男「僕は妹や幼馴染と仲が悪い」 (65)


「………………」


「なんだよ、相変わらずつまらなさそうな顔して」


「うるさいな」


「また家で何かあったのか?」


「……悪いか」


「いや別に悪かないけど。何があったん?」


「良いか? 女というのは男なんて虫か何か程度にしか思っていない」


「いつも言ってるな」


「今朝のことだ」



「お、今日もアイドルちゃんは可愛いなぁ」


「あら浮気ですか」


「うちの母ちゃんはもっと可愛い」イチャイチャ


「あなたったら」イチャイチャ


「ごちそうさま」


「おう、男。お前は彼女の一人二人できたかぁ?」


「いきなりなんの話?」


「いやこのアイドルちゃん、お前と同じ歳らしいじゃないか。さぞモテるだろうなぁ、と思ったときにお前はどうか、と思い至った訳だ。で?」


「いないから。恋愛とかくだらないし」


「そりゃいかんな。俺が学生の頃なんかなぁ」


「ずっとぼっちで私の後をくっついて来てたわよね」


「………………」ズーン


「とにかくだ! 恋愛は人を強くする! くだらないなんて言うもんじゃ無いぞ!」


「はいはい……。(アイドルか……くだらんな)」チラ


「今アイドルちゃんチラ見した? マジキモ」


「は?」


「うざ。こっち見んな」

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「とこういうわけだ」


「アイドルちゃん可愛いからなぁ。お前でも見ちゃうのは仕方ないってやつよ」


「父親が可愛いと言うからどれ程のものかと見てやっただけだ。興味ない」


「とかいって本当は嫌らしい目で見てたんでしょ。キモ」


「話しかけるな」


「はぁ? あんたみたいなキモオタに誰が話しかけるかっての。一人言よ」


「これだからリアル女子はクソなんだ。少しは彼女らを見倣って純粋無垢になってみろ」


「あんな女子今時いるわけないでしょ。バーカ」


「こいつ……」


「まぁまぁ! ご両人ここは俺に免じて示談ということで!」


「ったく……」


「チッ」


「ほんっと仲悪いよな……」


「ふんっ」

放課後


「やっぱり現実なんてクソだクソ。美幸ちゃんとイチャつこう」カチ


「………………」カチカチカチ……


「………………」カチカチカチ……


「……ふ、美幸……僕はいなくなったりなんてしないさ……」

「おい!! 居眠り運転だー!! 逃げろー!」


「ふぁ!?」

驚いて顔をあげると、車が一台物凄い速度で走っていた
その先には女の子が一人いたが、速度を緩める気がまるでない


「なんだ、事故イベントか……美幸ちゃんならヘーキヘー……いやヤバい! ここは現実だから人死にが出る!!」ダダッ!!


「間に合え!!」


「間に合っ……っ!!」トンッ……ドサッ

バリンッ!!
キィィィィ!!!


「あぁぁぁぁ美幸ちゃぁぁぁん!!!」

投げ出された美幸(PSP)は車にぶつかり、無惨に転がっていた
と同時にブレーキの音

運転手
「うわぁ!! 大丈夫で」


「大丈夫じゃねぇよぉぉ!! 美幸が! 美幸が!」

運転手
「くそ、きゅ、救急車に」


「もう遅いんだよぉ!! 粉々だよぉぉ!!」

運転手
「なんてこった……俺の人生、終わりだ……」

「あのー……私、美幸じゃないですよ……? それに、特に怪我もしてないし……」

運転手
「へ?」


「美幸ー! 美幸ー!!」

これは期待

「あの……助けてもらってありがとうございました」


「助かってないけどな」

「その……美幸さん? に関しては、残念でしたね……」


「あともうちょっとでエンディングだったのに……」

「ごめんなさい、私のせいで」


「いや……それじゃあ俺はこれで……お金もらったからこれでPSP買い直して来る……」

「あ、待ってください! あの、お礼を」


「いらないから。別にリアル女子の好感度上げたい訳じゃないし。まったく、なんのイベントだよこれ……」ブツブツ

「あ、あの……私、実は……」スッ、パサッ


「…………え、なに?」

アイドル
「私、アイドルといいます」


「うん、え? だからなに? 忙しいっていってるだろ?」

アイドル
「え……あの、私のこと知らない、んですか?」


「知ってるけど。今はそれより美幸ちゃんだよ! 早く買ってクリアするんだ!」

アイドル
「ええぇ……一応これでも人気アイドルのつもりだったのになぁ……」ズーン


「お前も早く帰れ! こんなところにアイドルがいたら、面倒に巻き込まれる!」ダダダッ

アイドル
「…………行っちゃった……。あれ? 鞄……」

なんかこのスレ主の文体見たことある

名前の隣にセリフ書いてくれ
毎回思うけど読みづらい

別にそんな読みにくくないけど

このままでいいよ


「あぁ美幸……こんなに好感度を下げちゃって……」


「なんてことだ……だが待っていてくれ、すぐに君は僕のよく知る君になるさ……」


「あーもう!! うっさい!!」ガチャ!


「なんだ! 自分の部屋でくらい好きにさせてくれ!」


「うるさいもんはうるさいの! ゲームやるにしても黙ってやってよイライラするなぁ!!」


「嘘をつけ! 僕は静かに遊んでいたぞ!」


「声も出すな!」


「こいつ……! なんだ、僕に出ていけとでも言うつもりか!」


「はー!? 好きなところに行って好きなだけ遊んでなさいよ! 画面の中の女の子と!」


「なんだとこの! 分かった、出てってやろう! こんなところにいてられるか!」


「は? 出てくって、こ、子供じゃん!」


「うるさい! こんなところにいたら頭がおかしくなる!」


「ど、どうするつもりよ!」


「こういうとき大抵は新しいヒロインが出てきてイベントが進むんでぃ!」ダダダッ


「あ、お兄ちゃん!!」


「はー妹との喧嘩イベントとかお呼びじゃないんだよなぁ……。ほんと現実はクソゲーだ」


「さて、次のイベントなんてゲームじゃありがちなんだが……このままだと家に帰るハメになる。そんな小学生男子みたいな真似はごめんだ。なので何がなんでもフラグを立ててやる」


