希「え~りち。そろそろ起きよう?みんな来るよ?」【百合】 (22)

えりちいるかな。先に行ったはずだけど。まだ他のメンバーが来てないといいな。

ドアを開けたら、こっち向いてくれるかな。希、待ってたわよって。

ちょっと一息。深呼吸。

「ヤッホーえりち。寂しくなかった?」

「あれ、どうしたん?」

寝ているのかな。

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「えりち。」

この思い、気づかれちゃいけないし。下手なことはしない。

「えりち。イタヅラしちゃうよ?」

緊張で鼓動が早くなる。そんなことできないのに。

起きていないっぽい。そっと背中に手を置いて。あたたかさと呼吸を感じる。

綺麗な人。なんでここにいるんだろう。なんで、ウチと同じ部屋にいるのかな。

息がつまりそう。苦しくなって来た。

「隣、座るね。」

起きてもいい。祈るように、音を消さないで椅子を引いて隣に座る。

数秒、静かに、寝息が聞こえる。

顔を見つめてしまう。ウチの知っている何より美しい。

どんな夢を見ているのかな。この人でも夢を見るのかな。

ウチもそこへ連れて行ってほしいな。あなたの目が覚めたら、ウチが消えてしまってもいいから。

ずっとそばにいて。こんなことたとえ相手が寝ていても言えはしない。

愛しい人。二度と目を開けないで。

このまま誰にも触れられないでいてほしい。

あなたが笑顔を誰かに向けるたびに意識してしまう。

ウチが疲れてしまうよ。愛は嫉妬でできているから。

「ホコリ付いてるよ。」

口に出さないと、理由がないと彼女に触れることができない気がした。

取るほどでもない小さなホコリを探して取る。自然と体に視線を這わせる。

これが、私の人生にとって最高の瞬間に感じられる。

何やっているんだろう。キモチワルイ。

憎い人。ウチの人生を奪うから。叶うはずない望みなのに。

他人のくせに、ウチにとっての全てなの。あなたの唇にウチの命がかかってる。

そっと、それと見えないように匂いを嗅ぐ。

少し息が荒くなる。でも、すぐに我に返ってしまう。

えりちは友達だと思っているのだろう。なんで、ウチだけこんなんなのだろう。目頭が熱くなる。

慌てて顔を話して、落ち着くまで深呼吸。

もう大丈夫かな。大丈夫。

今のうちに起こそう。また変なこと考える前に。

「え~りち。そろそろ起きよう?みんな来るよ?」

ティーンエイジャーの同性愛者ってこんな感じだと思う。

まだよくわかんないから続けてみて

投げやりに枕にしている腕を揺らす。

雑なふりをして指を顔に近づける。あの唇に触れたい。急に視界が狭くなる。

起きないで。起きないで。

ああぁぁ~なんてアホな声出して起きたと伝えてくる。

可愛い人。あと数秒したら、一人恋人ごっこが終わってしまう。

あなたはそんな人だから、誰もが放って置いてくれない。友達が沢山いる。

ウチももうすぐ、その一員に逆戻り。

悔しくて、悲しくて、興奮と、霧でできた希望にそそのかされて。

「えりち」

頬を撫でた。ゆっくりと。名前をつぶやいて。

ハッとした。焦りで汗がにじむ。できるだけ不自然でないように手を引いていく。

だけど、どこか安心した。もう隠さなくてもよくなるのではないかと思ってしまった。

えりちが一瞬で覚醒したのがわかった。

こわばるのがわかった。やめておけばよかった。体の先の感覚がなくなる。世界が鮮明になった。

言い訳をしなければ、いつもの調子で、違うんだよ。そんなんじゃないよって。

何もできなかった。彼女が言葉を発するのを待つことしかできなくなってしまった。

時間が流れる。


「ごめんなさい」

そう聞こえた気がした。

わかってしまった。

初恋の人。さようなら。

後半適当でごめん。今度甘々レズ書くから勘弁して。

ダメ
続けて

今度じゃなくて今書くべき

ひさびさにのぞえりSS見つけた気がするのにこんな終わり方は許されない

続けて

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