魔王「助けてくれぇ勇者ぁ!」 (77)
魔王「はひぃ……は、はひぃ…頼む、後生じゃあ…助けれくれ勇者!」
勇者「今更何をっ! もうお前との因縁は尽きただろう!」
魔王「そこをなんとか頼むっ!」
魔王「我の家に粗暴な山賊が居座ってしまったのじゃ!」
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魔王「うぉおおおん! だずげでぐれぇ!」
勇者「いい歳こいたおっさんが鼻水垂らしながら俺に擦り寄るな! きったね!」
魔王「ゆうじゃあ! もう貴様しか頼るものがおらんのだぁ……」
勇者「ああもう! お前魔王だろ! 自分一人でなんとでも出来るだろ!」
魔王「出来ぬからこうやってお前に泣きついておるのではないか!」
魔王「うぉおおおん!! 世界を救った勇者が魔王をいじめとる!」
勇者「いじめっ!? お、お前…いじめって……俺はお前の敵だぞ!」
魔王「知らぬ! そんな些細なことは!」
魔王「だから助けておくれぇ…」ズビー
勇者「分かった! 分かったから、お前これ以上俺に抱きつくな! たたっ斬るぞ!」
勇者「ほらよ、お前の家に居座ってた山賊どもは俺が退治してやったぞ」
魔王「やれば出来るではないか、流石我を倒しただけはあるな! 褒美に靴をピカピカに磨いてやろうではないか」
勇者「やらなくていいから、いややめろよ、周囲の視線痛いし」
魔王「まぁそう言わずに、今の我に出来る事はこれぐらいしかないからな」
魔王「ささ、右足を…」
勇者「はぁ……頭が痛くなってきた」
魔王「なにっ!? 頭痛だと! これはいかん、我の家にはバファ○ンは常備しておらぬぞ!」
勇者「お前のせいだよ…昔のお前はどこいったんだよ」
魔王「昔も何も我は何も変わっておらんではないか」
勇者「違う、俺が勇者としてお前を倒しに行った時のお前だよ…やけに尊厳あっただろが」
魔王「あの時の我か……いや、千年に一度と言われた逸材たる勇者相手にするのだ、それなりの対応をせねばと思ってな」
魔王「あ、今度は左足を勇者様…」
勇者「その時のお前に戻れよ……戻ってくれ、俺が悲しい」
魔王「口調は戻せるが、倒されたの我だし? 実力的に戻れないじゃろ」
魔王「魔族のトップが倒されたらそりゃあそれに従っていた者どもが我先にと魔王の座に座ろうとしとるのじゃぞ」
魔王「あんなの我が倒せないって、無理無理絶対ムリ」
勇者「お前…倒されても魔王だろ、生きてるんだからそれこそ譲ろうとするなよ」
魔王「そうは言うても、お前との戦いで全ての魔力を使い切ってしまったのだ」
魔王「ここから回復するには五百年ほどの休息が必要じゃな」
魔王「それまでの間はよろしく頼むぞ、勇者」
勇者「……今からでも遅くないからコイツ倒そうかな」
魔王「フッ……出来るのならやってみるが良いわ!」
魔王「このひ弱なじじいを殺せるのならばな!」
勇者「よし、殺す」スラッ
魔王「じょ、冗談ですよ勇者様…ほら、これ魔王ジョークってやつですよ」
勇者「まぁ聖剣が壊れた今ではお前を倒す手立てがないからな…でなければあの時に倒していたさ」
魔王「我は恵まれておる…まさか勇者が聖剣を携えずに来たのだからな」
勇者「それもこれもお前が聖剣を壊したからだろうが…」
魔王「我も壊したくて壊したわけではないのだ!」
魔王「ただちょっと手に入れた聖剣の耐久度を確認しようとしたら…こう、バキーンって……」
勇者「前代未聞だ、魔王が聖剣だったものを俺に渡しつつ謝罪をいれたのはな」
魔王「悪いことをしたら謝るのが普通ではないか」
魔王「それにこうやってきちんと返したではないか!」
魔王『良くぞ来た勇者よ…待っておったぞ』
勇者『魔王! 貴様は俺が二度と蘇られないように倒してやる!』
魔王『ほう……して、勇者よどうやって我を倒す気でおるのだ? 聖剣を持っておらぬ貴様が』
勇者『っ! 何故それをっ!?』
魔王『しれたことよ……この我が壊してしまったからだ! これがその聖剣の残骸だ、返してやろう』
魔王『それと壊してごめんなさい…』
勇者『えっ…あ、ありがとう?』
魔王『では勇者よ……ちゃんと返したからな?』
魔王『これから我と貴様との宿命の終止符を打とうではないか!!』ズアァ
魔王「こんな感じで侘びを入れつつ返したじゃろうが」
勇者「締まらねぇよ、こんな戦いの始まり方!」
魔王「結局貴様が勝ったから良かったではないか」
魔王「あ、両足含めてお値段100ゴールドだ」
勇者「は?」
魔王「じょ、冗談だ……そう間に受けんでくれ、怖いぞ」
魔王「しかし魔王と言う座から立ち退いた後によもやこのような生活を送ることになろうとはな…」
魔王「元魔王って肩書きは良いのだがこの歳じゃあ再就職先は見つからぬし、魔力も無いのだからな…」
魔王「コンビニの深夜バイトで食いつなぐ者の気持ちが我には分かってきたぞ」
勇者「落ちぶれすぎだろお前…なんか、倒して悪かったな」
魔王「ふっ…昔からして魔王は勇者に倒されるもの……侘びなどは今更必要ではない」
魔王「して勇者よ、今何時だか分かるか?」
勇者「えっと今は……14時になったところだな」
魔王「なに!? もうそんな時間であったとは……では勇者よ、さらばだ!」
魔王「我は貴様とは違い一秒がとても貴重なのでな! ふはははっ!」
魔王「しっかりと僧侶と愛をはぐんでおれ! 子供が出来たらご祝儀ぐらい出すのでな!」
勇者「う、うるせぇ! そんな事ここで言うな!」
――スーパーの駐車場
魔王「あー、そこの馬車そこで止まるでない、そこは駐車禁止区域だぞ」
魔王「これ、なにを言うておる! や、やめっ…暴力反対じゃ!」
魔王「まったく…近頃の若い者はすぐに暴力を振るおうとする……恐ろしい世の中になったものだ」
魔王「むっ! あのやたら魔力を感じる馬車は……魔法使いではないか」
魔法使い「あ、魔王じゃん、今日もここでバイトしてんの?」
魔王「そうだ、ここは時給は安いが我でも働けるのでな」
魔法「あははっいつ見てもおっかしー! あの魔王が警備員やってるなんて…あはは!」
魔王「ぐぬぬ…我の魔力が完全に蘇ったときには貴様から泣かせてくれるわ!」
魔法「やだ、さっき暴力反対とか言ってたのに私には手を出すんだ」
魔王「なんせ我は魔王だし、当然じゃろ」
魔法「それで泣かせるだけで終わりなんだ」
魔王「そうだ、貴様はここでよく買い物をしてくれるのでな…恩を仇で返すことは我はせぬ」
魔法「ぷっ…変なの……ま、頑張ってねぇ警備員さん」
魔王「あ、これ少し待たぬか!」
魔法「なによ、これから特売が始まるから早く行きたいんだけど」
魔王「……ほれ、そこの角にカラーコーンが置いてあるじゃろ…そこに止めても良いぞ」
魔法「え、本当に? サンキュー」
魔王「その代わり沢山買うのじゃぞ! 我がここで長く働けるようにな!」
魔王「さて、このバイトが終わったら魔水を飲んで少しでも魔力を回復させておかねば…」
魔王「魔水ももっと良心的な価格にしてくれんか…一本500ゴールドはちと値を張りすぎじゃ」
魔王「帰ったらもやしと卵で適当に料理を済ませておかねばな…」
魔王「そういえば油が尽きておったのだったな…後で買っておかねば」
僧侶「あ、魔王さんこんにちはー!」
魔王「む、僧侶であったか…こんにちは」
魔王「今日は卵の特売日じゃぞ、先ほど魔法使いも来ておったし今ならば間に合うのではないか?」
僧侶「そうだったんですか!? 魔法使いさんも来てたなんて、なんて話そうかなぁ…」
魔王「そういえば魔法使いの奴は戦士と契りを交わしたのであったな…良いカップルではないか」
魔王「無論、僧侶も勇者の良き妻となっておるのだろう?」
僧侶「も、もうそんな良い妻だなんて…魔王さんっておだて上手なんですから」
魔王「我は嘘が苦手でな、生憎だが事実しか喋れぬのだ!」
魔王「喜べ…そして聞くがよい、我を倒した者よ……一度しか言わぬぞ?」
魔王「実は、チラシに乗っておらぬが中農ソースが割引されておる、左から4番目の棚の列に向かうのだ!」
僧侶「わっ! い、いいんですか? そんな事教えてもらっても…」
魔王「良いのだ…売切れてしまう前に行くのだ!」
僧侶「で、では行って来ますね! ありがとうございます、魔王さん!」
魔王「フッ…魔法使いには駐車場を譲ってやったからこれで良いだろう」
魔王「…あー、こちら魔王、A側駐車場満車になりました、B側へ誘導お願いする」ザザッ
魔王「あーバイト終了…ちと疲れたのう」
魔王「じゃが、この後は今日貯めておいた魔力を……」
魔王「…戦士か」
戦士「フッ……完全に気配を消していたと思っていたが気付かれたか」
魔王「当然だ、我は魔王ぞ…貴様の隠しきれておらぬ気配など造作もなく掴めるわ!」
戦士「元・魔王だけどな……今日は魔法使いが世話になったとかで、一応感謝を伝えに来たぜ」
魔王「ならば正面から普通にこればよかろうに、おかしな奴だ」
戦士「はっ、お前がまだ魔王らしくしていられてるかと思ってな」
戦士「ほらよ、魔法使いがお裾分けで作った肉じゃがだ」
魔王「おお! これはありがたい…今日の夕飯が豪勢になりそうではないか!」
魔王「そうだな…我がお前達に返せるものと言えば……」
