【ガルパン】オレンジペコ「ダージリン様の、気品よりも大事なもの」 (43)


*一部独自解釈、設定有

*この作品はフィクションです
戦車の動作、性能等、実際のものと異なる場合があります

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1494635874


コッ、コッ…

コッ、コッ…

ガチャッ


ルクリリ「おはようございます」

オレンジペコ「あ、ルクリリ様。おはようございます」

オレンジペコ「今、紅茶淹れてますから。もう少しお待ちください」

ルクリリ「ん」

コポポポ…

コトッ

ルクリリ「ありがと」ズズッ

ルクリリ「…ん。美味しい」

オレンジペコ「本当ですか?よかった…」

ルクリリ「前から美味しかったけど、また上手くなったんじゃない?」

オレンジペコ「あ、ありがとうございます」



* ルクリリは2年生設定です


ルクリリ「…」ズズッ

ルクリリ「…そういえば、今はオレンジペコ一人?ダージリン様は?」

オレンジペコ「あ、ダージリン様とアッサム様は少し遅れるそうですよ」

ルクリリ「え?」

オレンジペコ「進路のことで、先生方とお話があるそうで…」

ルクリリ「…そう」

オレンジペコ「…進路かぁ…」

ルクリリ「…」

オレンジペコ「…もう、卒業しちゃうんですよね…」

ルクリリ「そうね」

オレンジペコ「もっと、もっとダージリン様やアッサム様と一緒にいたいなぁ…」

ルクリリ「私だって同じ気持ちよ。そんなこと…」

オレンジペコ「…そう、ですよね…」

ルクリリ「…」ズズッ

ルクリリ「来年から、ダージリン様とアッサム様はこの紅茶を飲めないと思うと、ちょっと可哀想ね」

オレンジペコ「ふふっ」

ルクリリ「ペコ。もう1杯お願いできる?」

オレンジペコ「…はい、ただいま」

コポポポ…

ルクリリ「紅茶だけじゃないわね」

オレンジペコ「え?」

ルクリリ「戦車道でも、私たちはもっと成長しないと」

ルクリリ「ダージリン様に…来年の聖グロリアーナは心配いらないってことを、卒業までに証明するの」

オレンジペコ「…はい」


~~~~~~~~~~



~聖グロリアーナ学園・中庭~


ダージリン「…」ズズッ

アッサム「…ここにいましたか、ダージリン」

ダージリン「あら、見つかってしまったわね」

アッサム「進路面談は終わったのでしょう?」

ダージリン「ええ」

アッサム「オレンジペコも待っていますわ」

ダージリン「そうでしょうね」

アッサム「わかっているのであれば、こんなところで何を?」

ダージリン「…」ズズッ

ダージリン「お天気も良いし、外で飲む紅茶も美味しいものよ。あなたもどう?」

アッサム「…頂きます」


コポポ…

アッサム「…」ズズッ

アッサム「流石…ですね」

ダージリン「あら、そう?それは良かったわ」

アッサム「…比べるのは申し訳がないけれど、やはり、オレンジペコはもうひと頑張りね」

ダージリン「ふふっ。まだまだ、彼女に負ける気はありませんわ」

ダージリン「紅茶も、戦車道も」

アッサム「…」ズズッ

ダージリン「…少しだけ、考え事をしていたの」

アッサム「え?」

ダージリン「来年の聖グロリアーナの戦車道のことをね」

アッサム「…もう、そんな時期ですね」

ダージリン「私たちも、そろそろ引退を考えなければならないわ」

ダージリン「私の先のことだけではないわ。来年の聖グロリアーナのことを考える時間も必要でしょう?」

アッサム「…そういえば、来年の話はこれまであまりしていませんでしたね」

ダージリン「ええ。大学選抜の試合も終わったし、そろそろいい時期だわ」


アッサム「…ダージリン」

ダージリン「何かしら」

アッサム「ダージリンは、寂しくないんですか?」

ダージリン「…」ズズッ

アッサム「…私は、寂しいです」

アッサム「本当はダージリンとも、ずっと一緒にいたい」

ダージリン「…あら、あなたでも、弱音を吐くことがあるのね」

アッサム「ちゃ、茶化さないでください」

アッサム「それで、ダージリンはどうなんですか?」

ダージリン「…ん、そうね…」

ダージリン「こんな言葉を知っているかしら」

ダージリン「深く愛することのできる者のみが、 また大きな苦痛をも味わうことができるのだ」

アッサム「トルストイ、ですか?」

ダージリン「あら、わかるのね」

アッサム「私が、オレンジペコに遅れをとるわけにはいかないでしょう?」

ダージリン「…」

アッサム「ダージリン」

ダージリン「…私だって、卒業したくないわ」

ダージリン「アッサムとも、ペコやルクリリ、ローズヒップとも…みんなと別れたくないもの」

アッサム「…」

ダージリン「貴女だけよ。こんなことを話すのは」

アッサム「ええ」

アッサム「聖グロリアーナはいついかなる時でも優雅、ですものね」

ダージリン「そうね」

ダージリン「最後まで私は…みんなの模範であるつもりよ」



