卯月「私のお仕事」 (101)

デレマスのSSです

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事務所 昼前

ガチャ
美穂「おはようございますう」

卯月「美穂ちゃんおはようっ!今日も頑張ろうね!」

響子「おはようございます!」

美穂「えっと、今日のお仕事は……」

美穂「収録の打ち合わせと、午後から週刊誌の写真撮影、その後みんなバラバラのお仕事かあ」

卯月「私達も忙しくなってきてようやくアイドルらしくなってきたね!」

響子「そうですねっ♪アイドルーって感じです!」

美穂「売れてない頃は大変だったもんね」




美穂「響子ちゃんが事務所に来てくれて、3人でユニットを組んでからやっとお仕事来るようになったし」

卯月「響子ちゃんのおかげだね!」

響子「そ、そんなことないよ。みんなで頑張ってきたからです!」

美穂「あっ、今日は私がピンクチェックスクールのSNSチェックしておくね」

響子「うん、お願いします!」





事務所共有PC カチャカチャ

美穂「今日もたくさんコメントが付いてるね」

卯月「へー、私にも見せて下さい」

卯月「どれどれ……」

卯月「……」

響子「……卯月ちゃんどうかした?」

卯月「……」

美穂「卯月ちゃん?」

卯月「はわっ!すみません、ぼーっとしてて」

美穂「パソコンの画面見ながらぼーっとしてたの?ふふっ」

響子「疲れてるの?最近忙しかったですし」

卯月「ううん、大丈夫!島村卯月今日も頑張ります!」




ガチャ

モバP「おはよう!」

モバP「お、もう全員揃ってるな」

美穂卯月響子「おはようございます!」

モバP「早速明日のTV収録の打ち合わせを始めるぞ」

美穂卯月響子「はいっ!」



~~~~~~~~~~~


モバP「というわけだ」

モバP「まあ、もうTV収録にも慣れてきた頃だし、問題ないだろ」

卯月「はい、頑張ります!」

美穂「ううぅ、慣れてきた……気はしますけど、やっぱり緊張します……」

響子「そうですね、私もまだ緊張します、卯月ちゃん凄いです」

卯月「私もいざ本番になると緊張しちゃうんですけどね、えへへ」




モバP「初々しさもTVでは受けてるしな、ありのままの自分達を出せればいいんだぞ」

モバP「あくまでも、ファン目線で身近なアイドルってのがピンクチェックスクールの売りだからな」

モバP「握手会やファンミーティングも毎回好評だし、方向性はばっちしだと思う」

美穂「そうですねっ、私も前向きに頑張ります」

響子「SNSでの直接ファンとコミュニケーション取れてるのも良い感じですしね」




モバP「そうだな」

モバP「ん?ニュースか?」

TVニュース『昨日、○○区△町の路地裏で女性が死亡しているのが発見されました』

TVニュース『女性は刃物で数度刺されたような外傷があり、即死とみられています』

TVニュース『警察は先週から○○区で発生している連続殺人事件との関連を調べています』

モバP「……うーむ、結構近い場所だなあ。お前たちも気をつけろよ」

美穂「まだ捕まってないんですね、怖いです……」

モバP「この連続殺人犯だけじゃないぞ。アイドルだからな、ストーカーや悪質なおっかけにも注意しろよ」

卯月「……」





卯月「……」

響子「卯月ちゃん?」

卯月「……ん?どうしたんですか??」

響子「えっ、ぼーっとしてるように見えて……」

卯月「何言ってるの響子ちゃん、えへへ元気いっぱいですよ!」

卯月「あ、そろそろお昼ですね」

卯月「プロデューサーさん!今日もお弁当持ってきましたよっ」

モバP「おー、本当にいつもいつもすまないなあ」

モバP「助かるよ!今日も楽しみだ」

卯月「えへへ、自分のお弁当作るついでなんで問題ありませんっ!」

モバP「そう言ってもらってからもう随分とたつなあ。毎日本当にありがとう、また何かでお返しするよ」

卯月「いえいえ!」





響子「むー」

美穂「響子ちゃん露骨に羨ましそうだね」ヒソヒソ

響子「私もお弁当には自信があるんだけどなあ」ヒソヒソ

美穂「卯月ちゃんのアイドル駆け出し時代から慣習になってるからね」ヒソヒソ

美穂「ずっと前から卯月ちゃんはプロデューサーのこと好きって言ってるし」ヒソヒソ

響子「むぅ、私だって……」ヒソヒソ

スタスタ
卯月「じゃあ、私達もお昼食べちゃいましょう!」

美穂「そうだね」

響子「うん。お昼からも頑張ろうね」

卯月「うんっ!」




~~~~~~~~~~~~


出版社インタビュー帰り 夜
外、女子寮までの道


美穂「はあ、今日も忙しかったなあ」テクテク

美穂「忙しいのは良いことだって分かっているけど、学校の勉強との両立も大変だし……」

美穂「ううん、せっかく掴んだチャンスだし、小日向美穂頑張ります!なんてね」

テクテク

美穂「……」

美穂「……この出版社から女子寮までの帰り道暗くて怖いなあ」

美穂「……」

テクテク




~~~~~~~~~~~~


△△公園 夜

美穂「この公園を突っ切れば、女子寮までの近道なんだよね」

美穂「……」

美穂「……」テクテク

美穂「あれ?公園に誰かいる?」

美穂「男の人と誰かが揉めてるように見えるけど……」

美穂「!?」

美穂「あれは卯月ちゃん!?」





~~~~~~~~~~~~

公園反対側出口


謎の男「……」

卯月「ひっ」

卯月「助けて!」

卯月「きゃー来ないで!」バシッ





~~~~~~~~~~~~

美穂「卯月ちゃんが誰かに襲われてる!?」

美穂「あっ、危ない!」

バターンッ

美穂「えっ!?」




~~~~~~~~~~~~

倒れて動かない男「……」

卯月「……」呆然



~~~~~~~~~~~~

美穂「……」

美穂「卯月ちゃんが抵抗して、男の人が転けたように見えたけど……」

美穂「あれ!?卯月ちゃん!?」




~~~~~~~~~~~~~


この場から、逃げ出す卯月




~~~~~~~~~~~~~


美穂「卯月ちゃん!?」

美穂「……」

オソルオソル

テクテク

動かない男「……」

美穂「……転けた弾みで茂みの岩で頭を打ったの?」

美穂「全く動かない……死んじゃってるのかな、血が出てるようには見えないけど」

ガサガサテクテク

美穂「人の足音!!?」

美穂「どうしよう……!」

美穂「……」ダッ






~~~~~~~~~~~~


夜 女子寮 美穂部屋


美穂「……」

美穂「思わず逃げて来ちゃった」

美穂「どうすれば良かったんだろう」

美穂「あの男の人、本当に死んでたのかな……」

美穂「あの後、公園に来た人が救急車とか呼んでくれてたらいいけど……」

美穂「……卯月ちゃん」

美穂「……」





美穂「……」

美穂「……卯月ちゃんはなんで逃げ出したんだろう」

美穂「遠くから見た感じだと、襲われそうになったところを抵抗しての事故に見えたんだけど……」

美穂「いわゆる、正当防衛ってのにならないのかな……」

美穂「……」

美穂「……明日卯月ちゃんに……」

美穂「でも、聞ける訳……ないよね……」

美穂「……」










次の日

事務所 昼

ガチャ
美穂「おはようございます」

響子「あ、美穂ちゃん。おはようございます」

美穂「響子ちゃんおはよう。……卯月ちゃんは?」

響子「ん?まだ来てないよ?珍しいよね」

美穂「そうだね……」




響子「?」

響子「どうかしたの?」

美穂「ううん、なんでもないよ」

美穂「(今日は来ないかな……あんなことあった後だもんね)」

ガチャ
卯月「おはようございますー!!」

美穂「!?」




響子「あ、卯月ちゃんおはよう」

卯月「響子ちゃん、美穂ちゃんおはよう」

美穂「……」呆然

卯月「美穂ちゃん???」

美穂「ひゃ、ひゃい!おはようございます……!」

卯月「変な美穂ちゃん。どうしたんです??」クスクス

美穂「あはは、ごめん、ぼーっとしてて」

美穂「……」

響子「昨日のドラマ見ましたー??」

卯月「うん!とっても面白かったね!」ワイワイ

キャイキャイ




美穂「(どういうことなんだろう)」

美穂「……」



~~~~~~~~~~~~


事務所

P.C.S打ち合わせ後 昼過ぎ

美穂「……ふう」

美穂「じゃあ、こんな感じで明日の収録は大丈夫そうだね」

卯月「うん、ばっちり♪」

響子「昔はTV番組に出るなんて夢みたいだったのに……」

美穂「そうだね」



卯月「本当……夢みたい。これからもずっと一緒にアイドル出来たらいいね」

響子「ずっとは無理だよう」アハハ

卯月「えー、できるよ~!」エヘヘ

美穂「……」





TVニュース『続いてのニュースです』

美穂「あ」

TVニュース『◯○区○○町△△公園にて男性の遺体が発見されました』

美穂「!!」

美穂「(あの公園……!)」

美穂「(やっぱりあの人死んじゃってたんだ)」

響子「また近くで事件?怖いですね」

卯月「そうですねえ」

美穂「(卯月ちゃんやっぱり反応ない……)」

TVニュース『男性は顔や身体に複数の「刺し傷」があり損傷が激しく、身元の特定を急いでいます』

美穂「!!?」

卯月「……」

TVニュース『警察は強い殺意を持った人物による殺人事件を想定し、○○区で多発している連続殺人との関連を調べています』

TVニュース『では、次のニュースです』





美穂「……」

美穂「(刺し傷……?どういうこと?)」

美穂「(あの人は頭を打ったんじゃなかったの?)」

響子「連続殺人かあ」

卯月「うーん、防犯対策もしっかりしないとね。ね、美穂ちゃん!」

美穂「え、あ、ああ、はい!そうだね!」




ガチャ バタン

モバP「おーっす、お疲れ様~」

卯月「お疲れ様ですプロデューサーさん!」

響子「お疲れ様ですー」

モバP「お昼済ませたら、TV局向かうからなー」

卯月「あ、今日のお昼お弁当も持ってきてますよ~」

モバP「おお、ありがとう!いやー楽しみだなあ」

モバP「そうだ、今日TVの収録終わったら夜ご飯奢るよ、ファミレスだけどな」

卯月「みんなも一緒でいいんですか?」

モバP「もちろんいいぞ!」

モバP「お弁当のお返しもだけど、みんな頑張ってるからご褒美だな」

響子「やったー、ありがとうございますっ!」





美穂「……」

モバP「……?」

モバP「どうした?美穂も行くよな?」

美穂「はぇっ!えっすみません!ちょっと今日の夜は……」

モバP「用事でもあるのか?まあもちろん強制はしないよ」

モバP「また今度別の機会にな」

美穂「は、はい。ありがとうございます」

モバP「おっし、じゃあ昼飯食べて、午後の仕事も頑張ろう!」

卯月響子「はい!」

美穂「……」





