・アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
・アニメの設定を都合よく使っています。
・キャラ崩壊あり、書き溜めありです。
・以下のお話の続きですが、特に繋がりはありません。
関裕美「お荷物部署?」
関裕美「お荷物部署?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460655367/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474134745
村上巴「おう、おはようございます!!!」
巴「どうじゃ?しっかり挨拶できとるじゃろ?」
巴「村上巴。アイドルやっとるんじゃわ」
巴「親父に言われて始めたけ、最初は慣れんかったの」
巴「フリフリした格好なんぞせん」
巴「チャラチャラした歌なんぞ歌うまい」
巴「そう思っとったよ。んじゃが」
巴「一本芯の通った仲間となら、フリフリもチャラチャラも悪うない」
巴「きょうびは楽しゅうなってきたよ」
巴「『朱に交われば赤くなる』いうんはホンマじゃ」
巴「ん?ほうじゃの。赤毛のうちが言うとおもろいね」
巴「わっはっはっはっは」
都内 某中学校
キーン コーン カーン コーン
ドア「ガラガラガラ」
巴「ひろみー、裕美おるかー?」
女子生徒「あ、村上さん」
巴「おう、先輩。裕美はいますか?」
女子「はいはい、ちょっと待ってね……関さーん!」
関裕美「…………すー…」
巴「なんじゃ?机に突っ伏して……寝とるんか?」
女子「帰りのHRでも眠ってたよ」
巴「しょうがないのう……ほれ、裕美、起きんさい」
裕美「ん、んん……」
女子「……お仕事、大変そうだね」
巴「カシラが悪い奴じゃけん」
裕美「……あれ?巴ちゃん…」
巴「千鶴が待っちょるよ。はよ行こうや」
裕美「う、うん……待ってね、今用意する」
巴「先輩、どうもありがとうございます」
女子「ううん。頑張ってね」
裕美「よし……じゃあね、ばいばい」
女子「ばいばーい」
裕美「…………」
巴「裕美、どエライ目つきしちょるぞ」
裕美「……どれくらい?」
巴「うちの若いの何人かビビらせるくらい」
裕美「寝不足かも……」
巴「程々にせんと、他のシノギもあるんじゃけ」
裕美「うん……そだね……」
ドア「ガラガラガラ」
巴「ちづるー、千鶴おるかー?」
男子生徒「おっ、村上」
巴「おう、先輩」
男子「お鶴ー!村上来たぞー」
松尾千鶴「……ハア」
千鶴「……その名前で呼ばないで下さい」
男子「なんだよぉ」
巴「先輩よ、千鶴と仲良うなりたいんなら嫌がることしちゃいけんよ」
男子「な、なんだよ」
千鶴「巴ちゃん、裕美ちゃん、行きましょう」
裕美「うん」
巴「じゃあの、先輩。失礼します」
千鶴「さようなら。また明日」
男子「お、おう……」
千鶴「……感じ、悪かったかな……」
千鶴「どうしてもお仕事の話題出されるとあんな感じになっちゃう」
千鶴「……見てもらえて嬉しいけど、恥ずかしいし……」
裕美「わかる。なんだか照れくさいよね」
千鶴「ハッ!」
巴「なんじゃ独り言かい」
千鶴「うぅ……」
裕美「ふふ……」
千鶴「あれ?裕美ちゃん、目つき鋭くない?」
裕美「うぐっ……やっぱりそうなんだ……」
巴「寝不足じゃと」
千鶴「やっぱり。昨日も粘ってたもの」
千鶴「裕美ちゃんは熱中し過ぎです」
裕美「それ巴ちゃんにも言われた……」
巴「くくく……ん?ありゃ?プロデューサー」
モバP「や、セーラー服が似合うねお三人さん」
千鶴「出会い頭にセクハラですか?」
モバP「間髪入れずにお小言ですか?」
巴「なんじゃそのツラ、似合わんモンかけとるの」
裕美「大きすぎない?サングラス」
モバP「ティアドロップ。俺のこだわり」
千鶴「恥ずかしい」
モバP「放課後キッズの視線が痛かったね」
巴「何しに来たんじゃ?」
モバP「予定が変わってレッスンが飛んだの」
モバP「君ら三人はお休みです」
巴「ほうか……残念じゃの」
千鶴「わざわざそれ言う為に来てくれたの?」
裕美「メールしてくれればいいのに……」
モバP「拓海と留美さんも定時に上がれるからさ」
モバP「久しぶりに一緒にご飯でもと思って」
巴「おー!ええなあ!」
モバP「車にホットプレート積んできた」
モバP「色々買い物して『合宿所』で食べようよ」
千鶴「賛成」
裕美「私も」
巴「うちお好み焼きやりたい!」
モバP「じゃあ行こうか」
モバP「今日の料理当番は?」
千鶴「私です」
モバP「食材切るの手伝ってね」
千鶴「……包丁、あまり自信ないけど、分かりました」
モバP「綺麗な字書けるんだから包丁さばきも上手くなるよ」
千鶴「え、そんなの関係あるの?」
裕美「いい加減なこと、言ってない?」
モバP「ん?いやいやいや……」
裕美「言ってるんだね……はー……」
モバP「そういや裕美、今日はいつにも増して目力あるね」
裕美「え?」
モバP「あれだったら、俺のティアドロップ貸そうか?」
裕美「……もうっ。しつこいなぁ」
モバP「えっ」
裕美「サングラス借りるっ。ありがとプロデューサーさんっ!」
裕美「ほら、早く行こうっ」
モバP「反抗期だ。遂に来たんだ」
千鶴「タイミングがね……」
巴「お好み、楽しみじゃあ」
モバP「あ、裕美、車そっちじゃないよー」
自動車「ブロロンブロロン」
モバP「学校には慣れた?」
千鶴「うん、まあまあ……」
巴「千鶴は男子からモテるぞ」
モバP「えっ」
千鶴「と、巴ちゃん何言うの!」
巴「あの先輩千鶴と仲良うなりたそうじゃったろ?」
千鶴「し、知らないよっ」
モバP「クソガキが……俺の千鶴に!?」
千鶴「い、い、いつ貴方の物になったのよ!」