~~~~~~~~~~~~~


~聖グロリアーナ:隊長室~


コンコン

ガチャッ

オレンジペコ「失礼します」

ルクリリ「お呼びでございますか?ダージリン様」

ダージリン「…あら、来たわね」

ルクリリ「…私たち二人だけですか?」

ダージリン「ええ。貴女達だけよ」

オレンジペコ「…あ、あのぅ…」

ダージリン「ふふっ、そんなに怯えないでくれるかしら」

ダージリン「別に、お説教をするために呼んだのではないわ」

ルクリリ「はぁ…」


ダージリン「…ルクリリ」

ルクリリ「は、はいっ」

ダージリン「貴女を、来年の聖グロリアーナ戦車道の隊長に任命します」

ルクリリ「…は、はぇ?」

ダージリン「オレンジペコ」

オレンジペコ「ふぁい!」

ダージリン「貴女を、その副隊長に推薦するわ」

オレンジペコ「え…えっ、と…」

ルクリリ「…マジ?本当に?」

ダージリン「ええ。本当よ」

ダージリン「戦車道の技術、聖グロリアーナ生徒としての立ち振る舞い、後輩からの信頼…」

ダージリン「貴女は、聖グロリアーナの隊長としてふさわしいと思っているわ」

ルクリリ「えー…す、すいません。ちょっとビックリしちゃって…」

ダージリン「どうかしら?」

ルクリリ「…は、はいっ。来年の聖グロリアーナはお任せください。ダージリン様」

ダージリン「ん。よろしい」


オレンジペコ「あ、あのぉ…」

ダージリン「オレンジペコ」

ダージリン「貴女はいつも私のそばで、私の戦車道を見ていたはずよ」

ダージリン「来年のルクリリ隊長を支えるにふさわしいと思っているけれど」

オレンジペコ「私が…」

ダージリン「私は推薦するだけよ。ルクリリ、貴女が決めなさい」

ルクリリ「…はい。私も、オレンジペコが相応しいと考えます」

オレンジペコ「ルクリリ様…」

ルクリリ「よろしくね、ペコ」

オレンジペコ「は、はいっ」

ダージリン「…断られたらどうしようかしらと思っていたけれど、引き受けてもらって助かるわ」

ルクリリ「…もう一回聞きますけど、ホントに私でいいんですよね?」

ダージリン「ええ。もちろんよ」

ルクリリ「…」

オレンジペコ「え、っと…お、おめでとうございます…?」

ルクリリ「お、おぅ…」

ダージリン「ふふ、二人ともまだ驚いているみたいね」

ルクリリ「あ、いや…すいません」


ダージリン「…それじゃあ、ルクリリ。隊長として、最初の仕事を与えようかしら」

ルクリリ「え?もうですか?」

ダージリン「ええ。私のいるうちに、いろいろと引き継いでおかなければならないでしょう?」

ルクリリ「それで、仕事というと…」

ダージリン「仕事…というより、早速だけれども、聖グロリアーナの戦車道を引き継いでもらおうかしら」

ペラッ

ダージリン「はい。オレンジペコも」

ルクリリ「ん、これ…」

オレンジペコ「…練習試合、ですか?」

ダージリン「ええ。そうよ」

ルクリリ「相手と場所は?」

ダージリン「場所は、この聖グロリアーナの学園艦で行われることになったわ」

ダージリン「この学校の演習場から…えっと、この地図を見て頂戴。ここの市街地までね」

ルクリリ「学校の演習場を含むのであれば、地の利はこちらにありますね」

オレンジペコ「…えっと、それで、相手は…」

ダージリン「…今年準優勝校の、黒森峰女学園よ」

オレンジペコ「えっ…」

ルクリリ「それは、また…ハードな相手ですね」


オレンジペコ「今年の大会では、準決勝で敗れてしまった相手ですね」

ダージリン「ええ。それで、この試合だけれど…」

ダージリン「ルクリリ。オレンジペコ」

ルクリリ「はい」

ダージリン「この試合、二人に隊長として指揮を執ってほしいのよ」

オレンジペコ「わ、私たちがですか!?」

ダージリン「ルクリリが隊長、オレンジペコが副官という形になるわね」

ダージリン「もちろん、私やアッサムもサポートはするわ」

ルクリリ「し、しかし…ダージリン様が勝てなかった黒森峰に、我々では…」

ダージリン「…確かに、私では西住まほさんには勝てなかったけれど…」

ダージリン「でも、あなたたちなら勝てるかもしれないじゃない」

