雪穂「海未ちゃんと私」 (22)

 「はぁ・・・」

 私は今、お風呂に入りながら物凄く落ちこ んでいた。ショックで食事が喉を通らないってことが本当にあるんだなぁなんて発見は置いといて、そんな感じで落ち込んでいるのである。何にここまで落ち込んでいるのかって言われると、話は5時間ほど前に遡るわけで・・・




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 いつものようにリビングで亜里沙とμ'sのPVを見ていた時のこと、

 「亜里沙って好きな人いるの?」

 私は自分が酷く緊張しているのを気付かれないように平静を装って、つまり、あくまで深い意図はありませんよ感を出しながら聞いてみると、そんな私の小さな努力は気にもとめず、

 「あれ?ずっと前から海未さんのことが好きだって言ってなかったっけ?」

なんて小首をかしげられた。うん、可愛い。じゃなくて、海未ちゃんのことが好き!?その言葉は私をショックのどん底に突き落とすには十分だった・・・。


 そんなこんなで今に至る。うーん、海未ちゃんかぁ・・・。いや、なんとなくそういう気はしてたよ?海未ちゃんに会った時の目の輝き方は凄いし、しょっちゅう海未ちゃんの話するし、海未ちゃんのHJNN取るために6千円ぐらい注ぎ込んでたし。とはいえ、はっきり言われるとやっぱり心に突き刺さるものがある。まあ聞いた私が悪いんだけどさ。それにしても海未ちゃんがライバルなんて勝ち目が無いや、だって私より背が高いし、私より勉強出来るし、私より運動が出来るし、私よりかっこいいし、それなのに私より可愛いし、私より綺麗で大人っぽいし、私が海未ちゃんに勝てるものは何も無い。

 「はぁ・・・」

私はもう1度大きくため息をつき、眠りについた。




 次の日、私は高熱を出して寝込んでいた。まあ当然である。だってお風呂で3時間ぐらい寝てたんだもん。お姉ちゃんが気付いてくれなければ溺死してたかもしれない。おー、こわこわ。
 
 ちなみに、今の時間は・・・4時半ぐらいかな?眼鏡が無いと見えづらいなぁ。まあいいや、もうひと眠りし「雪穂!大丈夫!?」

 ドンッという大きな音と共に叫ぶように入ってきた亜里沙。びっくりしすぎて心臓が止まるかと思った。

 「別にお見舞いに来てもらうほどのものでもなかったのに」

 「だって雪穂が心配だったの!」


気持ちは嬉しいけど、今日は会いたくなかったかな、昨日の事もあるし。そんな時、ただいまーってお姉ちゃんの声。そのすぐ後にお邪魔しますと海未ちゃんの声。どうやら今日はつくづくツイてないみたい。

 「海未ちゃん来たみたいだね」

 「そうだね」

あれ?反応が薄いぞ?

 「海未ちゃんに会いにいかなくていいの?」

 「うん!今日は雪穂の方が大事だもん!」

あまりの直球さに赤面する私。これがロシアの血のなせる技か・・・。

 「雪穂、どうしたの?急に顔が赤くなったけど・・・、はっ!?もしかして熱が上がった!?どうしよう!?雪穂が死んじゃう!」

 「いや、死なないから」

 「えっ!?雪穂大丈夫!?」

 「雪穂!大丈夫ですか!?」

あーあ、亜里沙が急に叫びだすから2人も来ちゃったじゃん。

 「てあれ?雪穂普通に元気だね」

 「そりゃ別に熱は上がってないからねぇ」

 「じゃあなんで顔が赤くなったの?」

質問する時も直球な亜里沙。どうやら少し、オブラートに包む、という言葉を教えた方がいいかも知れない。でもこれが亜里沙の所でもあるんだよなぁ。というかどうやって誤魔化そうか、

 「え、えーとそれは・・・」

目が泳ぐ私。じっと私を見つめる亜里沙。

 「そんなことより亜里沙ちゃん、穂むらの新作が出来たんだけど下で試食してもらえないかな?」

見かねて助け舟を出してくれるお姉ちゃん。ナイスだ、今度お菓子に洋菓子が出たら私の分を譲ろう。しかし、亜里沙とお姉ちゃんが部屋から出て行ってしまったら部屋には私と海未ちゃんが残るわけで、どうしても変に意識をしてしまう。亜里沙達が部屋から出たのを確認して、海未ちゃんが一言、

 「ところで雪穂は亜里沙の事が好きなのですか?」

 「ふぇっ!?ななななんで急に!?」

 「熱が出てないのに顔が赤くなったのならそういう事なのかと思いまして」

 「うっ・・・、まあでも亜里沙は脈無しなんだよね・・・」

 「そうなのですか?私はてっきり相思相愛なのかと思ってましたが」

 「ないないない、だって亜里沙は他に好きな人がいるもん」

 「だから諦めるのですか?」

 「へっ?そりゃまあ・・・」

 「本当にですか?」

 「だってしょうがないじゃん、無理なものは無理なんだから」

 「確かに、初めから無理だと決めつけて諦める事はとても楽なことで、これ以上余計に傷付くこともないでしょう」

 「ですが、ここで諦めてしまえば、今より良くなる事は絶対にありえないんです」

 「それでもあなたは、雪穂は諦めてしまうのですか?」

 「海未ちゃんは良いよ・・・」

 海未ちゃんの熱い言葉に思わずこぼれる私の本音。一度口から出てしまったら、もう私にも止める事は出来ない。

 「海未ちゃんは良いよ!海未ちゃんはかっこいいし、綺麗だし、頭も良いし、運動神経も良いし、誰からも好かれてるじゃん!」

 「でも私は違う!私は海未ちゃんみたいにかっこよくないし、綺麗でもないし、特別頭も良くないし、スポーツも特別得意じゃないし、私には何も無い!私が海未ちゃんに勝てるわけがない!」


