安斎都「真夜中の推理ゲーム」 (27)

時刻は午後0時過ぎ、日付は1月6日を迎えた。

346プロダクションの女子寮の自室で、私ーー安斎都はベッドの上に寝そべりながらスマホのホーム画面をじっと見つめていた。

連絡を送ろうか、それとも送るまいか……

相手に好意がバレるのはとてつもなく恥ずかしいけど……次第に大きくなっていくこの気持ちは、いい加減どこかで発散しないと今にも胸の中ではち切れて爆発してしまいそうだ。


真夜中に連絡すれば、相手の迷惑になるのは承知の上。しかし、あとで面と向かって謝れば根は誠実な彼ならきっと許してくれるだろうと思うを

……気持ちを伝えたい。なら、怯えていないで伝えよう。臆病な選択は、アイドルであり探偵でもある私には似合わない。どんな時もチャレンジ精神を忘れないようにしないと。


私は、意を決して、LINEアプリを立ち上げる。

友だちの欄から会話相手を選択。

それにしても……ほんと、いつ見ても相手のプロフィール写真が346プロの先輩アイドル『島村卯月』ちゃんなのが気にくわない。いや、彼女の笑顔とか同性の私ですら『天使か!?』かと思うくらい可愛いけどさ……大ファンなのもわかるけどさ……そこは、身近にいる私の宣材写真とかにしとけよ、と小一時間くらい説教したい。私のファン少ないんだからさぁ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1483642180

会話相手のLINEネームは『ワトソンくん』という。

三ヶ月くらい前に、私が嫌がる彼を無理やり説得して設定させた。未だに変えてないところをみると割と気に入ってるのかも知れない。もし、そうだとしたら地味に嬉しい。

まぁ、その代償というか代わりに、私のLINEネームが『太眉ホームズ』になったけど……


彼は勘違いしてるけどね、太眉は探偵アイドル安斎都のコンプレックスではなくチャームポイントの一つだから。ホームズはかの有名な『シャーロック・ホームズ』という名の、私が敬愛する名探偵の一人であり、何が言いたいかというとワトソン太眉バカにしやがって絶許。……本当は割と気に入ってるのは内緒である。

『ワトソンくん』の本当の名前は、立花圭太という。普段は立花くんと呼んでいる。

立花くんとは部活動が一緒で、学年が一つ上の先輩でもある男子高校生だ。何故、先輩である彼のことをくん呼びしているのかというと、立花くんとは対等な立場でいたいというか……なんというか……まぁ、そんな感じの理由だ。

立花くん。私の○○○な先輩。


もし、この日のために私が考えた推理ゲームに彼が正解することができたら、その時はーー


私たちの関係は変わるのだろうか……?


期待と不安とがない交ぜになったざわついた心で、彼に送る最初の文面を打ち始めた。

太眉ホームズ(以下、安斎表記)
『こんばんは、ワトソンくん。起きてるなら返信したまえ』

ワトソンくん(以下、立花表記)
『……寝てる』

安斎『起きてるじゃないか!』

立花『何の用だ、太眉ホームズ』

安斎『太眉ホームズじゃないよ!346プロ所属の期待の新星、みんなの探偵アイドル都ちゃんこと安斎都だよ!@ 'ェ' @「下の名前で都って呼んでいいだワン?」』

立花『相変わらず顔文字の使いどころがおかしいぞ安斎……で、何の用だよ?お前からLINEしてくるなんて珍しいじゃないか』

安斎『……特別な用がなくちゃ連絡しちゃいけないの?』

安斎『@ 'ェ' @「都、寂しいワン……」』


立花『犬の顔文字に自分の気持ち代弁させてんじゃねえよ……ただの雑談がしたいのか?それなら明日……というか今日か。探偵部の部活で直接顔合わせて話せばいいだろ』

安斎『放課後はレッスンがあるから部室に行けないし……それに、今日じゃないとダメなの。都のお話に付き合ってくれない?眠くなったら終わりでいいから……ねっ?』

立花『……今日じゃないとダメか。わかった。よくわからんが少しの時間なら付き合ってやるよ』

安斎『ありがと!ところで、ワトソンくんは「20の扉」っていう推理ゲーム知ってる?』

立花『立花だ。いや、知らん。どういう推理ゲームなんだ?』

安斎『すっごく簡単な推理ゲームだよ。出題者の思い浮かべている「物」を解答者が20回の質問を繰り返して当てる推理ゲームなんだ』


立花『へー、それで?俺と暇つぶしにこのゲームをやりたいのか?』

安斎『流石、私の助手だね。察しが良くて助かるよ。私が出題者の役割を務めるから、ワトソンくんは回答者役を頼むよ』

立花『助手になった覚えはないが……俺が回答者だな。わかった。それはいいとして、他に細かいルールとかは決めなくていいのか?』

安斎『そうだね。「20の扉」は大勢でやったほうが楽しめるゲームだから人数の少ない今回はちょっと変更して「10の扉」をしよう。私は出題者で設問の正解を心の中で思い浮かべる役ね。立花くんは回答者で、私に対して合計10回YES or NOで答えられる質問を投げかけることが出来るよ』

