渋谷凛「卯月が大体島村卯月になった」 (28)

※ ニュージェネの三人が会話する。大体そんな話です。
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 事務所内フリールーム。

凛「おはよう。卯月、未央」

未央「おっ! おはよーしぶりん!」

卯月「凛ちゃん、おはようございます!」

凛「なんだか、二人に会うのも久しぶりだね」

凛「最近は、三人バラバラの仕事が多かったから」

未央「だね。こうやって揃うのは、二ヶ月ぶりぐらい?」

凛「もう少し、短いんじゃない? ほら、この前プロデューサーに集められた時」

卯月「あれが、大体一ヶ月と十日ぐらい前です!」

未央「おお? やけに自信満々で答えるねー」

凛「卯月ってもしかして、そういうの律儀に覚えておくタイプ?」


卯月「えへへ、違いますよぉ」

卯月「ちゃんと、『大体』ってつけたじゃないですか」

卯月「だって私は、大体島村卯月ですからっ!」ダブルピース!

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未央&凛「…………」

卯月「?」

卯月「あの、どうかしましたか?」

未央「……はっ!」

未央「いやね。久しぶりに披露された、しまむーのダブルピースに見惚れて……」

未央「って、それはまぁ置いといて」


凛「……何なの卯月。その、『大体島村卯月』って」

卯月「何ってそれは……」

卯月「大体島村卯月は、大体島村卯月ですよ?」

卯月「えへへ♪」


未央「ぐ、うぅ……なんたる可愛さ! なんたる笑顔!」


未央「あー……しまむーのことギュってしたい」

凛「未央、欲望が口から洩れてる」

未央「おっと」

卯月「それに私は、もう未央ちゃんにギュッとされてますよぉ」

未央「はうぁっ!? い、いつの間に……?」


凛「私が部屋に来た時からだね……話を戻すよ? 二人とも」

卯月「ああっ、ごめんなさい」

未央「どうぞどうぞ」

===

凛「それで、もう一度聞くけど」

凛「なに? その、大体島村卯月って」

卯月「さっきも言いましたけど、大体島村卯月は、大体島村卯月です!」

凛「あぁ……卯月、そうじゃない」

凛「そんな『なんじゃもんじゃは、なんじゃもんじゃだよ』みたいな説明じゃなくて」


未央「う、うん?」

卯月「もんじゃもんじゃ……ですか?」

凛「違うよ。なんじゃ、もんじゃ」

卯月「もじゃ、もじゃ?」

未央「しぶりん。悪いんだけど説明プリーズ?」


凛「……二人とも知らない? なんじゃもんじゃの木」

未央「ごめん。知らないなぁ」

卯月「奈緒ちゃんの髪のことでしょうか?」

凛「違うよ。……まぁ、確かに奈緒の髪はいつももじゃもじゃしてるけど」


凛「そうじゃなくて。昔の人が珍しい木や植物を見つけた時に、名前が分からないからそう呼ぶようになったってヤツ」

卯月「へぇ……そんな話があるんですか」

凛「うん」

未央「あのさ、しぶりん」

凛「なに?」

未央「その、花屋トークって言うのかい? 唐突に植物知識を会話の中にぶっこむの、止めよう?」

卯月「最近はテレビやラジオのトーク中にも、大体一回入れて来ますよね」


凛「……ダメかな?」

凛「自分的には花屋の娘ってことを仕事に活かせる、良い方法だと思ってたんだけど」

凛「今度三人でやるラジオ。プロデューサーから、自分なりのコーナー案を考えておくようにって言われてたから」


未央「まぁ、確かにそうだけど」

未央「今日こうして集まったのも、そのラジオの話をするためだし」

凛「だから、自分なりに練習してたんだ。花や、植物に関する面白い話を紹介するコーナー……みたいな」

凛「……子供っぽい、かな?」

未央「いやぁ……そんなことは無いけどさぁ」

未央「時と場合に、よるって言うか」


卯月「でも、私は好きですよ? 凛ちゃんの、お花屋さんトーク」

凛「卯月……!」

卯月「大体の場合、披露した直後に『うわぁ……』って空気が広がって」

卯月「その居たたまれなさは、正直見ていて背筋がゾクゾクと――あっ、それで私はですね」

凛「待って卯月、そこで話題を変えないで」


卯月「それで私は、大体島村卯月なんですっ!」ダブルピース!