オレンジペコ「えっと…」

ダージリン「この試合は、お互いの学園にとって、後進のための試合よ」

ダージリン「あちらの指揮は、次期隊長の逸見エリカさんに任されると聞いているわ」

ルクリリ「なるほど…」

ダージリン「…私たち3年生は、もうすぐ引退して、卒業してしまうの」

オレンジペコ「ぁ…」

ダージリン「それまでに、教えられることは全てあなたたちに教えるつもりよ」

ルクリリ「ダージリン様…」

ダージリン「これが、あなたたちと戦う、最後の試合になるかもしれないわ」


~~~~~~~~~~~~




~学園中庭~


オレンジペコ「…」コポポポ…

オレンジペコ「…」ズズッ

オレンジペコ「…はぁ…」

アッサム「…あら、オレンジペコ」

オレンジペコ「え、あ、アッサム様」

アッサム「こんなところでため息をついているなんて、珍しいわね」

オレンジペコ「あ、ご、ごめんなさい…」

アッサム「いえ、いいのよ別に」

オレンジペコ「はぁ…」

アッサム「…あら、良い香り。私にもいただけるかしら」

オレンジペコ「はい、ただいま」

コポポポ…

アッサム「ありがとう」ズズッ


アッサム「…そういえば、副隊長就任おめでとう」

オレンジペコ「あ、ありがとうございます」

アッサム「…ずいぶんと元気がなさそうだけど」

オレンジペコ「いえ、そんなことは…」

アッサム「…そうね。急に副隊長だなんて言われても、プレッシャーになるわよね」

オレンジペコ「…やっぱり、わかっちゃいますか?」

アッサム「顔に書いてありますわ」

オレンジペコ「あはは…」

アッサム「貴女、特にそういうプレッシャーに弱そうに見えるもの」

オレンジペコ「…私…」

アッサム「ん?」

オレンジペコ「私、自信なくって」

オレンジペコ「…ダージリン様もアッサム様も、いつも優雅で、気品があって…」

オレンジペコ「私たちから見たら、高嶺の花というか、雲の上の人みたいな存在で…」

オレンジペコ「…私、そんな人になれるんでしょうか」


アッサム「…やっぱり、そんなことを気にしていたのね」

オレンジペコ「だって、私…」

アッサム「…そういえば、貴女1年生だし、知らないのね」

オレンジペコ「何がですか?」

アッサム「昔のダージリンのことよ」

オレンジペコ「昔…?」

アッサム「以前のダージリンは、あんな立ち振る舞いではなかったわ」

オレンジペコ「え、どういうことです…?」

アッサム「昔、ダージリンが副隊長に任命された時は、貴女のように慌てていたわ」

オレンジペコ「…」

アッサム「いつからかしらね。彼女はいつも優雅に、華麗に立ち振る舞うことを意識していった」

アッサム「…聖グロリアーナの生徒はいついかなる時でも優雅…」

アッサム「だからこそ、貴女達にはそういう姿しか見せたくないのでしょう」

オレンジペコ「えっと…」


アッサム「ダージリンは、貴女達の知らないところで、誰よりも努力していたわ」

アッサム「例えば、公式戦や練習試合の前には、必ず会場の下見をしていたの」

オレンジペコ「ダージリン様がですか?」

アッサム「ええ。地図だけではなくて、実際の現場を見て気づくこともあったそうよ」

アッサム「それに、普段は誰よりも早く戦車倉庫に来て、戦車の整備をしていたわ」

オレンジペコ「そんなことが…」

アッサム「でも、その姿を誰かに見せたことはなかった」

アッサム「それが、聖グロリアーナの隊長としてあるべき姿と思っていたのでしょう」

オレンジペコ「…やっぱり…」

アッサム「ん?」

オレンジペコ「やっぱり、凄いんだなぁ…ダージリン様…」

オレンジペコ「なんか、ますます自信なくなっちゃったかも、私…」

アッサム「ごめんなさいね。そんなつもりではなかったのだけど…」

オレンジペコ「いえ、いいんです」

アッサム「…」ズズッ

アッサム「あら、私も今日は、先生方とお話があることを忘れていたわ。もう行くわね」

オレンジペコ「あ、はい」

アッサム「…ペコ。紅茶の淹れ方なら、もう隊長格だと思っていいわ」

オレンジペコ「あ、ありがとうございますっ!」

アッサム「フフッ。では、ごきげんよう」



