~1年前~
女「ねえきみ」トントン
男「え?」
女「ほら、お財布落としたよ」
男「あ、あり……ありが……」ドキドキ
女「今度からは気をつけないとダメだよ」
女「じゃあね」ニコッ
男「はぁ……」
男(緊張して満足にお礼も言えなかった)
男(でも優しく笑ってくれた)
これが僕の初恋だった
名前も知らない女の子。もう二度と会うことはないと思っていた
昨日までは
~~~~~
男「ずっと前から好きでした!」
女「いいよ」
男「え?」
女「付き合っちゃおうか」
男「ええええええええええええっ!!」
女「イヤだった?」
男「イ、イヤなんかじゃ……イヤなんかじゃないです!」
女「じゃあ決まり」
男(付き合えるなんて思ってなかった)
男(想いを伝えるだけでよかった。それ以上は過ぎた望みだと思ってた)
男「どうして?」
女「理由? そうだなー。マジメそうだし」
女「笑顔が素敵だったから」ニコッ
彼女は1年前と同じように笑っていた
口元を覆っているマスクと服の色以外はあの日からなにも変わってなかった
女「今度デートしようよ」
男(デート。いかにも恋人って感じだなぁ)
男「///」ポワワワー
女「男くん?」
男「な、なんでもないです。女さんは行きたいところありますか?」
女「わたしは、男くんの行きたいところがいいなー」
男(か、かわいい。幸せだ。僕は世界で一番幸せだ)
男(よしっ、ここは彼氏として女さんにいいところを見せないと)
男「まかせてくださいっ!」ドンッ!
女「うん、楽しみにしてるね」
ふむ
マスクが変わってない。あ…(察し
怪談の予感
ほう。期待
>>7
マスクと服の色"以外は"変わっていなかった
マスク取ったらブサイk…いや何でもない
男「オススメのデートスポットっと」カチカチッ
男(どれにしようか迷うなぁ)
~次の日~
男「おはよー」
男友「珍しいな。男が遅刻ギリギリなんて」
男「夜更かししちゃって」
男友「ふーん、なんかあったのか?」
男「うん、実は……」
・・・・
男友「隅におけねーな。このこのー!」グリグリ
男「そ、そんなに意外かな」
男友「意外だよびっくりだよ。草食系だと思ってたのに俺より先に彼女作るなんて」
男友「応援するぜがんばれよ」
男「ありがとう」
男友「つーわけでちょっとしたプレゼントだ。ほれ」
男「映画のチケット!? 悪いよこんな」
男友「いいっていいって。貰いものだから気にスンナ」
男友「俺には相手もいないしな」
男「誘ってくれればいっしょに行ったのに」
男友「あのなぁ……恋愛映画だぞ」
~デート当日~
男(ちょっとはやく来すぎちゃったかな?)
女「男くん」
男「あっ、女さん」
女「ごめん、待ったよね」
男「全然。僕も今着いたばっかりで」
女「くすっ」
男「?」
女「いや、なんか定番だなぁって。このやりとり」
男「みんな考えることはいっしょなんですね」
女「だね」
男・女「あはは」
男(あれ、けっこういい雰囲気?)
女「あ、そうそう男くん」
女「チャック開いてるよ」
男「え……あ”!?」
女「行こっか。しっかりリードしてね」
男「はい///」ジーッ
男(つ、次からは気をつけないと)
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