冬馬「……笑ってはいけないジュピター?」 (249)


 ――某月某日 315プロ小会議室

冬馬「って……あれだよな。笑ったらケツしばかれるあの」

翔太「アレだよね」

北斗「アレだね」

山村「はい。今から24時間、ジュピターの皆さんには笑ったら罰としてお尻をバットで叩かれる生活を送っていただくことになっています」

山村賢
http://imepic.jp/20160715/693740
315プロの事務員。要するにMマスにおけるピヨちゃんやちひろと同じポジのキャラ
基本的にポンコツ。実は学生バイトで趣味は釣り



冬馬「え、ちょっと待ってくれよ。俺は今日は今度出る歌番組の打ち合わせって聞いてたんスけど」

山村「そんなものはないです」

冬馬「!?」

北斗「……あー。見事に騙されたね」

翔太「なるほど、そういうことかー。あれ、ってことはもしかしてこれもうカメラ回ってるの?」キョロキョロ

山村「いえ、そんなものはありません」

冬馬「……ん?」

山村「番組用の撮影じゃなくただのウチの事務所内の個人的な企画なので。
   テレビで放送とか一切されないです。ちなみにギャラも出ません」

冬馬「それただの嫌がらせじゃねーか!!」

翔太「んくっ…ww」

 デデーン 翔太アウトー


翔太「……うぇっ!?」


 バターンッ! ズダダダダダッ!

 ―――その時、目の前の扉が勢いよく叩き開けられ全身タイツの屈強な男達が複数人、ジュピターの3人がいる部屋の中に押し寄せたッ!!

翔太「えっ、ちょっ、えっ? な、なに、待っ……!?」

タイツ男「…………」ガシッ!

 彼らは戸惑う翔太の肩をがっしり捕まえると……次の瞬間、一切無駄のない動きで容赦なくその手に握るバットを大きく振りかぶる――ッ!!

 バチーンッ!!


翔太「あ痛ぁああ゛あああああッッッッ!!!???」


冬馬「~~~~ッッ…!」

北斗「うわっ……」


 そして自らの仕事を終え満足げな屈強な男達は静かに、かつ迅速に一切無駄のない動きで再び扉から部屋を出て行った……。

翔太「なんっ、えっ、はっ!? え、なんなの、まさかもう始まってたの!?
   スタートの合図とかあってそれからじゃないの!?」

山村「だから“今から”って言ったじゃないですか。当然あの時点でもう始まってますよ」

翔太「なにそれ……っていうか痛い! 本気で痛い! もっとこう、実はあんまり痛くないソフトな道具とか使うもんなんじゃないの普通!?
   あと今僕のケツ叩いたの明らかに誠司さんと道流さんだったよね!?」

冬馬「ああ……マスクで顔は隠れてたがあの体格は間違えようがない」

北斗「315プロ屈指のガチな人選じゃないか……」


信玄誠司
http://imepic.jp/20160715/693731
みんな大好き信玄ニキ。元自衛官のガチムチ肉体派アイドル。姪っ子のあまね(5歳)を溺愛している
元公務員3人組アイドルユニットFRAMEに所属。っょぃ

円城寺道流
http://imepic.jp/20160715/693720
元柔道金メダリストのガチムチ肉体派ラーメン屋アイドル。面倒見がよく家事全般が得意。趣味は資格取得
武闘派3人組アイドルユニットTHE虎牙道に所属。っょぃ



木星「…………………」

木星(この企画……遊びじゃないッッ!!!!)ゾクッ…



山村「えー、というわけで順序が逆になってしまいましたがこれから詳しい説明をしていきますね」

山村「まずこの企画が持ち上がった理由としては、最近のあなた達が正直たるんでいると。
   ここらで活を入れる必要があるなと、そういうことで立案されました」

翔太「……いや、たるんでないし」

北斗「俺は真面目に仕事してるつもりだったけど……」

冬馬「そうっスよ、俺達はいつでも全力でやってるっつーの!!」

山村「本当にそうですか? 961プロ時代にちょっとキャーキャー言われてたからって実は最近調子に乗ってませんか?」

冬馬「なっ!?」

翔太「え……」

北斗「……」

山村「315プロの他のアイドル達からさすがジュピター、さすジュピさすジュピと持ち上げられて……。
   正直なところ315プロ内で先輩としての立ち位置に甘んじ
   天狗になってる部分がまったくないと本当に皆さんは言い切れるんですか?」

冬馬「……そんなこと…ッ!」

山村「まあぶっちゃけ実際はただの社長とプロデューサーさんの気まぐれな思いつきなんですけど」

冬馬「おい!!」

山村「とにかくそんな感じで……えー、なんだっけ。そうそう、ですからなんかまあ、はい。
   そういう風ななんかアレでジュピターの3人にはこのまま1日しゅご……過ごしていただきます」チラチラッ

翔太「いやもうしょっぱなからグダグダじゃん……思いっきり噛んでるし」

北斗「さっきからチラッチラ手元のカンペ見てるしね」


山村「ではサクサク行きたいんでここで皆さんにはこちらで用意した衣装に着替えていただきます。どうぞ」ポスッ

翔太「……あー。やっぱここら辺は本家と同じ感じなんだね」ガサガサッ

冬馬「なんかもう既に嫌な予感しかしねえ……」ガサガサッ

北斗「まあ俺はこれでも一応モデル出身だからね。どんな服でも自分のモノにする自信はあるよ。
   えっと、そこにある試着室で着替えればいいのかな?」ガタッ スタスタ…

翔太「……あ、よかった。僕のは普通にいつも使ってるレッスン用のジャージだ。冬馬君はどうだった?」

冬馬「……」

翔太「? 冬馬君?」

冬馬「いや……俺のもジャージだったけど」

翔太「なんだ、よかったじゃん。じゃあオチ担当は北斗君かな」

冬馬「ただし両乳首の部分に星型の穴が開いてる」

 デデーン 翔太アウトー


翔太「冬馬君てめえこのやろぉぉおおおおおおおッッ!!!!!」

 バチーンッ!

翔太「ふぎゃっ!!??」


冬馬「これは俺のせいじゃないだろ……むしろ一番の被害者だ」

翔太「いやもうなんなの? 冬馬君は僕に何か恨みでもあるの?」

冬馬「割とあるわ。トイレ行ってる間に俺のクリームソーダからさくらんぼ抜き取って代わりに梅干し乗っけてきたこととか」

翔太「ごめん」

冬馬「っつかこれ……マジで着ろと?」

山村「もちろん」

翔太「やめてよ、これはもはや視覚のテロだよ……」

冬馬「だよな。せめてこれが星型じゃなくてハート型だったら楽勝で着こなせたんだが」

 デデーン 翔太アウトー


翔太「……冬馬このやろうぶっころすッ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「ほげえっ!!??」

冬馬「ざまあ」


翔太「ひっく、痛いよぅ……痛いよぅ……」シクシク…

冬馬「……流石にこれ以上は良心が痛むな。なあ山村さん、ほんとにこれ以外に俺の服ないんスか?」

山村「うーん、しょうがないですねえ。なら妥協してこっちで」ポスッ

冬馬「……いやこれ765の連中の痛パーカーじゃねえか」

※参考画像
http://imepic.jp/20160716/433140


翔太「……もう穴さえ開いてなかったらなんでもいいよ。うん、似合う似合う。冬馬君なら楽勝で着こなせる」

冬馬「ええ……」


※着替えました

冬馬(痛パーカー装備)「……」

翔太(ジャージ装備)「……」

山村「……」

冬馬「……」

翔太「……」

山村「……」

冬馬「……」

翔太「……」

山村「……」

冬馬「……」


翔太「……なんかさっきから冬馬君のパーカーの春香さんと目が合うんだけど」

冬馬「ふひぇっ…www」

 デデーン 冬馬アウトー

冬馬「あああああ、くっそ!!」


 バチーンッ!

冬馬「あべしっっ!!!!」

翔太「ざまあ」


冬馬「……っつか忘れてたけど北斗の奴はたかが着替えにどんだけ時間かかってんだよ」

翔太「んー、まあそろそろ出てくるんじゃない?」

北斗「やあ、お待たせ」カチャッ

翔太「あ、来た来t……」クルッ


北斗「チャオ☆」

※画像はあくまでイメージです
http://imepic.jp/20160716/450780

 デデーン 冬馬、翔太、アウトー


冬馬「ちくしょう、こんな古典的なネタでぇぇえええええっっ!!!!!」

 バチーンッ!

翔太「やめてよ北斗君は大体何やっても面白いんだよぉおおおおああああっっ!!???」

 バチーンッ!


北斗(白鳥)「冬馬もなかなか攻めた恰好してるね」

冬馬「いや、お前の恰好に比べたら足下にも及ばねえわ……」

翔太「え、まさかほんとにこれでいくの? この後24時間も僕は北斗君のこの姿を見続けなくちゃならないの?」

山村「皆さんとってもお似合いですよ!」

冬馬「うるせえよ」

山村「それでは全員着替えたところでぼくはこの辺で一度失礼しますね。
   次の指示があるまで皆さんはここで待機していて下さい。頑張って下さいね!」

 スタスタスタ… バタンッ


冬馬(痛パーカー)「……」

翔太(ジャージ)「……」

北斗(白鳥)「……」


冬馬「なんか普通に出てったし……」

翔太「ねえ、ひとつ確認しておきたいんだけど僕たちってアイドルだよね? お笑い芸人じゃないよね?」

北斗「俺はそのつもりだったけど正直不安になってきたよ」

冬馬「やめろよ……大体個人的な企画ってことは仕掛け人は誰がやるんだよこれ」

北斗「そこはやっぱり賢や執行人と同じでウチの事務所の人達なんじゃない?」

翔太「もし黒ちゃん出てきたらどうしよう……」

冬馬「オッサン来たらその時点で笑う自信あるわ俺」

北斗「やめよう冬馬。そういうのはフラg」

 バターンッ!







雪歩「あなたの遺伝子が呼んでる……!」キリッ


 デデーン 全員アウトー


 バタンッ! ズダダダダダッ!

冬馬「こんなんアリかよクソがああああああああッッ!!!!!」

 バチーンッ!

翔太「トップバッター雪歩さんとか予想つくわけないdんぎゃあああああああッッ!!!!!」

 バチーンッ!

北斗「765プロのエンジェルちゃんに会えたのは嬉しいけどどうせならもっと運命的なぁがあああああああッッ!!!!!」

 バチーンッ!


雪歩「よ、よかった……滑らなかった……」ホッ

冬馬「いや、よくねえから。こっちは全然よくねえんだよ」

雪歩「ご、ごめんなさいぃぃ……!」ビクビクッ

冬馬「あ、悪ぃ。別にお前を責めてるわけじゃねえんだけどよ。
   というかなんでそこは我那覇じゃねえんだよ。まああいつだったら多分笑ってねえけど」

千早「……」

冬馬「って、うおっ!?」ビクッ

千早「……」

冬馬「なんだ、如月もいたのかよ……」

千早「……」ジッ…

冬馬「……? なんだよ?」

千早「……」ジーッ

冬馬「……」

千早「……」ジーーッ…

冬馬「……だから何なんd」

千早「チッチチッチ、ちーっぱーい、無いん無いーん♪」ボソッ

冬馬「ッ!?」

翔太「ッ!?」

北斗「ッ!?」


千早「チッチチッチ~、ちーっぱーい、無いん無い~ん♪」フリフリ…

冬馬「……ぐっ…!」プルプルッ…

翔太「っ!…っ!」プルプルッ…

北斗「……!」プルプルッ…

千早「もげ! もげもげ! 乳をもg……あっ、そもそももぐほどなかったわ」

木星「グフッ…」

 デデーン 全員アウトー


冬馬「……ふざけんなああああああああ!!!! こんなもん卑怯だろうがあああああ!!!! 山村ァ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「出オチにも程があるでしょ勘弁してよもぉぉおおおおおお!!!!!」

 バチーンッ!

北斗「女性の身体的特徴を笑うなんて……俺はなんて最低な男なんdあ゛あ゛ああああ!!!!」

 バチーンッ!

千早「……」

冬馬「痛ってぇ……くっそ。っつかこれまさかお前らの方もノーギャラなのか!?」

雪歩「そうですぅ」

冬馬「何やってんだよ!? マジで断れよ、他事務所のためにこんなことまでやる必要ねえから!
   真面目か! 身体張るとこ間違え過ぎだお前ら!!」

千早「私は常に胸を張って生きていたいから。まあ張るほどないんだけれど」

翔太「おっふwwwww」

北斗「コポォwwwww」

 デデーン 北斗、翔太、アウトー


翔太・北斗「あ゛あ゛あああ゛あ゛ああああああ!!!!!」


 バチーンッ!


千早「ペッチャパイ♪ この小さな胸で♪ ペッチャパイ♪ 夢が育ってる♪ 如月ちっぱいやです」

冬馬「いやもう自虐も大概にしとけよ!? いいからそういうの!
   もっと自分を大事にしろ! 逆にこっちの胸が抉られるわ!!」

翔太「ぶふっ! ちょ、冬馬君そういう上手いこと言うのやめ……」

 デデーン 翔太アウトー

翔太「……あっ!」

 バチーンッ!

翔太「ん゛に゛ゃあああああああ!!!!!」


千早「やった、ウケた……」グッ!

翔太「しかもむしろ本人は結構嬉しそうだった!」

雪歩「千早ちゃんお笑い好きだから……」

北斗「そんなところも素敵だよ千早ちゃん……」

冬馬「頼むからもうお前ら帰れよマジで」


千早「それじゃあ帰る前に最後に記念写真を撮りたいんだけれど。
   ポラロイドだからすぐに出てくるわ」

冬馬「はあ……? いや、なんの記念だよ。何ひとつ思い出に残したいものがねえんだが」

千早「実は私、最近カメラに凝っていて……」

雪歩「千早ちゃんの趣味の充実のためにも協力していただけると嬉しいですぅ」

北斗「なるほど、そういうことなら喜んでお受けするよ。可愛いレディのお願いは断れないしね」

翔太「……この北斗君と冬馬君と並んで写真撮りたくないんだけど。まあいいけどさ」

千早「ありがとう。じゃあ萩原さんも一緒に並んでもらえるかしら?」

雪歩「えっ、私も!? あ、あうう……ごめんね、男の人の隣はちょっと……」

千早「大丈夫よ。これはもはや男とかじゃなく人間とは何か別の種類の生き物だと思えばいいわ」

冬馬「……悔しいがまったく言い返せねえ」

雪歩「そういうことなら……」

冬馬「いや、お前も納得すんなよ」

千早「はい、じゃあそこに……ええ、窓辺のところに全員一列で立って……」

千早「……んー、ちょっと違うわね。光の入射角が……ピントの調整が……」

千早「何かしら、何かが違う……気分が乗らない……写真の神が私にインスピレーションを与えてくれない……?」ブツブツ…

冬馬「……この素人のくせにやたらプロ気取ってる感じも若干イラつくんだが」

翔太「いちいちツッコんでたらキリがないよ冬馬君。相手の罠に自ら飛び込まないでよ」


千早「ん……オーケー、イケるわ。それじゃあ撮るわね。みんな笑ってくれる?」

雪歩「は、はいっ」

冬馬「誰が笑うか」

翔太「変態みたいな恰好して真顔で写る男3人っていうのもシュールな図だけどね」

北斗「……これでいいかな? ハハッ☆」ニコッ

 デデーン 北斗アウトー

冬馬「……」

翔太「……」

 バチーンッ!

北斗「ふん゛もっふ!!!!」


冬馬「北斗……」

翔太「北斗君……」

北斗「……エンジェルちゃんの頼みならば例え叩かれても悔いはないよ」フッ…

冬馬「……お前がナンバーワンだよ」

翔太「っていうかいいからさっさと撮って終わらせようよ……」

千早「それじゃ仕切り直して今度こそ撮るわね。はい、チーズ」

 パシャッ!



北斗「……ちゃんと撮れたかな?」

千早「ええ。出てきたわ」ピラッ

冬馬「改めて酷ぇ恰好だな……あ? ちょっと待て。
   これなんか背景に明らかにUFOっぽいもんが写ってんだけど」

北斗「ああ……そういえば確か雪歩ちゃんはUFOアイドルとか言われてるんだっけ?」

翔太「え、あれってガチだったの? え? なに、本物?」

雪歩「あ、それは四条さんのご親族の方です」

 デデーン 全員アウトー


冬馬「……やめろよこれだから四条の奴は苦手なんだよぉぉおおおおおおッッ!!!!!」

 バチーンッ!

翔太「もうホント家帰らせてよぉぉおおお!!! っ痛ぁあああああッッ!!!??」

 バチーンッ!

北斗「そんな神秘的なところも魅力的だよ貴音ちゃんんん゛んん゛んんんんッッ!!!??」

 バチーンッ!


※千早と雪歩は帰りました

北斗「ふぅ……ひとまずのところは落ち着いたね」

翔太「そうだね」

北斗「しかしなんというか……千早ちゃんに大分持っていかれたよね」

翔太「うん……」

冬馬「……あっ!」

北斗「ん?」

翔太「どうしたの冬馬君」

冬馬「やべえ、今の北斗の発言で『まあ胸の脂肪は最初から全部持っていかれてるんだけれどね』っていう如月の声が脳内で再生された」

翔太「フヒュッ…」

 デデーン 翔太アウトー

翔太「ちょっ、もぉぉぉおおおおおおお!!!!!」

 バチーンッ!

翔太「ぎに゛ゃあ゛あああああああ!!!??」


冬馬「……すまん。悪気はなかった」

北斗「翔太は中学生だからね。この手のネタには弱いよね、しょうがないね」

翔太「ぐすっ、痛い……もぅまぢムリ。。」ヒリヒリ…

冬馬「……翔太のためにもとりあえず如月の話題は今から一切禁止ってことにするか。
   っつかこれやっぱ収録じゃなくて正解だったな。
   仮に放送されてたら絶対あいつらのファンから剃刀レター届くわ」

北斗「そうだね」

翔太「最初からそうしてよ……そもそも男子中学生のケツがシバかれるって絵面的にかなりギリギリだよ?」

北斗「まあまあ、落ち着いて翔太」

冬馬「……」





冬馬「中学生は山へケツをシバかれに、四条は川へケツを洗濯に行きました」ボソッ

翔太「…………」

北斗「…………」


冬馬「四条が川で巨大なケツを洗濯していると川上から巨大なケツがどんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきます」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「“なんと面妖な巨大おけつでしょう!”
   四条はその巨大なケツを巨大なケツで支えながら家まで持ち帰ることにしました」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「そしてその巨大なケツに一気に包丁を入れると………なんと中から玉のような巨大なケツが!!」

翔太・北斗「んふっ…www」

 デデーン 北斗、翔太、アウトー

翔太「あああああもうっ!! 冬馬君ほんと後で覚えてでぇぇえ゛えええええっ!!!??」

 バチーンッ!

北斗「待ってちょっとこれは卑怯……う゛ぁいっっ!!!!!」

 バチーンッ!


冬馬「っしゃ!」グッ!



冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

※口を開くと笑ってしまうので沈黙が続いています


翔太「……ていうかさ」

北斗「ん?」

翔太「これってやっぱり一番叩かれた回数の多い人が罰ゲームとかあるの?」

冬馬「さあ……」

北斗「今のところ一番叩かれてるのは翔太かな?」

翔太「えー、ちょっとほんと勘弁してよ。この状況が既に罰ゲームみたいなもんなのに」

北斗「そうだなあ」





翔太「―――このままじゃ僕のお尻に穴が開いちゃうよ」

北斗「ッ!?」ピクッ…

冬馬「まあ穴は既に開いてるんだけどな」

翔太「あ、そうだった」

北斗「っっ!?」ピクピクッ…

翔太「はあ……それにしても叩かれ過ぎてなんか穴の入り口のところが痒い」

冬馬「まあそこは入り口じゃなくて出口なんだけどな」

北斗「っっ…!!」プルプルッ…

翔太「ねえ、どうしよう冬馬君。このままもうひとつ穴開いて穴が2つになっちゃったら」

冬馬「なんと奇遇な!!」

北斗「ぐほぁっwwwww」

 デデーン 北斗アウトー


北斗「ぐああああああああッッッッ!!!!」

 バチーンッ!





冬馬・翔太「はい、たーっち。いぇい」パンッ

北斗「………やられたよ。いい連携プレーだった、掛け値なしに」

イメピクだと一月で画像が見れなくなるからな

白鳥の首そこにいくんだwwwwww
765の痛ジャージもなかなかキツいな


 コンコンッ

冬馬「ん?」

北斗「ノックの音?」

 ガチャッ!

涼「し、失礼しまーす……」ヒョコッ

翔太「あ、涼さんだ」

冬馬「今度はお前か……」

秋月涼
http://imepic.jp/20160717/125100
元女装アイドル。現在は女装をやめ、かっこいいアイドルを目指してジュピターと同じ315プロに所属
兜大吾、九十九一希の2人とともにF-LAGSという3人組ユニットを組んでいる


涼「……」テクテク

木星「……」

涼「……」ピタッ

木星「……」

涼「……」スゥーッ

木星「……?」





涼「―――秋月涼の!! 自虐一発ギャグ!! “落とし物”」

木星「……」


涼「……あれ?」キョロキョロ

涼「おかしいなあ……うーん、どうしよう……あれー?」

木星「……」

涼「見つからない……どこに行っちゃったんだろう?」

涼「うーん、うーん……いくら探してもないなあ。
  はあ……やっぱりどこかに落としてきちゃったのかな?」

木星「……」

涼「どこに落としてきちゃったんだろう……?」








涼「僕のおち○ち○」


 デデーン 全員アウトー


冬馬「ああ、分かってた! 分かってたよ!
   最初からなんとなくオチは分かってたのに……ッ! アッ――――!!!!」

 バチーンッ!

翔太「あのさぁ、だから僕ほんとこういう系弱いんだってぇええ!! アッ――――!!!!」

 バチーンッ!

北斗「ちゃおおおおおおっっ☆ アッ――――!!!!」

 バチーンッ!