「………………」ドサッ

一時間後


「(嘘だろおい一時間が経過しても声もかけられないとか世間の雨は冷たい)」


「(まだ夕方だぞ。ゲームの主人公たちもこんな惨めな気分を味わっていたのか?)」

「あの」


「(来た! いや反応するな、落ち着け)」

「大丈夫ですか?」


「(極めて自然に、目を開けろ)」


「う…………」

アイドル
「……あ、大丈夫ですか?」


「……あー……そういうイベントだったかぁアレ。なるほど、意味のないイベントなんて無いってことか」

アイドル
「イベ……?」


「なんでもない。助けてくれ」

アイドル
「う、うん。そのつもりで、声かけたんだけど……」


「肉まんがこんなに美味しいものだなんて思わなかった……」

アイドル
「アハハ……私も久しぶりに食べました」


「で、だ。お前アイドルだろ。何でこんなところを歩いてるんだよ、一人で」

アイドル
「え? あ、そうでした。男さんの鞄を届けに来たんです、ちょうど良かった」


「僕もちょうど良かった。この中には財布が入っていたからな」

アイドル
「あの、それでなんで倒れてたんですか?」


「色々あったんだよ。とにかく助かったのは事実だから感謝する」

アイドル
「いえいえ、こちらは命を助けてもらってますから」


「ついでに助けてもらいたいことがあるんだが。お前の家に僕を住まわせてくれ」

アイドル
「……え?」


「頼む。武士の情けだ、命を助けられた借りにくらべれば安いもんだろ」

アイドル
「ちゃっかりしてるね……」

アイドルの家

アイドル
「連れてきちゃったけど……大丈夫かなぁ……」


「普通なら不味いだろうな。どう考えても厄介ごとになるフラグだ」カチカチカチ

アイドル
「だよねー……私、これでも人気アイドルだよ?」


「俺は今朝知ったばかりだけどな」カチカチカチ

アイドル
「おかしいなぁ……どうしてこうなったんだろうなぁ」


「ついでに言うなら真の人気アイドルなら一人で出歩いたりしない、できない、ゲームならいざ知れず」カチカチカチ

アイドル
「それはその……」


「アイドル生活に疲れたか? ありがちだな。刺激が欲しかったとか? やめとけ、ここは現実だ。鬼畜凌辱系なんて早々あり得ん」カチカチカチ

アイドル
「あのね、私のことなんだと思ってるの……それよりも、さっきから何をしてるのかな」


「美幸ちゃん√終わったから琴子√入ってる所。昔のゲームだからと馬鹿にしてた、確かな良ゲー……あクソ、また爆弾ついた、どうせ光だろクソゲーめ」カチカチカチ

アイドル
「どっちなのさ……。それより、いつまでいる気なのかな?」


「満足するまで」カチカチカチ

アイドル
「もー……私、スキャンダル怖いんだけどなぁ……」


「大丈夫だ、ここから一歩たりとも出ない。家事はやっておく」カチカチカチ

アイドル
「え、本当? わー、それは助かるなぁ」


「それで何であそこにいたんだ?」カチカチカチ

アイドル
「そこに話戻るんだ……。ちょっと散歩のついでに買い物してただけだよ」


「なるほど……イベントの裏側は意外と他愛もないことなのかもしれないな」カチカチカチ

アイドル
「うーん、ゲーム脳って奴なんだね……」


「ま、何でもいいさ。ソファ借りるぞ」カチカチカチ


「おはよう」

アイドル
「ぅえ……あ、そっか、昨日拾ってきたんだった……」


「朝食を作ったから食べてから仕事にでもなんでもいけ。僕は今から出かけてくる」

アイドル
「え、どこ行くの? って今何時? ……まだ五時……」


「いきなり前言撤回することになって悪いが、ゲームを取りに行く。充電器も無いからゲームもできん。こんな当たり前のことに気付かなかった」

アイドル
「あっちょ……ここ暗証番号式だし、指紋も必要なんだけど!」


「0823。指紋は昨日取っておいた。コナンの映画で得た知識だ、アニメを馬鹿にするものじゃあない」スタスタ

アイドル
「何者なの君は……馬鹿にもしてないし……」




「さて、この時間なら妹はまだ寝てる筈だ。さっさと回収して帰るか」

ガチャ
タンタンタンタン


「おかえり」


「あぁ」


「どこ行ってたの」


「関係ないだろ」


「はぁ? 関係ないわけないじゃん。馬鹿じゃないの一晩中連絡もしないで」


「静かな夜を過ごせて良かったじゃないか」


「ッッ!! 馬鹿!! 心配したんだよパパもママも! 私も……とにかく! こういうのやめなよ!」


「じゃあ父さんに言っとけ、しばらく帰らないって」


「は、はぁ!? なに言ってんの!?」


「ゲーム機を取りに来ただけだ。学校には通う。じゃあな」


「まっ、待ってよ! な、なんで?」


「お前が言ったんだろ……なに言ってるんだ」

フォカヌポウwwwwwwwwwwww

なんか桂馬にかなり似てる


「や、だって……どこさ!? だれ、友? まさか……幼!?」


「諸事情で言えない。じゃあな」


「待て、って!」ドンッ!!


「って! 何をするんだ!」


「……やだ」


「なにが」


「行っちゃやー! ダメ! ダメだもん!」


「幼児退行イベントだと!? 無駄に難易度の高いことをするんじゃない! 離せ!」


「お兄ちゃんいなくなっちゃうのはやだもん!! やだやだー!」


「なんだこいつ……!」グググ


「やだもん……」グ……


「力が弱まった……って寝てる?」


「……お兄ちゃん……」スースー


「…………これだからリアル妹は……。ここは何がなんでも粘って僕に「分かった! 出ていかないから離せ!」って言わせる所だろうが」


「……だがこういう奴は甘さを見せるとまたすぐに「お兄ちゃんうざ」ってなるから僕はこのまま出ていく。悪いな妹」

ガチャガチャ……


「中々重いな……新しいゲームは向こうで調達するか」

もうちょい主人公の性格どうにかならんのか?


「ただいま」

………………


「出かけたか。今日は休みだから一日ゆっくりと……」


「…………最高だな! 静かに一日ゲームができる! 早速ゲームを探しに行こう!」


………………


「………………」カチカチカチ

ガチャ

アイドル
「ただいまー」


「………………」カチカチカチ

アイドル
「ゲームやってる……。ただいま?」


「あぁ」カチカチカチ

アイドル
「もしかして、一日中やってたの?」


「あぁ」カチカチカチ

アイドル
「もー、体に悪いよ」


「あぁ」カチカチカチ

アイドル
「ほら、やめなさい」


「あ……あ? 戻ったのか?」

アイドル
「上の空だし……」


「ちょっと待て、今終わるから。セーブしてっと……」

アイドル
「……あ、朝御飯ありがとうね。美味しかったよ、凄いね料理できて」


「こんなもの常識中の常識だ。待ってろ、ご飯作る」

アイドル
「あ、うん」


「…………ってそうだ、忘れてた。食材なんにもないんだった。本当に女の一人暮らしか……典型的なアイドルキャラだなお前……」

アイドル
「アイドルキャラって……朝御飯は抜いてたし夜ご飯は適当にしてたから」


「買ってくるから待ってろ」

アイドル
「あ、うん……はいお金」


「お金か……どうしたものかな。こういうとき降って沸いたお金があるもんだが、リアルは本当クソゲーだからな」

アイドル
「働いて稼ぐしかないんじゃないかな」


「バイトか……ゲームの時間は削れるが仕方ない」

アイドル
「……あ、そうだ。もしかしたら……」


「新イベントか。金を何とかする新イベントだな、早く教えてくれ」

アイドル
「あ、うん。えっとね、うちの事務所がアルバイトを募集してて……」


「事務所がアルバイト? ってなんだ、その都合のいいエロゲー展開」

アイドル
「雑用その他……色々やってもらうんだけど、前にいた人がその……引き抜かれたとかで辞めちゃって……」


「雑用を引き抜くって何事だ。雑用界のレジェンドか何かか」

アイドル
「長い人だったしあながち間違えじゃないかも……?」


「なら早速明日行こうか」

アイドル
「早いね……あ、スマホ鳴ってるよ?」


「気にするな。どうせ妹だ」

アイドル
「そういえば家出してたんだったね……」

今日はここまで
主人公は今から性格変えるの面倒なのでこのまま行きますよ

おもしろかった
続きまってます!

この性格も良いと思う

控え目に言ってキモいわな

キモいからいいんじゃないか

えぇぞ、面白い、続き待っとる

続きあく

ハヨ

ハヨ

>>26-29
sageろks

男:桂木 桂馬
アイドル:中川かのん

>>31
桂馬さん馬鹿にすんなよ

まあ桂馬に似てるわな
期待

まあ長期間disられてりゃ嫌いになるのも当然だな。てかどっかで見たことあると思えば桂馬か

明日か明後日に続き書く
待たせてごめんの

おお、待ってたぜ期待

支援


「(結局芸能事務所の雑用係として働くことになった)」


「はいコーヒー♪ 疲れた身体に効くおまじない、しておきましたよ♪」

アイドルB
「ありがとう!」

アイドルC
「おまじないって?」


「今日も一日頑張れー♪ って気持ち、いっぱい入れておきました♪」

アイドルC
「ふふ、馬鹿ねぇ……でもありがとう」


「どういたしまして♪」

アイドル
「わー……見事な猫被り」ヒソヒソ


「この程度チョロい。なんせ僕は某接客シミュレーションゲームで、主人公と苦楽を共にしながら傾いていた店を立ち直らせてハーレム王になったんだからな」ヒソヒソ

アイドル
「ゲーム……」


「それじゃあ僕はお掃除に行ってきまーす♪」

アイドルB
「元気だよね、男くん。今日からなのにもうこの事務所に馴染んでるし、嫌な顔ひとつしないで一生懸命で……凄いなぁ」

アイドルC
「彼ならアイドルとかも出来そうじゃない?」

アイドルB
「あ、なんか社長さんがそんな話してたみたいだよ? プロデューサーが言ってたんだけど、アイドルとしてどうか、って聞いたら「僕は雑用大好きなんで!」って」