モバP「出会ったその日」
千鶴「うるさいばかっ!」
巴「あほじゃのう」
裕美「…………」
モバP「巴は?中学楽しい?」
巴「学校よかアイドルの方が楽しいかなあ」
千鶴「あ、それは……私もそうかもしれない」
裕美「…………」
モバP「裕美はどう?学校はクソかい?」
巴「なんちゅう聞き方するんじゃ」
モバP「……あれ?裕美さん?」
千鶴「あ……プロデューサー」
モバP「ん?」
裕美「…………すー…」
裕美「……すー……すー」
巴「くくく」カシャ
千鶴「くふふ、やめなよ巴ちゃん」
モバP「裕美さん僕のティアドロップはアイマスクじゃないんですよ?」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
モバP「千鶴は仕事が丁寧だね」
千鶴「ありがとうございます」
千鶴「……時間はかかっちゃうけど」
モバP「全然よ。次はニンジンお願いしていい?」
千鶴「はい」
裕美「……巴ちゃん、畳むの早いね」
巴「広島の家では家事全般叩き込まれたけ」
裕美「えらいなあ。私なんかもう見よう見まねで…」
巴「家事なんてそんなもんじゃ、慣れよ、慣れ」
巴「それよりアンタいつまでサングラスかけとんじゃ」
裕美「……恐いんでしょ?目つき」
裕美「このままでいい」
巴「アンタとぼけ具合がプロデューサーに似てきたの」
裕美「……プロデューサーさーん」
裕美「サングラス、テーブルに置いとくねー」ハーイ
巴「ははっ」
ドア「ガチャ」
「「ただいまー」」
巴「あ、姐御と拓海のお帰りじゃ」
モバP「ともえ~!生地作ってー!」
巴「あいよー!裕美、後頼むわ」
裕美「はーい」
向井拓海「あ~疲れた……」
和久井留美「ただいま。いらっしゃいプロデューサー君」
モバP「はい。何か連絡とかありました?」
留美「明日のミーティングが16時に変更だそうよ」
モバP「了解。今日は鉄板焼きです」
巴「お好みやるんじゃ」
留美「あらいいわね。着替えたら手伝うわ」
巴「おうっ」
拓海「鉄板焼きなら近くにあるじゃねえか」
巴「お好みがないけん」
拓海「あるだろ。看板に書いてあったぜ」
巴「ありゃあ違うもん」
拓海「あ?」
千鶴「拓海さん、もうすぐ出来ますから着替えてきて」
拓海「お、おお。はいよ」
ホットプレート「ジュージュー」
モバP「トウモロコシ焼けたよ」
千鶴「あ、貰います……あち」
モバP「慌てずおあがり」
モバP「ウインナーはまだだよ拓海」
拓海「何も言ってねえよ」
裕美「美味しいです、留美さん」
留美「そう?よかったわ」
裕美「私こういうお好み焼きって初めて食べました」
巴「これが本物よ。どりゃ、次はうちがやる」
千鶴「広島の人ってみんな広島焼きが出来るんだ……」
留美「ふふ、『広島焼き』なんて言ったら広島の人間に怒られるわよ」
拓海「巴、バンバン焼いてくれ!何枚でもイケるぜ!!」
巴「おう、腕が鳴るわ!」
モバP「拓海、ウインナーはまだだってば」
拓海「肉は焼ける前に食う」
モバP「ぶれないねえアンタ」
留美「風が心地いいわ」
千鶴「潮の香がする……」
モバP「ここからの眺めの良さで決めたんだ」
モバP「……どうですか?この一週間」
留美「そうね……最初はどうなるかと思ったけれど」
留美「なんとかこの生活もこなしていけそうよ」
千鶴「……留美さんも、心配だったんですか?」
留美「最年長としては色々と」
モバP「気苦労させて、すいません」
留美「本当ね……でも言うほどではないわよ」
留美「みんないい子だし、家事も一生懸命やるし」
千鶴「……なんだか、お母さんみたい……」
留美「はい千鶴ちゃん減点」
千鶴「ハッ!ご、ごめんなさい…」
留美「ふふ」
留美「生活のサイクルやルールは定着しつつある」
留美「後は『宿題』をどう片づけるかね」
モバP「目途はついた?」
千鶴「全然」
モバP「一日1000ピースで完成出来る目論見でした」
留美「簡単に言ってくれるわ」
千鶴「見てよ、あの手つかずのピースの山」
モバP「リビングいっぱいいっぱいだ」
千鶴「と、それに挑む裕美ちゃん」
モバP「裕美だけにやらせてるの?」
留美「まさか。全員目標ノルマ200でやっているわ」
千鶴「裕美ちゃん、ああいうの熱中する性質なのかな」
モバP「アクセサリー作りが趣味だからね」
拓海「……姐御、ここにいたのか」
留美「洗い物?待ってて、今行くわ」
拓海「うん」
千鶴「あ、私も手伝います」
拓海「マジ?よっしゃ」
留美「駄目よ。千鶴ちゃん夕食の準備したんだから」
留美「洗い物は私たちの仕事」
拓海「んだよ、かてぇな姐御」
留美「それじゃ、プロデューサー君」
モバP「あ、はい」
留美「そろそろお風呂の準備するから、帰り支度して下さいね」
モバP「…………」
千鶴「……返事しなさいよ」
モバP「裕美の様子みてくるか」
千鶴「ちょっと」
モバP「裕美、おつかれさん」
裕美「…………うん」
モバP「毎日そんな感じ?」
裕美「うん………あった」
モバP「無理しないでね」
裕美「うん……分かってる…」
モバP「……じゃあ、カメラ替えるね」
裕美「はーい…、……」
モバP「よっと…っとと」
裕美「気を付けてね」
モバP「心配してくれるの?ありがとう」
裕美「ううん。あちこちにピースあるから」
裕美「散らかさないでね」
モバP「やるなって言われるとやりたくなりますね」
裕美「そんなことしたら……にらむ」
モバP「歌舞伎役者みたいなこと言うね」
裕美「ふふ、…………あ」
裕美「あった」
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346プロダクション 地下一階 お荷物部署
「「「合宿?」」」
モバP「うん」