涼「あああああ、恥ずかしい……」カァ~ッ

冬馬「ならなんでやったんだよ……」

翔太「まあ少なくとも僕の中の涼さんの好感度は上がったけどさ……」

北斗「あのネタをやる度胸があるって意味では漢らしかったね」

涼「えっ、ほ、ほんとですか!? わあ、エヘヘ……やったあっ!」ピョンッ

冬馬「悪い。やっぱりどっちかっつーと可愛い」

翔太「うん」

北斗「とても女の子らしいね」

涼「ぎゃおおおおおおおおん!!??」



冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

※涼ちんも帰りました


冬馬「……ハァ。なんかもう既に大分体力と精神力がやべぇんだけど」グッタリ…

北斗「同じく……」グッタリ…

翔太「スタミナお化けの冬馬君ですらやばいんだからこっちはもっとやばいよ……」グッタリ…

冬馬「まったく、このままじゃマジでケツが四条並みに腫れ上がっ…」

翔太「冬馬君。黙れ」ギロッ

冬馬「はい」


 ガチャッ!

山村「皆さんお疲れ様でーす! 調子の方はどうですか?」ニコニコ

冬馬「見ての通り最悪だよ」チッ

翔太「とりあえずこのふざけた企画が終わったら速攻で賢君と社長とプロデューサーさんに
   思いっきり肩パンしようと考えてるくらいにはキレてるよ僕は」

北斗「プロデューサーだけはやめようよ翔太」

山村「うんうん! いい感じに楽しんで下さってるようですね!」

冬馬「あんたの耳は腐ってんのか?」

山村「それでは次に皆さんには場所を移動していただきます。
   さあ、早く立ってぼくの後に付いて来て下さい。ウェイクアップ、ボーイズ」チョイチョイッ

冬馬「ああもうウゼェ……」

翔太「移動? どこに?」

山村「それは教えられません。着いてからのお楽しみです」

北斗「あ、これ確実にヤバいルートだ」

冬馬「切実に行きたくねえ……」

賢ァ!ってバイトだったのか…芸能事務所なのに…

なんでR板なんだ…?

ケツから小麦粉噴射してくる奴とかが出るからじゃね?


 ――廊下

山村「皆さん遅れずに付いて来て下さいね~」テクテク

冬馬「……」テクテク

翔太「……」テクテク

北斗「……」ユッサユッサ

山村「~~♪」テクテク

冬馬「……」テクテク

翔太「……」テクテク

北斗「……」ユッサユッサ


冬馬「……なあ。さっきから歩く度に北斗の頭の白鳥が揺れて余計アレな感じになるんだけど」ヒソヒソ…

翔太「やめて。冬馬君やめて。なるべく視界に入れないように気を付けてるんだからやめて」ヒソヒソ…

北斗「……」



北斗(白鳥)「……」クイクイッ

冬馬・翔太「!?」

北斗(白鳥)「……」クイックイッ

冬馬(こ、これはっ……!)

翔太(くっ……!)

北斗(白鳥)「……」フリフリッ

冬馬・翔太「~~~~っ…!」

北斗(白鳥)「……」


北斗(白鳥)「………ふー……。ふんっ…!」バッ

 スタタタタンッ! スタタタタンッ!

冬馬・翔太「っっっ!?」ビクッ



冬馬「こ、こいつ……いきなり反復横跳びを……っ!? まるで意味が分からねえ!!
   しかもかなりもたついてやがる!!」

翔太「北斗君正直あんまりダンスは得意じゃないから……ッ!」

北斗(白鳥)「……」

 スタタンッ! スタタタンッ! スタタタタタッ…タンッ!

冬馬「ぐ、ぐぅ……っ!」ギリギリ…

翔太「っふ……うぅ…!」ギリギリ…

北斗(白鳥)「……」

 タタンッ! タッタタタンッ…!

北斗(白鳥)「……」

 タンッ! タタンッ…

冬馬・翔太「……っ」

北斗(白鳥)「……」

 ピタッ…


北斗「……」

冬馬「……」

翔太「……」


 スタタタタタタッ!! シュタタタタタタッ!!

冬馬「っぐぬ……!」プルプル…

翔太「緩急付けるのやめて……お願いだから……」プルプル…

北斗「はあっ…! はあっ…!」ゼェハァ

冬馬「おまけに息切れしてるし……」

 タンッ! タタンッ…!

北斗「はあはあはあはあ……」ゼェゼェゼェゼェ

翔太「……」

 ピタッ!










北斗(白鳥)「大好きハニー♪ いちごみたいにー♪」

 デデーン 冬馬、翔太、アウトー


翔太「もう嫌だ、もうヤダ、もうやだ……! んぎぃっ!!!!」

 バチーンッ!

冬馬「お前やっぱ絶対芸人の方が向いてるだろ!! はぐぁっ!!!!」

 バチーンッ!


北斗「純粋なの ずっと見てて絶対よ♪」

翔太「やめて。続きまで歌わないで。やめて」

北斗「いますぐなの! もう待てない! 約束したよねキスをちょうだい♪」

冬馬「おい、やめろ。やめ……」

北斗「ねぇどうして? 少し弱気ね 言い訳はらしくないわ
二人きり逃避行しよう♪」

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「………フンフンフン~♪ 無人島バカンス簡単にできちゃうの~♪」

 デデーン 冬馬アウトー

冬馬「うろ覚えじゃねーか!! ぐおっ!?」

 バチーンッ!

北斗「ごめん、今一瞬ド忘れしちゃって」


山村「もう、3人ともさっきから何をふざけてるんですか。早く来て下さいよ~」

冬馬「……誰かを本気でぶん殴りたくなったのは黒井のオッサン以来だ」ビキビキッ

翔太「同意するよ」

北斗「……ん?」

冬馬「あん?」

北斗「いや……ねえ、なんかそこの曲がり角に誰か……」

翔太「え?」チラッ



アスラン「……」テクテク…

アスラン=ベルゼビュートⅡ世(26歳)
http://imepic.jp/20160717/107310
厨二シェフ(26歳)


 デデーン 全員アウトー


冬馬「ちっくしょう、この人の存在を完全に忘れてた……! ただ普通に歩いてきただけなのに……!」

翔太「ほんとやめようよ、存在そのものが出オチみたいな人なんだからさあ……」

北斗「これで二十代後半だからね。すごいよね。いろんな意味で」

 バチーンッ!

木星「アオォッッ!!」

アスラン「アーッハッハッハッ! 我が主の命を受け! サタンの忠実なるシモベたるこのアスラン=BBⅡ世が地獄の門前へ舞い降りた!!」

アスラン「遠き星ユピテルより白き民に希望を与えんが為、不遜にも蒼き地上の星に降り立った使者達へ直々に闇の試練を授けよう!!
     見事我が試練を乗り越えた者には褒美として我が秘伝の糧、暗黒パ」

山村「あれ、アスランさん。こんなところで何やってるんですか?」

アスラン「スタ……えっ?」

山村「え?」

冬馬「……ん?」

北斗「……?」

翔太「???」


アスラン「え?」

山村「え?」

アスラン「え……いや、あの……だから笑ってはいけないという企画で……ジュピターの皆さんを笑わせるようにって……その」

山村「え?」

アスラン「え?」

山村「すいません、アスランさんには頼んでないはずなんですけど」

アスラン「」

山村「え?」

アスラン「……えっ??」

翔太「ンフッ…ww」

 デデーン 翔太アウトー

翔太「あああもう低過ぎるでしょ僕の笑いの沸点!! あぐぁッ!!??」

 バチーンッ!


アスラン「え? えっ……? どういう……えっ?」

冬馬「……なんか……すんませんアスランさん」

アスラン「え、ああ……う、うむ。いや……」

北斗「……」

翔太「……ごめんねアスランさん、存在が出オチとか酷いこと言っちゃって。僕はアスランさんのキャラ好きだよ」

アスラン「あ、それはいいんです。実際よく言われるし……」

冬馬「言われるのか……」

アスラン「この前も道歩いてたら僕の眼帯と腕の包帯見たお婆さんが怪我してると勘違いして救急車呼んでしまって……」

翔太「えっ、それどうなったの!?」

アスラン「そのまま搬送されました。精神病院に」

木星「コフッ…ww」

 デデーン 全員アウトー


冬馬「胸が痛ぇよチクショウッ……づあああああッッ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「待って、ほんとに待って、待っ……ひでぶッッ!!??」

 バチーンッ!

北斗「……今度一緒に食事でも行きましょう! 俺奢りますよ……っ! っがぁあああああッッ!!!!」

 バチーンッ!

アスラン「あ、これはどうもご親切に……」ペコペコッ

どこからどこまでが仕込みのネタなんだ・・・


 ――315プロ事務所前

山村「はい。ではここからは皆さんにはそこに用意してある車に乗って移動してもらいます」

車「……」

翔太「……最初は事務所内だけのなんかショボい感じのやつなのかと思ってたけどそこまでやるんだね」

北斗「随分大掛かりだな」

冬馬「スポンサーとかいねえのに大丈夫なのか……?」

山村「ちなみに運転手はプロデューサーさんがやってくれますので」

冬馬「! ……ちょうどいい、プロデューサーの奴にはたっぷり言ってやりたい文句があるところだったからな!
   おい、プロデューサー!! ほんとふざけ……」ガチャッ!



765P「おお、竜馬。久しぶりだな。待ってたよ」クルッ

冬馬「あんたの方かよっ!!」

 デデーン 北斗、翔太、アウトー


翔太「やられた……んあーっ!!」

 バチーンッ!

北斗「やられたね……おうっ!!」

 バチーンッ!


冬馬「あと俺の名前は竜馬じゃなくて冬馬だ! ア・マ・ガ・セ・ト・ウ・マ! 間違えんなよ!!」

765P「ごめんな、あっちゃん」

冬馬「だからってそこまでフレンドリーな関係を許した覚えはねえ!!」

翔太「冷静になりなよ、あっちゃん」

北斗「そうだぞ、あっちゃん」

冬馬「お前らも便乗してんじゃねえよ!!」

765P「まあまあ、とにかくこんなところでウダウダしてても仕方ないしさっさと乗ってくれ。
     大丈夫だ、頼まれた仕事はきちんとこなすから」

冬馬「こなさなくていいから帰れよ今すぐ」

765P「よーし、それじゃあ出発するぞ~。ちゃんとシートベルト締めろよ~?」

翔太「はーい」

北斗「了解です」

冬馬「……」

 ブルルンッ ブロロロロッ…!


山村「行ってらっしゃーい」ヒラヒラ

ジュピターへの愛が感じられるな、略してジュピ愛


 ――車内

765P「いやあ、しかしホント現場で何度か顔は合わせてたけどこうしてちゃんと話す機会なんて久々じゃないか?」

北斗「そうですね。ご無沙汰してました」

翔太「765のお兄さんは元気だった?」

765P「ああ、元気元気。まあ相変わらず忙しいのは変わらないけどな。嬉しい悲鳴だよ」

翔太「そっか~」

北斗「これは俺達の方も負けていられませんね」

765P「ははっ」

冬馬「……いや、なんで妙に和やかな空気になってんだよ。おかしいだろ」

765P「なんだ、冬馬はさっきからカリカリして。それに暗いぞ? アイドルなんだから常に笑顔は忘れるなよ」

冬馬「そうだよ、アイドルなのに笑顔を封印されたこの状況がまずおかしいんだよ」

765P「よく分からないが……じゃあここは気分を盛り上げるためにCDでもかけるか?」カチャッ ウィーン…

冬馬「はあ? やめろよ、どうせろくでもない曲でも聴かせる気なんだろ……?」


 チャンチャラーラ、ララララー♪

翔太「……あ、僕たちの曲だ」

北斗「Planet scapeだね」

冬馬「……」

 ランランランランラー…♪


冬馬『選んでゆく道の先がー分からなくてー』

翔太『だから不意にー昨日さえも眩しくなるー』

北斗『振りむいて問いかけたー今、何が出来るのだろうー』

木星『Where are you now? 信じたい(Wish) 微かなヒカリだから描ける未来ー』

冬馬『There is my hope……』


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


木星『果てしーないーこの空をーまっすぐ渡ってーキミを照らせるようなー惑星(ほし)になーると』

木星『いーつかー願ってるー不確かな今日もー』

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

木星『希望描くためのー鍵になることー冬馬は2回アウト~♪』

冬馬「!?」

 デデーン 冬馬2回アウトー



冬馬「……俺かよぉぉおおお!!!!」

翔太「まあこれはぶっちゃけ予想出来てた」

北斗「うん」

765P「ちなみに今は車中だから叩かれるのは降りてからになるぞ」

冬馬「ざっけんなよ……自分で言うのもなんだけどこれマジでかなりいい曲なんだぞ!?
   バラード調のしっとりした歌なんだぞ!?」

冬馬「俺達のジュピター解散から復活までの挫折とか想いとかいろいろ込められたすっげぇシリアスな曲なんだからな!?」

765P「ははは、ワロスワロス」

冬馬「あ゛あ゛ああああ、腹立つ……!!」

北斗「そうカッカするなよ冬馬。いいじゃないか、外野の人間には好きに言わせておけば」

翔太「うんうん。冬馬君のこれまでの努力は僕たちもファンのみんなもちゃーんと知ってるんだからさっ!」

冬馬「え……」


~BGM:Planet scape(歌:Jupiter)~

 ♪傷をつくるその数だけ 怖くなって

 夢見ていたその理由を 忘れるけど


北斗「ほら、冬馬がいつも言ってるだろ? “俺達ならどんなことだって楽勝”だって。
   だったら些細なことになんか惑わされるな。
   いつでも堂々と構えていればいい。そうだろリーダー?」

冬馬「北斗……」


 失くせない約束が 繰り返しココロの中(To be alive)

 灯るから(Wish)

 目をひらく 何度だって、答えを出せる


翔太「そうだよ。確かに冬馬君は僕たちの中で一番熱血だけど……そんな無駄なとこで熱くなる必要ないよ。
   冬馬君の想いは伝わる人にはちゃんと伝わってるもん。
   もちろん僕にもね。一緒だから頑張れたんだよ!」

冬馬「翔太……」


 There is my mind

 果てのない暗闇を迷うコトは無い


冬馬「お前ら……」

 キミが見つけだして―――くれるのなら

北斗「な?」

 たとえこの街が変わり続けても

翔太「ね?」

 ずっとここにいるよ 瞬(またた)くように……


冬馬「……ああ!! そうだよな!!」


 冬馬はもう1回アウト~♪


冬馬「ちくしょう!!!!!!」


 デデーン 冬馬アウトー

>>26
一応性的なジョークの項目に当てはまるかなーって

深夜に差し掛かった辺りのネタまでやるとまあRになるわな
ケツから小麦粉噴射とか

問題は誰が出川と上島をやるかだ…

315や765、346にしても出川・上島役は絵面的に色々マズい


翔太「これで3回だね~」

北斗「ドンマイ、冬馬」

冬馬「てめえらハメやがって……」

765P「なんだなんだ。せっかくお前達のために選曲したのにお気に召さなかったのか?」

冬馬「召すか! とりあえずあんた絶対俺らのことナメてるだろ!?」

765P「何言ってるんだ、そんなはずないだろ。このCDだって俺が自分で買ったんだぞ?」

冬馬「えっ」

翔太「あれ、そうなの?」

北斗「それはどうもありがとうございます」

冬馬「うぐっ……まあ、うん。そこはマジでサンキュ」

765P「いい曲だよな。Planet scape、略してブラ透け」

冬馬「プラスケだよ」

765P「あともう1曲の方も明るい曲調で俺は好きだな。BRAND NEW FIELD、略してブラ」

冬馬「やっぱあんた確実に俺達のこと馬鹿にしてるだろ!!??」

765P「してないしてない。さーて、じゃあ次はどの曲をかけようかなっと」

冬馬「もういいっつーの」

765P「よし、これだな」カチャッ ウィーン…








千早『チッチチッチ♪ ちーっぱーい♪ 無…』ピッ

冬馬「……」

765P「あっ!」

翔太「……」

北斗「……」


765P「おいおい、なんで止めるんだよ。今始まったばっかだろ?」

冬馬「……いやいやいやいや」

765P「いやいやいやいや」

冬馬「……」

765P「……」

冬馬「……」

765P「……」



765P「ポチッとな」ピッ

冬馬「あっ!?」


千早『……チッチチッチー、ちーっぱーい♪ 無いん無い~ん♪』


冬馬「くっ……!」

翔太「くっ……!」

北斗「くっ……!」


千早『もげもげもげ! もげ! もげもげ、チチをもげ! もーげツルルン ペタンもげー♪』

木星「……ッ!」プルプルプルッ…


千早『もーげペッタン ツルンもげー♪ つるぺたチッチッチ♪  水平おぱーい ロケット無い~ん♪』


千早『やさしく(もげ!) いきなり(もげ!) 微妙に(もげ!) 連続(もgフフッ…ww』


千早『……チッチッチッチ~、ちーっぱーい♪ 無いフフッん無フフフッwww』

千早『チッゴフッww …チチッチ~♪ ちーっぱエフッwwwオッフwwww』

千早『ゲッホ、ゴホッwwww無いん無……無いってwwww確かにwwwww無いけどwwwwww』


千早『無いけれどもwwwwそれはwwww知ってますけれどもwwwwwまあwwwなんでもいいですけれどwwwwww』


千早『だからってwwwwンフッこれはwwwwフフッ、フフフッwww面白いwwwww』



千早『フフフフフフッwwwwwwww』

 デデーン 全員アウトー




冬馬「……マジでやめてやれよぉぉおおおおおおお!!!!!」

翔太「千早さんのライフはもうゼロだよ……!!!!」

765P「バストもゼr……」

北斗「ありますから!! 72もありますから!!!!」

面白い







 ブルンッ… キキーッ!

765P「さあ、着いたぞ」

翔太「…………」

冬馬「……ここは……」

北斗「……やっぱり嫌な予感って当たるものなんですね……」

765P「ヘコんでるところ悪いが、そこへ入る前に車の中で笑った分のケツバットもあるからな?」

冬馬「……ああもう窓の外に既に全身ピッチピチのタイツ着た筋肉ダルマ共が待機してやがる……」チッ

北斗「先回りしてたんだね」

タイツ男達「…………」ブンッ! ブンッ!

翔太「しかもめちゃくちゃ素振りしてるし……」

765P「さて、俺の仕事はここまでだ。短い時間だったが久しぶりにジュピターのみんなと歓談出来て楽しかったよ」

冬馬「こっちは1ミリたりとも楽しくなかったよ」

765P「それじゃあ最後に少しだけ話をさせてくれ。これは本当に真面目な話だ」

冬馬「……嘘吐けよ」

765P「いや。さっきまではちゃかしもしたが、お前達が一度はグループを解散して
     それから事務所を移って再結成して、今日ここまでずっと頑張ってきたことは俺もよく知っているよ」

765P「まだ若い身空で人気絶頂の時にそういう決断を自らに下したあの時の姿、本当に潔くてカッコ良かったぞ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

765P「確かに俺達765とジュピターは衝突したこともあったが……。
     同時に良き好敵手としてこちらもいろいろ大切なことを学ばせてもらったことは事実だ」

冬馬「……」

翔太「……お兄さん」

北斗「……」


765P「辛いこともたくさんあっただろう。なまじ経歴的には先輩なんだ。
     315プロ内で責任も重くのしかかったに違いない」

765P「そんな中で地道に努力を続けてきたお前達を俺はライバルとして誇りに思うよ」

765P「……だがお前達も俺達もまだまだこれからだ!! 俺達はもっとずっと高みへ、輝きの向こう側へ飛び出していける!!」

765P「いつまでもお互い負けずに頑張っていこう!! ジュピターのことをこの先も俺は陰ながら応援しているよ!!」

冬馬「…………ああ!!」

翔太「分かったよお兄さん!」

北斗「約束ですね」

765P「そして老婆心ながらプロデューサーの端くれとして俺から1つお前達にアドバイスがしたい。聞いてくれるか?」

冬馬「おう! なんだ?」

765P「あまとうと甘納豆はよく似てる。つまりはそういうことだ。……じゃあな。頑張れよ」フッ…

 ブルンッ ブロロロロッ… プップー!

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」









冬馬「いや、どういうことだよ……」

北斗・翔太「フフッ…ww」

 デデーン 北斗、翔太、アウトー


タイツ男達「…………」ダダダダダッ!

