後輩「先輩、タバコやめてください」先輩「えー」 (166)

後輩「えー、じゃないです」

先輩「そんな事言われてもなぁ」

後輩「……また吸ってる」

先輩「ぷはー」

後輩「……」


後輩「私とタバコ、どっちが好きなんですか?」

先輩「どっちも」

後輩「……ぅ」

先輩「ぷはー」



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後輩「と、とにかく!」

後輩「絶対やめてもらいますからね、タバコ」

先輩「……やめなかったら、別れる?」

後輩「えっ」

先輩「……」

後輩「そ、それは……その」

先輩「ぷはー」

後輩「わ、わ……」

後輩「……ぐすっ」

先輩「泣くなよ、悪かったってば」

先輩「ほら、泣き止めよ……」

後輩「……ん」

後輩「……タバコ臭いです」

先輩「それは仕方ない」

後輩「仕方なくないです!」

後輩「健康によくないんですよ?」

先輩「知ってるよ」

後輩「……私の健康によくないです」

先輩「あー」

先輩「それ言われるとちょっとなぁ」

後輩「なら……」

先輩「後輩がいないとこで吸うわ、これからは」

後輩「……出来れば吸う事自体をやめて欲しいんですが」

後輩「まぁ、最初はそのぐらいで勘弁してあげます」

先輩「助かるよ」

「先輩、今度助っ人お願いできますか?」

先輩「おー、任せろー」

「先輩ちゃん、ゴメンね手伝わせちゃって」

先輩「平気ッス」


後輩「……」

後輩「……タバコ吸ってるのに、なんでそんなに体力あるんですか」

先輩「タバコ関係あるか?それ」

後輩「一般論的にはあると思いますけど」

先輩「ならお前も吸ってみる?もしかしたら……」

後輩「ないです」

先輩「んー、残念」

「後輩ちゃん、ここ教えて!」

後輩「ん、そこはね……」

「後輩ちゃんって、先輩さんと仲良かったよな?」

後輩「仲いいっていうか、うーん」

「……これ、渡してもらえないかな」

後輩「これって……


後輩「……」

先輩「今時古風な奴がいたもんだ」

先輩「これ書いたの、どんな奴?」

後輩「へっ?」

先輩「……?」

先輩「なんか変な事言ったか?」

後輩「え、あ、その……」

後輩「……結構人気のある人です」

先輩「ふーん」

先輩「……」

後輩「先輩」

先輩「あぁ、そうだっ。お前の前じゃ吸わないんだった」

先輩「人気のある人、ねぇ……」

後輩「先輩も人気はあると思いますよ」

先輩「別にいらねーよ、人気なんて」

先輩「……」

後輩「そわそわして、気になるんですか?」

先輩「お前こそ、さっきから何そわそわしてんだよ」

後輩「それは……先輩がどうするのか、気になって」

先輩「どうするのかって、どうもしねーよ」

後輩「……」

先輩「そわそわしてんのはそれとは関係ない」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……一本だけなら」

先輩「その言葉、待ってました」

後輩「いいんですか?行かなくて」

先輩「んー……」

後輩「断るにしても、無視はちょっと酷いんじゃ」

先輩「ならお前、行ってよ」

後輩「え、えぇ?」

先輩「冗談だよ。行ってくる」

先輩「ここで無視したら、お前が何か言われるかもしれないしな」

後輩「先輩……」

後輩「ポイ捨てはダメですよ」

先輩「こりゃ手厳しい」

先輩「ん」

後輩「……あ」

先輩「待ってたのか?」

後輩「まぁ、その。一応気になりますし」

先輩「そっかそっか」

後輩「それで、どうでした?」

先輩「人気ありそーな顔してた」

後輩「そうじゃなくて……」

先輩「分かってて聞くな、アホ」

後輩「……はい」

先輩「あ、そうだ」

後輩「?」

先輩「今日、お前の家行くから」

後輩「なんですか、藪から棒に……」

先輩「なんかそんな気分なんだ」

先輩「ダメか?」

後輩「ダメ……じゃないですけど」

後輩「うちは禁煙ですよ」

先輩「え、いつから」

後輩「今からです」

先輩「……」

後輩「来るのやめます?」

先輩「究極の選択だな」

後輩「……そこまでですか」

先輩「そういや結構久しぶりだな、後輩の家」

後輩「そういえばそうですね」

先輩「お腹空いたー」

後輩「すぐ作りますね」

先輩「わーい」

後輩「……」

先輩「ちょ、まだ早いって……わひひ」

後輩「私がキッチンにいる間、タバコは没収です」

先輩「あーん」

先輩「うめぇうめぇ」

後輩「……もぐ、もぐ」

先輩「なんか、こっちばっか食って悪いな」

後輩「いえ、元からあまり食べる方ではないので」

先輩「ほれ、あーん」

後輩「じ、自分で食べれますからっ」

先輩「……じー」

後輩「えと、その……」

後輩「あ、あーん」

先輩「うし、隙ありっ」

後輩「あっ」

先輩「にしし、ベランダで吸うから許せ」

後輩「……」

後輩「いいですよ、そこで吸って」

先輩「へ?禁煙じゃなかったの」

後輩「今だけ私の隣は喫煙スペースです」

先輩「それじゃ、遠慮なく」

後輩(……タバコを吸ってる横顔)

先輩「んー、うまい」

後輩(この横顔に引き込まれたんだっけ)