立花『なるほどな』

安斎『質問に対して私は、嘘偽りなくYES or NOで答えるけど、一度だけ嘘をつくことが出来るからよく注意してね。私が答えた情報をヒントに10回の質問以内で私の思い浮かべている物を当てたら立花くんの勝ちだよ』


立花『大体のルールは理解した。勝つ気も満々だ。負けず嫌いだからな』

安斎『負けず嫌いなのは私もだね』

立花『知ってるよ。ルールは把握したから問題ないが……正直な話だな。何のヒントもなく、たった10回の質問でお前が思い浮かべている物の正解を導くのは、正直無理ゲーだと思うんだがそこら辺どう思ってるよ?』

安斎『もちろん、ゲームを公平にするためにヒントは出すつもりだったよ。まぁヒントというか最初に出すお題で、ある程度回答は絞れるようになってるから心配は無用だね』

立花『それを聞いて安心したぜ。じゃあ早速始めようか!』

安斎『その前に、大事なことを決め忘れてるよ。勝者への報酬がまだ決まってない』


立花『勝ったら金でもくれんのか?』

安斎『あ、あげるわけないでしょ!?そんな即物的な報酬、探偵アイドルの私が許すわけないって少し考えたらわからないかな?』

安斎『とにかく、立花くんが決めないなら私が勝手に決めるから(´・_・`)』

立花『……どうぞご自由に^_^;』

安斎『じゃあーー敗者は勝者の命令に一つだけ従うで』

立花『随分と思い切ったな……エッチな命令をされるとか思わないのか?』

安斎『…………((((;゚Д゚)))))))』

立花『驚愕の感情は伝わってくるな』

安斎『….…常識の範囲内で、ね?』

立花『【質問】おっぱいは揉めますか?揉めるとしたら何回揉めますか?』

安斎『【回答】NO!NO!NO! 立花くんの常識を疑うよ!?』

本日の更新はここまでで。一応、完結まで書き終わっているので今日中に完結させます。

SS書きならば誕生日を迎えたアイドルのためにSSを書いて祝わなきゃいけないってそれ一番言われてるから。

>>1
誤字です。
午後0時ではなく午前0時、ですね……真っ昼間じゃねえか!っていうね……突貫作業はやっぱりダメだなぁ。反省します。

徹夜で書くから…続きはよ

誕生日過ぎたので都ちゃんが、当てられたらバニー姿になりますか?

