僕「これが最後の願いです...」(31)

初めましての方は初めまして 今まで書いてたもの、書いているものを読んでいる方はありがとうございます ジャガー大佐です 本来ならもう少し後に書くつもりだったのでしたが どうも妄想力が強過ぎて...書くことにしました

お願いがあるのですが...読んでいる時に思ったことがあっても俺が書いている時はコメントをしないで下さい 最悪、知らない人のネタバレになるかもしれないので...

ザーザー

頭が痛い...そうだ...あの子は無事だろうか...あの猫は...

僕は何処にでも居る男 妻が居て子供が居る 今日は妻との結婚記念日だった...

妻との付き合いは長い 最初に会った時の明るく笑っていた姿は今でも思い出せる...彼女は僕の従兄弟でもあった

高校に入ったばかりの時、彼女が両親と共に事故にあったことを聞き、急いで病院に駆けつけた 幸い、彼女には怪我は無かったが僕と会話しても表情を一切変えない 後でショックによる感情喪失なのだと聞いた 両親が死に自身だけが生き残ったのだから無理もないだろう...

僕は父さんとの2人暮らしだった 母さんが僕を産んだ時、運が悪く死んでしまったらしい そのせいで僕は母さんとの思い出が一切無く 父さんが母さんの代わりでもあった

妻が退院した時、親族が僕しか居なかったため、僕の家に引き取られる形になった 慣れない環境にいきなり行くのだからさぞかし心細かっただろうと思ったが後に聞いたことだが僕が居たから不安は無かったらしい 彼女の適応能力は凄まじく1週間で家の中を覚えていた その後、彼女は高校に通うようになったのだが相変わらずその表情は無表情のままだった...僕と彼女はなんとなく生徒会に入ったのだが 何故かその時の代は生徒会長と副会長が空いていて彼女が周りに勧められる形で会長に、僕が副会長になった だから、高校時の彼女の呼び名はいつも『会長』だった

僕「会長、こんな感じでいいですか?」

会長「...いいわ そこに置いといて」

僕「わかりました」

イキスギィ!

とこんな感じでやっていて、周りからは「よくあんな会長のサポートが出来るな」と言われたが僕は一切気にしなかった 会長の側で仕事をすることが何よりの楽しみであり、授業が早く終わらないかと思っていながら過ごしていた ある時、会長からこう聞かれたことがあった

会長「ねぇ いつも私を支えてくれているけど辛くないの? こんな表情を変えられない不気味な女の側に居て」

僕「とんでもない むしろ、楽しいですよ だって僕は会長のことが好きですから」

会長「...そう 貴方も変わった人ね...」

この時に言ったことは本当で僕は会長のことを異性として好きだった 意識し出したのは全校生徒の前で話している時、その時の無表情ながらも必死に話している姿に惚れた 毎日、共に家に帰る時もいつも胸が一杯でこの上ない喜びを感じていた

ある時、会長が風邪で体調を崩したことがある その時は僕が会長代理として何とか乗り切り改めて会長の凄さを感じながら家に帰った その後、彼女の部屋に看病をしに入ると彼女は泣いていた

僕「どうしたんだ?何か嫌なことでも思い出したか?」

会長「自分が情けなくて...体調を崩して貴方やみんなに迷惑掛けてしまう自分が...私なんて居ない方が...」

僕「そんなことを言うのはやめろ! 僕は君が会長だからいいんだ 何でもかんでも1人で背負わないでくれ 困った時は僕が助けるから」

会長「それじゃあ...側に居てくれる?」

僕「もちろんだとも 君がいいと言うまで側に居よう」

それが彼女が高校時、唯一僕に甘えた瞬間だった

会長の頭は良く、先生から「彼女に解けない問題は無いのではないか」と言われるほどだった 僕はというと、その逆であり、落ちこぼれの集団の中の1人だった その為、いつも家では勉強を教えてもらっていた