先輩「ジロジロ見られると吸い辛いのだが」

後輩「あっ、す、すいません」

後輩「一本でいいんですか?」

先輩「おう、十分補充できた」

先輩「こっから先は吸えないしな」

後輩「……」

後輩「灰の付いた手で眼鏡、触らないでください」

先輩「注文の多い後輩ですこと」

後輩「じ、自分で外しますから」

先輩「ダーメ、お前のワガママ聞いてるんだから、こっちのも聞いてもらう」

後輩「ワガママって……私は正当な主張を」

先輩「だー、もううるせぇ」

後輩「……うぇ」

先輩「露骨に嫌な顔すんな」

後輩「吸った後すぐは最悪ですね……」

先輩「すぐ慣れるさ」

後輩「そう言って、今までで慣れてないんだから無理ですよ……」

先輩「なら今すぐ慣れろ」

後輩「ん……」


先輩「またでかくなった?お前」

後輩「……自分じゃよく、分からないです」

先輩「この差は一体」

後輩「……私は小さくても好きですよ」

先輩「フォローになってないからそれ」

先輩「……ふーっ」

後輩「外で吸ってください、先輩」

先輩「えー、喫煙スペースじゃなかったのここ」

後輩「さっきまでです」

先輩「ちぇっ」

先輩「窓は開けたままでいい?」

後輩「なんでですか」

先輩「話したいじゃん」

後輩「なら吸わないでくださいよ」

先輩「……一本だけだから、ちょっとだけ待ってな」

後輩「はいはい」

先輩「うー、さむ」

後輩「そこまでして吸いたいのはなぜですか」

先輩「なんかもう、習慣と言うかな」

先輩「お前も吸ってみりゃ分かる」

後輩「なら分からなくていいです」

先輩「そうですかい……む」

後輩「どうしました?」

先輩「……今のが最後の一本だった」

後輩「いいことじゃないですか」

先輩「よくねーよ」

先輩「んー、口が寂しい」

後輩「コンビニに買いに行きますか?そんなに遠くないはずですけど」

先輩「そのために外出るのもなぁ」

先輩「こういう時後輩が吸っててくれたら助かったんだけどな」

後輩「あり得ない仮定はやめましょうよ」

先輩「まぁいいや、後輩に助けてもらおう」

後輩「へ?」

後輩「んぷっ……」

後輩「前から言いたかったんですけど」

先輩「ん?」

後輩「毎回唐突過ぎます」

後輩「こっちにも心の準備ってものがあるんですから」

先輩「じゃあ、するよ。いい?」

後輩「んっ……」

先輩「んー」


後輩「……返答、聞いてないじゃないですか」

先輩「これは失礼」

一旦休憩

百合だのホモだのは見る人次第ってことで

後輩(……先輩、遅いなぁ)

先輩「こうはーい、ちょっとぉ」

後輩「はーい……って」

後輩「なんて格好してるんですか、先輩」

先輩「このシャンプー、いい香りだな。どこで売ってんの?」

後輩「聞いてますか?先輩」

先輩「聞いてるけど、別に今さら恥ずかしがる仲でもないだろ?」

後輩「……そう、かもしれませんが」

後輩(……先輩と知り合って、どれぐらい経ったっけ)

後輩「ふぅ……」

後輩(この関係、いつまで続けられるのかな)

後輩(このままずっと……なんて希望観測が過ぎるかな)


後輩「あがりました」

後輩「先輩?寝ちゃってるんですか?」

後輩「……」

後輩「……ん」

パシャリ

後輩「……」

後輩「せん、ぱい?」

先輩「眼鏡取ったキス顔は初だな」

後輩「……消してください」

先輩「えー、そうだなぁ」

先輩「その恰好で上目遣いに、先輩お願いしますって言ってくれたら考えようかな」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「服、着ちゃダメですか?」

先輩「うん、ダメ」

後輩「……」

後輩「……せ、先輩」

後輩「お、お願いします……」

先輩「……」

後輩「な、なにニヤニヤしてるんですか!」

先輩「いやいや、ご馳走様」

後輩「じゃ、消してください」

先輩「……消さなきゃ、ダメ?」

後輩「上目使いでセクシーポーズしてもダメです」

先輩「あぁ、せっかくのレア写真がー」

後輩「約束ですし」

先輩「んー、まぁいっか」

先輩「またいつでも撮れるだろうし、ね」

後輩「……もう二度としませんよ」

先輩「どうだか、ははは」

後輩「それじゃ先輩、私は寝ますので」

先輩「なんで床に?」

後輩「ベッドは先輩が使ってください」

先輩「いやいや、それは流石に悪いよ」

後輩「なら先輩が床で寝ますか?」

先輩「んー、硬い床はちょっとなぁ」

後輩「……」

先輩「意図は伝わってるよね?」

後輩「……流石に疲れたので、変な事はしないでくださいね」

先輩「善処はしましょうか」

後輩「やっぱりソファーで寝ます」

先輩「分かった分かった、何もしないから!」

後輩「……」

後輩「……一度だけ、信用してみます」

先輩「やったー」


後輩「……」

先輩「ぐがー……」

後輩(完全に寝てる癖に……んっ)

後輩(手癖の悪い人が、全く……)

後輩「……ん」

後輩(朝……か)

後輩(あの後、しばらく触られてたせいで、やけに怠い)

後輩「せんぱ……」


先輩「すぅー……」

先輩「ぷはぁー……」


後輩「……」

後輩(……しばらく黙って見とこ)