~~~~~~~~~~~~


TV収録終了後 夕暮れ

公園

美穂「……」

美穂「気になって、例の公園までまた来ちゃった」

美穂「……警察の人は帰ってるみたいだね」

美穂「凄いテープの数……やっぱり事件があったのはこの公園であってるみたい」

スタスタ

美穂「……」

美穂「この辺りがあの男の人が倒れてた場所だね」

美穂「……人型にテープが地面に貼ってある」

美穂「……」




美穂「……」

美穂「凄い血の跡……」

美穂「やっぱりここで死んじゃったのかな」

美穂「……でも、刺し傷ってニュースでは言ってたし」

美穂「……私が見た時は血なんて流れてなかったはず……」

美穂「……」

美穂「全然わからないよ」





美穂「卯月ちゃん……何があったの……?」

美穂「……」

美穂「はあ……」

美穂「夜ご飯のお誘いも断って、思わずここまで来たけど、やっぱり何も分からないや」

美穂「推理小説とは全然違うよね……」

美穂「……」

美穂「今日は帰っちゃおう……」

スタスタ





~~~~~~~~~~~~


女子寮 美穂部屋 深夜


美穂「……」カキカキ

美穂「はあ、気になって学校の宿題も手に付かないや……」

美穂「……」

美穂「警察の捜査も進んでるみたいだった……」

美穂「日本の警察はとても優秀だって聞いたことあるし、このまま捜査が進めば……」

美穂「……」

美穂「……卯月ちゃんが容疑者として捕まっちゃうとかもあるのかな」

美穂「……」





美穂「卯月ちゃん……やっぱり逃げるべきじゃなかったんだよ……」

美穂「……」

美穂「……」

美穂「……明日卯月ちゃんに聞いてみよう」

美穂「うん……最初からそうするべきだったんだよね」

美穂「……」

美穂「……本当に聞けるかな、私……」











事務所 朝

ガチャ
美穂「おはようございますー」

響子「あ、美穂ちゃんおはようっ」

卯月「おはようございます!」

美穂「……ふたりとも早いね」

卯月「えへへ、お仕事来る前に早起きして勉強してたんですよ♪」

響子「あー、授業付いていくの大変だもんねえ」

卯月「そうなのー、日々やっておかないと宿題もレポートも間に合わないんだよね」

美穂「あはは、そうだね~」





美穂「……」

美穂「(響子ちゃんいる前では話せないかな、タイミングを伺おう)」

響子「今日もお仕事頑張ろうね」

美穂「う、うん、今日もよろしくね」

卯月「今日の仕事は朝事務所で打ち合わせした後に、昼から私だけ別のお仕事で写真撮影かあ」

響子「私も夕方から雑誌インタビューがあるから、◯○出版社まで行ってくるね」

美穂「うん、まずは打ち合わせだね」

美穂「プロデューサー来るまで時間ありそうだし、私がSNSのチェックをしておくね」

響子「はい!お願いしますっ」






事務所共有PC
カチャカチャ

美穂「……」カチカチ

美穂「……」

響子「?」

響子「美穂ちゃんどうかした?」

美穂「え、ううん。いつもコメントくれてたファンの人から珍しくコメントが付いてないなあって」

響子「え、ああ、あの人……、いつも更新をその場で待ってたみたいに早くコメントくれる人ですよね」

美穂「そうそう、まあそういう日もあるよねっ」

響子「うん、そうだね」





美穂「はい、じゃあ更新も終わったし、後はプロデューサーを待つだけだね」

響子「新しいTV番組の収録についての打ち合わせだったかな」

卯月「えへへ、楽しみです」

卯月「新しい番組かー、いつか私たちがメインの看板番組なんて持てたりするのかな」

響子「それいいですね!」

響子「じゃあ、色んな仕事で実力をみてもらえるように頑張らないとっ♪」

卯月「はい!島村卯月頑張ります!」

響子「いいなあー卯月ちゃん持ちネタがあって」

卯月「持ちネタじゃないよう」アハハ

アハハ キャッキャッ





TVニュース『続いてのニュースです』

美穂「あ」

TVニュース『◯○区の△△公園で起きた殺人事件の続報です』

TVニュース『本日◯月◯日午前7時頃、××区に住む男が殺人容疑で逮捕されました』

美穂「えっ!?」

TVニュース『男は本日未明◯○区警察署に出頭してきたということで、容疑を認めているとのことです』

TVニュース『被害者との関係や動機などについては黙秘を続けており、被害者の身元特定、◯○区で発生している連続殺人事件との関連を含め、警察は事件の全貌の解明を急いでいます』

TVニュース『では、次のニュースです』


美穂「……」





美穂「……」

響子「やっと捕まったんだね、良かったあ」

卯月「うん、これで安心だね」

響子「この人が連続殺人事件の犯人なのかなあ」

卯月「うーん、怖いですね」

美穂「……」





ガチャ
モバP「おーっす」

卯月「おはようございます!プロデューサーさん!」

響子「おはようございますっ」

美穂「……」

モバP「おう、おはよう。今日も頑張ろうな」

モバP「じゃあ早速打ち合わせを始めるぞー」

卯月響子「はーい!」

美穂「……はい」





