男「うっ・・・!」ドビュッシー(13)

その瞬間無数の命が放たれた

幾千幾億の命が与えられた魂に従いそして見ぬ世界に憧れ求め駆け抜ける
それは自然の摂理・人類の歴史であり、命の奔流である

その中に一匹の魂が一人になるべくして生まれ混じった
「彼」は泳ぐことしか知らなかった
与えられた魂が泳ぐことだけを彼に教えてくれた

彼は仲間がいることに気づいたそれは幾千幾億と存在し同じ目標を共有していた
彼らはもう一つの自分を探し泳ぎ続けるそれはもともと一つの細胞だった彼らに与えた唯一の権利であり可能性への挑戦である
彼らは管を駆け抜け、広大な暗黒をさまよい、己を人にしてくれる一つしかない存在を探し求めた

それは旅であり競争である
幾千幾億の命がたったひとつしかない自分を一人にしてくれる存在を追い求め長過ぎる道のりをただひたすらに泳ぎ続けるのである
そしてその中の一匹である「彼」もまた己を生み出してくれる存在を追い求めた
自分にすべてを与えてくれるそれを信じて泳ぎ続けた

しかし彼らの旅に結末は訪れなかった
一つだけの命彼らに与えられたただひとつの使命であり目標
それはどこにも存在しなかった

そこにはあるべきものが存在しなかった血管も垢もたったひとつの目標も何も存在しなかった
なぜならばそこは着色されたゴムとシリコンの中でしかなかったからである
本当にいるべき肉と体液の中ではないのだ

これはあまりにも恐ろしい事実であった。生み出された彼らはなんの疑いも泳ぎ続けた先になにもないことを知らないのである
知っているのは生み出した本人である男のみである

もし彼らが事実を知ったならばそれは絶望以外の何物でもなかったであろう
しかしまだ一匹でしかない彼らは絶望することさえ許されず命の灯火が燃え尽きるまで泳ぎ続けるしかなかった

人類が地球規模の歴史を数えるようになって二千年争いは時間ともに広がりより残虐になりよりクリーンになった
それとともに兵器は進化し、かんたんに大人数を僅かな時間で滅ぼすことができるようになった

それでも時計の長針が一周する間に幾億の命をなんの罪悪感もなく滅することはできないだろう
それほどに恐ろしいことであることを男は理解していなかった。

男「さて、さっさと洗って風呂はいろ」

何気なく洗浄するそれは
一人にとってはただのべたつく不衛生なかつ汚らわしい体液かもしれない
しかしその中には無数の「人」の素が、命が入っている

彼らは黄泉で己の運命と己を生み出した存在を呪うだろう
そして生み出された無数の怨嗟は日に日に増えてゆく

大罪人である男にはきたるべき死後の審判で
あぶれたいのちと捨てられた命の絶望にただただ己の仕打ちを後悔するしか
残された道はない。そうする他ないのである
かつて彼らが泳ぐしかなかったように

おちごといやでちゅよ~

もっと本を読みましょうね~
そしてお仕事からは逃げちゃだめしゅよ~

さてはお前オナ禁の三日坊主常習犯だな?
んで自分を諭したいだけだなー?

数億にも上る競争相手を出し抜いて成り上がった勝者が俺達じゃないか
精子1匹のことなんて考えてやる必要があるか?

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom