幼馴染「いっしょに」(19)
幼馴染「なんでそんなにおっきくなっちゃったの?」
男「成長期なんじゃないかな」
幼馴染「ボクにはあの道場でわんわん泣いてた女顔の子供が見えない」
男「十年経てば変わるもんだよ」
幼馴染「変わりすぎ」
男「それに比べて幼馴染はちっちゃいね」
幼馴染「急に撫でるな」
男「ごめん」
幼馴染「別に撫でてもいいけど、いきなりはダメ」
男「なんでよ」
幼馴染「……別にいいでしょ」
男「うん」
幼馴染「はぁ……」
男「どした」
幼馴染「なんだかボクだけ取り残された気分だよ」
幼馴染「ずっとこんな格好でさ」
男「親父さん厳しいからね」
幼馴染「もっと弟作ってればボクがこんな事にならなかったんだ」
幼馴染「物心ついた時にはお母さん居ないしね、ボクの味方ゼロ」
男「……」
幼馴染「そんな変な顔しない」
男「してたかな」
幼馴染「ふふっ、してたしてた」
幼馴染「……まぁ、キミが居るだけでもボクは……結構、助かってる」
男「ありがと」
男「俺は充分そのままで可愛いと思うよ」
幼馴染「そうかな」
男「そうだよ」
幼馴染「って事はさ」
男「なにさ」
幼馴染「キミはボクをちゃんと女の子として見てくれてるって事だよね」
男「うん」
幼馴染「そっかそっか……えっへへへー」
男「そんなありがたがることかな」
幼馴染「……キミはわかってないなー」
男「でも女の子に王子様ーとかキャーキャー言われるのもやじゃないんでしょ」
幼馴染「それはそうだけどさ」
幼馴染「髪が伸びてきたら問答無用で切られるし、あり得ないよ」
男「でも今は多少は許されてるんだろ?」
幼馴染「部屋の小物とかぐらいじゃないか」
男「丸くなったと思うけどなー親父さん」
幼馴染「だいたいキミがバシッと父さんをやっつけてくれればいいんだ」
男「無理無理無理!出来ないって!」
幼馴染「その筋肉は飾りかい!?」
男「幼馴染で勝てないんだもん無理だよ!それに俺もうやってないし!」
幼馴染「ちぇっ」
男「ちぇっじゃないよ……」
幼馴染「なんでそんなになよなよしてるかなー」
男「生まれつきなの」
幼馴染「だから友達居ないんだ」
男「作る努力はしてるよ」
幼馴染「結果は?」
男「怖がられる」
幼馴染「いかついもんね」
男「いかつくねーし」
幼馴染「よッ任侠!」
男「……」
幼馴染「また変な顔する……」
幼馴染「でもキミに友達が居ないおかげでボクは好きなだけキミを独占できるってことだね、感謝感謝」
男「あんまり嬉しくないなあ」
幼馴染(それにボクがモテる程キミには馬鹿な女が寄り付かないし)
男「?」
幼馴染「考え事」
男「さっき悪い顔してた」
幼馴染「してないよー」
男「またなんか弁当に変なもん入れようとか考えてたよ、絶対」
幼馴染「考えてませんー」
幼馴染「明日は何か入れて欲しいのある?」
男「だし巻き」
幼馴染「おっけ」
男「またなんか考えてたでしょ」
幼馴染「うん」
幼馴染「……やっぱりボクはキミのお姉ちゃんみたいに男の格好してる自分を好きになれないなー、って」
男「むしろああなったら困る」
幼馴染「凄いよねー姉さんは、ちょっと尊敬しちゃうかも」
男「やめろ。その隙につけこまれるぞ、危ない」
幼馴染「キミのお姉さんはなんなの……」
男「1000人切りレズ」
幼馴染「……」
男「……」
男「お前が入学してから王様にランクアップした」
幼馴染「下は下でアレだしねー」
男「弟は髪が長いだけだよ、あと女装が好きなだけだよ」
幼馴染「それはアレなのでは」
男「とにかく可愛いので問題ない」
幼馴染「キミそっち?」
男「いやいや」
幼馴染「羨ましいなーこそこそしないで家の中でも女の子の格好できるの」
男「幼馴染も堂々としてればいいんだよ」
幼馴染「堂々としてたら拳が飛んでくる子供時代」
男「でも今はそういうの無いんでしょ」
幼馴染「ないけどさ」
男「じゃあ俺こっちだから」
幼馴染「待つんだ」
男「なによ」
幼馴染「キミはこの危ないご時世にかよわい女の子を置いて一人で帰るのかい?」
男「かよわい?」
幼馴染「かよわい!!」
幼馴染「ふっふっふ、危険なことになってもう会えなくなって後悔するのはキミなのだ」
男「要はまだ一緒に居たいってこと?」
幼馴染「……あのね、普通はそういうこと聞かないんだよ」
男「ごめん」
幼馴染「いちいち謝らないの」
男「顔赤い」
幼馴染「夕方だからそう見えてるだけです」
幼馴染「じゃ、また明日」
男「うん、また明日」
幼馴染「明日も一緒に居られるかな」
男「居られるよ、何いきなり」
幼馴染「ふふ、さあ?」
男「ん」
幼馴染「?」
男「ん!」
幼馴染「これなぁに?」
男「ねぇちゃんのおさがりもらった」
幼馴染「かわいい…」
男(ほんとは盗ってきたけど)
男「あげる」
幼馴染「いいの?」
男「いい!」
幼馴染「いいの!?かわいいよ!?ボクににあうかどうかわかんないよ!?」
男「あげるよ」
幼馴染「えへへ…やった」
幼馴染「……」
男「どうしたの?」
幼馴染「もってかえるとパパにおこられちゃうから……」
男「そうだった……」
男「ぼくもバレたら先生に投げられる……」
幼馴染「うーん……」
男「ぼくん家でファッションショーするってどうかな」
幼馴染「うんっ」
幼馴染「……ん」
幼馴染「夢か……なつい……」
幼馴染「今はくれなくなっちゃったな」
幼馴染「好きに買える年齢になっちゃったから仕方ないとはいえ」
幼馴染「ふんふふーん」
幼馴染「結構可愛いかな」
幼馴染「肌出過ぎだけどこういうの好きかな」
幼馴染「男がいなきゃわかんないや」
幼馴染「……居ても聞く勇気無いけど」
男「弟よ……俺に知恵を授けるのです……」
男の娘「いきなり何……」
男「幼馴染が喜ぶようなものを教えなさい……」
男の娘「……知らないよ、姉さんに聞けば?」
男「アレは役に立たないのです弟よ……」
姉「アレ扱いは酷くない!?」
男「女の子の目線で一つ知恵を……」
男の娘「女じゃないし」
姉「無視!?」
姉「だいたいいい加減に告っちゃえばいいじゃん!幼馴染ちゃんそれが一番喜ぶよ!」
男「えっ無理」
男の娘「駄目駄目、兄さんに出来るわけないって」
姉「お前はそれでいいのか!!それでいいのか!!」
姉「雰囲気でどーんと行けよ…既成事実作っちゃえよ……」
男の娘「たぶん恐喝か何かに見られるんじゃないかなー」
男「怖いんだ色々」
男の娘「親父さんとか?」
男「それもある」
姉「他には?」
男「幼馴染がほんとに俺の事好きなのかなって」
男「もっと他にいい人いるんじゃないかなって」
「「 めんどくせぇ」」
男「自覚はしてる」
はよ
いいぞおつおつ
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