道明寺歌鈴「弱気な心に我が儘を」 (17)
道明寺歌鈴ちゃんのSSです。
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きっかけは小さな我が儘でした。
一人で寝るのが無性に怖かったから。
一度だけでいいからと、小さな我が儘をプロデューサーさんにしました。
添い寝をしてほしい、と我が儘を言いました。
最初は私の我が儘に戸惑っていたプロデューサーさんも何度も頼む私に根負けしたのか了承してくれました。
プロデューサーさんの温もりは心地よくて、彼の鼓動はまるで子守唄のようでとてもほっとしたのです。
そして、そんな暖かさを味わった私が一度だけで我慢できるはずがなく、それからプロデューサーさんの添い寝はずるずると日課になっていました。
○
今日も何故か怖くて。貴方がいるのにとても広く感じて。貴方がすぐそこにいるのにとても寒くて。
私の目の前にはプロデューサーさんの背中。どうか、どうか私を見て。いつもみたいに、「歌鈴」と名前を呼んでほしい。わしゃわしゃと頭を撫でてほしい。
プロデューサーさん、と小さく名前を呼んで背中にしがみつきます。
ただ、それだけなのに、さっきまで感じていた不安は和らいで、広いと感じていたはずなのに、それは気にならなくなって、ほんのりと感じる温かさが嬉しかった。
呼びかけても反応はないけれど、それでも私には悲しみは強くありませんでした。
貴方に名前を呼ばれるだけでドキドキして、褒められるたびにとっても嬉しくて。頭を撫でられればどうしようもないくらい嬉しい。
抱きしめられたら泣けちゃうくらい幸せを感じます。
「プロデューサーさん……」
「歌鈴……?」
やっと私を見てくれたプロデューサーさんの胸元に顔を埋めます。
プロデューサーさんの鼓動がはっきり聞こえます。プロデューサーさんの息遣いに貴方を感じられる。プロデューサーさんの温もりに包まれます。
戸惑ったように私を撫でる貴方。なにも言わずに受け入れてくれるその優しさに私は甘えている。
弱気で、ドジばかりしてしまう道明寺歌鈴が頑張れるのは貴方のおかげ。
強く抱きしめられる。私のどきどきが貴方に聞こえてしまう。
私を安心させるかのように微笑みながら、優しく、暖かく、こんな弱い私を受け入れてくれる貴方。
私の心の弱さなんて見透かされていました。孤独に怯え、失敗に怯えていた私の心を恋心で染められてしまいました。
「歌鈴は甘えん坊だな」と呆れているようであり、楽しんでいるように言われます。
甘えん坊にしたのは誰ですか、と抗議の意味を込めてぎゅーっと抱きしめます。
見えていないけれどプロデューサーさんが苦笑いしているのがわかります。
「歌鈴……? そろそろ……」
「……やです」
「や、ってな、お前……」
「……嫌なものは嫌なんです」
絶対に離れません、とぼそっと小声で付け加えて。
離れたらどこか遠くへ行ってしまいそうだったから。プロデューサーさんが目指すのはトップへ、私だってもちろんそれを目指していないわけではありません。でも、ただ私は……
プロデューサーさん、と呼びかけます。
私を心配する声。
それに応えるように抱きしめる腕に力を込めました。
ぎゅっと抱きしめられます。
プロデューサーさんを抱きしめ、プロデューサーさんに抱きしめられて。
朝なんか来なければいいのに、なんて。
朝が来て、離れなくちゃいけないならずっと夜でもいいのに、なんて思ってしまいます。
離れたくない。
我が儘でも、弱くてもいい。
ずっとずっと、こうしていたい。
「歌鈴」と呼びかけられます。
なんですか? と顔をあげてプロデューサーさんの顔を見ました。
ちゅっ、と唇に柔らかい感触。余りに突然な行動にぽかんとしていると、わしゃわしゃと頭を撫でられます。
幸せな温かみに包まれ、私の意識はゆっくりと、微睡みの底へと沈んでいきました。
以上です。
読んでくださりありがとうございました。
道明寺歌鈴「特別じゃない昼下がり、励ましにイタズラなキスを」
道明寺歌鈴「特別じゃない昼下がり、励ましにイタズラなキスを」 - SSまとめ速報
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昨日歌鈴ちゃんのSSを書いたら私の元へ嫁入りに来てくれました、大好き
http://i.imgur.com/ovcLCfU.jpg
おつー
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