戦士「言っただろ? 感謝だって、っつか魔王からお礼貰う立場じゃねぇっつの」
戦士「これでもお前倒した勇者のパーティーメンバーだからな」
魔王「そんな事知っておるわ、我の魔法で真っ先に棺桶直前に行った貴様だからな」
戦士「てめっ…やっぱ肉じゃが返せ! 俺が今ここで全部食ってやる!」
魔王「や、やめ……我の数少ない貴重な食料を奪わないでくれぇ!」
魔王「肉じゃがは死守できたぞ…」
戦士「お前も苦労しているんだな…一度飯でも食いに来るか?」
魔王「そこまで落ちこぼれてはおらぬわ! 仮にも我は魔王なのだからな!」
戦士「お裾分けは普通に貰う魔王がどこにいるんだよ…」
魔王「ここにおるではないか、礼は素直に受け取るものだと教わらなかったのか?」
戦士「まぁなんでもいいけどよ…ちゃんと渡したからな? 器を壊して返すんじゃねぇぞ!」
魔王「我は同じ過ちを二度繰り返さぬわ! ……では、また会おう戦士よ!」
戦士「おう、ちゃんと洗って返せよな!」
――魔王のボロ家
魔王「ふぅ…ちと帰ってくるのが遅くなったわ」
魔王「それもこれも善意の塊である勇者ご一行と話しておったからだ…」
魔王「ええい忌々しき勇者どもよ……このお礼、どうやって返すべきか…っ!」
魔王「まぁ後で考えるべきであるな…今日も野たれ死ぬことなく生きてこられたのは魔神のご加護があってこそか」
魔王「……フンッ何が魔神じゃ…真に忌々しきは魔神であるというのに」
魔王「我がこんな惨めな生活を送ることも無かったであろうに、ええい忌々しい…」
魔王「やはり魔法使いの作る飯は美味いの…」パクパク
魔王「僧侶はまだ料理に慣れ親しんでおらぬからな…勇者もアレはアレで苦労しておるのかも知れぬな」
魔王「ぬっ…しまった、先にご飯を全て平らげてしまったではないか…我がこのようなミスを犯すとは」
魔王「おのれ魔法使いめ……このような美味いご馳走を作りおって…後でデザートでも奢って恨みを晴らせばならぬではないか!」
魔王「しかし…僧侶の飯はなんと言うか……アレンジを加えすぎておる」
魔王「美味いもの同士で足し算すればもっと美味くなるという境地に達しておるわ…」
魔王「青汁とチョコレート、マグロのカブトにとんかつを鍋の中に入れるとは……どうするのだ、これは」
魔王「勇者よ……今度貴様に梅おにぎりを持参して渡してやろうではないか!」
一旦終了。
おじいちゃんかわいいな
一旦乙です。
いいなぁこんな魔王。
勇者は呪いの装備してないよな
それを食べ切るなら勇者は勇者だな
新作乙
魔王がえらく可愛く見える
シルバー人材センターとかに登録してそうだ
勇者のおかしな味覚に渋々合わせている可能性が
自分でおかしいと思ってるならそれを他人に勧めたりしないだろ
この魔王
そのうちヴァンプ将軍みたいになりそう
ああ、呪いの装備の作者だったのか
乙
のじゃのじゃ言ってるからのじゃロリ魔王で再生されて困る
――翌日
魔王「くっはっはっはっは! 太陽がさんさんと輝く最悪の天気ではないか!」
魔王「こうも天気が悪いと昨日あえて残して置いた魔法使いの肉じゃがを食べるしかないではないか!」
魔王「では冷凍庫に保存しておいたご飯をチンして…」
魔王「ふむ…やはり肉じゃがは一晩置いたほうが良く味が染みて美味しくなるな」
魔王「では今日は娯楽施設の警備員と深夜のコンビニ店員の仕事であったな…」
魔王「ふっ…では梅おにぎりを持って往くとするか! 待っておれよ、仕事よ!」
――娯楽施設駐車場。
魔王「ピー!! そこの者! 何をしておる、負けたからと物に当たるでない!」
魔王「なに? 泡しか出なかったと? 魚は全部ガセだったと?」
魔王「そういう日もある、だから物に当たるのはよすのだ…魔神の加護が付かなくなってしまうぞ」
魔王「そもそも魔神を信仰してない? …うるさいって……や、やめっ…殴るのだけはやめてくれ!」
魔王「だ、誰か助けてくれぇ!!!」
勇者「……おい、またお前襲われてるのかよ」
魔王「はっ!? ゆ、勇者よ! 頼む、奴を何とかしてくれぇ!」
魔王「今度こそ我は殺される! それだけはあってはならぬのだ! 頼むぅ!」
勇者「…お前でどうにかしろよ、もう面倒みきれん」
魔王「ま、待ってくれ! 勇者! 待てと言うておるのだ!」
魔王「梅おにぎりをやるから! だ、だからアイツを何とかしてくれぇ!」
勇者「……し、仕方ないなぁ…今回だけだぞ?」ゴクッ
魔王(やはり苦労しておったか……勇者よ、強く生きるのだ)
勇者「ほら、アイツならもう帰ったぜ」
魔王「おお! やるではないか勇者よ! ……ほれ、約束の梅おにぎりだ」
勇者「…なにか入っているわけではないな?」
