-数年前-
P「どうしても辞めるのか?」
瞳子「…」
P「なぁ、まだまだこれからじゃないか。俺も頑張ってプロデュースするから…」
瞳子「…もういいのよ、Pさん」
P「え…?」
瞳子「何年もアイドルを続けてきて自分の限界は解ってるつもりよ。私には向いていないのねきっと」
P「…」
瞳子「だからPさんも私の事なんか…わす…れて…」ポロポロ…
瞳子「嫌ね…泣かずに…辞めようと思ってたのに…」ゴシゴシ
P「瞳子…」
瞳子「さようなら、Pさん…」
P「ま、待ってくれ!おい、瞳子!」
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-事務所ー
ちひろ「プロデューサーさん!起きてください!大丈夫ですか?!」
P「…すいません、少し寝てたみたいです…」フラフラ
ちひろ「ひどくうなされていましたけど…あら?ちょっと失礼しますよ」ピトッ
P「うぉぉ…手が冷たい…気持ちいい…」
ちひろ「熱があるじゃないですか!!なんで事務所に出てきたんです?!」
P「いや、仕事をしなきゃ…」
ちひろ「こうなるから普段から無理をしないように言ってるじゃないですか!本当に無茶ばっかりするんだから」
P「面目ないです…」
ちひろ「とにかく自宅で休んで…帰れないですよねそんな状態じゃ」
P「馬鹿にしないでください!帰るくらい…あ、あれ?」ヘナヘナ…
ちひろ「ほら、危ない!」ガシッ!
P「…すいません」
ちひろ「仮眠室で休んで様子を見てみましょう…肩を貸しますから」
P「何から何までご迷惑をお掛けします…」
ちひろ「今日は謝ってばかりですね、プロデューサーさん」クスクス
-仮眠室-
ちひろ「これでよし、と…じゃあ私は事務所にいますので何かあったら遠慮せずに呼んでくださいね!」
P「…早速なんですけど」
ちひろ「はい、なんでしょう?」
P「俺の机の引き出しにある企画書と手帳…あと携帯電話を持ってきてくれないかな、って…」
ちひろ「それじゃあゆっくり休んでくださいね♪」スタスタ…
ガチャ…パタン
P「ですよね~…」
P(いかんいかん、これ以上ちひろさんに迷惑をかけるわけには…)
P「おとなしく寝るか…」
カチッ、カチッ、カチッ…
P「…」
P(これだけ静かだと逆に眠れないもんだ…秒針もやけに大きく聞こえる…)
P「大体こんな昼間から寝るなんて…体はきついが」
P「そんなに…俺疲れてたの…か…な…」ウトウト…
P「…zzz」
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-某大手プロダクション-
上司「本当にいいのかい?P君」
P「いいんです。私の責任ですから」
上司「服部君の事は残念だが…すべてが君の責任でもあるまい。もう一度このプロダクションで…」
P「この事務所に私のような人間は必要無いと思います」
上司「…」
P「…最後まで勝手な事を言ってしまって申し訳ありません」ペコッ
上司「決意は固いんだな?」
P「…」
上司「…ではこの辞表を受理する。P君、いままでご苦労だった」
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-夕方、再び仮眠室-
P「…」ガバッ
P(懐かしい夢を見たな…)
P「…本当に疲れてるのかもな」
瞳子「本当よ。何度言っても聞かないのね」
P「と、瞳子…」
瞳子「事務所に電話したら貴方が寝込んでるって千川さんが言うから…」
瞳子「ビックリして現場から飛んで来ちゃったわ」
P「しゅ、収録の途中でか?!」
瞳子「終わってからよ。当たり前じゃない…勝手に抜け出して来たらPさん怒るでしょう?」クスクス
P「…そうか」ボフッ
瞳子「いろいろ買って来たわよ。…スポーツドリンク飲むかしら?」ガサガサ
P「あぁ、ありがと…」グゥゥゥ…
瞳子「…」
P「…」
瞳子「…ふふ。何か消化に良いもの作るわね」ガタッ
P「お願いします…」
-1時間後-
P「ごちそうさまでした」
瞳子「恐ろしい回復力ね…朝熱を出してフラフラしてたなんて信じられないわ…」
P「熱も大分引いたみたいだな。体が頑丈な事には自信があるんだ」ドヤァ
瞳子「無理をして良い言い訳にはならないわよ?」
P「…はい」
瞳子「何度も言うようだけど無理だけはしない事。…約束してね?」
P「…本当に昔から世話焼きだよなぁ」ボソッ
瞳子「…?」
P「なんでもない」
瞳子「なにかしら?そう言われると気になるわ。教えて頂戴」
P「昔っから変わらないなぁって言ったんだよ」
瞳子「…私は私よ。変わるも変わらないもないわ」
P「変わったのは環境…か」
瞳子「今日のPさんは随分回りくどいわね?熱のせいかしら?」
P「…夢を見たんだ」
瞳子「へぇ…どんな夢なの?」
P「…お前が前のプロダクションを辞める夢」
瞳子「…」
P「…昔の話なのに…ものすごく鮮明な夢だった」
瞳子「Pさん…」
P「…本当にすまなかった。瞳子…辛かったよな?」
瞳子「もういいのよ、Pさん」
P「え…?」
瞳子「過去を引きずって過ごした事もあったわ。貴方を恨んだ日もあった」
瞳子「でも泣き虫だった私も、後ろ向きな考えの私も…もう昔の服部瞳子はいないの」
P「…」
瞳子「もう一度貴方と…Pさんと活動するって決めた日から…そんな私とは決別したのよ」
P「瞳子…」
瞳子「私は幸せよ?ここの事務所の皆はとってもいい人達だし…お仕事だって沢山来るわ」
瞳子「幸せすぎて怖いくらい」ニコッ
P「…強いな。お前は」
瞳子「そうかしら?…昔の弱い小娘じゃないのよ。なんて…」ジリッ…
P「おい…それってどういう」
瞳子「ふふ…」
P「ち、近いって!タイムタイム!」
ガチャ
ちひろ「具合はいかがですか?プロデューサーさん」
P「ちひろさん!!」
瞳子「あら千川さん…だいぶ良くなったみたいよ?」
ちひろ「な、なんか二人とも近いような気がしますけど…」
瞳子「…ちょっと熱を測ろうかな、って思ったのよ」
P「ね、熱…?」
ちひろ「元気そうですねプロデューサーさん…よかった」ホッ
瞳子「今日一日位は安静にした方が…もう少しここでゆっくりしておくといいわ」ニコッ
ちひろ「ですね!…申し訳ありませんけど瞳子さん、プロデューサーさんをお願いできますか?」
瞳子「ええ、大丈夫よ」
P「い、いや!もう元気だから!自分で帰れますので!帰って寝ます!」ガバッ!
ちひろ「ほ、本当に大丈夫ですか?」
P「勿論です!じゃあお疲れ様でした!」ダダダ!
ちひろ「…?あんなに急がなくても…」
瞳子「…少しはあのニブチンにも効いたかしら?」ボソッ
ちひろ「なにか言いました?瞳子さん」
瞳子「…自分でもこんなに大胆に攻めるのは初めてで…恥かしいわ…」ボソボソ
ちひろ「よ、よくわからないですけど…」
瞳子「なんでもないの…それより千川さん、現場でお菓子貰って来たのよ。一緒に食べましょう?」
ちひろ「それはいいんですが…プロデューサーさん本当に治ったんでしょうか」
瞳子「大丈夫よ。体が頑丈なんですって」
ちひろ「そんな都合のいい話…」
瞳子「それに根を詰めすぎないように釘を刺したから…」
ちひろ「と、瞳子さん…やけにプロデューサーさんの扱いに慣れてますね」
瞳子「そうかしら…そうかもしれないわね」
ちひろ「は、はぁ…」
瞳子「昔からの付き合いだから」ニコニコ
おわり
終わりです。ありがとうございました
読ませるじゃなあい
乙
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