森久保乃々「おおごえあれるぎぃ……」 (60)


-----事務所-----

森久保乃々(……)ペラ……

乃々(……静かです)ペラ……

乃々(最近、なぜかお仕事が増えてきてしまいました……)ペラ……

乃々(この机の下も久しぶりです……)ペラ……

乃々(やっぱり、もりくぼにはこうした静かな時間が落ち着きます……)ペラ……

ガチャ

乃々(! だ、誰……?)

早坂美玲「お疲れー……って、誰もいないのか?」トコトコ ポスッ

星輝子「あれ……? ボノノちゃんは……先に来てるはずなんだけど……」キョロキョロ

乃々(……)ホッ

美玲「ってことは……」

輝子「そう……だな……」バッ

乃々「あ……」

輝子「やっぱり……」

美玲「やっぱそこだったか。ノノも好きだなー」

乃々「お、お疲れさまです……」

美玲「まったく、誰もいない時くらいこっちのソファにいればいいのにッ」

乃々「も、もりくぼには広いスペースは……ちょっと……」

輝子「わ、わかるぞ……」

美玲「ウチが少数派なの、納得いかないな……」



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輝子「あ……」

乃々「ど、どうかしましたか?」

輝子「い、いや、そのマンガ、この前貸してくれたやつの……最新巻かな……? って……」

乃々「あ、読みますか……? もうもりくぼは1回読んだので」

輝子「いいのか……!」

乃々「さ、さすがにここで断るほどもりくぼはおにじゃないんですけど……」

美玲「お! じゃあウチはキノコの次なッ!」

乃々「では……どうぞ……」ヒョイ

輝子「フヒ……ありがと……」トコトコ スッ


乃々「くちゅん!」


美玲「ん?」

輝子(マンガを手に取ろうとしたら、くしゃみで手を引かれてしまった……)

乃々「あ……、ご、ごめんなさいぃ……」

輝子「い、いや、大丈夫だけど……」

美玲「風邪かー?」

乃々「そんなことはないと思うんですけど……。あ、マンガ、どうぞ……」ヒョイ

輝子「ひき始めの風邪は……やっかいと言うからな……フヒ……」スッ


乃々「くちゅん!」


輝子(ま、また……)

美玲「おいおい……大丈夫か……?」

乃々「あ、あれ……? さ、さっきまでくしゃみなんて出てなかったんですけど……」

美玲「熱とかはないのか?」

乃々「ないと思います……」

輝子「じ、じゃあ、おでこを触ってみようか……?」

乃々「え? あ、では……お願い……します……」

輝子「ちょっと……失礼……」スッ


乃々「くちゅん! くちゅん! くちゅん!」


輝子「え……!?」


美玲「お、おい! どうしたッ!?」

輝子「わ、わからない……。触ろうと手を近づけたら……」

乃々「し、輝子さくちゅん! ち、ちょっと、離れくちゅん! は、離れてくださいくちゅん!」

輝子「」ガーン

美玲「ショック受けてる場合か! ちょっとこっち来い!」

輝子「」トボトボ

美玲「どうだ……?」

乃々「お、落ち着きました……」

輝子「やっぱり私のせいだったんだなボノノちゃんそんなに私のことがイヤなのかそうかどうせ私はボッチだし悔しくなんかないけどでもどうして急にまさか今までもイヤだったけどガマンしてたとかいやきっとそうだ違いない仲良しになれたと思っていたのは私だけだったんだななるほどこれがピエロというものか……」ブツブツブツブツ

乃々「ひうっ!」

美玲「おーい、帰ってこーい」

輝子「実家に帰りますよー……」トボトボ

美玲「そういう意味じゃないッ!」


美玲「しょうがないな……、ウチが診てやる」スッ

乃々「は、はいぃ……」

美玲「待ってろよ」トコトコ……

乃々「くちゅん!」

美玲「え?」

輝子「え?」

乃々「くちゅん! くちゅん!」

美玲「き、キノコ! なんかしたか!?」

輝子「い、いやいや、なにも……」フルフル

美玲「う、ウチだってまだソファから1歩近づいただけだし……!」

乃々「くちゅん!」

美玲「と、とりあえずソファに……」ポスッ

乃々「あ……」

輝子「止まった……か……?」

乃々「収まりましたけど……。な、なななんなんでしょう……?」

美玲「……」←ちょっとショック


輝子「えっと……」

美玲「……」スッ トコトコ

乃々「くちゅん!」

美玲「……」ポスッ

乃々「……」

美玲「……」スッ トコトコ

乃々「くちゅん!」

美玲「……」ポスッ

乃々「あ、遊ばないでほしいんですけど……!」

美玲「ち、ちょっと楽しくって……」


美玲「でも、本当になんなんだろうな……?」

輝子「わ、私がすぐ近くまで行くか……、美玲ちゃんが4メートルくらい……? に入ると、くしゃみ……」

美玲「なんでウチよりキノコの方が近くに行けるんだッ!」

乃々「そ、そこよりもくしゃみの理由の方が気になるぅ……」

輝子「お、落ち着いて……」

ガチャ

輿水幸子「フフーン! カワイイボクの参上ですよ!」

白坂小梅「お、お疲れさま……、みんな、もう揃ってる……?」

美玲「お!」

輝子「おお……2人とも……」

小梅「あ、あれ……? 輝子ちゃんがソファの方にいるの、珍しい……ね?」

美玲「ち、ちょっと2人とも、こっち来い!」

幸子「どうかしたんですか?」トコトコ

小梅「?」トコトコ


乃々「くちゅん!」


輝子「そ、ソファの位置でダメなのか……!」

幸子&小梅「?」

美玲「じゃあ、2人とも、乃々から遠ざかってみてくれ」

幸子&小梅「???」


乃々「収まりました……」

美玲「原因はどっちだ……?」

幸子「あの……さっきからみなさん、何を……」

美玲「ウチらは今シンケンに考えてるのッ!」

幸子「普通に怒られるのはおかしくないですか!?」

小梅「乃々ちゃんが……どうかしたの……?」

乃々「うう……すみません……」

幸子「いや、謝られても……」

美玲「ちょっと幸子だけ、ここまで来てくれるか?」

幸子「説明はしてくれないんですね……」トコトコ


乃々「くちゅん!」


美玲「おっけ、離れてくれ」

幸子「ええ!?」

輝子「は、傍から見ると……ひどいな……フヒ……」


美玲「幸子は5メートル……」

輝子「じゃあ次は……」チラッ

小梅「?」

美玲「小梅、ノノに、ゆっくり近づいてみてほしいんだけど」

小梅「う、うん……」トコトコ

乃々「……」

小梅「……」トコトコ

乃々「……」

美玲(今のところセーフ……)

小梅「えっと……机の前まで……来たけど……」

輝子「ち、ちょっと、ボノノさんに触ってみてほしい……」

小梅「さ、触る……?」

幸子(蚊帳の外ですね……)ポツーン

乃々「え、えっと……」

小梅「ご、ごめんね……?」スッ……

ピトッ……

乃々「ひうっ」ビクッ

小梅「……」

乃々「……」

美玲「……くしゃみが出ない」

輝子「……だ、だな」

乃々「は、はい、大丈夫みたいです……」

小梅「?」


美玲「こ、小梅、戻ってきていいぞ!」

小梅「う、うん」トコトコ

幸子「えっと……、乃々さんに近づくと、何かあるんですか?」

輝子「そ、それが……」


かくかくしかじか


幸子「く、くしゃみが……?」

小梅「でも、私が近づいても……何も起きない……よ?」

美玲「うーん……」

幸子「……すみません、ボクはいつまで1メートル離れて話さなくてはいけないんですか」

輝子「このソファは……ボノノちゃんから4メートルくらいだから……幸子ちゃんは……」

幸子「1メートルくらいこっちに動かしてくださいよ!

美玲「重いし……」

幸子「じゃあいいですよもうっ!」


輝子「ちょっと……わからない……ね」

幸子「うーん……」

美玲「とりあえず、それぞれが近づける限界まで行ってみるか」

幸子「ボクはここが限界なんですが」

小梅「そう……だね……」トコトコ

輝子「机の前までは行けるのに……」トコトコ

美玲(ウチもあんま幸子をバカにできないな……)ジー


小梅「失礼……します……」ヨイショ

乃々「えっ……ちょ……」

輝子「な、なぜ……机の下に入るんだ……」

小梅「私しか入れないの……ちょっと嬉しい……」ニパー

乃々(かわいい)

輝子(かわいい)