魔王「貴様……我の楽しみだった昼ご飯を毒物入りだと言うのか!」
勇者「それもそうか…じゃあ早速食わせてもらう」ガブッ
勇者「はむっ……むぐっ…うまっ……」
勇者「うめぇ……梅おにぎりが、こんなにうめぇなんて……ングッ」
魔王「……なんじゃったらもう一個あるから、それも食うか?」
勇者「ゴクッ……い、いや! 俺は勇者だ! 魔王、貴様から施しを貰うわけにはいかない」
魔王「あれだけがっついた者の言う台詞ではないな」
魔王「ちなみにもう一個は明太子おにぎりじゃが…どうする?」
勇者「……次、なんかあったら助けてやるよ」
魔王「契約成立じゃな」
勇者「…おにぎりって、こんなあったかくて…美味い物だったんだな」
魔王「勇者よ、貴様も苦労しておるのだな……相談ぐらいなら乗るぞ?」
勇者「魔王……あのな、僧侶が昨日卵と中農ソースを買ってきたんだ」
勇者「俺はてっきり普通に目玉焼きにソースかなって思ったんだ…俺本当は醤油派だけど最近そんなに気にしてられなくてさ」
魔王「う、うむ……ちなみに我も醤油派だぞ」
勇者「だよな! 目玉焼きには絶対醤油だよな! 戦士アイツ頭おかしくてよ、ソース以外は認めないとか言うんだぜ!」
勇者「俺もソースで食ってみたけど絶対的に醤油が美味いってのを思い知ったわ」
魔王「あのソースの感じが妙にマッチしないというヤツじゃな」
勇者「そう、それ! だったらお前卵かけご飯にもソースかけろよって話だ!」
魔王(…そこは関係ないんじゃなかろうか)
勇者「えっと……何の話してたっけ?」
魔王「僧侶のご飯についてじゃったな、確か卵とソース買ってきたってとこで終わっておったな」
勇者「あぁ、そうだ…僧侶が卵料理作ったわけよ」
勇者「それがさ、物凄く甘く作った卵焼きの中にうなぎとパイナップルとちくわぶが入れてあってさ…」
勇者「それにソースかけてはいどうぞって来たわけだ……もう俺、何が美味いかわからねぇよ…」
魔王「想像以上に苦労しておったのだな……ほら、さっき差し入れで貰ったクッキーだ、食べるがよい」
勇者「ありがとう魔王……本当にありがとう」モグッ
勇者「……うめぇ」グスッ
魔王「礼などいらぬ、我は貴様に先ほど助けてもらったのだからな」
魔王「困ったときはお互い様だ、何かあったら我に連絡を寄越すが良い」
勇者「魔王……お前、いいヤツだな、見直したぜ」
魔王「フッ…我も伊達に長生きなどしておらぬわ」
魔王「大事そうにクッキーを抱えながら勇者が帰っていきおったわ…」
魔王「…一度僧侶に料理の基本を教えねばならぬようだな、これではあまりにも勇者が不憫すぎるわ」
魔王「……いかん、我は魔王であったな、よそ様の家庭事情に顔を突っ込むのは止めておくべきか」
魔王「我がこうして封印されずに生きながらえていくのも、辛いものだな」
魔王「世界に平和がはびこっている今は満足に魔力の補給も出来ぬからな……ええいっ本当に忌々しき世の中よ!」
魔王「憎悪や、嫌悪…あらゆる人の負の感情を魔力として保持してきたのだから、本当に忌々しい世の中よ…」
魔王「あ、いらっしゃいませー! 本日は新装開店となっております!」
魔王「ふぅ……やっと午前の仕事が終わったわい…警備員も疲れる仕事よ」
魔王「じゃが、今日は待ちに待った給料日ではないか! …ククク、一体幾ら稼いだのか気になるではないか」
魔王「今日は豪勢に魔水で魔力を補給しようではないか!」
魔王「クッハッハッハッハ!!!」
戦士「……お前、なに一人で笑ってんだ? 端から見てればヤバイぞお前」
魔王「なっ!? ……ええい、貴様! 今すぐ記憶を消し去るが良い! そうでなければ…」
戦士「なんだ? 久々にやろうってのか? いいぜ、相手してやるよ」
魔王「我が貴様に対して土下座して忘れてくださいと言い続けてやるわ!!」
魔王「フフフ、この人前でこんな老人を土下座させる愚かさを思い知るが良いわ!」
戦士「ばかっ! やめろ! 忘れるからやめろ魔王!」
魔王「許してください戦士様! 我はそんな気はなかったのだ!」
戦士「分かった! 分かったから! 顔上げろ!」
魔王「ふむ……では、忘れてくれるのだな?」ムクッ
戦士「ああもう、綺麗さっぱり記憶から消したぜ」
魔王「……我の人脈を甘く見るでないぞ? 貴様が魔法使いにでも喋ればそれがすぐ我の耳に入るのであるからな」
戦士「魔法使いにも言わないって! だからこの話はヤメだ!」
魔王「最初からそうしておくべきだったのだ、情報戦で我に敵うものなどおらんのだからな」
戦士「魔王が情報戦ってなぁ……つか、お前なんでそこまでして生き延びたいんだよ」
