提督「艦これ一直線」 (33)
【さて今日は、とある鎮守府の司令室から物語を始めよう!】
提督「わが鎮守府は多くの深海棲艦から狙われておる。実は昨晩も深海の暗殺部隊らしき奴らに狙われた」ブシュウウウ
提督「まあワシの鍛え抜かれた反射神経の前には、奴らの攻撃など無意味だったがな」ブシュウウウ
提督「ニブイ奴は気を付けろよ! 吹雪、お前なんか特にな。ガーハハハハ!!」ブッシュウウウウ
吹雪「いや……司令官のほうが鈍感なような気がするんですけど。ね、加賀さん」
加賀「頭から血が噴水みたいに出てるわね……大丈夫なの?」
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提督「心配するな、こんなもんカスリ傷だ」
提督「だが……アレが届けば、そのカスリ傷さえ負わなくなる!」
大淀「失礼します。先ほど提督宛てに荷物が届きましたが」ガチャッ
提督「おおっ、来たな! 持ってきてくれ!」
吹雪「司令官って通販がお好きですよね。今度は何を買ったんです?」
提督「くくくく……こいつはすんげえぜ! これぞ究極の護身グッズ!」
提督「『ゴールデンラグーンの天然水』だ!!」
吹雪「ゴールデンラグーン?」
加賀「そこの水を浴びた者は不死身になると言われている伝説の泉のことね」
大淀「その力を巡って争いが起こった結果、泉そのものが失われてしまったと聞いていましたが……」
提督「それがまだ僅かに残っておったというわけじゃ」
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提督「さっそく効果を試してみたいのー。というわけで演習場にレッツゴーじゃ!」
【ここがその演習場!】
提督「よしよし、艦娘は皆揃っとるな」
天龍「よっす、提督じゃねえか。何か用か?」
提督「ちょっと試したいことがあってのー。えーと、まずはビンをよく振って」シャコシャコ
提督「体中まんべんなく振りかける!」ドボボボ
天龍「いきなり何やってんだ!?」
提督「……クククク、ガーハハハハ」
提督「このみなぎる金色のパワー! 不死身ってきたでェー!!」
霞「何よあのクズ、とうとう頭がイカレちゃったの?」
加賀「実はかくかくしかじかで」
陸奥「また可笑しなことやってるわねぇ」
提督「よーし、さっそく実験だ! 誰でもいい、ワシに主砲ぶっ放してみろ!」
吹雪「ええっ!?」
大淀「いやいや、さすがに危険過ぎますよ! 本当に効果があるかも分かりませんし!」
吹雪「確かに司令官はハゲでデブでケチで陰険です! そのうえ事あるごとにセクハラしてきます!」
陸奥「資材の管理もロクに出来ないし、貴重な装備を誤廃棄するのは日常茶飯事ね」
霞「人に厄介な任務をやらせといた挙句『遂行中』にしてなかった時は殺意が湧いたわ」
天龍「けどなー、そんな提督でも俺達には、俺達には――」
艦娘s『……あれ、あんまり必要無いんじゃ……?』
天龍「必要ないっつーよりさ、ハッキリ言って邪魔じゃねーか?」
陸奥「確かに、この機会に始末できれば好都合かも……」
大淀「ですが提督がいなくなった後、誰が艦隊をまとめるんですか?」
霞「誰であっても今よりは確実に良くなるでしょ」
大淀「うーん……まあ、それもそうですね」
天龍「うっし、誰が撃つかジャンケンで決めるぜ! さすがに自分の手を汚すと寝覚め悪ィからな!」
艦娘s『おおーっ!!』
提督「つーかお前ら、さっきから全部こっちに丸聞こえなんだがオイ」
霞「陰でコソコソ言うのは嫌いなのよ!」
加賀「変な所で潔いのね……」
天龍「んで、厳正なるジャンケンの結果選ばれたのが……」
朝潮「わ、私が司令官を撃つのですか!?」
霞「マズったわね……志願制にするべきだったわ」
陸奥「大丈夫? 無理せず誰かに代わってもらってもいいのよ?」
朝潮「いえ、何であれ命令とあらばやり遂げる覚悟です! しかし司令官、やはり危険ですし止めておいた方が……」
提督「ククク……いいから撃ってこいや。さあっ!!」
朝潮「それじゃ遠慮なく殺らせてもらうわクソボケハゲのタコ助がぁーーーーー!!!!!」ドォンドォンドォン
朝潮「死ィね死ィね死ィにさらせクサレ外道がぁーーーーー!!!!!」ドォンドォンドォン
朝潮「……はっ!? 霞、いま私なにか叫んでた……?」
霞「朝潮。少し休暇を貰いましょう? きっとすぐに良くなるから」ニコッ
吹雪「す、水雷魂が過剰に発露しちゃっただけだよ! たぶん! きっと! メイビー!」
提督「クククク……いい射撃だったぞ朝潮」ムクッ
天龍「うおっ、動いた!」