モバP「実は昨日バラエティ番組の人と食事しまして」
モバP「まあ接待なんですけど」
モバP「お酒もしこたま飲みまして」
千鶴「あー、なんか匂うと思ったら」
巴「いやじゃのう」
モバP「わしだっていやじゃよ」
拓海「誰だよ」
モバP「ほいでね、これ」 ドンッ
裕美「うわっ、何?」
モバP「世界最大級のジグソーパズルになります」
モバP「ピースの数がえーと……30000ピースですね」
千鶴「さ、さんまん!?」
巴「ほえぇ!ぶち多いぃのお!」
モバP「これをみんなで完成させようと」
モバP「その過程を番組のコーナーとしてやってみましょうと」
裕美「わー……」
モバP「期間は一か月」
モバP「その間、みなさんは寝食を共にして頂いて」
モバP「昼間は各々スケジュールをこなし」
モバP「帰ってからはこのモンスターパズルを倒してもらう」
モバP「っていう企画なんだけど……どう?」
拓海「どう?って言われてもよォ」
千鶴「……あの、家事とかどうするの?」
モバP「君ら五人で分担して欲しい」
千鶴「……あまり自信ないなあ……」
拓海「アタシが家事なんてやると思うか?」
モバP「出来るようになって損はないからさ」
留美「正直、どうなのかしら」
モバP「アイドル的に派手な絵面ではないんですけど」
モバP「『女の子』が何かに打ち込んでいる姿って」
モバP「結構フックあるかなあと思いまして」
留美「やりましょうか、みんな」
千鶴「あれ?」
拓海「変わり身はえーなオイ」
留美「私たちはプロよ」
留美「上司が持ってきた仕事はしっかりやり遂げないと」
裕美「急にどうしたのかな?」
巴「口車に乗せられたんじゃ……不憫じゃのう」
留美「色々不便があるかもしれないけれど、頑張りましょう」
モバP「それでこそ俺の留美さんだ」
留美「私に任せて」
巴「不憫じゃあ不憫じゃあ」
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都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
ドア「ガチャ」
「「「おぉ~……」」」
モバP「各自荷物片づけたらリビングに集まってね」
千鶴「広いですね」
留美「ええ、いいところだわ」
巴「おー!ベランダから海が見えるぞ」
裕美「うわぁ……まぶしい」
拓海「カメラってどこにあんだ?」
モバP「リビングに三か所、ダイニングに一つ」
拓海「風呂場にあったりしねーだろーな?」
モバP「そんなことしたら俺の首が飛ぶよ。物理的に」
拓海「首だけじゃなく五体を引き裂いてやるぜ」
モバP「やだ猟奇的」
モバP「じゃあ合宿開始です」
モバP「七時間ロードワークだとか、十時間レッスンだとかはないけどね」
千鶴「あんまり『合宿』って感じしませんね」
モバP「とは言えこいつはきっついと思うよ」
30000ピースの山「…………」
拓海「改めて見ても、デケェな」
留美「パッケージに記載されている所によると」
留美「完成すると縦が約二メートル、横は約六メートルになるそうよ」
拓海「うへぇ……」
巴「気が遠くなりそうじゃの」
裕美「……うん」
モバP「一応、デッドラインとして一か月後を設定したけど」
モバP「その前に完成させても構わないよ」
巴「気楽に言うなや、こっちの身にもならんかい」
拓海「ったく。チマチマしたもんは苦手なんだよなあ」
モバP「どう完成させるかも、そちらの工夫次第でオッケーだから」
千鶴「どう完成させるか、ね……」
モバP「家事もみんなで助け合ってやってってね」
モバP「カギは留美さんと未成年組に一つずつ」
モバP「食費その他は専用の口座に振り込んであります」
モバP「管理は留美さんにお願いしてありますので」
モバP「無駄遣いしないようにね」
モバP「近隣の方々へのご挨拶は事情説明を兼ねて済ませてあります」
千鶴「何か注意とかありましたか?」
モバP「常識の範囲内のこと。夜中に大きな音出すなとかそんなの」
拓海「めんどくせー」
モバP「まま、ひと月だけだから」
モバP「俺、カメラのテープチェンジしにちょくちょく顔出すから」
モバP「下着とか散らかしっぱなしにするなよ、拓海」
拓海「なんで名指しなんだよッ!しねーよッ」
モバP「最後に、大事なことを」
モバP「楽しんで、無理をしないこと。よろしくお願いします」
「「「はーい」」」
モバP「それじゃ、カメラの電源入れて俺は帰ります」
モバP「頑張ってね」
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都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿7日目。残り25294ピース
拓海「…………」
巴 「……ない、ないのう…」
留美「………ふう」
千鶴「んー……あ、あった……」
裕美「…………」
留美「………これだわ…」
千鶴「………………」
裕美「………………」
巴 「………………」
拓海「………………」
拓海「………………くかー」
巴「……ん?おい、こりゃ拓海!起きんかい!」
拓海「へあっ!?ね、寝てねえよ!」
千鶴「よだれ、垂れてます」
拓海「ゲッ」グイッ
千鶴「嘘です」
拓海「き、きったねェぞ千鶴ッ!」
留美「……休憩にしましょうか、裕美ちゃん」
裕美「ふう……そうですね」
拓海「……ワリぃ、同じ色ばっかでボーッとしちまってよ」
千鶴「確かに……うんざりしてくる」
拓海「気分転換にコンビニ行こうぜ。アイスでも買ってくるよ」
裕美「あ、私行きます」
千鶴「私も」
巴「うちも」
留美「じゃあみんなで行きましょうか」
都内某所 海沿いの道路
裕美「……あっ」