魔王「それは……だな」
魔王「……生物として生を受けた以上生き延びたいと思うのは誰でも一緒なのではないか?」
魔王「それは魔王である我でも、勇者でも、貴様でも変わらぬと思うがな」
戦士「そりゃそうだが……にしてもお前どんなことをしても生き延びるって感じがするぞ」
魔王「それは我が魔王であるから故だ、魔王が滅びては魔族が繁栄出来なくなってしまうではないか」
魔王「魔王の肩書きこそすぐに入れ替わるが、魔王である我の代替は誰も出来ぬのだ……」
魔王「決してな……ふっ、忌々しき宿命よ」
戦士「……お前、なんか隠し事してねぇか?」
魔王「へそくりは貯めておるぞ? 幾らまでとは言えぬがな」
戦士「そうじゃなくて、いやそうじゃなくって……なんて言えば言いんだ?」
魔王「…よい、貴様は変に勘ぐりすぎているだけだ」
魔王「それに、貴様のような頭が足りぬ者が変に頭を使うと知恵熱が出るからな、ほどほどにしておくのだ」
戦士「お前、俺のことバカにしてね?」
魔王「戯け、魔法使いに貴様が知恵熱で倒れたときに何て言うか困るからこう言っておるのだ…だから貴様は頭が足りぬのだ」
戦士「ぐっぬぅう……なんか言いくるめられた気がするわ」
魔王「ハッハッハ! 魔王であるからな、舌戦は得意中の得意であるからな!」
魔王「では早く子孫を築き、我を倒せるように鍛えておくのだな!」
魔王「それまでの間は一時休戦だ! もう我は貴様らと戦いとうないわ…疲れるし」
魔王「では、これからコンビニのバイトがあるので失礼する!」
これは生き汚い魔王陛下
――コンビニ
魔王「なんだそのッシャッセーという言語は!」
魔王「もっとお客様にちゃんと聞こえるように元気良く言わぬか!」
魔王「え? 似てた? …フッものまねは得意であるからな、もっと我を褒めるが良いぞ」
魔王「そして我を崇めよ! …い、いたっ! ウザいだと!? 貴様、暴力だけはやめろと言っている!」
僧侶「あ、いたいた…おーい、魔王さん! こんばんは」
魔王「むっ…誰かと思えば僧侶ではないか……こんな夜分遅くにどうしたのだ?」
魔王「今はRチキは売り切れておる、買うなら出直すのだな」
僧侶「あ、いえ…そうではなくて……あの、魔王さんなら知ってるかなって思ってきたんです」
魔王「ほう、人間の小娘が我に助言を求めるか……面白い、申してみよ」
僧侶「えっと、最近勇者様の体調が優れなくて……今日もご飯をそんなに食べずに寝られてしまって…」
魔王(あー、はいはい…もう原因分かっちゃった気がするぞ)
僧侶「もしかして、勇者様はご病気なのではないかと思ったのです」
僧侶「ですが、勇者様は元気だと一点張りで……魔王さん、勇者様から何か聞いていたりしませんか?」
魔王「そうであるな……僧侶よ、まず我が確認したいことがある」
魔王「貴様は何故勇者が具合が悪いと思うようになったのだ?」
僧侶「それは……最近の勇者様がご飯をほとんど食べてくれなくなったからです」
魔王「ふむ……では、聞こう、本日の献立はなんだ?」
僧侶「えっとですね…勇者様が好きな献立を考えて作りました」
魔王「ほう……ヤツの好きな献立とな…どのようなものだ」
僧侶「ハンバーグと、唐揚げと浅漬けと、あとはお味噌汁に白米ですね」
魔王「いたって普通のメニューではないか……何か一工夫入れたりとかしたのか?」
僧侶「それは勿論です!」
僧侶「勇者様の元気が回復するようにスッポンの血と味に深いコクを出すためにコーヒー牛乳、あとカカオ一個ですか」
僧侶「それにピリッとした辛さが欲しかったのでから揚げにジョロキア? と唐辛子と山椒を入れて」
僧侶「後は甘さが足りなかったのでチョコレートとハチミツ、ユン○ル」
僧侶「それを全部一個にまとめて食べやすくしてみました!」
僧侶「一個にまとめるのに小麦粉と水あめとあとは……」
魔王「も、もう良い! そんなもの入れたら我だって食えぬわ!」
僧侶「えっ……ですけど、味見したときはすっごいおいしかったですよ?」
僧侶「もしかしてと思って少し持ってきたんです、魔王さん食べてみてください」
僧侶「遠慮しなくて大丈夫です、沢山作ってきたので…ガブっといっちゃってください!」
魔王(勇者ぁあああ!! 今、今助けに来てくれ! お前の嫁に我が殺される!!)
なお知恵熱とは幼児に起こるもので頭を使う云々は全く関係なかったりする
魔王「…え、遠慮させていただく! 我はまだ……その、バイト中なのでな!」
僧侶「そんな…魔王さんならって思ったのに……」
魔王(くそっ…僧侶を泣かせたら勇者が我を殺しに来てしまうではないか!)