冬馬「あぁぁぁぁぁ、来たあああああ……!」

翔太「怖い怖い怖い怖い怖い!」

北斗「……!」



 バチーンッ!!×2

翔太「ひぎぃぃいいっっ!!??」

 バチーンッ!!×2

北斗「ほああああああッッ!!??」

 バチーンッ!!×4

冬馬「くぁwせdrftgyふじこlpッッ!!!???」

イイハナシダッタノニナー

叩かれ過ぎて、冬馬の尻千切れ飛びそうだな…



 そして。

 ケツを叩かれ終えたジュピターの3人は改めて765プロデューサーに連れてこられた眼前の建物を見上げた。



 “961プロダクション自社ビル”



冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


冬馬「なあ。これやっぱ帰っちゃダメか?」

北斗「いやあ、無理でしょ。彼らがガッツリこっち監視してるし……」

タイツ男達「…………」

翔太「……僕、今度絶対あまねちゃんに誠司さんの悪口吹き込んでやる」

タイツ男1「!?」


 ――961プロ エントランス


秘書「……お待ちしておりました。お久しぶりです、皆さん私のことは覚えていらっしゃいますでしょうか?」

冬馬「秘書さん」

北斗「もちろんですよ。こんな美しい方を俺が忘れるはずありません。
   疎遠にしていて申し訳ありませんでした」

翔太「どうも~」

秘書「皆さんもお変わりないようで安心致しました。
   例の移籍の一件で大変な騒動になってから随分ご苦労をなさっていたことはこちらでも耳にしておりましたので。
   僭越ながらご心配申し上げておりました」

冬馬「そうか……」

北斗「迷惑をおかけして本当にすみません」

翔太「秘書さんは普通にいい人なんだよね。黒ちゃんと違って腰も低いし」

秘書「いえ、そんな」

翔太「そうだ、なんだったら秘書さんもウチの事務所に来ない?
   ウチはウチで見ての通り頭おかしいけどなんだかんだで楽しいよ」

秘書「有り難いお申し出ですがそういうわけには参りません。
   社長には私のようなしがない女を拾い、ここまで育て上げて頂いた恩義がありますから」

冬馬「……」

秘書「……まあ確かに社長には少々思い込みが激しく傲慢で思い上がりやすく高圧的で独りよがりで排他的で精神年齢が低く」

秘書「54歳にもなって未だに野菜炒めからピーマンだけを抜き取って
   私のお皿にこっそり移してこようとする痛々しいところはありますが……」

冬馬「ひでえ言いようだな、オイ」

翔太「何やってんの黒ちゃん……」

秘書「それでも一流の逸材を見つけ出す手腕とトップアイドルを生み出したいという情熱にかけては本物だと信じております」


北斗「……それで今日俺達をここまで呼び出したのは一体どういった用件で?」

秘書「はい。せっかくご足労頂いたばかりの皆さんにいきなりこんな不躾なお願いを致しますのは非常に心苦しいのですが……」



秘書「………どうかお願いします! ジュピターの皆さん、私達の社長を救って下さい……!!」

冬馬「……はい?」

北斗「……どういうことですか?」

秘書「実は……。いえ、やはり私の口からはこんなこととても……」

冬馬「なんだなんだ。穏やかじゃねえな」

北斗「どうぞ遠慮なく言って下さい。あなたの頼みとあらば俺はこの身が朽ち果てようと全力で叶えてみせますよ」

秘書「……ありがとうございます。では直裁に言えば、その……社長は最近夜遊びがですね……」

冬馬「えっ?」

秘書「皆さんを責めるわけではないのですが、どうやらジュピターのお三方が
   我がプロダクションを離れてしまったことで社長は随分心を痛めておいでだったようで」

翔太「ええ? 黒ちゃんが?」

冬馬「あのオッサンはそんなタマじゃねえだろ」

秘書「社長はああ見えて内面は繊細な部分もおありになる方なんです。
   口先ではこちらから切り捨ててやったなどとツンデレてはいても、事実あれからひどく荒れてしまって……」

翔太「まさかアル中にでもなっちゃったの?」

秘書「いえ。あの、あまり大きな声では言えませんが……
   れ、連日激しい女遊びを……。ああ、嘆かわしい……!」

冬馬「……嘘だろ!? オッサンが!?」

秘書「……」

翔太「そんな、黒ちゃんが……北斗君ならともかく……」

北斗「……」


秘書「ここのところなどはもはや白昼堂々社長室にまで連れ込んでヤりたい放題好き放題……。
   このままでは近い内に職務すら放り出しかねない現状です」

冬馬「なんてことだよ……」

秘書「まったく、本当になんてことなの……いきなり私達の間に入り込んできてあの女は我が侭ばかり……」ブツブツ


秘書「社長も社長よ。あんな媚びっ媚びなわざとらしい猫撫で声に簡単に騙されて……。
   ねだられるまま何でもかんでもすぐに買い与えて……。
   向こうに遊ばれてるだけだってことに何故気が付かないのかしら?」ブツブツ…


秘書「私にはあんな顔決して見せて下さらないというのに……あの泥棒猫……若さ? 結局若さなの?」ギリギリギリッ…


冬馬「怖っ!」

翔太「……秘書さんって黒ちゃんのことが好きだったんだね」ヒソヒソ…

北斗「ああ。残念だ」ヒソヒソ…


秘書「……取り乱しました。とにかくそういうわけですので、ここは是非あなた方のご協力でどうにか社長を更生して頂けないかと」

冬馬「……まあそういう事情なら」

翔太「ぶっちゃけ原因僕たちっぽいしね」

北斗「うん」

秘書「ありがとうございます! 本当にありがとうございます! ではすぐに社長室までご案内致しますので!!」

翔太「……はーい」

冬馬「行きたくねえなあ……」



 ――社長室前

秘書「お待たせ致しました。社長はこちらにおられます」

翔太「……ていうかさ。これ今まさに黒ちゃんは中でお楽しみ中ってことだよね?」

冬馬「何が悲しくてオッサンのそんな生々しい姿を直視しなきゃならねえんだ……」

北斗「俺も流石に中年男の痴態は見たくないな……」

 コンコンッ

秘書「失礼致します、社長」


 ガチャッ!




黒井「ククク……本当に君はいつ見ても美しい……完璧だよ」


黒井「その透き通った大きな瞳……まるで宝石のようじゃないか。
   おっと、すまない。そんな石ころに例えるなぞ君に失礼だったな」


黒井「ウィ、その顔をもっとこちらによく見せてくれ。
   ……おお、声まで素晴らしい。涼やかな鐘の音が聞こえてくるようだ」


黒井「ん? ん? いいのか? ここがいいのか? ええのんか?
   フフフ、まったく君は悪い女だよ……私の心を弄ぶ魔女……いや、小悪魔だ」


猫「にゃあーん」


黒井「ああん、可愛いでちゅね~!! いい子でちゅよ~~!! よーしよし、それじゃあパパのお膝乗りましょうね~~?
   後で最高級セレブ缶詰めも開けてあげまちゅからね~?」


 デデーン 全員アウトー



黒井「ほーらほら、君の大好きなセレブ猫じゃらしだぞぉ~? ははははは、一緒に遊ぼうじゃ」

秘書「社長。お客様がお見えです」

黒井「ない、か……えっ?」





冬馬「……そういうことかよっ!!」

 バチーンッ!

翔太「まあどうせこんなとこだろうと思ってたけどさあ。ほんと54歳にもなって……あうっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「泥棒猫ってそのまんまの意味だったんだね……ぐおおっ!!??」

 バチーンッ!



黒井「……」

秘書「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


黒井「……フンッ! この期に及んで何をしに来た! 我が961プロのツラ汚しの負け犬どもめッ!!」

冬馬「いや、今更取り繕っても無駄だから」

翔太「猫1匹に負けてる人にだけは言われたくないよね」

黒井「ぐぬっ……!」

秘書「………社長!!」

黒井「むっ、秘書君……これは一体どういうことだ!?
   何故こんな奴らを私の神聖な部屋へ入れた! 今すぐ摘まみ出せ!!」

秘書「ダメです! 前々から我慢に我慢を重ねて言わずにおりましたが……もう限界です!!」

秘書「あなたはそうやって来る日も来る日もだらしなくその女と遊んでばかりですっかり堕落して……!」

黒井「何を言うか! ちゃんとやるべきことはやっているぞ私は!!」

秘書「嘘おっしゃい!! この間なんて大事な会議まですっぽかして……これ以上のご勝手は目に余ります!!」

黒井「ぐ、ぐうぅ……この小姑め……」

秘書「ほら、あなたのためにわざわざジュピターの皆さんまでお呼びしたんですよ!?」

黒井「お前ら……余計なことを……」

秘書「さあ、皆さんもなんとか言ってやって下さい!」

冬馬「そんなこと言われても俺らにどうしろってんだよ」

北斗「猫……猫かあ。確かに動物は可愛いですからね。ダチョウとか」

翔太「別にいいんじゃないの? これくらい。黒ちゃん独身だし寂しいんでしょ。
   老後のお供にペットくらい欲しがってもバチは当たらないよ」

黒井「まだ老後という歳ではないわ!!」


秘書「いい加減に目を覚まして下さい社長! 我々社員は皆迷惑しているんですよ!?」

黒井「いいだろう別に!! 可愛いんだから!!」

猫「にゃおん」

秘書「だったら私を可愛がれやっ!! いつでも胸元のボタンと股開く準備は出来てんだよこっちは!!」

秘書「毎日毎日いそいそ勝負下着履き替えては夜家帰って溜め息吐いてる私の気持ちが分かんのか!? あん!?」

秘書「紫やぞ!? レースの紫五千円やぞ!? Tバックやぞ!? ムラムラしろやっ! かかって来いやっ!!」

秘書「日々さり気なく机に置いてる婚姻届もスルーしやがって!! そんなに私じゃ不満か!?
   抱けえっ! 抱けっ!! 抱けーっ!! 抱けーっ!!」

黒井「そういうところが怖いのだ君は!!!!」

 デデーン 全員アウトー





冬馬「あんたもマトモじゃなかったのかよッ!! いっだぁあああああ!!??」

 バチーンッ!

北斗「最後のってノスタル爺ネタだよね……ごあっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「なんで分かるの北斗君……んぎゃああああっ!!??」

 バチーンッ!


秘書「なんでよぉ……なんで私じゃダメなのよぉ……ふえ~ん……」ポロポロッ

黒井「だ、だからって何も泣かなくても……」オロオロ…



冬馬「……なんで俺は50代のオッサンなんかのラブコメ見させられてんだ。島耕作かよ……」

翔太「っていうかラブコメなの? これ」

北斗「いろんな意味でトラブってはいるな」

黒井「お、お前達! 呑気なことを言ってないで彼女をどうにかしろ!!」

冬馬「どうにかも何も……」

翔太「簡単じゃん。黒ちゃんが秘書さんを受け入れてあげればいいんだよ」

北斗「そうですね。女性の健気な想いを無碍にするのは感心しません」

黒井「はっ!?」


黒井「……待て待て待て! 無理だろうこんなモンスター!! 野獣だぞ!?
   狙った獲物は確実に逃がさないハンターの目付きだぞ!?」

翔太「でもそうさせたのは黒ちゃんなんだよ?」

冬馬「オッサンと結ばれればこの人も満足して落ち着くんじゃね? 希望的観測だけど」

北斗「お幸せに」

黒井「はあああああああっっ!!!???」

秘書「社長……」ジリジリ…

黒井「えっ、待っ……!」

翔太「じゃあね黒ちゃん。猫ならその辺にいる社員さんにでもしばらく預かっててもらえるよう頼んでおくから」テクテク

猫「んにゃー」

冬馬「気にせず存分に楽しめよ」テクテク

北斗「ああ、言っておきますが女性にとってはピロートークも大事ですよ? 社長。では」テクテク

黒井「」



 バタンッ!


<ふふふふふ……やっと二人きりになれましたね社長……

<ちょ、待っ! 私は妻帯者になる気は……!

<あなたがパパになるんですよ!!

<アッ――――――!!??









冬馬「……さて、帰るか」

翔太「そうだね」

北斗「そうだな」

「わくわくさん今日は何を作るの?」
??「既成事実よ」


 ――961プロ 廊下

社員「……はい、では確かに猫はこちらでお預かりしました。皆さん、本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」ペコリ

猫「なーう」

冬馬「あんた達も苦労するな……」

社員「もう慣れましたよ……。ところで皆さんどうでしょう?
   見たところ大分お疲れのようですし、ウチの食堂で少し休んでいかれては?」

翔太「あ、さんせーい。今朝から叫び過ぎて喉痛いしジュース飲みたい」

冬馬「ん、そうだな」

北斗「アイドルとして声の調子の管理は大切だからね」

冬馬「今のお前はどう見てもただのイロモノ芸人だけどな」

北斗「……俺はいいんだよ? もう一度今ここで白鳥の舞を披露しても」

冬馬「すいません勘弁して下さい」

翔太「ねーねーいいから早く行こー」グイグイ


 ――961プロ 社員食堂



伊織「―――!」ペチャクチャ

やよい「―――!」キャッキャッ



木星「………………」








冬馬「……どうするよ?」ヒソヒソ

翔太「ごめん、僕が甘かった。ここはやっぱり見なかったことにして帰ろう」ヒソヒソ

北斗「エンジェルちゃん達を無視するのはちょっと……」ヒソヒソ

冬馬「お前はまたそういうことを……っつかあいつらもよくこんなところまで来たな」

翔太「……まあでもあの2人だったら多分大丈夫そうかな?
   特にやよいちゃんはそんな悪意ある演技なんか出来なさそうだし」

北斗「それは確かに」

冬馬「んじゃ一応行くだけ行ってみるか……気は進まねえけど」

翔太「何事もなく無事に終わりますように……」

北斗「俺はもし尻が消し飛んだとしても女の子に笑わせられるなら本望だよ」

冬馬「ほんと大概にしとけって……」



伊織「……ほんっと! あの変態プロデューサーには困るわよね。
   いっつもいっつもセクハラばっかり。デリカシーってものがないんだから!」

やよい「……」モグモグ

伊織「律子に何度注意されようがいつまで経ってもだらしないままだし……。
   シャツの裾くらい常にきっちり仕舞っておきなさいっての!」

やよい「……」パクパク

伊織「大体あいつは服装に無頓着過ぎるのよ。
   私達にはちゃんと可愛い衣装が用意出来るのに、なんで自分のこととなるとあんなにダメダメなのかしら?」

やよい「……」チューッ

伊織「もっと自身のことだって考えなさいよね。ねえ、やよいもそう思わない?」

やよい「それな」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「そう来たか……ぐえっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「シンプルに来たね……はうっ!!?」

 バチーンッ!

北斗「そんなところも愛らしいよやよいちゃん……ポゥッ!!!!」

 バチーンッ!


翔太「っふww ……あのさ。僕、正直北斗君のその叫び声も結構ツボなんだけど」

北斗「仕方ないじゃないか……」


伊織「それにあいつは何かにつけて甘過ぎるのよ」

やよい「それな」

伊織「いくら律子が鬼軍曹だからって……飴と鞭の落差が激し過ぎるのよね」

やよい「それな~」

伊織「たまには男らしくビシッと厳しいところも見せなさいっての!」

やよい「それな!」

木星「……」プルプルプル…


伊織「おまけにあいつは鈍感で抜けててヘラヘラしてて……」

やよい「それな」

伊織「ま、まあその分優しいっちゃあ優しいのは確かよ? でもものには限度ってもんがあるでしょ!」

やよい「それな」

伊織「ほんと少しくらいはこっちの気持ちを察しなさいよね……」

やよい「それな」

伊織「日産」

やよい「せれな」

伊織「島原」

やよい「えれな」

伊織「望月」

やよい「あんな」

伊織「松田」

やよい「ありさ」

伊織「北上」

やよい「れいか」

伊織「箱崎」

やよい「せりか」

伊織「中村」

やよい「えりこ」

伊織「よしよし、よく最後までちゃんと噛まずに言えたわね~」ナデナデ

やよい「えへへ~♪」

 デデーン 冬馬アウトー





冬馬「なんなんだよ……なんなんだよ!? はぐぅっ!!!!」

 バチーンッ!


翔太「なんか1人だけ違う人が混じってたような気がするんだけど……」

北斗「……気のせいだよ、きっと」

中村えりこは卑怯だわ
笑うに決まってんだろ

これは仕方ない

やよいのボケ要員は鉄板通り越して卑怯の域

エレナダヨー


伊織「……ん? なんだ、ジュピターの連中じゃない。何してるのよこんなところで」

冬馬「100%こっちの台詞だよ」

やよい「うっうー! こんにちはーっ!」ガルーン!

北斗「やあ、やよいちゃん。今日も元気だね。それに伊織ちゃんも会えて嬉しいよ」

翔太「……こんにちはー」

伊織「ま、ここにいるってことはアンタ達もどうせ食事に来たってことでしょ?
   ならちょうどそこ空いてるし座れば?」

冬馬「いや、いいです」

伊織「………は?」

冬馬「いいです」

伊織「はあっ!? ……ちょっと! このスーパーアイドル伊織ちゃんが親切にも座っていいって言ってやってんのよ!?
   いいからさっさと座りなさいよ!」

冬馬「いやホントいいんで。スーパーアイドル様の近くとか恐れ多いんでいいです」

伊織「なんなのよその口調、気持ち悪いわね! バカにしてるわけ!?」

冬馬「してないです、ホントしてないです」

伊織「あとその服もなんなのよ、絶対バカにしてるでしょ!?」

冬馬「……」

伊織「なんとか言いなさいよ!!」

冬馬「いや……マジで絡んでくんのやめてくんないっスか?」

伊織「はあああああっっ!? 誰が絡んでるですってぇ!?」

冬馬「ほらもう完全に絡んでんじゃん……」

伊織「どこがよ! この私がいちいちアンタ達なんかに絡むわけないでしょ! 今すぐ訂正して謝罪しなさい!」


冬馬「だから………あー、ハイ。そっスね。そうです俺が悪かったです。スンマセン。だからもう帰っていいか?」ハァ

伊織「ムキーッ! なんなのよその適当な謝罪はぁっ!! あとため息吐いてんじゃないわよ!!」

やよい「い、伊織ちゃん……?」



「なんだなんだ?」

「乱闘か?」

「え、こんなの聞かされてた台本にあったっけ……?」

「いや……」

 ザワザワ…



翔太「ちょっ、ちょちょ、ちょっとちょっと! 落ち着いてよ2人とも! 何やってんの!?」

やよい「ケンカはダメですよーっ!」

北斗「冬馬、大人気ないことはやめろって……。ごめんね伊織ちゃん、さっきから叩かれ過ぎて少し気が立ってるだけなんだ」

翔太「下手したらほんとに週刊誌の一面載っちゃうよ!」

やよい「伊織ちゃんっ!」

伊織「いいからやよいは離れてなさい!」

伊織「あーもうこの際だから言ってやるわ!! 大体私は初めからこんなくだらないお遊び企画に参加すること自体嫌だったのよ!」

伊織「なんで仕事でもないのにわざわざアンタ達なんかと関わらなきゃなんないわけ!?」

冬馬「だったらそもそも参加すんなよ。断れよ」

伊織「あのアホプロデューサーが悪ノリして勝手にこっちの意志無視して決めてきたんだから仕方ないでしょ!?
   じゃなかったらこんなことやってないわよ! しかも私だけじゃなくやよいにまで!」

やよい「わ、私は別に気にしてないかなーって……」


冬馬「いやいや。お前どんだけあのプロデューサーのこと好きなんだよ」

伊織「……はっ、は、はああああ!!?? 何言ってんの!? バッカじゃない!?」

冬馬「顔真っ赤じゃねえか」

伊織「うっさい!! アンタのそういう上から目線なとこが私は前から気に食わなかったのよ!!」

冬馬「お前にだけは言われたくねえし」

伊織「はあっ!?」

冬馬「典型的なワガママお嬢様のお前にだけは言われたくねえっつってんだ」

伊織「このっ……!」ガシッ

冬馬「んな、おいっ……!」

伊織「このっ、このぉ! 言わせておけば……っ!」ブチッブチッ

冬馬「ちょ、やめっ、髪を掴むなって! いてっ、いててっ!」

伊織「このアホ毛がっ! このアホ毛がっ!」ブチブチッ

冬馬「アホ毛は関係ないだろ!! 痛ぇよ!」

伊織「こんなものぉ……!!」ブチブチブチッ

冬馬「だから抜こうとすんなよ痛い痛い痛い痛い!!」

伊織「こんなものがあるからっ……」ズルッ

 バサッ…!

伊織(丸坊主)「だっ……」

冬馬「え」

翔太「え」

北斗「え」

やよい「………………え?」


伊織(スキンヘッド)「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

やよい「……」


伊織(ツルピカ)「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

やよい「……」




伊織「…………い……い……」




伊織「イヤアアアアアアアアア!!!!!???」

木星「~~~~~~っっ!」





冬馬「お、落ち着け! 悪かった! 俺がマジで悪かったから!! 大丈夫だって! いやっ、あの……ほら……なっ?」

北斗「う、うん。フュリオサみたいで素敵だよ伊織ちゃん。まさに和製シャーリーズ・セロンだ」

翔太「そ、そうだよ! 全然気にすることないって! カッコイイって!
   それに僕も将来ハゲそうって言われることあるし!」

冬馬「その慰めは逆効果だろ……」

翔太「え!?」

やよい「そ、そうだよ伊織ちゃん! 私はそんなこと全然気にしないよ!
   それにうちのお父さんも最近生え際が危ないって言ってたし……」

北斗「ごめんやよいちゃん、多分それも逆効果……」

やよい「え!?」

伊織(サイタマ)「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

やよい「……」













伊織「チャオズは置いてきた。ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない」


 デデーン 全員アウトー

いおりんの髪の長さで禿ズラって相当大変だよな?



…あっ(察し)


冬馬「さよなら天さん……!」

 バチーンッ!

翔太「さよなら天さん……!」

 バチーンッ!

北斗「さよなら天さん……!」

 バチーンッ!




伊織「ふふーん。今のアンタ達の顔傑作だったわね~♪」

やよい「え? ……えっ? あの……」オロオロ…

伊織「ああ、ごめんねやよい。ほら、つまりこれもヅラだったってことよ」カパッ サラッ

やよい「! よ、よかったあ。びっくりしたあ~」ホッ

伊織「まったく、私がハゲてるわけないじゃない。失礼しちゃうわね」プンプン

冬馬「……その髪の量がよくヅラの中に収まったな。むしろそっちの方にビビるわ」

翔太「あれ、もしかして今のって完全に伊織さん1人のアドリブだったの?」

伊織「名演技だったでしょ? にひひっ♪」

冬馬「おお~~」パチパチ

翔太「おお~~」パチパチ

北斗「女優だね」パチパチ

やよい「さすが伊織ちゃん!」

周り(なんだこれ……)



伊織「頭テッカテ~カ♪ ハーゲてピッカピ~カ♪ そーれがどうしーた♪
   ……ぼくドラ゛え゛もん゛です(しゃがれ声)ってね」

冬馬「何気に似てるし」

北斗「伊織ちゃんは多才だなあ」

翔太「……?」

やよい「……?」


伊織「……の゛ひ゛太゛ぐぅ~~ん(しゃがれ声)」ボソッ

冬馬「っく……ww もういいっつーの……」フルフル…

北斗「伊織ちゃんは声優になっても大成しそうだね」

翔太「……ねえ、ちょっと待って。それ誰の物真似?」

冬馬「…………え?」


翔太「ドラえもんはそんな声じゃないよ。もっと高くて可愛い声だよ」

やよい「ですよね」

冬馬・北斗・伊織「!!!???」


翔太「それにドラえもんの歌はシャララララ 僕の心に~♪ だよね?」

やよい「うん」

冬馬「はああああああああっ!?」


冬馬「おま、ぶっ殺すぞ!! 頭テカテカかアンアンアンとっても大好きドラえもんだろ!?」

翔太「あんあんって……なにそれ下ネタ? 真っ昼間からやめてよね」

冬馬「違ぇよ!!」

北斗「えっ、ちょっと待って。じゃあさっきのドラゴンボールネタはなんで分かったの?」

翔太「? だってドラゴンボールは今もやってるじゃん」

冬馬「まさか……おい、じゃあドラゴンボールのopは!?」

翔太「強烈☆猛烈☆ダイナミックでしょ?」

冬馬「あ゛あ゛あああァ!?」

翔太「あと大地は踏みしめるよね?」

冬馬「踏みしめねえよ! 目を開けたまま見る夢が知らない明日へ運ぶMerry-go-round goesだよ!!」

北斗「もしくは太陽は夜も輝いて夢を見るよね」

翔太「いやちょっと2人が何言ってるか分かんない」

冬馬「なんでだよ!!??」

北斗「……これが……ジェネレーションギャップ……!」

冬馬「ふざけんなよ! 俺はのぶ代しか認めねえぞ! 何がわさびだよ!! 返せよ俺ののぶ代を!!」

北斗「……冬馬、行き過ぎた懐古主義は見苦しいぞ。いいじゃないか、わさびさんだって頑張っているんだ」

冬馬「だって……だって……!」

伊織「……」

声が変わって10年以上たったんだからぐちぐち言うなよとも思う


北斗「第一もう新になってから何年経ったと思ってるんだ。今のドラえもんが過小評価され過ぎているんだよ。
   冬馬のような頑固な人間の存在が余計に彼女らに重圧を与えているんだ」

北斗「その重さに耐えて一生懸命演じているわさびさん達の気持ちがお前に分かるのか?」

冬馬「そ、それは……!」

北斗「それに新ハンタだって蟻編ラストはとても感動的だったじゃないか。
   みんな自分の幼少期から思春期に見たものに一番思い入れを持つものだし」

冬馬「う……」

北斗「これから先の時代はまた新しい世代……そう、ニュージェネレーションズが作っていくんだ」

翔太「そうだよ。それに新ドラ以前に黒歴史扱いされてる日テレ版の気持ち考えたことあるの? ドラえもんが扁平足なんだよ?」

冬馬「お前やっぱ分かってるだろ!? すげぇな、流石に俺でもそこまでは知らねえぞ!?」

翔太「僕の父さんの性の目覚めはエスパー魔美だったらしいよ」

冬馬「お前の発言が一番下ネタじゃねーか!!」

やよい「……???」

伊織「……」


冬馬「……っつか、そういえば逆になんで水瀬は旧ドラ分かるんだよ。お前も高槻と1歳しか違わないだろ」

伊織「!!」

伊織「いやっ、だって……えっ? 分かるでしょ!? 普通は分かるわよね!?」

やよい「ご、ごめんね伊織ちゃん、私分からなくて……」

伊織「やっ、別にやよいを責めてるわけじゃなくてね!? えっ、でも分かるわよね!? えっ!?」

冬馬「……お前もしかして年齢詐称……」

伊織「するわけないでしょ、あの腐った鳥じゃあるまいし!!」

冬馬「やっぱお前の髪ってハゲ……」

伊織「……」バキィッ!!

冬馬「ぐぼあっっ!?」



翔太「今のは完全に冬馬君の自業自得だよね」

北斗「レディの扱いというものがまるで分かってないな」

やよい(そもそも冬馬さんも私たちとあんまり年齢違わないような……?)

???「ミミミンッ!? 近頃のjcには旧ドラは通じない…? 要チェックですね、コレは…」

だってアーケードの時から考えるとねえ




 ――961プロ 自社ビル前


翔太「そして結局ジュースは飲めなかった」

北斗「……明日喉潰れてないといいけどね」

冬馬「ケツも顔も痛ぇ……」ヒリヒリ…


冬馬「……ところで次はどうすりゃいいんだこれ? 765のプロデューサーは帰っちまったし」

翔太「うーん、また誰か別の人が迎えに来るのかな?」

北斗「常識的な人だといいけど……あと事務所へ戻るのかそれともまたどこか別の場所へ移動するのか……」キョロキョロ



通行人A「えっ、ちょっと待って。ねえ、あそこにいるのってもしかしてジュピターじゃない?」ヒソヒソ

通行人B「え?」

木星「!!」


通行人B「ほんとだ、確かに似てるかも……」

通行人A「絶対そうだよ!」

通行人B「えー、でもなんかちょっと怪しくない?」

通行人A「そんなことないって! ジュピターだって!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

通行人B「だって見なよあのカッコ。冬馬があんなイタい服着るはずないじゃん? ただのそっくりさんでしょ」

通行人A「それもそっか」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


通行人A「でもでも隣のジャージの子の方は絶対本物の翔太だって! ほら見てよあのデコ!」

通行人B「うーん、確かにあのデコは……」

通行人A「でしょ!? あのデコは確実だよ!」

通行人B「あのデコねえ……」

通行人A「あのデコはガチ!」

通行人B「でもあのデコが本物の翔太だとして、なんであんなイタい人達と一緒にいるの?」

通行人A「あ……」

通行人B「ほら、やっぱただの偽物だよ」

通行人A「それもそっか」

翔太「……」

冬馬「……」

北斗「……」


通行人C「キャーーーーーー!!!! 北斗ぉぉおおおおおおお!!!!!」

通行人D「えっウソ、本物!?」

通行人C「何言ってんの、あんな前衛的なファッション着こなせる男、世界中探しても北斗しかいるはずないでしょ!!」

通行人D「それもそうね!! いやああああああ!!!! かっこいいーーーー!!!!」

通行人C「見て、今日の北斗は白鳥の王子様よ!! なんてファビュラスなの!!」

通行人D「私を北斗だけのオデット姫にしてぇぇええええ!! 心も体も真冬のせいにして抱き締めてぇえええええ!!!!」

 デデーン 冬馬、翔太、アウトー






冬馬「…………おかしいだろ!? なんでお前のファンだけそんな訓練されてんだよ!?
   一番ヤバいカッコしてるくせに!! ごぁっ!?」

 バチーンッ!

翔太「なんか僕デコでしか認識されてない気がするんだけど……ぐっ!?」

 バチーンッ!



北斗(白鳥)「これが日頃の行いの差ってやつじゃない?」

冬馬「納得いかねえ……」

翔太「恐るべし北斗君……」

ファビュラスwwwwww

http://imepic.jp/20160716/450780
これ着こなせるとか無敵だろwwwwww


山村「皆さんお疲れ様でーす。久しぶりの前事務所訪問はいかがでしたか?」テクテク

冬馬「……ああ今一番顔見たくねえ奴が来たよ……」チッ

翔太「あの頭に乗せてる無駄メガネ叩き割ってやりたいね」チッ

北斗「もはや賢の株の暴落が止まらないな……」

山村「なんですか、いい若者が揃って暗い顔をして。いつだってハートをドンドン鳴らしていきましょうよ」

翔太「そうだね、賢君のハートをドンドン鳴らしたいね。物理的な意味で」

山村「さて、それでは皆さんに朗報です! なんと次は昼食の時間ですよ、昼食の時間!」

冬馬「え……マジで?」

北斗「そういえばもうそんな時刻か……」

翔太「ほんとに? やった! やっと何か口に出来る!!」

北斗「よかったな翔太」

翔太「うん!」

山村「まあそのためにはまたここから移動することになるわけですが……」

冬馬「……765のプロデューサーだけはもう勘弁しろよ?」

山村「彼はもうご自分の本来のお仕事の方に戻りましたよ。向こうだってそんな暇じゃないんですから」

冬馬「こっちも暇じゃねえんだが」

山村「えーっと、そろそろ頼んでおいた次の迎えが着く頃ですね……あ、来た来た。おーい、こっちですよー!」ブンブン

冬馬「……ん?」チラッ




冬馬「………お、おい、あれって……」ガクガク

翔太「……あ……ああ……あれは……」ガクガク

北斗「そんな……まさか……」ガクガク

冬馬「…………嘘、だろ……?」



 そこにいたのはキャスター付きの椅子に腰掛け、優雅に脚を組んだ一人の青年。
 眼鏡をかけた理知的な表情で片手に持った台本に目を落とし、一心に内容を読み込むその姿はまさに真剣そのものだ。

 そんないかにも堅物そうな青年がただただひたすらに――――スライドしてくる。

 横一線に、まったく乱れのない美しい直線を描いて冬馬達の目の前まで淀みなく滑ってくる…………









桜庭「 桜 庭 乱 入 」

http://imepic.jp/20160722/859280


 デデーン 全員アウトー



桜庭薫
http://imepic.jp/20160723/017160
元外科医。最愛の姉を病気で喪った過去があり、その病を無くすための大金を稼ぐという理由でアイドルになった
「いや、金稼ぎたいならそのまま医者続けろよ」というツッコミは入れてはいけない
Mマスにおける看板3人組アイドルユニットDRAMATIC STARSに所属



桜庭「すまない。僕としたことが遅くなった」

山村「いえいえ、ちょうどいいタイミングでしたよ。さあジュピターの皆さん、どうぞ後ろへ乗って下さい」

冬馬「……いや。いやいや。いやいやいやいや。意味が分からねえ。何一つ意味が分からねえ」

翔太「これに乗るって……」

北斗「……確かに椅子の後ろに荷台のようなものは付いてるけど……」

桜庭「大丈夫だ、天道の馬鹿と違って僕はそんな無茶な運転などしない。
   きちんと法定速度は守る。だから安心して搭乗してくれていい」

冬馬「運……転……?」

翔太「……逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……」ブツブツ…

北斗「エンジンの有無とか以前にそもそもこれ……公道走っていいの……?」

山村「さあさあ、ゴチャゴチャ言ってないで時間は押してるんですから、さあさあさあ」グイグイ

冬馬「やっ、やめろ! 押すな! こんなもんに乗ってる姿を衆目に晒すくらいなら俺は今すぐこの場で舌を噛んで死ぬ!!」


山村「そんなことをしても今この場に元お医者さんがいるんだから無駄ですよ」

冬馬「…………そうだった!」

翔太「……うわあ、これ絶対SNSで『ジュピターがまたなんかワケ分かんないことしてるwww超ウケるwww』とか書かれるよ……」

北斗「……」

冬馬「なんで俺達ばっかりこんな目に遭わなきゃなんねえんだ! オイ山村さん、だったらあんたも一緒に乗れよ!!」

桜庭「悪いな、この荷台は3人乗りなんだ」

山村「そういうことなので」

冬馬「山村ァ!!!!」

桜庭「では出発する。くれぐれも暴れたりして落ちないよう気を付けてくれ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

山村「行ってらっしゃ~い」


 シャーーーッ…!


 ――乗車(?)中


桜庭「それにしても……こうして君とちゃんと話すのはあの時以来か?」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


桜庭「御手洗君」

翔太「……えっ、ぼ、僕!?」ビクッ

桜庭「ああ。ホワイトデーライブの時に共に選抜ユニットを組んだだろう?」

翔太「あ……うん。そうだったね……」

桜庭「あのメンバーの中で最年少だったにも関わらず、終始落ち着ち払っていた君の余裕ある姿には感心した。
   貫禄の違いというものを見せ付けられた思いだ」

翔太「いや……別に……まあ、うん……」

桜庭「それから天ヶ瀬君。君のスーパーライブでの勇姿、流石だった」

冬馬「……え? あー、ハイ。まあ……そっスね。うん」

桜庭「やはり君のアイドルとしてのポテンシャルには驚くべきものがある。それを改めて再確認させてもらった」

冬馬「ああ……そうっスか。それはどうも……」

桜庭「そして伊集院君。君の例の執事映画でのワルツシーン、見事だった」

北斗「……は、はあ……」

桜庭「後からプロデューサーに聞いたが実はあの時、君は足首を痛めていたそうだな。
   しかしそのことをまるで感じさせずに最後まで華麗に踊り切るプロとしての姿勢……感服した」

北斗「いえいえそんな……エンジェルちゃん達の笑顔のためなら当然ですよ……」

 シャーーーーッ…!




北斗「……そんなことよりなんかさっきからびっくりするくらいスピード出てるんだけど……」ヒソヒソ

冬馬「だよな? これ普通に車くらいの速さあるよな……?」ヒソヒソ

翔太「どうやってこのスピード出してるの……? 怖い、物理法則が何一つ守られてなくて怖い」ヒソヒソ


桜庭「すまない。この速度ではとてもポケモンGOは出来ないな」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

桜庭「この速度ではとてもポケモンGOは出来ないな」

翔太「……なんで2回言ったの……」

桜庭「月夜がそうさせた。MOON NIGHTのせいだ」

冬馬「なんだ、MOON NIGHTのせいか」

北斗「MOON NIGHTのせいなら仕方ない」

翔太「MOON NIGHTのせいなら仕方ないね」

桜庭「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」










冬馬「仕方なくねえし……」

北斗・翔太「カフッ……」

 デデーン 北斗、翔太、アウトー


翔太「あーもう冬馬君が余計なこと言うから……」

北斗「鳩尾をグーで奪うけどいいかな?」

冬馬「ごめんって……」


桜庭「ちなみに現在は移動中なので叩かれるのは降りてからになる」

桜庭「あと先ほど僕が登場した時のアウト分も叩き忘れていたような気がするがあれもMOON NIGHTのせいだ」

冬馬「なんだ、MOON NIGHTのせいか」

北斗「MOON NIGHTのせいなら仕方ない」

翔太「もういいから……」

何もかもが卑怯

誰得


桜庭「ところで御手洗君」

翔太「…………なに?」

桜庭「……」

翔太「……」

桜庭「……」

翔太「……」

桜庭「いや、なんでもない。ただ呼んでみただけだ」

翔太「はっ!?」

冬馬「グフッww」

 デデーン 冬馬アウトー


冬馬「クククッ。付き合いたてのバカップルかよ……」フルフル…

翔太「やめてよ!?」

桜庭「ああ、そうだ。そういえば以前、君は雨上がりの日曜日に僕にハローを言いに来てくれたことがあったな」

翔太「……は?」

桜庭「新しいスニーカーを履いて休日モードの街を僕の家まで走って迎えに来てくれたじゃないか」

翔太「……」

桜庭「そして僕の部屋のベルを鳴らして君はこう言った。“いつも楽しいこと始まる予感は君の笑い声が連れてくるよ”と」

翔太「……人の持ち歌で勝手にストーリー捏造すんのやめてくれないかなあ」

北斗「On Sundayだよね。961プロ時代の」

冬馬「あれって桜庭さんとお前のラブストーリーだったのか。知らなかったぜ」

翔太「そんなわけないでしょぶっ飛ばすよ」

桜庭「君のことばかり考えてメールだけだともう声が聞きたいよなどと……まさにMust be loveだ」

翔太「うるさい」

桜庭「それからあの後2人で一緒に見たイルミネーション……覚えているか?」

翔太「そんなの見てない。見る予定もない」


桜庭「輝く一番星を見つめている内に歪んだラビリンスに迷い込み……
   ふと将来にぼんやりとした不安を抱き始め怯えていた僕に君は力強くこう言ってくれたな」

桜庭「どんな痛みも信じられる絆とならきっと癒せるはずだと。それが心をJEWELにするんだよ、と……」

翔太「言ってない」

桜庭「あれが2人の初めてのSTARLIGHT CELEBRATE……」

翔太「いい加減にしないと本気で怒るよ?」

桜庭「まったく、こんな表情を誰かの前で見せる様な僕ではなかったというのに……」フッ

翔太「あーもうその慈愛に満ちた感じの満足げな顔が腹立つ」

桜庭「僕にとってはあの日々のすべてがドラマチックなノンフィクションだった」

翔太「純度200%でフィクションだよ」

桜庭「ただしそれも束の間の夢……もう……あの頃のままの2人ではいられないんだな……」

冬馬「……なんだなんだ。雲行きが怪しくなってきたぞ」

北斗「破局か?」

翔太「だから最初から付き合ってすらいないから」

桜庭「だんだん2人の間には嘘の言葉が溢れ、嘘の時間を刻んでいくようになり……」

桜庭「やがては誓いの言葉など記憶の果てに……愛に怒り、君は僕を捨てた……!」

冬馬「マジかよ翔太最低だな」

北斗「最愛の恋人に対してなんて惨い仕打ちを……」

翔太「いっそ僕を殺して……」


桜庭「……しかしそれでも僕は君を信じている。今でもずっと待ち続けている。今この瞬間もずっと……」チラッチラッ

冬馬「おい翔太。なんか復縁迫られてるっぽいぞ」

北斗「どう返事するの翔太?」

翔太「お断りに決まってるでしょ馬鹿じゃないの?」

桜庭「そんな風に強がっていても君の本心は僕には既に分かっている。
   何が本当に大切かは君にももう分かっているだろう?」

翔太「……」

桜庭「それは……飛び立っていく勇気だ!」

翔太「黙れ」

桜庭「それではここで1曲聞いて欲しい。昼寝が趣味の御手洗君に捧げる魂の子守唄だ」

翔太「いらないからホントそういうの……」

桜庭「んっ、んん゛っ……あー、ゴホンッ!」

冬馬「……」

北斗「……」

翔太「……」

桜庭「……」スゥーッ…









桜庭「ヒィェェエエエエエ!!!!」


桜庭「ソニィイイイイイーーー損保っ! ッフゥゥゥゥゥウウ↑↑↑↑」

 デデーン 全員アウトー



桜庭「保険料は♪ ラーラーラー♪」


桜庭「ロードサービスも♪ うーうーうー♪」


桜庭「夜間休日も~♪」


桜庭「選ばれつーづけて 売上げナンバーワーーーン!!!!」



桜庭「……センキュー」ボソッ


 デデーン 全員アウトー






翔太「……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!!!」ガシガシガシッ

冬馬「……この人マジでクスリでもキメてんじゃねえのか……?」

北斗「普段真面目な人だけに破壊力がハンパないな……」

翔太「ああもう僕の中の薫さん像がどんどん崩れてく……」グスッ

不意打ちすぎる







 キキーッ!

桜庭「さて、着いたな」

冬馬「………あー。なるほど、ここか」

翔太「……まあごはんが食べられるならこの際文句は言わないよ。やっと薫さんとも別れられるし」

桜庭「やはり君は僕と別れると言うのか……!」

翔太「……」

北斗「流石に無視は酷くない?」

桜庭「……いや、いいんだ。未練がましく追いすがったりした僕が悪かった。
   もう忘れてくれ。君にはきっと僕よりもっとふさわしい人がいる」

冬馬「なんか勝手に自己完結してるし」

桜庭「まあなんだかんだと笑わせはしたが、これでも僕も君達と同じくプロなんだ」

桜庭「これもひいては次のステップへと進む段階のひとつ。そう考えて水に流してくれ」

翔太「……薫さん、僕たちはあくまでアイドルのプロであってお笑い界のプロじゃないんだよ……」

桜庭「観客を沸かせるという目的では一緒だ。そういう職業差別はよくないな。
   それにどんなことに対しても常に全力で臨む、それが僕達315プロだろう?」

木星「……」

桜庭「君達のその一見無意味に思える足取りも、やがていつかは大きな道へと繋がる力のひとつになるはずだ。少なくとも僕はそう信じている」

冬馬「薫せんせぇ……」

翔太「薫せんせぇ……」

北斗「薫せんせぇ……」


桜庭「……ふ、こんなどこかの馬鹿のような暑苦しい台詞は僕には似つかわしくなかったな。
   ではこの辺りで僕は失礼する。頑張ってくれ」

 シャーーーーッ!





冬馬「……だからあの椅子の構造は一体どうなってんだよ……」

タイツ男達「…………」

北斗「そしてやっぱり先回りしてるっていうね」

翔太「家族に会いたい……」シクシク




 バッチーンッ!!

木星「だもんげッッ!!!!」


冬馬「いい加減ほんとにケツがもげそうだ」ジンジン…

翔太「もげるっていう単語出すのやめてくれる?」

冬馬「……チッチチッチ~、ちーっぱ」

翔太「……」ダンッ!

冬馬「痛ってえ!? おい、足踏むなよ!!」

北斗「今のは冬馬が悪いよ冬馬が」

翔太「ただでさえお腹空いてイライラしてるんだからこれ以上神経逆撫でしてこないでよ」

冬馬「分かったよ……んじゃ早速入るか。嫌な予感しかしねえけど」チラッ


 “カフェ Cafe Parade”



翔太「……あ、ところで忘れてたけどさ。カフェパレといえばアスランさんって……」

 キキーッ! ドンッ!


「うわあああああ!」

「なんだ、どうした!?」

「どうやら人が牽かれたらしい!」

「なんだって!?」


アスラン「ぐ、ぐぅっ……いや、大丈夫だ。当たってはいない。少々驚いて転んだだけだ」

「なんだ、転んだだけか」

「人騒がせな」

 ザワザワ…

お爺ちゃん「ふむ、それなら良かっ……なっ! 君ィ、そんなこと言って全身包帯だらけではないか!!」

アスラン「むっ! だから我のこれはそういうファッション……」

お爺ちゃん「ああっ! おまけに目まで怪我を!? 大変じゃ! 救急車じゃ! 救急車を呼べ!」

 ザワザワザワッ…!


「おいおい、何が起こってるんだよ」

「……なあ。よく見たらあいつのあの服装……なんかイタくね?」

「なんだ、ただの厨二病患者か?」

「でもどう見ても20代半ばはいってるよな」

「あっ…(察し)」

「というかそもそもあの人って……」

 ザワザワザワザワッ…!


龍「ん? なんだなんだ? 事故か? ……あっ! あれはアスランさん!?」

龍「なんてこった……! よーし、ここは元消防士の救助スキルを使って俺が」

 キキーッ! ドンッ!

龍「」


「うわああああああ! もう一人牽かれたあああああああ!!」

「やべえ、こっちはすげぇ血ィ出てるぞ!!」

「もう一台救急車呼べ!! 早く!!」


木村龍
http://imepic.jp/20160724/649870
元消防士。信玄ニキと同じFRAMEに所属。不運体質



「おい、来たか!?」

「いやまだだ!」

「何やってんだよ、人命かかってんだぞ!」

「あっ、来たぞ! 見ろ!」


白い救急車「ピーポーピーポー」

黄色い救急車「ピーポーピーポー」

赤い霊柩車「プア~ン」


「誰だ霊柩車まで呼んだの!!」

「しかも赤いぞ!!」

「やべえ、なぎさが来る!!」

「うわあああああ逝ったああああああ!!!!」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「天丼ネタはほんと勘弁してくれよ……ぐぉあっ!?」

 バチーンッ!

翔太「っていうか本気で大丈夫なのアレ……がぁっ!!」

 バチーンッ!

北斗「まあいざとなればそれこそ桜庭さんが完璧に治してくれるよ……だぁあっ!!」

 バチーンッ!

赤い霊柩車www

ソニー損保と赤い霊柩車にやられた

千早と桜庭の残した傷(腹筋と尻)は大きい…


龍「」ドクドクドク…

アスラン「りゅっ、リュウーーーーーっっ!!!!」


アスラン「なんということだ、あのドラゴン族のリュウが……!」

アスラン「まさかこれも黙示録により定められし暗黒の運命だとでもいうのか!?
     くっ、我はこんな時どうすればいいサタン!?」

龍「」ドクドクドク…

救急隊員A「早く患者を担架へ乗せろ! それから吸入の用意も急げ!」

救急隊員B「はい!」

アスラン「待て、我はこの者の同胞だ! 我も病院……否、白き癒やし手の待つ天地へと付き添うぞ!!」

救急隊員C「あー、あなたはこっちです」クイッ

アスラン「はっ?」

黄色い救急車「……」

アスラン「…………何故だ!? 我はどこも怪我などしてはおらぬぞ!?」

救急隊員C「いや、見たところちょっと脳に重大な欠陥がありますねー」

アスラン「我は正常だ!! 頭もおかしくない!! というか黄色い救急車って……」

救急隊員C「あー、大丈夫大丈夫。ほんと軽ーく脳波の検査するだけだから。大丈夫大丈夫」ガチャンッ

アスラン「車の中に思いっきり厳重な拘束具的なものが見えるのだが!?」

救急隊員C「大丈夫大丈夫」グイグイ

アスラン「ちょっ!」

救急隊員C「大丈夫大丈夫」ズルズル

アスラン「待っ……」

救急隊員C「大丈夫大丈夫」ズルズルズル

アスラン「」

龍「」ドクドクドク…







冬馬「……」スタスタスタ

翔太「……」スタスタスタ

北斗「……」スタスタスタ



 ――Cafe Parade 店内

 カランコロンッ…

咲「はーい! いらっしゃいませー、ようこそカフェパレードへ! 何名様ですかー?」ヒョコッ

冬馬「水嶋さん」

咲「……あっ! ジュピターだ!」


水嶋咲
http://imepic.jp/20160725/724710
5人組アイドルユニットCafe Paradeに所属。同名のカフェの店員バイトもしている
自分らしく生きることがモットーな男の娘アイドル。ちなみに憧れの人は秋月涼


咲「ねえロール、そういちろう! こっち集まって! 早く早く!」

巻緒「なにー? どうしたのサキちゃん」ヒョコッ

東雲「水嶋さん、だからフロアではしゃぐのは……おや」

咲「ほらほら、ジュピターの3人が来てくれたんだよ!」

巻緒「わあ、冬馬さんに他のお二人も! こんにちは!」

東雲「これは珍しいお客様ですね。ランチにいらして下さったんでしょうか?」


卯月巻緒
http://imepic.jp/20160725/724720
同じくCafe Paradeに所属。咲とは同い年で仲が良くロールというあだ名で呼ばれている。とにかくケーキ好きなケーキ狂

東雲荘一郎
http://imepic.jp/20160726/584660
同上。パティシエ。関西人。元々は老舗和菓子屋の跡取り息子だったが、餡子が苦手過ぎるために洋菓子の道へ


巻緒「冬馬さん冬馬さん!」

冬馬「ん? なんスか?」

巻緒「前にパンケーキ友の会で食べたケーキ美味しかったですよね! ほら、英雄さんオススメの!」

冬馬「ああ……」

巻緒「実は俺、あれからまた新しく食べ歩いていい店発見したんですよ!
   最近オープンしたばかりでまだまだ知名度は低いんですけど、あそこのケーキは絶対これから来ます!」

巻緒「スイスから取り寄せた高級チョコを使っていて口当たりがとってもなめらかなんですよ! よかったらまた今度ぜひ食べに行きましょう!」

巻緒「まあでもなんだかんだで結局のところは巡り巡って最終的にまた荘一郎さんのケーキに帰ってきちゃうんですけどね!
   荘一郎さんのケーキは特別です!」

巻緒「あっ、あと冬馬さんが焼いたケーキもまた食べたいです俺!
   ほら、事務所のクリスマスパーティーの時に作ってくれたじゃないですか! あれもすっごくすっごく美味しくて!」

冬馬「………おっ、おう……」

翔太「冬馬君が押されてる」

北斗「冬馬は向こうから積極的にグイグイ来られると弱いからな」

巻緒「えっ、すいません! もしかして俺うざかったですか!? 引きました!?」

翔太「違う違う。ただのオタク童貞特有の人見知りだから気にしなくていいよ」

北斗「童貞は他人にいきなり距離を詰められるとパニックに陥る習性があるからな」

冬馬「どっ、どどど童貞ちゃうわ!」


東雲「微妙に発音がちゃいますね。正確には“童貞ちゃうわ”です」

冬馬「だ、だから童貞じゃねーし!!」

東雲「童貞ちゃうんですか?」

冬馬「どっ……」

東雲「ちゃうんですか?」

冬馬「……」

東雲「……」

冬馬「……」

東雲「……」

冬馬「………………ちゃうよ?」

 デデーン 翔太アウトー


翔太「なんなのそのキャラwwwww ぎゃっ!?」

 バチーンッ!


咲「ねーねー、ところでさっきからなんだか表が騒がしいけど何かあったの?」

北斗「……あー」

冬馬「いや……」

翔太「なんでもないよ」

咲「……? ぷぅ~。なんか今日はアスランも朝からどっか行っちゃってるし……
  この稼ぎ時の時間に何やってるんだろ? ぷくおこだよ!」プンプン

巻緒「まあまあ、サキちゃん。アスランさんにも何か事情があるんだよきっと」

咲「だってかみやもまた迷子になってるみたいでいないし……」

東雲「神谷の迷子はいつものことなのでほっといていいです」

咲「それはそうかもだけど~」

冬馬「神谷さんの扱い酷いな」

東雲「まあこんなところで立ち話もなんですしどうぞこちらへ。
   皆さん空腹でしょう、ぜひうちの料理を味わっていって下さい」

翔太「はー。これでやっと一息吐けるよ。疲れたあ~」

北斗「まだまだ先は長そうだけどな」


 ――カフェパレ テーブル席

咲「はいはーい、それじゃこれがメニューだよ! なんでも好きなものを注文してね♪」

翔太「うーん、どれにしよっかなー」

北斗「何か店員さんのオススメはあるの?」

咲「あたしのオススメはオムライス! まあいつもはアスランが作ってるんだけどね。
  今はいないから代わりにあたしとロールが腕を振るっちゃうよ!」

巻緒「アスランさんのオムライスは本当に絶品なんですよ。
   でも俺達も作るところは普段からしっかり観察してるんで味は保証します!」

翔太「ならそれにしようかな」

北斗「俺も」

冬馬「俺もそうする」

咲「オッケー! じゃあメニューにある名前をちゃんと言ってね!」

冬馬「名前……“ゲヘナ風逢魔が時オムライス~不穏な闇の風を添えて~”? なんだこりゃ」

咲「うんっ、ゲヘナオムライスが3つだね! パピッとご注文承り!」

巻緒「それじゃあ早速作ってきます。楽しみにしてて下さいね!」

翔太「はーい。あ、あとオレンジジュースももらえる?」

咲「りょーかい!」

北斗「ありがとう」

冬馬「……この名前変えた方がいいだろ絶対」


翔太「んっ、んん~っ! っはあ。あ゛ー肩凝った」ゴキッ

北斗「ひとまずのところは小休止だね」

冬馬「ちゃんとした椅子に座れんのは嬉しいけどこれはこれでやっぱりケツが痛てぇ」

北斗「ところで今まで何回叩かれたっけ?」

冬馬「そんなもん覚えてるわけないだろ」

翔太「24時間ってことは明日の朝までこれが続くわけだよね」

北斗「まだ半分どころか4時間くらいしか経ってないからな……」

冬馬「ほんとに死ぬんじゃねえのかこれ」

翔太「縁起でもないこと言わないでよ」

北斗「さっきも言ったけど死にかけたら基本桜庭さんがいるからね」

翔太「……薫さん……」ガクガクブルブル…

冬馬「心臓に剛毛生えてる翔太にこれだけのトラウマ植え付けるって相当だぞ」

翔太「あの人なんなの……ほんとなんなの……」

北斗「ドラスタはまだ残りの2人もいるしね。そもそも仕掛け人側にいるのかどうかすら分からないけど」

冬馬「まあ天道さんならもし来ても平気だろ。
   寒いダジャレ連発して滑り倒して全員セーフでハイ終わりみたいな感じだろ? どうせ。村上ショージ枠だ、あの人は」

北斗「冬馬、そういうネタ潰しはよせ」

翔太「ショージさんのネタ僕結構好きなんだけど……」




咲「お待たせしましたー、カフェパレ特製オムライスだよ!」コトッ

巻緒「皆さんどうぞ召し上がって下さい!」コトッ

翔太「わー、来た来た。いい匂い。美味しそう!」

北斗「ほんとだね」

巻緒「決め手はデミグラスソースです。隠し味にカレーを入れてあるのできっと冬馬さんの口に合うと思いますよ!」

冬馬「へえ、これはなかなか……」

咲「でしょ? さてさて、それじゃあ食べる前に最後の仕上げだよ。
  あたしがもーっと美味しくなっちゃう魔法の呪文かけてあげる♪」

冬馬「……魔法?」

咲「うん! みんなもあたしの後に続いて一緒に声をかけてね! いっくよー!」



咲「美味しくなあれ☆ パピパピきゅんっ☆ さん、はいっ」

翔太「美味しくなーれ! パピパピきゅんっ!」

北斗「美味しくなあれ。パピパピきゅん☆」

冬馬「………………」

咲「うんうん、しょうたとほくとはカンペキだね♪ でもでもー、とうまは声出てないぞー?」

冬馬「……いや……だって……」

咲「だってじゃないー。さあ、恥ずかしがってないでもう1度!」

冬馬「……」

翔太「ねー、僕たちはもう食べてもいい?」

咲「もっちろん。冷めない内に召し上がれ☆」

翔太「やったっ! いっただっきまーす!」パクッ

北斗「いただきます」パクッ

冬馬「……」

翔太「……うわっ、美味しい! すっごく美味しいよこれ!」モグモグ

北斗「うん。卵がフワフワしていい感じに半熟だね。スプーンを入れるとトロッととろけて見た目も綺麗だ」モグモグ

翔太「それにケチャップライスが全然ベチャベチャしてない! サラッとしてる!」

北斗「ソースも時間をかけてよく煮込んであるのが分かるよ。カレーの香りがとてもいいね」

冬馬「……」ゴクッ


巻緒「食後のスイーツにはもちろん荘一郎さんのケーキも用意してありますからね! 期待してて下さい!」

翔太「至れり尽くせりで幸せだな~。今この瞬間だけは」パクパク

北斗「今朝から疲れてただけにより美味しく感じるね」パクパク

冬馬「……」

咲「ほらほら、とうまもせっかくのお料理が冷めちゃう前に一緒に呪文かけよ?」

冬馬「ぐっ……!」

咲「さん、はいっ! 美味しくなあれ☆ パピパピきゅんっ☆」

冬馬「……お、美味しくなあれ……」

咲「美味しくなあれ☆ パピパピきゅんっ☆」

冬馬「美味しく……なあれ……パピパピ……」

咲「美味しくなあれ☆ パピパピきゅんっ☆」

冬馬「……美味しくなあれ、パピパピきゅん……」

咲「美味しく、美味しく、美味しくなあれ!」

冬馬「……美味しく美味しく美味しくなあれ」

冬馬「美味しく、美味しく、美味しくなあれ!!」

冬馬「………美味しく美味しく美味しくなあれ!」

咲「フワフワたまごは山形産!」

冬馬「フワフワたまごは山形産!」

咲「新鮮トマトは熊本産!」

冬馬「新鮮トマトは熊本産!」

咲「おせちもいいけどカレーもね!」

冬馬「おせちもいいけどカレーもね!」

咲「3時のおやつは鳩サブレ!」

冬馬「3時のおやつは鳩サブレ!」

咲「お猿のお尻は真っ赤っか!」

冬馬「お猿のお尻は真っ赤っか!」

咲「シックス・センスはブルース・ウィリス!」

冬馬「シックス・センスはブルース・ウィリス!」


咲「ナマ足魅惑のマーメイド!」

冬馬「ナマ足魅惑のマーメイド!」

咲「にゃんにゃんサキちゃん、サキにゃんにゃん!」

冬馬「にゃんにゃんサキちゃん、サキにゃんにゃん!」

咲「壊して直して分かってるのに!」

冬馬「壊して直して分かってるのに!」

咲「それがあたしの性格だから!」

冬馬「それがあたしの性格だから!」

咲「もどかしい気持ちであやふやなままで!」

冬馬「もどかしい気持ちであやふやなままで!」

咲「とうまはこの後タイキック!」

冬馬「とうまはこの後タイキック! …………ん?」


 デデーン 冬馬タイキックー


冬馬「!?」




咲「はーい。パピッとタイキックの時間だよー☆」

冬馬「………っはああああああっっ!!??」

冬馬「いやっ、だっ! ムリムリムリムリムリムリムリ!!!!」

冬馬「それだけは無理!! いくらなんでもこんな筋肉アーマー装備した野郎共からタイキックとか死ぬ! ケツが弾け飛ぶ!!」

タイツ男達「…………」

冬馬「元自衛官にメダリストだぞ!? オリンピックだぞ!? 世界レベルだぞ!?」

冬馬「マジで! 死ぬから! 俺の! ケツが! 壊れる! 壊れちゃう!!」

翔太「っふ……ど、どんだけ往生際悪いの冬馬君……」フルフル…

北斗「みっともないぞ冬馬。俺達のリーダーならそれぐらい覚悟を決めて受け入れろ」

冬馬「お前ら他人事だと思って高みの見物決め込んでんじゃねえぞ!! 下手して痔にでもなったらどうしてくれんだ!!」

北斗「地主アイドルか。新しいね」

翔太「イケるイケる。新規ファン開拓出来る」

冬馬「出来ねえよ!! 出来たとしてもぜってぇ二丁目系だよ!!」

ヘーイ!

予想できた流れなのにワロタ


細かいとは思うけど巻緒は「冬馬くん」な

>>113
oh……やってしまった……申し訳ない

あと>>109の台詞も
×冬馬「美味しく、美味しく、美味しくなあれ!!」
○咲「美味しく、美味しく、美味しくなあれ!!」

でした、すみません


咲「待って待って。なんだか勘違いしてるみたいだけどタイキックするのはあたしだよ?」

冬馬「……えっ?」

咲「だからそっちのバット持ってる人たちじゃなくてあたしがとうまにキックするの」

冬馬「…………ああ、なんだ。そういうことならまあ……」

翔太「えー、なーんだ。つまんないの」

北斗「冬馬のリアクションって面白いのにね」

冬馬「てめえらほんと今度まとめて筋肉バスターかけてやるからな……」ビキビキッ

巻緒「あ、ちょうど荘一郎さんのケーキも来ましたよ」

東雲「お待たせしました。本日のスイーツはザッハトルテです」コトッ

翔太「わあ、これも美味しそうだなあ」

北斗「ああ。デコレーションも可愛らしいね。女性と一緒に来たら喜ばれそうだ」

冬馬「俺にも……俺にもメシ……メシをくれ……」

巻緒「元気出して下さい冬馬くん、これさえ終わればホントに食べられますよ!」

咲「そうだよ~」

冬馬「うぐぅ……」

東雲「あ、そうそう天ヶ瀬さん」

冬馬「はい?」

東雲「一応補足説明しておきますと水嶋さんは我々の中で一番強いですので」

冬馬「……は?」

東雲「水嶋さんは私達より強いです」

冬馬「……メンタル的な意味で?」

東雲「フィジカル的な意味で」

冬馬「」

咲「よっし、それじゃあいっくよー?」スタンッ スタンッ

冬馬「……えっ? いやいや待ってくれよ。どういう……えっ?」





咲「―――ッシャア!! ラッシャオラァッッ!!!! いくぞおらぁっ!!」パンパンッ

冬馬「…………え?」

そう言えばアスランをガチでビビらせてたな


 気付いた時には水嶋咲は冬馬から数メートル程の距離を取り、グッと足裏で床を力強く踏みしめていた。

 かと思えばもう既に次の瞬間には彼(?)の膝はまるでバネのように……その身体全体を弾丸が如く加速させている。


 脚力×スピード×体重=破壊力。


 助走を付け、勢いの上乗せられた獅子の猛攻はもはやなんぴとにも止められはしない。


 ―――それは蹴りと言うにはあまりにも強過ぎた。強く、速く、重く、そして大雑把すぎた。

 それは正に鉄塊だった。

 細く小柄な彼(?)の身体の一体どこにそれだけの力が秘められていたのか?
 それは誰にも分からない。あるいは本人にすら理解出来ていないかもしれない。

 冬馬が知り得たのはただその鍛え抜かれた鋼の肉体が彼(?)自身の限界をも超え……

 音すらも置き去りにするかと思われる程の俊敏さをもって己のケツに迫ってくるということだけ―――ッ!











   ズ ド ン ッ ! !



冬馬「          」




 寸分の狂いもなく冬馬のケツのド真ん中ストレートに突き刺さった鋭い蹴りは、一拍遅れて哀れな彼に断末魔の絶叫を上げさせた…………







冬馬「………………」死~ん…

翔太「……これほんとに死んでないよね? 大丈夫だよね? なんかピクリともしないんだけど」

北斗「流石に俺もここまでとは思わなかった」

咲「あははー、ごめんね。ちょっと気合い入れて強く蹴り過ぎちゃったかも。てへぺろっ☆」

巻緒「ナイスキックだったよサキちゃん!」

東雲「……本当に水嶋さんは何者なんでしょうか」

翔太「おーい、冬馬くーん。大丈夫ー? 生きてるー?」ツンツン

北斗「冬馬、起きろ。せっかくの料理が冷めるぞ」

冬馬「がっ……うぅ、おえっ……」ヨロッ…

翔太「おー。立ち上がった」

北斗「それでこそジュピターのリーダーだ」

冬馬「お、まえら……ぐおお……痛ぇぇぇ……」プルプルプルッ…

巻緒「なんだか力石戦のジョーみたいでカッコイイです冬馬くん!」

咲「文字通り燃え尽きてるね!」

東雲「いえ、どちらかというと力石の方なのでは……?」

冬馬「クッソが…………完全復活だオラァッ!!」ガバッ!

翔太「おお~」パチパチ

北斗「おお~」パチパチ

咲「おお~」パチパチ

巻緒「おお~」パチパチ

東雲「おお~」パチパチ

タイツ男達「…………」パチパチ


冬馬「はあはあ……うっしゃ、これでやっとメシが食えるぜ!」

翔太「よかったね。まあもう大分冷めちゃってるけど。ザッハトルテ美味しい」モグモグ

北斗「美味しいよね」モグモグ

冬馬「割と本気で今ジュピターの解散考えてるぞ俺」


東雲「あ、ところで先程の天ヶ瀬さんの呪文のくだりをこちらに録音してあるんですけど」

冬馬「……あ?」

東雲「折角ですからゆっくり食事しながらでいいのでみんなで聞きましょうか」

冬馬「……いや、何言って……は?」

翔太「へー、いいねいいね! 聞こう聞こう」

北斗「うん。なんだか楽しそうだ」

冬馬「な、なんでそんなことを……」

東雲「いい記念になるかと思いまして」

冬馬「だからなんの記念だよ!?」

東雲「ポチッとな」ピッ




冬馬『……美味しくなあれ、パピパピきゅん……』

冬馬『………美味しく美味しく美味しくなあれ!』

冬馬『フワフワたまごは山形産!』

冬馬『新鮮トマトは熊本産!』

冬馬『おせちもいいけどカレーもね!』

冬馬『シックス・センスはブルース・ウィリス!』


冬馬「………………」

翔太「……改めて聞くと訳分かんないねコレ。冬馬君の口からきゅんとか出てくる時点で面白いけど」

北斗「冬馬ってほんと美味しいキャラしてるよね」

冬馬「お前にだけは言われたくない」

咲「あたしは魔法の呪文って素敵だと思うんだけどな~」

巻緒「サキちゃん魔法少女とか好きだもんね」


冬馬『3時のおやつは鳩サブレ!』

冬馬『お猿のお尻は真っ赤っか!』

冬馬『ナマ足魅惑のマーメイド!』

冬馬『にゃんにゃんサキちゃん、サキにゃんにゃん!』

冬馬「……」

冬馬『おせちもいいけどカレーも……シックス・センスはブルース……』

冬馬「……ん?」

冬馬『おせ……シックス……』



冬馬『おせックス!!』

 デデーン 北斗、翔太、アウトー


冬馬『おせックス! サキちゃんとおせックス!!』


冬馬『3時のおやつはサキちゃん!』


冬馬『サキちゃんとにゃんにゃん! ナマ足メイドサキちゃんとにゃんにゃん!』


冬馬『もどかしい気持ちでにゃんにゃん! あやふやなままでにゃんにゃん!』


冬馬『お猿のお尻は鳩サブレ!』


冬馬『とうまのお尻はタイカレー!』


冬馬『とうまのお尻からカレー!』


冬馬『新鮮カレーはお尻から!』


冬馬『とうまの魅惑のナマ足せックス!』


冬馬『とうまのお尻は真っ赤っか!』


冬馬『とうまのフワフワお尻はせックス!!』



冬馬「やめろぉぉぉおおおおおおお!!!!!!」

翔太「ひぃっ、ひーっ! あはっ、あははははっ! あっはっはっはっはっ!!」ゲラゲラゲラ

北斗「……っ! ……っっ!」ドンドンッ!

冬馬「うわあああああああああ!!!!!」

単語のチョイスはこの為かww

笑いすぎて過呼吸なりかけたw


冬馬『とうまのお尻壊してせックス!!』


冬馬『直してせックス!! 壊してせックス!!』


冬馬『それがとうまの性だから!!』


冬馬『とうまのカレーは熊本産!!』


冬馬『とうまのお尻からナマカレー!!』


冬馬『とうまはこの後鳩サブレせックス!!』


冬馬『とうまのお尻美味しくなあれ!!』




冬馬「もういい!!!! もういいから!!!! やめろ!!!! マジで!!!! 止めろ!!!!」

翔太「ふぁーーーーーwwwwww」バンバンバンッ!

北斗「あはははははははっ!! あっはっはっは!!」ゲラゲラゲラ

翔太「ヒィーーーーーwwwwww」ケラケラケラ

北斗「ンフッ、フフフッ、フフフフフッ、ンフフフフフッ……!」プルプルプルッ…

冬馬「笑い過ぎだろお前ら!!!!!!」







 バチーンッ!

