西住ままほ (55)

バブみの意味を履き違えてるかも

なにやらせてもまほ姉がポンコツになるけど俺は悪くねぇ

のんびりやるので待ってる間は過去作でも読んでてください
西住みそ
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西住まほ「もすかう」
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ミカ「バブみには人生にとって必要なものがすべて詰まっているんだ」

まほ「そんなことよりなぜ私の部屋にいる」

ミカ「風と一緒に流れて来ただけさ」

まほ「そのまま偏西風に乗ってアメリカまで行ってしまえ」

ミカ「なにか曲のリクエストはあるかい?」ポロロン

まほ「今すぐ退去することがリクエストだ」

ミカ「Volgaだね?」

まほ「話を聞け」

ミカ「ドイツの人気曲『moskau』をフィンランド語でカバーした曲だね」ポロロン

まほ「……モーゼルは何処にしまってたかな」

ミカ「おっと、突風だ」ガラガラ

まほ「まて、窓から逃げる前に答えてもらう。最初に言っていた"バブみ"とはなんだ」

ミカ「西住まほが西住ままほに進化する可能性さ」ダッ

まほ「逃げられたか、それにしても"バブみ"とは……エリカに聞いてみようか」



エリカ「!?……なんだか今から禄でもないことに巻き込まれる気がするわ」

まほ「エリカ!"バブみ"とは何だ!?」バンッ

まほ「エリカ?」

『腹痛の予定があるので整腸剤を買いに行って来ます。
今日は戻りません 逸見』

まほ「腹痛の予定だと、エリカも大変なんだな。明日の夕飯はお腹に良いカレーを作ってやろう」

ガチャ……バタン

エリカ「行ったわね……」モゾッ

ミカ「そのようだね」モソッ

エリカ「あなた継続のっ!? いつの間に……」

ミカ「風に乗ってきたんだ」

エリカ「なんの用? 私忙しいんだけど」

ミカ「忙しい、それは人生にとって必要なことかい?」ポロロン

「忙しさに追われて優先順位決めてるだけじゃ多分自分すり減らしていくだけさ」ジャカジャカ

「Dandy Darlin' 描いた いい男よりずっと、カッコ悪く生きているけど」ジャカジャカ

「Dandy Darlin' 退屈な時代に逆らって、かっこつけないで生きるのさ」ジャカジャカ

「Oh なんだかんだありのままでいいんじゃない~♪」ポロロン

エリカ「……終わった?」

ミカ「料金一億万円いただきます」

エリカ「馬鹿じゃないの?」

ミカ「ローンも可」

エリカ「というか、なんの歌よ?今の」

ミカ「SM●Pには人生に大切なすべてのことが詰まってるんだ」

にや

ゆな

ミカ「やはり君には見所がある」

エリカ「はあ?」

ミカ「共に究極のバブみを目指そう」

エリカ「帰りなさいよ」

ミカ「いいから、ついてきてごらん」

エリカ「隊長の部屋じゃない、ここになんの用よ?」

ミカ「ご覧」ソーッ


まほ「エリカがお腹を痛めてるから、明日のカレーの隠し味は太田胃散だな」ゴソゴソ

「あ、でも消化に良いカレー粥のほうがいいかな?」


エリカ「隊長……」ウルッ

ミカ「今キミが感じた懐かしさの混じった彼女の包容力こそがバブみさ」ポロロン

エリカ「あんな見え見えの嘘置き手紙に騙されて……来年には大学生なのに……」ガクッ

ミカ「あ、あれ?……」

こうして、ミカの『西住ままほ』計画は、
シンパ集めの段階で失敗に終わったかに見えた

しかしーー


まほ「エリカ、今日は冷えるからこの腹巻をしていろ」

エリカ「あ、ありがとうございます!」

まほ「股引もあるぞ」

エリカ「……スカートなのでそれはちょっと」

まほ「練習試合の打ち合わせのついでにお菓子を買ってきたぞ、皆食べてくれ」

隊員「ありがとうございます、隊長」

まほ「遠慮せずに食べてくれ、オールレーズンとルマンド、チョコリエールにココナッツサブレもあるぞ」

隊員「わ、わーい……(このラインナップ、お母さんがよく買ってくるやつだ……)」

なんでやココナッツサブレ旨いやろ!