幸子&美玲(かわいいんだろうけどよく見えない……!!!)グヌヌ


幸子「さて、どうしましょうか……」

ガチャ

渋谷凛「お疲れ様」

北条加蓮「どーもー」

神谷奈緒「うーっす……って、なんで幸子はソファの後ろで立ってるんだ? あれ? 輝子は机の前で何を……」

凛「? あれ、机の下にいるの、乃々と小梅? 珍しいね?」

加蓮「輝子ちゃん、場所を取られちゃったの?」

奈緒「そんな取り合いじゃないだろ?」トコトコ


乃々「くちゅん! くちゅん!」


輝子&小梅「あ」

奈緒「え?」

美玲「おお、とうとう幸子より遠いやつが……」

幸子「感心してる場合ですか!」


乃々「くちゅん!」


奈緒「え? の、乃々? 大丈夫か!?」

輝子「奈緒さんの……せいで……」

奈緒「あ、あたし!?」

幸子「す、すみません、何も言わずに、1歩下がってください!」

奈緒「あ、ああ」サッ

幸子「そのまま、乃々さんに近づかないようにボクの後ろまで!」

奈緒「な、なんなんだよ……!?」

加蓮「……なにこれ?」

凛「さあ?」


美玲「奈緒は……7メートルってとこか……」

奈緒「せ、説明をしてくれ……」

幸子「さっきのボクみたいですね」

加蓮「その"さっきのボク"を知らないからね?」

輝子「じ、実は……」


かくかくしかじか


凛「ふうん……」

加蓮「乃々ちゃんのくしゃみ、特定の人が特定の距離に近づくと出てくるんだ……」

凛「ちょっとよくわかんないけど……」

美玲「でも、条件がわからないとモヤモヤするだろッ!」

乃々「す、すみません……」

凛「別に、乃々を責めてるわけじゃないよ」トコトコ

美玲(凛はどこまでだ……?)

凛(机の前までは平気……)

輝子「や、やあ、どうも……」

凛「輝子はどこまでいけるの?」

輝子「さ、触ろうとすると……」

凛「そっか、じゃあ、私も触ってみるね」

乃々「!」ビクッ

凛「ごめんね、乃々、ちょっと頬っぺた、失礼するよ」スッ

奈緒(めっちゃ優しい顔だな……)

加蓮(別に手とかでいいんじゃ?)