北斗・翔太「男ケツッッ!!!!」


翔太「……っはー。笑った笑った。ありがとう冬馬君。冬馬君のおかげでなんか生きる希望が湧いてきたよ」

冬馬「……」

北斗「世の中の大抵の辛いことなんて所詮は笑いの前に吹き飛ばされてしまう程度の瑣末なことなんだと教えられたよ」

冬馬「……」

翔太「これから3ヶ月はこのネタだけでごはん食べられるよ僕」

冬馬「……」

北斗「ジュピターの一員としてずっと冬馬に付いて来てよかった。今、俺は心からそう感じてるよ」

冬馬「……」

咲「とうまって結構ヘヴィーな趣味の人だったんだね。知らなかった」

東雲「闇が深いですね」

咲「でもごめんね。あたしはあくまで自分らしく生きるためにこの恰好をしてるだけだから……とうまの気持ちには応えてあげられないかな」

巻緒「冬馬くんドンマイです! 大丈夫、きっといつかは冬馬くんの趣味を分かってくれる人だって現れますよ! 来世に期待して待ちましょう!」

翔太「というか鳩サブレセックスってどういうプレイなの? マニアック過ぎるでしょ」

北斗「人の趣味にとやかく口を出す気はないけど……流石にそこまでディープな性的嗜好はアイドルとして問題だと思うぞ」

冬馬「ねえよ、そんな趣味!!!!」


巻緒「まあまあ冬馬くん。そう怒鳴ってばかりいたら余計に体力を消耗しちゃいますよ?」

冬馬「主にあんたらのせいなんだけど」

東雲「タイキックも済んだことですし、遅くなりましたがどうぞ本当に召し上がって下さい。
   うちの料理は冷めても美味しいですよ」

冬馬「……いや……だって……これ」

翔太「ほら、カレー風味だよ冬馬君。カレー風味」

北斗「冬馬の大好きなカレー風味だぞ。思う存分腹一杯食べなよ」

冬馬「…………」

巻緒「冬馬くん?」

冬馬「…………食べたくない」

咲「えー!? せっかく頑張ってとうま達のために作ったのにー!」

巻緒「すいません、お気に召してもらえなかったですか……?」

冬馬「…………食べたくない!!!!」

翔太「冬馬君、子供みたいなワガママ言ってないで食べなよ。お腹空いてるんでしょ? 冬馬君のカレーだよ?」

北斗「ああ、冬馬のカレーだ」

冬馬「カレーカレー連呼すんじゃねえよ!!」

東雲「……調理に携わる者としてお残しは許しまへんで?」ギラッ

冬馬「ぐぬっ……!」

咲「ほらほら、なんならあたしがあーんってしてあげるから」

巻緒「さあ、勇気を出して食べましょう? 冬馬くん」

冬馬「ちくしょう……ちくしょう……」グスッ


 カランコロンッ…

巻緒「……あれ。新しいお客さんかな?」

咲「はいはーい! いらっしゃいませ、何名様で……」


神谷「ああ、よかった。無事に帰ってこれた」

あずさ「あらあら~。お洒落なお店ですね~」ヒョコッ

東雲「え?」

翔太「あ、あずささんだ」

北斗「ほんとだ」

冬馬「……まーた765の奴かよ……」ハァ

咲「ええええっ! ほんとに765プロのあずささん!? うそ、本物!?」

あずさ「あら?」


神谷幸広
http://imepic.jp/20160727/621850
同上。カフェパレのオーナー兼ギャルソン。旅行好きだがとんでもない方向音痴
また幽霊が苦手、勉強が出来ないなど見た目に反して実は案外ポンコツ


咲「やっぱり本当の本当にあずささんだ! わあ、やっぱり実物って超キレイ~!
  それにスタイルもパピッと抜群! ウェスト細ーい! 髪もサラサラ~!!」キャッキャッ

あずさ「あらあら、うふふ」

咲「キャー! 生あらあらうふふだーっ!!」

巻緒「お帰りなさい神谷さん! でも一体どうしたんですか? そちらの方は?」

神谷「ただいま。いやあ、それが実は例の通りまた迷ってたんだが……。ついさっき同じ状況の彼女に道を尋ねられてね」

あずさ「すみません。事務所に向かうために少し前に一度プロデューサーさんに迎えに来てはもらったんですけど」

あずさ「コンビニに寄るために一旦車を降ろしてもらったらその間にまた迷子になってしまって……」

冬馬「たかがコンビニ行くだけで迷子って……」

あずさ「慌てて連絡しようと思ったらあいにく携帯の充電が切れてしまったの。
    それでたまたま近くにいたこの方に道をお尋ねしたんです」


東雲「よりによって一番頼んではいけない相手に……」

北斗「でもそれでよくここまで辿り着けましたね?」

神谷「それがそれまで散々迷ってたのが、なぜか彼女と歩き始めてからはまったく方向を間違えることなくすぐに店まで着けたんだ」

冬馬「…………すげえ! マイナスとマイナスが掛け合わされてプラスになった!!」

翔太「それ以上に的確な言葉が見つからないね」

東雲「というかそれなら神谷のの方の携帯で連絡を取ればよかったんじゃ?」

神谷「……あっ!」

あずさ「……あっ!」

冬馬「天然は掛け合わせてもそのまま倍になっただけか……」

巻緒「でもすごいですよ! こんな偶然ってあるんですね! もしかしたらこれって運命なんじゃないですか!?」

咲「えっ! かみや、あずささんと結婚するの!?」

神谷「ええっ!?」

東雲「ふむ。まあこちらとしても神谷の迷子癖が改善されるのなら願ったり叶ったりではありますけど」

神谷「おいおい……」

あずさ「あらあら、そう言っていただけるのはありがたいですけど……」

あずさ「残念ながら今の私は765プロのみんなやファンの皆さんのことが一番大事ですから」

あずさ「確かにいつかは女として誰か一人だけのお嫁さんにはなってみたいけれど
    今はまだ応援してくれる大勢の人達にとってのアイドル三浦あずさでいたいかしら……ふふっ」

咲「あずささん……カッコイイ……」


冬馬「……いや、でもあんたってそもそも運命の人を見つけるとかなんとかいう理由でアイドルになったんじゃなかったか?」

あずさ「それとこれとは話が別です」キッパリ

冬馬「えっ」

あずさ「別です」

冬馬「……」

北斗「別かあ。別なら仕方ないな」

翔太「別なら仕方ないね」

冬馬「ええ……」

あずさ「それに運命の人候補はもう既に見つけてたり……なーんて。ふふっ、うふふっ」

冬馬「……あのプロデューサーほんといつか刺されねえかなあ」

神谷「俺も結婚とかは全然考えてないよ。正直、俺には放浪癖があるから仮に所帯を持ったら相手の女性に迷惑をかけてしまいそうだし」

巻緒「そんな、神谷さんならそれでも結婚したいっていう女性はいっぱいいると思いますよ?
   あっ、そうだ! なら同じ旅行好きの女の人を探してみたらどうですか?」

神谷「はは、ありがとう。まあでもメキシコで追い剥ぎに遭った時みたいに危険な事件に遭遇する可能性もあるからな。
   そういうことに相手を巻き込んでしまうわけにもいかないよ」

東雲「それが賢明な判断でしょうね」

咲「じゃあじゃあ、かみやはまだ結婚しない? これからもあたし達とずっと一緒にカフェパレやってくれる?」

神谷「ああ、もちろん」

咲「よかったあ~」ホッ

あずさ「うふふ、いい話ね~」


咲「……あっ! あのあの! あたし実はずっと前から765プロのファンで……あずささんの歌も大好きなんです!!」

咲「特にラブリが好きで……すっごくすっごく可愛い曲で、ほんとに何回も何回も聴いてて……」

咲「あっ、もちろん主演の映画も見に行きました! だからその、もしよかったらサインとかって……」モジモジ…

あずさ「まあ、嬉しいわ~。もちろん喜んで」ニコッ

咲「きゃーっ! やったっ!」ピョンッ

あずさ「私はどちらかというと男性のファンの方が多いから女の子のファンって結構貴重なの。ありがたいわ」

咲「えへへ……」テレッ

巻緒「よかったねサキちゃん!」

冬馬「…………女の子?」

翔太「そこはツッコまなくていいよ。面倒臭いから」

北斗「2人ともとても可愛らしくて微笑ましいね」

冬馬「……というかなんだこの無駄に和気藹々とした空気は」

翔太「いいことじゃん、平和で」

冬馬「だって1人だけタイキックされた上に勝手な性癖まで捏造された俺の立場は?」

翔太「逆に冬馬君に立場あった時あるの?」

北斗「ないよね」

冬馬「なんでだよ! 俺リーダーやぞ! ジュピターのリーダーやぞ!!」

あずさ「よく分かりませんけどいいじゃないですか。
    そちらはちょうど2周年でこれからますます盛り上がっていく時でしょう~?」

あずさ「私たちなんて既に11年選手で……最近はシンデレラの子たちに押され気味なところもあるし……」ショボ~ン…

翔太「そういうギリギリかつ生々しいメタ発言はやめてほんと……」

北斗「大丈夫です、シンデレラの方にもあなたの中の人は生きてます。
   それに11年も長くコンテンツが続いていること自体が既にとんでもなく素晴らしい偉業なんですよ」

冬馬「いいだろ別にあんたらにはプラチナスターズあるんだから」

あずさ「……皆さんぜひ買って下さいね~!」

翔太「露骨に宣伝したよこの人」

北斗「そんなちゃっかりしたところも魅力的ですよ」

冬馬「言っとくが俺らの方だって虎牙道とAltessimoのCD出たんだからな!! ナメんなよ!!」

HOT LIMITになったりそばかすになったりワロタ

お尻からカレー系列が最高に酷い(誉め言葉)


神谷「なんだか俺のいない間に随分盛り上がってたみたいだな」

東雲「天ヶ瀬さん的には盛り下がってたという方が正しいですけどね」

神谷「しかし結婚か。俺も仕事でならやったことはあるけど」

東雲「そういえば神谷は一度式場のプロモーション撮影で新郎役は経験していたんでしたね」

神谷「うん」

あずさ「あの~、ところで私はこの後どうすれば……」

東雲「ああすいません、気が利きませんで。私からそちらのプロデューサーさんに連絡しましょう。
   迎えを待つ間、あなたもどうぞうちのケーキと紅茶でも召し上がっていって下さい」

あずさ「まあ、それはありがとうございます助かります~。楽しみだわ~。
    私、甘いものには目がないものですから……あら?」ガサゴソ

咲「どうしたの?」

あずさ「いえ、今私の鞄の中を見たら何か封筒が……」ピラッ

巻緒「封筒?」

あずさ「私は知らないですし、多分車に乗っている間にプロデューサーさんが入れたものだと思うんですけど」

咲「えっ、ってことはもしかしてあずささん宛てのラブレターなんじゃ!?」

あずさ「えええっ!? ま、まあまあそんな……どうしましょう~?」オロオロ…

冬馬「オロオロしてる割にはすっげー笑顔だな」

あずさ「……ん? いえ、よく見たらプロデューサーさんの字で“北斗へ”って書いてありますね」

北斗「……俺ですか?」

咲「え゛っ、じゃあまさかほくとへのラブレターなの!?」

東雲「なんでやねん」

あずさ「……どうぞ」スッ

北斗「は、はあ……」

翔太「さっきまで笑顔だったのが途端に今にも舌打ちしそうな顔に変わったね」

冬馬「なんだなんだ。何が入ってた?」

北斗「待って、えーっと……」カサッ

翔太「なになに?」




北斗「…………黒井社長と秘書さんが×××してる写真入ってた」

冬馬・翔太「ブフォッ…!」


 デデーン 冬馬、翔太、アウトー


冬馬「オッサン……ッ!! っだあああああっっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「無事に結ばれたんだね、よかったね……あ痛ったあああああ!!??」

 バチーンッ!


北斗「……」

翔太「いたたた……ねえ北斗君、それ僕にもちゃんと見せてよ」

北斗「……いや、悪いけどこれはちょっと未成年には見せられないやつだ」

冬馬「どんだけだよ……っつかあのプロデューサー全然本来の自分の仕事に戻ってねえじゃねーか」


<ようこそ~Cafe Paradeへ~♪ 最高のパーティーが始まるから~♪

神谷「……ん? なんだ? 着信音?」

咲「んっ、あたしのスマホだ……誰だろ? ああっ、アスランからだ!」

巻緒「アスランさんから?」

咲「はい、もしもし! もーっ! アスラン何やってるの? こっちは……え、なに?」


咲「……ドラゴンが息を吹き返した? え、なんの話?」


咲「瀕死のドラゴンが死の淵から生還したって……だからなんの……は? よかった? え、ドラゴン蘇ったのに?」


咲「意味分かん……あっ、アスラン!? しばらくこっちに付き添うから店には戻れないって、だからどこに……アスラン? アスラーン!?」





冬馬「……向こうも一命はとりとめたみたいだな」

翔太「こっちもおめでたいね」

北斗「少なくとも黒井社長と龍的にはめでたくはないと思う」



 ――カフェパレ 店の前

翔太「んん~っ! ここはここで疲れたけど、とりあえずごはんは食べられてよかったー。お腹いっぱい!」

北斗「最後に神谷さんが淹れてくれた紅茶も美味しかったね」

冬馬「俺は結局あんま食えなかった……」ゲッソリ

翔太「……ん? ねえ、2人とも見て。なんか向こうの方に……」

冬馬「あん?」



大吾「―――!」ペチャクチャ

一希「―――!」ペチャクチャ


兜大吾
http://imepic.jp/20160728/674480
F-LAGSのメンバーの1人。広島出身の六代目。好きなものは「はなまる笑顔」

九十九一希
http://imepic.jp/20160728/674490
同上。元々は小説家である父親のゴーストライターをしていた
読書好きでもあるが趣味はキャンプな意外とアウトドア派



北斗「F-LAGSの2人だね」

冬馬「……次はあいつらかよ」

翔太「なんかスマホ持ってウロウロしてるけど」

北斗「どう見てもポケモンGOやってるよね」


大吾「ふーむ。案外見つからんもんじゃのぉ~」テクテク

一希「……ああ」テクテク

大吾「また場所を移って探してみるのも手じゃが……どうする先生?」

一希「……どうするか。しかしなかなか奥が深いな……このポケモンRYOは」


 ザワッ…!!

通行人1「……なに? ポケモンRYO?」ヒソヒソ

通行人2「今絶対ポケモンRYOって聞こえたよな?」ヒソヒソ

通行人3「ああ。それにあの2人……涼ちんと同じF-LAGSの……」ヒソヒソ

 ザワザワザワッ…


通行人1「ということは……ポケモンRYOは……現実?」

通行人2「つまり……涼ちんのポケットモンスター(意味深)をゲット出来るゲームってことか!?」

通行人3「な、なんだってー!?」

通行人1「やらなきゃ(使命感)」



一希「……あ。見つけたぞ」

大吾「おっ、ほんとか先生! なんじゃなんじゃ? なにを見つけた?」

一希「……タマタマとディルドだ。いや、違った。ディグダだった」


 デデーン 全員アウトー





冬馬「……クソがッ! こんな雑過ぎるド直球なネタで……!! んがあっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「なんかだんだん下ネタが露骨になってきてる気がする……ぎゃんっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「みんな歩きスマホはしないようにね……ちゃお゛っ!!??」

 バチーンッ!

涼ちんのディrグダはダグトリオか…

3つ棒あったところで穴の方はどうするんですかねぇ……



山村「皆さん、お昼ごはんはしっかり食べましたか? まだまだ午後は長いですからね、体力を付けることは大事ですよ」テクテク

冬馬「……ほんとどこからともなく現れるなあんた」

翔太「そろそろ賢君のあだ名をニコニコクソメガネにしようかと考えてるレベルだよ」チッ

山村「仮にも国民的弟アイドルと言われてる人がしちゃいけない顔してますよ、翔太くん。
   さて、ところで次は皆しゃ……皆さんにですね」

翔太「また噛んだし……」

冬馬「鬼畜キャラでいくのかポンコツキャラでいくのかはっきりしろよ」

北斗「もう新ジャンル:鬼畜系ポンコツでいいんじゃない?」

山村「皆さんにはこの近くのスタジオで収録見学をしてもらいます!」

冬馬「……見学?」

山村「はい。今ちょうどうちの事務所のアイドル達がお仕事中なので
   ジュピターの3人には是非その様子をじっくり観察して、先輩の立場に甘えきってたるんだ我が身を振り返り、しっかり反省していただきたいと」

翔太「その設定まだ生きてたの?」

北斗「そういえば当初はなんかそんな感じの話だったね」

冬馬「ただの社長とプロデューサーの気まぐれってぶっちゃけてただろあんた」

山村「正直に言わせてもらえば……あなた達にはフレッシュさが足りないんです!」

冬馬「はあ……?」

山村「フレッシュさ、要するに若々しさですね。ジュピターにはその部分が圧倒的に足りていないんですよ」

北斗「そうなの?」

冬馬「どう考えても適当ぶっこいてるだけだろ」

山村「良く言うならジュピターは既に完成され過ぎているんです。
   ぼく達315プロのコンセプトは“理由(ワケ)あってアイドル”ですよね?」

翔太「そうだね」


山村「ですからうちのプロダクションに所属しているのは元々は違う職業を持ち、その前職から転身してアイドルになった……」

山村「いわば完全に素人の状態からこの仕事を始めた人達がほとんどなわけです」

冬馬「……まあそれはそうだけど」

山村「そんな中であなた達ジュピターは前職もアイドル。
   確かに場数を踏んでいる分、あなた達はアイドルとしては全体的にレベルが高いです」

山村「歌もダンスもサービス精神も一定以上のクオリティを持ち合わせていることは事実です」

翔太「なんか誉められてるっぽいよ」

北斗「素直に喜べないのは何故なんだろうな」

山村「けれどファンの皆さんが求めているのは必ずしもそれだけではないはずなんですよ」

冬馬「? どういうことだよ?」

山村「みんながアイドルという存在に求めているのは初々しさ、ゼロから始まって少しずつ成長していく姿だと思うんです」

山村「初めから完成されている必要なんてない、逆に親が子を見守るように自分達の手でアイドルの卵を育て上げていく……」

山村「言わば“ワシが育てた”的カタルシスをこそファンは求めているんじゃないでしょうか?」

山村「その点においてジュピターにはそういった伸びしろがやや欠けているんですよ」

北斗「……なんか本当にそれっぽい理由こじつけてきたね」

冬馬「何言ってんだ、俺達だって今もちゃんと成長し続けてるっつーの」

翔太「それに僕たちって315プロ内でも平均年齢は低い方だよね? むしろ将来性は抜群だと思うんだけど」

北斗「まあうちには平均年齢28.3歳の教師ユニットとかいるからね」


山村「甘いですよ。うちにはもっと若々しく、もっと初々しい全員が小学生というユニットが存在するでしょ?」

冬馬「……あー。なるほど、もふもふえんか」

山村「おまけに向こうも元子役だったりキッズモデルだったりと芸歴、プロ意識の高さ、共にジュピターに引けは取りません」

北斗「それは確かにすごいことだよね。俺なんて小学生の頃は女の子のことしか考えてなかったし」

冬馬「それは今もだろ」

翔太「僕は遊ぶことしか考えてなかったな~」

山村「つまりそういうことです。フレッシュさとガッツ溢れる彼らの仕事ぶりを見て
   みんなも初心に返って新しくいろいろなことを学びましょう!」

冬馬「……いまいち納得いかねえけど、まあ他の奴らの仕事を外から見る機会ってのは確かに貴重かもな」

北斗「やっとアイドルとしてそれらしい企画になってきたね」

翔太「まあ今はお腹も膨れて機嫌いいし、僕はそれで構わないよ。
   もふもふえんの子達には前に共演した時助けてもらった恩もあるし」

山村「それではさっそくスタジオの方へ向かいましょう! 皆さん、ぼくの後に付いて来て下さいね」テクテク

冬馬「……はいはい」テクテク

北斗(白鳥)「この格好で大道を歩き回るのか……」テクテク

翔太「そこは今更だよ北斗君」テクテク

タイツ男達「…………」ゾロゾロ…







 ――某テレビ局 撮影スタジオ


司会「テレビの前のいい子のみんなー! こんにちはー!」

司会「おかあさんとおとうさんと酒と泪と男と女と部屋とワイシャツと私と俺とお前と大五郎の時間だよーっ!」

司会「大人気な楽しいクイズに挑戦! のこのコーナー、今日はスタジオにとっても可愛くて元気いっぱいなアイドルのみんなに来てもらってるよ!」

司会「みんなは一体何問正解出来るかな? 一緒に考えてみてね!」

司会「それじゃあクイズに回答してくれるみんな、元気にごあいさつと自己紹介してくれるかなー?」

志狼「おう! 橘志狼、11歳だ! ミニマムビッグなオレ様の活躍をよーく見てろよな! よろしく!」


橘志狼
http://imepic.jp/20160729/746780
小学生3人組ショタユニットもふもふえんに所属
将来は世界で活躍するダンサーになってお台場に自由の女神ぐらい大きな自分の像を立てさせることが夢なやんちゃ系ショタ


直央「岡村直央、11歳です。えっと、えっと……い、一生懸命がんばるのでよろしくお願いします!」


岡村直央
http://imepic.jp/20160729/746790
同上。元々子役で声優経験もある気弱系ショタ
メガネキャラだがアイドル衣装の時は外していることが多い
母親がジュピターのファンで本人も憧れている


かのん「姫野かのん、9歳だよ! ちちんぷいぷい、ジャスティスキュートッ★ よろしくねっ♪」


姫野かのん
同上。父親がファッションデザイナーであり、そのモデルをやっている
可愛くてキラキラしたものが好きなあざとい系ショタ
実は315プロ内でも上位レベルで闇が深い


柏木「柏木翼、24歳です! よろしくお願いします! カレーは飲み物です!」


 デデーン 全員アウトー

>>141
ミスった……修正↓







 ――某テレビ局 撮影スタジオ


司会「テレビの前のいい子のみんなー! こんにちはー!」

司会「おかあさんとおとうさんと酒と泪と男と女と部屋とワイシャツと私と俺とお前と大五郎の時間だよーっ!」

司会「大人気の楽しいクイズに挑戦! のこのコーナー、今日はスタジオにとっても可愛くて元気いっぱいなアイドルのみんなに来てもらってるよ!」

司会「みんなは一体何問正解出来るかな? 一緒に考えてみてね!」

司会「それじゃあクイズに回答してくれるみんな、元気にごあいさつと自己紹介してくれるかなー?」

志狼「おう! 橘志狼、11歳だ! ミニマムビッグなオレ様の活躍をよーく見てろよな! よろしく!」


橘志狼
http://imepic.jp/20160729/746780
小学生3人組ショタユニットもふもふえんに所属
将来は世界で活躍するダンサーになってお台場に自由の女神ぐらい大きな自分の像を立てさせることが夢なやんちゃ系ショタ


直央「岡村直央、11歳です。えっと、えっと……い、一生懸命がんばるのでよろしくお願いします!」


岡村直央
http://imepic.jp/20160729/746790
同上。元々子役で声優経験もある気弱系ショタ。母親がジュピターのファンで本人も憧れている


かのん「姫野かのん、9歳だよ! ちちんぷいぷい、ジャスティスキュートッ★ よろしくねっ♪」


姫野かのん
http://imepic.jp/20160729/746791
同上。父親がファッションデザイナーであり、そのモデルをやっている
可愛くてキラキラしたものが好きなあざとい系ショタ
実は315プロ内でも上位レベルで闇が深い


柏木「柏木翼、24歳です! よろしくお願いします! カレーは飲み物です!」


 デデーン 全員アウトー


柏木翼
http://imepic.jp/20160729/746800
桜庭薫と同じDRAMATIC STARSに所属。元パイロット候補生。大食い、大柄で大らかなその性格から大型犬と称されている


司会「うんうんっ! みんな大きな声でごあいさつありがとう!
   じゃあさっそくお楽しみのクイズのコーナーいってみよう!」

全員「はーい!!」





冬馬「……なんでだよ……なんであんなに違和感がねえんだ……へぶしっっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「カレーは飲み物て……んぎぃっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「24歳にフレッシュさで負けてる俺達って一体……ごあっ!!??」

 バチーンッ!