魔王「わ、分かった! ただし、一口だけだ…それ以上は店長の顔もあるのでな……すまぬ」
魔王「すぅー……うぐっ……い、いくぞ!」ガブッ
魔王「ゴフッ……おえっ! …うぉおえぇっ……ま、まずっ!」
魔王(とても人間の食い物ではない!! だが、ここで食わねば勇者に斬られる…ええい、ままよ!)
魔王「っぬぁあああ!!! 食べた…食べてしまったぞ我は!」
僧侶「あぁ…良かった……食べれたって事はお料理のせいじゃなかったってことですよね!」
魔王「料理のせいだ! この戯けめ!」
魔王「立派な毒物じゃわいこれは! いかな我でも完治不能の毒状態にさせられる所じゃったぞ!」
魔王「これは勇者にはやれぬ、没収じゃ」
魔王「良いか僧侶…料理というのは心が篭っておればそれだけで美味くなるものよ、白米だけであってもな」
魔王「それを味付けのせいにするとは言語道断! 普通のものを食卓に並べよ!」
魔王「明日は納豆とご飯を朝食に並べよ…それだけで勇者は涙を流しながら食べきるであろうな」
僧侶「それだけで良いんですか? もっと味にパンチが欲しいような…」
魔王「いらぬ! そんなもの犬にでも食わせてしまえ!」
魔王「だいたい何故我が勇者の体調を心配せねばならぬのだ……料理の本をやるから数日はそこに書かれているものだけを作るのだ」
魔王「分かったならばさっさと行け! 憎き勇者が僧侶が帰ってこぬと心配するであろう」
僧侶「……口調は相変わらずですけど、でも魔王さんって優しいですね」
魔王「このぐらいの寛大さが無ければ魔王は勤まらぬでな! ふははは!」
僧侶「あの、どうして魔王さんはこの世を何度も混沌に陥れようとしたのですか?」
魔王「知れたこと…我にとってその方が生きやすいからな、人々が恐れおののき恐怖する姿は我が魔力の糧とするに十分でな」
僧侶「本当にそれだけが目的だったんですか? 魔王さん優しいのに……」
魔王「優しさとはまた別の話だ、魔王としての責務としてやっていたに過ぎぬ」
魔王「それに我は勇者に倒されるまでが魔王であるでな、でなければ魔王なぞやっとらんわ」
僧侶「倒されるのが本当に良いと思っているのですか? …そんなの、おかしいです」
魔王「僧侶よ……我は世を脅かし、勇者に倒される宿命なのだ、我も倒されることにもう慣れておる」
魔王「それに我は……いや、なんでもない」
魔王「話は終いじゃ…帰るのだ、これ以上話すことなどもう無い…去れ」
僧侶「はい、では…また来ますね」
魔王「我も聖剣を壊しなどせねば今頃こんな苦労せずに眠れておったのに…」
魔王「それもこれも軟弱に作ったヤツが悪いのだ!」
魔王「あ、いらっしゃいませー!」
魔王「カフェラテとな? それのLサイズは150ゴールドじゃな、ガムシロは入れるか?」
魔王「では暫しそこで待っておれ、我直々にガムシロを入れてやる! 光栄に思え!」
ちゃんと味見してるなら完全に味音痴
魔王「深夜のコンビニバイトは辛いものだ…この歳になると体力が持たぬわ……」
魔王「今日は仕事は入れておらぬし久々に魔王らしく過ごしてやろうではないか…ふはははっ!」
魔王「……その前に眠ろう、眠くて敵わん」
魔王「では戻ったぞ、我が家よ」ガチャ
魔王「む? 鍵がかかっておらぬではないか…鍵のかけ忘れとは、我としたことが…」
盗賊「……」
魔王「ほぉ…我が居ぬ間に空き巣を働こうとは…捨て置けぬ罪人であるな!」
魔王「貴様にやれる物は無い、我に処される前に早々に去れ」
盗賊「チッ…バレちまったら仕方ねぇ……テメェには死んでもらう!」チャキ
魔王「ナイフは反則じゃ! や、やめておくれ…我を殺さないでおくれぇ…」
一旦終了。
優しい世界
ていうかあんた良く次から次へとおもろいの思いつくな
この筆の速さもすごいが
内容が良質なのもすごいや
実にすばらしい
もう信者まとめてしたらばにでも引っ込んだら?