乃々「くちゅん!」


みんな「あ」


凛「……」ショボーン

輝子「り、凛さん……元気出して……」ナデナデ

凛「あとちょっとだったのに……」

幸子「輝子さんと凛さんは同じくらい……」

加蓮「じゃ、次は私ね?」トコトコ

美玲「よろしくなッ!」←ちょっと楽しくなってきた

加蓮「さて、私も机の前までは来れたけど……」チラッ

乃々「!」

加蓮「乃々ちゃん、手を伸ばしてもらってもいいかな?」

乃々「は、はいぃ……」スッ

加蓮「ありがと」ピトッ

乃々「……」

加蓮「セーフ……かな?」

小梅「みたい……だね……」

凛「……」ギロッ

加蓮「怖っ」


輝子「今のところ……小梅ちゃんと加蓮さんが……セーフ……」

幸子「いまいちわかりませんね……」

奈緒「遠い……」

加蓮「なんでだろうね?」ナデナデ

乃々「あうぅ……」

凛「なんで撫でてるの」ギロッ

加蓮「いやー、前々から小動物みたいでかわいいとは思ってたんだよね」ナデナデ

小梅「わかる……よ」ナデナデ

輝子「小梅ちゃんは……ボノノちゃんより年下なんじゃ……」

乃々「恥ずかしいぃ……」

奈緒「見たいのに凛と輝子で見えない!」

幸子「もどかしいですね……」


凛「ふう、ちょっと、真剣に理由を考えてみようか」

美玲「ようやく冷静になったのか」

輝子「でも、さっぱりわからないぞ……」

幸子「うーん……」

凛「……じゃあ、このくしゃみの範囲がパーソナルスペースだとしたら?」

輝子「パーソナル……スペース……?」

加蓮「近づくのを耐えられるかどうかってこと?」

美玲「つまり……好感度……みたいなモンか?」

奈緒「……の、乃々……あたしのこと嫌いなのか……!?」ガーン

乃々「ええ……!? い、いや、奈緒さんは……とっても優しくて、も、もりくぼは……嫌いとかなんて思ってなくて……」

加蓮「落ち着いて奈緒。正直、私が美玲ちゃんとか幸子を差し置いて好かれてるとか思わないでしょ」

凛「ま、まさか、加蓮、抜け駆けして乃々との仲を深めて……!?」グヌヌ

加蓮「凛」

美玲「抜け駆けって」


美玲「で、でも、そうだよなッ! ユニットも組んでるし!」

幸子「ぼ、ボクだって乃々さんと親しくなったつもりですよ!」

奈緒「そうだそうだ! あたしだってき、嫌われてはない! ……はずだ!」

ワーワーギャーギャー

加蓮「あちゃー、なんか火がついちゃった」

凛「でも、遠いからそんなに気にならないね」

小梅「そ、そうかも……」

輝子「フヒ……運よく……」


輝子「声の大きい人は遠くにいる……ね……」


凛「……え?」

加蓮「……あ」

小梅「そ、そっか……!」

奈緒&幸子&美玲「!!!」

輝子「……?」

乃々「ええ……!?」


----------


加蓮「なるほど……、声の大きさね……」

凛「確かにそれっぽいけど……」

輝子「で、でも、私は……声、小さいけど……」

凛「私だって、加蓮と大差ないと思うよ」

小梅「でも、輝子ちゃんは……ライブでは叫んでる……よね?」

幸子「じゃあ、平均値とかでしょうか……?」

美玲「そうか……」

奈緒「輝子は普段から小さいけど、ライブ時の大きさが平均を上げてる……ってことか?」

凛「なるほど。幸子と美玲は同じくらいの声だけど、幸子はよく(リアクション芸とかで)叫んでるから美玲より遠いのかな」

幸子「含みがありませんでした?」

凛「気のせいだよ」


加蓮「私と凛は同じくらいだけど、凛もたまに大声出すもんね~」

小梅「そ、そうなの……?」

加蓮「そうそう♪『誤魔化さないでよ!!!』とかね」

凛「そ、それ結構シリアスなシーンなんだからいじらないでよ!!!」


乃々「くちゅん!」


輝子「うわっ!」

凛「え?」

幸子「り、凛さん……」

奈緒「……もしかして、今の叫んだやつで、セーフな距離が減ったんじゃないか?」

凛「え……!?」

乃々「くちゅん!」

加蓮「はい、1歩後退ね?」

凛「……」ギリッ

美玲「おーい、アイドルがしちゃいけない顔してるぞ」


小梅「で、でも、奈緒さんって……そんなに……声大きい……かな……?」

輝子「た、確かに……」

奈緒「あ、あたしはいつでもクールなつもりだぞ!」

凛「……」ジー

加蓮「……」ジー

奈緒「その顔やめろ!!!」

美玲「ああ、幸子みたいなポジションなんだな」

幸子「流れ弾っ!?」


加蓮「ま、でもまだ確定じゃないし」ナデナデ