アイドルC
「偉いのねぇ……」

アイドル
「アハハ……」


『は? アイドル?』

アイドル
『うん、君ならアイドルとしてもいけるんじゃない? 仏頂面だけど、可愛い系っていうのかな? 女の子が好きそうな顔してるし』


『興味ないしそんなもんになったら時間が極限まで削られるだろ。大体この顔も鏡を見て髪を掻き上げたらどんどんよくなっていっただけだ』

アイドル
『どんな身体の構造してるの……?』

アイドル
「(真実は闇の中に閉まっておこう)」

プロデューサー
「皆ー、そろそろ行くぞー」

アイドル達
「はーい!」


「わーピカピカ。流石我が知識のバイブル、エロゲーギャルゲー」

事務員
「なんということでしょう。古くくたびれた事務所がまるで入って一ヶ月くらいの綺麗な事務所に」


「お疲れ様です♪ 他になにかやりますか?」

事務員
「いやもう休んでください昼休憩取ってくださいお願いします」


「わーい♪ 休憩大好きでーす♪」


「(さて、休憩は恐らく一時間。この一時間が鍵だ。神経を集中させ、余すところなく遊べる限りを遊ぶ)」スチャ

カチカチカチカチカチカチカチ…………

………………

「ねーねー、何してるの?」


「………………ゲーム」カチカチカチ

「楽しい?」


「………………あぁ」カチカチカチ

「横で見てて良い?」


「………………あぁ」カチカチカチ

「…………早すぎて目が追い付かない……本当に楽しいの?」


「………………あぁ」カチカチカチ

「私はつまんないー! 遊んで遊んでー!」ガックンガックン


「………………あぁ」カチカチカチ

「むー! ほい!」パッ


「真理子!? ……って誰だ」

アイドルD
「私? 私はアイドルD! よろしくね!」


「アイドル……D……!? もも、もしかして、『パパなんて大っ好き!』のまゆ役の!?」

アイドルD
「そうだよー♪ って君こそ誰ー?」


「あ、僕は今日からここで雑用係になりました、男と言います! よろしくね♪」

アイドルD
「おー雑用係! なるほどなるほどー」


「僕まゆちゃん大好きなんです! 肝心なところでへたれる癖に決めるときはビシッ! と決めてまたへたれる……なのに最後に主人公とくっついちゃう間の悪さ!」


「当時は散々叩かれてましたよね! 漁夫の利だーとか計算高い女だーとか!」

アイドルD
「あの頃は大変だったねー。演じてただけの私にまで飛び火してて」


「でも演技、最高でした! 12話の」


「あの子のことは忘れなさい。夢か何かだったと思うことね。でもどうしても忘れられないなら……私が忘れさせてあげる。……なんてね! なんて! 本気にしちゃダメだから! 馬鹿!」