 私が言い終わるのと海未ちゃんが私の頬を叩くのはほぼ同時だった。

 「それ以上自分を卑下するのはやめなさい!私とあなたは別人なのですから違って当然でしょう!」

 「それに、雪穂は自分には何も無いと言ってますが、あなたの良い所はいっぱいありますし、私より優れてる点もたくさんありますよ」

 「そんなものない!変なお世辞は言わないで!」

 「お世辞ではありません!本当にあります!」

 「ない!」

 「あります!」

 「ない!」

 「あります!」

 「ない!」

 「ある!」

突然聞こえる亜里沙の声。驚いて声がするほうを見ると、いつの間にかお姉ちゃんと亜里沙が戻ってきていた。

 「雪穂の良い所はいっぱいある!だから・・・、だから自分をそんな風に言わないで!」

 そんな事言われたら私には何も言えない。だって亜里沙の目が本当だって言ってるから。

 「そういえば、先ほど私には勝てないと言ってましたけど、どうして私と比べるのですか?」

と、海未ちゃんが暗い雰囲気をどうにかしようと、努めて明るく尋ねてきた。まあただ、亜里沙の前でこの話をされても大変困るのだけども・・・。

 「まあまあ海未ちゃん、そこは察してあげようよ」

 「はあ・・・?」

にやにやしてるお姉ちゃんと、何がなにやらといった感じの海未ちゃん。フォローしてくれるのはありがたいけど、そのフォローの仕方はやめてほしかったな。亜里沙って変な所で鋭いし。

 「もしかして亜里沙が海未さんのファンだから?」

 ほらやっぱり。まあ少し違うのだけど。

 「違うよ、亜里沙が海未ちゃんのファンかどうかはあまり気にしてないし」

一応否定しておく。私が否定するとお姉ちゃんが違うのっ!?って言いながらとても驚いている。しかし、超ポジティブガールな私の姉は、すぐさま新しい予想を出してきた。

 「あっ、じゃあ!亜里沙ちゃんが海未ちゃんを好きっていうのは?」

 「まあまあ海未ちゃん、そこは察してあげようよ」

 「はあ・・・?」

にやにやしてるお姉ちゃんと、何がなにやらといった感じの海未ちゃん。フォローしてくれるのはありがたいけど、そのフォローの仕方はやめてほしかったな。亜里沙って変な所で鋭いし。

 「もしかして亜里沙が海未さんのファンだから?」

 ほらやっぱり。まあ少し違うのだけど。

 「違うよ、亜里沙が海未ちゃんのファンかどうかはあまり気にしてないし」

一応否定しておく。私が否定するとお姉ちゃんが違うのっ!?って言いながらとても驚いている。しかし、超ポジティブガールな私の姉は、すぐさま新しい予想を出してきた。

 「あっ、じゃあ!亜里沙ちゃんが海未ちゃんを好きっていうのは?」

>>13
すいませんミスりました

 しかもここで当ててくる辺り、私の姉も無駄に鋭い。自分の事になると鈍感なくせに。この前絵里さんが頭抱えてたぞ、なんて姉への愚痴は置いといて、お姉ちゃんの予想は華麗にスルーし、

 「そういえば亜里沙、穂むらの新作はどうだった?」

なんて話題を強引に変えようと試みる。しかし、

 「えっ何?図星だったの!?もしかして私って天才!?」

 「その程度で天才ならこの世の3分の2以上は天才です」

・・・見事に話を戻された。さあて、次はどうやって話を変えようかなんて考えていると、亜里沙が

 「あの・・・」

と申し訳なさそうに声を出す。

 「どうしたのです?」

 「私が好きなのは海未さんじゃなくて雪穂です!」

 「・・・・・・・・・へっ?」

 「もちろん海未さんのことは大ファンだけど、恋愛的な意味で好きなのは雪穂以外考えられない!」

 「雪穂は私のこと好き?」

 「うえっ!?」

 「雪穂!ヘタレたら駄目だよっ!」

 「雪穂、勇気を出すのですよ」

・・・取り敢えず2人には言われたくない。けど、ここでヘタレるわけにはいかないし、ファイトだよ、私。

 「私も・・・、私も亜里沙のことが好き」

 「ハラショー!本当に!?」

 「うん、亜里沙のこと大好きだよ」

 「そういえば雪穂、どうして亜里沙ちゃんが海未ちゃんのことを好きだって思ってたの?」

 「そうだよ!こんなに雪穂大好きオーラを出してたのに!」

 「ええっ!?だって昨日亜里沙が言ったじゃん!海未ちゃんが好きだって」

 「へっ?そんな話したっけ?」

 「したよ、μ'sのPVを見てた時に」

 「あれって推しを聞いてたんじゃなかったの?」

 「・・・えっ?」

 「えっ?」


なんてこった・・・、まさかのただの私の勘違いだったとは・・・。

 「まあまあ、終わりよければすべて良しだよ!」

 強引に話を終わらせようとするお姉ちゃん。まあそんなこんなで私の勘違いから始まったこの出来事(他の人からしたらただの日常に過ぎないのだろうけど)はずっと好きだった亜里沙と付き合うというとびっきりのハッピーエンドで幕を閉じたのでした。おしまい。

どっかで見た

pixivでスレタイを検索したら「ベルン」という名前で活動してる人がヒットしたわ
マルチ行為はあんまりすすめんがな

気持ち悪いな こいつら

気にせんでいいやで(ニカッ
よかったで

よかったで

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