山村「年齢を重ねてもいつまでも子供のような純粋さを持ち続けている人もいるってことですよ。
   芸能界の闇に飲まれて汚れてしまったあなた達とは違うんです。見習って下さい」

冬馬「あんた本気で今度ぶん殴るからな」


司会「私が問題を出すからみんなは手元のフリップに考えた答えを書いてね!
   さてさて第1問、いっくよー! じゃじゃんっ!」

司会「アイドルグループジュピターのメンバー、伊集院北斗くんの嫌いな食べ物は?
   さあ、最初からなかなか難しいけどみんな分かるかなー?」

志狼「えーっ! そんなの分かるわけねーだろー! ったく……」カキカキ…

直央「えーっと、なんだったっけ。確か……」カキカキ…

かのん「えへへ、かのんは知ってるよ♪ このくらいトーゼンでしょ!」カキカキ…

柏木「うーん、うーん……これかな……いや、やっぱりこっち……」カキカキ…



翔太「……しかもなんかこっちに飛び火してくるっぽいね」

北斗「俺か……」

冬馬「別にこの問題自体は普通だけど……一番ガチに考えてんのが柏木さんって……」





司会「さあ、みんな答えは書けたかな?」

全員「はいっ!!」

司会「はーい、いいお返事! じゃあお姉さんの方に向けて全員いっせいにフリップを見せてね~!」

志狼「ふふーんっ! ズバリこれだろっ!!」クルッ

志狼の答え『セロリ』


直央「た、多分これで合ってると思います……」クルッ

直央の答え『キウイ』


柏木「これですよね!!」クルッ

翼の回答「サザエの黒くて苦いところ」


かのん「違うよー、これだよ!」クルッ

かのんの回答『世知辛いこの世の中に存在する全ての苦味』


 デデーン 全員アウトー


冬馬「あいつぜってぇ9歳じゃねえだろ!! あいつぜってぇ9歳じゃねえだろ!! どああっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「なんかよく分かんないけどごめんなさいって言いたくなるね……だあっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「かのんさん……っ!! ぐあっ!!??」

 バチーンッ!


山村「流石かのんくん、深い回答ですね」

翔太「深いっていうかエグいんだけど……」


司会「正解は直央くんのキウイでした! うーん、かのんくんは惜しかったね~」

直央「やった、合ってた……!」

志狼「ちぇーっ、なんだよ。つまんねーのー」

かのん「ええ~! 絶対かのんの答えの方が正解なのに~! むぅ~」

柏木「かのんくんが惜しいならオレの答えも惜しいですよね! ね! そうですよね!!」




冬馬「それだけはねえよ」

北斗「むしろサザエはあの部分が一番美味しいんじゃないか」

翔太「子供向けのクイズ番組でどんだけ食い下がるの翼さん……」

山村「あの何事にも全力投球な姿勢こそが今のジュピターに足りていないものなんですよ。
   子供向けだからってナメた態度で臨むなんて許されません。見習って下さい」

冬馬「もうマジで黙ってろよあんたは」


司会「それでは続いて第2問! 今度はアイドルグループジュピターのリーダー、あま……あま……あまなんとかくんに関する問題です!」


冬馬「おい」

翔太「もはやこのネタもお約束中のお約束になったね」

北斗「感慨深いな」

冬馬「なんでだよ、普通に覚えやすい名前だろ……?」



司会「鬼ヶ島羅刹くんの彼女いない歴は一体何年でしょうか? さあみんな、これはサービス問題だから分かるよね~?」

志狼「なーんだ、そんなの楽勝じゃん。どうせならもっとビッグなオレにふさわしい問題にしてくれよな~」カキカキ…

直央「よ、よかったあ。今度は簡単な問題で……」カキカキ…

かのん「今回はみんな揃って正解だねっ♪」カキカキ…

柏木「よーし、今度こそ……!」カキカキ…




冬馬「……………………」

翔太「……冬馬君、言っちゃなんだけど世間的な認識すらこれってアイドルとして本気で致命傷だと思うよ」

北斗「ある意味フレッシュで初々しいのは事実だな」

山村「そういう意味では汚れてないってことですからね」

冬馬「うるせえよ!!!!!」





司会「みんな答えは書けたかなー? じゃあまたいっせいにフリップを見せてね!」

志狼「うっし、これだ!!」クルッ

志狼の回答『イコール年齢』


直央「これですね」クルッ

直央の回答『イコール年齢』


かのん「これだよね~♪」クルッ

かのんの回答『イコール年齢』


柏木「これです!!」クルッ

翼の回答『空気嫁がいる』


 デデーン 全員アウトー


冬馬「確実にあの人の方がアウトだろ!!!! ダメだろこれは!!!! マジで!!!! カメラ止めろ!!!!! ぬがっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「……まさかここに来てこんなとんでもない核弾頭が現れるとは……痛っづっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「あんなキラッキラした澄んだ瞳で……ばうっ!!!!」

 バチーンッ!



志狼「……? 空気嫁? なんだそれ」

直央「空気の……お嫁さん? 架空の存在ってことかな?」

かのん「妖精さんの恋人がいるの?」

柏木「いえ、どっちかというと冬馬くんの方が魔法使いですね!!」

志狼「えっ、とうまって魔法使えんの!? スゲー!!」

直央「わあ、さすがジュピターは違うなあ。カッコイイです……!」

かのん「ふーん。でもそのお嫁さんって具体的にはどういう人?」

柏木「具体的に言うと穴が開いてて膨らませる感じです!!」

志狼「穴……ドーナツ?」

直央「風船?」

かのん「……気球?」

柏木「感覚的にはそんな感じですね!! ギルティです!!」



冬馬「あんたが一番ギルティだよ!!!!」

翔太「実際のとこどうなの? 冬馬君。空気嫁いるの?」

冬馬「いるわけねーだろ、流石にそこまで堕ちてねーよ!!」

北斗「でもフィギュアのパンツは覗いてるんだろ?」

冬馬「………………覗いてない!!」

山村「重傷ですね」

柏木さんェ…

???「どうせ白」


柏木「大丈夫です冬馬くん!! オレにも彼女はいないですから!! 仲間ですね!!」

冬馬「それでフォローのつもりか?」

柏木「でもオレはデッカイです!!!!」

冬馬「なにが!!??」

柏木「カマトトぶらないで下さい! 本当は分かってるくせに!」キッ!

冬馬「あんた本当になんなんだよ!?」


志狼「? でっかい?」

直央「大きい、ですか?」

かのん「おっきいの? なんのこと?」

柏木「それはですね……」

冬馬「おいやめろ!! あんた小学生相手になに言うつもりだよ!?」

柏木「もちろん身長ですよ」

冬馬「……えっ」


志狼「あー。確かにつばさはデッカイよなー。まっ、その内オレが抜かすけど!」

直央「182センチですよね。それに手も足もみんなおっきくて……いいなあ、憧れちゃいます!」

かのん「おまけに器も大きいよね」

志狼「とうまと違ってちょっとやそっとじゃキレないしな!」

柏木「あはは。すいません、デカくて。無駄に場所取っちゃって邪魔ですよね。頭もよくぶつけるしほんと不便で不便で」

冬馬「………………」




冬馬「なんでだ……絶対おかしいのは向こうのはずなのになんでこっちの心の方が汚れてるみたいな気にさせられるんだ……」

山村「実際汚れてるからじゃないですか?」

冬馬「いい加減にしねえとその口縫い付けるぞ」

北斗「確かにデカいと不便なことは多いんだよね」←180センチ

翔太「……」←163センチ


司会「はいはい、みんな勝手に騒がないー! 正解はもふもふえんのみんなのイコール年齢でした!」

もふもふ「わーい!」

柏木「あれぇ? なんでだろう、外しちゃいました」

冬馬「当たり前だ」


司会「さて、続けて第3問目はアイドルグループジュピターのメンバー、御手洗翔太くんの問題だよ!」

翔太「……うわ、来たよ」

司会「あざといキャラ作りと高い身体能力で有名な翔太くんですが
   その翔太くんが唯一出来ないスポーツはなんでしょう? さあみんな、これは分かるかなー?」

志狼「おっ、これは知ってるぜ! へへっ、正解はもらったー!」カキカキ…

直央「ボクもこれなら……」カキカキ…

かのん「うん、かのん達にはジュピターと一緒にテーマパークで海賊のCM撮影やった時のことがあるもんね~♪」カキカキ…

柏木「ええ? えっとえっと、なんだっけ……どうしよう……」カキカキ…




翔太「……あざといキャラ作りのくだり要る?」

冬馬「いるだろ」

北斗「まあそこが翔太の売りのひとつだから」

山村「プロ根性があるって意味ではいいことだと思います」

翔太「言っとくけど僕は素でこれなだけだからね?」




司会「答えは書けたかな? うん、じゃあみんないっせいにフリップをどうぞ!」

志狼「おっし、これ!!」クルッ

志狼の回答『水泳。カナヅチだから』


直央「こ、この答えは自信アリです!」クルッ

直央の回答『水泳』


かのん「これですー」クルッ

かのんの回答『スイミング』


柏木「これだと思います!」クルッ

翼の回答『夜の社交ダンス』


 デデーン 冬馬、北斗、アウトー


冬馬「この人ほんと絶好調だな……ずあっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「ドラスタってこんな人達だったっけ……? あぐっ!!?」

 バチーンッ!


翔太「……いや、ちょっ……は? なに言ってんの……?」

志狼「? しょうたはダンス得意だよな?」

直央「うん。ボクたちの事務所の中でもトップクラスだよね」

かのん「社交ダンス……1人でやるダンスなら得意だけど2人でやるダンスは苦手ってこと?」

柏木「かのんくん鋭いですね!! その通りです!!」

翔太「その通りじゃねーよ」

北斗「翔太、口調口調」

冬馬「さっそく作ったキャラが崩れ落ちてんぞ」

山村「まあ翔太くんは翼さんと違って小さいですしね」

翔太「ぶち殺すぞクソメガネ」

柏木「あと翔太くんは被ってるって聞いたんですけど本当ですか!?」

翔太「はっ!?」

冬馬「ゴフッ!」

 デデーン 冬馬アウトー


翔太「なに笑ってんだ冬馬コラァ!!!!!」

冬馬「くくくっ……こ、こんなもん笑うに決まってんだろ……ガファッ!!??」

 バチーンッ!


柏木「大丈夫です翔太くん!! 中学生なら被ってても全然普通です!! 大丈夫です!!」

翔太「」

冬馬「っふ……だ、だよな。中学生なら別に被っててもおかしくねえよ。気にすんなって」

北斗「そうだね。翔太はまだ中学生だからね。被っててもそれはしょうがないよ。まったく気に病む必要はないさ」

柏木「むしろ翔太くんのファン層の大きいお兄さんお姉さん的には大歓喜な情報だと思います!!!!」

翔太「翼さんはマジで黙ってて!!!!」


志狼「??? 被ってる……?」

直央「どういうことだろう……ああ、確かにフードの付いてる服はよく着てるよね。あと帽子もよく被ってるし」

かのん「もしかしてしょうたくんもきぐるみ好きなの? かのんと一緒だね!」

翔太「お願いだから君たちは喋らないで……」

柏木「本当のところどうなんですか翔太くん!! 被ってるんですか!?」

翔太「だからなんの話!?」

冬馬「そりゃナニの話だろ」

翔太「……」バキィッ!

冬馬「痛ぇぇぇ!? 暴力反対!! 暴力反対!!」

柏木「え? いえ、ですから猫被ってるって聞いたんですけど……」

志狼「あ、それは被ってる」

かのん「被ってるよね」

直央「ご、ごめんなさい。ボクも被ってると思います」

冬馬「被ってるよな」

北斗「被ってるね」

山村「被ってますね」

翔太「被ってない!!!! どっちも被ってない!!!!」

ドラスタの破壊力ヤベェな
あ、てんてるには期待してないんで

今度余計なことを言うと口を縫い合わすぞ


北斗「翔太がここまで必死になる姿なんて珍しいな。貴重だね」

冬馬「お前には普段散々からかわれてる分の恨みがあるからな。いい気味だ」

翔太「いいの!! 僕は!! 可愛いから!! それでいいの!! すべて許されるの!!」

山村「自分に甘い人だなあ」

柏木「ゆとり教育の弊害ですね!」

かのん「えー。でもはっきり言ってしょうたくんってそんなに可愛くはないと思う」

翔太「………………は?」

かのん「それよりもー、かのんの方がずーっとカワイイと思うの」

翔太「……」

かのん「だってしょうたくんってヘンな髪型だしー、アイドル衣装に付いてるあの謎のモコモコも便座カバーみたいでヘンだしー」

翔太「……」

かのん「しかも名前までトイレだもん。絶対かのんの方がカワイイよねー?」

翔太「おいコラ表出ろやクソガキ」ガタッ

 デデーン 冬馬、北斗、アウトー


冬馬「お前なあ……9歳の子供相手に……んなあっ!?」

 バチーンッ!

北斗「流石にそれは大人気無いよ翔太……ぐえっ!?」

 バチーンッ!


かのん「しろうくんとなおくんもそう思うよね?」

志狼「んー? まー、かのんの方が若い分ピチピチだしなー。おしゃれにもすっげー詳しいし」

直央「えっと……ボ、ボクも同じユニットとしてかのんくんの方に味方したいと……。
   あっ、で、でもしょうたくんもすごく可愛いと思います!」

かのん「ほらほら、3対1だよ~」

翔太「………このジャリガキ、本気で芸能界の闇見せてやろうか?
   一からその身体に上下関係叩き込んで奥歯ガタガタいわせてやろうか? あ?」ゴゴゴゴゴ…


冬馬「だから小学生相手にムキになるなって……」

北斗「冬馬はあんまり人のこと言えないと思うけどね。ほら翔太、そんなに怒らないで。
   いいじゃないか、翔太のことを好きなファンだってたくさんいるんだから」

翔太「……は? なに言ってんの?」

翔太「僕は生まれた時から姉3人にずっと蝶よ花よとちやほやされ
   末っ子の特権をフルに利用してどんなワガママもひたすら泣き落としですべて強引に押し通し」

翔太「常に可愛い可愛い翔太が一番と溺愛され持ち上げられ最高にヌルい環境で散々甘やかされて育った自他共に認めるゆとりの権化たる男だよ……?」

冬馬「とんだクソ野郎じゃねーか」

山村「ゲスの極みですね」

翔太「いつだって僕が弟キャラ界で一番可愛くてカッコよくて最高なんだよ。年下? 後輩? 小学生?
   関係ないね。出る杭は全て片っ端から正々堂々叩き潰すのみだよ」

冬馬「いや、お前は可愛くねえよ」

翔太「はあああああ!?」

冬馬「見た目はともかく中身があざと過ぎるからな翔太は。すぐ人にイタズラ仕掛けてきやがるし」

翔太「違うよ! それはアレだよ! 親愛の裏返しだよ! ただのツンデレだよ!」

冬馬「無理矢理ゴリ押ししてる時点でそれはもはやツンデレでもなんでもねえよ。ルイズと沢近に謝れよ」

翔太「そんなことない!! 北斗君、絶対僕の方が可愛いよね!?」

北斗「ん? まあ少なくとも俺からしたら翔太の方が可愛いよ。既に翔太は俺にとっては本当の弟みたいなものだからな」

翔太「北斗君……!」ウルッ

冬馬「だーからそうやってお前がすぐ甘やかすから付け上がるんだっつーのに……」

翔太「そうだよねっ! 僕が一番だよねっ! やっぱり北斗君だけはいつだって僕の味方だよ~!」

北斗「俺達はもはや運命共同体だからね。当然のことを言ったまでだよ」

翔太「……えへへっ♪ ありがとう北斗君! だーいすきっ!」

北斗「ふふっ!」


 デデーン 北斗、翔太、アウトー


北斗・翔太「!?」

冬馬「アホだろお前ら」





 バチーンッ!

北斗・翔太「アリスッ!!!!」

ルイズと沢近って微妙に古いツンデレだなwwwwww

古いツンデレってか最近のはツンデレを間違って使ってるキャラしかいないし

てんてるのハードルが上がっていくな

酷いSSだ、もっとやれ!
あまとうと語り合いたいね


翔太「痛い……ふんっ、でもこれで僕の方が可愛いってことが証明されたね! あの北斗君の証言だよ? これはガチ!!」

かのん「でもそれ無理矢理言わせただけだよね。同じグループゆえのただの同情票っていうか」

翔太「あ?」

かのん「第一そういう必死過ぎるところがまずもう全然可愛くないもん。
    しょせんは作った紛い物のキャラなんて砂上の楼閣、あと数年もして今の容姿すら失ったら終わりだと思う」

翔太「おいチビガキ、本気で沈めるぞ」




冬馬「……なあ、あいつ本当に小学生か? 真剣に怖いんだけど。
   俺なんてあの頃はマジでサッカーと給食の牛乳争奪戦のことしか考えてなかったぞ?」

北斗「わかめごはんの日とかテンション上がったよね」

冬馬「……え、お前給食食ってたのかよ?」

北斗「冬馬は一体俺のことをなんだと思ってるんだ」

山村「北斗くんの小学生時代ってまるで想像出来ないですよね」

冬馬「なんだ、てっきりお前は生まれた時から既に今の姿だったのかと思ってたぜ」

北斗「俺の母親はどれだけ出産頑張ったんだ」


司会「はーい、はーい、みんな静かにー! 答えはまたもふもふえんのみんなの水泳でした!
   直央くんはここまでなんと全問正解! すごいね~」

直央「えへへ……」

志狼「なんだよー、結局またなおが一番かよー」

かのん「でもかのん達も1つ間違えただけだよ! 人生設計は間違えてないしね!」

柏木「えー!? オレの答えじゃダメなんですかぁ!?」



翔太「当たり前でしょ」

冬馬「……ぶっちゃけ直央が一番素直で純粋で可愛いよな」

山村「キッズアイドル界の良心ですね」

北斗「割と本気で9歳でアレは闇が深すぎると思う」

柏木「あっ、なるほど分かりました!! つまり翔太くんは夜もカナヅチってことですね!?」

翔太「なんで何でもかんでもそっち系に繋げようとするの? なにこれイジメ?」

柏木「でも人間って不思議ですよね! だって生まれる前はみんな父親の××××の中でおたまじゃくしとして泳いでたのに、生まれてからは泳げなくなっちゃう人もいるなんて!!」

冬馬「ほんといい加減にしとけよあんた」


司会「それじゃあ次が最後の問題です! ラストはジュピター全体に関するクイズ!
   とっても難しい問題だけど果たして直央くんは見事パーフェクトを穫れるのでしょうか!?」

直央「が、がんばります!」

北斗「まだ続くのか……」

冬馬「……これでやっと終わると考えようぜ。これさえ終わればこの地獄から解放されるんだ」






司会「2010年9月18日(土)に突如巻き起こり、世間を震撼させた例の……」

冬馬「ちょっと待て」

北斗「これはまずい」

翔太「カメラ止めて、マジで」

司会「……はい?」


司会「えっと、なにか私まずいこと口走ってしまったでしょうか……?」

冬馬「むしろまずさしかねえんだけど」

北斗「可愛い顔してとんでもないこと言いますね司会さん」

翔太「本当の核弾頭はこっちのお姉さんだったよ」

司会「えーっと……ちょっとよく分からないですけど、もしかしてこれはそちらの事務所的にはNGという感じで?」

冬馬「うちの事務所とか関係なくNGだよ」

北斗「どうしてわざわざそんなギリギリのところを攻めようとするんだ……」

司会「申し訳ありません……じゃあ仕方ないので出題部分は飛ばして答えだけ言っちゃいますね!!」

翔太「いや、なんで?」

司会「正解は『可能性を生み出しただけでアウトなんだよ』でしたー!!」

冬馬「やめろ!! おい!!!!」


 デデーン ジュピターの存在自体がアウトー


冬馬「うっせえよ!!!!!」


司会「これは……本当にとっても難しい問題ですよね……悲しい、事件でした……」

翔太「難しいってそっちの意味!?」

山村「でもこの件がなかったらそもそも315プロ自体が存在していなかったかもしれないんですし」

冬馬「……いや……まあ、それは……」

柏木「そうですよ! ジュピターの皆さんにはオレ、本当に感謝してます!!」

翔太「……」

直央「は、はい。ボクもジュピターのみんなのことすっごく尊敬してますし……。
   それにボクのお母さんもいつもジュピターかっこいいって言ってます! 元気出して下さい!」

北斗「……岡村君」


志狼「そーそー、いじってもらえてる時点で全然オイシイじゃん。気にすんなって!」

冬馬「志狼……」


かのん「かのんもそう思うー。なんだかんだでジュピターが可能性を生み出してくれたおかげでかのん達だって今ここにいられるんだもん」

翔太「クソガキ……」



司会「なんかいい話でまとまりましたね!! めでたしめでたし!!」

冬馬「あんたいい性格してんな」

北斗「俺はそういう女性も好きだけどね……」

翔太「……ああもう本気で帰りたい。帰ってシンゴジラ見に行きたい」

あれは哀しい騒動だった…(遠くを見詰める目)


冬馬「そういやシンゴジラって評判いいらしいな。俺も今度見に行くか」

翔太「連れてってくれるの? じゃあキャラメルポップコーンも奢って」

冬馬「一人で行けボケ。あとシンエヴァはどうなってんだよシンエヴァは。なにがQだよ」

北斗「俺はQはQで楽しめたけど……」

冬馬「あと俺がエヴァに求めてんのはヤマトじゃねえから。ヴンダーとかどうでもいいから、もっとエヴァが暴れてるところ見せろよ」

翔太「僕はアスカ派だからシンには期待してるよ」

冬馬「ざけんなよ、惣流はともかく俺は式波は認めてねえぞ。
   安易にデレ過ぎなんだよ式波は。あと誰がなんと言おうが一番は綾波だから」

北斗「まあ綾波は綾波で破で安易にデレてたけどね」

冬馬「いいんだよポカ波は可愛いから。あー俺も味噌汁作ってもらいてえ」

北斗「みんなはもっとミサトさんとリツコさんの大人の女の魅力に気付くべきだと思う」

冬馬「流石に四十路の方はちょっと……」

翔太「あれだけシンジ君に頼りまくってたのに何もしないでとか言っちゃう人とオネエ化した人はちょっと……」

北斗「よーし、戦争だ」



司会「はいはい、ヒロイン論争も大概にして、じゃあ番組の最後はいつものお歌のコーナーだよ!
   今日はなんとゲストに豪華な人も呼んでます! みんな大好きな歌のお姉さんだよー!!」

冬馬「……歌の……お姉さん……?」

翔太「まさか……」

北斗「この流れは非常に危険だぞ……」








千早「どうも、板のお姉さんです」

 デデーン 全員アウトー


志狼「あっ! 板の姉ちゃんだ!」

直央「わあ、板のお姉さん!」

かのん「わーい、板のお姉さんだ~!」

柏木「板のお姉さん!」

千早「こんにちは。歌のお姉さん改め、まな板のお姉さんこと如月千早です」キリッ

志狼「ほんとだ! すげーまな板じゃん! かなりまな板だよコレ! まな板にしようぜ!」

千早「フフ……」



翔太「……だからなんで千早さんはそんなに嬉しそうなの……あだあっ!!??」

 バチーンッ!