続く


いやらしくないエロさが堪らん

先輩「あれ、起きてたのか」

後輩「あ、はい。おはようございます、先輩」

先輩「呼んでくれてよかったのに。待たせちゃった?」

後輩「いえ、今起きたところです」

後輩「先輩、朝はご飯派でしたっけ、パン派でしたっけ」

先輩「どっちがある?」

後輩「どっちもありますよ」

先輩「なら後輩のおすすめでー」

後輩「……難しい注文しますね」

先輩「おー、朝から豪華だな」

後輩「いつもは軽く済ませてますよ」

先輩「そりゃありがたいな」

後輩「お口に合いますか?」

先輩「いつでも嫁にやれるぐらいには旨いな」

後輩「……嫁、ですか」

先輩「ん、どした?」

後輩「いえ、別に」

後輩「……」

「おーい、ちょっといいか」

後輩「はい、なんでしょうか」

「これ、運んでおいてくれないか?」

後輩「……分かりました」

「すまんな。この後会議で押してるんだ」

後輩「大丈夫です、先生」

後輩「……」

後輩(先輩にメール、しとこ)


先輩「ん?」

『用事が入りましたので、先に帰っていてください。後輩』

先輩「……」

先輩「……ぷはー」

「お、珍しい顔がいるな」

先輩「……ん?」

「愛しの後輩ちゃんはどうしたよ」

先輩「何だお前か……」

「あからさまにがっかりされると結構凹むぞ」

先輩「こんな所まで何の用だよ」

「ここにいればお前がいると思ってな」

先輩「質問に答えろ」

「隣、いいか?」

先輩「だから質問に……チッ」

「……ふー」

先輩「……ぷはー」

「そういや、あの日もこんな感じだったな」

先輩「何度言ったって無駄だぞ」

「分かってるよ。そんなつもりで来たわけじゃない」

先輩「だったらどういうつもりだよ」

「そう噛みついてくるなよ……ただ、会話がしたかっただけだ」

先輩「こっちに話すことはないけどな」

「……まぁ、俺も特にないが」


先輩「……ふー」

「……ふー」

後輩(流石にもういない、はずだけど)

後輩(もし先輩が待っていたら、なんて思ってる自分がなんというか)

後輩(……あれ)

後輩(先輩の声、が……)


先輩「……」

「……」


後輩(……)

後輩(……タバコが凄く似合ってる)

後輩(……誰なんだろう、あの人)

一旦休憩

>>43
一人でも読んでくれる人がいると頑張れます
ありがとう

先輩(……結局あの後、来なかったな)

先輩(絶対来ると思ってたんだけど、ってのは自惚れが過ぎるか)

後輩「あ、先輩……おはようございます」

先輩「おう、おはよう。っても、もう昼だけどな」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「……ふー」

後輩(言い出しづらい……)

先輩「……吸うか?」

後輩「へぁぇっ!?」

先輩「いや、なんかじっと箱見てるから……」

後輩「あ、いえ、その……」

先輩「ひひ、じょーだんだよ。本気で焦るなよ」

後輩「……」


後輩「……い、一本いただいてもいいですか」

先輩「えっ」

先輩「む、無理しなくていいんだぞ?」

後輩「いえ、無理なんてしてません」

先輩「そもそも、やめろって言ってただろ」

後輩「……それはそれ、です」

先輩「あ、こらっ」

後輩「……んっ」

後輩「せ、先輩。火を……」

先輩「目上に付けさせるのか……まぁいいけどさ」

後輩(……咥えただけで、もう苦い……)

先輩「そら、ちょっと顔傾けな」

後輩「はい……」

先輩「……いよっと」

後輩「あっ」


先輩「フィルターがベタベタだぞ、どんだけ緊張してたんだお前」

後輩「……むぅ」

先輩「……ぷはー」

後輩「……」

後輩(間接キス……ってほど、ロマンチックな感じじゃないかな)

先輩「急にどうしたんだ、変な奴だな」

後輩「……」

先輩「むすーっとしてても分からないっつの」

先輩「……うりゃ」

後輩「っ……」

先輩「黙ってると、デコが真っ赤になるぞ」

後輩「……」

後輩「……ひ」

先輩「……ひ?」

後輩「ひ、ひぐっ……ひぐぅ……」

先輩「だーっ、な、泣くな泣くなぁ!」

後輩「せ、先輩が……男の人とぉ……っ」

後輩「タバコが似合ってて……私なんて……っ」

後輩「ひぐっ……ぅ」

先輩「あー、見てたのか」

後輩「ごめんなさぁい……ぐすっ……」

先輩「全く、こういう時は子供っぽいんだから」

後輩「ぐじゅ……」

先輩「ほら、これで拭け」

後輩「ありがとうございましゅ……」

先輩「ふー……」

先輩「どうだ、落ち着いたか?」

後輩「は、はい……すいません、取り乱しちゃって」

先輩「……あいつは別に隠すようなもんでもなくてな」

先輩「以前、告白された事があった。ただそれだけだ」

後輩「本当に、それだけですか?」

先輩「それだけじゃなくても、それだけって事にしといてくれ」

後輩「……はい」

先輩「お前はいい子だな、助かるよ」

一旦休憩

タバコは嫌いだけどタバコを吸ってる先輩は好きな後輩ちゃん
先輩と後輩をどんな容姿で想像してるのかな、みんな

先輩「さーて、そろそろ帰るかぁ」

後輩「はい、先輩」

先輩「帰り、あそこ寄って行こうぜ。駅前のコロッケ屋」

後輩「いいですけど……先輩の家と逆方向じゃないですか?」

先輩「いいんだよ、詫びにな」

後輩「そんな、詫びなんて……」

先輩「こっちの気が済まないんだよ、ほら行くぞー」

後輩「あっ、待ってくださいよ」

先輩「おばちゃん、コロッケふたつー」

「はいよ、味はどうするの?」

先輩「だってさ、後輩」

後輩「えと、先輩の同じのでお願いします」

「普通の二つね。少しかかるから、座って待っていて」

先輩「……ふぃー」

後輩「ここにはよく来るんですか?先輩」

先輩「いや、たまーに……かな」

先輩「でもなんか、たまーに無性に食べたくなるんだよね」

後輩「なんか分かります、それ」

「はい、お待ちどうさま」

先輩「あ、ども」

先輩「ほい、後輩。ここで食べてこう」

後輩「へっ?あちちっ」

先輩「おっと、悪い悪い」


「……余計なおせっかいかもしれないけれど」

先輩「……?」

「タバコは止めた方がいいわよ?将来、可愛い子が産めなくなっちゃうんだから」

先輩「たはは……ゼンショシマス」

後輩(先輩の子供……)

