隼「瑠璃は生きている」(16)


隼「…………」

隼「…………」

隼「!」

隼「瑠璃……瑠璃!」

隼「瑠璃……!?」

柚子「……え?」

隼「柊柚子、か」

柚子「黒咲?」


隼「すまん……いきなり」

柚子「いえ、ちょっとびっくりしたけど……」

隼「…………」

柚子「…………」

隼「少し……2人で話せるか?」

柚子「う、うん」


…………

柚子「こっち来てたのね」

隼「ああ、来たばかりだがな」

柚子「エクシーズ次元の方はどう?」

隼「復旧はほとんど終わっている。ほぼ元通りだ」

柚子「そう、良かった」

隼「……髪」

柚子「ん?」


隼「髪、下ろしたのか?」

柚子「あ、うん。最近ちょっと子供っぽいかなと思って」

隼「…………」

柚子「えっと……」

隼「何か飲むか? 奢る」

柚子「え? いや、そんな悪いわよ」

隼「俺が誘ったんだ。これくらいさせてくれ」

柚子「う、うん」


隼「ほら」

柚子「ありがとう……ん?」

隼「どうした?」

柚子「えっと、よく私が好きな飲み物分かったなと思って」

隼「…………」

柚子「?」

隼「瑠璃も……よくそれと似た物を飲んでた」

柚子「あ……」


隼「やはりお前は似ているな、瑠璃に……髪を下すともう瓜二つだ」

柚子「それは……」

隼「分かっている。元々お前達は1人の人間だった」

隼「好みや姿が似ていても、それは当然と言える」

柚子「…………」

隼「だけどそれでも、お前は瑠璃ではない」

隼「それも分かっている。分かってはいる」

柚子「黒咲……」


隼「……俺が」

隼「俺が今日ここに来たのは……お前に会って、話をする為だ」

柚子「…………」

隼「教えてくれ」

隼「瑠璃は……生きているのか?」

隼「お前の中に瑠璃は……今も生きているのか?」

柚子「…………」


柚子「……私達が1つになって」

柚子「声を聴いたとか、気配を感じたとか、そういうのはないけど」

柚子「でも感じるの。3人の心が……上手く言えないけど」

柚子「その中にもちゃんと瑠璃がいる」

柚子「だから……瑠璃は生きてるわ。私の中に。今も、ちゃんと」

隼「…………」

隼「そうか」

柚子「うん」





隼「――つまりお前を殺せば瑠璃は出て来れるんだな」

柚子「え?」



グッ……


柚子「かっ……かはっ!?」

隼「……戻って来てくれ、瑠璃」

柚子「あっ……かぁ……」

隼「やはり俺には耐えられない」

隼「町がいくら元通りに戻っても」

隼「お前がいなければ、俺の世界は元には戻らない」

柚子「ぐぅ……がふぅ……」

隼「だから頼む、お願いだ」

隼「もう一度俺の傍にいて、またあの笑顔を見せてくれ」

柚子「あっ……あっ……」

隼「瑠璃……」




……ゴキィ!


――柊柚子が姿を消した。

――同じ頃、黒咲隼もまた姿を消した。

――柚子の幼馴染の遊矢は、全てを投げ出して2人の行方を追った。

――だが結局2人は見つからなかった。

――2人を知る者は悲しみに包まれた。

――笑顔なんて消えてしまった。


何時かの日の何処かの場所……

隼「ただいま、瑠璃。今戻ったよ」

隼「今日も静かだな。まだ心配なのか?」

隼「大丈夫だ。ここにはお前を襲うモノは何もない」

隼「仮に来たとしても、必ず俺がお前を守ってやる」

隼「だから安心しろ。何も不安に思う事は無い」

隼「愛しているぞ。瑠璃」

<おわり>


以上です。アークファイブは素晴らしい最終回でしたね。次回作も楽しみです。

またお前か

故郷滅ぼされて親友と妹死んだのに笑ってる方が怖いからセーフ

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