~~~~~~~~~~~~


ルクリリ「…で、こういう作戦を考えてるわ」

オレンジペコ「なるほど…」

ルクリリ「…どう、かしら?」

オレンジペコ「え、えっと…」

ルクリリ「やっぱり、わからないわよね」

オレンジペコ「い、いえ!いい作戦だと思いますけど…」

ルクリリ「…うん、ごめん。私、オレンジペコにダージリン様と同じものを求めてしまってるのかも」

オレンジペコ「ルクリリ様…」

ルクリリ「私も、だいぶプレッシャーを感じてるのかもね。考えないようにはしているんだけど…」

ルクリリ「…今日は、このくらいにしておこうか」

オレンジペコ「は、はい」

ルクリリ「…オレンジペコ、この後は何かある?」

オレンジペコ「はい?」

ルクリリ「いや、近くに良い雰囲気の喫茶店があったから、お茶でもどうかと思って」

オレンジペコ「あ…すいません、今日はちょっと…」

ルクリリ「あら、そう?それじゃあ今日はこれで」

オレンジペコ「はい、お疲れ様でした」

ルクリリ「うん、お疲れ」

ガチャ バタン


オレンジペコ「…」

オレンジペコ「今日がここだから…試合までの日付を考えると…」

オレンジペコ「うん、やっぱり今日しかないかな」


アッサム『例えば、公式戦や練習試合の前には、必ず会場の下見をしていたの』


オレンジペコ「…(まずは、ダージリン様の模倣から始めてみよう)」

オレンジペコ「(試合会場を実際に見て、何か気づくこともあるかも)」

オレンジペコ「(遠くまではいけないけど…せめて、演習場の山あたりまでは見ておこう)」


ガチャッ

ザァァァァ…

オレンジペコ「(結構降ってるなぁ…)」

オレンジペコ「(でも、もう日付もないし。行かないと)」

バシャッ バシャッ …


~~~~~~~~~~~~~


ダージリン「…ええ。それでは、失礼します」

ガララッ

ダージリン「(最近、先生方と進路のお話しばかりしている気がするわね)」

ダージリン「(…)」

ダージリン「(卒業、するのよね…私も…)」

ダージリン「(…やっぱり、離れたくない。皆ともっと一緒にいたい)」

ダージリン「……っ…」

ダージリン「(……)」

ダージリン「(…ダメよ。泣いたって、何も変わらないもの)」

ダージリン「(…隊長になったときに決めたわ)」

ダージリン「(最後まで、聖グロリアーナの模範であること)」

ダージリン「(…私は…)」

まだ何も始まってませんが、とりあえず本日はここまで

ルクリリのキャラがさっぱりわからないし、ダー様とアッサム様が差別化できなくて動かしづらくてしょうがない…
ローズヒップさんは最後まで出ない気がします。ごめんあそばせ

いいとおもう。つづきはよ

大体書けました。今日の夜に完結まで投下できると思います

余談ですが、ドラマCDでローズヒップに作法を教えているときのペコちゃんの「待って!待ってくださいローズヒップさん!」が可愛すぎると思うんですよ
アッサム様もダー様も可愛いしローズヒップの「すごぉい!」も可愛いし、聖グロには天使しかいないんですかね

完成したので、最後まで投下します


ザァァァァ…

オレンジペコ「(雨、強くなってきたなぁ…)」

オレンジペコ「(もう少し見たら戻ろう)」

ザッ ザッ

オレンジペコ「ええと…」

オレンジペコ「(地図だと、この坂道がここだから…最初の配置地点がここで…)」

ザッ ザッ

オレンジペコ「(結構急な斜面だし、早めにここを抑えれば有利になるはず…)」

ザッ ザッ

オレンジペコ「(もうちょっとだけ先の方も…)」ザッ


ズルッ

オレンジペコ「あっ…!」


ドサッ
ズザザザザッ


