響の革命戦争 (186)

※注意※
キャラ崩壊や痛々しいシーン、暴力シーンが多数ありますのでご注意ください

それでは、始めます。

~追記~
艦これです

車が舗装もされていない山道を進む。日の光が差し込まず、ジメッとした空気が窓から入ってくる。


「...本当にやるのね?」


運転手が心配そうな声で話しかけてくる。もう決めた事なのだ、今さら話しかけられても決意が揺らぐことは絶対に無い。その決意を見せつけるために、持っているトカレフに弾を装填する。


「...分かったわ、ほら目的地に着いたわよ」


車のドアを開ける。さっきよりはマシな空気だが、それでも気持ち悪くなってくる。アタッシュケースを持ち出して、よく景色が見える所にたどり着く。


ケースを地面に置き鍵を開けて、中身をゆっくりと取り出していく。様々な部品がたくさんあり、1つずつミスしないように組み立てていく。最後に弾倉を差し込んで終わり、これで対物ライフル『バレット』の出来上がり。

呼吸が整ってきたところでゆっくりとスコープを覗き込む。正面正門には警備が二人、見張り台が2つでそれぞれに一人ずつ、見回りが数人で中に居るのを考えても20人以上は警備兵が居る。今攻めるのは控えるべきなので、双眼鏡に変え鎮守府を見張る。


時刻は午後の2時半、昼食の為か警備兵が鎮守府内に入っていく。残っているのは見張り台に居る警備兵と正門に居る2名の警備兵のみ、今度はバレットのスコープを覗き、見張り台に居る警備兵を一人ずつ仕留めていくことにする。


トリガーに指をかけ、息を止めた。全ての音が消える。鳥がなく声も、波の音も何もかもが消える。まるで時が止まったような空間で狙いを定める。


そして...


50口径の対物ライフルが火を噴いた。命中した警備兵の上半身が汚い臓物を撒き散らして死に、辺りに居る鳥達は一斉に空へ羽ばたいた。

続けて2人目には下半身に弾丸が命中した。下半身が無惨に弾け、上半身だけが憐れにピクピクと動いているのが分かる。正門に居た警備兵達が気付き、サイレンを鳴らす。私は山をすぐに駆け下り、2、3分あればもう敷地には侵入できた。


「敵襲!敵襲!!」


愛用のトカレフを装備し進んでいく。出てきた警備兵達を尻目に、燃料保管庫に入ってやり過ごす。中に入れば油の臭いとは違う嫌な臭いが鼻につく。奥に進めば進むほど臭いがキツくなり、肉と肉がぶつかる音が聞こえ始める。


「いだいっ...!もうやめっ...!」


「艦娘は黙って犯されてろ!」


それはあまりにも酷い光景だった。3人の艦娘が数十名居る男共にたらい回しにされて犯されている。1人は涙を流して抵抗しているが他の2人はもう意識があるのか分からない。

ゆっくりと近づいて、一番後ろに居る男の肩を叩く。


「あ?なんだこんなt」


こっちに顔が90度ぐらい向いた所に頭を撃ち抜く。汚い脳漿を撒き散らして倒れると、男共がこっちに気づいた。


「全員動くな、さもないと皆殺しにするぞ」


男共はすぐに手を上げて膝をついた。1人の首筋にナイフを当ててそのまま首を横に裂く。返り血が髪や服に飛んでくる。


「このクソ女!ぶっ殺してやる!!」


1人が横から襲いかかってきた。1人だけでも襲いかかってくるだけ勇気がある。そのまま走ってきた勢いを利用して投げ飛ばすと、運悪く頭から落ちて死んだ。


「おいお前」


惨めに晒している一物を握る。ゆっくりと上下にしごき、ピクピクと動き始め出そうになった時にナイフで去勢してやる。

汚い、ただただ汚い。一物を投げ捨てると、3人の元へ歩いていく。


「大丈夫かい?」


「う......うん......」


他の2人も息はしていた。3人を保管庫の隅へ移動させると、ザワザワと入り口辺りが騒がしくなる。


「君たちはここに、決して動いちゃダメだよ?」


「...」コクッ


ドラム缶の陰から入り口の方を見ると、大勢の警備兵がこちらに銃を向けて居る。


「直ちに侵入者は出てこい!でなければ貴様は死ぬことになるぞ!」


警告ご丁寧にありがたいことだ。おかげで準備する時間が出来た、何ならあの男共もまとめて全てを灰にしてやる。もう一度3人の元へ戻り、海へと流れる廃水菅へと先に避難させる。


「2分やる!死ぬか生きるか決めろ!」


そんな戯れ言を誰が聞くんだ。ナイフで1つのドラム缶に穴を開ける。ドクドクと流れ出る燃料は1部が気化し他のドラム缶は蓋を開ける。

静電気が起こらないことを祈って錆び付いた窓を開け、ゆっくりと外へ脱出する。


『01、どんな状況?』


「順調、君が持っていけと言っていたC4爆弾役に立ちそうだよ」


『ほら!だから言ったでしょ?困ったときは爆弾が必要なんだって!』


「ああ、煙がそっちから見えると思うよ」


カウントダウンが終わったのだろう、警備兵達が全て保管庫の中に入っていった。防波堤の影に隠れて 、スイッチを押すと燃料保管庫があったところで大きな爆発が起きた。


「どうだい?そっちでも見えるだろ?」


『おぉう、えらく派手にやったねぇ~』


「警備兵とクズ共はほとんど死んだ、後は親衛隊ぐらいしか残ってないよ」


『OK!それじゃあそっちに制圧部隊送るから!2分で着くよ!』


無線を切ると最後の建物に乗り込む。

重苦しい扉を開けると、やけに静まり返っている。試しに一番近い扉をノックすると、中からは弱々しい女の子の声が聞こえてきた。


「...ど...うぞ...」


開けると1人の少女がボロボロの制服を来て、布団の上に座っていた。身体中に痣がたくさんあり、首には縄の痕のような物がある。


「...どなた...ですか...?」


「名前は言えないよ。でも、君たちを助けに来た」


「...わたし...たち...を...?」


「出来れば、君の名前を教えてほしいな」


「朝潮...です...」


「それじゃあ朝潮、他の子達の場所を教えてほしいな」

朝潮ちゃああああああああああん

ボロボロの体を起こして立ち上がる。痩せ細った体は、立つのさえ辛いらしい。


「ほら、背負ってあげるよ」


「あ...ありがとう...ごさいます...」


外からはヘリコプターの音が聞こえてくる。


「ヘリコプター...?」


「来たみたいだね」


「01!大丈夫!?」


いつもの騒々しい声が聞こえてくる。


「ああ、それよりもこの鎮守府に居る艦娘たちを保護してあげてほしい」


「了解了解、ほら皆!取りかかるわよ!」


武装した者たちが鎮守府内の確保に取りかかる。どんどんと食料品が運び込まれていき、朝潮をお粥を食べていた。

※訂正※
朝潮を→朝潮は

「さてと、残ってるのは...!」


最後の扉を開ける。不快な臭いが鼻につき、椅子に座る男がこっちを見て戦いていた。


「な、なんだお前は!?こんなことをしてただで済むと思ってるのか!?」


「ちょっと黙れ」


グチグチと動く口を肩を撃って黙らせる。白い制服が真っ赤に染まっていき、悲鳴が聞こえる。


「ぐぁぁぁぁああああああ!?」


「はぁ...撃たなかった方が静かだったな」


開いている口にトカレフを突っ込む。


「せっかくのトカレフをお前のために汚したんだ。喜んで欲しいもんだね」


まともな死に方はさせてやるものか、いかに屈辱的に、そしていかに残酷な殺し方をするか...

「よし、ついてこい。拒否権はない」


足を撃って動けないようにする。太股に2発ずつ撃ち込んでやったから、ほっといても失血のショック死するだろうがそれなら彼女たちに鬱憤を晴らさせてやろう。


外に引きずり出す。保護された艦娘たちが皆お粥を食べていた。


「01、海岸で3人の艦娘を見つけました」


「そうかい、ちゃんと生きてたんだね。それと、他に生きていた警備兵は?」


「地下に居たのが3人、すぐに射殺しました」


「よろしい、それじゃあ面白い見せしめだ。皆を呼べ」


「了解」

「ほら、皆注目!このクズ今まで君たちを虐げてきた張本人だ!この罪人にはどのような罰が相応しいか!」


「磔だ!磔にしてやれ!」


「いえ!海に沈めて魚のエサにしてやるのよ!」


「甘いわ!達磨にしてクレーンで吊ってやりましょう!!」


いろんな子から様々な方法が聞こえてくる。クズは顔を真っ青にしてガタガタを震えていた。


「なんならクレーンで吊るした後に燃やしてやりましょう!!」


「お、なかなかいい案が出たね。それにしようか、君は四肢をもいで達磨にした後クレーンで吊る。それから燃やしてやるか♪」


「ひいっ...!」


「おや何を怯えてるんだい?大丈夫?苦しい痛みに襲われるだけさ。ねえ13」


「はい?」


あれを持ってきて、それと包帯とガソリンもね」


「分かりました」

大きな機械の音が段々と近づいてくる。


「チェーンソーはお好き?」


「......ぁ...っ...!」


「そう好きかい、ならちょうど良かった。君にピッタリの死に方がある♪それじゃあ02、やっちゃって♪」


「はいよ~」


汚い音を鳴らしながらまずは右腕から切り落としていく。ドバドバと溢れ出る血は地面を埋め尽くしていく。


「」


声帯が潰れたのだろうか、全く声を出さない。それでも激痛は本物でほとんど白目を向いている。


「次は左腕、すぐには切らないでゆっくりね」


「はいはい」

今度は左腕を切り落としたが、もう反応がない。


「01、これもう死んだわよ?」


「はぁ~...使えない。良いや、予定通り達磨にして燃やしちゃおう」


さっさと足を切り落として包帯を巻く。鎖で縛ってガソリンを被せて火をつける。下からは艦娘たちの歓喜の声が聞こえてきた。


「よしよし、これでいいね。ずい...じゃなかった、02、帰ろうか、ヘリに彼女たちを乗せてあげてね」


「はいよ~」

ここまで、また明日

再開します

一機の輸送ヘリに1人ずつ乗せていく。警戒中の偵察ヘリが01の元へ無線をかけてくる。


『01、1時方向から輸送車両がたくさん来ています。ご注意を』


「こちら01了解、02はこのまま彼女たちをヘリに、他は私に付いてこい!!」


30人ほどの仲間がサブマシンガンやアサルトライフルを装備して、それぞれの配置につく。私は建物の階段を駆け上がって屋上に陣取る。


「13、偵察を切り上げて撤退、後は任せてほしい」


『了解、御武運を』


正門に20両ぐらいの輸送車両が到着する。上部には機関銃が装備されており、こちらに射撃をしていた。


「全員、慌てず騒がずだ。深海棲艦との戦いに比べればこんなの屁でもないだろう。少女たちがヘリに乗り込む5分間、奴らを食い止めるだけでいい」


グリップを握り締め、体の昂りを押さえる。奴らの射撃が終わった頃を見計らって、こちらの攻撃を開始する。その時をじっと待っていた。

重機関銃の腹に響くのような銃撃音が続く。建物の壁は着弾する度に削れていき、既に1部では鉄骨が露になっていた。


「...02、あとどれくらい?」


『後4分あれば乗せられるんだけど、1人が銃撃音聞いてパニック起こしちゃって...』


「なるほど、分かった。なら、こっちも攻撃を始めよう。誰かRPGを持ってるやつは?」


『01、09と16、21と28が装備しています』


「了解、なら私の合図で挨拶がわりに輸送車両へぶちこんでやれ」


『了解』


重機関銃の音が止み、数十名の武装した男共がゆっくりとこちらへ歩いてくる。


「カウントダウン」


全員が息を飲んでいることだろう。中に初めての戦闘の者も居る、でも退くことは出来ない。


「три」


死にたいやつなんていない、艦娘であってもだ。だから生きて帰る。


「два」


どんどんと近づいてくる。手が震える。それは恐怖か興奮から来たかは分からないけど、グリップを握り締めてもおさまらない。


「один」


そして


「Огонь!!」


一斉にロケット弾頭が放たれた。憐れにも着弾した輸送車両は爆発し、黒煙を吹いて燃えている。

「射撃開始!!」


一斉に銃弾を放ち始める。地の利はこちらにある、遮蔽物や高低差など、どれをとってもこちらが負けている所は無い。


上から遮蔽物に隠れているつもりのバカ共を狙う。流石は武器商人御用達のAK74、少々乱暴な扱いをしても壊れない耐久性と安定性は本当に恐れいる。


「全員このまま撃ち続けろ!1人も絶対に逃すな!」


1人、また1人とバカ共は死んでいく。ろくに訓練もしていない新人共の集まりだろう。


『01、このままならすぐに片付きそうですね!』


「まだ安心できない。それに...」


山の向こうの方から、増援と思われる輸送ヘリが飛んで来る。空を見てか、さっきの兵隊共はさっさと逃げ帰ってしまった。


「02、そっちは?」


『よし、乗せ終えたわ!あんた達も戻ってきなさい!』


「よし、全員退却するぞ。迅速にな」

階段を飛び降りるようにして階段を駆け下りる。扉を開けると、既にほとんどの仲間がヘリに乗り込んでおり、私もさっさと02に合流する。


「01、早く乗りなさい!」


「はいはい」


ヘリに乗り込むと、ハッチが閉じ始め機体が陸から飛び立つ。


「ふぅ...30分位か、記録更新かな?」


「お疲れさま01、今回も楽だったわね」


「02、負傷者は?」


「2人が肩を撃たれてる。すぐに手当てをして、止血したから死ぬことは無いわ」


「今回保護した子達は全員で何人だ?」


「えっと、全員で47人、ほとんどが駆逐艦娘ね」


「クソロリコンが...!」


「皆、痣や栄養失調とかで済んでるんだけど、1人だけとても状態が酷いの」


「どういう状態?」


「一番怪我が酷い子は駆逐艦娘の『陽炎』ね。縄の痕、火傷、痣、銃痕に挙げ句の果てには右腕と左足が欠損しているわ」

「精神的ダメージもとても大きいみたい」


「義手と義足は?」


「もう連絡はしたけど、後は陽炎の同意がないと...」


「拒否するなら無理に付けることはしないさ」


「それもそうね」


「今は眠っているのかい?」


「ええ、何とか睡眠薬を飲ませてね。あれ以上暴れると陽炎の身ももたないから」


「そうか、なら良い。後で一対一で面談するよ」


「あまり脅かさないようにね」


「はいはい」

今日はここまでです。ではまた

再開します

「01、後方に敵偵察ヘリがついてきています」


「分かった、02は何か武器を貸して」


「待ってバレットはどうしたの?」


「...忘れてきた」


「はぁ!?もう対物ライフルなんて安くないのよ!?」


「良いから早く」


「ったく!ほら!L-39でも使ってなさい!」


L-39対戦車銃、通称『ラハティ』。総重量で50㎏にまで達する化け物である。現在あるライフルの中でおそらくもっとも重い銃。主にフィンランド軍が、継続戦争にてソ連軍を対して使った。ソ連の代表的なT-34やKV-1などの戦車の装甲を貫通することは難しいが、燃料ブロックやキャタピラを狙った攻撃で戦果を挙げている。継続戦争では約1800もの数が生産された。


「これは良いものだ。それじゃあ、操縦手、ハッチを開けてくれ」


ゆっくりとヘリの後部のハッチが開く。床に設置して身を銃に委ねる。


「...」


揺れ動く機体の中で、敵のヘリの動きと狙いがが一致するまでじっと待つ。勝負は一瞬...


トリガーを引くと銃の音とは思えない重々しい射撃音がヘリ内に響く。まるで対空砲の音だった。敵ヘリははコックピットの窓の防弾ガラスが粉々になって墜ちていった。

「ふぅ...操縦手、ハッチを閉めてくれ」


「あんた狙撃手を中心にやったら?」


「いや、私は前線に居る方が似合ってるよ」


「さて、それじゃあこれ運ぼうか、02手伝って」


「はいはい」


相変わらずの重さである。1発1発の弾丸の大きさが尋常ではないので、それを撃つこの銃も物凄く重い。まるで鉄の塊を持っているみたいだ。


「それにしても相変わらずの重さだ。やってられなくなるな」


「あんたがバレットを忘れるからでしょうが!」


「そんなに怒らないでくれ」


「はぁ...早く帰りたいわ」


ラハティを保管庫に直すと02が椅子に座った。かなり怒っているらしく、足を組んで不貞腐れたように目を瞑っていた。


「01、嫌われちゃいましたね」


「うるさい、君は早く基地まで飛ばしてくれ」


「了解しました」

数十分ヘリが飛び続けると、離島が見えてきた。様々なところに対空砲やレーダーが設置されており、要塞の様に頑丈に守られていた。さきに飛び立ったヘリはもう到着していた。


「よし、見えてきた。全員下りる準備だ。基地に帰ってきたぞ」


ヘリポートの上までやって来ると、下に居る小さい旗を持った誘導員がヘリをちゃんとした場所へ着陸するように誘導している。


ヘリがゆっくりと着陸する。誘導員は走ってコックピットの元へと行き、何やら話をしている。


「よし、空の旅お疲れさまでした。ただいまハッチを開けますので少々お待ちください」


再びゆっくりとハッチが開く。眩しい日の光が入ってきて、心地よい海風が入ってくる。


「ふぅ...やっぱり海風は気持ちいいな。02、着いたよ」


「んっ...?着いたの?」


「あぁ、着いたぞ。眠かったらさっさと部屋に戻って寝たらどうだい」


「いや、私はあんたと違って会計や人事とかをしないといけないの。今回はあんたがバレットを紛失したせいで資金がまた減るのよ」


自分の装備を持って部屋に戻っていく。


「やれやれ、皆解散だ。お疲れ様」

「...陽炎の病室に行こう。様子が気になる」


装備を外さずに病棟に向かう。病棟は五つあり、全て合わせての収容可能人数は500人程度だ。


「確か三号棟だったな」


病棟の中に入ると受付の男性が私を呼び止めた。


「申し訳ありませんが、こちらにどのようなご用件かお書きください」


「ん、それはすまない。...これでいいかい」


「拝見させていただきます。...陽炎さんとの面会ですね。地下のB13号室となっています」


「分かった」


「あっ、それともう1つ」


「ん?」


「心に大きく深い傷がありますので、あまり踏み込んだことは聞かれないようお願いします」


「分かった」


エレベータのボタンを押して中に入る。地下のボタンを押して、地下1階に向かう。

エレベータが地下1階にたどり着くと、コンクリートで作られた廊下が見える。


「地下はこんな風になっているのか」


エレベータから30歩歩いたところにB13号室があった。扉は引き戸となっていて、軽く力をいれるとすぐに開いた。


「やぁ」


「......」


栗色の髪、ボサボサになって整えられておらず、虚ろな目でこちらを見つめていた。


「私は君と同じ元艦娘だ。だから君に対して危害を加えたりはしないから安心してほしい」


「......」


未だに全く話をしない。こっちを見つめてはいるが、その目に光はなくまるで壊れた人形の様だった。


「君の仲間達もあの鎮守府から助け出した。もう心配はしなくていい」


「......!」


少し陽炎の目が見開かれた。ちゃんとこちらの話は聞いているようなので、このまま話を続けることにする。

「......ぃ...」


「?何か言ったかい?」


「...ぁ...ぃ...!」


ゆっくりと耳を陽炎の口に近づける。すると微かに声が聞こえた。


「し...らぬ...ぃ...!」


「不知火?そうだな、確認してみよう」


携帯電話を取り出して、内線に繋げて人事の方に繋げる。


『はい、こちら人事部です』


「今回救出した艦娘の中に不知火っていう子はいたかい?」


『不知火ですね?少々お待ちください』


電話の向こうでバサバサと紙を捲るような音が聞こえる。


『今回保護した子の中に不知火という名前の子はいませんね』


「そうか、分かった」


「...!」


陽炎がこちらの袖を引っ張ってくる。


「すまない、今回保護した子の中に不知火という子はいなかった」


「...!」


「おそらく、他の鎮守府に移動させられたんだろう」

「うぅっ...!」


目から涙が零れる。そのまま頬を伝って、シーツを濡らした。


「そこで提案だ」


「...?」


「私たちは不当に扱われている艦娘たちの保護を目的とした活動をしている。もちろん、民間人もだ」


「...ぁ...!」


「もしかしたら君たちも知ってるかもしれないな。テロリストとして聞かされているだろう」


そう言うと、胸元から桜の紋章を取り出す。真ん中には星のマークがあった。


「深海棲艦との戦いが終わった今、艦娘たちは人間として扱われていない。それに軍部によって腐敗した国を変えるため、そして艦娘たちを助けるために私たちが戦っている」

ここまで

やばい、割とこう言う設定の話好きだわ
これからたまに覗かせてもらおう

余裕が出来たので再開します。

私の袖を引っ張っている陽炎の手が震えている。さっきまでの虚ろな目はしっかりとこっちを見つめ、微かに光が宿っていく。


「私も...戦う...!」


はっきりとした声が私の耳へ届く。強く意志を持った声、覚悟を決めた声だった。


「本当に良いのかい?死ぬかもしれないよ?」


「構わない...!私は...不知火を助けたい...!」


陽炎の目は完全に光を取り戻していた。揺るぎ無いその目は、かつて見た姉の目とそっくりだった。


「ふふっ、なら歓迎しよう」


被っていた軍帽を陽炎に被せる。無い右腕が動いているのが見えた。


「ようこそ、私たちの家族へ♪」

「(精神的ダメージも不知火という親友を助けるという目的でエネルギーに変えたか)」


「とは言え、今の君の体では動く事さえ難しいだろう。義手、義足は必要不可欠だろう?」


陽炎を起こして車イスに乗せる。点滴は車イスにくっつける。


「それじゃあ、行こうか」


車イスを押してエレベータに乗る。1階に着くと受付の男性がこちらにやって来た。


「おや、陽炎はもう大丈夫なんですか?」


「ああ、今から技術棟の方へ向かうんだ。院長の方に言っといてくれ」


「分かりました」


病棟から出ると、陽炎は周りをキョロキョロと見回している。それほどこの光景が珍しいのだろうか。


技術棟は病棟から少し離れたところにある。行き交う人は皆私に挨拶をしていく。

「あ、隊長!お疲れ様です!」


「やぁ、訓練の方はどうだい?」


「最近は、ようやく射撃が上手くなってきました!いつかは隊長と一緒に戦える様に頑張りたいです!!」


陽炎がこっちの袖を引っ張ってくる。


「ああ、この子は最近入ったばっかりの新人なんだ。でも、少し射撃が苦手みたいでね。まだ戦わせる事ができない」


「むむむっ...でもいつかは隊長と肩を並べられるように頑張りますよ!」


「あはは、それじゃ技術棟に向かおうか。義手と義足を作らないと」


「あ、すみません。何か私邪魔しちゃったみたいで...」


「気にすることじゃない。それじゃあね」


「はい、それでは!」

技術棟に着くと重々しい鉄の扉が私たちの行く道を遮っている。何とか背中で押し開けると、中から何かで鉄を叩く音や熔接したりする音が聞こえてくる。


「おーい、居るかー?」


「はいはーい!ご用件は受付の方にお願いね~!」


「やれやれ...」


ゆっくりと受付に歩いて行くと、カウンターからニョキッと顔を出していた。


「おや?リーダーが来るなんて珍しいですね。それも車イスを押して、どういうご用件で?」


「実はこの子の義手と義足を作ってあげて欲しくてね。出来るだけ頑丈で壊れにくいのが欲しいんだけど」


「義手と義足ですか?なるほど...少し腕の太さと脚の太さを測らせてくださいねぇ~」


メジャーを取り出して測ろうと腕をさわると、ビクッと陽炎の体が震える。


「あっ、ごめん。何か変なことしちゃったかな」


「う~ん、まだ他人に体を触られるのは厳しいかぁ。私にメジャーを貸してくれ」


「はい、この紙に太さを書いてね」


「了解、ほら陽炎、腕の太さと脚の太さを測るよ」


「...」コクッ

まだ私にも触られるのは苦手なようで、腕の太さを測るために左手が皮膚に触れるとビクビクと震え始める。


「大丈夫、安心していいよ。すぐに終わるさ」


腕が終わるとすぐに足に取りかかる。痣がまだ目立つし、チラッと見える火傷の痕と銃痕は腹部に集中していた。


「...この傷はまだ痛むかい?」


「...うん」


「そうか...大変だったんだね」


太さを測り終えると、紙に記録して受付に出す。


「なるほどなるほど、太さは分かった。んじゃ設計に取りかかるから1日頂戴ね」


「ん、それじゃ陽炎、部屋に戻ろうか」

今日はここまで

再開します。

扉を押して外に出る。さっきまで晴れていた空が雨雲で覆われている。雨が降ってくるまえにさっさと病棟に戻ることにする。


「ふぅ、天気が急に変わった、キツいのが降りそうだなぁ...」


「お戻りになりましたか」


さっきとは違う受付の女性が出てくる。手にはカルテのような物を持っている。


「義手と義足を作りに行ってたんだ。何か用か?」


「警備班の方から来るようにと連絡がありまして」


「警備班から?分かった。それじゃあ、陽炎の事を頼んだ」


「分かりました」


車イスから手を離すと陽炎が不安そうな顔でこちらを見つめてくる。


「大丈夫、私が居なくても君は大丈夫だ。安心して送ってもらうといい」


「...うん」


陽炎を看護婦に託して病棟から出て、近くを走っていた車を止めてもらう。

「あのさ?私は今パトロール中なんだけど、何?」


「第3監視塔まで送ってほしい。急ぎで頼む」


「急ぎって、自分勝手に私を止めてその態度は無いでしょ」


「頼む」


「はぁ...第3監視塔ね。ちゃんとシートベルトしなさいよ」


「分かってるさ」


車が再び動き始める。第3監視塔は現在居る病棟前から15分南に走ったところにある。


「あ、しまった。銃を忘れた...」


「サイレンも鳴ってないから大丈夫でしょ、それにあんたの大好きなトカレフがあるでしょうに」


「AKがある方が安心する」


「はいはい、うるさいから着くまで寝てなさいな」


「公務中に寝るやつが居るか?」


「どうせ誰も見てないわ」


「君が見てるだろ」


「私が報告するとでも?」


「むしろしないとダメな気がするが?」


「ふふっ、それもそうね」

10分走っていると雨が降ってきた。車のワイパー
を起動し視界を確保する。


「遂に降ってきたわね。まだ昼だから良いけど、これが夜だったら視界が最悪だわ」


「最近は何かとこの島に近づいてくる船が多いからな。軍部から逃れてくる民間人も多いから、誤認だけはしたくないものさ」


帽子を深く被って警備についてボヤく。あまり良くないことだが、愚痴の1つや2つ、言わないとやってられない。


「今の失言として受け止められるわよ。あまり外で言わないように」


「はいはい、これじゃ隊長として失格だな」


「ねえ、今回救出した艦娘の中に『朝潮』ていうの居た?」


今まで見た彼女の顔よりも一番真剣な顔だった。


「朝潮...ああ、居たよ。痣と栄養失調、立つのも辛いみたいだった」


「そっか...朝潮姉が...」


「...君は朝潮型だったな。パトロールが終わったら会いに行ったら良い。私が責任をとる」


「...ありがと」

そんな話をしていると、車はいつの間にか第3監視塔に着いていた。


「ほら、着いたわよ」


「ありがとう」


「後で何か奢りなさいよね!約束よ!」


「ああ、覚えてたらな」


「絶対に覚えてなさいよね!!」


そう悪態をつくと、走り去ってしまう。その後ろ姿を数秒見つめると、踵を返して監視塔のセキュリティドアの前に立つ。


「セキュリティカードは...あった」


胸ポケットから紫色のセキュリティカードを取り出す。装置にかざすと、緑色の光が発されドアの鍵が開く音がした。

階段を駆け上がり、司令室に入る。


「あ、隊長」


「何かあったのか?」


「はい、この双眼鏡で1時方向を見てもらって良いですか?」


「どれどれ」


監視員の言う通り1時の方向を見てみると、3隻の船が白旗を掲げて凪いだ海を漂っている。


「白旗?民間人か?」


「こちらから無線は送っているのですが...向こうからの返信が無いのです」


「無線の扱い方を知らない民間人なのか、それとも民間人を擬装した腐った軍部の連中か...」


「どうします?」


「誰か船を運転してくれ、私が直接行こう」


「さ、流石に危険では...」


「直接出向かないと分からないだろ、RPGとアサルトライフルを装備していこう」

奥の武器庫からAK74とRPG7を持ち出す。


「よし行こう、ここからはコードネームで」


「分かりました01」


装弾された弾倉を6個持っていく。ロケット弾頭は4つとかなりの数を持って、船に乗り込む。


「01、準備は良いですか?」


「ああ、出発だ。君は運転に集中するだけで良い。誘導、戦闘、会話は私がすべてする」


「何かあれば私にも頼ってくださいね」


「その時は本当に大変な時だ。私が死体で帰ってくるときぐらいかな」

ここまで

面白い

再開します

船を発進させ、白旗を掲げている正体不明の船に近づいていく。私は船の影で弾薬を装填し、ロケット弾頭も装填する。


「01、そろそろ準備をしてください」


「なら速度を落として」


最高速度から時速10㎞位まで下げる。影から体を出すと、スピーカーを使って呼びかける。


「前方にいる3隻の船に告げる。直ちに船内に居るものは船外に出て我々の島に近づいてきた目的を言え!繰り返す!船内に居るものは船外に出て我々の島に近づいてきた目的を言え!」


バタバタと慌ただしく船内から子供の男女、大人の男女が船外に出てくる。皆ボロボロの服や中にはタオルを体に巻いただけの人も居たが、戸惑いなく銃口を向け脅すような声で目的を聞き出す。


「何故この島に近づいた」


「まっ、待ってくれ!俺たちは今の政府が嫌で、ここなら自由に暮らせると聞いてやって来たんだ!」


「...私は嘘が嫌いだ。もし嘘ならここにいる全員が死ぬことになるが」


「ほ、本当だ!ここに居るものは全員、親を殺されたり、子を殺されたり者なんだ!そんな国についていくなんて馬鹿げた事はしない!」


「ほぅ...?」


男の目を見て、嘘をついているようには見えなかった。

「嘘はついてない...ね?」


男が私の目から一切目をそらさず首を縦に振っていた。


「そうかい、ならちょっと待っててほしい」


いったん船内に戻ると、中に居るもう一人に銃を持たせて代わりに見張らせる。私は無線を開いて例の奴の所へ繋ぐ。


『はい、こちら02』


「やあ02、私だ」


声の主がこちらのことを把握すると、途端に不機嫌な声になる。しかも舌打ちまで聞こえてきた。


『はぁ?何でこっちに無線を繋いだの?』


「実は今、この島で暮らしたいっていうのがたくさん来たんだ」


『へぇ、で?それが何か?』


「君も理解が悪いな、新たに住人リストの更新をお願いするよ」


『ちょっと待って、私もそっちに行くわ』


向こうから無線を切られる。こっちもマイクを奥と再び船外に出て相方の元へ行く。

「無線は終わりましたか?」


「ああ、02がこっちに来るらしい」


「今からとなると...ヘリですか?」


「多分ね、何でこんな雨の日にヘリのかは分からないけど」


数分もすると大雨の中一機のヘリがやって来る。風は無いので操縦自体は大丈夫そうだ。


「01!来たわよ!」


「来たね、彼らが私たちの島で過ごしたいって言っている人たちだ」


「パイロット!船に飛び降りれるぐらいまで高度を下げて!」


ゆっくりとホバリングをしながら、高度を下げて船からの高度を2メートルまで下げると、02が戸惑いなくヘリから飛び降りて相手の船に乗り込む。


「っと、貴女たちが移住したいって言ってるのね」


「あ、ああ!あんな言論も生活も何もかもを抑圧する国はもう嫌なんだ!君たちの島で自由に暮らさせてほしい!」


「そうね、01は彼らの移住をどう思ってるの?」


「私は別に構わないよ。ただし、身体検査と3日は 別の区画で過ごしてもらう事が条件だ」


「そ、それぐらいお安いご用さ!なぁ皆!!」


全員が首を縦に振っている。

「全員移住するのね、なら私が誘導するわ。01は先にヘリで帰ってて」


「はいはい、なら持ってきてるAKとRPGを直しといて」


「何で武器持って来てんのよ...」


「まあまあ、それじゃ頼んだ!」


02から文句が来る前に先にヘリに乗り込んで扉を閉める。


「ふぅ...出してくれ」


「了解しました。それでは飛ばしますね」


またヘリが高く上昇し始める。


「そういえば、隊長と02ってどういう関係なんですか?やっぱり仲悪いんですか?」


「そうでもないさ。夜ではいつも私の部屋に来て、膝枕を頼んでくる」


「あの02がですか?いつもの態度とは違って甘えん坊なんですねぇ...」


「2日前の夜だって...」

~~2日前 午後9時頃~~


「~~♪」


鼻歌をしながら銃の整備をする。弾倉に弾丸を詰めていると、部屋のドアがノックされる。


「誰だ?」


「わ、私よ」


顔を赤らめながら、部屋の中に入ってくる。可愛らしい下着で、ソワソワと落ち着かない様子だった。


「ふふっ、何の用かな?」


「わ、分かってるでしょ!」


「あはは、ほらおいで」


私が座っているベットの前まで来ると、すぐ隣に座って私の太ももに頭をのせてくる。その頭を相手が嫌と言うまで撫でてやる。


「今日はいつもより早いな、仕事は?」


「...早めに切り上げてきた」


「へぇ、珍しいね。君が仕事を早く切り上げるなんて」


「だって...明日膝枕できないじゃない...」

プクッと頬を膨らませて、文句を言わずに私に頭を撫でなれ続けている。


「いつもは気が強い君が私の太ももの上で撫でられているなんて、他の人が見たらなんと思うか...」


「別に何と思われても良いわよ...ほら、手が止まってるわよ」


「はいはい、それにしてもいつ触っても整ってる髪の毛だ」


「そりゃあ私も女の子だし、お洒落とかしてみたいし...」


「今度服を買いに行くかい?」


「だから私はあんたと違って暇がないの。そんな簡単に...」


「なら、隊長命令だ。3日後、服を買いに行くから休暇をとるように」


「...誰から許可をとれば良いのよ...」


「ここの最高権力を持つのは誰かなぁ~?」


「ぐぬぬ...3日後1日間 私に休暇を下さい...」


「よろしい、認めよう♪」


「くぅ~...この屈辱感...!」

ここまで

再開します

~~現在 ヘリ内部~~


「みたいな感じだよ」


「ということは、明日休暇を取るんですか?」


「そう、既に会計の方と人事の方に連絡をしておいたから別に問題はないさ」


「ははは、っとそろそろ着陸しますね」


技術棟に一番近いヘリポートに着陸する。依然、雨は強く降り続け止む気配は一切無い。


「ありがとう、気を付けてヘリを戻してね」


「お任せください♪」


ドアを閉め、ヘリが飛び立っていくのを見守る。 ある程度姿が小さくなると、技術棟の建物の中にはいる。


「おーい、居るか~?」


「お、タイミング良いね!今から呼ぼうと思ってたんだ!」


2階からはしごを使って急いで降りてくる。とても興奮しているようで、顔を真っ赤にして息を荒らしながら顔を近づけてくる。


「な、何をそんなに興奮しているんだ?」


「ほら、これを見て!」


手渡されたのは1つの軽い鉄塊、かなり分厚くて大きいそれでいてかなり軽いのだ。


「かなり軽いな、何の金属?」


「ふっふーん、それはチタンと艦娘の技術を混ぜた金属なのだ!」


「へぇ良いじゃん、それでそれ一個作るのにどれぐらいの時間が?」


「えっと、1ヶ月ぐらいかな」


幾らなんでもそれじゃあ遅い、兵器には向いていなさそうだ。


「今遅いって思ったでしょ?でも、本当に知ってほしいのはその強度!劣化ウラン弾を防ぐんだから!」


「劣化ウラン弾を?」


それが本当ならとてつもない強度だ。対物ライフルを簡単に防げるし、もしかすれば戦車砲さえ防げるかもしれない。

「それでテストを手伝ってほしいの!」


「どんな?」


「耐久度テストをね、絶対当てられる人が良いからね。あんまりサンプルに量を使いたくないし」


「はいはい、任せてくれ。それじゃあ早速テストを始めよう」


「よしきた!」


隣の棟の実験室に移る。いつもの射撃の的の代わりにさっきの金属のサンプルが出される。


「それじゃあ始めよう、まずはAK74から!」


弾倉をチェックし、サイトを覗き込む。銃の整備はちゃんとされており、調整はバッチリだ。


引き金を引くと、金属がとても甲高い音を鳴らし軽い火花を散らす。様子を見に行くと、少しあとが残っているだけで何の傷もなかった。


「AK74はほぼ無傷、んじゃ次はMK14ね」


手に取り、スコープの倍率を調整する。やり過ぎず戻しすぎず、ちょうど良い倍率を探す。


弾倉を入れ、狙いを定める。


引き金を引くと、さっきよりも甲高い金属音を鳴らし、火花も大きくなる。流石に傷がついたかと思い様子を見に行くと、当たったところが少し凹んだだけだった。


「MKでこれか、次はL96で行こっか」

ここまで。
少なくて申し訳ありません。

再開します

レバーを引き、弾丸を装填する。いつもより少し、コッキングレバーが軽く感じた。


「あ、ちょっと待った」


せっかく射撃準備が整ったというのに、それを邪魔されるとやる気が削がれる。金属の前ではゴチャゴチャと工具箱を持っていき、何か改装を施している。


「何をしてるんだ?」


「シリコン、どうせなら義手は人肌と同じような触り心地の方が良いでしょ?」


テストでそこまでしなくてはいけないのか?なんて思いながら、改装の様子を眺める。


「これで良しっと」


どうやら終わったみたいだ。さっきまで銀の鈍く不気味な感じから、シリコンで少し血色の良い色になった。


「どう?結構人間の腕っぽくなったんじゃない?」


「日常生活では問題はないさ。後は強度、せめてこのL96に耐えてくれたら...」


そんな望みをかけながら、ゆっくりとスコープを覗き込む。狙うはど真ん中、端なんて狙っても面白くないし何より結果がよくわからない。


「...っ!」


肩に強い衝撃がやって来る。いくら台に置いているからと言って、立ちながらではしんどい。


金属の様子を見に行く。シリコンは抉られているが、中の本体はほとんど無傷に等しい。恐るべき耐久力だ。

「おぉ~、この調子なら対物ライフルでも大丈夫っぽいね。協力ありがと、これでデータがとれたわ」


「協力出来て何よりだ。義手の設計状況は?」


「見た目は何のおかしなところの無い普通な義手、手のひらの大きさや指の長さは銃を構えるときに最も持ちやすいのに調整するつもり。左右非対称だけどね」


「なら良いさ」


使った銃の整備を始める。銃は私にとっての命とかわりない。人助けにも銃は使うし、様々な場面で活躍してくれる。


分解し、銃筒や銃口、ストックに弾倉と全てパーツに埃が残らないようにする。金属疲労が起きてないかもチェックし、起きているようであればパーツを変えてしまう。


「相変わらずまた整備?そんな1回1回しなくても...」


「何が起きるか分からない。それに、起きてから後悔しても遅いからね」


「ふーん、んじゃ設計に戻るね」


「ああ、お疲れさま」

ここまでです

見てるよ

再開します

棒に布をくっ付け、筒の中を掃除する 。まだ少し熱を持っているから、一気に冷まさないよう握って温度を保たせ、ゆっくりと丁寧に拭く。


「~~♪」


奥の方から鉄を叩く甲高い音が聞こえてくる。設計をし始めたと言っていたから、他の誰かが武器か何かを作っているのだろうか。


この施設では許可さえとれば制作・改造は常識の範囲内で自由である。とはいえ、設備の扱いが難しいからか使用するものはほとんどいない。


「(珍しいな、何を作りに来たんだろうか?まぁ、大したものではないだろうが...)」


作れるものは鉄製のおもちゃや簡易なラジコン等、おもに遊びに使われている。


「あ、見っけ~!」


「ん?ああ、何だ。もう酔ってるのか?」


「酔ってない酔ってない~♪何でか二人に見えるぞ~?」


足元はふらつき、顔を真っ赤にして笑っている。これをどう見たら酔っていないと判断できるのか。


「ほらほら~、一緒に酒飲もうぜ~?」


「はいはい、私の部屋で良いか?」


「ヒャッハー!」


もう会話になっているか分からない。こっちから声をかけてもよく分からない声が返ってくる。

肩を貸し、何とか私の部屋まで戻ってくる。整備していた銃は組み立てて、立て掛けておいた。誰か見つけたら代わりに直しておいて欲しい。


「ほら、部屋だぞ」


「うぃ~...遅いから酔いが覚めてきちまったよ...」


「なら今から酒を飲んで酔うか?」


「良いね~、1週間ぶりの酒盛りと行こうか!」


棚からウオッカの瓶を3本取り出す。全部は飲まないだろうけど、一応念のために。ショットグラスに注ぎ、1度口をつける。


「んっ、良い感じだ。それじゃあ乾杯しようか」


「乗り気だね~♪」


「飲むからには楽しむ。それが私のモットーだ」


木製のうつわに日本酒を注いでやる。私はウオッカに慣れすぎたせいか、日本酒では物足りなくなっている。しまいにはウオッカで割っていた。いや、ウオッカで割るというのは日本語としてあっているのか?

「おっ、ありがたいね~」


「ほら、乾杯」


「乾杯っ!」


乾杯をしたとたんに注いだ日本酒を飲み干した。ゴクッゴクッと喉を通る音が聞こえる。まぁ、酒に呑まれかねない飲み方だが...


「ぷはぁ!くぅ~!酒が染みるねぇ~!」


その音に押されるように私もウオッカを飲み始める。いつもの口当たりで、飲みなれた味だ。度数は高いが慣れてしまえばなんてことはない。


「ふぅ、やっぱり酒は良い。こうやって嫌なことを忘れられる」


「ほら、たまには日本酒でもどーよ」


「日本酒は私にとっては水同然だからな...まぁ、1杯だけ貰うよ」


うつわを貰い口に含む。やはり物足りない。うつわを返すと、ウオッカを口に含む。


「良いね~、そんな感じで酒を飲んでみたいよ」


「慣れさ、それと生まれつきというべきか」

ここまでです

再開します

その後、2時間ほど酒盛りは続いた。何度もウオッカを口へ含み、今回で4本飲み干した。

流石に飲みすぎたのだろう。かなり体が暖まっているのが、座っているだけでわかる。が、問題は私の方ではない。顔を真っ赤にし、もう限界なのだろう。フラフラと立ち上がり、ベッドに座り込む。


「うぃ~...ひっく...」


「相当酔ってるな...しょうがない、呼ぶか」


内線でとある部屋に電話する。コールが1回終わる前に、電話が通じる。


「はい、誰ですか?」


「もしもし、私だ」


「あっ...」


こちらから電話を掛けたことで、もう相手にはこちら側の言いたいことはわかったらしい。


すぐに電話が切られたかと思うと、2分後に部屋のドアがノックされる。

「いいよ、入ってくれ」


「ごめんね、このバカを引き取りに来たわ」


「良いさ、私も酒盛りは楽しかった」


引き渡して部屋に置いたままの酒瓶を片付け始める。日本酒の瓶にウオッカの瓶、全て中を水洗いしタオルの上において乾燥させる。


こういう空瓶は、後々様々な事で使える。高い度数のアルコールをいれ、布を口に付けると火炎瓶になる。


「ふぁ~...眠い...」


そのまま睡魔に従うかのようにベッドに倒れ込む。
意識を失うのにそんなに時間は要らなかった。

ここまで
寝落ちして申し訳ない

再開、遅れてごめんなさい

何時間寝ただろうか、軽い酔いだったが完全に覚めていることから結構経っていると思う。そろそろ体を起こそうとした時、誰かがノックもせず扉を開けた。


「(誰だ?ちょっと様子見るか)」


気付かれないよう薄く目を開けて、顔を確認する。私の隊の隊員、いつもはあまり気が強くないが、戦闘時は頼もしい仲間だ。男の子である。歳は15ぐらいだろうか、身長は私と同じくらい。


「隊長...起きてないですよね...?」


こっちを覗き込んでくる。何とか目を閉じて、やり過ごすと仰向けになっている私の体をベッドに整え、何をするのかと気になっているといきなり私のパンツを脱がせ始めた。


「(まさか性欲処理か?別に言ってくれれば手伝ってやるが...)」


チャックを下ろし、露になった男性器は勃起して大きくなっていた。


「はぁ...!はぁ...!」


相当興奮しているのだろう、息を荒くし顔を真っ赤に、ピクピクと男性器が震えている。

「い、いれますね...!」


ズププとゆっくり私の膣内に入ってくる。思っていたよりもかなり大きいが、このくらいは何とかなる。少し声を出して脅かしてやろう。


「んっ...!」


「っ!?」


相当驚いたのだろう、体がビクンと跳ね上がり勢いで私の膣内から出てしまった。でも、私が起きてないと分かるともう1回入れる。腰を動かし始め、何度も出し入れを繰り返す。


「隊長の膣内...とても気持ち良いです...!」


だんだんと腰が速くなっていく、これが初めてなのだろう。かなり動きがぎこちない、こっちはあまりイクほど感じはしないが必死に腰を動かしている姿はとても愛らしい。


「もう出そう...!早く抜かないと...!」


ここまで来たら私の膣内で果てて欲しい。足で腰を固めると、目を見開いて驚いていた。


「わっ!わわっ!?」


「せっかくなら中に出せばいいだろう?」

「だ、ダメです!妊娠しちゃいますよ!」


「そんなこと気にするな、それに私の膣内で出したいだろう?」


口ではそんなことを言ってるが、彼の腰は一心不乱に動き続けている。私の子宮が降りてきているからか、彼のが私の子宮口を何度もつついている。


「出ちゃう!でちゃ、っ~~!」


精液が私の子宮に注ぎ込まれる、結構な量が注ぎ込まれ抜いてしまうとすぐに溢れてしまいそうだ。


「はひっ...ひあぁ...」


「たくさん出たな♪気持ちよかったか?」


コクンと頷くと、放心状態になって座っていた。とはいえ、こっちは物凄い焦らされた気分だ。ので、私の性欲を発散させてもらおう。

「それじゃあ、今度はこっちの番だ♪」


押し倒して馬乗りになる。グチョグチョになってる私のに彼のを入れる。さっきのでかなり腰がやられたのか、もうガクガクになっている。


「隊長...!もう出ないですよぉ...!」


「こんなに勃起して私の膣内を圧迫しているくせに、まだまだ出るはずだ」


今度は私が腰を動かしてやる。今まで感じたことの無い快感が来ているのだろう、顔は完全に惚け涎を垂らしている。


「うあっ...!搾られて...!」


「ほら、出したいだけ出すといいさ。私も丁度...♪」


一気に腰の動きを早くする、私もそろそろ奥の底からキている。どうせなら同時に果てたい。


「またでちゃ...ぅあああ...!」


もう1回私の子宮に精液がさっきよりも多い量が注ぎ込まれた。同時に私も絶頂する、久しぶりにイッた気がする。

ここまで、もうちょっと早く更新できるよう頑張ります

再開します

私の膣内から引き抜くと、たくさんの精液がこぼれ出る。久しぶりにきもちいいのが来た。 あの時のことを思い出してしまいそうだ。


「はぁ...これ以上は抑えられなくなりそうだ...♪」


私のここが疼いている。まだまだ精液が欲しがっている。でも、これ以上はいけない。あのうるさいのにも怒られる。


「た、たいちょぉ...」


「何だ?腰でも抜けたか?」


無言で首を縦に振っている。こぼれ出る精液をティッシュで拭き取り、脱がされたパンツを履く。


さて、何でいきなり私が寝てるときに来たのかを聞き出してやろう。

「何で私の寝込みを襲ったんだ?」


「えっと...その...」


「そんなに言いにくいことか?」


やたらモジモジして顔を赤らめている。別に言ってくれれば、部下の性欲処理ぐらい手伝ってやる。が、言ってくれなければ分からない。


「まぁいい、シャワーを浴びていけ。今回のことは黙っていておく」


「あ、はい!」


なんやかんやしていたら、外からは鳥の声が聞こえている。もう朝だ、早く帰ろう。

ここまで

再開します

体をシャワーで洗ってから服をいつもの戦闘服ではなく、可愛らしい外出用の服に着替える。先にシャワーに入れた子はもう体を先に体を洗い終わってそそっと部屋を出ていった。


「これでいいか、トカレフは...」


愛銃とはいえ他人と付き合っているときに銃器を持っていくのは失礼極まりない。今日だけは机において行こう。何よりアイツがうるさい。


扉を開け部屋を出ると、目の前にもう居た。いつもの煩い時とは違って肌色のカーディガンを羽織り、膝ぐらいまである白のスカート、そして白のシャツ、白い。


「やあ、おはよう」


「おはよう、その格好ってことは今日のこと忘れてなかったみたいね」


「ちゃんと仕事は置いてきたね?」


「当たり前よ、あなたとのデートの途中に水を刺されたくないもの」


「よろしい」


それじゃあ町に行こう、この格好なら子供たちにも怖がられることはない。今日は思いっきり遊んでいくとしたよう。

さてはて、いったいどこへ行こうか?
この島は4つの区域に別れている。第一区から第四区まで存在し、それぞれ特徴を持っている。


「行きたいところは02が決めるといい。今日の主役は君だからな」


「それじゃあまず02って呼ぶのを止めて」


「?じゃあ何て呼べばいい?」


「...今日だけは瑞鶴って呼んで」


「ふふっ、瑞鶴、今日はどこへ行こうか」


宿泊棟を出て、まずは第二区から行くことになった。買い物に関してはあの区域が一番やり易い。それに、美味しいとのもたくさんある。


自分の車を車庫からだし、私が運転席で瑞鶴が助手席。昨日の酒は完全に抜けている。問題はないだろう。

ここまで
遅れてすみません

再開します

車を動かして第二区へ行く。窓を開け車内に空気を入れると、瑞鶴も窓を開けて胸ポケットから1本の煙草を取り出す。


「またいつものかい?」


「良いでしょ、こうでもしてないとやってられないの」


私としては車に煙草の臭いが付くので止めて欲しいのだが...
しょうがないとは思っている、最前線で命を懸けて戦っているのだ。私だって一時期は酒に溺れていた。


「はぁ...それにしても、この島もかなり発展してきたな」


車の外には1年前には考えもしなかった発展した風景が広がっている。人で賑わい、店はひしめくように並ぶ。
かつては荒れ果て、全く人の手が着いていない島だった。


「ほんと、良くここまで発展したと思うわ。この調子ならもっと人口も増えるかもね」


「ああ、いつかは人口過密になるだろうな。そうなる前に早く私たちの島を取り戻さないと」

話をしていると第一区に入った。第二区まではあと20分と言ったところか、他愛ない話をしていると後部座席から犬の鳴き声が聞こえてくる。


「あんた、犬連れてきたの?」


「ははは、私も気付かなかったよ。こいつめ、賢いやつだ」


私が飼っている犬、犬種は確か『コーカシアン・シェパード・ドッグ』。戦闘時は留守番させて隊員に散歩や餌を任せている。
捨てられて弱っているところを保護した。
軍用犬として使われていたのだろう。最初は容赦なく攻撃してきて躾けるのが大変だったが、ちゃんと躾けてやればとても可愛らしい犬だ。


「相変わらずでかい犬よね」


「もし二足歩行したら私と同じぐらいだろうな」


縄張り意識が強く、隊員は同じ縄張り仲間として教えた。今まで危害が加えたこと無いことからちゃんと躾けられているとは思う。

ここまで

再開、携帯を変えたので酉が変わってると思いますが、これからはこの酉で行くのでお願いします

「よし、ここでいいだろう」


車を道路脇の駐車スペースに停める。犬を外に出し、念のためいつも車に置いてあるリードを取り出す。


「瑞鶴、今日は何を買いに行こうか」


「そうね、それじゃ新しい服を買っても良い?」


「ああ、良いぞ」


犬を連れ、目的の商店街まで歩いていく。尻尾を振ってかなりご機嫌の様子、だがすぐにトラブルに巻き込まれることになった。


「キャッ!」


瑞鶴が男に突き飛ばされ、尻餅をついた。マスクにニット帽をしたまさに犯人といった男は、女性ものの鞄を持ち、全速力で逃げている。


「誰か!あの男を捕まえてー!」


瑞鶴はスカートについた砂を払い、すぐに立ち上がる。目を見ただけで腸が煮え繰り返っているのがわかる。


「あんのクソ男…!!」


「落ち着け、そう言うときはこの子に任せるんだ」


犬に瑞鶴に付いた匂いを嗅がせ、男を追わせる。


「さぁ、行ってこい」


猛スピードでかけていく犬は、人混みの僅かな間をすり抜け男をおっていく。それから男の悲鳴が聞こえたのは1分も経たなかった。

「よし、それじゃ犯人の男を見に行こう」


人混みを掻き分け悲鳴が聞こえてきた方へ歩いていくと、右腕を噛まれ必死に離そうとしている男がいた。出血をし、服に血がかなりついている。


「ほら、もういいぞ」


犬は嬉しそうに私の顔を舐めてくる。血の臭いが鼻につくが、今まで何度も嗅いできたこの臭いを今更気持ち悪く感じることはない。


「あはは、いい子だ♪」


「はいこれ、貴女の鞄でしょ?」


「ありがとうごさいます!この恩はいずれ返します!!」


女性は深々と頭を下げて何度もお礼をいっていた。


「さぁて、それじゃ君にはそれ相応の罰を受けてもらおうか、瑞鶴」


「はいはい、なら小指1本貰うわよ」


バキッと折れる音が周りに響く。男は呻き声を出して苦しんでいたが、それもすぐに止んだ。


「次は右だ」


次に音が響いたときはもう男が失神し、涙を流していた。

ここまでです。まだ新しいスマホに慣れて無いので頑張って行きたいです

再開します

遠くの方からサイレンが聞こえてくる。1台のジープが私たちの前の道路に止まり、中から四人が出てくる。


「通報があったわ。ひったくりって聞いたけど…私が来る必要あったかしら」


カラシニコフを持ち、サイドテールの子が私たちのもとへとやって来る。もう男に意識はないが、念のため手錠をかけ3人が車の中へ連れていく。


「やれやれ、ああいう輩が居るとは」


「まだ治安維持活動が足りないのかしら。もっとパトロールの車を増やさないとダメね」


「早く連れていって、折角のデートの時間が…」ブツブツ


隣で小言を言い始めたが聞かないことにする。一度言い始めるとなかなか止まらない。昔からずっとそうだった。


「それじゃ連れていくわね。全く仕事を作らないで欲しいわ」


「ああ、頼んだ」

「やれやれ、瑞鶴買い物の続きをしよう。…瑞鶴?」


「…何もないわ。早く続きをしましょう」


「?」


どうやら機嫌が悪くなったようだ。とにかく、目的の店に行くことにする。


「瑞鶴、機嫌を直してくれ、折角の買い物がつまらないよ」


「…そうね、でも!欲しいのものはあんたの金で買って貰うわね!」


「はいはい、強引だな」


「うっさい!」


とにかく少しでも機嫌が直ってくれて良かった。歩いて目的の三店に到達し、店内へと入る。

ここまで

再開しよう

「いらっしゃいませ~」


気が抜けるような挨拶を躱し、店内に並べられている服を見て回る。まだまだ品揃えは少ないが、これからどんどん増やしていくつもりらしい。


「これとこれとこれ!」


店内に入ってまだ5分も経っていないが、ささっと服を買い物かごに入れて会計を済まそうとした。


「ちょっ…」


制止しようとしようとしたがもう遅かった。乱暴にカウンターに置きいつの間にか抜き取った財布から金を置いて出ていく。


「ほら!早く行くわよ!!」


「やれやれ…代わりに謝っておくよ。すまない、これからも営業を頑張ってくれ」


私も店から出て、瑞鶴のあとを追いかける。

「何を怒ってるんだ?」


「気にしなくていいの!ほら早く!」


言われるがまま早歩きでついていく。あまり気が乗らないが、ここで更に不機嫌にさせるのはあまりよろしくない。


進んでいくに連れ、都市部から離れていく。犬は興奮してはいないようだが少し落ち着きがない。


「おいおい、こんなところで何したいんだ?」


「…写真を撮りたいの」


「…は?」


単純な言葉に少し呆れてしまった。


「だって、初めて会ってからそれ以来全く写真撮ってないじゃない。元々はそのつもりだったのにあの男のせいで…!」


「分かった分かった、ここでなら邪魔も入らないしな」

ここまで

再開します

車の中に入っている機材取り出して、海と岩を背景にする。


「あんたの車、本当に何でも入ってるわね…」


「いろんなことに対応できるようにだよ。いきなりのわがままに応えられるようにね」


脚を組み立て、タイマーをセットする。


「よし、これでいい。ほら、そこに立って」


昔の写真のように立たせる。私たちの間にぽっかりと空いた間を埋めるようなことはしない。それを埋めてしまっては、大切なことを忘れてしまいそうだから。


「ほら、しっかりカメラを見て。目をそらすな」


「分かってる」


カチッとシャッターがきられた。

「よし、これでいいな」


「目的は達成したし…どうしよ」


「もしや、写真が目的だったのか?」


「そうよ、なにか文句ある?」


「いいや、何もないさ」


プルルルッ!いきなり携帯電話から音がした。どうやら内線のようだ。


「もしもし?」


『隊長、今お時間ありますか?』


「うーん、あるような、ないような」


『実は九州のレジスタンスからビデオメッセージが届きまして』


「なるほど、そっちの方が最優先みたいだ。今すぐ向かう。」


『分かりました』


電話を切りポケットへとしまう。


「何かあったの?」


「どうやら仕事のようだ。戻ろう」


「あ~あ、短い時間だったなぁ」


「文句を言うな」

ここまで

再開します

いつもの戦闘服に着替え、会議室へ入った私たちを出迎えていたのは無線室で籠っている元『大淀』だった。


「二人とも来ましたね、そこの椅子に座ってください。説明します」


大きなスクリーンに九州の地図が映し出される。赤い点が鹿児島、熊本、そして長崎に置かれている。


「これは?」


「現在残っているレジスタンス達の基地です。この内の長崎はほぼ壊滅、熊本も半数が壊滅しているとのことです」


九州と言えば、今一番レジスタンス達の基地がある地方。それに、レジスタンス達と軍部の武力抗争が最も激しいところである。


「ビデオメッセージを流します」


1本のビデオメッセージを再生すると、私が最も知っている子が現れる。それも、頭と目には包帯が巻かれていて血が滲んでいた。

『…私は九州レジスタンスの代表者、このビデオメッセージが届いているのなら聞いてほしいの。現在、私たちは激しい攻撃を受けて壊滅状態にあるわ。今はまだ止んでいるけれど、またいつ始まるかわからない。これから私たちは鹿児島に立て籠り最後の抵抗を開始するわ。もし願いを聞いてくれるのなら鹿児島の女子供だけでも救いに来てほしいの…お願い』


映像はそこで途切れ、最初の画面に戻った。


「これが20分前に送られてきたビデオメッセージです」


「なるほど、20分前か。02、戦闘員を全員集めるのとヘリの用意でどれくらいかかる?」


「そうね、燃料の注入や弾薬の補充とかも含めると最低でも2時間はかかるわ」


二時間、そんなものか。呼び集めるのにも時間はかかる。それまで彼女たちには耐えてもらおう。


「それじゃ、この島全体に放送してくれ」


「何をですか?」


「九州解放作戦の開始をさ」

次回から九州解放編をやっていきます

再開します

「撃って撃って!!弾幕を張り続けて!」


前方からやってくる敵の群れに向けて銃を撃ち続ける。寄せ付けないよう弾幕を張るが、盾や瓦礫に隠れられてほとんど効果はないように見える。


「ロケット砲は!?」


「お任せください!」


建物の2階からロケット弾が放たれ、盾を持っているやつが爆発で肉片となって吹き飛んだ。この機を逃すまいと、更に弾幕を張る。盾に隠れていた奴らは遮蔽物がなくなったことで瞬く間にはちの巣となった。だが、まだ瓦礫に隠れている奴らは死なずに残っている。


「代表!この防衛陣地は放棄しましょう!これ以上来られると全滅は必須です!!」


「ダメよ!ここを放棄すればもうまともな防衛陣地は無いわ!救援が来てくれたら私たちの勝ち!それまで耐えて!」


言葉でなんとか仲間たちを励ます。と言っても、本当に来てくれるかわからない。救援要請が届いているのかさえもわからないのに、期待するなんて馬鹿げてるのだろう。


「弾薬の補給は!?」


「あと5分後です!」


また向こう側から叫び声が聞こえてくる。もう一度やってくるのだろう。そんなとき、無線士から呼ばれる。


「代表、貴女にと無線が」


「私?今行くわ!」

ひ、必至…

瓦礫と仲間の死体を越えて無線機まで辿り着く。


「はい、代わりました」


『』

瓦礫と仲間の死体を越えて無線機まで辿り着く。


「こちら九州レジスタンス代表、どこの誰?」


『おー、通じた通じた。こちらは九州レジスタンス救援隊ってところかな』


「本当!?」


『ああ、西か君たちの方に向かってる。あと一時間耐えてくれるかい?』


「もっと早く出来ないの!?」


『今ヘリの出せる一番の速度で向かってる。一時間耐えてくれれば、助けて見せるよ』


「分かったわ、それじゃ」


無線を切り見張り台に登って、全員にスピーカーを使って呼び掛ける。


「全員聞いて!1時間後に救援が来てくれるわ!せめて女子供だけでも守るの!ここで残ることは死を意味するわ!生きたい奴はすぐに投降でも逃亡でもなんでもしなさい!咎めることはしない!」


話が終わって1分が経っても、誰も逃げ出すものはいない。むしろ、各々銃を手に取りそれぞれの配置についた。


「誰も逃げないの?ここには地獄行きのチケットしか残ってないわよ?」


「なに言ってるんですか代表、俺たちには妻や子供、家族が居るんです。ここで逃げたらカッコ悪過ぎて顔を会わせられませんよ」


周りの仲間たちもその言葉に頷いていた。誰もが戦う覚悟を決めていた。死ぬ覚悟をしていた。誰ももう生きて帰るつもりはない。各々の想い人の為、死なんて恐れていられなかった。

今日はここまで、
2スレ目は失敗した物です。忘れてください。

再開します

再び敵の攻撃が始まる。銃撃でこちら側の陣地の防壁が削り取られていき、死人がどんどん増える。機銃で掃射するが奥からやってくる装甲車には歯が立たない。


「ロケット砲は!?」


「現在装填中です!」


せめてあの装甲車さえ破壊できれば少しは状況が楽になる。迫撃砲の砲弾を投げつけ近づいてくる敵を吹き飛ばすが、如何せん数が多い。このままでは数に押し込まれる。


「装填完了!!」


「目標装甲車!機銃を狙って!!」


放たれた砲弾は装甲車の僅か横を通り、奥の建物に命中した。外れかと思ったが、すでに砲撃で弱っていたのかけたたましい音を立てて崩壊し、後方に居た敵を巻き込んだ。


「キャァ!?」


側面から仲間の悲鳴が聞こえる。右方向の防壁が装甲車によって破られ何体か陣地内に突入してくる。


「このっ!」


すぐに3人を射殺し仲間を助けたが、一人がこちらへ掴みかかってくる。そのまま押し倒され、ナイフを首元に突き立てられる。何とか手首を掴んで対抗するが、突き刺されるのも時間の問題だ。


「死ねこのクソアマ…!」


「こんなところで…死ねないのよ…!」


股間を蹴り上げ、怯んだところでサイドアームを引き抜いて頭を撃ち抜く。バサッと覆い被さってくるのを退けるとさっきよりも状況は更に悪化していた。正面と左方面の防壁も破られ、もはや敵を防ぐものがなくなり次から次へと流れ込んでくる。

「…っ!全員後退!ゲリラ戦闘で敵の進行を遅らせる!」


ここまで来ると撤退するのもまともにできない。遂には戦車までやって来た。一人また一人と撃ち殺されたり刺し殺されたりしていく。もちろん、女も関係ない。


「(せめて子供達だけでも逃がせる時間を稼がないと…!)」


戦車の砲撃で建物がどんどん崩壊していく。何人も巻き込まれ、もうまともに戦える者達も少なくなってきた。今ここは地獄と化している。悲鳴、叫び声、呻き声、爆発音、銃撃音、様々な音が交わる。もう逃げるしかない、せめて多くの仲間たちが逃げられるように機銃について撃ち続ける。


何分撃ち続けたか分からない。ガキンという音がし、残弾が無いことを知らされる。頃合いかと思って後退しようとすると戦車の砲撃が近くに放たれ、建物のコンクリートに叩きつけられた。

もう何分気を失っていたか分からない。気がつくと、瓦礫の下敷きになっていた。


「いやぁ!離して!!離してぇ!!」


前の隙間から女性が髪を引っ張られて引きずられているのが見えた。服ははだけており、男共がナイフを使ってズボンを切り裂いていた。


「良い体してるじゃねぇか、クソアマの癖によ」


「いやぁ!止めてぇ!!」


手元に落ちているハンドガンを取り、1人の頭に狙いを定める。何とか頭を撃ち抜き、殺したがまだ3人が残っていた。


「どこだ!どこにいやがる!!」


なんとか体を動かして瓦礫の下から這い出る。撃ち続け、二人を殺したがあと1人残っていた。


「このアマァ!!」


「ぐっ…!」


首を絞められ段々と力を強くなってくる。手袋越しの手が肌に食い込み始め、痛みと苦しみがやってくる。


「あっ…かはっ…」


意識が遠退き始める。体から力が抜け始めてもう抵抗ができない。今ごろは女子供達も殺されているか慰みものにされていることだろう。そんなことを思っていると、首元の手がいきなり離れて一気に流れ込んでくる空気にむせてしまう。


「ゲホッ!ゲホッ!」


「はぁ…はぁ…」


さっきまで髪を引っ張られていた少女が血の付いた瓦礫を持っていた。


「だ、大丈夫ですか…?」


「ありがとう…貴女が居なかったら死んでたわ」

朝はここまで、また夜に

再開、少し遅れました

とにかく此処から移動しよう。いつ新手が出てきても、おかしくはない。 敵の持っていたアサルトライフルを2丁と相当量のマガジンを手に入れ、半分を女性に渡す。


「撃ち方分かる?」


「は、はい。これでも一応は戦闘員です。看護兵ですけど…」


「何でも良いわ。ひとまず此処から離れましょう」


「はいぃ…」


死体と瓦礫を越えて港まで向かう。が、そう簡単には向かえないらしい。盛り上がった瓦礫の向こう側から戦車の駆動音が聞こえ、地面が揺れ始める。


「こっちに隠れて!」


かろうじて残っていた民家の中に隠れる。外には3台の戦車と何百人もの敵兵、今見つかれば殺されるのは確実だ。


「裏口の方から出ましょう、見つかったら殺されるか慰みものにされるわ」


出来るだけ物音を立てず、ゆっくりと外に向かう。

裏口に着くと、扉の隙間から外を除き見る。20名ほど、まだ残っている民家を確認しているようだ。段々とこの家に近付いてくる。


「隠密は無理そうね…貴女、走れる?」


「は、はい…」


「持ってる手榴弾は何個?」


「二個だけです…」


20人相手に一丁のM416と、辺りにいる敵も合わせて千人弱程。逃げられる気がしない、でもこの女性だけは逃がしてあげたい。あの地獄の唯一の生存者だ。


「私が合図したら窓から出て走って。向かいの建物にね」


扉に手榴弾を仕掛け、早まる鼓動を抑える。自然とグリップを握る手は力が入り、扉が開けられるその時を待つ。


「おい、もし奴らの生き残りに女が居たらどうする?」


「決まってんだろ。犯し終わったら頭ぶち抜いて殺すんだよ」


近付いてくる男二人の声、抑える、まだだと早まる気持ちを抑える。扉が開けられてからが勝負、どれだけ敵の頭を押さえられるか。

足音が大きくなって、扉の前で止まった。さぁ開けろ、開けろ…、体中冷や汗でまみれている気がする。


カチッ


小さなスイッチ音が聞こえ、男二人を巻き込んで扉が吹き飛んだ。


「走って!!」


窓から出る女性を撃とうとする奴らを片っ端から撃ち殺す。サイレンを鳴らされ、辺りの敵兵がかき集められる。裏側から聞こえる戦車の駆動音がこちらに向かっていることを知らせる。女性は何とか裏路地まで走り込めた様だ。


何発もの銃弾が体を掠める。死にたくはないが逃げることはプライドが許してくれない。撃たれた分だけ奴らに撃ち返す。手榴弾を投げ止まっている車を爆発させる。巻き込むことはできなかったが、少しの足止めぐらいにはなるだろう。


「はぁ…はぁ…」


私も何とか裏路地に滑り込み、先に行った女性を目指す。

ここまで

おつ

再開します

前方で激しい銃撃音が聞こえる。どうやら生き残りがいたようだ。側面から合流し、敵に向かって撃ち続ける。


「貴方たち!生きてたのね!」


「ご覧の通りですよ!多分二、三分後には死体になってますがね!」


「ねぇ、こっちに女性が走って来なかったかしら!?」


「それならそこの民家に隠れてます!」


「なら良かったわ!」


前の瓦礫を踏み退けて戦車がやってくる。12.7㎜機銃の弾丸が、障害物の壁を抉り取っていく。砲塔がこちらへゆっくりと向いている。


「…くそっ…!」


死を覚悟したとき、突然敵戦車が大きな爆発を起こし砲塔がぶっ飛んだ。20機の戦闘ヘリが私たちの頭上を飛び、敵兵を機銃でなぎ倒していく。

「代表、あれは!!」


「やっと来たのね!遅すぎるわよ!!」


輸送ヘリから続々と武装した人たちが降りてくる。兵士というよりは私たちと同じレジスタンスのようだった。その中に、青が薄く混じった白髪の女性が降りてくる。


「っと、待たせたね」


「お陰で最後の防衛陣地も壊滅よ。非戦闘員を守れなかったわ…」


「その事なら安心するといい。既に非戦闘員たちは全て救助した」


「…その言葉、本当?」


「今嘘をついても意味がないさ。私のことを信じてほしい」


無線から少し眠そうな声が聞こえる。少しプロペラの音も聞こえるからヘリからだろうか。


『隊長、殲滅でいいのですか?投降を呼びかけたりとかは…』


「必要ない、姿を見つけ次第全て殺せ」


『了解です。なら機銃掃射しますね』

ここまで

再開します

少し遅れて輸送トラックが食料と武器を載せてやって来る。30台以上が道に止まり、建造材や機材、ショベルカー等を下ろしていく。


「この辺りを基地にする。港でもいいんだが、あそこは中継点として機能してもらおう。第二部隊が到着したら、港で警戒をするように言ってくれ」


いろいろと指示を出していると、いきなり後ろから抱きつかれる。


「…貴女はちゃんと偽物とかじゃないわよね…?」


「…ああ、私はここにいるぞ『雷』」


雷の涙で私の服が濡れる、それほど感動的なんだろう。今思えば、最後にあってから5年は会っていない。それまで、姉妹にはずっと私が死んだと思われていたのだろう。


「雷、私はまだやることがある。離れてくれないか?」


「嫌よ、絶対に離さないわ…だって、離したらどこかへ消えてしまうから…」


「私はここにいる。ちゃんと生きている。こうやってここに立って雷と話してる。だから安心しろ」


「うん…」


雷は死んだように寝てしまった。今まで緊張状態だったのだから仕方ない。雷を側に居たレジスタンスに託し、基地の建設の指示と食料配給の指示を出す。


「次は残党狩りだな。02、聞こえてるか?」


『ええ、それはバッチリと』


「今動かしてもいい部隊はどれ?」


『今動かせるのは…第一戦闘部隊ね。今そっちに向かわせるわ』


「頼む」


無線を切って、付近の瓦礫に腰かける。ガタガタと隣の家から音がすると、退院に運ばれてきた女性が居た。アサルトライフルを装備し、服ははだけている。

「今までレジスタンスにまともな武器がなかったのか。なるほど、なら半分ほどのAKを与えるとするか。やぁそこの君、少しこっちへ来てくれないか」


武器や配給物資の運搬を獲得をしている者を呼ぶ。


「はい、どうしましたか?」


「今あるAKの半分ほどをレジスタンスへ与えてくれ。今の彼らの装備では、まともに戦えないだろうからね」


「了解です」


男性が先程の位置に戻ると、積み荷をまた適切な位置に動かすよう指示を始める。


「さてと、これからの事も考えてもう少し戦力が欲しいな。そうだな…それなら捕虜収容所と監獄か」


先のことを考えるともっと人数がいるだろう。食料配給にも戦闘にも、レジスタンスを含めると少しは増えるが、救援要請が来てからかなり数も減っただろう。人員補充をどうにかしなければ。

ここまで

再開します

向こうの方からが装甲車2台、上からは機銃には腕に赤の布を括り付けている。


「おー、来た来た。待たされたよ」


「それで、目的地は?」


「近くの刑務所に向かってくれ。中に囚人たちがいるはずさ、理不尽な理由で入れられた罪人がね。さぁ、出してくれ」


「了解、人員補充ですか」


「単なる人命救助だよ、強制なんてしたら奴等と同類になるからね」


「そうですか、まぁ深くは聞きませんよ。人命救助には賛成ですからね」


装甲車は移動を始めた。防弾ガラスの外の景色は瓦礫だらけでまともな建造物はほとんど残っていなかった。


「ふぅ…」


銃を置き、少し休憩する。乗っている他の隊員たちは、それぞれ銃を整備したり本を読んだりとやりたいことをしていた。


「あ、あの隊長!」


「ん…?」


少し睡魔でウトウトとしていたところを起こされた。半開きの目で前を見ると、白髪の少女がいた。


「…誰?」


「わ、私です!ほら!隊長が車イスを押していた時に会いました!」

ああ、何とか頭に浮かんできた。陽炎を車イスで運んでいたときに会った新人だ。


「ああ、君か。ここに配属したんだね」


「はい!まさかこんな早くに一緒に戦えるなんて思ってませんでした!」


目の前で顔を赤くしてまで喜んでくれるとは思っていなかった。実際のところ、陽炎の方が気がかりなのであるが、それは黙っておこう。


「あまり浮かれてると、すぐに頭を撃ち抜かれて死ぬぞ」


「は、はい…すみません…」


「まぁ、君の働きには期待してるから頑張ってくれ」


「っ~!はいっ!隊長!!」

ここまで

再開します

1時間装甲車が走ると鉄柵が見えてくる。車を止め、

1時間走ると鉄柵が見えてくる。車を近くの茂みに止めさせて銃を持って外へ出る。空は雲で覆われいつ雨が降ってもおかしくはない。


「運転手、無線で合図したら輸送トラックを呼んでくれ。それまでここで待機してるように」


柵を破り敷地内に入る。敵は全て逃げたのか、建物に近づいても音一つない。扉の鍵をピッキングで開け、銃を構えたまま看守室に入る。男が一人監視カメラのモニターの前でアイマスクをして寝ていた。
ゆっくりと首に腕を回し、一気に力を込め首の骨をへし折る。


「囚人棟の映像は…これか」


一号棟の映像が数十個あるモニターに写される。が牢屋内の映像には人の姿は無い。既に他の場所へ移されたのだろうか、だか看守は残っている。…少し頭の中にあまり考えたくないことが浮かんできた。


「もう移されたんでしょうか?」


「ならいい方だ。看守はまだ残っている、全て仕留めろ」


ドアを開け、廊下に出る。不気味なほど人気がない、部隊を2つに分け5人ずつで囚人たちを探す。

一つ一つ独房を開けて誰か居るか探していく。4番目の独房を開けたとき、中に親子がいた。


「ヒッ…!?」


「安心しろ、君たちを助けに来たんだ」


親子は安堵したのか抱き合って泣き始めた。着ていた上着を渡して、隊員に周辺の警戒をさせる。


「他の人たちはどこに捕まってるか分かるか?」


「ち、地下…」


「…地下への入り口は?」


「…分かりません。顔に袋みたいなのを被せられるので…」


「…分かった。キミタチこの親子を装甲車まで連れていってくれ。新人、私とついてこい」


もう察した。地下で何が起きているのかを。新人と二人で地下への道を探す。

ここまで、1スレ目は間違いです。すみません

おつでした

再開します

周囲を警戒しながら地下への道をゆっくりと探す。廊下を壁を触りながら進むが、変なへこみがあったり一部が動いたりもしない。コツコツと靴の音が響くだけである。


「地下への階段はどこだ…」


ふと、一部の壁の色に違和感を抱いた。他の壁よりもやけに綺麗で他の壁と区別されているようだ。AKをトカレフに持ち変え壁を銃床で軽く叩く。すると、さっきの固い壁を叩くような音ではなく木製のドアを叩くような音がした。


「どうやらここみたいだ。新人、少し手伝ってくれ」


「は、はい。分かりました」


同時に壁を押し込むと、ベキベキベキッと音を立ててハリボテが崩れる。多少大きな音を立ててしまったが、誰かが駆けつけてくるような足音はせず安堵する。


「よし、進もう。私の後ろは任せた」


階段を一段ずついつでも接敵してもいいようにAKを持ってサイトを覗いておく。

階段を下り終え、通路の奥から嬌声と男の声、それに鳴き声が聞こえてくる。案の定だった、とにかく新人に見せるには恐らく厳しいだろう。少しここで待っていてもらうことにしよう。


「新人、少しここで待ってろ。ここから先は私一人で行く」


「で、ですけどそれじゃあ隊長が!」


「安心しろ。私はこんなところでは死なない」


途中何かを新人が言おうとしたが、それを振りきって先へ進む。段々と扉の向こうからの声が大きくなってきて、自然とAKを握る手に力が入る。

ここまで

再開します

酉が・・・

静かに扉を開け、中を覗き込む。中ではたくさんの女性が首と四肢を鎖で壁に繋がれ、部屋の隅には死体が積み重ねられている。無理矢理犯されている女性に少女。だが、その中で最も異様なものが1つ、腕が酷く焼け爛れ肥大化している少女だ。ずっと呻き声を出し続け、監視の男がイラついてるのか少女を蹴りつけている。

「(数は…10人ほどか。武器持ってる奴らは撃ち殺してあそこのサル共はナイフで良いだろうか…)」

音をたてないようにして部屋の中に入る。それぞれ思い思いの事に夢中なのか、こちらには一切気づかない。ゆっくりと後ろから近付き、手で口を押さえナイフで喉元を掻っ捌く。女性たちの悲鳴でこちらにはまだ気づいていないようだ。2人目にも近付きさっきと同じようにして喉を掻っ捌く。

「何だ貴様は!?」

床に広がった血で流石にバレた。男の死体を盾にし、銃弾を防ぐ。銃弾が止むと、死体を蹴り出し男にぶつけ、怯んでいるのを後ろに一気に回り込み首をへし折る。盛っていた男たちも気づいたのだろう。こちらを見、そして畏怖していた。

「やぁ諸君、君達には2つの選択肢がある。今ここで殺されるか、それともおとなしく投降するか。どっちがいい?」

丁寧に言ってやれば、男たちは簡単に投降した。全く情けないものだ。一切の抵抗もなく、3人を仕留めただけだった。私は、腕が酷く焼け爛れ肥大化した少女に話しかける。

「やぁ、君。大丈夫かい?」

「……」

声をかけても返事がない。こちらの声が聞こえてないようにピクリとも動かない。

「おーい、聞こえてるか?」

「……」

この子とのコミュニケーションは諦めよう。全く動いてくれないからどうしようもない。今はとにかく女性たちを移動させよう。繋がっている鎖を男の服から鍵を奪って開ける。

「ほら、建物を出て森の方に向かえば車があるはずだ。そこで私たちの仲間と合流してほしい。良いね?」

女性はうなずくと、駆け足で外へ向かう。他の女性たちもそれにつられて外へ駆け出していく。

ここまで

再開します

「後はこの娘をどうするかだが…」

「…」

以前踞ったままの少女は全く動かない。こちらからの言葉に全く反応しない、本当に生きてるのか怪しいところだ。

「た、隊長、さっきたくさんの女性が外に向かって走っていきましたけど…」

新人が部屋の中に入ってきて、少女を見た途端絶句してあわあわしていた。

「ああ、今装甲車の方に走っているはずだ。それと、来たんだったらこの娘を運ぶのを手伝ってくれ」

「は、はいぃ…」

二人で少女を抱えあげて何とか背負う。見た目以上にかなり重い、肥大した腕のせいだろうか。

「この娘、乗せられますかね?」

「輸送トラックが来てるはずだ。乗せられる」

何回か扉の所でつっかえたが、体を何回か横にしてゆっくりと当たらないようにして扉を通る。

「さて、あの辺りに待機させていたはずだ」

待機場所に向かうと、1台のトラックが止まっている。

「ほら01、早くその子を乗せてさっさと行くわよ」

「02?何で君が?」

「良いから早く!」

これ以上ゴチャゴチャ言われるのは嫌なので、さっさと乗ってしまおう。それに、今は早くこの娘を乗せてあげよう。

ここまで

再開します

「迎えに来てくれて礼を言うよ。それにしても、君には港確保を任せてた筈だけど」

「本島の方からこの報告書が来たのよ。ほら、読みなさい」

「どれどれ…」

最近、本島の中で義勇軍の数が増えつつあり。それと並列して貯蔵武器の数が減っていると書かれていた。

「うーん、義勇軍か…」

「親族を殺されたりひどい仕打ちを受けたりした人たちが、やり返したいって最近入隊志願する人が増えてたでしょ」

「あぁ、確かほとんど落とした気がするが」

「その人たちが集まって義勇軍を結成してるの、義勇軍1つあたり2000人程だって。流石に増え続けられると新しい国を作りかねないわよ」

「それは困る。ようやく解放の足掛かりが出来たのに」

数分走って森を出ると、後方に数台のお供がついてきていた。何て面倒くさい。

「02、運転任せる」

「はいはい、頭に1発ぶちこんで来なさい。あなたが好きな得物1つ載せてるから」

「…ふふ、流石だ」

後ろの荷台に移動すると新人があたふたして銃を構えていた。

「た、隊長!敵が追ってきてます!ど、どうしましょう!」

「落ち着け、おそらくこの辺りに…」

木箱を開け、巻かれている布を取り払う。中身はSV-98、私の大好きな狙撃銃だ。

「新人、その子と一緒に奥の方に避難しろ」

「はい!」

ゆっくりと構えて、狙いを定める。流石にバカでは無かったのだろう、ジグザグに動いて狙いを定めさせないようにしている。

「チッ、やれやれ」

1発、先頭を走っている車のタイヤを撃ち抜く。するとどうだろう、後ろの2台を巻き込んで停止してしまった。

「02!スピードを上げろ!」

トラックが騒音を立てて速度を上げていく。相手も速度を上げてついてくるが、これほど速度を出せばジグザグには動けない。

機銃の弾がトラックに襲い掛かる。2発腹部と右肩に命中し、だらんと垂れる。

「た、隊長!?」

「いつつ…大丈夫だ。さてと、次はお前だ」

バイポットを立てて、運転手に狙いを定める。

ここまで

再開します

被弾した箇所からは止めどなく血が溢れ出す。が、不思議と痛みは感じない。トラックに揺られながらも再びバイポットを立て、呼吸を止める。スコープ越しでハッキリと見えた。相手の顔が、死を悟り諦めたような顔が。引き金を引くとガラスはグチャグチャにひび割れ相手の顔は見えなくなった。

「よし…新入り、これ直しててくれないか?」

「は、はい。そ、それとその傷…」

「ん…」

血はまだ止まらない。少し頭がフラフラしてきた、よろつく体を無理やり動かし前の補助席へ戻る。02が、こちらをギョッと見るとすぐにハンカチを出してくる。

「ほら、さっさとこれでちょっと止血してなさい!」

「恩に着るよ。あぁ…ちょっと寝てて良いかい?」

「ダメよ、あんたのことだしいつの間にか死んでそうで怖いのよ」

「死んでももう大丈夫さ。あれだけ町を安定させればやっていける」

「まだ後継者も何も決まってないのに死んでどうするのよ」

「あぁ~そうか。なら革命が終わったら後継者探しでもするか」

「そうしなさい」

窓を開け新鮮な空気を車内に入れる。懐からタバコを取り出し、火を着けようとしたとき横から手で止められる。

「今怪我してるのにタバコなんて吸わせないわよ」

「やれやれ、手厳しいね」

数十分かけて前線基地へと帰ってくる。

「ほら着いたわよ」

「ん…そうか…」

ドアを開け外へ出ようとすると、バランスを崩し地面に倒れる。すぐに側に近くにいた隊員が駆け寄ってきてくれるが、まともに体が動かなかった。今、どれほど今の私はひどい顔色をしているのだろうか。あぁ…疲れた…少し休もう…

「衛生兵!衛生兵!」

「担架急いで!!」

倒れている01を担架に乗せると、担架が血が汚れる。これほどまでの出血、何故死なないのかと不思議になるほどだ。

「そこの台空けて!」

物を退かし、横にさせる。

「輸血パック持ってこれるだけ持ってきて!それに念のための除細動器もお願い!」

必死に傷口を圧迫して止血する。包帯でキツく縛り腕に持ってきた輸血パックを繋ぐ。

「ガーゼと消毒液持ってきて!こんなところで死なせないわよ…!」

ここまで

遅いですが新年あけましておめでとうございます。
年末年始はいろいろと用事があったので遅れました。
これからも更新は遅いですがよろしくします。
それでは再開します

一通りの治療を終わらせると、いつの間にか01の容態は安定していた。流石の生命力と言ったところだろうか。それでも目を覚ますのはかなり先になりそうだ。

「ったく、驚かせるんだから…」

ため息をつくと目が濡れているのに気付いた。バレないように服で拭ったが、周りの皆は面白そうに笑っていた。

「な、何よ!」

「いえ、喧嘩してる割りには隊長の事が好きなんだと思いまして」

「あれだよあれ、喧嘩するほど仲が良いって奴」

「うっさい!別に喧嘩なんてしてないわよ!あいつがだらしないから言ってやってるだけで別に私は――」

「分かりました分かりました、隊長の容態は私たちが見ておきます。あなたはやることがあるんでしょう?」

「うぐぅ…それじゃ任せたわよ…」

医療テントから出る前、再び振り返ると皆がニヤニヤと笑っている。手でシッシッと促され、再びため息をついて出ていく。

「あの部下たちは上に対する敬意の払い方ってのが分かってないんだから…」

トラックから血塗れの書類を手に取り、義勇兵達との交渉をどうするか自分のテントで考えていると、呼び鈴が鳴り響いた。

「どうぞ、入って良いわよ」

「失礼します、次のヘリ部隊出撃の予定はどうしますか?」

「2時間ごとに哨戒程度の出撃に控えて」

「了解しました」

「あ、それとテントの入り口にこれかけといて。ちょっと寝る」

「はいはい」

靴を脱ぎベッドで横になる。

「起きなさい――」

誰からだろう、頭の中に直接聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「こっちよ――」

声に誘われるままに起き上がり、テントの出口へと覚束無足取りで向かっていく。

「早く行かないと――。ほら、行きましょ?」

「待って、私も――」

急いで外に出るとあまりにも眩しい光に思わず目を閉じる。次に目を開いたとき、真っ先に目には行ったのは蛍光灯だった。

「夢…」

いつの間にか意識を失っていたようだ。体は汗で濡れ、、呼吸は荒くなっていた。

「02、とある方が話がしたいと言ってきていますがどうしますか?」

「シャワー浴びてから行くわ。少し待っててもらえるように言ってくれない?」

「分かりました」

ここまで。

2か月ぶりに再開です

着ている服を脱ぎ木箱に投げ捨て結んでいる髪を解き、見えないよう遮光用の布をかける。金網の上に乗って蛇口を捻り用意されているお湯をシャワーを通して体に当て、今まで溜まっていた汚れを洗い流す。久しぶりのように感じる温水は肌から体の中に染み渡り、私の体を下って地面に染みていった。

ある程度洗い流すと温水を止め別にかけておいたタオルで体を拭くと、流しきれなかった汚れが黒ずみとなってタオルに着いた。

「うわ汚な…そんなに入ってなかったっけ…会う前に洗っといて良かった」

新しい服を取り出し、後ろ髪を1つに纏める。用意ができるとテントの外に出て、話がしたいと言う者に会いに行く。丁度さっき教えてくれた者も案内のために戻ってきていた。

「02、丁度良かったです」

「それで私と話がしたいってのは?」

「こっちです」

後をついていくと基地の入り口に一人の男性が立っている。白い軍服を着てだらけることなく背筋を伸ばしている。

「客人、お待たせしました」

彼は帽子を外し一度礼をすると、脇で抱えるようにして持った。

「貴方が私と話をしたいって?」

「はい、私はあなた方に降伏するために来ました」

「罠にかけるための方便?」

「いえ、本当です」

彼の目は揺らぐことはなくまっすぐこちらを見つめていた。嘘をついているようすは無いが、警戒心は無くなることはない。もう少し話して腹の底を探ることにしよう。

「口ではなんとでも言えるわ。それで何か手土産とかはないの?」

「そう言うと思いましてこのような手土産をご用意致しました」

彼は懐から信号弾を取り出すと空に向かって放り投げた。空で光を放つと、すぐに消え残骸が落ちてくる。お互いが睨み合いながら数分が経った。森の方がざわめき、エンジンのけたたましい音が段々と大きくなってくる。

「02、下がって」

「いえ、大丈夫よ」

数百台の戦車と装甲車が木の影から出てくる。砲身は上に向き、歩兵は全員武装解除されており車体の上に乗ってやって来る。

「随分な団体客ね」

「総勢約42,000名、元近衛機甲師団はこれよりあなたの指揮下に入らせていただけるようお願い申し上げます」

彼は跪いて頭を下げた。後ろの兵士達も彼と同じように跪いての下げる。これだけの人数が同じ行動をしていると壮観だ。

「02、どうするんですか?」

「と言っても今兵士の人数が増えると補給が追い付かないし…とは言えこの装甲車と戦車の数は見逃せないし…」

少し考える、補給用のトラックや補給するための船もまだ数が足りているとは言えない。下手に兵士を増やせば補給が足りずに退却することになる。せっかくの橋頭堡を手放したくはない。

ここまで

おーい

お茶

おぉい

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