すまねぇ…後で冷静になって書いた文章見返してみたら読むに耐える作品じゃなかった…というか話がオチてない…まぁ期待せずに待っててくれ…

バニー姿にはならなかったけど今から完結させる。


立花『こんな感じで進行すればいいよな』

安斎『ちょっとぉーー!?人の話聞いてる!?立花くんが勝ったって私のおっぱいは揉ませないからね!?』

立花『ということでお題を発表してくれ、おっぱいホームズ』

安斎『….…….…負けたときは覚悟しておくように@ 'ェ' @「泣いて後悔するがいいワン」』

立花『やべぇ、絶対に負けられなくなった……』

安斎『切り替えてーーお題を発表するよ』

立花『よし、何でも来やがれ』


安斎『【設問】私が今思い浮かべている一番大好きな「モノ」を当てなさい』

立花『安斎の一番大好きな「モノ」か……俺はその答えを推理して当てればいいわけだな?どんどん質問していきながら』

安斎『そういうことになるね。質問は十回までしか出来ないけど』

立花『じゃあ早速質問だ』

立花『【質問①】大好きな「モノ」の中に人は含まれるか?』

立花『……ん?』

立花『……………おーい』

立花『返信はまだかよ?』

安斎『ごめんごめん。ちょっとお花を摘みに出かけてたよ。あ、変な想像はしないように』

立花『変な想像って?』

安斎『あ、それは知らないんだ?軽い冗談のつもりだったんだけど……いやいや、何でもないよ。気にしないで』

立花『アッハイ』

安斎【回答】だけどYESーー人も含まれるよ』

立花『YESか。回答がYESだと答えにぐっと近づいてるって理解でいい気がするな』


安斎『気になることがあるんだけど……』

立花『俺もお前が何のお花を摘みに出かけたのか気になるところだな……ラベンダーか?カモミールか?』

安斎『そんな芳しい上品なお花、家の近所に咲いてないよ……というかその話、蒸し返さないで!』

安斎『立花くんは、どうして最初にその質問をしたの?』

立花『特別な理由はねえよ?「モノ」って表現があやふやで漠然としていたからな。まずは「モノ」の表現範囲を明確にしたかっただけだよ』

安斎『なるほどね……じゃあ二回目の質問が決まったらまた連絡してね』

立花『【質問②】はもう決めてる。アイドルに関連することか?』

安斎『【回答】NOだねーーアイドルは関係ないよ』


安斎『【回答】NOだねーーアイドルは関係ないよ』

立花『アイドルの仕事が一番大好きじゃないのか……ふむふむ』

安斎『勘違いしないでほしいけど、アイドルの仕事は大好きだよ?ーーそりゃレッスンだって辛いし、いつも楽しいことばっかりってワケにはいかないけどね。でも、同僚のアイドルの娘たちや先輩たちはみんな個性的だけど親切な人ばかりだし、私みたいなペーペーのド新人アイドルを……まだまだ歌もダンスも未熟なアイドル安斎都を応援してくれるファンの人達も数少ないけどいるから、アイドル活動はとても充実しているよ』

立花『そっか。俺も応援してるぜ』

安斎『ありがとう。これを機にLINEのプロフィール画面をしまむーから探偵アイドル安斎都の写真に変えてもいいんだよ?』

立花『いや、しまむーだわ。ごめん』

安斎『(*`へ´*)』

立花『(^_^)』


安斎『ただ一番かと言われると……そうじゃないよね、っていう……これでも私は乙女なんだよ?キャッ、言っちゃった……』

立花『【質問③】だ。どのくらい大好きなんだ?』

安斎『なんか反応したまえよ!』

安斎『それで【回答】だがーーYES or NOで答えられないから無回答だね』

立花『無回答とかそんなんアリかよ!?』

安斎『YES or NOで答えれない質問だからね。これからは考えて質問するように』

立花『マジか……質問一つ無駄にしたのは痛すぎる……』

安斎『あ、突然だけど、タイムリミットを設けるよ』

立花『タイムリミット!?』

安斎『今が午前一時過ぎだから午前二時までの約一時間ね。その時間内に答えるように』


立花『まぁ早く寝ないといけないのは俺もお前も同じだが……いきなりタイムリミットって』

立花『おっぱいの件を根に持ち過ぎだろ……本気で勝ちにきてるじゃねえか』

安斎『探偵を本気にしたのが悪いね。よく考えたら推理ゲームで仮にも探偵を名乗る者がその助手を務める者に負けたら探偵の名折れじゃないか。助手が推理やればいいじゃん、って話になるよ。そんなことは断じて許されないから、勝つためならタイムリミットも設けるし、ミスリードも誘うし、その他番外戦術、ルールに反しない使える手は幾らでも使うよ』

立花『今のお前のやり口は探偵というより犯人役そのものだけどな……』

安斎『@ 'ェ' @「何とでも言うがいいワン」』

立花『この犬チクショウめ!【質問④】!探偵活動全般に関係あることか?』

安斎『【回答】NOーー探偵は全く関係ないよ。探偵としての活動も、シャーロック・ホームズが活躍する推理小説を見ることも大好きだけど一番好きではないね』

立花『あと、肝心なことを伝え忘れていて悪いけど、設問の答えがわかった段階で【設問回答】していいからね。【設問回答】が正解ならこの推理ゲーム、立花くんの勝ちだよ。ただし、【設問回答】は二回までだから【質問】の内容以上によく考えてから答えるように』

>>19
最期の会話文は、立花ではなく安斎が喋ってます。
はい、誤字です、すいません。

あと、スマホで連投するの少し手が疲れたのでしばらく間を置きます。ーー完結はさせるよ!


