野崎「もうすぐ都さんの誕生日だ」 (15)
佐倉「え? そうなの?」
野崎「ああ、4月8日だ」
野崎「日頃お世話になってるしやっぱり誕生日プレゼントはあげた方がいいと思って」
佐倉「……うん! 確かにそうだね!!」
野崎「都さんは何だと喜ぶだろうか……」
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都の友人「そういえばもうすぐゆかりの誕生日よね」
遼介「なにぃ!!?」
遼介(都の……誕生日……)
遼介(そうだ!! ここで都が喜ぶような誕生日プレゼントをあげれば……)
遼介(俺に振り向いてくれる可能性がほんの数パーセントあるんじゃねえのか!?)
遼介「よっしゃあ!! やってやるぜ!!」
都の友人「あんた何授業中に大きい声出してんのよ」
遼介「!!!///」
遼介「……とまぁ、俺はそのとある子に誕生日プレゼントを渡そうと思うんだが……」
遼介「女子高生諸君、君達は何を貰ったら嬉しい? 参考として聞かせてほしい」
瀬尾「ゲームかな」
鹿島「可愛い子達から貰うものはなんでも嬉しいですよ!!」
瀬尾「あとアレだ、『ボール避けちゃいけない券』とか」
鹿島「あ!! だったら私も『可愛がりいっぱいしてもらう券』ほしいな!!」
遼介「……誕生日プレゼントってなんだっけ」
佐倉「遼介さん、そういえば……」
遼介「ん?」
佐倉「私のお友達も今度、大学生の人に誕生日プレゼントを渡す予定なんです」
遼介「おっ、それは本当か?」
遼介「そいつはその人に何をあげる予定なんだ?」
佐倉「墨汁です!!」
遼介「ぼ、墨汁……」
瀬尾「それより兄ちゃん、早くケーキ食べたい」
遼介「分かった分かった……ほら、あげるから」
鹿島「ありがとうございます!!」
佐倉「いただきまーす!!」
遼介「……」
遼介(結月(こいつ)ほどじゃないけど……千代ちゃんと鹿島くんもちょっと変わってるからなぁ)
遼介(申し訳ないけどあんまり参考にはならねぇな……)
遼介(しょうがねぇ、ネットを使うなりして自分で調べるか)
別の日
遼介(4月8日までもう少しだ……)
遼介(何をあげようか……服か? 化粧品か?)
ガンッ!!
都「キャッ!!」
遼介「!!!」
遼介(しまった!! ボーッとしてて都にぶつかっちまった!!!)
遼介「わ、わりい都!!! 大丈夫か!!?」
都「う、うん……大丈夫、ありがとう」
遼介「本当わりぃ……落ちた荷物拾うな」
都「大じょ……」
遼介「ん? これは……」
都「……!!!」
都(いけない!! 漫画関係のことが描いてあるメモ!!)
都「……」サッサッサッサッ
遼介「!!!?」
遼介(速い!!?)
都「ご、ごめんね!! ありがとう!!」タッタッタッ
遼介「……」
都(危うく漫画家だってバレる所だったわ……)
遼介「今……都のカバンから出てきた物の中に……」
遼介「中に……」
遼介「墨汁が……あった……」
佐倉『墨汁です!!』
遼介「これは……もしや……」
遼介「女子大生空前の墨汁ブームか!!?」
都の友人「そんな訳ないでしょ」
遼介「」
都の友人「けど……墨汁にカバンに入れてるなんて変ね」
遼介「……習字か?」
都の友人「習字?」
遼介「もしかしてあいつ……習字が好きだとか」
都の友人「……ゆかりが習字好きなんて聞いたことないけど」
遼介「いや、違いねぇ。 そうじゃねぇとカバンに入れてる理由が分からねえからな」
遼介「それかやっぱり墨汁ブームが……」
都の友人「だからないって言ってるでしょ」
遼介「……」
遼介「……よし!!」
遼介(都、俺は決めたぜ!! お前にあげるプレゼントを……!!!)
遼介(今に見てろ、高校生野郎!!!)
誕生日当日
都「野崎くんありがとう!! こんなに沢山の漫画道具を……」
野崎「はい、これだけあれば当分困らないかと」
都「そうね……一番驚いたのはこの墨汁の量だわ」
都「これで野崎くんから借りずにすむわね」
都「でも……凄い偶然ね」
野崎「偶然?」
都「ええ、遼介くんも……私に沢山墨汁をくれたの」
野崎「えっ」
野崎「漫画家だってこと……知らないんですよね?」
都「ええ……それだけじゃないわ」
都「習字用の筆、文鎮……習字道具一式貰ったの」
野崎「まるで都さんを書道家だと思ってるようなプレゼントだ……」
都「それに……これも貰ったわ」
野崎「『これ』……?」
『愛』
都「遼介くん直筆らしいの」
野崎「」
その後
野崎「若松、今日のアシスタントの話なんだが……」
野崎「……!! どうした? 顔に墨が……」
若松「瀬尾先輩にやられました……」
野崎「瀬尾か……」
若松「なんでも先輩のお兄さんが習字にハマったらしくて……それで自分も描いてみたらしいです」
『バカ』
野崎「……これは瀬尾が?」
若松「はい」
『恋』
『住めば都』
『所縁』
遼介「習字ってのは楽しいなぁ!! 文字で愛を表現できるんだぜ!!」
遼介「なぁ結月!! お前も若松くんに描いてみたらどうだ!!?」
瀬尾「そーれ」
遼介「おいコラ!! 用紙を紙飛行機にするな!!!」
~終わり~
乙
まるで原作を読んでいるようだ
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