二宮飛鳥「一陣の風、サクラ色」 (28)
二宮飛鳥「…」パチ
村上巴「ふむ……」スッ
飛鳥「っ……」パチン
巴「…」パシ
飛鳥「…!……」カッ
巴「ほう…」タシッ
飛鳥「………」ススッ
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巴「………」パチ
飛鳥「……」パシッ
巴「……」ススッ
飛鳥「……クッ…」パチ
巴「……ほれ」カツッ
飛鳥「……」
巴「…潔さも肝心じゃけ」
飛鳥「……した」
巴「聞こえんの」
飛鳥「…参り、ました」
巴「うむ。良い試合じゃった」
飛鳥「…相変わらず手厳しいな、巴は」
巴「フン、盤を挟めば真剣勝負じゃ。手なんぞ抜かんわ」
飛鳥「ボクもまだまだか…」
巴「始めて間もない弟子に負けるなんぞ村上の名がすたる。当然の結果じゃけ」
飛鳥「…」
巴「じゃが流石、飲み込みは早いのう。一瞬ヒヤッとしたわ」
飛鳥「それでも届かなかった」
巴「勝負を焦るからあがぁなるんじゃ。王より飛車を可愛がるんはへぼ将棋じゃぞ」
飛鳥「…降参だよ。ぐうの音も出ないな」
巴「精進するんじゃな。うちはいつでも相手してやるけぇ」
飛鳥「ああ。次こそは…」
巴「…しかし、なんじゃ。やけに飛車に使いたがるの、飛鳥は」
飛鳥「気に入ったんだよ、コイツが」
巴「生粋の居飛車党のつもりじゃったが…うちもたまには振ってみようかのう」
飛鳥「ボクにはまだ、戦略の細やかなイロハは理解らないけれど。いつか、盤上を支配してみせる…飛龍と共に」
巴「…楽しみじゃ」
「(…よし今だ!悠貴ちゃん、ゴー!)」ヒソヒソ
「(は、はいっ!いきますっ!)」ヒソ
ガチャッ
飛鳥「?」
巴「あん?なんじゃ?」
乙倉悠貴「こんにちはっ!」
姫川友紀「飛鳥ちゃん、巴ちゃん!やっほー!」
巴「なんじゃ、誰かと思うたら。友紀に悠貴か」
飛鳥「(ゆきゆうき…)どうしたんだい?2人揃って」
友紀「いやー、さっきから入るタイミング伺っててさ」
悠貴「すっごい緊張感で…なかなかドアを開け辛くてっ!」
巴「気にせんで入ってくりゃあええのに」
友紀「2人の真剣勝負、邪魔しちゃ悪いなーって思って!」
悠貴「将棋盤を見つめる飛鳥さんと巴さん…かっこよかったですっ!」
巴「…む、そうかの。言われて悪い気はせんな」
飛鳥「あぁ、そう思ってもらえたのなら光栄だよ。…ボクは負けてしまったけれど」
友紀「…大事なのは勝ち負けだけじゃないと思うよ、飛鳥ちゃん」
巴「そうじゃぞ。向かい合うて、相手を見る。思考を交わす。…そして、相手を知る。その過程こそが、将棋の醍醐味じゃ」
悠貴「おぉーっ…」
飛鳥「…そうだったね」
友紀「飛鳥ちゃん、将棋指せたんだ」
飛鳥「ああ、最近巴に教えてもらってね。修行中の身さ」
友紀「あたし、ツツゴウなら知ってるよ!」
巴「?つつ…なんじゃと?」
飛鳥「…それ、もしかして"香車"のことかい」
友紀「それだ!頼れるバッターになったよね!」
飛鳥「全然違う。香の字しか合ってないじゃないか」
友紀「違ったかー」
巴「はぁ…。悠貴もどうじゃ?駒を通じて互いの意志を静かに、しかし熱くぶつけ合う…まさに知恵のスポーツじゃ」
悠貴「私、将棋はやったことなくって…む、難しくなければっ!」
巴「なに、そう難しいことなぞないわ」
飛鳥「駒の動かし方さえ覚えれば、後は経験だよ」
悠貴「なら、少しだけ…。あっでも、やっぱり将棋はまた今度にしてもらえますかっ?」
飛鳥「?何か用事かい」
悠貴「はいっ!公園にキャッチボールしに行こうって、友紀さんがっ!」
飛鳥「…へぇ」
友紀「そうそう。他にも誰か誘おうと思ってさ!」
悠貴「もう少し長引くようだったら、お2人は誘わずに行くつもりだったんですっ」
巴「なるほどの」
悠貴「どうですか?飛鳥さん、巴さんっ!」
巴「断る」
飛鳥「ボクも」
悠貴「えーっ!」
友紀「ありゃ」
友紀「んー。やっぱり、そんな気はしてたんだよねぇ」
飛鳥「あいにく、ボクは今そんな気分じゃないんだ」
悠貴「そんなぁ…」
友紀「まあまあ。この2人には、何度も断られてるし。あたしは慣れちゃったかな!あはは!」
悠貴「…飛鳥さんはともかく、巴さんは野球好きじゃないんですかっ?」
