・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります
-----事務所-----
ガチャ
杏「ふぅ、やっと着いたよ……ふわぁ」
智絵里「お疲れさま、杏ちゃん」
かな子「おはようございまぁす」
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杏「んぐぅ……まだ眠い……。あと十八時間ぐらい寝たい……」
智絵里「な、長すぎだよ……」
かな子「それって、もう活動時間と睡眠時間が逆になっちゃってるよね……?」
杏「……夢の中でちゃんとお仕事しておくから、もうそれでよくない?」
かな子「よくないですっ!」
杏「えー……厳しいなぁ、かな子ちゃんは」
智絵里「……杏ちゃんの場合、夢の中でも怠けていそうな……」
かな子「あ、あり得るね……」
杏「……羊が一匹……羊が二匹……」ウツラウツラ
かな子「わわっ! ほら、もう! 言ってる側から寝ようとしないの!」
智絵里「逃がして! 羊さんを逃がしてくださいっ!」ユサユサ
杏「ぅあぁあ……の、脳が揺れる……!」
智絵里「あっ、ごめんなさい。つい……」
杏「しょうがないなぁ……ちょっと顔洗ってくるよ」トテトテ
かな子「いってらっしゃい~」
智絵里「……そういえば、どうして眠りたい時に数えるのが、羊さんなのかな?」
かな子「うーん……ふわふわで、枕みたいだから、とか?」
杏「……」トテトテ
智絵里「あれ、どうしたの?」
杏「……うさぎ忘れた」ヒョイ トテトテ
かな子「……顔を洗うのに、どうしてうさぎが必要なんだろう……?」
智絵里「さ、さぁ……?」
智絵里「……まさか、タオル代わりに……なんて……?」
かな子「えぇ……? そんなかわいそうなこと、するかなぁ?」
智絵里「だ、だよね……。いつも、大事にしてるし」
かな子「枕にしたり、カエダーマ大作戦に使ったり……」
かな子「……あれ? 大事にしてる……よね?」
智絵里「えっと、肌身離さず持ち歩いてるって意味では、すごく大事にして……る、と思う……?」
杏「ふぃー。ただいまー」サッパリ
かな子・智絵里「……」ジー
杏「んー、ちょっぴり目は覚めたかなー」
杏「……って、二人とも何さ? その何か言いたげな眼差しは」
智絵里「い、いえ! 何でもないですよっ」ブンブン
かな子「あっ、そうだ! 二人とも、ケーキ食べよう、ケーキ!」
杏「おー! 食べる食べるー!」
智絵里「今日は、どんなケーキを作ってきたの?」
かな子「ふふ。今日は私が作ったんじゃなくてね」
かな子「昨日、かわいいケーキを売ってるお店を見付けたんだっ。じゃーん!」
智絵里「うわぁ……! かわいい、猫さんのケーキだ」
杏「おぉぉ……! なにこれ、すごくない?」
かな子「でしょでしょ!」
杏「ドーム状のムースケーキに、チョコで顔とか耳とかデコってる感じ? ……なんという職人技」
智絵里「私、写真撮っておこうっと」スマホパシャ
かな子「あっ、私も!」
杏「これはみくちゃんに送りつけるしかないね」パシャパシャ
かな子「あははっ。ちゃんとみくちゃん達のぶんもあるけどね」
智絵里「……なんだか、かわいすぎて食べるのがかわいそうになってきちゃった……」
杏「でも、こいつらもケーキである以上、フォークでぐさぁーっ! される運命なんだよ……」モグモグ
かな子「み、身も蓋もないね……」
杏「うん、マジおいしい」
智絵里「うぅ……猫さん、ごめんなさい……ごめんなさい……」プルプル
杏「……智絵里ちゃん、フォーク構えたまま震えるのやめよう?」
かな子「な、なんだかごめんね、智絵里ちゃん……」
智絵里「い、いえ。私こそ、せっかくかな子ちゃんが買ってきてくれたのに、こんな……」
杏「ほら、智絵里ちゃん。目ぇ閉じて」
智絵里「えっ……?」
杏「見なきゃ食べられるっしょ。ほら、あーん」
智絵里「むぐっ……あ、おいしい……」
かな子「よかったぁ」ホッ
かな子「智絵里ちゃん、ほんとに動物好きなんだね」
智絵里「う、うん……。だから、動物特集のテレビ番組とかも、よく見るんだけど」
智絵里「動物が赤ちゃんを産むシーンとか、そういうのが流れると、すぐに感動して泣いちゃって……」
杏「あぁ、よくあるね。お涙頂戴のドキュメンタリー的なやつ」
かな子「感受性が強いんだね、智絵里ちゃんは」
智絵里「そう……なのかな? ただ泣き虫なだけだって、自分では思ってるんだけど……」モジモジ
杏「……杏、最後に感動で涙を流したのって、いつだろう……?」トオイメ
智絵里「でも、杏ちゃんの涙は結構よく見るよね」
かな子「あっ、うん。確かに」
杏「え、嘘? 杏、ここ最近泣いた記憶なんて無いよ」
智絵里・かな子「あくびで」
杏「……あー……なるほどね……」
杏「ってか、かな子ちゃん。残りのケーキ冷蔵庫入れとかなくていいの?」
かな子「あ、そうだった! みんなの分、仕舞っておかないと」パタパタ
杏「貼り紙貼っとく? 『猫が入ってます』って」
智絵里「そ、それ、みんなびっくりしちゃうよ……?」
杏「『冷やし猫、始めました』的な」
かな子「そんな、冷やし中華じゃないんだから」
杏「でもさ、真夏の馬鹿みたいに暑い日とか、小さくなって冷蔵庫に入れたらなー、なんて思ったこと無い?」
智絵里「……うぅ、ちょっと分かる……」
かな子「でも杏ちゃん、北海道に住んでたんでしょ? やっぱり、夏は普通に暑いのかな?」
杏「そりゃあ、単純に比較すればこっちの夏の方が断然暑いけどさ」
杏「普段よりも気温が上がるっていうこと自体は、東京だろうが北海道だろうが変わらないんだから、当然夏は暑いよ」
智絵里「そっか、そうだよね」
杏「ま、ひとつ確かなことを挙げるとするなら……」
かな子「するなら?」
杏「夏は冷房ガンガンにしてだらだらするのが一番だってこと」グデー
かな子「あはは、やっぱり」
智絵里「じゃあ、冬は?」
杏「当然、コタツでだらだらが一番、だよねー」
智絵里「だよね」クス
杏「だらけるのに季節や環境は関係無いんだよ。必要なのはただ一つ。だらけたいっていう強い意志なのだ!」ドヤァ
かな子・智絵里「おぉー……!」パチパチパチ
智絵里「な、なんだか、えも言われぬ説得力を感じます……!」
かな子「杏ちゃんのプロ意識だね……!」
杏「……いや、自分で言っといてなんだけど、ここプロ意識とか感じるトコじゃないから」
杏「むしろ『なんでやねん!』のトコだから」
智絵里「あっ! えと、んっ、なんでやねん!」ビシ
杏「遅いよ」
かな子「あんまり杏ちゃんが自信満々に言うから、つい勢いに飲まれちゃったよ~」エヘヘ
智絵里「うぅ……やっぱり、ツッコミって難しいな」
智絵里「……また家で素振りの練習しなきゃ……」
杏「え、待って。智絵里ちゃん、そんなのやってるの?」
智絵里「この前、友紀さんが『素振りは基本だよ』って、教えてくれたから……」
杏「いや、野球とツッコミは一緒にしちゃだめでしょ」
かな子「偉いね、智絵里ちゃん……! 私も、負けないように頑張らなきゃっ」グッ
杏「かな子ちゃんまで……あぁ、努力の方向音痴が加速していく……!」
杏「ほら、これからダンスレッスンでしょ? 素振りよりも、まずはそっちだよ」
智絵里「そ、そうだね」
かな子「杏ちゃん、やる気いっぱいだね! 目が覚めたからかな?」
杏「いや、寝ててもいいなら寝てるけどさ」
杏「……こうでも言わないと、杏まで謎のツッコミ特訓に付き合わされそうだし……」ボソ
智絵里「……杏ちゃん?」
杏「なんでもないよ。さぁ、バシっと一発で振り付けキメて、ちゃっちゃと終わらせて帰ろっ」
智絵里「は、はいっ! 私も精一杯、頑張るね」
かな子「じゃあ、レッスンが終わったら、みんなでご飯食べに行こうよ」
智絵里「あっ! そ、それなら、最近お洒落なオムライス屋さんを見つけたんだけど、どうかな?」
杏「お、いいじゃん」
杏「折角だからさ、プロデューサーにおごってもらおうよ。レッスン頑張ったご褒美ってことでさ」
かな子「えぇっ!? か、勝手に決めちゃっていいのかな……?」
杏「大丈夫だって。どーせプロデューサーのことだからずっと仕事ばっかしてるんだろうし、息抜きだーとか言って連れ出しちゃえ」
智絵里「うん……確かに、根を詰め過ぎるのは、良くないよね」
杏「そうそう。それにほら、説得はかな子ちゃんが得意でしょ? あの魔法のキーワードでさ」
かな子「説得? 魔法って……あっ」
智絵里「ふふ。あれ、ですねっ」
ガチャ
卯月「おはようございますっ!」
三人『美味しいから、大丈夫だよ!』
卯月「ふぇっ!? び、びっくりしたぁ……一体何が……?」
杏「あ、卯月ちゃん。冷蔵庫に猫、入ってるよ~」
卯月「猫ぉ!? ねねね猫がですかっ!?」
おわり
乙
いいなぁこの感じ癒される…
以上、お付き合いありがとうございました。
なんとなーく、ゲスト回と3人だけの回を交互にやろうかなーとか考えてやってます。
当然島村さんはレギュラー扱いなので別枠です。
前作
中野有香「黙想」
毒薬シリーズ
キャンディアイランドの一貫して毒にも薬にもならないおしゃべり
も、よろしければどうぞ。
かわいい(かわいい)
最後の島村さん可愛すぎワロタ
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