~~~~~~~



ルクリリ「…んー…?」スタスタ

アッサム「…あら、ルクリリ」

ルクリリ「あ、アッサム様」

アッサム「こちらは3年生の教室よ?何か用かしら?」

ルクリリ「あー…えっと、オレンジペコを見ていませんか?」

アッサム「? いえ、昼食の後は見ていないわね」

ルクリリ「はぁ…」

アッサム「連絡は?」

ルクリリ「携帯にかけてるんですが、応答がなくて」

アッサム「どうかしたの?」

ルクリリ「いえ、次の試合のことで、ちょっと急ぎの話があったんですが…」

アッサム「私のところには来ていないわね」

ルクリリ「そうですか…」

アッサム「ダージリンなら知っているかしら?」

コッ コッ

ダージリン「あら、アッサム。呼んだかしら?」

アッサム「ダージリン。丁度良いところに…」


ルクリリ「ダージリン様、オレンジペコをご存知ありませんか?」

ダージリン「オレンジペコがどうかしたかしら?」

ルクリリ「先ほどから見当たらなくて…」

ダージリン「…私も見ていないわね…昼食の後、お茶をしたのが最後かしら」

ルクリリ「そうですか…すみません、手間をかけて」

アッサム「先に帰ってしまったのでは?」

ルクリリ「いえ、ペコの教室を見たんですが、鞄を置いたままでした。まだ学園にはいると思うんですが…」

ダージリン「電話もつながらないのね?」

ルクリリ「ええ。電源は入っているようなんですが」

アッサム「そう言うルクリリは、最後にオレンジペコと会ったのはいつ?」

ルクリリ「私はダージリン様の後くらいですね。次の練習試合の作戦について、少し話をして…」

ルクリリ「…それが最後ですね」

ダージリン「…その時は、どんな話を?」

ルクリリ「いえ、大したことでは」

ダージリン「詳しく教えて頂戴」

アッサム「…ダージリン?」


ルクリリ「え…えっと…。作戦の確認と、試合会場のことを少し…」

ダージリン「試合会場?」

ルクリリ「はい。演習場の山の方って、私たちも行ったことがないので、よくわからなくて」

ルクリリ「できる範囲は地図で確認して…それで、その地図は今オレンジペコに貸し出していますが」

ダージリン「…」

ルクリリ「あの…ダージリン様…?」

ダージリン「何か…胸騒ぎがするのよ」

ダージリン「…ルクリリ。その作戦、もっと詳しく教えてもらえるかしら」


~~~~~~~~~~~~


ザァァァァァ…


オレンジペコ「…うっ…!ううっ…!」

オレンジペコ「(あ…そうか、私…あそこで足を取られて、そのまま坂道で転んじゃったんだ…)」

オレンジペコ「戻らなきゃ…」スッ

ズキン

オレンジペコ「…痛っ!?」

ズキズキ

オレンジペコ「(あ…!足が…!)」

オレンジペコ「んっ…!」ズキズキ

オレンジペコ「(だ、だめだ…何とか立てるけど…この坂は上れそうにないし…)」

オレンジペコ「(携帯電話は…あ、あんなところに落ちてる…)」


ザァァァァ…


オレンジペコ「…私…何やってるんだろ…」