~~~~~~~~~~~

事務所 昼過ぎ

モバP「よし」

モバP「じゃあお昼も食べたし、俺と卯月は次の仕事行ってくるな」

卯月「二人ともいってきますねっ!」

響子「いってらっしゃ~いっ、頑張ってね!」

美穂「はい」

モバP「響子の夕方の仕事には間に合うようにするから現場で待っててくれな」

響子「はい!よろしくお願いしますっ」

モバP「美穂はとりあえず今日はこれで仕事終わりだから、しっかり休めよ?」

モバP「最近どうも体調悪そうだしな」

美穂「は、はいっ。ごめんなさい」

美穂「……はい、そうさせてもらいます……」

卯月「また明日ね~」

モバP「じゃ、後は頼むな、よろしくー」

ガチャ バタン




美穂「……」

響子「……」

響子「美穂ちゃん本当に大丈夫?」

響子「なにかあったの?」

美穂「え、ううん。なんでもないよっ」

美穂「大丈夫!元気いっぱいだよ」

響子「……」

響子「……じゃあ、私の方から聞きたいことがあるんだけど……いいかな」




美穂「えっ、う、うん。……なにかな?」

響子「……あのね、さっきニュースでやってた事件のことなんだけど」

美穂「ッ!?」

響子「△△公園のやつね」

美穂「……うん」

響子「……」




響子「……」

響子「さっき、犯人が捕まったってニュースやってたじゃない?」

美穂「……うん」

響子「あの時、出頭した犯人の映像が出てたよね」

美穂「えっ?」

美穂「う、うん。出てたけど……」

響子「……」

響子「なんだか、見たことある人じゃなかった……?」





美穂「?」

美穂「……なんだかそう言われてみると」

美穂「……」

美穂「見たことあった……ような」

響子「やっぱり、そうだよね」

響子「私の気のせいじゃなかったみたい」



響子「……私達ふたりが見たことあるってことはアイドル関係だと思うの」

美穂「う、うん。そうだね」

美穂「事務所の人……だったらすぐ気付くし、どこかのスタッフさん?それとも私達の……」

響子「うん」



響子「多分、私達のユニット、P.C.Sのファンの人じゃないかな」



響子「……」

響子「私達って握手会やファンとの交流会も多いじゃない」

響子「……そこで見たことある気がするの」

美穂「……」

美穂「前回のファンとの交流会の写真があったはず……」

響子「うん……確認してみよう」





事務所共有PC
P.C.S写真フォルダ

美穂「……」カチカチ

響子「……」

美穂「……いた」

美穂「この人だ」

響子「……うん、イベントによく来てくれる人だね」

響子「ニュースの映像とは違って、イベントではビシっときめた格好をしているからすぐに気づかなかったよ」

美穂「……うん。そうだね」

美穂「……」





響子「良かった、さっきニュースを見てからモヤモヤしてたんだよね」

響子「でも、身近なファンの方の中にこんなに怖い人がいたなんて」

美穂「う、うん」

響子「確かこの人はP.C.Sの中でも卯月ちゃん推しだったよね」

響子「卯月ちゃんが刺されたりしなくて良かったよ」アハハ

美穂「……」

響子「ファンの人にそんな人がいたのは残念だけど、残ったファンの人たちのためにこれからも頑張らないとねっ」

美穂「う、うん」

美穂「そうだね」

美穂「……頑張ろうね」




響子「じゃあ、もう私は次の仕事に向かうねっ」

響子「美穂ちゃん、しっかり休んでね」

美穂「うん、ありがとね」

美穂「いってらっしゃい」

響子「ばいばーい」

ガチャ バタン





美穂「……」

美穂「……」

美穂「……」

美穂「うん」

美穂「落ち着いてきた」

美穂「頭の中でだいぶ辻褄があってきたかな……」

美穂「……」

美穂「やっぱり卯月ちゃんに会おう」

美穂「この気持ちのまま、これからお仕事出来ないよね」

美穂「……」

スマホ取り出し
美穂「卯月ちゃんにお仕事終わりに会おうってLINEしよう」

美穂「送信っと」メルメル

ピロリーン
卯月『はい!いいですよ~』

ピロリーン
卯月『じゃあ18時にいつものお店で待ってますね』

美穂「これでよしっ……」

美穂「……」







ドキドキしてきた







いつもの喫茶店前 夕暮れ

卯月「あ、美穂ちゃーん」

卯月「体調の方は大丈夫?」

美穂「うん、大丈夫。ごめんね、卯月ちゃん、急に呼び出しちゃって」

美穂「……」

美穂「話があるの」

卯月「うん!聞くよ」

卯月「……」

卯月「いつもの席じゃなくて、声が聞こえにくい奥の席にしよっか」

美穂「ありがとう」

美穂「……」

卯月「じゃあ行こっか♪」

カランカラン





いつもの喫茶店 奥の席
夕暮れ


卯月「じゃあ、コーヒーふたつお願いします」

店員「かしこまりました」

卯月「……」

美穂「……」

美穂「あのね」

卯月「うん」

美穂「……」

美穂「前に△△公園で起きた事件のことで聞きたいことがあるの」

美穂「いや、確認したいことがあるの」

卯月「……」






卯月「……」

卯月「……もしかして」



卯月「見てたのかな?」



美穂「……」

美穂「……うん」

卯月「何を確認したいの?」

美穂「あの時何が起きて、その後何が起こったのか私なりに考えたの」

美穂「それを聞いてほしくて」

卯月「あはは、美穂ちゃん探偵さんみたいだねっ」

美穂「……」

卯月「いいよ」

卯月「お願い」

美穂「……」





美穂「……」

美穂「……はい」

テクテク
店員「おまたせしました、コーヒーでございます」カチャカチャ

卯月「ありがとうございますっ♪」

美穂「……」

卯月「わー、いい匂い」

店員「ごゆっくりどうぞ」
テクテク

美穂「……」

卯月「……」




美穂「……」

卯月「……」

美穂「まずあの夜。私が見てたところからなんだけど」

卯月「うん」

美穂「仕事の帰り道、△△公園を横切ろうとすると、遠くで卯月ちゃんが襲われてるのが見えたの」

美穂「そして、助けに行かなきゃって瞬間に、その襲ってきた男の人が急に倒れたように見えた」

美穂「これは、卯月ちゃんが抵抗した弾みで男の人が転けて、頭を打ったってことでいい?」

卯月「……うん、合ってるよ」

卯月「思ってた以上に見てたんだね」

卯月「そして、私が逃げだしたとこも見てたのかな」




美穂「……」

美穂「……うん、そうだね」

美穂「なんで逃げたのかって話はここでは置いておくね」

卯月「……」

美穂「あの後、私はその倒れた男の人の近くまで行ってみたんだけど、ピクリとも動かなかったよ」

美穂「あの時、既にこの人が死んでたのかどうか分からないんだけど」

美穂「今になって考えると、まだ死んでなかったんじゃないんかなと思うの」





卯月「……」

美穂「その時、後ろから急に足音が聞こえて、私も思わず逃げちゃったんだけど」

卯月「……うん」

美穂「そこに現れたのが今日出頭した男の人だったんだね」



美穂「そして卯月ちゃんのファンであり、そして卯月ちゃんのストーカーだった人」



卯月「……」




美穂「私たちは、ファンとの距離を大切にするということを軸に置いてるユニットだし、舞い上がったり勘違いしたファンがエスカレートした行動を取る可能性があるってずっとプロデューサーに言われてたよね」

美穂「その最たる例がストーカーだね」

美穂「そして、卯月ちゃんはストーカー被害を受けていた」

美穂「……」

美穂「ストーカー被害を受けていたってのはあってる?」

卯月「……」

卯月「うん、そうだね」

卯月「あってるよ」

美穂「相談してくれれば良かったのに……ううん、この話は今じゃないね」






美穂「ここからは完全に想像になるよ、私も卯月ちゃんも逃げたあとになるから、現場を知らないしね」

卯月「……」

美穂「そのストーカーは卯月ちゃんのことが好きで、その日も仕事終わりの卯月ちゃんを尾行していた」

美穂「私たちはその日の仕事を頻繁にSNSで発信してるからね」

美穂「出待ちも多いし、そのままつけられたんだと思うの」

美穂「離れたところから卯月ちゃんを追い掛けるストーカーは、公園で卯月ちゃん別の男性に襲われてるところを目撃した」

美穂「状況だけ見れば、私と一緒だね」





美穂「幸いと言っていいのか分からないけど、事故があり卯月ちゃんの側で男は倒れて動かなくなる」

美穂「私と美穂ちゃんが逃げた後に、そのストーカーは倒れた男の側に寄ってきたんだと思う」

美穂「……」

美穂「もしかしてその時に、まだ生きてたというより気絶していただけだった男が起き上がったんじゃないかな」

美穂「ストーカーは『このままだと逆上した男が卯月ちゃんを殺しに行っていまうのでは』と考え、その男を殺した」

美穂「……」

美穂「どうだろう、これが答えなんじゃないかな?」

卯月「……」




美穂「事件についてはこれで説明がつくと思うの」

美穂「……」

美穂「そして、卯月ちゃんは『もしこの人が死んでいたらアイドルが続けられなくなる』と考えて逃げたんじゃないの?」

美穂「卯月ちゃんのアイドルに対する想いは私たちの中でも大きいし、未来のアイドル像も持ってる、それが閉ざされるのが嫌だった」

美穂「正当防衛だとしても『人を死なせてしまったアイドル』になりたくなかった」

美穂「幸い夜で暗かったしね。変に証拠を消したりするより、早く逃げてしまった方が目撃者も出ないと考えて」

美穂「それで逃げた」

美穂「まあ、実際は2人にも見られたわけだけどね」

美穂「……」

美穂「どう?卯月ちゃん」

卯月「……」





卯月「……」

卯月「……」

卯月「えへへ、美穂ちゃん本当に探偵みたい」

卯月「うんうん、矛盾とかもないように思うよ」

卯月「男の人は刺されて死んでたって話だったけど、ストーカーさんは刃物を持ち歩いてたってことかな?」

卯月「どっちにしろ後々私はストーカーさんに刺されてたのかもしれないね」

美穂「ううん、これも私の勝手な予想なんだけど、最初に襲ってきた男の人は今○○区で騒がれてる連続殺人犯だったんじゃないのかな」

美穂「ストーカーは連続殺人犯が所持していた刃物を起き上がる時に奪い、そして刺したんだと思う」

美穂「ただただ単純に卯月ちゃんのことが好きで、ファンになってストーカーをして、そして卯月ちゃんを守るために殺人犯になった」

美穂「ストーカーっていう行為はもちろん良いものではないけれど、卯月ちゃんが好きってことは本当だったんじゃないのかな」

卯月「……」





卯月「……」

美穂「……」

卯月「美穂ちゃん凄いね、よく考えたと思う!」

卯月「あ、コーヒー冷めちゃうよ、飲も飲も」

卯月「……」ズズ

卯月「……うん、美味しい。ここのコーヒーはちょっと冷めても美味しいね♪」

美穂「……」

美穂「卯月ちゃん。私は卯月ちゃんを責めてるわけでもなんでもないの」

美穂「結局のところ殺したのはストーカーの人だったわけだし、卯月ちゃんは何も悪くないんだよ!」

美穂「私はただ本当のことが知りたかっただけなの」

卯月「……」






卯月「……」

卯月「うん」

卯月「起きた出来事については私もその場にいなかったからなんとも言えないよ」

卯月「でも、合ってるんじゃないかな」

卯月「私が男の人に襲われて、抵抗したら転けて動かなくなって、私が逃げた後そのストーカーさんが男を刺した」

卯月「そして今日出頭した」

卯月「正解だと思うよ」

美穂「……」

卯月「実際に転けて動かなくなったところまでは私たち見てたわけだし、ストーカーさんが男を刺したっていうのは出頭してニュースにもなってるしね」

美穂「じゃあ……」

卯月「でもね、美穂ちゃん」

美穂「?」




卯月「美穂ちゃんが予想した動機は”全部”間違ってるの」