会長「ここはこうで...あっそこ 間違ってる」

僕「え~ どう違うんだ?」

会長「ほら ここの計算が違うの」

僕「あっ そうか じゃあここをこうすれば...出来た! やっぱり会長は凄いな~」

会長「貴方が出来無さ過ぎるだけよ ほら、次の問題を解く」

僕「了解です」ビシッ

そんな日々を過ごして高校生活を送り、無事に大学に合格したのだった

大学は彼女と離れ離れになるかと思ったが何故か彼女は僕と同じ大学に入った 大学時も彼女は凄く、誰よりも早くレポートを出し、授業に欠席した日は1日も無かった 僕は相変わらずそんな彼女に頼りっきりで自分が情けなく思いながら大学生活を送っていた そんなこともあってその時の彼女の呼び方は『先輩』だった

僕「うわァァァァァァァ レポート書くの忘れてたァァァァァァァ どうしよう、明日提出日なのに...」

先輩「ほら、ここに資料まとめておいたから これ読んで書きなさい」

僕「ありがとうございます 先輩!」

先輩「その呼び方は辞めて欲しいのだけど...まだ会長の方が良い...」

僕「呼び捨ては出来ないし...会長はもうやってないし...となると呼び方は先輩ぐらいしかないから...駄目?」

先輩「...もうそれでいいわ...」

そんな僕だけど1つだけ彼女に勝る部分があった 当然といっては当然だけど男である僕は彼女より力がある そういう訳で力仕事はいつも僕がやっていた

先輩「悪いわね...いつも運んでもらって...重くない?」

僕「大丈夫ですって これぐらい おっと...危なっ...落としそうになった」

先輩「少し持とうか? このまま落としたら拾うのも大変だし」

僕「それじゃあ...これをお願いします」スッ(軽い奴)

先輩「えっ?もっと重たいものでもいいんだけど」

僕「それ、1番大事なものですから 先輩が持って下さい」

先輩「...わかったわ」

そんなこんなで特に大きな事件も無く、大学生活を送ったのだった...