乃々「……」

幸子「心なしか慣れてます?」

凛「……」グヌヌ

美玲「凛はまだ落ち着けてないな」

奈緒「しかし、何か決め手が欲しい気もするよな……」

輝子「フヒ……確かに……」


ガチャ

日野茜「おはようございます!!! ボンバー!!!!」


みんな「!!!!!」


幸子「ち、ちょっと! 一番危ない人が来ちゃいましたよ!」

茜「?」

輝子「お、落ち着いて……」

凛「で、でもくしゃみは聞こえないけど……」

小梅「ほ、本当だ……、乃々ちゃん……?」トントン

乃々「」チーン

奈緒「乃々ー!!!!!」


美玲「お、おいッ!」

幸子「大丈夫ですか!?」

凛「の、乃々……! さ、触れないのがもどかしい……!」オロオロ

小梅「ど、どうしよう……」オロオロ

輝子「え、えっと……」オロオロ

奈緒「近くにいる組、役に立たないな!?」

加蓮「みんな、まず落ち着いて。小梅ちゃん、タオルを濡らしてきて。あと輝子ちゃん、コップにお水をお願い」テキパキ

小梅&輝子「……」コクッ

加蓮「凛は焼きそばパン買ってきて」

凛「ただのパシリじゃないの!?」

加蓮「ふふっ、冗談だって。乃々ちゃんを診ててあげて。それで……」トコトコ

茜「え、えっと……?」

加蓮「ごめんね茜、ちょっと立て込んでて」

茜「の、乃々ちゃんになにかあったんですか!?」

加蓮「ううん、大丈夫、ちょっと寝てるだけだからさ、悪いんだけど、乃々ちゃんが起きるまで少し外に出ててもらっていいかな? ほら、今日はランニング日和だよ」

茜「そ、そうですか! お休みの邪魔をしてはいけませんねっ! では、走ってきます!!!」ダダダダダダダダ

加蓮「ありがと。……ふう、こんな感じかな」

奈緒「」ポカーン

美玲「」ポカーン

幸子「」ポカーン

加蓮「そのリアクション、失礼すぎない?」

凛「見直したよ、加蓮」キリッ

加蓮「私は凛の評価を下方修正しそうだけどね?」


----------


乃々「ご、ご心配を……おかけしました……」

小梅「か、加蓮さん……かっこよかった……」

加蓮「ま、伊達にいつも死にかけてないからね」

奈緒「反応に困るセリフやめろよ」

美玲「同意していいのかわかんないぞ」


凛「まあでも、これで声の大きさっていうのは確定かな」

奈緒「そうなのかー……」

輝子「昨日まではなんともなかったのにな……」

小梅「どうしたんだろう……ね?」

乃々「もりくぼが聞きたいんですけど……」


凛「って、あ、そろそろニュージェネでレッスンの時間……」

加蓮「そっか、残念だけど、凛はここまでかな。大丈夫、凛の分までこの場所を楽しんでおくからさ」ナデナデ

乃々「……」ウトウト

幸子「慣れすぎて寝そうになってるじゃないですか」

凛「……」ギロッ

奈緒「凛はそろそろ慣れろよ!」


ガチャ

島村卯月「こんにちは!」

本田未央「やっほー! しぶりん、迎えにきたよー! ……あれ? どうかしたの?」


乃々「くちゅん!」


みんな「!」

未央「あれ? この声、乃々ちゃん? 風邪かな?」

乃々「くちゅん!」

凛「未央」

未央「あ! しぶりん、そろそろレッスンの……」

凛「出てって」

未央「なんで!?」


未央「ち、ちょっと! どうしたのさ!?」

凛「流石の私も怒るよ」

未央「ガチでキレてるじゃん! なにが逆鱗に触れたの!!!」

乃々「くちゅん!」

奈緒「未央……」

未央「か、かみやん! 助けて! しぶりんがひどいんだよ!」

奈緒「帰ってくれるか?」

未央「あれ!? かみやん!?」

乃々「くちゅん!」

幸子「す、すみません、詳しい説明はあとでするので……」

美玲「まあ、普通はビックリするよな」

輝子「か、かわいそうだけど……」

未央「な、納得いかない……」トコトコ ガチャ

加蓮「ちゃんとフォローしてあげなよ?」

凛「乃々、大丈夫?」

小梅「そっちじゃ……ないと……思う」


卯月「え、えっと……?」

凛「ああ、卯月、おはよう」

奈緒「目の前で未央を追い出した凛に挨拶されるの、普通に怖いよな」

加蓮「精神的なアレを疑われるよ」

美玲「言いたい放題じゃんか」

幸子「会話が進まなすぎて卯月さん困ってるじゃないですか!」

輝子「え、えっと、とりあえず奈緒さんのところまで……どうぞ……」

卯月「え? あ、はい!」トコトコ

乃々(輝子さんが会話を進めてる……)


