯月聞いた?私たちが通ってた養成所、なくなっちゃうらしいよ』

卯月(え…?)

卯月母「…?どうしたの?」

卯月「な、なんでもない、なんでも…ちょっと出かけてくる!」

タッタッタッタッ

卯月「はぁはぁ…着いた」

卯月(先生…いるかな?)

ガチャッ

卯月「おじゃましまーす…」

卯月(…色々なくなってる…本当なんだ…)

先生「よいしょっと…あら?卯月ちゃん?」

卯月「あ…先生…」

先生「…ごめんなさいね、バタバタしてて」

卯月「先生…養成所なくなっちゃうって本当ですか?」

先生「…うん、本当。最近生徒もめっきり減っちゃって」

卯月「…なんで教えてくれなかったんですか?」

先生「卯月ちゃんはもうアイドルだもの。卯月ちゃんは優しいから、この事を知ったらお仕事に影響が出ちゃうと思ったの」

卯月「そんな…私は…」

先生「ライブ、素敵だったよ。卯月ちゃんすごく可愛かった。歌も踊りも養成所の時よりうまくなってた」

卯月「…」

先生「養成所が無くなっちゃうって決まってから落ち込んでいたんだけど、たくさん元気をもらえたわ。ありがとう、卯月ちゃん」

卯月「…でも先生、今は悲しそうです」

先生「…」

卯月「私が…有名になったら、たくさん生徒が入りますよね?」

先生「え?」

卯月「そうすれば、養成所なくなりませんよね?」

先生「何言ってるの…?」

卯月「私、プロデューサーさんに頼んできます!だから…」

先生「卯月ちゃん!」

卯月「!」ビクッ

先生「先生…ううん、私はそんな理由で卯月ちゃんにアイドルしてほしくない…」

卯月「…!そんな理由って…ひどいです!!この養成所は、先生は…私の…!!…もう帰ります!」ダッ

ガチャッ

バタンッ

先生「卯月ちゃん…!あ…」

シーン

先生「…ごめんね、卯月ちゃん」

P「そっか…あの養成所が…」

卯月「私、先生とちゃんと話す前に逃げちゃいました。自分勝手なこと言っちゃって…」

卯月「養成所が無くなっちゃうことはもう変えられないのはわかってます…でも、もう一度先生の笑顔が見たいんです!私が先生を笑顔にさせてあげたいんです!」

卯月「つまりその…先生にもう一度ライブを見に来てほしいです。養成所が無くなっちゃう前に…」

P「ライブ会場はどこがいいんだ?」

卯月「え?」

P「卯月はどこで先生に歌を聞いてほしいんだ?」ニコッ

卯月「プロデューサーさん…!は、はいっ!私の歌いたい場所は…」

某日・とあるライブ会場

先生(『島村卯月スペシャルライブ』…。プロデューサーさんからチケットが送られてきたときは何のことかと思ったけど…。卯月ちゃんにまた会えるだけで嬉しい。ちゃんと謝らないと)