~~~~~~~~~~~~~


ルクリリ「…それで、こういう作戦だったんですけど…」

ダージリン「…」

ルクリリ「ダージリン様…?」

ダージリン「…少し、考えさせてもらえるかしら?」

ルクリリ「…」

ダージリン「…」

ルクリリ「…」

ダージリン「…ルクリリ、アッサム」

ルクリリ「はい」

ダージリン「ルクリリはここを、アッサムはこちらを見てもらえるかしら」

ダージリン「私はここを確認するわ」

アッサム「あの、それはどういう…」

ダージリン「おそらくだけど、ペコは今、試合会場にいるのよ」

ルクリリ「え…?」


ダージリン「試合会場を視察して、何かトラブルがあった…」

ダージリン「結果、電話にも出られないと考えることができない?」

ルクリリ「た、確かにそういう事もありえますが…しかし、考えすぎでは…」

ダージリン「ルクリリ」

ルクリリ「っ…」ビクッ

ダージリン「…今、あの子はこの雨の中で、ずっと私たちの助けを待っているのかもしれないのよ」

ルクリリ「ダージリン様…」

アッサム「…ダージリン様も同じだから、わかるんですね」

ルクリリ「え?」

ダージリン「…話したのね。アッサム」

アッサム「申し訳ありません。でも、あの子のためですから」

ルクリリ「あの、どういう…」

ダージリン「いえ、なんでもないわ。ルクリリ、もう一度だけ、オレンジペコに電話を」

ルクリリ「は、はい」



~~~~~~~~~~~~


ザァァァァ…

オレンジペコ「…うっ…うぅ…」

オレンジペコ「(なんとか…なんとか、あの電話のところまで…)」ズルズル

オレンジペコ「…」

オレンジペコ「(でも…でも、それから…?)」

オレンジペコ「(ダージリン様に、助けてもらうの?)」

オレンジペコ「(こんな、こんな泥まみれになって、気品も何もなくて…)」

オレンジペコ「(坂道で転んで、勝手にケガして…それで、助けてくださいだなんて…)」

オレンジペコ「私…」


ザッ ザッ


オレンジペコ「え…? あ、足音…?」


ザッ ザッ ザッ


オレンジペコ「あ…」

ザッ…

ダージリン「…! オレンジペコ!!」

オレンジペコ「あ…だ、ダージリン様ぁ…!」


ダージリン「…」

オレンジペコ「うっ…」

ダージリン「…」スッ

ダージリン「もしもし、アッサム?」

ダージリン「オレンジペコが見つかったわ」

ダージリン「…ええ。大丈夫よ。今日はこの雨だし、練習は中止ね」

ダージリン「ルクリリにも連絡して、先に帰っていて頂戴」

ダージリン「試合の件は、あとでこちらから連絡するわ」

オレンジペコ「え…」

ダージリン「…ええ。それでは」 ピッ

ダージリン「…ごめんなさい、オレンジペコ」

オレンジペコ「え…」

ダージリン「ずいぶんと、待たせてしまったわよね」

オレンジペコ「そ、そんな…!違うんです!私が…」

ダージリン「…もう少しだけ、待っててもらえるかしら」

オレンジペコ「え?」

ダージリン「…今、行くから」ザッ

オレンジペコ「え…!そ、そんな!大丈夫です!」


オレンジペコ「一人で戻れますから!今っ…」

ズキン

オレンジペコ「あっ!うあぁっ…!」

ダージリン「…ん、傘はもう邪魔になるわね」ポイッ

オレンジペコ「だ、だめです…制服が…」

ダージリン「…ねぇ、ペコ」

オレンジペコ「え…」

ダージリン「聖グロリアーナの戦車道はあくまで優雅…」

ダージリン「…でも、そんなことより、本当に大事なことがあるのよ」

オレンジペコ「え…?」

ダージリン「今、教えてあげるわ」ザッ

オレンジペコ「あ…!」

ザッ ザッ

ダージリン「(こんなところで、一人で雨に降られて…)」

ダージリン「(どれほど心細かったでしょうね、ペコ)」


ザッ

ズルッ

ダージリン「あっ…!」

ベシャッ!

ダージリン「うっ!!」

オレンジペコ「あぁ!ダージリン様!お怪我は…」

ダージリン「ん、ぐっ…」

ダージリン「私は大丈夫だから、ペコ」スッ

オレンジペコ「あ…」

ダージリン「少しだけ頑張れる?ほら、おぶさりなさい」

オレンジペコ「…し、失礼します…」

ダージリン「ん、しょ…っと」

ザッ

オレンジペコ「…」

ダージリン「あら、装填手のわりに、意外と軽いのね」


オレンジペコ「…」

ダージリン「…ペコ?」

オレンジペコ「(普段はあんなに優雅で、気品があって…私の憧れたダージリン様が…)」

オレンジペコ「(制服も、美しい髪も、綺麗な顔も泥まみれにして、私のために…)」

オレンジペコ「(私なんかのために…)」

ギュッ

ダージリン「…オレンジペコ?」

オレンジペコ「…ダージリン様…」

オレンジペコ「…私、ダージリン様に、卒業してほしくないです」

ダージリン「…」

ザッ ザッ

オレンジペコ「ずっと一緒にいてほしいんです」

ダージリン「…ペコ」

オレンジペコ「…」

ダージリン「…こんな言葉を……いえ、違うわね」

ダージリン「私も、貴女達といつまでも一緒にいたいわ」


オレンジペコ「…」

ダージリン「…オレンジペコ」

オレンジペコ「…ぁ…」

オレンジペコ「ダージリン…さまっ…ぁ…」ポロポロ

ダージリン「…」

ダージリン「…オレンジペコ。貴女は、泣きたいだけ泣いていいのよ」

ダージリン「卒業までは、貴女のそばにいるから」

オレンジペコ「あ…うぁ…」

オレンジペコ「…う、うわぁぁぁん……!」ボロボロ




・・・



・・・



・・・