拓海「どうしたよ?」
裕美「洗濯機回すの忘れてた」
留美「私が明日お休みだから、やっておくわ」
裕美「すみません……」
留美「気にしないで」
巴「そうじゃ。うちもこないだゴミ出し忘れたぞ」
拓海「最初に出し忘れたのはアタシだぜ」
巴「何えばっとるんじゃ」
千鶴「私は……特にないかな」
拓海「ないのかよ。なんかあれよ」
千鶴「なんかあれってなんですか」
留美「お味噌汁のネギが、つながっていたわね」
千鶴「えっ嘘!?それ初耳です!」
留美「気を使ったの」
千鶴「今言ったら台無しじゃないっ」
巴「あはは、千鶴形無しじゃ」
拓海「やーい」
千鶴「うう……」
裕美「ふふ……」
千鶴「もう、裕美ちゃんまで…」
裕美「ごめんなさい……違うの」
裕美「楽しいなって、思って」
千鶴「楽しい?」
裕美「みんなとこうしていられて、楽しいなって思ったら、つい」
千鶴「…………」
拓海「…………」
裕美「……恥ずかしいこと言ったかも。忘れて……」
拓海「お前イイヤツだな」
裕美「なっ、か、からかわないでよ拓海さん」
巴「ホンマよ。裕美はエエヤツじゃ」
裕美「や、やめてってば」
拓海「イイヤツにはアイス奢ってやんぜ!オラ!早く来いッ」
裕美「わっ、た、たくみさっ、引っ張らないでっ」
巴「拓海うちにも奢れや!」
拓海「アタシらより早くコンビニ着いたらな!オラオラ~」
裕美「わわわ」
巴「負けるかい!待てやあ!!」
千鶴「あ―あ、折角お風呂入ったのに……ふふ」
留美「若いわ。夜なのにまぶしい」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿10日目。残り22894ピース
千鶴「拓海さんっ、起きないと遅刻しますよ」
拓海「今日は仕事ねーからいいんだよォ……」
千鶴「学校はあるでしょ!」
裕美「おはようございまーす」
巴「おはよー、朝から大変じゃの」トントントン…
裕美「髪?もう慣れちゃった」
留美「巴ちゃん、よそ見したらいけんよ」
巴「ああ、すまんすまん」
留美「猫の手にしんさい、指切るわ」
巴「大丈夫じゃ。心配性じゃの、姐御」
裕美「わー……留美さんの広島弁……」
合宿13日目。残り20421ピース
拓海「あねごー、風呂のお湯抜いちまったけど、よかtt」
拓海「うえっ!何してんだオメーら」
裕美「えへへ、泥パック」
千鶴「わ、私はいいって、言ったんだけど……」
留美「瑞樹さんからお裾分けを貰ったの」
留美「拓海ちゃんもする?」
拓海「あ、アタシはいいや……」
巴「ひんやりして気持ちええぞ」
拓海「うわっ巴!オメーもかよ!」
合宿16日目。残り17631ピース
巴「……あー、見つからん」
千鶴「……何か流します?」
留美「…………そうね」
裕美「今日は……何にします?」
拓海「あ、そーいや未央からブルーレイ貰ったぜ……」
拓海「……『秘密の花園』だってよ」
留美「ダメよ。お芝居じゃない」
留美「作業用には不向きだわ……」
拓海「そっか……」
留美「そうよ……」
拓海「…………」
留美「……そうよ」
千鶴「……休憩の時に、少しだけ見てみます?」
裕美「……うん、少しだけね…」
346プロダクション 地下一階 お荷物部署
合宿17日目。残り16739ピース
モバP「で、結局全部観ちゃったんだね」
千鶴「まあ、はい……」
巴「うかつじゃったあ」
モバP「面白かった?」
拓海「アイツスゲーな、藍子!キャラ全然ちげーのな!」
千鶴「未央さんも茜さんもね、みんな普段と違ってて驚きました」
裕美「お話も素敵だった」
巴「でこんだのこりんだの、出てくる連中メリケンなのは難儀したわ」
モバP「楽しめたなら何よりよ」
留美「ただ……」
モバP「パズルの進みが芳しくない感じですか」
留美「そうね……」
モバP「残り十日と少しで約半分か……」
モバP「うん、大丈夫。出来るよ」
千鶴「その根拠は?」
モバP「こんきょ?根拠かあ……」 prrrr…
留美「…………」prrrr…
モバP「……根拠は、ないかも」 prrrr…
裕美「えー」 prrrr…
千鶴「……もういいです。電話出て」prrrr…
モバP「すいません。……もしもし、お待たせして…」
モバP「ごめんね、呼び出しを喰らいました」
モバP「何にしても、手伝えることはやるからさ」
モバP「じゃあこれで、今日もよろしくお願いします」
「「「……はーい」」」
346プロダクション 美城専務のオフィス
モバP「失礼します」
美城専務「おい」
モバP「え?」
美城「遂にノック無しで入ってきたな」
モバP「あ、しくった」
ドア「コンコン」
モバP「やれやれ」
美城「ひと安心か?」
モバP「お互いに?」
美城「私は心配だ。君の将来が」
モバP「いやあ」
美城「……急に呼び出したのは他でもない」
美城「君たちの部署に仕事を頼みたい」
モバP「えっ」
美城「意外そうだな?」
モバP「え、ええ、まあ……いいんですか?」
美城「こちらがプロモートすることだってある」
モバP「…………」
美城「企画書だ。目を通しなさい」
モバP「はあ……」ペラ
美城「…………」
モバP「…………」ペラ
美城「何か質問は?」
モバP「一点、ございます」
美城「聞こう」
モバP「『プロモート』ってどういう意味ですか?」
美城「そこか」
美城「PV撮影のエキストラ出演だ」
モバP「はい」
美城「受けるか?」
モバP「勿論。ありがとうございます」
美城「では宜しく頼む」
モバP「はい」
美城「我がプロジェクト・クローネが誇るトライアドプリムスの新曲PVだ」
美城「くれぐれも足を引っ張らぬように」
モバP「かしこまりました、社長」
美城「専務だ。専務の美城だ」
モバP「失礼しました。昔の上司を思い出しまして」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿17日目。残り16555ピース
留美「今のペースのままだと完成は不可能ね」
巴「慣れてきてはいるんじゃがの」
裕美「どうしようか」
拓海「つったって何とかするしかねーだろ」
千鶴「何とかって?」
拓海「そりゃオメー、気合入れてよ、突っ走るだけだぜ」
巴「一理ある。一度始めたらやりきるのみじゃ」
千鶴「気合入れてって……具体的には?」
拓海「『徹パズ』よ。寝ねえでやりゃあなんとかなる」
巴「一理ない。アンタ無茶苦茶言いおるの」
拓海「なんだよ」
巴「なんじゃい」
裕美「ま、まあまあ」
千鶴「時間を増やすことは私も賛成」
千鶴「ただ、睡眠時間を削ってまでというのは反対」
裕美「他にもお仕事、あるもんね……」
拓海「じゃあどうするってんだよ?」
千鶴「……覚えてますか?プロデューサーの言ったこと」
巴 「覚えとらん!」
千鶴「『どう完成させるかも、そちらの工夫次第でオッケー』」
千鶴「って言ったんです」
拓海「つまり、なんだよ?」
千鶴「……人、増やしませんか?」
拓海「……里奈とか美世なら、集合かけたら来てくれるとは思うぜ」
千鶴「私も、心さんとか」
拓海「けど、アタシは嫌だ」
千鶴「……どうしてですか?」
拓海「アタシらの仕事だ。アタシらがケリつけなきゃ締まらねえ」
千鶴「それは……その通りだと思うけど」
千鶴「でもこのままじゃ……このままじゃ完成出来ないし」
千鶴「そんなの……絶対嫌なの」
千鶴「私だってこのお仕事、やり遂げたい」
裕美「千鶴さん……」
巴 「ううむ……」
留美「……そうね」
留美「二人の提案から分かったことをまとめるわ」
留美「時間も人も足りない現状だけど」
留美「他のお仕事に響かせず五人だけでパズルを完成させたい」
留美「といった所かしら」
拓海「そんなとこか?」
千鶴「……ええ、そうなりますね」
巴 「姐御は流石じゃ」
留美「ありがとうございます」
裕美「なかなかわがまま、かな……?」
留美「いいじゃないわがままで」
留美「二人の提案を基に生まれた私たちのルールで」
留美「作業時間の捻出と人員の補充を考えてみましょう」
千鶴「そんな都合のいいアイディアが」
裕美「……あっ、分かった」
千鶴「え?」
拓海「ア、アタシも分かっちまったぜ!」
巴 「たくちゃん妙な所で張り合うのやめんさい」
拓海「…………」ツン
巴 「ひゃ、つつくなやっ」
留美「……ふふ、千鶴ちゃん忘れたのかしら?」
千鶴「え?え?」
留美「『手伝えることはやるからさ』って言っていた人のこと」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿19日目。残り14279ピース
モバP「皆さんお待たせしました。朝食です」
モバP「ダイニングにお集まりください」
「「「はーい」」」
留美「朝から随分……」
拓海「おかわりくれ」
モバP「あいよ」
巴「これうまいのう」
モバP「ラッシー気に入ってくれた?」
千鶴「朝ごはんがカレーって」
モバP「ナンデスカ?インドノヒトニオナジコトイエマスカ?」
モバP「ナンダケニ?」
裕美「でも、これおいしっけほっ」
モバP「インドの洗礼受けたね」
千鶴「明日は普通の朝食にして下さい」
モバP「千鶴それインド人に」
千鶴「うるさいな」
モバP「ダンニャバード」
「「「いってきまーす」」」
ドア「バタン」
モバP「それじゃあ留美さん先出ていて下さい」
モバP「俺は皿洗いと掃除したら会社に向かいますんで」
留美「無理なお願いをしたかしら?」
モバP「プロデューサーってそういう役目ですから」
モバP「みんなで決めたことなら、それが俺の最優先です」
留美「ありがとうございます」
モバP「こちらこそ。この提案は嬉しかった」
モバP「ところで留美さん洗濯物の中に下着がありませんね」
留美「それは私たちでやります」
モバP「信用あるんだかないんだかなー」
留美「あったって頼まないわよ、バカね」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿21日目。残り11678ピース
裕美「あった!」
巴「ほいで、これじゃ」
裕美「おー、つながったね」
巴「かなり形になってきたのう、あとひとふんばりじゃ」
拓海「出たぞー」
留美「お風呂空いたわよ、入っちゃって」
「「はーい」」
モバP「なるほど、一人ずつ入っていた時間も節約すると」
千鶴「五人で取り組んだ方が早いんです」
モバP「いいね。色々考えたんだね」
モバP「褒めたから中入っていい?」
千鶴「ダメです。ベランダにいて下さい」
モバP「せめてこいつ外させてよ」
千鶴「こだわりなんでしょ?ティアドロップ」
モバP「真っ暗だよ。真っ暗」
千鶴「ふふ、ごめんなさい。すぐ出ますから。待ってて」
モバP「洗濯物終わったから帰るね」
拓海「おー、おつかれー、サンキューな」
裕美「ありがとう……」
巴「うち明日ご飯と味噌汁がいい……」
千鶴「お疲れさまでしたー……」
留美「お疲れさま。また明日」
モバP「はい、頑張って。また明日」
ドア「バタン」
拓海「………………」
裕美「………………」
巴 「………………」
千鶴「………………」
留美「………………あった」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿25日目。残り7272ピース
留美「……休憩にしましょう」
巴「ふう……ううんっ…はあーっ」
裕美「大丈夫?巴ちゃん」
巴「体力には自信あったんじゃがの……」
拓海「考えてみりゃ巴、お前」