提督「だが効かぬ……効かぬぞ! ゴールデンラグーンの力で不死身となったワシにはなーっ!!」ドジャーン
提督「それにしても全弾クリティカルとか殺意高すぎんか?」
朝潮「すみませんっ、つい全力以上の力を出してしまって……!」
提督「まあいい、もう一丁じゃ」
提督「おう加賀ァ!! お前たしか子飼いの航空隊を持っとったな」
加賀「あ、はい。爆戦隊ですが……」
提督「よし、そいつらにワシを攻撃させてみろや」
加賀「しかし提督にそんなこと……」
提督「ワシがいいと言ってるんだ。さあ! さあっ!!」
加賀「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!!!!」ズガガガガ
加賀「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!!!!」ズガガガガ
加賀「ボラーレ・ヴィーア(飛んでゆけ)!!!!」ズガァァン
加賀「はっ!? 無意識のうちに全力攻撃を!?」
大淀「加賀さんもけっこうストレス溜まってるんですね……」
提督「さすが一航戦の誇りよ……見事な攻撃だ。だが今のワシには通用せぬわ」ユラリ
霞「チッ、流石にしぶといわね」
加賀(ほっ……。でも少し悔しいような)
吹雪「いずれにせよテストは大成功ですね! ゴールデンラグーン凄いです!」
陸奥「そうね、これなら私たちにも欲しいぐらいだわ。まだ残ってたりしないかしら?」
提督「それだったら心配無用じゃ。ワシのポケットマネーでお前達の分も手配する予定だからな」
天龍「マジか!? 珍しく気前がいいなオイ!」
提督「まあポケットマネーと言っても、ワシのポケットに入ってる第六駆逐隊の俸給のことだがな」
大淀「それマジでやったら即刻ムショにぶち込みますんで」
提督「しかしアレだなー。せっかく不死身になったことだし、ついでに深海棲艦の拠点でも潰しとくかのー」
提督「よし、第一艦隊出撃だ! ワシ自らが陣頭指揮を執ったるでェー!!」
天龍「ちょっと待て、お前戦場まで着いてくる気か?」
吹雪「そんな……邪魔ですよ! じゃなかった危険ですよ!」
提督「やかましい、さっさと出撃の準備をせんかーい!! 夢で見るぞコラァ!!」
吹雪「ひいぃっ!?」ビクゥ
陸奥「やめなさい、その言葉は吹雪ちゃんに特効よ!」
加賀「大淀さん、私も出撃します。鎮守府の留守は貴女に任せるわ」
大淀「分かりました、お気をつけて。……加賀さんも秘書艦として大変ですね?」
加賀「仕方ないわ。これが仕事だもの」
加賀「それに、あの人は私がいないと何も出来ないでしょう? こう、放っておけないというか、高揚するというか……」
大淀「さっさと行ってこい」
大淀「ああもう、いろいろと大丈夫なんですかね……?」
乙
夢で見るぞで草
【斯くして、提督の指揮のもと出撃した第一艦隊だったのだが!】
提督「よっしゃ野郎共、進め進めェー!! エイドリアーーーーン!!!」
霞「はあ……こんなところまでノコノコ着いてくるなんて。本っ当に迷惑だわ!」
陸奥「そうぼやかないの。デイリー任務がてら、適当な輸送船団でも潰せば満足するでしょ」
提督「ちなみに、この出撃でMVP取った者には特別ボーナスを出すぞォ! それも金一封をな!」
霞「はあ!? 何それ、お金で釣ろうっていうの!? 俄然ヤル気が出てきたわ!」
陸奥「あらあら、これは殲滅コース確定かしら♪」
天龍「オイ今の誰か録音したか!? また後で『記憶にない』とか言い出すぞあの鳥ハゲ頭!」
加賀「録りました」スッ
天龍「有能!!」
提督「You know!! なーんつってな、ガハハハハ!!」
提督「あ、今のギャグ分かんなかった? 『有能』と『You know』をかけて」
吹雪「五月蠅いですよ」
【さあ、いよいよ戦いだ!】
吹雪「十点! 十点! 五十点! にじゅって……チッ、二十点!!」ドゴォン
天龍「オラオラァ! 絶・天龍抜刀牙!!」ズバァン
霞「霞のつぶて!(闇の土鬼) 霞の小太刀!(血笑鴉)」ズガァン
陸奥「我が魂なるスパークよ、全ての力を解き放て! 陸奥にナル光線キャノン!!!!」ドワオッ
提督「うわー凄いな。圧倒的じゃないか我が艦隊は」
提督「優れた将帥は率いる軍の力を何倍にも引き出すと言われておる。やっぱワシって提督として天性のモノを持っとるんじゃなー」
加賀「全て提督(が握っている金)の力の賜物かと」
吹雪「もうすぐこの海域の最深部……! あ、あれは!」
離島棲姫「フフ……ココマデ……。クルトワ……ネ……」
吹雪「いたいた、離島棲姫です! アレは大回転スペシャルボーナス五万点ですよ!」