「このシーンですよね! お前はツンデレなのかクールなのかハッキリしろよこのヘタレ! って全俺が思ったことでしょう……そのあとの突然の主人公からのキス!」


「俺が本当に好きなのはまゆ先輩なんです! 勘違いしないでください! ……いやぁ、主人公の告白まで何から何まで名シーンでした……」

アイドルD
「わー本人前にしてこんなに熱く語るオタク初めてだー。しかも演技上手いね」


「わわっ、迷惑かけてごめんなさい♪」

アイドルD
「ぜーんぜんだよ! 君面白いね!」


「そんなそんな……ってもうこんな時間! 仕事に戻りますー♪」タタッ


「(やばいやばい、テンション上がって面倒なオタク全開になってしまった)」


「ただいまでーす♪」

事務員
「おかえりなさい! 早速で悪いけどこれ、ファンレターの仕分け! やってもらっていいかな!」


「お任せあれ♪」

ドンッ


「凄い数だな。改めて人気アイドル達なんだと痛感した」


「にしても今時ファンレターってのも古くないか? メールでいいだろメールで。検索すれば誰宛かなんて一発だし」


「言ってても仕方ないか。地道にやろう」

アイドル 16923
アイドルB9236
アイドルC12036
アイドルD33620


「終わったな。こうしてみるとあいつは人気アイドルなんだな。一番多いのはアイドルDか」

アイドルD
「所謂売れっ子って奴だからねー!」


「お疲れ様でーす♪」コロッ

アイドルD
「あ、良いって良いって。ずっと見てたから、普通でいいよ」


「バレたか、一日も持たなかったな……。事務所の中でくらい猫被っときゃよかった」

アイドルD
「でさ。あいつって誰?」


「なんの話だ?」

アイドルD
「今言ったじゃんー! 「こうしてみるとあいつは人気アイドルなんだな」って!」


「……アイドルだ。僕があった四人のなかで一番地味だったからな」

アイドルD
「あ、さてはテレビ見ない派?」


「見ない。そんなことしてる暇があればゲームをやる」

アイドルD
「たははー。最近増えてるよねーそーいう人。時代の流れー」


「仕事終わったから次の仕事貰ってくる」

アイドルD
「あーい、いてらー」

スタスタ……


「終わりましたー♪ 他に何かお仕事は」

事務員
「すいませんすいません! すぐに! すぐに伺わせますから!」

ガチャ

事務員
「はぁ……まったくもう……」


「何かありましたか?」

事務員
「え? あー……アイドルDちゃんって知ってる?」


「はい、知ってます」

事務員
「その子、うちの中で一番の人気アイドルで引っ張りだこなんだけど、気分屋で逃げ出し癖があってね……プロデューサーさんもいないし困ってるのよー! 今から探しても見つかるわけないし……」


「…………だってさ」

アイドルD
「ありゃりゃ、めんごめんごー。いやーあそこのディレクターめっちゃ嫌らしい目で見てくるし、隙あらば触ってこようとするしで最悪なんだよねー!」

事務員
「ってアイドルDちゃん!? なにしてたの!」

アイドルD
「ずっと事務所にいたよ?」

事務員
「もー! 今プロデューサー呼びますからちょっと待ってくださいね!」

アイドルD
「プロデューサーもやだなー。なーんか気味悪い視線向けてくるし脂っこいし」

事務員
「そんなこと言ったって仕方ないじゃないのー! もー!」

アイドルD
「そこで適役が一人いるのだよ。ねー男くーん♪」


「……えー、と。次の仕事はアイドルDさんを送り届けるでいいですかね?」

アイドルD
「そのあと私が終わるまで待ってるって感じよー」

事務員
「良いのかなぁ男くんにやらせて……」


「やれって言われればなんでもやりますよ!」

事務員
「うーん……でも今日入った子にいきなりやらせるのも……」

アイドルD
「じゃあこうしよう! 私が逃げ出したのを男くんが捕まえに行った、って感じで!」タッ!