凛「スルーしないでっ!!」

===

未央「まぁ、なんだね」

未央「とにかく、今日のしまむーは大体島村卯月で行くと」

未央「そう言う感じで、いいんだね?」

卯月「はい! 大体は!」

凛「……けどさ、どの辺が『大体』なの?」

未央「まぁ、気になるよね。見た目は、普段のしまむーと変わらないし」

卯月「でも、大体ですが卯月です!」

卯月「大体笑顔の、島村卯月です!」

卯月「だけど曖昧な笑顔もできる、大体島村卯月ですっ!」


卯月「え、えへ……♪」

未央(うわぁ……本当に曖昧な笑顔だよ)

凛「キュンとした」

未央「ちょいと、しぶりんさんや?」

凛「なに? 未央はキュンとしなかったの?」

未央「私はキュンとするより、ギュッとしたい派だから」


卯月「あの……話を元に戻しても?」

凛「ああ、ごめん」

未央「どうぞどうぞ」


卯月「えっと、それでですね」

卯月「私ってほら、よく普通の子って言われるじゃないですか」

凛「いやいやいや」

未央「いやいやいやいや」


凛(卯月の普通って、良いとこのお嬢様感覚での普通じゃん)

未央(庶民な私たちから見れば、普段の言動が十分普通じゃないんだよ?)

未央&凛「そんなことないって」

卯月「そ、そんなことありますよっ!」


卯月「だから、何か個性を増やそうと思って」

凛「それで『大体』?」

未央「でもさ、しまむーにはもう笑顔にお尻に前歯だってあるし……十分個性的だと思うけど」

卯月「え、笑顔は個性になりません!」

凛「キュンとするよ?」

卯月「それに、お……お尻が大きいのも、女の子としてはちょっと……」

未央「えー? そうかなー」

未央「私の学校には結構いるよ? しまむーのお尻良いよねって言ってる人」

凛「……それ、おおもとの発信源は未央でしょ」

未央「あちゃ、ばれたか」

卯月「『あちゃ』じゃないです!」


卯月「だ、大体、サイズは未央ちゃんも一緒じゃないですか!」

未央「だけど自分のお尻じゃ楽しめないじゃん!」

未央「ギュッてしながら、露骨に触って反応を楽しめないじゃん!」

卯月「た、楽しまなくてもいいですよぉ!」


卯月「うぅ……だから、何か別の魅力を探そうと思って」

卯月「私、よく人から相談事を受けるから。それで大体の人は、私が相談事に乗ってあげると、『悩み事が無くなった』って」

卯月「だから私、今度のラジオのコーナーに、リスナーさんから相談事を募集して」

卯月「私が皆さんのお悩みを大大……じゃなかった! 大体解決!」

卯月「大体島村卯月が、お悩み大体解決しちゃいます! 
……ってコーナーを、今日の話し合いで提案しようと思って来たんです!」

凛「へぇ」

未央「そっかぁ」


卯月「えへへ……♪ どうでしょうか二人とも。良い考えだって思いませんか?」

凛「うん。いいんじゃない」

未央「そうだね。しまむーにはピッタリっていうか」

凛(ラジオのコーナーでお悩み相談……)

未央(だけどそれって、清々しいほどまでに……)

未央&凛(普通だなぁ)


卯月「えへっ♪ 二人にそう言ってもらえると、自信がもてます!」

凛(でもまぁ……)

未央(喜ぶしまむーが可愛いから、いいや)

凛「まぁ、それでこそ卯月だよ」

未央「うんうん。しまむーがしまむーたる所以だね」

卯月「はい?」

凛「ああ、こっちの話」

未央「気にしなくって大丈夫だよ」

===

凛「でもさ、卯月は大体解決って言ったけど」

凛「実際のところ、相談事を解決する割合ってどのくらいなわけ?」

未央「そもそも、大体ってどの位を言うんだっけ? ほぼ完ぺき? それとも半分とちょっとぐらい?」

卯月「えっと、大体って言葉自体は、全体における九割ぐらいを指しますね!」

未央「おっ! それって凄く高い解決率じゃん!」

未央「それだったら私もさ、何か悩み事があったらしまむーに相談しようかなー」

卯月「その時は是非、大体島村卯月にお任せください! あっ、でも……」

卯月「実際の解決率は、このぐらいしかないんですけど」ダブルピース・・・!