魔王様、働きすぎや
魔王「貴様にやれる物は無い、我に処される前に早々に去れ」
我が の間違いですかねぇ……
乙です。
とりあえず強気に出ておいて相手がやる気だったら命ごいをする、実にいいな。
そういうのも良いと思う
盗賊「ケッ…脅かしやがって、おら、さっさと金の在り処を教えな!」ドガッ
魔王「蹴らんでおくれっ! わ、悪かったからこんなじじいをいじめないでおくれ…」
魔王「ほらそこに見える豚の貯金箱の中じゃ…」
盗賊「あぁ!? 通帳も出せ! カードもだ! 早くしろ!」
魔王「ひっ…それだけは後生じゃ……我が野たれ死んでしまうではないか!」
盗賊「うるせぇ! 今ここで殺されてぇのか!」
魔王「頼むぅ…それだけはぁ!」
盗賊「使えねぇじじいだ……おら、てめぇそこに居ろ、縄で縛ってやる」
盗賊「言っとくが暴れようものなら殺す、いいな!」
魔王「は、はひぃ…」グルグル
盗賊「おら、くそじじい! 通帳はどこに置いてあるか言え!」
魔王「つ、通帳は…そこの引き出しの中だ……も、もう良いだろう…やめとくれぇ」
盗賊「へっ…最初からそう言っておけば痛い見ずにすんだのによ!」ガラッ
盗賊「それじゃあコイツの金は……んだよ、ほとんどカラじゃねぇか、とことん使えねぇじじいだ」ポイッ
盗賊「それならなんか売れそうなものでも……あん? この扉、やけに魔力がかかってるじゃねぇか」
魔王「そこの扉には何もないぞ、ただ単に魔法っぽいのがかかっておるだけだ」
魔王「もっとも、貴様にその結界が破れるとは思わぬがな」
盗賊「生憎俺は盗賊になる前は魔法使いでな、実力だってかなり上の方だったんだぜ?」
盗賊「だけど今はこうだ! 勇者が魔王を倒しちまったのがいけねぇんだ!」
盗賊「俺はこうするしか生きていけなかったんだよぉ!」
魔王「お主も辛かったであろうな…」
魔王「しかしその先には行ってはならぬ、やめておくのだ」
魔王「そこだけは開けてはならぬ、我以外に踏み入ってはいけぬ場所だ」
魔王「今ならば間に合う、そこだけは入るでない」
盗賊「うるせぇよ、じいさん……こうも必死になるって事はいいものが幾つかあるってことだよなぁ?」
魔王「やめるのだ……でなければ、我は残った魔力を全て使ってでも貴様を消すしかなくなる!」
盗賊「よぼよぼの爺さんが俺に敵うとでも思ってんのか?」
盗賊「話が分かったらそこで指咥えて見てなクソじじい」
盗賊「結構頑丈な結界が貼られてるが、この俺には通じねぇな…結界関係の魔法は得意だからなぁ」バキン
魔王「ぐっ結界が……よもやこの様な事になろうとは…」
魔王「まだ間に合う、早く縄を解いてここであった事を忘れるのだ…告げ口はせぬ」
盗賊「まだそんな事言うのか…ま、何が出来るでもねぇじいさんは放っておくか」
魔王「仕方あるまい……では望み通り、貴様は我が消させてやろう」ブチィ
盗賊「っ!? な、なんだ…っ!」ゾクッ
魔王「光栄に思うが良い、人の子よ……我は魔王、今一度全ての力を持って貴様を消してやろう」
魔王「よもやこの場から逃げおおせると思うな……か弱き人間よ」
魔王「安心しろ、一瞬で済む」
盗賊「お、おい…テメェ冗談言ってんじゃねぇよ」
魔王「生憎、我は冗談というのがほとほと苦手でな……この存在を知った者をこのまま帰すとでも思うか?」
魔王「この魔王の手にかかって消えるのだ、後に自慢話にでもするが良い」
盗賊「ぐっ…くそ、これでも喰らえ! 氷結魔法!」
魔王「ふん、その程度か……魔法というのはこう使うのだ」
魔王「空間転移魔法!」
盗賊「空間魔法っ!? そんな最上級魔法を、詠唱も無しに……ぐぅっ!」
魔王「当然であろう、魔王なのだからな…貴様如きには少々贅沢な魔法であったか?」
魔王「我の知っている魔法使いであれば、その状態からでもこの程度の魔法なぞ跳ね除けおったが…貴様は無理なようだな」
盗賊「か、体が……どこへ行くんだっ…ぐ、ぁああああ!!!」
シュンッ
魔王「……消えよったか、安心するが良い、この国で一番安全な場所に放り込んだだけだ」
魔王「まぁ、そこは牢屋なんじゃがな…」
魔王「ぐっ……がはぁ!」ドサッ
魔王「……まさか魔法一回で、立っていられぬ程とは…我も落ちぶれたものよ」
魔王「だ、だが…あの場だけは……守らねば…」
魔王「……魔水を、得ねば…結界を張りなおさねば…」ググッ
魔法「ねぇ僧侶、本当にここが魔王の家なの?」
僧侶「そうです、このお家が魔王さんのお家ですよ」
魔法「へぇ…このボロ家がねぇ」
僧侶「ぼ、ボロでもちゃんと立派なお家じゃないですか」
魔法「あの魔王がこのボロ家にねぇ…ぷっくくっ…あー、ダメ! おかしすぎて涙出てきちゃう!」
魔法「だって魔王よ!? あの魔王がここで暮らしてるって…あっはは!」
魔法「はぁ……んで、僧侶がなんで魔王の家に行こうなんて言い出したの?」
