高垣楓「プロデューサー、今度飲みに行きません?」 (20)

夜景が綺麗な、高級レストランにて。

二人っきりで、向き合いながら。


楓「私と、結婚してください」


俺の担当アイドル――高垣楓は、そう言った。

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『××月××日の夜』

『二人で、飲みに行きません?』

『いいお店が、予約できそうなんです』


……と、脳裏に蘇るのは数週間の彼女の誘い。

なるほど、確かに良い店である。

『他のみんなには、ナイショでお願いしますね?……ふふっ』という言葉にも頷ける。


P「――」


返事を、しなければと思う。

が、急に喉が渇いて口と舌がうまく回らない。

……テンパっているのだ、初ステージに立つ前の新人アイドルのように。

楓さんみたいな美人なら即OKする

楓「初めて……だったんです。ここまで、私を引き出してくれた人は」


楓「自分の気持ちを伝えるのが苦手だった私に、ここまで付き添ってくれた人は」


……確かに、出会ったばかりの頃の楓さんは、初対面の人と話す事を苦手に感じていた。
初期の頃は言葉に詰まってしまうことがよくあったし、お酒の席で相談をする事も多かった。


楓「そして。あなたは私を選んでくれて、ここまで育ててくれました」


楓「……」


楓「……私は、あなたと一緒にいたい。これからも、この先も、ずっとずっと、その向こうまで」


楓「あの頃よりも。魅力的な子たちが、もっといっぱいいる中で」



楓「あなたは……また、私を、選んでくれますか?」


P「選びます」

即答だった。

あの頃を思い出しながら、あの頃と同じように聞かれて。

そうしたら、あの頃と同じように、即答していた。


楓「本当に……私で、いいんですか?」

P「はい」

楓「……でも」

P「……楓さん。俺も、あなたと同じ気持ちです」

P「俺も、あなたと一緒にいたい」

不安そうなオッドアイの瞳が、ゆっくりと閉じられていく。

楓さんは、ほっとしたように、自分の胸を撫で下ろし、


楓「……よかった……」


心から嬉しそうに、微笑んだ。

瞳の端からは、小粒な涙が、ポロポロと流れていた。


……しばらくして、楓さんの涙も止まり。


楓「はぁ……夢、じゃないかしら……?」

P「夢じゃないですよ」

楓「嬉しくても、止まらないくらいの涙は、流れるんですね」

P「キレイ、でした」

楓「……ふふっ」


楓「でも、本当によかった。コレが無駄にならなくて」

P「……コレ?」

楓さんが、机の下から取り出した小箱。

パカッと開いた、その中から出て来たものは。


楓「本当は、もっと上手に……告白と一緒に、出すつもりだったんですけど」


給料3ヶ月分では納まりそうにない輝き。

一目見て高貴なものだとわかるモノ。

かと言って主張し過ぎる事はなく、装飾者を主役とする慎みのある指輪。


コレには我らが緑の事務員もニッコリ――ではなく。


楓「指輪をはめる指は……ね?」


楓さんは、いつものように微笑んだ。

もうちょい続きます

『……実は』

『ホテル、取ってあるんです』

『プロデューサー、明日はオフ……でしたよね?』

『ふふっ……私もなんです』

『意味は……わかりますよね?』



パーフェクト・コミュニケーション!



P「……とまぁ、最高の一夜を過ごしたわけだが」

P「俺は一つ、忘れていた」


P「……他のアイドルに、どう説明しよう……」

楓「zzz……zzz……」

大事なところが抜けてるぞ

おぅ、何か足りねぇよなぁ

楓さんと結ばれたことに後悔はない。

むしろ、幸せの絶頂である。

しかしまぁ、勢いに任せた行動だったことは否めない。


P「ちひろさんに、常務に、部長に……ううむ、マジでどう説明しよう……」

P「………」

P「というか、だ……」

P「冷静に、なってみると、だ……」


『Pちゃまへの想いを込めて、歌います』

『待てますか』

『どうしよ、Pさん…。アタシ、本気で役の気分に…!』

『神崎P……。あっ、なんでもないです!あわわ……』

『とりあえずお好きな壁に、まゆを……ね?』


P「ざっと、思い返してみると……うん」

P「……」

P「……勘違いなら、いいなぁ……」

楓「……すやぁ……」

どう考えても勘違いですむわけない

大事なところが抜けてんねん
抜けてるのは髪だけにしとき

逆に考えるんだ、「重婚可能な国に籍を移せばいいんだ」と…

>>18
髪がないのはPaPでCoPは関係ないだろいい加減にしろ!

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