飛鳥「(ともかく…)」
巴「あぁ、野球はよう観とるぞ。実家でも、地元の中継を親父たちと一緒に観ていたもんじゃ」
巴「…じゃが、自分でやるとあらば話は別じゃけ。プロとしての誇りをかけた試合と、遊びでやるキャッチボールは別物じゃ」
友紀「そんなに固っ苦しく考えることないと思うんだけどなー」
巴「じゃかぁし。友紀の球遊びになんぞ付きおうてやれん、やるんなら真剣勝負じゃ」
友紀「はいはーい。じゃあ巴ちゃん!次のキャッツ戦の時は、一緒に応援しようね!」
巴「…考えとくわ。うちらが負けるハズないがの」
友紀「ふふっ。…ね?いっつもこんな感じなんだ!」
悠貴「そうだったんですか…」
巴「…。のう、悠貴よ。友紀に付き合ってやる必要なんてないんじゃぞ?」
飛鳥「(ゆうきゆき…)確かに、無理強いは良くないな」
友紀「むー。どういう意味さそれー!」
悠貴「い、いえっ!無理だなんてそんなっ」
友紀「そうだよ!無理矢理なんて誘ってないもん!」
悠貴「私、体を動かすの好きですからっ。野球のことは、まだよく分からないですけど…」
巴「…」
悠貴「それでも、友紀さんに誘ってもらえたのが嬉しくてっ!ランニングだけじゃなくって、たまには別のスポーツで汗を流すのも良いなって思ったんですっ!」
友紀「悠貴ちゃん…」
悠貴「無理なんてしてないですよっ、友紀さんっ!キャッチボール、私に教えてくださいっ!」
友紀「うん、任せてよ!ありがと悠貴ちゃん!」
巴「…ほうか。いらん節介じゃったな。すまん」
悠貴「大丈夫ですよっ!謝らないでください、巴さんっ」
友紀「…くぅー、かわいいなぁ悠貴ちゃん。悠貴ちゃんも妹にほしい!」
悠貴「ふぇっ?い、妹ですかっ?」
友紀「うん、妹!悠貴ちゃんが妹だったら、毎日キャッチボールに誘ってるのになぁ…」
悠貴「ま、毎日はちょっと…。ランニングなら、毎朝やっていますけどっ」
友紀「あたしも付き合うよ?野球と走りこみの日々だねっ!」
悠貴「!ランニング、付き合ってもらえるんですかっ!?」
友紀「もっちろん。アイドルは、体力も大事だもん!何でもバッチ来いだよ!」
悠貴「わぁっ!…私、友紀さんの妹でも良いような気がしてきましたっ」
友紀「ホント!?」
悠貴「はいっ!友紀さ…友紀お姉さんっ!」
友紀「はうぅっ!な、なんて破壊力…悠貴ちゃん!」
悠貴「何でしょうっ、お姉さんっ!!」
友紀「~~っ!新鮮な反応…!こんなに素直に姉と慕ってくれる娘が、今までいただろうか…」
飛鳥「…悪かったね、素直じゃない年下で」
巴「全くじゃ」
友紀「よーし悠貴ちゃん!公園までダッシュだ!」
悠貴「はいっ!」
友紀「闘魂を、込めろー!!」
悠貴「おーっ!」
バタバタ…
巴「…最後は、嵐のように去っていったの」
飛鳥「…そうだね」
巴「年上が一番騒がしいんはどうなんじゃ」
飛鳥「元気があるのは良いことさ」
巴「…さ、うちらはもう一局といこうかの」
飛鳥「ああ」
巴「次は見よう見真似で振ってみるか…いやしかし、下手な将棋は指せんし…むむ」
飛鳥「チェスならそれなりに勝つ自信があるんだがな…」
巴「…なんじゃ、やる前から負け惜しみか?」
飛鳥「いいや、そんなつもりではないよ」
飛鳥「…だが、そうだな。ここは敢えて…挑戦状、ということにしてみようかな」
巴「…なるほどの。今度はそちらの土俵で、と言いたい訳か」
飛鳥「さて、どうだろうね。ボクはいつだってウェルカムだけれど」フフッ
巴「面白い…」
おわりです。「ゆきゆうき」って言いたかっただけなんです。でも終わってみれば静2:動2な感じで案外バランス良かったりして
乙倉ちゃんCD&ボイスおめでとうございます。今後の活躍にも期待しています
ユッキじゃないけど、自分の好きなものが他の人にも伝わるのってとても嬉しいことですよね。最後のチェスに関してはあくまでイメージですが
おつおつ
巴かわいいよかわいいよ巴
おっつおっつ
晴と雪乃を入れればゆうきゆうきゆきゆきの?
ゆうきゆうきゆきゆきのゆきみ
おつ
みゆきもー!
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