後輩(……何を考えているのだろう、私は)

後輩「そういえば、先輩」

先輩「どうした?」

後輩「先輩がタバコ吸い始めたのって、いつぐらいからですか?」

先輩「……ふー」

先輩「いつぐらいだったっけなぁ」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「そんなに見つめられても、思い出せないものは思い出せないぞ」

後輩「あっ、はい」

先輩「まぁでも、後輩と知り合えたのはこれのおかげだから」

先輩「タバコ吸っててよかったと思えるのはそれぐらいかね」

後輩「他にいいとこないんですか?」

先輩「あんまりないね、吸っておいてなんだけど」

後輩「ならやっぱりやめた方が……」

先輩「そこがあるから、やめれないのだよ」

後輩「……」

後輩「……ずるいです、先輩」

先輩「なはは」

後輩(……先輩と知り合った時は、こんなに長く付き合うことになるなんて思ってなかった)


『これ、落としましたよ』

『ん?……あ』

『本当だ、感謝するよ』

『よく分かったな、落としたって』

『……なんだか、タバコを吸いそうな感じだったので』

『あはは、なんだそりゃ』

後輩(……今思えば、完全に一目惚れだったなぁ)

先輩「……熱でもあるのか?お前」

後輩「え?」

先輩「顔真っ赤だぞ、それに目も泳いでる」

後輩「え、えと……そ、そうですね。実は今朝から少し熱っぽいと言うか」

後輩(咄嗟に照れ隠しで嘘を付いてしまった)

先輩「……無理して付き合ってくれてたのか?」

後輩「そ、そうではなくて」

先輩「なら、いいんだけど」

後輩「なので今日は、この辺で……」

先輩「……」

先輩「……体調が悪いお前を、そのまま帰すわけにはいかないな」

後輩「え」

先輩「家の近くで気付けて、丁度よかった。ほら、こっちだ」

後輩(えぇーっ!)

とりあえずここまで

あまり長くする気もないけどどう終わらせようかも決まらず思案中

先輩「しまったな、人を呼ぶなら片付けておくんだった」

後輩(先輩の部屋……)

先輩「邪魔な物は適当にどけて座ってくれ」

後輩「あ、はい」

後輩(思ってたよりは片付いてる、なんて言うのは失礼なのかな)

先輩「風邪薬、あったかなぁ」

後輩「い、いいですよ。そこまでしていただかなくて」

先輩「いーや、こういうのは気をつけすぎるに越したこたぁないんだ」

先輩「黙って座ってな、ほら」

後輩「……はい」

後輩(デスクに一つ、ちゃぶ台に一つ、台所にも一つ)

先輩「お、あった……って、箱だけか」

後輩(家でも相当吸ってるんだ……当たり前だけど)

先輩「まだ耐えれそうか?後輩」

先輩「近くの薬局で風邪薬買ってくる」

後輩「そこまでしていただかなくても……」

後輩(どんどん仮病って言いづらくなってる気がする)

先輩「だから、こういうのはな……」

後輩「先輩、お願いします……一人は心細いんです」

先輩「……」

先輩「……そ、その顔はずるいな」

後輩(ごめんなさい、先輩)

先輩「まぁ、後輩がいいって言うならいいんだけどさ」

後輩「先輩?灰皿持ってどうしたんですか」

先輩「ベランダ行くんだよ。病人の前で吸えるか」

後輩「先輩……」

後輩(凄く優しいのは嬉しいのですが)

先輩「なんだよ、その顔」

後輩「その、実は……」

先輩「……まぁ、勝手に勘違いしたのはこっちだが」

先輩「もちっと早く言いだしてもよかったんじゃないか?」

後輩「……すいません」

先輩「……ふー」

後輩(屋上とか外とは違う、籠ってるとき特有の独特な煙の匂い)

後輩(……やっぱり好きになれそうにない)

先輩「で、どうする?」

後輩「なにがでしょうか」

先輩「風邪じゃないならこのまま帰るか?」

後輩(煙の匂いが嫌いなら、普通は帰るのだろうけれど)

後輩「いえ、せっかくなので……泊まって行きます」

後輩(帰れない理由が、目の前にある)

先輩「後輩って、好き嫌いあったっけ?」

後輩「いえ、これと言って特には……」

先輩「なら適当でいいかー」

後輩(先輩が、台所に立って料理してる)

先輩「わちちっ」

先輩「そら、先輩特製チャーハンだ」

後輩「……もぐ」

後輩「……」

先輩「どうだ?他人に食わせるのは初めてだからちと不安なんだ」

後輩「……先輩、こんなに上手ならウチでも作ってくださいよ」

先輩「もぐもぐ」

後輩「聞こえないふりはやめましょうよ」

先輩「後輩の家で後輩が作るからいいんだよ」

後輩「なんですか、それ」

先輩「そういうものなの」

後輩「食事中にタバコはダメです!美味しく無くなっちゃいます」

先輩「急に堅い事言うなよー」

後輩「がるる」

先輩「ははは」

後輩「ご馳走様でした、先輩」

先輩「おう、洗い物は任せた」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「……分かりました」

先輩「うむ、よろしい」


先輩「……ふー」

後輩(台所も独特な匂いがするなぁ……)