立花『それは了解した。というか単純だけどよく出来た推理ゲームだな……』

安斎『でしょう?回答者が嘘偽りない回答をすることが前提条件になるけど、それも出題者があらかじめ紙なんかに答えを書いておけば答え合わせの段階で不正はバレるからね。しりとり並にシンプルだけど楽しい、暇つぶしにはもってこいの推理ゲームだと思うよ。そういえばこの前、同僚アイドルのみんなと「20の扉」をやったけどすごく盛り上がったなぁ』

立花『その場に呼んでほしかった……』

安斎『卯月ちゃんも途中で参加してくれてね』

立花『どうして呼んでくれなかった!?(血涙)』

安斎『気持ち悪いからだよ。はい、わかったね?早く質問しなさい』

立花『ひでぇ言い草だ……』

立花【質問⑤】家族の誰かか?』

安斎『【回答】NOーー家族の誰かではない。無論、家族は大切に想っているよ。一番とか二番とかランク付け出来るような間柄じゃないから今回は省かせてもらっているけど』


立花『【質問⑥】その大好きな人は女性か?』

安斎『【回答】NOーー女性じゃない』

立花『決まった。なら、男の誰かだな』

安斎『ん?ちょっと待ちなよ。どうして一番大好きな「モノ」が人のことだって断定してるの?』

立花『断定まではしてないけどな……繰り出せる質問も残り少ないから半分決めつけてはいるけど。まぁ、最初に怪しいと思ったのは【質問①】の回答の返信時間が、短い文面の割に結構長かったからかな。いきなりクリティカルな【質問】が飛び出してきて内心焦っただろと』

安斎『それだけ?』

立花『疑念がさらに強まったのは、さっきの【質問⑤】のお前の【回答】内容だ。家族は選択肢から省かせてもらってますってーーそれはもう「人から選んでますよ」って半ば言ってるようなもんだろ?』


立花『しばらく待っても返信がないようなので【質問⑦】だ。芸能人関係者の誰か?』

安斎『【回答】NOーー違うよ。……そんなの聞くまでもなくわかってるくせに』

立花『【質問⑧】その一番大好きな人とやらは男子高校生か?』

安斎『【回答】YESーーそろそろ一回目の【設問回答】いく?』

立花『いや、最期まで質問する。男なら一発でビシッと正解を当てないとな。二回目はいらないぜ』

立花『【質問⑨】やはりおっぱいは揉めませんか?』

安斎『【回答】ーー設問に関係ない質問なので無回答』

立花『ほう。つまり勝てばワンチャンあるのか……?教えてワンちゃん!』

安斎『@ 'ェ' @「ねぇよバカ」』

安斎『@ 'ェ' @「タイムリミットが迫ってるワン。早く最期の質問に移るワン」』

立花『じゃあ最期の質問するぜ?』

安斎『うん』


立花『【質問10】お前が今思い浮かべている一番大好きな人は、立花圭太だ』

安斎『【回答】NOーー残念だったね。私のおっぱい揉めそうになくて』

立花『NOか……確かこの推理ゲームは出題者側が一回だけ嘘をつくことができるんだよな?』

安斎『そうだね』

立花『なら、まだワンチャン残ってるーー次の【設問回答】で正解すればいいんだからな』

突然、私のスマホがブルブルと震え出した。着信のお知らせだ。相手はーー立花くん。

私は迷わず電話を取った。


安斎「もしもし、ワトソンくん?」

立花『立花だ。あと可能なら今すぐワトソンくんを立花ですに変えてやり直してくれないか?』

安斎「もしもし、立花です」

立花『ありがとう。元気出たわ。電話して良かった』

安斎「意味がわからないんだけど……どうして元気が出たの?男の子って単純なんだね……」

立花『同じくらい女の子は面倒くさいけどな……』

安斎「ケッ。非モテ童貞野郎が知った風な口を利かないで欲しいかも」

立花『お前、本当に俺のこと好きなのか……?』

安斎「立花くんを好きって言ったことなんて今まで一回もなかったと思うけど、どういう根拠でそう思うに至ったのか、きちんと説明して欲しいかな」

立花『わかったよ。【設問回答】はちゃんとする。でも、その前に伝えたいことがあるんだ。聞いてくれ、安斎……いや、都』

安斎「どうしたの急に?」


立花『お誕生日おめでとう』


安斎『……そっちかよ。でも、ありがとう』


その後、立花くんが推理し導き出した【設問回答】は私が心の底から求めていた答えだった。

あー……負けた負けた。

流石、ワトソンくん。私の助手を務めるだけあるね。探偵の座は開け渡さないけど助手としては最高の人材だよ。


この推理ゲームを経て私たちの関係は……変わっちゃったのかな?わからないけど、これから先どうなるんだろう。

柄にもなくドキドキしてる。今夜は眠れそうにないや。

しばらくの間は、おっぱいとか揉ませないけど……手くらいなら繋いであげてもいいかな。


ううん、違う。私が手を繋ぎたいんだ。

今、思い浮かべている大好きな人と。


おしまい

???「都……1日遅れの誕生日プレゼント(SS)……受け取ってくれるか?」

最後まで読んでいただきありがとうございました!少しでも楽しんで読んでもらえたなら幸いに思います。

【祈願】今年こそ安斎都のボイスが実装されるように!

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