まほ「あと、ヤクルトも買ってきた」コトッ

赤星小梅「隊長、これはヤクルトじゃなくてローリーエースです」

まほ「こういう容器に入ってるのをみんなヤクルトっていうんじゃないのか?」

小梅「あと、ローリーエースはもうラブレに名前が変わってるんですが隊長はどこで買い物をしたんですか?」

まほ「消灯時間過ぎてるぞ、早く寝るんだ」

隊員「すいません、どうしても次の対戦校のビデオを確認しておきたくて」

まほ「しょうがない、見逃してやるからちゃんと電気をつけろ、目が悪くなるぞ」

隊員「はーい」

ココナッツサブレ、自作したことあるわ

まほ「これがテレビゲーム……ふぁみこんというやつか?」

隊員「これはゲームボーイアドバンスです隊長」

隊員「ちょっと、通信ケーブル持ってくるって言ったじゃない」

隊員「え、あなたが持ってくるって言ってたでしょ?」

まほ「こらこらケンカするな」

通信ケーブル懐かしい

彼女の行動は妹のように隊員との距離をなくそうと思っての事だった

しかし、その隊員達からは

「最近の隊長、なんかお母さんみたいだよねー」

という会話がされるばかりだった。
戦車道履修者の間での会話は一般生徒間で噂に、噂には尾ひれがついて他の学園艦にまで流れていった。

おつ

桃「会長、黒森峰で"西住流バブみ道"なるものが始まったとの噂ですが……」

杏「面白そうじゃん、こっちもなんかやろーよ」

「とは言え、西住ちゃんはお母さんってタイプとはちょっと違うし……誰に白羽の矢をたてるか……」

通信手の中に適任がいますねぇ

杏「と言う訳なんだけどさー。武部ちゃん、バブみ道の教官やってくんない?」

沙織「え、なに?なんの話ですか?」

杏「実はもう黒森峰に挑戦状送っちゃってるんだー」

沙織「黒森峰に!?というかなんの勝負なんですか?!」

杏「もう時間ないから移動するよー」

沙織「今日なんですか?!」

杏「武部ちゃんの女子力があれば絶対勝てるから」

沙織「会長また何か企んでますね?」

杏「今男の子の間じゃ包容力のあるお母さんみたいな女性が人気なんだって」

沙織「やりますっ!!」

黒森峰女学園グラウンド

杏「さあ!西住流バブみ道よ!いざ尋常に勝負だ!」

エリカ「なによ!急に挑戦状を送ってきたと思ったら、勝負ですって? ウチの隊長のバブみにかなうとでも思ってんの?」

杏「こっちの師範はそのバブみ係数で陥落人数記録更新中だ!(ただし女性に限る)」

エリカ「ウチの隊長なんてバブみ支持率99、9%よ!」

杏「バブみの意味わかってんのかー」

エリカ「なんですってー」

流石は婚活戦士ゼクシィ武部

ワーワーギャーギャー

まほ「よく来てくれた、これはウチのプレッツェルとノンアルコールビールだ」

沙織「わぁー、おいしそう。あ、じゃあこれあげます、みぽりんと作った肉じゃが」

まほ「肉じゃがか、あとでいただくよ」

キャッキャッ

母性とバブみは似てるようで違うのだ…

アキ「会いに行かないの?」

ミカ「会えばいいってものじゃないさ」

アキ「このブームはミカが望んでたものなんじゃないの?」

ミカ「傍にいることが必ずしもバブみにつながるわけじゃないのさ」ポロロン

アキ「意味わかんない」

杏「勝負の内容は簡単、これから出てくる被験者にアクションをおこしてもらう。被験者がよりバブみを感じたほうが勝利。被験者は3人用意してるからね」

エリカ「受けて立つわ!」

小梅「勝負するのはエリカさんじゃなくて隊長ですよね?」

被験者1 :騒ぎに紛れてそこら辺で屋台を出していた ぺパロニ
先攻:武部沙織

ぺパロニ「アンツィオ名物鉄板ナポリタンだよー!そこの彼女食べていきな」

沙織「わっ、美味しそう。いくら?」

ぺパロニ「一皿300万リラだよ」

沙織「えっ!?」

ペパロニ「あ、いや……300円」

沙織「なぁんだ。はい、500万リラ」

ペパロニ「まいどー、今だすからちょっと待ってなー」

ジュー

