ポンコツ探偵VSポンコツスパイ ~狙われた世界レベルの謎~ (34)

マキノ「ようこそお越しいただきました。名探偵の安斎都様。私はヘレン様の秘書をさせて頂いております、八神マキノと申します」

ヘレン「マキノ、間違っているわ」

マキノ「へ?」

ヘレン「世界レベルのヘレン様、そうでしょう?」

マキノ「……私は世界レベルのヘレン様の秘書をしている、八神マキノと申します」

ヘレン「Excellent!」

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都「え、ええ……どうも。それでは、さっそくですが……」

マキノ「えっ、ちょっと、にゃ……にゃにほしゅるんれすかー!」

都「すでに賊が変装して紛れ込んでいるかもしれませんからね。怪盗モノの鉄板ですよ!」

マキノ「くぅ……おにょれー!」

都「にゃにをしゅるんですかっ! わらひはいいんれす~!」

マキノ「ひっひひかげんにはにゃしにゃしゃいよー!」

都「しょっちこしょ~!」

マキノ「はぁはぁ……これで気は済みましたか?」

都「ぃ痛ひ……でもまだれすよ! まだこの場にルパンがいないと確かめられた訳じゃありませんから!」

マキノ(えっ? なんでルパン?)

ヘレン「都、つまりあなたは私の頬も引っ張るというのね?」

都「も、もちろん、それは……そうなんですが…………」

ヘレン「そう……構わないわよ? あなたも世界レベルだと言うのなら、その資格がある」

都「い、いや! ヘレンさんに化けているなら、とっくにお宝も盗まれていますからね! わざわざ確認する必要はないかと……はい」

ヘレン「そう……残念ね」

ヘレン「来なさい。館の中を案内するわ」

マキノ「くれぐれも、失礼のないようお願いしますね、都さん」

都「ふむ、では行きましょうか。私のP.D.E.(Private Ditective Eye)が火を吹きますよ!」

マキノ「なんなんですかそれは! それに探偵はDetectiveですよ?」

都「えっ!? あ、ちょっと! 置いてかないでください~」

マキノ「こちらが当家の使用人、高峯のあと佐城雪見です」

のあ「……よろしく」

雪見「…………」

都「…………あっ、よろしくお願いします」

マキノ「それでは都さん、どうぞ」

都「? どうぞって何がですか?」

マキノ「……この二人は確認しなくていいのですか?」

都「ああ、あれもういいかなーって」

マキノ「…………かしこまりました」

マキノ(後で絶対にギャフンと言わせてやるわ……!)」

都「しかし、立派なお屋敷の割には随分と人が少ないんですね」

ヘレン「無駄に不必要な人員を雇うのは三流のする事よ。こう見えてこの二人も世界レベル、だからそういうこと」

都「はぁ……でも、警備の方は」

ヘレン「それも問題ないわ。これを見なさい」

都「! 予告状ですか!」

マキノ「こちらは先週届いたものです」

都「なになに……『満月の夜、この館でもっとも価値があるものを頂戴する』ですか。差出人の名はありませんね」

マキノ「こんな所で名を明かすのはスパイ失格ですからね」

都「ふむ……ところでこの『一番価値があるもの』というのは?」

ヘレン「都、分からないの? そんなことは太陽が東から上らるというくらい当たり前のことよ」

都「はあ……」



ヘレン「世界でもっとも価値があるもの……それは私!」



ヘレン「つまり、これは世界レベルの私に挑むという挑戦状よ!」

都「…………」

都「お話は分かりました」

マキノ「納得した!?」

都「つまり、私はヘレンさんを護衛すれば良いのですね?」

ヘレン「そんな無粋なものは不要よ。都、あなたは何もしなくていい」

都「え!? だったら、なんで私は呼ばれたんですか?」

ヘレン「良い演劇には、良い観客が必要よ。そうでしょう、マキノ?」

マキノ「え、ええ。そうですね」

ヘレン「それじゃあ、後は頼むわ。月のきれいな、美しい夜を待ちましょう」

都「あ、ちょっと……」

都「何なんですか! まったく!」

雪見「…………」

都「ん? 何ですか?」

雪見「…………ごはん……食べる?」

都「え、ああ。そういえばお腹も空いてきましたね」

のあ「……こっちよ」

都「でも、ヘレンさんはいいんですか?」

雪見「…………ご主人様は……いつも独り……」

都「あ、そうなんですか」

雪見「……………………」

のあ「…………」

都(ま、間が持ちません!)