先輩「ねぇ 何になろうと思ってるの?」

僕「そうですね...僕は、頭が悪いし...でも何か教えたい...そうなると、体育の先生ですね その為に学科もそっちの方面の学科にしましたから...先輩は?」

先輩「私も先生になりたい 料理が好きだから家庭科の先生になりたいの」

僕「先輩ならなれますよ 僕はどうかわかりませんが...」

先輩「貴方なら大丈夫よ 教授から推薦貰ってるじゃない」

僕「まぁ...一応貰ってはいますけど...受かるかどうかは別ですから...」

先輩「貴方はもっと自分を信じるべきよ それが私から言える唯一のアドバイス」

僕「はぁ...わかりました...」

このアドバイスのお陰で僕は一次面接、二次面接を合格出来たのだと思う

神の導きかどうかはわからないが僕と先輩は同じ学校 しかも、母校である高校に就職した 就職した時のあのことは今でも信じ難いことだ

~学校~

トントン

『どうぞ~』

僕「失礼します」ガチャ

校長「へぇ~貴方が新しい体育の先生なの 覚えてる?私のこと」

僕「えっ...嘘ですよね...あの校長先生ですか?」

校長「そうよ~ 懐かしいわね~ 副会長だった貴方がこんなに大きくなって体育の先生としてまた戻ってくるとは思わなかったわ~」

僕「見た目全然変わってないのですが...」

校長「会長にもそのこと言われたわね~ まぁ、私、老けにくい顔だって言われてるから~」

その時に感じたことは不気味というよりむしろ安心感だった...相変わらず変わらない雰囲気だったからだ 帰った後、妻にも聞いたが同じような感想を言った

その後は担当科目が違うのもあってなかなか学校で会う機会は少なかったが帰る時はいつも一緒だった そんな僕達を繋いだのはまさかの校長だった

校長「貴方達 いつも一緒に帰ってるわね...付き合ってるの?」

僕「付き合ってませんよ 昔からの付き合いですから」

妻「私は付き合ってもいいけど...」ボソッ

僕「何か言った?」

妻「いや、何も...」

校長「焦れったいわね~もう貴方達、結婚しちゃいなさい 私が式場とか準備するから日時は...そうね 来週の木曜日にしましょ」

2人「「えっ?」」

僕「あの...突然過ぎるのですが...」

校長「貴方達、お互いのこと好きなんでしょ? 違う?」

僕「違いませんが...あっ、その...」

妻「私も好きよ 貴方のこと」

僕「えっ?」

妻「貴方が高校時に私がいいと言うまで側に居てくれると言ったのを私はプロポーズの言葉と受け取っているけど」

僕「あ、あれは...まぁ...そういう意味もあったけど...」アセアセ

校長「仲がいいわね~ 相変わらず さてとそれじゃあ私は色々準備があるからこれで失礼するわね~」スタスタ

実際こんな感じだったから困る 勢いのまま結婚することになった僕達は取り敢えず父さんにそのことを伝えたら、「やっと結婚するのか...安心したよ」と言われ、誰も反対する人が居ないまま結婚式当日を迎えた

妻「凄い...サイズもぴったりなのを選んでる...」

校長「当然よ~貴方が会長の時からの付き合いなんだから~どう?そっちは」

僕「えぇ ぴったりですよ にしても、こんなに豪華な衣装や式場など結構お金がかかったのでは?とてもお返し出来ませんよ...」

校長「いいのよ~貴方達が幸せになれるのならそれで 返さなくていいし~」

僕「し、しかし...」

教頭「ほら、もう時間だ そろそろ式場に行かないと」

妻「行きましょ 『あなた』」

僕「わ、わかったよ...」

その後結婚式は何事も無く進んだ あのことを除いては

僕(うぅ~緊張する...妻はどうなんだろう)チラッ

その時、彼女は誓いの言葉を言っていた

妻「はい、誓います」ニコッ

僕(わ、笑った!?)

式が終わった後、彼女に急いで聞いた

僕「ねぇ 誓いの言葉の時、笑ったよね?」

妻「うん それまで表情は変えられなかったのにあの瞬間からふっと変えられるようになったの ほら、こんな風に」ニコッ

僕「き、奇跡だ...」

奇跡とはあのことを言うのだろう...絶対に治らないと言われていたのに、妻に笑顔が戻ったのだから

その後、妻は育休を取り、約1年後 予定日の3日前に僕達の子供が産まれた

妻「ねぇ 名前は何にする?」

僕「そうだな...うーん...迷うな...男の子だけに男とか?」

妻「男?何それ まぁ、貴方がそういうならそうしましょ」

こうして、僕達の子供は男という名前になった 我ながらネーミングセンスが無いと思う

男はすくすくと素直な子に育った まぁ、運動が苦手でゲームばかりやるのはどうかと思うが...反抗期もあったがまぁ、すぐに終わるだろうと思っていた

そして、今日だ 妻には悪いことをしたと思う...まさか、結婚記念日に猫を救う形で死ぬことになるとは...

妻「何をさっきから言ってるの 私も一緒よ?」

僕「な、なんで...君には離れてろと言ったはずだ...」

妻「あの角度からして、貴方だけじゃ駄目だと思ったからね ほら、私も居るから猫が何とか巻き込まれていないでしょ?」

僕「し、しかし...それじゃあ君も...」

妻「貴方だけ先に行かせたりはしないわ 『ずっと側にいる』 そうでしょ?」

僕「き、君って奴は...」

妻「男には可哀想なことをしてしまうわね...まさか、父親と母親を同時に失うなんて...あの時の私みたい」

僕「そうだな...あいつには幸せになって欲しい...僕がどうなってもいいから...」

妻「それは私も同じよ...」

僕「神様...もし、居るのならお願いします 僕達の子供を...男を...幸せにして下さい これが...僕の最後の願いです」

猫「...いいだろう」

僕「!? 猫が喋った!」

猫「こんな姿ではとても信じられないと思うが...私はオーディン そうだな...北欧神話の神と言えばわかるか?」

妻「確か...男がゲームをやっている時にそんなことを言っていたような...」

猫「まぁ、私より妻を呼んだ方が理解してもらえるか...」

ピカッ

フリッグ「見てましたよ 今までのこと全て 主人が世話になりましたね」

僕「はぁ...まぁ、危なかったから助けただけですが...」

猫「助けてくれたのは礼を言おう あのままでは私は大きい怪我を負っていた...だが...このままだと君達は間違いなく死ぬ 今は何とか私の神力で魂を肉体に維持しているから大丈夫だが...」