先生「…ふふ、ここで卯月ちゃんが歌うのね」

ガチャッ

先生「失礼しま…」

未央「ようこそー!島村卯月スペシャルライブへ!」

先生「わっ!…本田未央ちゃん?」

未央「えへへー、今日はしがないMCです」

凛「どうぞ、こちらへ」

先生「渋谷凛ちゃんまで…。…二人とも、ありがとう」

凛「私たち、卯月の仲間で友達だから…当然のことです」ニコッ

先生「そう…ふふ」

未央「はーい!それではお待ちかね!しまむー…じゃなかった、島村卯月スペシャルライブin思い出の養成所!スタートですっ」

ガチャッ

卯月「せんせーい!」

先生「卯月ちゃん…ステージ衣装、かわいいよ」

卯月「えへへ…私、ここで先生と一緒に頑張れたから、素敵な笑顔だ、ってプロデューサーさんに見つけてもらえました。ありがとうございます!」

卯月「養成所が無くなっちゃうの、すごく寂しいです。私がもっと早くアイドルになれてたら…って思っちゃったりもします。でも!」

卯月「クヨクヨにはサヨナラです!先生に自慢してもらえるようなアイドルになります!ファンのみんなを笑顔にする…そんな私を見ていてください…!」

先生「うん…見てるよ。卯月ちゃんがステージに立つ限り、私はずっと見てるからね」

卯月「えへへ…約束です♪…いつもは、ファンのみんなのために歌います。でも今日だけ…今日だけは、先生のために歌います」

卯月「聞いてくださいっ!『S(mile)ING!』」

パチパチパチパチ

卯月「はぁはぁ…」

先生「…ありがとう、卯月ちゃん」

卯月「…ありがとうを言うのは、私の方です…!」グスッ

先生「ふふ、笑って、卯月ちゃん。卯月ちゃんの笑顔はずーっと私の一番の笑顔なの」

卯月「先生…」

先生「最初はなかなかアイドルにさせてあげられなくて申し訳ないって思ってた。でも笑顔で楽しそうにレッスンする卯月ちゃんを見てたらね。そんな後ろ向きな気持ちでこの子と向き合っちゃダメだ、一緒に前を向いて頑張ろうって思えるようになったの」

先生「卯月ちゃんの笑顔は私を変えたんだよ…!きっとファンのみんなも卯月ちゃんの笑顔に変えられたんだと思う。そしてこれからまだまだたくさんの人が卯月ちゃんの笑顔に出会えるって思ったら嬉しくてたまらないの」

卯月「ずるいです、先生…そんなこと、言われたら…ぐすっ…で、でも涙はいらない…笑顔で、ですよねっ」ニコッ

先生「そうね。ふふっ…ねえ、アンコールしてもいい?」

卯月「ふぇっ?は、はい!なんでも歌います!」

先生「そう?じゃあ…ニュージェネレーションズの歌を聞かせてくれる?」

凛・未央「えっ?」

先生「だって三人で歌ってる時の卯月ちゃん。私でも見たことない笑顔をするんだもの。ちょっとヤキモチ妬いちゃうくらい」

先生「で…お願いできる?」

未央「ふっふっふ、ニュージェネレーションズのパワーをしまむーの先生に見せちゃいますか!」

凛「うん、卯月に負けないくらいのアイドルだってこと見せたいな」

卯月「先生の一番は譲りません♪」

先生「ふふっ、ありがとう」

未央「じゃあ行くよ!レッスンはたくさんしたからもう体が覚えてるよね!」

卯月「はい!」凛「うん」

未央「音源はー…大丈夫みたい!さっすがー!じゃあしまむー、お願い☆」

卯月「はい!では改めて…先生、私がアイドルになってからできた新しいキズナ…凛ちゃんと未央ちゃんです!大好きな二人と一緒に歌います!聞いてください、『流れ星キセキ』!」

ライブ後・養成所

P「よし、片付けはこんなもんか…」

先生「プロデューサーさん」

P「先生…今日はいかがでしたか?」

先生「素晴らしいライブでした、ありがとうございます」

P「はは、そうですか!プロデューサー冥利に尽きます」

先生「プロデューサーさん、卯月ちゃんはもう立派なアイドルですね」

P「ええ。自慢のアイドルです」

先生「ふふ、私にとっても自慢の教え子ですよ」

P「あはは、そうですね!あの…先生、ひとつ聞いてもいいですか?」

先生「ええ」

P「卯月は、あなたにとってどんなアイドルですか?」

先生「卯月ちゃんがですか?うーん…」

卯月「あ、いた!せんせーい!プロデューサーさーん!写真撮りましょうー!」

先生「はーい!…ふふ、プロデューサーさん。卯月ちゃんはですね…」

先生「今はもう…私の憧れのアイドルです」

以上になります。
NOMAKEを久々に聞いていたら書きたくなりました。
卯月と養成所の話はどうしても涙腺が緩みます。

読んでくださって本当にありがとうございました。

乙、いい話だった

いいですね乙です

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