先輩「そういやな、後輩」

後輩「なんですか?先輩」

先輩「嘘付いてたの、お前だけじゃないんだ」

後輩「え?」

先輩「本当は覚えてるんだ、タバコ吸い始めた理由」

後輩「……聞いていいんですか?この流れ」

先輩「おう、聞かせるために振った」

先輩「つい最近、つってももう何年か経ったけど」

先輩「母親が急に再婚してさ。家に帰って来たらいきなりお父さんですよろしく、だって」

先輩「女手一つで育ててもらって、母親が大変だったのも理解出来たけどさ」

先輩「もうちょっと相談とか、そういうのあってもいいじゃん!って」

先輩「今思うと実にくだらないけど、当時の自分からしたらかなり強い反抗の意思表示だったんだろうなぁ」

先輩「……ふー」

先輩「悪い、一方的に聞かされても気分のいい話じゃなかったな」

後輩「いえ……そんな事」

後輩(煙草を吸う時の先輩の横顔に、なんだか合点がいった気がする)

後輩「先輩の事知れるのは、些細な事でも嬉しいです」

先輩「……真顔で恥ずかしい事、さらっと言うよなお前」

後輩「?」

後輩「洗い物終わりました」

先輩「おう、さんきゅーな」

後輩「んー……疲れました」

後輩「少し横になってもいいですか?」

先輩「おう、ベッドなんて小洒落たものうちにはないから……」

先輩「……ほれ」

後輩「どうしたんですか、膝をとんとんして」

先輩「ほれ」

後輩「……」

後輩「……では、失礼します」

後輩(……思ってたより、硬い)

先輩「……ふー」

後輩「先輩、人が下にいるのに吸わないでください」

先輩「えー、口が寂しいよぉ」

後輩「……なら」

先輩「お?」

後輩「……」

先輩「……ん」


先輩「……首の角度が大分キツかった」

後輩「すいません」

先輩「だから今度は、楽な姿勢で頼むわ」

後輩「……はい」

先輩「……ふー」

先輩「先にシャワー、使っていいよ」

後輩「……はい」

後輩(……こうして一緒にいればいるほど、もう一つの感情が胸に広がって)

後輩(先輩……先輩の方は、どう思っているんですか?)

後輩「ふぅ」


先輩「……すぅー」

先輩「……ぷはーっ」

完結まではとりあえず頑張ります

よろしければお付き合いください


あれは成り済ましだったようでよかった

>>92
あれは成りすましではなく私です
かまってちゃん根性が溢れだしてしまってすいません

後輩「シャワーありがとうございました」

先輩「ん、了解」

先輩「そういや着替えとかないよね、どうしよっか」

後輩「別に着てきたやつでも大丈夫ですよ」

先輩「……あの汗でぐっしょりのやつ、着るの?」

後輩「あー……」

先輩「そこの棚と、そこの棚に入ってるから。気に行ったやつ適当に着ていいよ」

後輩「ありがとうございます」

先輩「どういたしまして、ってのも変かね?こっちが連れ込んだんだし」

先輩「そいじゃ、そういう事で」

後輩(ありがとうございます、とは言ったものの)

後輩(許可が出たとはいえ、本人不在の中でタンスを開けるのってどうなんだろう)

後輩「……さむ」

後輩(とりあえず何か、適当に……)

後輩(無地のTシャツ、無地の短パン、無地のetc……)

後輩(そういえば先輩が柄物着てる所見たことないな)

後輩「……んしょ」

後輩(結構背があると思ってたけど、着てみると案外そうでもない)

後輩(……先輩の、ニオイ)

後輩「くん、くん……」

先輩「……」

後輩「……」

後輩「あ、えと……その、これは」

先輩「……なんと言うか」

先輩「似たようなもん着てるはずなのに、やたら官能的だな」

後輩「へ?」

先輩「平たく言えばエロい。主にここが」

後輩「あっ、先輩……ちょっと……」

先輩「汗ばんでぴったりしてるせいかな?」

後輩「お風呂入った後ですよ……もう!」

先輩「ぷはー……」

後輩「……」

先輩「何も思いっきりブツことはないだろ」

後輩「思いっきりブタれるようなこと、するからです」

先輩「さっきはあんなに……」

後輩「……」

先輩「分かった、その無言で握った拳を解いてくれ」

後輩「……もう寝ます。明日朝からなので」

先輩「ん、そうだったのか。悪かった、こんな時間まで」

後輩「……いえ。全然悪く、なかったです」

先輩「……」

先輩(……落としているやら、落とされているやら)

後輩「……?」

後輩「すー……すー……」

先輩「……ふー」

先輩(いつまでこうしていれるのだろうか?先輩はどう思っているのだろうか?)

先輩(いつもタバコを吸う時、後輩の目がそう訴えかけてくる)

先輩(素直で、純粋で……一緒にいてやりたくなる、目)

先輩(こんな奴と一緒にいてもいいことないって、分かってんのかなこいつは)

後輩「せんぱぁい……むにゃ」

先輩「……はぁ」

先輩「くだらない事考えてないで、寝るとすっかね」

後輩「……ん」

後輩(朝、なのかな……薄暗くてよく分かんないや)

後輩「スマホスマホ……」

先輩「ひゃんっ……」

後輩(……何か、むにゅっと?)

先輩「ぐがー……ぐがー……」

後輩「!?」

後輩(な、なんで先輩が隣に……ってそうか、ここは先輩の家だった)

後輩「……」

後輩「いやいや、そうじゃないでしょ」

先輩「朝から大胆だねぇ」

後輩「……」

後輩「起きてたんですか?」

先輩「いや、今起きた」

後輩「そうですか……じゃなくて」

後輩「なんで隣にいるんですか?」

先輩「だって、布団これしかないのに勝手に寝ちゃうから」

後輩「む……」

先輩「まぁ、おかげで色々とよかったけどさ」

後輩「……詳しく聞かせてください」

先輩「詳しく話していいの?」

後輩「……」

後輩「……やっぱ、いいです」

先輩「そっか、残念」

先輩「ガッコ、行かなくていいの?」

後輩「……!」

後輩「ここからなら、急げばまだ……っ」

先輩「いってらっしゃーい」

後輩「……い、いってきますっ」


先輩「ふぃー……」

先輩「……二度寝すっかなぁ」


「後輩ちゃん、今日はなんかいつもと違うね」

後輩「へ?」

「何と言うか、こう……セクシーだよ!」

後輩「??」

後輩(……)

後輩(男女問わず、なんだか視線を感じるような気が……)

後輩(自意識過剰みたいで気持ち悪いなぁ、早く帰りたい)

「そこのキミ」

後輩「はい?」

「可愛いね、何年生?」

後輩(……誰?)

後輩「二年、ですけど……」

「一個下か……同学年じゃないのが惜しいな」

後輩(一個上……先輩とおんなじか)

「もう少し顔をよく、見せてくれないかな?」

後輩「え、ちょっと……」

後輩(近い近い……)

「眼鏡、外してもいい?」

後輩「あ……」


後輩「先輩……」

「いっ!?いててててっ」

先輩「たまにはサボってる講義に出てみるもんだ」

「何すんだ……って、お前は!」

先輩「あぁん?お前、どっかで……って、行っちまった」

後輩(先輩の服、今私が着てるのとお揃い……と言っても無地だけど)

先輩「お前、午後は暇?」

後輩「え、あ……はい」

先輩「うし、いい返事だ」

次か次ぐらいには終わるといいなぁ

ムルシエラゴって漫画が凄くいい
あんな女性を文字で表現できるようになりたい

後輩(何気に先輩と喫茶店来るなんて、初めてかも)

「喫煙席と禁煙席ございますが」

後輩「えーと……」

先輩「……」

後輩「……喫煙席で」

先輩「さんきゅー」

「……?ではこちらへ」

先輩「流石に喫煙席に通されたら吸えないからな」

後輩「なら、自分で喫煙席を指定すればよかったじゃないですか」

先輩「それじゃ意味ない。お前が言うから意味があるのさ」

後輩「……むぅ」

後輩(なんだか、言いくるめられてばかりな気がする)

先輩「おい、どうした?」

後輩(少し無視してやろう……)

先輩「……おいってば」

後輩「……」

後輩(いい気味……と素直に思えない自分がなんとも)

先輩「……好きなもん、奢ってやるから」

後輩「……!」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……パフェ付きでも、ですか?」

先輩「ぐ……」

先輩「この際、パフェも付けよう」

後輩(よし、パフェが付いた……よし?)

先輩「……パフェ、美味い?」

後輩「ふぁい、おいしいです」

後輩「先輩は何も頼まないんですか?」

先輩「んー……頼んでもいいんだけど、頼むとこれが買えなくなるからな」

後輩「食事抜いてまで吸いたいですか?」

先輩「吸ってたらそこまでお腹空かないしなー」

後輩「……絶対体に悪いです」

先輩「心配させちゃ悪いし、少し頂こうかな」

後輩「あっ」

先輩「んー、あみゃい」

後輩(これって……今さら恥ずかしがることでもない、か)

先輩「はい、あーん」

後輩「……」

先輩「あーん」

後輩「……あーん」

先輩「どう?」

後輩「……タバコの味が、少々」

先輩「隠し味だよ、悪くないだろ?」

後輩「……先輩」

先輩「ん?」

後輩「どうしたんですか?今日は」

先輩「……何が?」

後輩「……」

先輩「こういうとこ鋭いな、お前は。前面に押し出すとモテるぞ」

後輩「別にモテたいと思いません」

先輩「お前は魅力的だ」

後輩「……いきなり何言ってるんですか」

先輩「目元を隠すために眼鏡を掛けさせたし、髪型も大人しめにさせた」

先輩「もちろん好みによる部分が無かったとは言わないけど」

後輩「……」

先輩「お前は、自分が惹かれていると思ってるようだが」

後輩「せん、ぱい……」

先輩「お前を離したくないのはこっちの方だ」

後輩「……え、えと」

先輩「……ふー」

後輩「こんな場所で言うのも、なんですが」

後輩「私も好きですよ、先輩」

先輩「知ってる」

後輩「ですよね」

後輩「……」

先輩「もう一口貰っていい?」

後輩「あ、はい」

後輩(……周囲の視線を、ひしひしと感じる)

後輩(学校とか、家とかでは意識したこと無かったけど)

後輩(私達がしてる事って……もしかしなくても結構恥ずかしいことだったり?)