僧侶「えっと、昨晩魔王さんからお料理の本を貰ったのですが、やっぱり教えてもらおうかなと」
魔法「ふーん、まぁ魔王の手料理は正直美味いからねぇ…そこだけは私も認めちゃうかなぁ」
魔法「魔王―いるんでしょー?」コンコン
僧侶「ちょ、魔法使いさん! それはあまりにも失礼なのでは…」
魔法「いいのよ、魔王だったらそろそろなんじゃーとか言いながら出てくるだろうし」
魔法「それにお裾分けしてるお皿も返してもらわないとだし?」
僧侶「あ、そう言えば勇者様が魔王さんに少しお鍋のお裾分けをしたんでした」
魔法「えっマジ? 鍋って僧侶が作ったの?」
僧侶「はいっ! 勇者様からも美味しかったって好評でして、また機会があれば作ってみたいです!」
魔法「にわかに信じがたいわね……奇跡が起きたって言うの?」
僧侶「そ、そんな事ないですよ…たぶん」
魔法「にしても、遅いわねぇ…寝てるのかしら?」
僧侶「昨晩コンビニのバイトでしたから…どうなんでしょう?」
魔法「まぁいいわ、案外鍵が開いてたりしてねっと……」ガチャ
魔法「…うそっ本当に開いちゃったんだけど」
僧侶「魔王さんもうっかりしてたんですかね?」
魔法「おーい、魔王? 家鍵あけっぱよ?」
魔法「……魔王?」
僧侶「何か、様子が変です…」
魔法「みたいね…少し上がらせてもらうわよ」
魔法「……まるで空き巣に入られたかのように荒れてるわね」
僧侶「それに、この微量に残る魔力の感覚……これはもしや」
魔法「間違いないわね、魔王の魔力だわ……思い出しただけで寒気がする感覚よ、忘れられるはずもないわ」
魔王「ぐっぅぅ……魔水を、早く、魔力を…」ズルッ
僧侶「魔王さん! ど、どうしたのですか!?」
魔法「おい魔王! アンタどうしたってのよ!」
魔王「僧侶に、魔法使いか……ふ、ふふ…少し筋トレしすぎてな」
魔王「体中が痛くて動けんのだ…ふはは、歳には勝てぬか」
魔法「嘘言ってんじゃないわよ! 大方賊に荒らされて抵抗したってとこらしいけどね」
魔法「魔王の魔力なんて他の奴と違いすぎて一発で分かるわよ」
魔王「フッ…流石は勇者一行のメンバーだな、すまぬが、起こしてはくれぬか?」
僧侶「わ、分かりました! 魔王さん、肩をどうぞ」
魔王「すまぬ……よもや我が僧侶の肩を借りるとは…」
魔王「少し前なら考えられる出来事よ……」
訂正:魔王「少し前なら考えられぬ出来事よ……」
魔王「ぐっ…我も落ちぶれたものよ……たかが賊一人にこのザマとは」
魔法「…ねぇ魔王、この扉……何か隠していたりしてない?」
魔法「ただの扉じゃない、厳重な結界が貼られていた痕跡が残っているわ」
魔法「まさかとは思うけど、魔王……アンタ悪巧みでもしてないでしょうね?」
魔王「フッ…そうだと言えば?」
魔法「簡単よ、もう一度魔王を倒すだけ…今のアンタなら片腕だけで倒せそうだけどね」
魔王「怖いのう……しておるわけなかろう、じゃが…その先には行くでない」
魔王「我のプライベートがその中に隠されておるのだ、秘密基地と言うべきかの」
魔法「何もやましい事をしてなければ入ってもいいじゃない…そんなに勇者ご一行は信頼できないわけ?」
魔王「信頼どうこうの問題じゃないのだ……特に貴様ら二人だけは絶対に入らせぬ」
僧侶「えっ私もですか!?」
魔王「そうだ、貴様もだ僧侶……やはり言わねばならぬのか?」
魔法「腐っても魔王だからね……で、何があるのよこの先に」
魔王「それはじゃな……誰にも言うでないぞ?」
魔王「その先には我が幾千年と集めてきたとってもえっちな物が秘蔵されておる」
僧侶「」
魔法「うわぁ……引くわぁ」
魔王「だ、だから言いたくなかったのだ! プライベートと言っておっただろうに」
魔王「じゃから…今日は帰ってはくれぬか? 厳重な結界を作り直さねばならぬからな」
魔法「そうしとく……帰るよ、僧侶」
僧侶「あ、あの……ごめんなさい」
魔王「よい、貴様らが来なくては我はあと2時間はあのままであっただろうからな、感謝するぞ」
魔法「礼とかいいから、ドすけべ魔王」
魔王「な、なんだと貴様! もう一度申してみよ! この我にそのような言葉を口にしたことを後悔させてやる!」
魔法「…へぇ、いいんだ?」
魔王「冗談ですよ、冗談……我、もう敵わんし…やめてくれんかの」
一旦終了。
乙
乙
乙です。
そら結界張ってでも魔翌力開放してでも守護るわ。
乙でございます
これは守らずにはいられない
幾千年と集めたらたとえただのエロ本でも過去の民族文化を伝える立派な歴史文献だわ
エタったか………
保守
いいスレ見っけたと思ったら、2ヶ月も前に止まってたのかよ
はよ
えー…
♫
続け
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