事務員
「って本当に逃げるの!? お、男くん!」


「あはは、はい~」


「あー帰ってゲームやりたい」

アイドルD
「本音駄々漏れだねー」


「さすがに無理だからな、プロデューサーだのマネージャーだのの仕事は。いるだけならできるけど、現実はアイマスみたいに簡単じゃないんだ」カチカチッ

アイドルD
「選択肢選んだら仕事が成功するって楽なもんだよねー」

ディレクター
「おっアイドルDちゃん! よーやく来たか!」

アイドルD
「ごめんなさい寝てました」テヘッ

ディレクター
「いいよいいよ、仕事忙しいんだろ? さ、着替えて着替えて」

アイドルD
「はーい行ってきまーす♪」テテテ


「(電話口だとやたらキレてたみたいだったけどな)」

ディレクター
「君、新しいプロデューサーかなにか?」


「そのようなものです♪ 申し訳ありませんがまだ名刺などは出来ていないもので……」

ディレクター
「へぇ……ま、良いけどさ。もう帰っても良いよ? 終わったら僕が送ってくから」


「いえいえ、お手を煩わせるようなことはしません♪ きちんと待てとも言われていますので♪」

ディレクター
「………………あ、そ」


「(敵意を感じるのはなんでだろうな。人気アイドルってのも大変ってやつか)」


「このあとのイベントがどうなるかな」

……………………

ディレクター
「お疲れ様ー! 良かったよー!」

アイドルD
「ありがとうございますー♪」

ディレクター
「でさ、このあとよかったらご飯でもどう?」

アイドルD
「ごめんなさい、このあとはレッスンがあるのでー」


「では帰りましょう♪ お疲れ様でした♪」

ディレクター
「………………」


「流石はアイドル、かわし方も心得てるようで」

アイドルD
「にゃはは、まぁねー。可愛いって罪……ってやつかなー!」


「顔だけで色々と決まってしまう世の中だからな。羨ましい話だ」

アイドルD
「ねーねー」


「ん?」

アイドルD
「なーんか視線感じる」


「同意だ。しかも嫌なタイプの視線な」

アイドルD
「逃げる?」


「ハッキリ言っておくが、僕は争い事は基本無理だ。逃げ足と持久力は鍛えたけど喧嘩で勝ったことなんて一度たりともない」

アイドルD
「なら逃げよっか!」タッ!


「りょうか」

グイッ!


「ぐぇっ!」

ドサッ!


「……なにしてんの」


「げぇっ!? 幼!? お前こそなんでここに!」


「その女、誰。彼女?」


「(ここで問答をするのは、イベント的に悪いことしか起こらない! だがこいつから逃げ切ることは無理! なら、ここは幼も巻き込んで逃げる!)」


「幼! 今は頼むから黙って僕に着いてきてくれ!」グイッ!


「は、はぁ?」

アイドルD
「私からもお願いー! 今追われてるのー!」グイッ!


「ちょ、ちょっー!」

アイドルD
「ふぅ……ここまで来れば安心かな?」


「多分な……あーパパラッチ怖い……」ゼーゼー


「……あの……もしかして、アイドルDちゃん?」

アイドルD
「そうだよー!」


「男、説明」


「…………お前もう帰れ、イベントの邪魔だ」


「はぁん……なるほどね」ポキッポキ


「調子乗ってましたごめんなさい。僕は家出したのでお仕事してます。悪い子じゃないんです」ガクガクブルブル


「仕事って……え、ボディガード!?」


「お前にも勝てない僕がそんな真似できる訳がないだろ……むしろお前から守ってくれる存在がほしいわ」

ドカッドカッ(無言のボディーブロー


「芸能事務所の雑用です……うぐぐ……」


「なんでよ! ほら帰るわよ!」


「仕事だって言ってるだろ……!」


「あんたがやる必要ないでしょうが!」


「あるんだよ! 自立する為だ!」

アイドルD
「とりあえずさ、仕事だから戻らない? ね、男くん」グイッ


「む!?」


「そうだな……幼、分かったら帰れ。つーか声かけんなめんどくさい……」


「………………なんでよ」


「はぁ?」


「どこに泊まってるの?」


「お前もか……諸事情で言えないんだよ」


「…もしかして、女?」


「家主の性別なんて関係無いだろ。僕のことがキモいなら放っておいてくれ」


「キモいよ!! 画面の向こうの女と真実の愛を探すとか意味不明なこと言って! ……だけど……」


「うざ」

バキッ! ボキッ!


「痛い!! 暴力女! 僕はもう誰にも支配されないエロギャルゲーライフを送るんだ!」


「馬鹿じゃないの!? いい加減現実を見なさいよ!」バッ!!


「ッ!」

……………………


「……ん?」


「……え?」

アイドルD
「嫌がってるのに乱暴して言うこと聞かせよーとするのは好きくないなー。仲いーのかなーって見逃してたけど、男くん凄い嫌がってるよ」ギュッ


「関係無いでしょ! 離しなさいよ!」

アイドルD
「関係あるよ。男くんは新しい仲間だからねー♪ だから……帰りなよ」ゴォッ!


「…………! ……男! おじさんのおばさんに言っておくから!」タタッ!


「好きにしろ! …………まったく……」

アイドルD
「モテる男は辛いねー♪」


「は? 幼馴染なんて現実はクソだよクソ」

アイドルD
「ささ、帰ろっかー♪」


「……ありがとうな、助けてくれて」

アイドルD
「なんもなんもー♪ 暴力はんたーい♪」

書き貯め終了
またそのうち来ます
遅れてごめんの

おつ!

ゆっくり待っとるで

はよ

まだか

支援

>>60
ageんなks

落ちない間は待っている

もうすぐ1年か

まだか

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