卯月「奈緒ちゃん、こんにちは!」

奈緒「あ、ああ」

加蓮「幸子と同じ5メートルに1000円」

奈緒「賭けるな!!!」

凛「いや、卯月は元気だからね、奈緒と同じ7メートルが妥当なんじゃないかな。1000000円」

奈緒「インフレやめろ!!!」

輝子「い、いや……、私たちと話すときはゆっくり話してくれるし……3メートルに200シメジ」

奈緒「物品で!?」

小梅「輝子ちゃん……やるね……」

輝子「な、奈緒さんは……なんでも拾ってくれる……」

凛「ナンでも拾って食える?」

奈緒「言ってねえよ!!! 凛は輝子の一番近くにいるだろ!?!?」

乃々「くちゅん!」

奈緒「あ」

加蓮「はい、ツッコミご苦労様。1メートル下がってね」

奈緒「理不尽だな……!!!」トコトコ


卯月「す、すみません……、メートル……?」

美玲「あ、また置き去りにしてたな」

凛「卯月、幸子の隣に立ってくれる? それで乃々がくしゃみをしたら、1歩下がって」

卯月「はい!」ピース

奈緒「指示内容を疑えよ。違和感だらけだろ」


卯月「では、島村卯月、進みます!」

小梅「律儀……だね」

加蓮「それが卯月のいいとこだからね」

卯月「……」トコトコ

乃々「くちゅん!」

卯月「わ!」サッ ピタッ

凛「幸子、記録は!?」

奈緒「そんなに気になるか?」

幸子「CMの後です!」フフーン

奈緒「バラエティのノリやめろ!」

加蓮「もう奈緒以外好き勝手だよね」

凛「だからあんな遠くにいるんだよね」

奈緒「あたしのこと嫌いなのか?」


幸子「ボクの後ろなので、6メートルくらいですね」

卯月「は、はい!」

凛「そっか、じゃ、レッスン行こう」トコトコ

卯月「は、はい……?」

美玲「結局説明ナシで?」

乃々「流石にかわいそうなんですけど……」

卯月「レッスン頑張ります!」ブイッ

輝子「切り替えが早い……!」


凛「乃々、またね」

乃々「え? は、はいぃ……」

凛「次こそ、乃々にふさわしいアイドルになって帰ってくるから」

乃々「べ、別にふさわしいとか、ないと思いますけど……」

凛「その時には、頭を撫でさせてね」

加蓮「頑張ってね~」ナデナデ

乃々「あうぅ……」

美玲「なんで加蓮も煽るんだ……」

凛「覚えとけ」

奈緒「口調」


~ニュージェネ離脱~


奈緒「未央がとにかく可哀想だったな」

幸子「あの凛さんの調子だと、レッスン中にも説明しないままでしょうね」

輝子「未央さん……驚いてるだろうな……」

加蓮「数分前に追い出された相手とレッスンだもん」

美玲「驚きより恐怖だろ……」


加蓮「でもそろそろ、本格的に乃々ちゃんのくしゃみについて考えないとね」ナデナデ

乃々「は、はい……」

美玲「そうだなッ」

輝子「じゃあ一旦、ソファのとこで話し合おうか……」トコトコ

小梅「そう……しよう……」トコトコ

加蓮「名残惜しいけど、乃々ちゃん、またね」サッ

乃々「あっ……」シュン

加蓮(えっ待って何今の撫でるのを止めて離れようとした時の残念そうな"あっ"って!かわいすぎるでしょ!?ちょっとやばいやばいこれじゃ凛のことをバカにできないというか乃々ちゃん凄い抱きしめたいけど大きな声を出すのはダメだしあああなんでこんなカワイイの!」

乃々「き、聞こえてますけど……!?」


----------


加蓮「さて、ソファに私、小梅ちゃん、輝子ちゃん、美玲ちゃんの4人。それを眺める……」チラッ

幸子「……まあ、ボクはまだいいですよ」←ソファから1メートル

奈緒「遠い!」←ソファから4メートル

乃々「ご、ごめんなさい……」

加蓮「いいのいいの、きっと"美味しいポジション"とか思ってるから」

奈緒「思ってないからな!」

小梅「な、仲良し……だね……」

輝子「だな……」


ガチャ

佐久間まゆ「こんにちはぁ……」

加蓮「あ、まゆ」

まゆ「あれ? みなさん、ソファに集まって……」ハッ!

まゆ(ソファにいるみんなの目線の先に乃々ちゃん……。普段は近くにいる輝子ちゃんまで……。しかもそこから遠ざかるように幸子ちゃんと奈緒ちゃんが……)