僕「そうだと思いましたよ...重症を負ったにしては生き過ぎだと思いましたからね...神力...父さんからそんな話をされたなぁ...僕達には巫女の血が流れていて神力が見れるって それで、要件は何ですか?」

猫「助かる手段はない訳ではない...ただ...」

妻「構いません 言って下さい」

フリッグ「私達が貴方達の肉体に憑依するのよ でも...」

僕「魂はそのまま死ぬ そういうことですか?」

猫「ああ...それでもいいと言うなら構わないが...」

僕「どうせこのままだと死ぬんでしょ?僕は構いませんよ それで、男が父親を失わないなら」

妻「私も構いません 母親を失った悲しみは耐え難いものですから...」

僕「ただ...もう1つだけお願いが...」

猫「言ってくれ それで少しでも恩を返せるというのなら」

僕「もし...もしですよ? もし男が僕達が死んで貴方達が代わりになったということを知ったら...僕の人生を男に教えてくれませんか? 自分の父親がどういう人だったかってことを教えてあげて下さい」

猫「わかった...必ず伝えよう」

妻「私からもお願いします 自分の母親がどういう人か教えてあげて下さい」

フリッグ「...わかったわ」

僕「それが叶えば後は悔いはありません...時間がもう無いんでしょ 早くやって下さい」

ピカッ

オーディン「すまんな...私の為に体を張らせて...」

僕「危ないと思ったら勝手に体が動いていた それだけですよ...」

フリッグ「それじゃあ、行くわね...」

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男父「これが全てだ...お前の父親は本当に良い人だった それは保証しよう」

男「父さん...それが僕の父さんの人生...」ポロポロ

男母 「貴方達は愛されていたわ...両親にね そして、私達も貴方達のことを愛してる これは本当よ」

美少女「• • • •」グスン

男父「すまんな、結婚記念日にこんなことを話して...でも、こういう機会だから言えたんだ...」

男「ありがとう...教えてくれて...それとこれからもよろしくね...」

男父「こちらこそよろしく頼むよ」

男母 「湿っぽくなっちゃったわね...そろそろご飯を食べましょ」

美少女「今日はご馳走になります」ペコッ

男父「なに冷たいことを言ってる お前も私達の子供 そうだろ?」

美少女「...そうだね それじゃあ、久し振りにお母さんの料理を食べますか」

男母 「今日は男の大好物の豚の角煮よ」

男「やったァァァァァァァ」

男父(男父...聞こえるか?貴方の子供は私達が責任を持って育てよう 不器用でおっちょこちょいだが、愛おしい息子を...)

『お父さん、なにぼーっとしてるの お兄ちゃんが全部食べちゃうよ!』

男父「わかってる すぐに行くよ」

男父(必ずな...)

~終わり~

俺の作品を読んでいる方は途中で気付いたと思いますが、男父の物語です いつもと書き方を変えてみましたがどうでした? 地の文は苦手なので読み辛くつまらないと思う方も多いと思いますが...

いつか男父の話を書こうと思っていたのですが、いざ考えてみると書きたいという気持ちが抑えきれなくなりまして...本当は結婚記念日まで話を進めてから書こうと思っていました

初めての方で『何の話をしているんだ?こいつ』と思う方もいると思うのでリンクを貼っておきます

美少女「君にどうしても言いたいことがある...」
美少女「君にどうしても言いたいことがある...」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/internet/14562/1474346114/l30)
男「この学校...やばすぎだろ...」
男「この学校...やばすぎだろ...」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/internet/14562/1474556109/l30)
女「この学校に常識は通じない!」(今書いてます)
女「この学校で常識は通じない!」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/internet/14562/1474930412/l30)

>>26 は俺です

ここまで読んで下さり、ありがとうございました 本編の方も読んでもらえると嬉しいです

つまんね

>>29 そう言いながら最後まで読んでくれたのは嬉しいです まぁ、途中で辞めたとしても構いませんけど 駄文なことは自覚してますし

読んでて明らかに男母は感情喪失じゃないと思う人が居る...いや読んだ人、全員そう思うんじゃないかな その件は本編の方で触れるつもりです

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