拓海「こないだまでランドセル背負ってたんだよな」
巴「そうよ、ガキにこないなしんどいことさせおってよう」
千鶴「ふふ、あんまり想像できないけど」
巴「なんでよ」
裕美「……うーんっ、外の空気吸って来まーす」
裕美「あれ?まだいたんだ」
モバP「洗濯機待ちです」
モバP「…………」
裕美「……東京の夜の海って、不思議」
裕美「暗くなくて、不思議」
モバP「富山の海は、暗いの?」
裕美「うん。真っ暗。山が囲んでてね、その山の雪がぼんやり白く見えるの」
裕美「とても静かで綺麗で、怖いくらい」
モバP「………ひょっとしてさ」
裕美「ホームシックに罹ったって思ってる?」
裕美「残念でした。そんな暇ないよ」
裕美「憧れていた場所に、その近くにいるんだもん」
裕美「……遠くにいくつもの光が点滅しているこの海が」
裕美「私にそれを教えてくれるような気がする」
裕美「だからこの海見ると、やる気でるんだ」
モバP「そっか」
裕美「うん」
モバP「今のうちにじっくり見ておきなよ」
モバP「そのうち景色なんか気にかけるヒマなくなるから」
裕美「本当?……楽しみ」
モバP「そうなったらどんな仕事したい?」
裕美「どんなお仕事?そうだな……」
巴「うちは何たって演歌よ。女の情念を歌い上げるんじゃ」
裕美「わっ」
拓海「ビッとキめたナリでよォ!ド派手に暴れてえ!」
千鶴「夜中ですよ、大声ださない」
留美「みんなで大きなステージに立ちたいわね」
巴「ええのう姐御!!」
裕美「私も、この五人でステージに立ちたいっ」
拓海「んでワールドツアーなんかかましてよォ」
巴「ハワイとか?」
裕美「スペインとか!」
千鶴「お、大きすぎない?理想」
拓海「バカヤロー!デケェこと言うんだよこーゆー時はよォ!」
千鶴「ふふ、何それ……ふふふ」
裕美「あはっ、いつかそうなるといいなあ」
留美「楽しみだわ」
巴「よっしゃ!手始めにちゃっちゃとアレ片付けたるけえ!」
拓海「おう!やってやんぜ!!」
千鶴「だ、だから拓海さん、大声…」
裕美「じゃあね、プロデューサーさん」
モバP「ん。お願いします」
留美「……どうしたの?サングラスなんかかけて」
モバP「ティアドロップです」
都内某所 東京湾が見下ろせるマンションの一室
合宿30日目。残り346ピース
ゴロゴロゴロ……ドシャ―……
裕美「……降って来ちゃった」
ドア「ガチャ」
巴「だー!たまらんっ!びしょ濡れじゃ」
モバP「誰かいる―?」
裕美「はーい」
モバP「ごめんタオル貸して。巴はシャワー浴びな」
巴「はいよ」
裕美「ちょっと待ってね……」
モバP「靴下やられたよ」
裕美「はい、タオル」
モバP「ありがとう。何してたの?」
裕美「別に。宿題とか、テレビ見たりとか……」
モバP「そっか。じゃあカメラ止めとくか」
裕美「あ、ちょっと裸足で……」
モバP「スリッパ用意していないのが運の尽きだね」
裕美「もう……」
モバP「…………」
裕美「どうしたの?」
モバP「いや、壮観だねこりゃ」
裕美「今日の夜、みんなで完成させるんだ」
モバP「一日残したね。お見事」
裕美「ありがとう」
モバP「じゃちょっと、カメラを……」
裕美「気を付けてね」
モバP「ありがとう」
裕美「うん」
モバP「明日のPV撮影もこの調子で頼むよ」
裕美「うん。ふふ、今ならなんでも出来そう」
モバP「無敵だよ」
――――――――――――
――――――――――
――――――――
―――――
拓海「いよいよだぜ……オメーはここだな!」
千鶴「終わるね。やれたんだね、私たち」
巴「一時はどーなるかと思ったが、なんとかなるもんじゃの」
留美「本当に。……はいこれ」
裕美「ありがとうございます……」
拓海「……巴、そここれだ」
巴「……拓海にはこれじゃ」
千鶴「あった……あと、いち、に、さん……」
留美「ここ、ここ、で、ここね」
裕美「うわあ、どうしよう。完成しちゃうっ」
巴「何言いよる!完成させるためにやってきたんじゃあ」
千鶴「プロデューサーも残っていれば良かったのにっ」
留美「明日の準備だもの、仕方ないわ」
拓海「……最後の一つだぞォ!!」
千鶴「みんなで!みんなで嵌めましょう!!」
巴「うん!ほれ持って持って」
裕美「わー!待って待って」
留美「ふふふ」
「「「せーの!」」」
「「「できたー!!!!」」」
「「「…………」」」
「「「…………………」」」
「「「あれっっっ!!!???」」」
「「「できてないっ!!!?????」」」
裕美「あれ?え?なんで?」
巴「なんで、なんで一か所空いとるんじゃ!」
千鶴「嘘っ、だってもうピースはどこにも」
拓海「探せっ!どっかに一個落ちてんだよッ!!」
留美「」
巴「姐御、しっかりせえ!」
裕美「どこ?どこなの!?」
千鶴「ないよ……どこにもない!」
「「「…………」」」
「「「えーーー!ないーーー!!!」」」
都内某所 屋上遊園地
合宿31日目。残り1ピース
モバP「……まあ、その、なんだ」
モバP「この仕事が終わったらまた探そう」
モバP「俺も手伝うからさ」
裕美「」
千鶴「」
巴 「」
拓海「」
留美「」
モバP「なんて痛ましい……悲劇だ。これは」
AD「はい、エキストラの皆さん集まって下さーい」
モバP「ほら、集合かかったよ。いってらっしゃい」
モバP「辛いときこそ、笑顔を……」
モバP「笑顔を忘れずにね!」
裕美「」
千鶴「」
巴 「」
拓海「」
留美「」
モバP「おぉ、神よ……」
北条加蓮「……どうしたんだろね、アレ」
神谷奈緒「さあなー」
渋谷凛「憔悴しきってる」
加蓮「悲しいアニメでも見たのかな」
凛「そんな、奈緒じゃないんだから」
奈緒「なんでアタシを引き合いに出すんだよ」