~~~~~~~~~~~~~



卯月「……」

卯月「うん」

卯月「流石にポカンとしてるね、美穂ちゃん」

卯月「まずあのストーカーさんのことから話そっか」

卯月「今日出頭したニュースに出てたあのストーカーさんがP.C.Sのファン、そして島村卯月というアイドルのファンだったことは知ってるよね?」

卯月「そうそう、握手会やファンミーティング、交流会にもよく来てる人」

卯月「まあ、よく来てるというか全部来てるんだけどね」




卯月「その人は最近ファンの域を超えてストーカー行為に及ぶようになってきていたの」

卯月「アイドル島村卯月個人のSNSに何百件ものDMや、尾行まで含めてね。もしかして自宅もバレてたんじゃないかな」

卯月「さっき、美穂ちゃんが言ったとおり、私たちのユニットはファンとの距離が近いことが売りだしね」

卯月「こういったことが今後あることは最初から覚悟してたの」

卯月「もちろんもっと行き過ぎたことになったらプロデューサーさんに報告するつもりだったけどね」

卯月「でも私は『アイドル島村卯月を本当に好きでいてくれている』ということ自体を否定したくなかった」

卯月「みんなに好かれるアイドルは私の小さい頃からの夢だったから」




卯月「そうしてたら、ある日ついにストーカーさんは直接私に話しかけてきたの」


卯月「『近くでいつも見守っているから、何かあったら助けてあげるから』って」


卯月「私は思ったの」

卯月「『え、何言ってるの怖……』って」

卯月「……」

卯月「笑うとこだよ?」





卯月「うん」

卯月「実際怖すぎだよね」

卯月「でも、その場で『やめてください!』なんて言ったらどうなるか分からないし、何されるか分からないし」

卯月「『でも、私が仕事に行く邪魔だけはしないで下さい』って言ったの」

卯月「今思うと、私も何言ってるのって感じだよね」

卯月「アイドルとしてやっと軌道に乗り始めた時期だったし、仕事に行くことに支障さえなければいいって考えだったの」

卯月「実際、そのストーカーさんはそれ以降ほとんどプライベート時に直接目の前に姿を現すことはなかった」

卯月「イベントにはもちろん欠かさず来てたけど」

卯月「直接姿を現さないってだけで、帰り道とかには相変わらず尾行されていたみたいで、『あー今日もついてきてるなー』ってのが分かるようになってきたの」

卯月「……」





卯月「……」

卯月「これが最近までのお話」

卯月「……」

卯月「そして、ついにあの日の夜のお話ね」

卯月「あの夜、仕事が終わって帰ってる途中で『あー今日もあの人付いてきてるなあ』って感じたの」

卯月「第6感とか、気配を感じる!なんてマンガみたいなことじゃないんだよ?」

卯月「ちょっとした時に振り向いたり、ガラスに映ってたりとかまあ色々気がつくタイミングというのがあるものなの」

卯月「別にその人もバレないようにストーカーしてるわけじゃないしね」

卯月「堂々と宣言してるんだし」





卯月「話を戻すね」

卯月「あの夜、帰り道にあの△△公園を通ってる時、いきなり知らない男の人に襲われたの」

卯月「最初はそのストーカーさんに襲われたのかと思ったけど、全然知らない人で本当にびっくりした」

卯月「え、誰!?と思ったけど、手にナイフを持ってて、すぐ気付いたの」

卯月「あ、この人があの連続殺人犯なんだって」

卯月「このままだと殺されちゃうと思って、カバンを振り回したりして抵抗したの」

卯月「時間さえ稼げれば、見てるはずのストーカーさんが駆けつけてくれるんじゃないかって」

卯月「と、思ってたんだけど、直後私の抵抗の弾みでその男の人はすごい勢いで転倒してね」

卯月「足元にあった公園の自然石に頭をぶつけたの」






卯月「それはもう凄い音がしたよ」

卯月「目の前だったしね」

卯月「私は、これは生きていないだろうなと思ったよ」

卯月「そのくらいの音だった」

卯月「私は目の前が真っ白になったよ」





卯月「この人が生きていようと死んでいようと私は警察に行かなきゃいけないんだろうと思ったの」

卯月「でも、どうしても」

卯月「どうしても」

卯月「どうしてもどうしてもどうしてもどうしてもどうしても!!」

卯月「どうしても……それだけは嫌だったの」

卯月「どうしてもそれだけは避けたかった」

卯月「……」

卯月「そこでね」

卯月「思いついたの」

卯月「……」



卯月「ストーカーさんはこの状況からも救ってくれるんじゃないかって」







~~~~~~~~~~~~


美穂「何を言ってるの?卯月ちゃん……」

美穂「どういう意味なの?」

卯月「……」

卯月「結果としては本当にストーカーさんは私を救ってくれることになったよね」

美穂「……」


卯月「あの時点で男の人が死んでいたか、死んでいなかったかは私にとってそこまで重要なことじゃないの」


美穂「!?」

美穂「……卯月ちゃん?……どういうこと?」




卯月「死んでいなかったとしても死んでいたとしても、公園で襲われた経緯とか、正当防衛なのかどうかとか、結局警察の事情聴取っていうのはあるよね」

美穂「う、うん。本当は被害者なんだから当然だよ……」

卯月「もう夜遅かったし、次の日に事情聴取ってことももちろん考えられるよね?」

美穂「……うん」

卯月「それだけはね。絶対困る」

卯月「そのせいで『お仕事に行けない』というのは絶対困るの」

美穂「……」




卯月「そして、私がそれだけ『仕事に行かなきゃいけない』って想いを持っていることをストーカーさんは知っていた」

卯月「だからね」



卯月「ストーカーさんは『私が明日も仕事に行けるため』にその男の人を刺したんだと思うよ」



卯月「最初から死んでたんだとしたら、その死体をナイフで何度も刺して事故ではなく殺人と見せかけ罪を被る」

卯月「死んでなかったとしても、トドメをさすことで殺人事件を起こし、私が襲われた経緯をなかったことにする」

卯月「そうして私を守ってくれた」

美穂「う、嘘でしょ……?」





卯月「捕まる前にSNSにDMが来てたの」

卯月「『これからは守れそうにありません、ごめんなさい。今までありがとうございました』って」

美穂「……」

卯月「事件が起きてから出頭まで少し時間があったでしょ」

卯月「多分自分の所持していたアイドルのグッズや写真、PCやスマホのデータを消していたんだと思うの」

卯月「アイドル島村卯月と一切の関連を消すために」

卯月「捕まったニュースで映っていた姿も別人みたいだったよね」

卯月「アイドルファン仲間にもバレないようにってことかも」

美穂「そ、そんな……」





卯月「おかげで私は次の日からも、何食わぬ顔でお仕事に行けたよ」

卯月「本当に助かった」

卯月「今思うと、ストーカーされ始めた時に対処しなくて良かったよ」アハハ

美穂「やめてよっ!」

卯月「落ち着いてよ、美穂ちゃん」

卯月「結局のところ助かったのは美穂ちゃんもだよ」

卯月「私がアイドル出来なくなったらP.C.Sだってどうなるかわからなかったしね」

美穂「……」





卯月「嫌がってる人に無理やり罪をなすり付けたわけじゃないよ?」

卯月「この話はだからここでおしまいなの」

卯月「私たちはこれからもアイドルが続けられる」

卯月「それじゃダメかな?」

卯月「元々、真実が知りたかったというのが美穂ちゃんの目的だよね?」

美穂「……」

美穂「……」

美穂「……」

美穂「分かった、ごめんね卯月ちゃん」

美穂「ありがとう」

卯月「ううん、いいんだよっ!」

卯月「明日からもアイドル頑張ろうねっ♪」






~~~~~~~~~~~~


喫茶店前 夜

カランカラン
店員「ありがとうございました~」

テクテク
卯月「ん~ッ!いっぱい話したから疲れちゃったねっ」

美穂「うん」

卯月「明日もお仕事たくさん入ってるなー、早起きして島村頑張りますっ」

美穂「……」

美穂「……」




美穂「……」

美穂「ねえ、卯月ちゃん」

卯月「ん?なに??」

美穂「……」

美穂「……最後にもう一つだけ質問してもいい?」

卯月「……」

卯月「……もー、美穂ちゃん。あの話はあそこで終わりって言ったんだけどなあ」

美穂「……」

美穂「ご、ごめん、どうしても気になって」

美穂「本当に最後の質問なの……」

卯月「……」




卯月「……」

卯月「……うん」

卯月「いいよ」

卯月「なんでしょう」

美穂「……」

美穂「さっき私に『予想した動機は全部間違ってる』って言ったよね」

卯月「うん……言ったね」

美穂「……」