ペパロニ「あっつぅ!鉄板触っちゃったよ」

沙織「ちょっと?!大丈夫?」

ペパロニ「大丈夫大丈夫、慣れてるから」

沙織「駄目だよ。ちゃんと冷やさないと。ほらあっちの水道行くよ」グイッ

ペパロニ「えー、こんなん大丈夫ッスよー。あれお姉さん力強いね、もしかして戦車道やってたりする?」ズルズルー

後攻:西住まほ

まほ「鉄板ナポリタンを一つ」

ペパロニ「あいよー。あれ? お姉さんどっかで見たことある気がするなー」

まほ「? 私はここの隊長だが?」

ぺパロニ「あー!黒森峰の。そりゃ見たことあるはずだわ」

まほ「そういう君はアンツィオのぺパロニだろう?」

ぺパロニ「げっ、ばれてる……」

まほ「別にスパイでも資金稼ぎでも構わんさ。見られることで私たちが弱くなることはない」

ぺパロニ「おおっ、懐が深い! あっ、ナポリタンお待ちー」コトッ

まほ「うん、相変わらずアンツィオの料理は美味いな」

ぺパロニ「褒められると照れるッスねー」

まほ「ごちそうさま。P40の修理費、早く集まるといいな」

ぺパロニ「まいどー。またどうぞー」

杏「一回戦を終えてみてどうですか?解説の逸見さん」

エリカ「二人とも素ですよね、アレ」

杏「はい、勝負の行方を気にしてるのは我々だけです」

エリカ「なんなんですか? この勝負」

杏「なんなんでしょうね?」

「兎に角結果を聞いてみましょう」

ぺパロニ「え? 何?さっきの二人のどっちが母さんっぽいか?」

「うーん、先のカノジョッスかねー。手当してくれたし」

杏「勝者!武部ちゃん!!」

被験者2:こっそり偵察に来てて保安部に捕まったアリサ
先攻:西住まほ

アリサ「放しなさいよ! 私は何もしてないわ! 冤罪よ!」

まほ「どうした?」

保安部員「彼女が会議室にこれを……」

まほ「ICレコーダーか」

アリサ「知らないわよ、そんなもの」

まほ「裏に名前が書いてあるが?」

アリサ「……」

まほ「なぜすぐばれる嘘を吐いた?」

アリサ「(知波単には通用したのに……)」

まほ「黙っててもわからないだろうが」

アリサ「(なんかこの怒り方……)」

まほ「ちゃんとごめんなさいできるまで解放しないからな」

アリサ「……ごめんなさい」

まほ「よし、放してやれ」

後攻:武部沙織

アリサ「酷い目にあったわ……」

沙織「あれ、あなた確かサンダース校の……」

アリサ「貴方は大洗の……貴方も偵察?」

沙織「も?……あ、さっき話題になってた捕まったスパイってアリサさんなんだ」

アリサ「どーせ私は情報もタカシの心も掴めてませんよーだ」

沙織「私でよければ相談に乗るよ!」

ワイワイ、キャッキャッ

杏「普通の女子トークに花が咲き始めちゃったねー」

エリカ「勝負ってことも忘れてそうね」



アリサ「つまり、タカシには筑前煮が有効ってことね」

沙織「アメリカ風の食事になれた彼には和風の手料理だよ!」

杏「埒が明かないから結果に行こっか」

アリサ「えっ? 何?」

杏「西住ちゃんのお姉さんと武部ちゃん、どっちが母親っぽかった?」

アリサ「アンタ達またなんか変なことやってんのね?」

杏「さあ判定は?」

アリサ「うーん、西住さんの方かな。なんというか……叱り方が」

「大洗の子の方は友達って感じのお喋りだったし」

エリカ「勝者、隊長!」

杏「さあ、一対一で勝負は最終戦に託されましたよ解説の逸見さん」

エリカ「ところでこの勝負は、勝つとなにかあるの?」

杏「ないっ!」

エリカ「本当、なんのためにやってるのかしら……」

被験者3:会長に呼び出されて来た西住みほ

先攻:武部沙織

沙織「あれ、みぽりんじゃん。ここでなにしてるの?」

みほ「あ、沙織さん。急に会長に呼び出されたの」

沙織「そうなんだ。私も会長に連れてこられたんだけど」

みほ「なんか賑やかだね。特にお祭りの時期とかじゃ無かったと思うけど……」

沙織「会長がまた暗躍してるみたい」