~~~~~





~数か月後~
聖グロリアーナ女学院:卒業式当日




ダージリン「…」

アッサム「…ダージリン」

ダージリン「あら、アッサム」

アッサム「卒業、ですね」

ダージリン「ええ」

アッサム「…長いようで、短かったですね」

ダージリン「…そうね」

アッサム「…寂しいんですね?」

ダージリン「わかっているなら言わないで頂戴、アッサム」

アッサム「これは失礼しました」

ダージリン「…ふふっ」


タッタッ…

オレンジペコ「ダージリン様、アッサム様」

ダージリン「あら、オレンジペコ」

オレンジペコ「ご卒業、おめでとうございます」

ダージリン「ええ、ありがとう」

アッサム「わざわざ来てくれたのね」

ダージリン「先ほど、戦車道チームで送別会をしたばかりだけれど」

オレンジペコ「はい、でも、個人的に挨拶がしたくて」

ダージリン「あら、そう」

オレンジペコ「…ダージリン様…私、やっぱり…」

ダージリン「ペコ」

オレンジペコ「…っ…」

オレンジペコ「…ううん…私…ダージリン様やアッサム様と…みんなと一緒に戦車道ができて、本当によかったです」

ダージリン「ええ、私もよ」

アッサム「そう言われると、私も卒業したくなくなってしまうけれど」


オレンジペコ「…ありがとうございました。ダージリン様、アッサム様」

ダージリン「オレンジペコ…」

オレンジペコ「…ダージリン様…」

ダージリン「…」

オレンジペコ「…私…私、もう泣きませんから」

ダージリン「…っ…!」

アッサム「…」

オレンジペコ「…失礼いたします」

スタスタ…

アッサム「…」

ダージリン「…」

アッサム「…ダージリン?」

ダージリン「…ごめんなさい、アッサム。少しだけ…一人にしてもらえるかしら」

アッサム「…」

ダージリン「お願い」

アッサム「…ええ」


スタスタ…


ダージリン「…」

ダージリン「…」

ダージリン「…」

ダージリン「…グスッ…」


アッサム「…」

ルクリリ「…あら、アッサム様…こんなところで、どうしました?」

アッサム「…ルクリリ」

ルクリリ「はい?」

アッサム「聖グロリアーナの隊長になるのは、大変よ」

ルクリリ「えっと…どういう意味でしょうか?」

アッサム「貴女ももう少ししたら、わかるかもしれないわね」



オレンジペコ「…」

オレンジペコ「…さよなら、ダージリン様…」




 - 完 - 

以上です、ありがとうございました。
ぶっちゃけ聖グロ生全般、特にルクリリさんの喋り方がさっぱりわからない…

前回アンツィオ、今回聖グロと書いたので、ここまで来たら他校制覇したくなってきました。
2年生の頃に対立してたケイさんとナオミさんとかちょっと妄想してます。

乙乙

こういった戦車戦抜きの話も面白いです
乙でした

test

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