女「私を殺してくれませんか?」 (9)

男「はい?」

女「だから、私を殺してくれませんか?」

男「いや、なんで俺が?」

女「たまたま路地裏にいて、たまたま綱を首に掛けようとしている私に出会ったからです」

男「うん、見ないようにしようと思ってたけどやっぱその縄で死のうとしてたのね」

女「はい。それで最初に戻るんですが私を殺しt「そもそも俺みたいなどこにでもいるような奴に人殺しって言う大罪押し付けるのは良くないと思うんだけど」

女「いえ、高いところから私の背中を押してくれるだけでいいんです。お願いします」

男「いや、だからそれが駄目なんだってば!?犯罪だよ!?殺人!!」

女「それでも、お願いしたいんです」

男「っ.....」

男(その女の子の目は)

男(何故か、視線を逸らせなくて)

男(その頼みを叶えてやりたい、と思ってしまった)

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男「・・・わかった」

女「本当、ですか?」

男「ただ、今は昼だしまだ明るいから夜まで待って欲しい」

女「・・・逃げる気、ですか?」

男「いや、その夜までの時間一緒に過ごさないか?って言おうと思って」

女「・・・何でですか?」

男「まあ暗くなってからの方が色々分かんないだろうし。それに・・・」

女「それに?」

男「可愛い女の子と過ごせる初めてのチャンス、逃したくないし?」

女「・・・」

男「そこで黙らないでくれる!?しかも無表情だし!!」

女「いえ、まあいいんですけど」

男「・・・ま、まぁともかく」

男「いいなら動こうか。色々行こう」

女「はい」

男「その間になんで死のうと思ったか聞かせてよ」

女「・・・なんで話す必要が?」

男「もうすぐ自分の手で殺すんだ。その子の今までは知っておきたいっていう俺の我儘みたいなもの」

女「・・・わかりました」

男「ん、なら適当な喫茶店でも行こうか。」

女「はい」

男(喫茶店に着いてから聞いた女の子の話は)

男(大凡何処にでもあるような胸糞の悪い不幸や人の悪意の塊を取り敢えずひたすらに掻き集めたような話で)

男(聞いているこちらが悲しむなんてのを通り越して何も言えなくなるような)

男(そんな話だった)

女「・・・と、何処にでもあるような話です」

男「・・・そっか」

女「それが嫌だから、とか。これからもいい事なんてあるわけ無いから。とかじゃなく」

男「うん」

女「もういいんです」

男「うん」

女「何があろうが何が辛かろうがもう何でもいいんです。疲れたんです。これからなにか良い事があるなんて知ったこっちゃないんです」

男「・・・うん」

女「ただ、もう辞めたいんです」

男「・・・うん、わかった」

女「だから、私を殺してください」

男「わかった。俺は君を殺すよ」

女「ありがとう、ございます」

男(その時の女の子の顔は)

男(今まで俺が見てきた何よりも綺麗で、澄んでいた)

男「そんな顔、今まで誰からも見せてもらった事ないや」ポツリ

女「えっ?」

男「いや、何でもない。そろそろ出て人気がなさそうな場所を探そうか」

男「・・・10階建てのマンションの踊り場」

女「・・・」

男「君の住んでる部屋の前」

女「・・・」

男「・・・ここでいいのか?」

女「・・・はい」

男「そっか。ならいいや」

女「・・・ありがとうございます」

男「?急にどうしたの?」

女「こんな私を殺してくれるなんて」

男「・・・お礼を言われる事なんてしてないよ。これは犯罪だしその中でも重罪なんだから」

女「それでも、ありがとう」

男「・・・ん」

男「・・・そうだ、遺書とかは?」

女「もう全部家の私の部屋に」

男「・・・準備、いいんだな」

女「どうせ私の部屋を見る物好きなんて居ないですし、何日間か居なくなってたって気付かれないし」

男「・・・まあ、そこら辺はさっき聞いたからいいよ」

女「じゃあ、お願いします」

男「・・・」

どうなるんだろう

男「ここで死んだとしても」

女「?」

男「生まれ変わるかもしれない」

女「何を言っているんですか?」

男「どこかの国の姫様になって魔王に攫われ、勇者様に助けてもらうのを待つのかもしれない。はたまたもしかしたら魔王側になるのかもしれない」

女「だから何を言ってるんですか?」

男「この前世の記憶を持ってるかもしれない。全て忘れているかもしれない。記憶が変わって俺に殺されたと思うかもしれない」

女「だから・・・「でも」っ?」

男「ここに君がいた記録は残る」

女「・・・」

男「自殺したって記録は残る。小さな頃から不幸続きだったってことは残る」

男「だから」

男「今まで不幸が続いていても」

男「最後は幸せだったって言わせたい」

女「!」

男「誰かに見られる記録に残らなくても」

男「俺だけが覚えていられる記憶に残していたい」

男「だから聞くよ」

男「君は俺に何を望んでいる?」

女「・・・」ポロポロ

女「わ、たしを」

男「うん」

女「私を覚えていてくれませんか!!」ブワッ

女「今まで何も出来なくて!何もして貰えなくて!生きているだけで蔑まれて!」

女「そんな私を!」

女「そんな、私を、」

女「覚えていてくれますか・・・?」

男「絶対覚えてる。死ぬまで覚えてる」

女「・・・ありが、とう」

男「だから」

男「安心して死んでもいいよ」

女「・・・はい」ポロポロ








男「落ち着いた?」

女「・・・はい」

女「すみません取り乱しちゃって」

男「大丈夫大丈夫」

女「じゃあ、そろそろ」ヨジッ

ヒュォォ.......

女(やっぱり、怖い)

女(だけど)

女(覚えていてくれる人が居るのなら怖くない)

女(誰かにいてもらえるのなら怖くない)

男「・・・行くよ」

女「はい」

女(だって)

ドンッ




(私は、ここに居れたんだから)




ドシャッ

5分の思いつきをそのままぶちまけたらこうなった。

反省はしてないが後悔はしている。

なんかすっごい超展開だけど仕方ないよね

依頼出してきます


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