みほ「あはは、とうとう他校まで巻き込むようになっちゃったか……」

沙織「あっちの方には屋台とかも出てたよ。鉄板ナポリタン美味しかったー」

みほ「へー、私も何か食べようかな」

沙織「あ、私も行く行く!」

みほ「もぅ、さっきも食べたんでしょ。夕ご飯食べられなくなるよ」

沙織「むぅ、みぽりんがお母さん見たいなこと言うー」

みほ「しょうがないなぁ。じゃあ屋台で何か買って半分こしよっか」

沙織「やった」

みほ「何がいいかなぁ…」

沙織「あ、人形焼きだって」

みほ「あ!見て沙織さん。ボコの形の人形焼きがある!」

沙織「じゃあこれにしよっか」



みほ「うん、美味しいね」

沙織「みぽりん、普通に食べるね。てっきり、可愛くて食べられないって言い出すものと思ったよ」

みほ「せっかく買ったんだから美味しいうちに食べないともったいないよ」

沙織「そっか」

みほ「あ、沙織さん。あんこついてるよ」

沙織「え? どこ?」アセアセ

みほ「口のところ。拭いてあげるから、じっとしてて」フキフキ

「はい、とれた」

沙織「ありがと」

後攻:西住まほ

まほ「みほ、来てたのか」

みほ「あ、お姉ちゃん。今日って何かお祭りだったっけ」

まほ「ああ、私もまだ詳しく聞いてないが大洗の会長が企画したらしいんだ」

みほ「やっぱり会長が……しかもお姉ちゃんに詳細を伝えてないんだ……」

まほ「会長が何を企んでいようと、西住流に逃げると言う選択肢はない。私がこの勝負勝つ」

みほ「勝負?」

まほ「あ、いや。なんでもない」

みほ「お姉ちゃん」

まほ「……」

みほ「黙ってたってわからないよ」

まほ「みほの友達とどっちがより母親らしい振る舞いが出来るか競ってた……」正座

みほ「なんでそんなことしたの?」

まほ「エリカとそっちの会長に唆されて……」

みほ「人のせいにしない」

まほ「勝負を挑まれて逃げるわけにはいかないと、勝負に乗りました……」

みほ「人に迷惑かけなかった?」

まほ「まだかけてない……と思う」

みほ「じゃあ、皆を呼んできて」

杏「勝者……西住ちゃん」正座

エリカ「どうしてこうなるのよ……」正座

沙織「ごめんねみぽりん」正座

まほ「すまない……」正座

みほ「勝手に人を実験体にしちゃ駄目ですよ」

沙織「やっとみぽりんのお説教終わった……」

エリカ「足痺れた……」

まほ「ちょっと隊員たちに懐かれたと調子に乗ってしまったな……」

???「まだまだ"西住ままほ"を名乗るには修行不足ね」

まほ「誰だ!?」

???「"バブみ道" の深淵を知るには、自らも"バブみ"に身を委ねなければならない」

杏「あれは!?」

沙織「知ってるの? 会長」

杏「うむ、聞いたことがある」

「あの人こそ西住流バブみ道の師範、"西住まま"その人だ」

まほ「師範! 失礼しました」

しほ「貴方に"西住まま"を受け継いだ"西住ままほ"になって貰うため、これからの訓練はより厳しくなりますよ」

まほ「はい」

しほ「では、今日は帰りましょう。修行を始めます、そのまえに、今日の晩御飯はカレーにしましょう」ザッザッ



杏「これが西住流師範……なんて甘えたくなる背中だ」

エリカ「彼女のもとで修業して、隊長はまた強くなるのね……」

杏「世にバブみを求めるものがいる限り、バブみ道に終わりはないんだね」

エリカ「こうやって親から子へ継承されていくのが本当の"バブみ"なのね」

みほ「え? なんでいい話みたいに終わってるの?」

沙織「みぽりん、深く考えたら負けだよ」




こうして第一回「大洗・黒森峰バブみ闘争」は幕を閉じた

しかしこれは、全国の学園艦へと波紋を広げる「大バブみ時代」の序章に過ぎなかった……

ーーーー続かない


バブみとは何なのか考えるほど深みにはまっていくようだ

俺はまだバブみを理解し切れていないようだ

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