都「そ、そういえば、マキノさんは一緒じゃないんですか?」

雪見「…………あの人は……仕事……」

のあ「マキノは、いつも来ないわ」

都「えっ、それじゃあこんなに広いのにいつもは二人っきりで?」

のあ「……ええ、その通りよ」

雪見「…………」

都「へ、へーそうなんですか……」

???「キャアーーーッ!!」

都「なっ! 今の声は!?」

のあ「……上の階、ね」

都「行きましょう!」

雪見「…………」



都「マキノさん! どうしたんですか!」

マキノ「あ、アレ……! アレが……!!」

都「くっ、いったい何があったんですか!」

都「って、ネズミ?」

マキノ「だ、誰でもいいから! 早くそれをどかしてよぉ!?」

都「このネズミは死んでますね……いったい誰が……」

雪見「…………あ……ペロ……」

ペロ「ニャー」

都「あ、なるほどそういうことですか」

都「謎はすべて解けた! 犯人はお前だッ!」

雪見「…………ペロが……犯人…………?」

マキノ「そんなことは誰だって分かるわよぉ! だから早くぅ!!」

のあ「……マキノ、もう大丈夫よ」

マキノ「うぅ……のあさん……」

都「つまり、こういう事だったのですよ。そのペロちゃんがどこかから捕ってきたネズミを……」

マキノ「うぅぅ……ねえ、コーヒーでも貰えるかしら?」

のあ「……ええ、マキノ、立てるかしら……大丈夫?」

雪見「…………ペロ……メッ……!」

都「って、私の推理を聞いてくださいよ!!」

マキノ「まったく……とんでもない目にあったわ!」

雪見「…………ごめんなさい」

マキノ「あ、いや、雪見ちゃんが悪い訳じゃないのよ」

都「そうですよ! 雪見さんは悪くありません!」

マキノ「はぁ……まったく役に立たなかった誰かさんもいますけど」

都「いいんですか? あんなこと言われてますよ!」

のあ「あなた……強いわね」

都「そういえば、あんな騒ぎだったのにヘレンさんは何してるんでしょう?」

マキノ「えっ、あ、そうですよ! 確かにおかしいです!」

のあ「……行きましょう!」

雪見「…………」コクッ

都「あっ、待ってください~! って痛ったー!」

マキノ「ヘレンさん! 大丈夫ですか!?」

のあ「返事がないわね……」

都「この部屋の鍵は!?」

雪見「……一階の……使用人室……」

のあ「取ってくるわ……」

都「のあさん、頼みます! マキノさん、他に出入り口は!?」

マキノ「ないわ! ここだけよ!」

のあ「これが鍵よ……」

都「まず私が行きます、マキノさんはフォローを!」

マキノ「え、ええ!」

都「そこまでだッ!」バン

都「……どうやら、遅かったみたいですね」

マキノ「ヘレンさん! ヘレンさん!」

ヘレン「……うっ…………」

都「ほっ、どうやらヘレンさんは無事みたいですね」

のあ「都……あれを見て」

都「これは、鉤爪にロープですか」

雪見「…………犯人は……ここから侵入した?」

都「いや、それは違いますよ!」

ヘレン「……その根拠を、聞かせて貰えるかしら?」

都「おや、ヘレンさん。もう大丈夫なんですか?」

ヘレン「えぇ……やられたわ。まさか、シャトー・ペリュトスの1945年に睡眠薬を入れるだなんて」

都「シャトー……何です?」

のあ「高いワインよ……」

ヘレン「そんなことより、都。あなたは犯人は窓から侵入していないと言ったけど、私を納得させられる理由があるのでしょうね?」

都「ええ、勿論です」

ヘレン「それは?」

都「それが推理モノの定番だからです!!」

ヘレン「……なるほどね!」

マキノ「いやいや! いいんですか、それで!?」

都「それで、ヘレンさん。起きる前と後で何か変わったことは?」

ヘレン「特に……いや、やられたわね。指輪が一つ無くなってるわ」

のあ「ヘレン……それは、まさか……?」

ヘレン「……ええ、その通りよ」

都「ちょっと! 私にも分かるようにお願いします!」

ヘレン「盗まれた指輪は、黄金のヘレン像の鍵なのよ」

都「黄金のヘレン像?」

雪見「…………全長120.0m…………重量800.0t…………」

都「へっ? いや、あの……」

のあ「……予言された侵略者から地球を守るため、古代の兵器を改造して造られた人類最期の希望…………それが黄金のヘレン像よ……」

都「あ、はい」

マキノ「で、でも犯人はどうしてそれがメガヘレンの起動キーだと……」

ヘレン「このさい、それは問題ではないわ」

都「あ、えーっと、そうですね。肝心なのはフーダニットとハウダニットです!」

雪見「…………フーダニット?」

のあ「……誰が犯人なのか、と言う意味よ」

ヘレン「それで、あなたには犯人が分かるのかしら?」

都「もちろんです!」

マキノ「ま、待ってください。仮にあなたが言うように、犯人が窓から出入りしていないというのなら、この部屋は密室だったんですよ!?」

マキノ「そんな有り得ない事を考えるより、早く逃げた犯人を追った方が……」

都「いえ、マキノさん。犯行当時、この部屋は密室では無かったんですよ」

マキノ「そんなバカな?!」

マキノ「だって、あなたも鍵が掛かっていることを一緒に確認したじゃないですか!?」

都「ええ、その通りです。この部屋はしっかりと施錠されていました」

マキノ「だったら……」

都「いえ、犯行が行われたのは私たちが部屋に踏み込む前ではありません。その後なんです!」

のあ「……都、それでは……」

都「あの時ヘレンさんに近寄ったのは、マキノさん! あなただけでしたね! そう、あなたが犯人ですッ!」

マキノ「何をバカな!?」

都「しらばっくれようとしても無駄です! 調べれば証拠の指輪が出てくるはずです!」

マキノ「くっ……」

ヘレン「……のあ」

のあ「……ええ」

マキノ「ちぃッ!」

バキューン

のあ「ぐっ……」

都「け、拳銃!? のあさん?!」

ヘレン「マキノ、あなた……」

マキノ「こうなったら、こうするまでよ!」チャキ

マキノ「これで、私の任務も……」

バキューン

都「のあさん!」

のあ「……油断しないで。私たちメガノイドは、あの程度では死なないわ……」

都「え? えっ?」

マキノ「ぐっ……まさか……あなたもそうだったなんて……」

ヘレン「あら? まさか逃げられる気でいるのかしら?」

マキノ「くっ……こうなったら!」

都「え!? わわわ、マキノさんが巨大ロボに?!」

メガマキノ「ハッハッハッ! ヘレンめ! このまま踏みつぶしてやるわ!」

ヘレン「そうわいかないわよ。ヘーイ! メガへレーンー!」

都「あわわわっ! 今度は黄金に輝く巨大なヘレンさんが!?」

メガマキノ「くっ……起動キーは私の手の中にあるというのに、どうして!?」

ヘレン「それは……私が世界レベルだからよ!」

メガマキノ「そんな理由で?!」

メガマキノ「くそっ、これでも喰らいなさい!」

ヘレン「この私にそんなものはきかないわッ!」

ヘレン「攻撃というのは、こうやるのよ! メガヘレーン・ジャベリーーンー!」

メガマキノ「ギャアーーーッ!!」

ヘレン「これが……世界レベルよ!」

のあ「……やったわね、ヘレン」

都「」パクパク



突如街に現れた偽のメガヘレン!
自衛隊までも敵に回し、ヘレン達は窮地に陥る!
負けるなヘレン! 戦えメガヘレン!
次回、第16話『メガヘレンVSブラックメガヘレン』
来週もこのチャンネルに、ヘーイ!

都「って、これは私が主役の探偵ドラマじゃなかったんですか~?!」

以上です
ヘレンさんを出したのがすべての過ちでした……

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