えりちいるかな。先に行ったはずだけど。まだ他のメンバーが来てないといいな。
ドアを開けたら、こっち向いてくれるかな。希、待ってたわよって。
ちょっと一息。深呼吸。
「ヤッホーえりち。寂しくなかった?」
「あれ、どうしたん?」
寝ているのかな。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491832526
「えりち。」
この思い、気づかれちゃいけないし。下手なことはしない。
「えりち。イタヅラしちゃうよ?」
緊張で鼓動が早くなる。そんなことできないのに。
起きていないっぽい。そっと背中に手を置いて。あたたかさと呼吸を感じる。
綺麗な人。なんでここにいるんだろう。なんで、ウチと同じ部屋にいるのかな。
息がつまりそう。苦しくなって来た。
「隣、座るね。」
起きてもいい。祈るように、音を消さないで椅子を引いて隣に座る。
数秒、静かに、寝息が聞こえる。
顔を見つめてしまう。ウチの知っている何より美しい。
どんな夢を見ているのかな。この人でも夢を見るのかな。
ウチもそこへ連れて行ってほしいな。あなたの目が覚めたら、ウチが消えてしまってもいいから。
ずっとそばにいて。こんなことたとえ相手が寝ていても言えはしない。
愛しい人。二度と目を開けないで。
このまま誰にも触れられないでいてほしい。
あなたが笑顔を誰かに向けるたびに意識してしまう。
ウチが疲れてしまうよ。愛は嫉妬でできているから。
「ホコリ付いてるよ。」
口に出さないと、理由がないと彼女に触れることができない気がした。
取るほどでもない小さなホコリを探して取る。自然と体に視線を這わせる。
これが、私の人生にとって最高の瞬間に感じられる。
何やっているんだろう。キモチワルイ。
憎い人。ウチの人生を奪うから。叶うはずない望みなのに。
他人のくせに、ウチにとっての全てなの。あなたの唇にウチの命がかかってる。
そっと、それと見えないように匂いを嗅ぐ。
少し息が荒くなる。でも、すぐに我に返ってしまう。
えりちは友達だと思っているのだろう。なんで、ウチだけこんなんなのだろう。目頭が熱くなる。
慌てて顔を話して、落ち着くまで深呼吸。
もう大丈夫かな。大丈夫。
今のうちに起こそう。また変なこと考える前に。
「え~りち。そろそろ起きよう?みんな来るよ?」
ティーンエイジャーの同性愛者ってこんな感じだと思う。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません