渋谷凛「未知なる事務所に夢を求めて」 (22)

「すいません、そこの貴女、アイドルに興味はありませんか?」

その日、その時、私は自分の人生を変えてしまう魔法に出会った。


凛「あんたが私のプロデューサー? ふぅん、悪くないかも」

P「これは手厳しいですね……」

そして、その魔法は蜜月のように甘美で

絶対に出会ってはいけない禁忌だったのかもしれない。



※短めです。
※地の文あり。
※嘔吐表現等人によっては不快な表現が多々ありますのでご了承ください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1488394353

(sage忘れました次からsage進行します)

渋谷凛、シンデレラガール、アイドルに興味がない人でも名前くらいは聞いたことある。 それが私の世間の評価、私が歩んで来た足跡。

私はアイドルとして、トップまで走り詰めた。
勿論努力もした。挫折もしたし苦しい思いもした。叩かれた事もあったしストレスで吐いた事もあった。
色々な事があって、ようやく掴んだガラスの靴は私一人の努力の結果ではない。

P「……?どうかしましたか?」

凛「なんでもないよ」

プロデューサーと私で掴んだ、二人の靴。

プロデューサーは凄い人だ。
仕事は出来るし、話は面白いし、私が落ち込んだ時は慰めてくれた。顔も、まぁ、カッコイイ方だと思う。

私はこの人が居なかったらシンデレラにはなれなかった。
よくアイドルの仲間は好きなのか聞いて来るけど、多分そういう感情はない。けど、誰よりも信頼をしてる人だった。





だからこそ。崩れ落ちる時は、一瞬だった。

凛「今日の番組は…新人アイドル紹介?ふーん、小梅ちゃんって言うんだ。ちっちゃくて可愛いね。」

P「霊感が強くて、なんでも"見える"人なんだとか。渋谷さんはそういうの平気なタイプですか?」

凛「んー、好きではないけど、信じてないっていうか……身近に居ないし?私は見えないしね」

P「…それもそうですね。そろそろ挨拶にくると思いますが」

コンコン!
ディレクター「すいませーん、最終チェック入るんでプロデューサーさん、確認お願いします!」

P「わかりました!という事で私は行って来ます。新人虐めちゃダメですよ?」

凛「虐めないよ……」


コンコン…
凛「はい、どうぞ」

小梅「あ、あの…初めまして…」

ガチャ

P「ただいま戻りましたー。」

凛「あ、おかえりプロデューサー、この子が小梅ちゃんだよ。」

小梅「白坂小梅です、宜し……」

P「これはご丁寧に、ありがとうございます」

凛「小梅ちゃん凄いんだよ。本当に見えるんだって、ね?小梅ちゃ…ん?」

小梅「うっ、あ…あ………」


小梅「オボロォォァアアア!!!!」ビチャビチャビチャ

凛「小梅っ!?」

P「スタッフ!!救急車を!!担当Pにも連絡を!!!」

凛「結局、戻って来れなかったね。小梅仲良くなれそうだったのになぁ」

P「しょうがないです、緊張でしょうが、本番中じゃなかっただけ幸いでしょうか。」

凛「うん……お見舞い行こうかな……」
P「待ってください、病院の場所のメモを渡します、あとこのお金で差し入れをお願いします。私も行けたら良いのですが」
凛「お仕事だもんね、任せて。あと、そのまま事務所帰ると思うから。」

P「わかりました。」

凛「ここが小梅ちゃんの部屋か」

コンコン
凛「渋谷凛です、小梅ちゃん大丈夫?お見舞いに来たんだけど…



小梅「ど、どうぞ」


小梅「えっと、あの。番組の事…ごめんなさい……迷惑かけちゃった……」

凛「ううん、番組自体は問題なく進行したよ。それより小梅ちゃんの体調だよ。」

小梅「もう…平気……えっと、凛ちゃん……一つだけ、いい?」

凛「うん、どうかしたの?」

小梅「あの…一つだけ……プロデューサーさんの……」







凛「………」
小梅ちゃんに言われた事を反芻する。

凛「プロデューサーが…化け物…」

信じるつもりはなかった。けど、どうしてかその言葉はスッと私の中に入って来て心を乱す。肯定する要素はなにもないのに、否定が出来ないことが。とても私をモヤモヤさせる。


凛「あ、着いちゃったな、事務所」



凛「ただいまー、 誰もいないのか」
凛「なんていうか心細いな。」

『あの人は……普通じゃない……とても……邪悪な何か……』

凛「そんな訳ないよね」

そう心で否定をすると、ふとプロデューサーの机が目に止まった。
はしたない、デリカシーがない。普段は絶対しない恥ずべき行為のはずなのに、今の私はどうして、この机から意識を離すことが出来なかった。

凛「………」

机の上の書類をパラパラとめくる、めくる。


何気なく置いてる本を眺める。


流石に引き出しを開けるのは気がひけるから、目につくものに触れてみる。




凛「やっぱり何もないよね…」


そう言いながら机から離れようとした時。違和感を覚えた。
或は覚えてしまった。



凛「この本、外装が革だし、金具で止めてある。」


みるからに怪しい本。

普段ならば絶対に開かない本。


愚かな事にその時の私は覗いてしまったのだ




深淵の一端を



凛「ッ……!!?」


アルファベットという事しかわからない言語の羅列は、何故か、確かに、私に嫌悪感と吐き気を植え付けた。

本能が「これは危険な物だ」と叫んだ。だが、叫ぶのが遅すぎた。



P「見てしまったんですね」



凛「プロデューサー……あの…コレは……」

P「それは、貴女が読むには適さない本です。返してもらっても良いですか?」


凛「そうじゃなくて……なんでこんなものプロデューサーが持ってるの?絶対に普通のものじゃないよね…?」


P「……大人には色々あるんですよ。」


凛「……あの時小梅が吐いたのも…」


P「ああ、小梅さんは元気でしかた?ちゃんと差し入れは持って…
凛「誤魔化さないでよ!」



P「………」


凛「そんな事聞いてるんじゃない!!私は……!!!!」



P「…認識を誤魔化してるのは私じゃなくて貴女です」











P「現に、貴女はもう5年以上もここで働いて居ますが新入した時から一切見た目も年齢も変わってないのですから。」




凛「?!」

普通に生活していたら生まれるはずのない矛盾


空集合の矛盾


あってはならない冒涜的な矛盾


それは人間が受け止めるには大き過ぎる矛盾


それを理解し受け止めてしまったその瞬間、私は意識を手放した。




■■■「さて、次の物語を始めましょう。」

そしてわたしはもう一度 もう一度と。おとぎ話の主人公を演じ続ける。

凛「ふーん、あんたが私のプロデューサー?」


未知なる事務所に夢を求めて。

終わりです。シリアス書いてたはずがいつの間にかホラーになってました。 携帯からは初投稿の上スレッドを使った表現を色々試してたので非常に読みにくくなってしまい申し訳ありません。それでも最後まで読んで頂きありがとうございました。それではHTML依頼して寝ます。


いあいあ?

乙、しょうもな

乙、嫌いじゃないけどいささか話の展開が急な気がする

ニャルラトホテPすき

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