と言っても、話したいことがあるわけではなく……。

変、ですよね。

ごめんなさい。

なんか謝ってばっかりですね、私。

直接、会ってお話できたら良かったんですけど、それはだめですよね。

はい、わかってます。

隣のお部屋なのに、なんだか変な感じで。

いえ、同じ部屋に泊まるわけにもいかないことは重々……。

……さて、何から話しましょうか。

話したいことがあるわけではないんですけど、話すことはいっぱいあって……。

まずは、今日のお話、なんてどうでしょう。

ふふ、ありがとうございます。

それにしても、今日はいっぱい歌って、いっぱい踊って、体は疲れてるはずなんですけど……なんだかとっても幸せで。

こんなに幸せで、いいのかな、なんて考えちゃうくらいには。

……ファンの方々もきっと同じ気持ち……だと、いいですね。

ちなみに、ですけど、あなたはどうでしたか？

そりゃあ、聞かなくても分かりますけど……。

聞きたくて。

はい。お願いします。

誰にも言いません、って。

第一、言って何になるんですか。

はい。

二人の秘密……です。

……良かった、だけですか？

いえ、嬉しいんですけど、もう少し……。

ううん。なんでもないです。

今日いただいた褒め言葉の中で、一番嬉しいです。

そう、ですね。

これからの一番も、あなたが更新してくれると……なんて。

ふふ。

期待してますね。

これまでの一番、ですか。

うーん。

いざ一番を決めるとなると、迷っちゃいますね。

でも、迷うくらい良い思い出がたくさんあるのって、幸せなことなんでしょうね。

え、例えば、ですか？

そうですね、あなたが名前を呼んでくれたとき、なんてベタでしょうか。

私、自分の名前、気に入ってて。

でも、男の人みたいな名前ってことも自覚してて。

それでも、名前で呼んでほしくて。

だから、なんでしょう。

初めて名前を呼んでいただいたときに、ぱーって、道が明るくなった気がして。

あはは、上手に言えなくてすみません。

だから、なのかもですね。

私も、プロデューサーのこと、名前で呼ぶようにしてるんですよ？

気付いてました？

……気付いてましたか。

この際だから、聞いてしまっても、いいですか？

その。

私に名前を呼ばれるの、どう……ですか？

嬉しい、ですか。

いえ、なんか、照れますね。

むず痒くって。

これが電話でよかったです。

なんで、って。

それは……。

たぶん、とてもお見せできない顔をしてると思うので。

だめです。

いくらあなたのお願いでも、ビデオ通話にはしません。

ぷっ、あははは。

すみません。

気が抜けてしまって、思わず。

へ？

私のことはいいじゃないですか。

っていうか、さっき一番って言ったんですから、もう分かりきってるじゃないですか。

それでも、ですか。

はい、はい。

分かりました、って。

言います、言います。

……嬉しい、ですよ。

名前で呼んでいただけて。

しーまーせーん！

絶対、ビデオ通話にはしませんから！

もう、大丈夫です。

おかげさまでぐっすり眠れそうですから！

はい、じゃあ最後に、おやすみの言葉をいただいても、いいですか？

ふふ、おやすみなさい。



おわり