美穂「その後に、ストーカーがあの男の人を刺した本当に動機、理由を教えてもらったんだけど……」

卯月「……」

卯月「うん、教えたね」

美穂「……」

美穂「もしかして、『卯月ちゃんが』あの場から逃げだした『本当の動機』というのもあるの……?」

卯月「……」

美穂「私は『これからのアイドル活動のため』って動機だと考えて話したけど」

美穂「……」

美穂「もしかして、これも間違ってたのかな……」

美穂「どうしてもどうしても警察の事情聴取に行きたくなかった理由があるの?」

卯月「……」




卯月「……」

卯月「美穂ちゃんは本当に探偵みたいですね」

卯月「……」



卯月「ありますよ『本当の動機』」



美穂「!?」

卯月「もちろんアイドルが続けられなくなるっていうのは完全な間違いじゃないよ?」

卯月「”あんな”事故でアイドル出来なくなるなんて、夢を目指せなくなるなんて嫌だからね」

美穂「……」

美穂「……本当の動機ってなんなの?」

卯月「……」







卯月「……あのね、響子ちゃんって料理上手でしょ?」











美穂「え??」

卯月「料理だよ、上手でしょ?」

美穂「な、なんの話をしてるの……?」

卯月「本当の動機の話だよ?」

美穂「……」

美穂「え?」

美穂「な、何言ってるの……?」






卯月「私ね、毎日プロデューサーにお弁当作ってお仕事きてるでしょ?」

卯月「プロデューサーのお昼ごはんは毎日私が作ったお弁当」

卯月「なのにね、私があの事故で事件で、次の日に警察の事情聴取に行ってたらどうなると思う?」

卯月「その日のプロデューサーのお昼ご飯はなくなっちゃうね」

卯月「もし、事情聴取が長引いて、その次の日も警察署に行かなきゃけなくなったらどうなる?」






卯月「多分響子ちゃんは言うよ」

卯月「『卯月ちゃんがいない間だけでも私がお弁当作ってきますよ、プロデューサーさん!』って」

卯月「響子ちゃんって料理上手でしょ?」

卯月「私なんかより美味しい美味しいお弁当を多分作ってくるの」

卯月「そうしたらプロデューサーはなんて思うかな?」

卯月「『響子のお弁当美味しいなあ』」

卯月「『毎日卯月に作ってもらうのも悪いし、たまには交代で作って貰っても……』」

卯月「……」

卯月「そうなったら、困るの」

卯月「……」

卯月「だからね、アイドルのお仕事……私は絶対休めない」

卯月「……」

卯月「だって、プロデューサーのお弁当を持ってくるのは、私の仕事だから」








卯月「えへへ、可愛い動機でしょ?」





終わり



前作もよろしくお願いします。

モバP「いつまでも綺麗で可愛いままでいてくれ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488252177/)

まあ見捨てたのは美穂も同じだし……



オチが良かった

乙乙

ほの暗いドシリアスとなると、
どうにも卯月が適役なイメージ
こういう風潮いつ頃から形成されたんだろう

ほんとよく似合ってる…

これがサイコパスというものだろうか


卯月…恐ろしい娘ッ!

前作といい今作といい面白かった



こういう卯月はもっと読みたい
卯月はヤンデレの素質があると思うの
自分の好きな相手を孤立させて自分に依存させるタイプの

前作がリバーブローだとすると今回のはショートアッパーだった
おつおつ

ヒエッ・・・正統派キュートのピンチェがどす黒いものに・・・

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年04月18日 (火) 14:36:29   ID: jSIpGcj1

コワイ

2 :  SS好きの774さん   2017年04月18日 (火) 21:45:55   ID: sFR6IBaa

いいね!

3 :  SS好きの774さん   2017年04月21日 (金) 18:06:55   ID: M2xl08fJ

最高だった

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