凛「ダブルピースってことは……四割?」

卯月「いえ、二割ですよ?」

未央「ちょっとしまむー?」

卯月「大体、二割です!」

未央「それって、ほぼほぼ解決してないじゃん!」

卯月「そうなんですよ。大体皆さん、そう言って……なんでかな?」

未央「不思議そうに首を傾げても、原因はハッキリしてるよ!?」

卯月「でもまぁ、大体は大した悩みでもないですから」

卯月「相談を受けた時点で、半分以上は解決したということで……ねっ♪」

未央(あ、悪魔の笑顔だ……!)


凛「ああ……卯月……」

未央「しぶりん? キュンとしてる場合じゃないからね!?」

===

卯月「と、いうわけで改めまして!」

卯月「大体(本人談で二割ほど)島村卯月の、島村卯月です!」ダブルピース!

凛「いや、今さら改める必要は……」

未央「ついでに会話も噛み合ってないよ、しまむー?」

卯月「うぅ、ごめんなさい」

卯月「でも私、大体島村卯月ですから」

卯月「何事も、大体しかこなせないんです」


凛「いや、もう大体って言うよりは」

未央「いささかも……って、はっ!?」

卯月「どうしました、未央ちゃん?」

凛「……なに? そのヤバいことに気づいちゃったって顔」

未央「あ、あのさ? 大体島村卯月が、九割方しまむーだって言うなら――」

卯月「違います。二割です」

未央「あ、うん」

凛「……こだわるね、卯月」

卯月「そこはもう、大体島村卯月ですから!」


未央「……あのー、続けてもいい?」

卯月&凛「どうぞどうぞ」


未央「コホン!」

未央「……はっ!? もしや――!」

凛「そこからやり直すんだ」

卯月「舞台にも出てますし、未央ちゃんなりのこだわりがあるんですよ。きっと」

未央「そうそうしまむーの言う通り……! って、違う違う!」

未央「だからね、大体島村卯月が、二割方しまむーだって言うならさ……」

未央「残り八割の島村卯月が別にいる可能性も……微妙に存在?」

凛「なにそれ怖い」


卯月「……えーっと?」

未央「つまりだね。今ここでギュッとされてるしまむーが、大体島村卯月だって言い張るのなら」

未央「残り何割かの、大体じゃないしまむーがどっかにいるかもねって、そんなもしもの話だよ」

卯月「ああ、なるほど!」


 その時、フリールームの扉が音を立てて開かれた。突然の来客に驚く三人。
 だが、中に入って来たのは彼女たちのプロデューサー。

「悪い悪い、遅くなった」

 謝る彼に「びっくりしたー!」「タイミング、バッチリですね!」「来るのが遅いよ」と話しかける三人だったが、
 プロデューサーの後から部屋にやって来た人物を見て、未央と凛は言葉を失った。


「おはようございます。凛ちゃん、未央ちゃん!」

「丁度ここに来る途中、プロデューサーさんとのお話に夢中になっちゃって……あれ?」

 未央が、彼女の腰に回していた手をサッと解いた。
 驚愕に見開かれた凛の目を見据え、その少女は微笑んだ。


「だから、大体島村卯月です! ……えへへ!」

やだなにこわい

===

 大体これでおしまいです。

 お読みいただき、ありがとうございました。

乙ー

残り何割か、あるんです?

島村さんいっつも個性に飢えてんな
実は未央も似たようなもんなのにww

まさかのホラー落ち

乙です

大体理解できなかった
だから残り何割かわかるように書くんだ

お尻に前歯がある島村卯月こわい(こわい)

なにこれこわいwww


コメディーかと思ったらガチなホラーだった…
何を言って(ry

サイコなそっくりさんかな…ゾクッとした

渋谷凛「卯月が大体島村卯月になった」
渋谷凛「卯月が大体島村卯月になった」 - SSまとめ速報
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[渋谷凛][島村卯月][本田未央][日常][ギャグ][特殊タグ:E:軽度][4000-5000字]

普通から脱却しようとちょっとズレてる卯月ちゃんとそれを愛でるNGが非常に愛らしい作品
たまに3人とも本音が漏れ出てちゃってますがそこはご愛嬌
実に微笑ましい作品ですね、うん

ごめんなさい大誤爆です……
忘れてください……

自演モーラン

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