まゆ「……」

幸子「まゆさん?」

小梅「まゆさん……?」

まゆ「いじめ……ですかぁ……」ユラッ

加蓮「なんで」


まゆ「可哀想な乃々ちゃん……。みんなに酷いことをされて……」ユラッ

美玲「お、おい!」

まゆ「きっと、輝子ちゃんや美玲ちゃんも騙されて……」ユラッ

輝子「ええ……!?」

まゆ「そうです……。きっと、加蓮ちゃんあたりが……悪い加蓮ちゃん……」ユラッ

加蓮「おーい、帰ってきてー」

小梅「聴こえてない……のかな……? 乃々ちゃんの方にゆっくり……」

まゆ「大丈夫ですよ……。乃々ちゃんはまゆが守ってあげますからね……」ユラッ

乃々(め、目の据わったまゆさんがゆっくり近づいてきます……!!!!!!)ガクガクガクガク


奈緒「お、おい加蓮! なんとかしなくていいのか!?」

加蓮「平気平気。まゆは良い子だから」

美玲「あの雰囲気で……!?」

加蓮「乃々に危害を加えたりとか、絶対しないから」

幸子「余裕ですね……」


まゆ「乃々ちゃん……」

乃々「は、はい……」

まゆ「もう大丈夫……」ギュッ

乃々「! あ、ありがとうございます……?」

加蓮「ち、ちょっと、抱きしめるのはルール違反じゃない?」トコトコ

奈緒「余裕ないな」


加蓮「ほら、私のほうが安心するでしょ?」ギューッ

まゆ「まゆのほうがいいですよねぇ……?」ギューッ

乃々「た、たすけ……」

美玲「とんだLove∞Destinyだなッ!」

幸子「なに上手いこと言ってるんですか!」

奈緒「ってか普通にスルーしてたけど、3人目の乃々に触れる人だったな……」


加蓮「乃々ちゃん、苦しそうだよ?」

まゆ「じゃあ、加蓮ちゃんが離れれば解決ですねぇ……」

乃々(く、くしゃみの方がましなんですけど……! 怖いぃ……!)

幸子「ま、まゆさんはどんな用事で事務所へ?」

奈緒(ナイス幸子!)