加蓮「和久井さんまであんなの、めずらしー」
凛「大丈夫かな」
監督「トライアドプリムスさん、打ち合わせしましょうか」
加蓮「はーい。……ま、心配しても仕方ないね」
凛「そうだね。私らも余裕、ある訳じゃないし」
奈緒「そうだぞ、主役のアタシらがしっかりしないと」
奈緒「いよっし!張り切っていこー!!」
加蓮「奈緒かわいー」
奈緒「なんだよっ、可愛くないっ!」
AD「テーマは『オフのプリムス』でー」
AD「彼女らが遊園地でバラバラに遊んでいる所から始まって」
AD「なんやかやして、最後に三人集まるって感じでーす」
AD「エキストラは賑やかしっすね。着ぐるみとか、アイス屋とかで」
AD「リハやりながら指示出しますんでー」
AD「じゃ、おねがいしあんしゃー」
アイスクリーム屋さんの裕美「……ふう」
風船配りのお姉さん留美「…………」
牛の着ぐるみを纏いし拓海「ちくしょー」
豚の着ぐるみに身を包む巴「あつい」
猫の着ぐるみは千鶴「…………」
千鶴「どうして、よりによって一つないのよ……」
巴「くやしいのう。……くやしいのう」
拓海「あきらめるのはまだ早え」
留美「朝は早く、夜は遅く、休日はかかりっきり」
留美「彼に家事を押し付けてやっと辿り着いたのよ」
留美「あきらめるもんですか」
裕美「…………」
裕美「……みんな、行きましょう」
千鶴「裕美ちゃん……」
裕美「全力でお仕事こなして、すぐ終わらせて」
裕美「お家に戻ろう」
千鶴「……うん。……うんっ」
留美「このままじゃ死んでも死にきれないわ」
巴「……うちは肚ァ括ったぞ」
巴「地獄の果てまで追いかけて探り出しちゃる」
裕美「……絶対、見つけてやるんだ」
裕美「行きましょう!」
拓海「だな!やってやろうじゃねえかッ!」
~♪
監督「はい、凛ちゃんが歩いてきたところに風船持った奈緒ちゃん!」
監督「最後にアイス片手に加蓮ちゃん合流で、決め!」
監督「後ろの着ぐるみー、元気に跳ねたり踊ったりしてー」
監督「そーそー、よーし。このまま本番行ってみましょー」
美城「……ご苦労」
モバP「あ、いらしてたんですか」
美城「うむ。私が立ち上げたプロジェクトだからな」
美城「君の部署はどうだ?」
モバP「いつも通り。言われた仕事をきっちりこなしてくれています」
美城「脇役を押し付けられて腐っているものと思ったが」
モバP「そのうち滅多に経験出来なくなりますから」
美城「……フン」
監督「はいほんばーん!よーい、スタートッ!!」
♪~
美城「トライアドプリムスは素晴らしい」
美城「気品と優雅さを兼ね備えた我が城に相応しいアイドルだ」
モバP「彼女たちを見出した、専務の慧眼でございますね」
美城「フッ……世辞はよせ」
モバP「分かりました」
美城「…………」
モバP「…………」
モバP「………ん?」
モバP「すみません、ちょっと失礼」
美城「おい」
モバP「いや、小石かな?足に、なんか違和感……」
美城「何をしているんだ君は……」
モバP「ちょっと、すんませ、あっ」
パズルのピース「よっ」
~♪
監督「はーいカットォォ!チェックしまーす」
モバP「んんん~?」
モバP「……おやおや?おやぁ?」
モバP「どうして君が僕の靴の中に?」
美城「大丈夫か?」
モバP「大丈夫に見えますか?」
美城「知らんよ」
モバP「うーん……あっ!」
「「「ああああああ!!!!!」」」
凛「えっ」
加蓮「んー?」
奈緒「うわっ!なんだ?」
モバP「そっかぁ!昨日あそこ行った時!!」
モバP「雨降って靴下濡れたから裸足で歩いて!」
モバP「こいつ踏んづけて持ってきちゃったんだ!」
モバP「おまけに昨日は会社に泊まりだもんで一度も靴を脱いでいないときた!」
美城「また泊まったのか、家に帰れちゃんと」
モバP「なんてこった……あの時、替えの靴下さえ用意出来ていれば……」
モバP「靴下の予備は切らしてはいけない」 ダダダダダダ!!!
モバP「やはりダン中尉は正しかった」 ダダダダダダ!!!
モバP「そうは思いませんか少佐?」 ダダダダダダ!!!
美城「専務だ。専務の美」ダダダダダダ!!!
牛の着ぐるみ「ゴルアァァァ!!!!」
モバP「へぶっ」
美城「うおっ」
豚の着ぐるみ「オドレェェ!!!!」
モバP「ぐえっ」
猫の着ぐるみ「一体どおおゆううことなのっっっ!!!」
モバP「ゆすんないでゆすんないでっ!」
アイスクリーム屋さん「やった!あったよ!あったああああ!!」
風船配りのお姉さん「裕美ちゃん!!」
アイスクリーム屋さん「留美さあん!!」
牛の着ぐるみ「なんでテメエが持ってんだよォ!アァ!?」
豚の着ぐるみ「ワレェワシらを弄んだんかいィ!オォ!?」
猫の着ぐるみ「何とか言いなさいよっ!!!」
モバP「着たままで暑くない?」
猫の着ぐるみ「フシャーー!!!」
監督「はい、一発オッケー!これで今日はおしまいにしましょー」
監督「え、どうしたの?」
凛「奈緒、加蓮お疲れ様。……裕美たち、荒れてるよ」
加蓮「わー♪動画撮っとこー」
奈緒「お、おい大丈夫なのかあれ?止めなくていいのか?」
加蓮「えーアタシやだよ?奈緒行きなよ」
奈緒「な、なんでアタシがっ」
凛「あっちのプロデューサー、もみくちゃにされちゃってる」
凛「助けてあげなよ、奈緒」
加蓮「な~おっ♪」
奈緒「ううっ……分かったよ!行きゃあいいんだろっ」
奈緒「………おーいみんな、よく分かんないけど、そのへんで」
三匹の着ぐるみ「「「奈緒(さん)はだまっててッッ!!!」」」
奈緒「ひえっ!!失礼しましたっ」
奈緒「うう……恐かったぁ」ワイワイギャーギャー
加蓮「おーよしよし、かわいそうな奈緒」ケンケンガクガク
奈緒「着ぐるみがここまでさ、近づいてきてさ」カクゴセイ!オタスケ!ナラン!