霞「つまりあのクズを屑鉄にすればMVPってワケね! もちろん私が殺るったら!」
天龍「首だ、首置いてけ! 金一封だろう!? なあ金一封だろお前!!」
離島棲姫「ナンダコイツラ!?」ビクッ
提督「待てェい!!」
提督「見ての通り、奴は強力な深海棲艦じゃ。道中で消耗したお前達には荷が重かろう」
提督「ここはワシに任せておけ。可愛い部下達を無茶はさせんよ」
天龍「提督……」
加賀「つまり急に金一封が惜しくなったから自分でMVPを取るつもりなんですね」
提督「そうとも言うな」
天龍「チクショウ、知ってたけど! 知ってたけど!!」
吹雪「そもそもこの出撃じたい司令官のワガママですしね!」
陸奥「不死身になったからって調子に乗ってるわねあのハゲ!」
提督「さあボス同士の対決――お前が死ぬか、ワシが死ぬかだ離島棲姫! まあワシ不死身ですけど!!」
離島棲姫(ナンダコノ迫力ハ!? タダノ人間ノクセニ……私ガ恐ロシク無イノカ!?)
提督「くくく、背中が煤けてるぜ嬢ちゃん」ジリジリ
離島棲姫(圧倒サレテイル……コノ私ガ!? 一体何者ダ、コイツ!?)
提督「そんなザマでワシを殺ろうなぞ百年早いわ。さあ撃て! 撃ってこんか――――い!!」
離島棲姫「クッ、クルナアアアアアアアアアアアアアアア!!」ドンッ
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大淀「あら? これってゴールデンラグーンの天然水の説明書?」ペラッ
大淀「えーっと……『ゴールデンラグーンの効果は一定時間が経過すると消えてしまいます』」
大淀「『そのため、こまめに新しい天然水を浴びるようにしてください。事故っても責任は持ちません』」
大淀「……あっ(察し)」
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突 然 の 死
残当
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吹雪「し、司令官? ……しれいかあああああああああああんッッ!!!!」
…………
……
【再び、鎮守府の司令室!】
提督「いやーあの時はもうダメかと思ったなー」ムシャムシャ
吹雪「危機一髪でしたねー」
大淀「なんで普通に生きてるんですか!?」
吹雪「実はあの時、近くにお医者さんが漂流してるのを見つけまして。その人に治療してもらったんです」
提督「黒いコートを着て顔に傷のある先生なんだが、素晴らしい技術の持ち主だったよ。きっと有名なお医者さんなんじゃろうなー」
??『それを聞きたかった』
大淀「イヤその人ってブ○ックジャッ○ですよね!?」
加賀「ちなみに治療の対価は天龍さんの刀だったわ」
大淀「完全にとばっちり!!!」
提督「それにしてもあの水はとんだ欠陥品じゃった。新しい護身グッズを探さんとな」ムシャムシャ
吹雪「ところで司令官、さっきから何を食べてるんですか?」
提督「饅頭じゃよ。ワシの机の上に置いてあったから、たぶんワシへの差し入れじゃろう」
加賀「ちなみに私の分は」
提督「無いね」
加賀「頭にきました」
間宮「提督、ちょっと失礼しますね」ガチャッ
提督「おお間宮さん。一体どうしたんじゃ?」
間宮「実は、手に持っていたものを何処かにポンと置いちゃいまして」
間宮「たぶんこの辺に置いたと思うんですが……。提督はご存知ないですか?」
間宮「あの超小型爆弾入り毒まんじゅう」
提督「んがっ! んがっくっく!?」
提督「」バタッ
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―完―
元ネタはアンサイクロペディアに「存在そのものが冗談としか思えないため、あんまり脚色することができなかった」と言わしめたギャグ漫画『極道一直線』です。その割に微妙なSSになってしまいましたが……。口直しに原作を読んで笑ってください。
読んでいただいてありがとうございました。
※参考画像。真ん中の厳ついおっさんがこのSSの提督です
乙です。
この作品は初めて知ったが、一頁見て行人さんの作品思い出す辺り秀逸だとオモワレル。
懐かしいな!
朝潮の流れ大好きだわ
もう一度読みたくなってきたけど電子版とかは配信されてないのね 残念
東大一直線てこんな漫画なんかと思って読んでたら違ってた
乙
乙、闇の土鬼とか知ってる人初めて見た
乙
天龍の刀ってウン千万円以上の価値があったのか
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