先輩「……ふぃー」

後輩「先輩」

先輩「んあ?」

後輩「火、付け忘れてます」

先輩「おっと、これはうっかり」

後輩(あ、先輩も赤い)

後輩「……ふふっ」

先輩「んだよ」

後輩「あ、いえ」

後輩(クールで、かっこいい、タバコの似合う先輩)

後輩(なんて先輩の姿を、勝手に定着させてしまっていたけれど)

先輩「ふー……」

後輩(こういう先輩も、いいなぁ)

先輩「もう一口、ぷりーず」

後輩「先輩も頼まれたらいいんじゃないですか?」

先輩「……」

先輩「いや、いいや」

後輩(先輩が可愛いすぎてなんとやら)

続きが浮かばなくなったのでここまで

面白いスレ見つけてしまうと自分のスレが面白く無さ過ぎて辛くなる

後輩「先程のお言葉を返すようですが」

先輩「ん」

後輩「先輩も十分魅力的だと思いますよ」

後輩(それこそ、私が釣り合ってるか分からないぐらいに)

先輩「お前の魅力とは方向性が違うんだよ」

先輩「なんて言うのかな……惹きつける魅力と、相手に寄り添う魅力、みたいな」

後輩「惹きつけてる自覚あったんですね」

先輩「まぁ、大なり小なり」

後輩(そういうのハッキリ言える所が、惹きつける魅力の一部なのかな)

先輩「たださ、何でもかんでも惹きつけていい事ばっかってわけでもなくてな」

先輩「ウマが合わなきゃどうしようもないわけだ」

後輩「……」

先輩「お前と出会うまでは、とっかえひっかえしてた時期もあったぐらいだし」

後輩「悪い人ですね」

先輩「おう、極悪人よ」

後輩(そういえば、先輩と一緒にいるようになった初めの頃によく友達が心配してたっけ)

後輩(悪名高い先輩だったのか)

先輩「ふー……」

先輩「さーて、パフェ一杯で長居するのもなんだしそろそろ帰るか」

後輩「あ、はい」

先輩「先行ってていいよ、会計済ませてくるから」

後輩「私も半分……むぎゅ」

先輩「こういうのは払わせないと失礼、と今度から思うように」

後輩「ふ、ふぁい」

後輩(先輩の指、ほのかなタバコの香り)

後輩(このぐらいなら、嫌いじゃないかも……)

先輩「さて、そいじゃこの辺でお開きにするか」

後輩「え……」

先輩「え?」

後輩「あ、いえ……その」

後輩(学校終わった後も先輩といるのが当たり前みたいな気になってた)

先輩「寂しいか?このこの」

後輩「……」

後輩「はい、寂しいです……」

先輩「そんな目、するなっての。ただのバイトなのに行きづらくなるだろ」

後輩「先輩、バイトしてたんですか?」

先輩「そりゃまぁ、学費のために」

先輩「っと、あんまり長話もしてられないな」

後輩「あっ」

先輩「そいじゃ、また明日!」

後輩「先輩……」

後輩(……部屋が広く感じる)

後輩「はぁ……」

後輩「こういう時先輩なら、こう……」

後輩「ふーっ」

後輩「……」

後輩「何してんだか、私」



「先輩くん、これ3番カウンターにお願い」

先輩「はい、今行きます」

先輩(なんだ?無性に肺に煙を入れたい気分に……)

先輩(後輩の言うように、一度やめてみるのも視野に入れた方がいいのかもしれない)

「先輩くーん」

先輩「はーい」

先輩「ふー……」

「お疲れ様、先輩くん」

先輩「あ、マスター。もう店じまいですか?」

「あぁ、先輩くんが物欲しそうにしてたから。ちょっと早めにね」

先輩「いやぁ、面目ない」

「隣、いいかな?」

先輩「どぞどぞ」

「ふー」

先輩「ふー……」

「今日は少し、話があってね」

先輩「なんスか、急に改まって」

「……」

先輩「……」

後輩(……なんだか眠れないな)

後輩「冷蔵庫になんか飲み物あったっけ……」


ピンポーン


後輩「……?」

後輩(こんな時間に、来客……)

後輩「……一応、箒を持っていこう」


後輩「ど、どちら様……」

後輩(って、酒臭っ)

先輩「……」

後輩「な、なにやってるんですか先輩」

先輩「……いれて」

後輩「む、むしろ早く上がってください」

先輩「……ふー」

後輩(こんなにお酒が入ってる先輩、初めて見た……)

後輩「先輩、お水です」

先輩「ん、あんがと」

後輩(何があったんですか、と聞いていいのだろうか)

先輩「ねぇ、後輩」

後輩「あ、はい……っ」

先輩「……」

後輩(タバコの味とお酒の味が混ざって……クラクラする)

後輩「せんぱ……んっ」

先輩「……」

後輩「……せん、ぱい?」

先輩「……すまん」

後輩「……いえ」

先輩「むぎゅ……」

後輩「大丈夫、ですから」

先輩「ん……」

後輩(無駄に大きい胸が役に立ってよかった)

そろそろ佳境

先輩が吸ってるタバコのイメージは友人の吸っているタバコ
書いてる本人は後輩ちゃん側だったりします

後輩「落ち着きましたか?」

先輩「おう、だいぶな」

後輩「……」

先輩「……ふー」

後輩「あ、あのっ」

先輩「バイトしてた、店がさ」

後輩「あ、はい」

先輩「わりぃ、なんか話があったか?」

後輩「いえ、大丈夫です」

先輩「ん、そっか」

先輩「バイトしてた店、喫茶店なんだけどさ」

先輩「店じまいするらしいって、今日伝えられてさ」

後輩「そこのマスターと飲み明かして、今に至ると?」

先輩「そゆこと」

後輩(……先輩がお酒飲んでるところなんて、見た事なかったな)


先輩「好きだったんだ」

後輩「えっ」

先輩「好き、だったんだよ……」

後輩「せん、ぱい……?」

先輩「……」

後輩「……寝てる」

先輩『好き、だったんだよ……』

後輩(……)

後輩(あんな表情、先輩でもするんだ)

先輩「ぐー」

後輩「先輩……」

後輩(先輩にとって、私ってなんですか?)