凛「慰めてあげる。おいで、奈緒」ゴカイダ!オクジョーダココハ!!オチテイネ!!
奈緒「アタシは犬かっ」コレデカンセイデキルネッ!!バンザーイ!!
美城「……………」ワーワーギャーギャー
美城「………」ワーワーギャーギャー
美城「……」ワーワーギャーギャー
美城「すー」ワーワーギャーギャー
加蓮「あ、やば」ワーワーギャーギャー
美城「いい加減にせんかッ!!!全員整列ッッ!!!」
346プロダクション 地下一階 お荷物部署
モバP「最初は、ろくに口も利かない間柄だったでしょ?」
留美「特に意識してそうしていた訳じゃないわ」
モバP「全員を苗字で呼んでいたり」
留美「社会人じゃそれが当たり前じゃないかしら?」
モバP「そうなんですけどね」
モバP「……見てみたかったんですよ」
モバP「どんな風に団結していくのかなあって」
モバP「チームを完成させたいなあって思って」
モバP「ぶつけてみました。仕事ならなんでもやるってのもありますが」
留美「楽しかったわよ。パズルは暫く見たくもないけれど」
モバP「向こうの反応も良かったし、今回は成功ですかね?」
留美「それでいいんじゃないかしら」
テレビ「♪~♪~」
巴「格好エエのう。とらいあどぷりずむ」
奈緒「プリムスな」
拓海「おう、決まってるよ。プリズム」
奈緒「あ、わざとだな?」
拓海「へへ……お、アタシら出てきた」
裕美「うん。…良かった、ちゃんと出来てる」
凛「大騒ぎはカットかかった後だからね」
千鶴「……すいません、本当に」
凛「着ぐるみ集団がサラリーマン囲む姿は」
凛「ふふ、結構、面白かったかな」
千鶴「うぅ……お恥ずかしい限りです」
凛「加蓮が動画に撮ってるから、後で見せてもらいなよ」
裕美「えっ」
凛「裕美がアイス片手に飛び跳ねてるトコ、バッチリ残ってるから」
裕美「えっえっ」
ドア「ガチャ」
加蓮「お待たせー」
裕美「あ、か、加蓮さんっ、ど、どうが」
加蓮「へっ?何?どうしたの裕美ちゃん」
裕美「動画、消してくださいっ」
加蓮「……あー、んーどうしよっかなー♪」
裕美「お願いだから!」
モバP「トライアドの皆さんお揃いですね」
モバP「それじゃ、行きますか」
加蓮「はーい。楽しみだなー」
奈緒「あんまり食べ過ぎるなよ加蓮」
モバP「ポテティエンヌの北条さんを唸らせるファミレスがあるんですよ」
留美「パリジェンヌみたいに言わないの」
巴「なんじゃ、いつものファミレスかい」
千鶴「お詫びも兼ねた食事会なんでしょ」
凛「気にしなくていいのに」
モバP「さあさ、参りましょう」
都内 某中学校
キーン コーン カーン コーン
ドア「ガラガラガラ」
裕美「失礼しまーす……」
千鶴「失礼します」
女子生徒「あ、村上さんの……」
裕美「巴ちゃん、いますか?」
女子「それが……」
千鶴「裕美ちゃん、あれ」
巴「zzz」
裕美「珍しいね」
千鶴「うん、珍しい」
女子「村上さん、先輩、来てるよ……」
巴「んあっ!?」
裕美「寝不足?」
巴「ああ、なかなか寝付けんのよ」
千鶴「どうして?」
巴「寮じゃ拓海の寝言が聞こえんからのー」
巴「静かすぎるけん、一人で寝るんは」
裕美「……ふふっ」
巴「あっ、な、なんじゃ!裕美、笑うなやっ」
千鶴「……私も、なんだか寂しくなる時、あるな」
巴「……」
裕美「……」
千鶴「ハッ」
巴「ははっ、ほうかほうか!うちだけじゃないんか」
裕美「……ね、お泊り会しようか?」
千鶴「あっ、うん。いいね、お菓子持って」
巴「またパズルやるか?」
千鶴「それはもうこりごり」
裕美「ふふふ……あれ?留美さん?」
留美「やっと来たわね中学生トリオ」
拓海「おせーぞ!早く姐御の車に乗れ!」
裕美「プロデューサーさんは?」
留美「別件を済ませて直接テレビ局に向かうそうよ」
千鶴「……番組収録の時間って、まだですよね?」
拓海「あのヤロー時間間違えやがった」
巴「しょうのない……」
留美「全員乗ったわね。今日は私の運転よ」
拓海「ブッ飛ばせ姐御!」
千鶴「ブッ飛ばさないで下さい。安全運転をお願いします」
留美「あら、千鶴ちゃんは信用しないの?私のドラテク」
千鶴「えっ」
裕美「ドラテク……」
留美「冗談よ」
千鶴「本当ですか?」
留美「………ふふ」
千鶴「信じますからね!信じましたからね!」
巴「姐御が冗談言うかい!これはエラいのが来るぞお」
留美「行くわよ。シートベルトしなさい」
拓海「おっしゃあ!」
裕美「ひゃあ」
巴「ゆけぇい!飛ぶが如くっ!!」
巴「無敵のうちらがお通りじゃあ!!!」
村上巴「お荷物部署の放課後と海の見える家」 おしまい
お邪魔しました。どうもありがとうございます
依頼出してきます。
みんな良いキャラしてるわ
乙
おまえのssが好きなんだよ!
乙
この5人妙なバランスのよさがある
乙
かけあいが上手いんだね
Pも個性的で返しが一ひねり利いてて楽しい
>美城「フッ……世辞はよせ」
>モバP「分かりました」
この流れるようなPと専務のコント良い…乙
乙、面白かったこのシリーズの皆のやりとり好きだわ
待ってた
次も待ってる
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