まゆ「え? ああ、そうでした……。加蓮ちゃん、今日はMasque:Radeでお茶をする予定でしたから、迎えに来たんですよぉ……?」

奈緒「こ、この流れで加蓮とお茶に!?」

加蓮「あ、そうだった、ごめんごめん。行こうか?」

まゆ「はぁい」

美玲「なんなんだこいつら……」

加蓮「じゃあ、私たちは失礼するね」パッ

まゆ「乃々ちゃん、辛かったらいつでも、まゆを頼ってくださいね?」パッ

乃々「あっ……」

まゆ(えっ何ですか今の名残惜しそうな"あっ"!とってもかわい

加蓮「じゃあね~」ズルズル

まゆ「ま、まゆのセリフの途中……」ズルズル

加蓮「ごめんね、さっきやったんだ」ズルズル

まゆ「そんなぁ……」ズルズル

ガチャ

輝子「ま、まゆさん……」

小梅「凄い……ね」

乃々「はい……」


美玲「しかし、みんなレッスンに……あれ?」

輝子「……レッスン……あ」

幸子「そ、そうですよ! ボクたちもレッスンのために一旦この部屋に集合したんじゃないですか!」

奈緒「あ、そうだったのか?」

小梅「そ……そうだった……!」

乃々「で、でも今のもりくぼはレッスンなんて……」

幸子「確かにそうですね……」

美玲「しょうがないから、トレーナーさんには体調不良って伝えとくか……」

乃々「サボりだと思われそうです……」

奈緒「まあ、しょうがないんじゃないか?」

輝子「そ、そろそろ出ないと……!」

幸子「で、ではいってきます!」

小梅「乃々ちゃん、頑張って……!」

美玲「気を確かになッ!」

輝子「何かあったら……連絡してくれ……」

乃々「は、はいぃ」

奈緒「……って、みんな行くのか! じゃあこの部屋に残るのは……!」


乃々「……」

~約8メートルの距離~

奈緒「……おおう」


乃々「ご、ごめんなさい奈緒さん……」

奈緒「い、いや、いいけど……」

乃々「もりくぼのせいで……奈緒さんがソファにも座れず……あんな端っこに……」

奈緒「大丈夫なんだけど……。じ、じゃあ、ちょっと飲み物でも買ってくるから、ゆっくりしててくれ! な?」

乃々「しかも気を遣わせてしまって……もりくぼは消えてしまいたいです……」

奈緒「平気だってば!」

ガチャ


~~~~~~

ガチャ

奈緒「ただいまー。乃々、大丈夫だっ……!?!?!?」


乃々「ううぅ……」

高峯のあ「……」ナデナデ

鷺沢文香「……」ナデナデ

遊佐こずえ「……ふわぁ」ウトウト

成宮由愛「……」カキカキ

佐城雪美「……」ギュー


奈緒「なんで!?」


奈緒「あ、ありのまま、目の前の光景を説明するぜ!『まずソファの真ん中に乃々、その左右、向かって右にのあさん、左に文香が座ってる。乃々の膝の上になぜかこずえがいて、のあさんの膝の上にいる雪美は乃々の左腕をぎゅっとしてて、文香の膝の上にいる由愛は絵を描いてる』なんか……すごい……! 空気がふわふわしてる!」


こずえ「あ、なおー」

文香「こんにちは……」ナデナデ

のあ「……なぜ、驚きの表情が浮かんでいるの?」ナデナデ

奈緒「驚かない方が無理だろ!?」


由愛「できました……、乃々さんの絵です」

乃々「は、恥ずかしいけど嬉しいぃ……」

文香「由愛ちゃんは、とても絵がお上手なのですね」ナデナデ

由愛「あっ……ありがとうございます……」


雪美「乃々……暖かい……」ギュー

乃々「あ、そ、そうですか……」

雪美「のあも……」

のあ「……ええ、感じている。乃々の、雪美の……。きっと、どこか深くで共鳴している……その鼓動を」

乃々「む、むつかしいぃ……」


こずえ「ののー」

乃々「ど、どうかしましたか……?」

こずえ「ののばっかりなでられて……ずるいー……」

乃々「え、ええ……!?」

こずえ「こずえもなでてー……なでろー……?」

乃々「わ、わかりましたけど……」ナデナデ

こずえ「ふわぁ……のの、やさしいねー……」

乃々「い、いえ……そんな……」

文香「いえ、乃々さんの優しさは、みんな知っていますよ」

のあ「そう、恥ずべきことではない……。乃々には、乃々の、皆が認める何かがあるわ」

雪美「ペロも……好きって……」

乃々「ああうううぅ……//////」


奈緒「ああ……(浄化)」


奈緒「乃々……」

乃々「な、奈緒さん、助けてぇ……」

奈緒「お幸せにな……!」タタタタ

乃々「奈緒さんー!?」

のあ「さて、まだ日は長い……」ナデナデ

文香「その通りですね……」ナデナデ

由愛「次はどんな衣装の乃々さんを描こうかな……」

雪美「……」ギュー

こずえ「みんなーあったかいねー……」


乃々「む、むーりぃー……(小声)」



~翌日~


奈緒「ってことがあったんだよ!」トコトコ

加蓮「なにそれー! 見たかったなー」トコトコ

凛「奈緒……ズルいよ……」ギロッ

奈緒「凛は普通に怒るのやめろよ……」トコトコ

加蓮「ふふっ……さて、部屋の前まで来たけど……」

凛「今日は平気だといいね……」

奈緒「あたしはまだ怖いから、加蓮、最初に近づ……って、何か中が騒がしいな……?」

凛「ホントだ。やっぱり治ってないのかな……?」


ガチャ


茜「あ!!! トラプリの3人ですね!!! おはようございます!!!」

乃々「……」

加蓮「あ、茜! なんで机の下に!?」

凛「乃々!」

奈緒「でもくしゃみは出てないけど……!?」

茜「そうなんです! くしゃみ! 乃々ちゃん、さっき、私が近づくまではずっとくしゃみをしていたんですが!」

加蓮「え?」

茜「私のそばにいると止まるみたいなんです!!!!!」

乃々「なんで……」キーン

凛「の、乃々……」


茜「というわけで、乃々ちゃん! 今日はずっと一緒にいましょう!!!」

乃々「」

茜「まずはレッスンですね!!! 走りましょう!!!」

乃々「」

茜「どうしたんですか!? 風邪なんてふっ飛ばしてやりましょう!!!!」

乃々「」


乃々「むーりぃー……!!!!!」



おわり




ほのぼの?コメディ?



過去作


神谷奈緒「憎めない常務と秋の魅力満喫☆わくわくバスツアー……!?」

橘ありす「わらしべ長者フレデリカ?」

綾瀬穂乃香「フリルドスクエアは、何の略なのでしょうか……?」工藤忍「は?」

双葉杏「対義語病」


などもよろしくお願いします




未央が不憫すぎる…
それにしても机の下に収まってる茜は見てみたいな


実は森久保より背が小さい茜

おつ
荒療治か

荒療治でもくしゃみしなくなったしまだ少しは改善された?

乙乙

二日目高身長アレルギーか?

snzkと愛ちゃんも呼んでこよう

1:ウイルスAで体が弱っている
2:数十倍強力なウイルスBでAを駆逐したから治った扱いだぜ!
みたいな荒療治だな…

アレルギーは完全遮断すると治りにくいからね。

このSSまとめへのコメント

1 :  キノコ好きの774さん   2017年03月23日 (木) 15:51:41   ID: VbR37bb1

ほ…ほのぼのの…だな……フヒ…

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