後輩「……ん」

先輩「むー」

後輩「……ぷは」

後輩「……はぁ」

後輩(喫茶店、かぁ)

後輩(思えば先輩の事、知ってるようで知らないんだなぁ)

後輩(制服姿の先輩……一度見ておきたかったな)

先輩「んー……」

後輩「……」

後輩(ベッド、占領されてる)

後輩(……いいや、床で寝よう)

後輩『わ、私初めてで』

先輩『だろうな』

後輩『あっ……』

先輩『大丈夫、力抜け』

後輩『は、恥ずかしいです……』

先輩『そりゃお前だけじゃねーさ』

後輩『―――っ』

後輩「……はっ」

後輩(なんで今さら、先輩と初めて会った頃の夢を……)

後輩「あれ、何の匂い……」

先輩「おう、やっと起きたか」

後輩「どうしたんですか、台所なんかに立って」

先輩「おいおい、お前が言ったんだろ?」

後輩「……?」


後輩『……先輩、こんなに上手ならウチでも作ってくださいよ』


後輩「あぁ、そういえば」

後輩(先輩、覚えてたんだ)

先輩「適当に冷蔵庫の中漁っちゃったけど、よかった?」

後輩「あ、はい」

後輩「でも、あまり入ってなかったですよね?」

先輩「おう、見事に飲み物と調味料だらけだった」

後輩「いくらぐらいでした?半分払いますよ」

先輩「酔っ払いを匿ってくれた迷惑料代わりだ、取っときな」

後輩「迷惑だなんて、そんな」

先輩「いただきまーす」

後輩「い、いただきます」

先輩「もぐもぐ」

後輩(いつも通りの先輩)

先輩「……味付け、微妙だった?」

後輩「へ?」

先輩「スプーン、止まってるから」

後輩「い、いえっ。美味しいです!」

先輩「そっか」

後輩(いつも通りの、先輩)

後輩(まるで昨日の事なんて、なかったみたいに)

後輩(……でも、なかったことになんて)

先輩「……本当に大丈夫か?」

後輩「……」


後輩「大丈夫なんかじゃ、ないですぅ……」

先輩「えっ」

まだ続きます

でももうすぐ終わるのでご安心を

では

後輩「先輩、好きな人がいるって……」

後輩「私だけじゃダメですか?不満があったら教えてください」

先輩「お、おい」

後輩「二番目でも、いいです。だから……」

先輩「おいってば」

後輩「……?」

先輩「なーに言ってんだ?お前」

後輩「覚えて、ないんですか?」

先輩「何を」

後輩「……」

後輩「好き、だったんだよって」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「ぷっ」

後輩「……?」

先輩「あはははっ、なんだそういうことか」

後輩「わ、笑いごとじゃないですっ」

先輩「こっちにとっては笑いごとだっての」

先輩「好きだってのはな……そのお店の事だよ」

後輩「えっ……」

先輩「バイト先に決めたのも、店の雰囲気が好きだったから」

先輩「はい、それだけ」

後輩「マスターさんと飲み明かしてたって……」

先輩「マスターは今年で還暦だぞ?」

後輩「……」

先輩「『大丈夫なんかじゃ、ないですぅ』」

後輩「ま、真似るのはやめてくださいっ」

先輩「悪いな、不安にさせて」

後輩「いえ、こっちこそ早とちりを……」

先輩「……ふー」

後輩「……」

後輩(きっと私が先輩にタバコをやめてほしいのは)

後輩(先輩の体を心配してる、とかじゃなくて)

後輩(魅力的な横顔を他の誰かに見られたくないと言う、独善的な身勝手なわけで)

先輩「ふぃー……って」

後輩(本当に先輩がタバコをやめてしまったら、私はどうするのだろうか)

先輩「……後輩?」

先輩「……んっ」

後輩「……」

先輩「そっちからは、初めてじゃないか?」

後輩「……そうでしたっけ」

後輩(口内で燻ぶるほのかなタバコの香り)

後輩(本当は、嫌いじゃない)

先輩「だが、吸ってるときにいきなりは危ないぞ」

後輩「先輩だって、いつもいきなりじゃないですか」

先輩「それはそれだ、にしし」

後輩(嫌いじゃない、けど)

後輩「……えいっ」

先輩「あーっ!美味しい所がまだ残ってたのに!」

後輩「タバコなんかより、私の方が……」

先輩「美味しいってか?」

後輩「……あぅ」

先輩「そこまで言うなら、味あわせて頂こうかな」

後輩「お、お手柔らかに……」

先輩「そいつは出来ない相談だな」

後輩(先輩の色々な感情を、煙に巻いてしまう存在)

後輩(私はタバコに、嫉妬していたのかもしれない)

後輩「先輩」

先輩「んー?」

後輩「何かあったら、私をぎゅーってしてください」

後輩「タバコなんかより、ずっといいと思いますよ」

先輩「んー……」


先輩「考えとくわ」

後輩「そ、そこは即決してくださいよっ」

先輩「えー」

終わります

ここまでありがとうございました
途中お見苦しい点をお見せしましたが、お付き合いいただいてくださった方には感謝します

ではまたどこかで

先輩「うぉー、あっちぃ……」後輩「先輩、みっともないです」
先輩「うぉー、あっちぃ……」後輩「先輩、みっともないです」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1405/14054/1405483865.html)

やたらネタにされてしまった後輩先輩物の過去作です
よかったら読んでいってください


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