冬馬「あいつのあの笑いに賭ける情熱は一体どこからやって来るんだよ……ぐおあっ!!?」

 バチーンッ!

北斗「……心のずっと奥の方じゃない? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 バチーンッ!


山村「流石765プロ。あなた達とは気合いと覚悟の度合いが段違いですね。見習って下さい」

冬馬「そんな覚悟いらねえよ……」


千早「それではさっそく聴いて下さい。如月千早で『目が逢う瞬間』」

冬馬「だから歌わなくていいっつーのに……」

千早「……」スゥーッ…







千早「目と目が逢う 瞬間 無乳だと気付いたー♪」

冬馬「……まあどうせそんなとこだろうと思った」


千早「あなたは今どんな気持ちでいるの?」

冬馬「いたたまれない気持ちだよ」


千早「戻れない胸板だと 分かっているけど……」

冬馬「大丈夫だって。まだこれからだってお前は。もっと頑張れよ。諦めんなよ」


千早「少しだけこのまま瞳 そらさないで~♪」

冬馬「いや、やっぱ無理。全力で逸らす」

翔太「……冬馬君、いちいち冷静なツッコミ入れるのやめようよ」

北斗「正直冬馬の余計なツッコミのせいで笑っちゃってる部分が大いにあるからね」


千早「たくさんの乳の波 あの人にだけは分かる♪」

冬馬「まあそりゃ分かるだろ。山脈の連なりの中に一つだけ谷があるんだから」


千早「つないだ胸の強さ あの頃のパイが今動き出すの♪」

冬馬「なあ、自分で自分の名曲ぶっ壊して楽しいか?」


千早「Ah~揺れない気持ち Ah~奪ってほしい♪」

冬馬「だから無いものは奪えないだろ無いものは」

北斗「冬馬、それ以上は本気で千早ちゃんのファンに刺されるぞ」

翔太「いい加減その自分から全力で喧嘩売りに行くスタイル改めなよ冬馬君。そんなんだからすぐ業界に敵作るんだよ」



千早「目と目が逢う 瞬間 無乳だと気付いた~♪」


千早「あなたは今どんな気持ちでいるの?」


千早「戻れない胸板だと 分かっているけど 少しだけこのまま瞳 そらさないで~♪」


千早「……ありがとうございました」ペコリ


志狼「おー! スゲー!」パチパチ

直央「とっても上手くて感動しました! すごいです!」パチパチ

かのん「お姉さんお歌上手~! どうやったらそんなに上手に歌えるの?」パチパチ

柏木「流石歌姫と呼ばれる人ですね! こんなところで貴重な生歌が聴けるなんて……オレ、アイドルになってよかったです!
   オレもあなたくらい上手くなれるようもっと頑張ります!」パチパチ

千早「いえ、そんな……私なんてまだまだです」




冬馬「……なんであいつらはあんなに普通でいられるんだ?」

山村「その常に平常心を保っていられる精神力の強さがあなた達と他のアイドル達との格の違いなんですよ。見習って下さい」

冬馬「とりあえずそれ言っときゃいいと思ってんじゃねえぞ」

翔太「まあでも実際千早さんは本当に歌唱力高いよね。持ち歌もみんないい曲だし。羨ましいよ」

北斗「確かによく考えたら彼女の歌を間近で聴ける機会なんて光栄だよね」

冬馬「お前らだんだん感覚麻痺してきてねえか? あいつのせいで俺ら何回もケツ叩かれてんだぞ?」

北斗「千早ちゃんの歌のためなら俺は悪魔にでも余裕でケツを差し出すよ」

翔太「その言い方は誤解を招きそうだからやめて」

冬馬「真っ当に歌ってくれんならまだいいんだけどな……」

まな板にしようぜ!


かのん「あっ、そうだ! ねーねーお姉さん!」

千早「はい?」

かのん「お姉さんはかのんとしょうたくん、どっちの方が可愛いと思う? どっちの方が国民的弟キャラの座にふさわしい?」

翔太「!」ピクッ

北斗「あ、その話題まだ引っ張るんだ」

翔太「……」

千早「……そうね。ここは弟ソムリエたる私が公平な判断を下すべき時ね」

冬馬「なんだよ弟ソムリエって」

柏木「ソムリエっていい響きですよね! なんだかお腹が空いてきました!」

山村「かのんくんには妹がいるから正確にはお兄さんなんですけどね」


千早「……うーん」ジッ

かのん「やっぱりかのんの方だよね~?」キャピッ

翔太「何言ってんの、僕に決まってるでしょ」

千早「…………」ジーッ

北斗「……なんなんだろう、このカオスな状況」


千早「…………違うわ」フルフル…

かのん「えっ?」

翔太「……ん?」


千早「違う……どっちも違う……ッ! こんなの優じゃない! 全然優じゃないわ……ッ!!」

冬馬「ヤベェ、なんか変なスイッチ入った」

千早「優は……優はもっと名前の通り優しくて……絵を描くのが上手くて……純粋で……」

千早「素直で……可愛くて……こんなあざとさの塊みたいな不純な存在じゃない……ッ!!」

冬馬「不純な存在だとよ」

翔太「…………」

かのん「…………」


千早「優……私を置いて一体どこへ行ってしまったの……」

冬馬「お前がどこへ行っちまったんだよ」

北斗「だからそういう無駄なツッコミを入れるな」


直央「あ、あの……」

千早「……え?」


直央「えと……その、う、上手く言えないですけど、そんなに落ち込まないで下さい!
   あっ、ボクなんかが偉そうなこと言える立場じゃ全然ないけど……」

千早「……」

直央「でも、あの、事情はよく分からないですけど……きっとお姉さんの弟さんも今頃天国でお姉さんのこと優しく見守ってくれてると思います!」

千早「……」

直央「だってお姉さんは本当にとっても歌が上手で……テレビでもいっぱい活躍してますし……。
   だから、えっと……弟さんにとっても絶対自慢のお姉さんだと思うんです」

千早「……」

直央「……元気出して下さい。それくらいのことしかボクには言えないけど……」

千早「…………優!!」ガシッ

直央「えっ」

千早「あなたこそ優! まさしく優だわ!!」

直央「えっえっ」

千早「その心優しいところ……あと黒髪! それと、えーっと……黒髪!」

冬馬「その部分だけかよ」

千早「優……こんなところにいたのね……」ジワッ

直央「あの、ボクは優さんという人じゃ……」

千早「いいえ、あなたは優よ。優だわ。優に決まってる。絶対優よ」

冬馬「無理矢理過ぎんだろ」

直央「ち、違います! ボクは岡村直央っていいます。優さんという人じゃありません」

千早「……!」


千早「そう……そうね。優はもう……いない……。身代わりを求めても虚しいだけ……。
   だって優の代わりなんて誰にも務まらないのだから……」

翔太「……こういう時どんな顔すればいいか分かんないんだけど」

北斗「……泣けばいいと思うよ」





 バターンッ!!

春香「千早ちゃん……!!」

千早「…………春香!?」

冬馬「あ、天海来た」


春香「千早ちゃん……」ツカツカツカ…

千早「や……やめて。来ないで……」

春香「……千早ちゃん」ツカツカ

千早「……いやっ! 今の私を春香に見られたくない! こんな、こんな弱くて醜い私を……!」

春香「千早ちゃん」ギュッ

千早「あっ……」

春香「……うん。辛かったよね。でももう大丈夫だよ千早ちゃん。私はいつだって千早ちゃんの味方だよ」ナデナデ

千早「……」

春香「確かに優くんはもういないかもしれない……けど、私や765プロのみんなやプロデューサーさんはずっとずーっと千早ちゃんと一緒だもん」

千早「……だって……だって!」

春香「……私は我慢とか背伸びしてもカッコつけた千早ちゃんが好き……大好き。
   だからそんな悲しい顔しないで。一人で泣かないで」

千早「……でもっ!」

春香「ううん。ごめんね。やっぱり泣いたっていいよ。千早ちゃんが寂しい時は私が必ず側にいる。
   千早ちゃんが泣き止むまでずっと側にいるから……」

千早「……はる、か……」

春香「だから……だからお願い。そんなに自分を追い詰めないで。
   千早ちゃんがあんまり辛い顔してるとこっちまで胸が苦しくなっちゃうよ」ギュウッ

千早「……」





冬馬「……俺達は一体何を見せられているんだ」

山村「はるちはわっほいですね」

春香「さあ、顔を上げて? 千早ちゃん」

千早「……ぐすっ。ええ」ゴシゴシ

春香「そして戻ろう……輝いたあのステージへ!!」

千早「春香……!!」


春香「ふふ……さ、行こう。千早ちゃん」

千早「そうね……春香。ふふっ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

春香「じゃあお邪魔しました。千早ちゃん、せっかくだから何か食べて帰ろうか?」

千早「ええ。春香は何が食べたい?」

春香「千早ちゃんの好きなものを私も食べたいな。千早ちゃんが美味しそうに食べてる姿を見てるのが幸せだから」

千早「もう、春香ったら……」

春香「えへへ……」

千早「うふふ……」

 スタスタスタ… バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


冬馬「……なんか普通に帰ったぞあいつら」

翔太「そうだね。普通に帰ったね」

北斗「普通だね」

冬馬「如月はともかく天海は何一つ面白いこととか言わないまま帰ったぞ」

翔太「そうだね。普通だったね」

北斗「……普通、だね」

冬馬「なんか最終的にオチとかなくただイチャついてただけだったぞあいつら」

翔太「そうだね。イチャついてただけだったね」

北斗「……イチャついてただけ、だね」

冬馬「……あいつ来た意味あるか?」

翔太「……特にないね」

北斗「……ないよね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


木星「フフッ……ww」

 デデーン 全員アウトー


冬馬「………フェイントかけてきてんじゃねえよ!! ぐあっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「何もなくて笑わされるってどういうことなの……い゛あっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「コスパ最強じゃないか……がああっ!!??」

 バチーンッ!


山村「自らは動かずとも見事敵を陥落させる。流石メインヒロインの貫禄ですね」

翔太「それ絶対違う……」



 ガチャッ!

春香「そうそう、冬馬くん! ごめんね言い忘れてた!」

冬馬「……あ?」

春香「その765パーカーすごくよく似合ってるよ! なんか秋葉原にいそう!」グッ!

冬馬「やかましい!!!!」


司会「それじゃあ今日の放送はここまでだよ! クイズの優勝者は直央くん! おめでとう! みんな来週のこの番組もお楽しみにね~♪」

志狼「絶対見てくれよな!」

直央「さ、さようなら!」

かのん「ばいばーい!」

柏木「また見て下さいね~!」

冬馬「こんなもん放送出来ないに決まってんだろ」




 ――某テレビ局前

山村「皆さん、もふもふえんのみんなと翼さんの仕事姿を見て新しくいろんなことは学べましたか?」

冬馬「学べるわけねえだろ。何一つ参考にすべきものがなかったわ」

北斗「……一応反面教師という意味では勉強になったかな」

翔太「とりあえず直央ちゃんと志狼君はともかくあのクソチビだけはいつか絶対潰す」

冬馬「お前もチビだろ」

北斗「中2で163センチだからそんな小さいわけでもないんだけどね」

山村「はいはい、勝手なお喋りはしないで下さいね。
   さて、それでは先刻まではみんなにはアイドルとしての勉強をしていただきました……が、今度は本当の勉強をしてもらいます!」

冬馬「……は? 本当の勉強?」

山村「ええ。学生の本分はなんといっても勉強ですからね。いくら芸能人だからといってそちらには手を抜いていいという理由にはなりません」

山村「忙しいスケジュールの合間を縫ってそれでも文武を両立しようとする真面目な姿にこそファンの皆さんは深く感銘を受け、さらに応援したいという気持ちになってくれるはずです」

翔太「えー!? そんなの関係ないよー! なんでわざわざ学校以外のところで勉強なんかしなくちゃなんないのー?」

山村「そういう世の中に対する甘えが翔太くんのような純粋培養のゆとりを日々日本の現代社会に生み出しているんですよ」

北斗「まあ確かに勉強はしておくに越したことはないかもしれないけど……」


山村「それにあまりに勉強が出来ないとその内生粋のアホアイドルとして
   某番組の抜き打ちテストでWBT(ワールドバカ冬馬)の不名誉な称号を与えられる可能性も無きにしも非ずですよ?」

冬馬「ぐっ……それは嫌だ……」

山村「そうなってしまわないためにも手遅れにならない今の段階からきっちり教養を身に付けていきましょう。
   きっと皆さんの将来に役立つ知識が得られるはずですよ!」

北斗「……得られないと思うけど既に反論するのも面倒臭くなってきたよ」

山村「それじゃあこの先にある進学塾に皆さん専用の席を用意してもらっているのでさっそく移動しましょうか!」

冬馬「……そこまでやるのか。マジでそのための金は一体どこから捻り出してんだよ」

翔太「塾とか僕がこの世で歯医者の次にもっとも嫌いな場所だよ……」



 ――某進学塾 教室

山村「到着しましたね。ではぼくはここで一度失礼します。授業が終わったらまた迎えに来ますので」

冬馬「……あんた本当自分にとって都合の悪い部分は見事に回避していくな」

山村「みんなはしっかり勉強してこの講習が終わった後は是非一皮剥けたアイドルになって出てきて下さいね! 特に翔太くん!」

翔太「……なんで僕だけ強調したの」

山村「一皮剥けた大人になって下さいね!!」

翔太「だからなんで2回言うの!?」

冬馬「剥けてないからだろ?」

翔太「ほんとに後で冬馬君は殺す。絶対殺す。3回殺す」

北斗「まあまあ……」

山村「頑張って下さいね~!」

 スタスタスタ… バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


冬馬「はあ……いい加減怒る気力すらなくなってきたぜ……」

翔太「喉痛い。お尻も痛い。何より心が痛い」

北斗「かつてここまで翔太が精神にダメージを負わされたことがあっただろうか」

冬馬「しかし勉強を教えるとなると……やっぱあの人達だよな」

北斗「うん。S.E.Mの3人だよね多分。全員元教師からアイドルになった人達だし」

翔太「もしくは玄武さん辺り?」

冬馬「ああ、あいつは全国模試全科目1位とかいう化け物だからな。夜神月かよ」

翔太「でも正直僕そのレベルの授業には付いていける自信ないんだけど……」

冬馬「俺だってねえよ……」






 ガラッ!!

四季「ッウェーーーーーーイ!!!! みんな元気っすかぁー!?
   オレは今日も全力全開、ウルトラハイパーイイ感じ! ガンガン盛り上げてこーぜー! イェイ!!」


 デデーン 全員アウトー




四季「お待たせしましたスゴいヤツ! 伊瀬谷四季参上ってね!
   バリバリ最強ナンバーワン、テッペン目指して正義の使者やっちゃうぜー!?」


伊瀬谷四季
http://imepic.jp/20160803/772710
現役男子高校生5人組バンドアイドルユニットHigh×Jokerのボーカル担当
見た目と言動は完全にチャラ男だがアイドル活動に対する姿勢は真面目
ちなみに第2回315プロ総選挙では1位を獲得している


冬馬「……なんでだ……なんでよりによってこいつなんだよ……あ゛あっ!!!!」

 バチーンッ!

翔太「断言する。学校の勉強に関してだけはこの人に教えられることは絶対何一つたりともない……メメタァッ!!??」

 バチーンッ!

北斗「そもそも俺20歳なのに高校生から勉強教わるって……ふぐぅっ!!??」

 バチーンッ!


四季「いやー、しっかし今日もマジガチアッチィっすね! 太陽っちがリアル本気出し過ぎっすよー!
   マジもうちょいボリューム絞ってこーぜー? クールビズクールビズー!」

四季「ノー温暖化、ノーライフ! ……ん? なんか違う? まーいいや! とにかくバッチバチにアゲてくぜー!!」



冬馬「……やべえ。既にこのテンションに耐えられる自信がねえ」

翔太「僕も大食いだけど、ただでさえ疲れてる時にこれはケーキワンホール食べた後に口の中に無理矢理ジャンボシュークリームぶち込まれるが如き苦行だよ……」

北斗「卯月君なら普通に喜びそうだけどね……」

四季「なんすかなんすかー? みんなテンションバリ低過ぎっすよー!
   もしかしてオレウザいっすか? エモい系っすか? でも空気なんて読まないぜ!」

四季「みんなももっとデッカくハジケていきましょーよ! ラブ&ピースっす!! イェーイ!!」


翔太「……確実にこれは僕より向こうの方がゆとり度高いでしょ。流石にあそこまで酷くないよ僕は」

冬馬「五十歩百歩だろ」



四季「ハーイ、そんじゃ全員静粛にお願いするっすー! ちなみにオレの担当は国語、古典っすよ!
   今日は清少納言の枕草子についてガンガン教えていくっすー!」

冬馬「……ん?」

翔太「……あれ?」

北斗「……え?」


四季「えー、まずは清少納言についての簡単な人物像から説明するっす。
   存命だったのは平安時代、今から約1000年くらい昔っすね」

四季「その時代に活躍した女流作家で一条天皇の妃である中宮定子に女房、要するに教育係として仕えてた人っす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「この定子っちに清っちはすごく可愛がられてたことで有名で、清っちの方も自分の随筆……今で言うエッセイっすね」

四季「そのエッセイに『うちの定子様マジすごい! めっちゃ高貴な身分の人なのに私なんかにも超優しい!
   しかもまだ若いのにハイパー才女で美少女! 定子様マジサイコー!』的なベタ褒めしてる記述を残してるっす。相思相愛っすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「その記述が書かれてるのがさっき言った枕草子っす。一説にはこの随筆は定子っちに見せるために書かれたと言われてるっすね」

四季「だから全体的に『こんなことがありましたよねー』『あれが可愛いと私は思うんです』的な女子会のガールズトークをブログやツイッターにまとめたみたいな感じの内容なんっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「具体的には『定子様の着物の着方がマジガチイケてる! 派手に着飾るんじゃなく、さり気なく見せるファッションが超オシャレ!』とか」

四季「『ロリショタ可愛い! ロリショタ最強! パッツン前髪と萌え袖がたまんない!』的な話題があるっすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


四季「身近な人やものに萌えを見出して愛でる。まさに“いとをかし”の精神が全面に出ているこの随筆は女性的な感性に満ち溢れた名著っす」

四季「現代の日本のオタク文化にも通ずる部分があるっすよね。
   今なお多くの研究者達に愛される、オレらにとっても非常に興味深い古典の金字塔というわけっす!!」

冬馬「…………すげえ……すげえ分かりやすい! なんだコレ!! どうした四季!!」

翔太「どういうことなの……意味が分からない……こんなの絶対おかしいよ……」

北斗「宇宙の法則が乱れている……」


四季「ハイ、ちなみにここで1つ問題っすよー!
   この清っちにはガッチガチにアツいライバルがいたことでもよく知られてるっすが、そのライバルとは一体誰でしょーか! 冬馬っち、答えて下さいっす!」

冬馬「え? ……紫式部だろ?」

四季「さっすが冬馬っち! スーパーパーフェクトな解答サンキュー! その通り、清っちと同時期に活躍した紫式部っす!」

冬馬「………なんだ……なんなんだ。この限りなくウゼェのに何故か妙に嬉しくなってくる不思議な感じ」

北斗「褒めて伸ばすのは教育の基本だからね。褒め上手な人は教え上手という証拠だ」

翔太「なんでこんなプロ教師並みの技術持ち合わせてるの四季さん……」


四季「この式部っちは彰子の女房として仕えてた人っすね。世界最古の長編小説と言われる源氏物語を書いた作者っす」

四季「んで、清っちは漢文が得意で本人もそのことに自信を持ってたんすけど、当時は漢文は男が学ぶものとされてたんっす」

四季「つまり女の人がそういう知識をひけらかすのは生意気だと考えられてたわけっすね」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「式部っちはそこんとこおカタい人だったんで実際はめっちゃ頭良いのに謙遜しちゃうタイプだったっす。
   けど、逆に清っちはガンガン自分を出してくタイプだったわけっすね」

四季「残念ながらトーゼン2人の相性は超絶に最悪っすよね。
   結局式部っちはそんな清っちにブチギレで『偉そうに漢文知識鼻にかけて高尚ぶってんじゃねーよこのドグサレ女!』と悪口書いたりしてるっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「まあでもそういうどこまでもパネェ負けん気の強さが彼女に源氏物語を書かせるパワーを与えたわけっすからね!
   これはオレたちもアイドルとして今後見習っていくべきバイタリティの高さだと思うっす!!」

四季「そんなわけで簡単にではあるっすけどこれで清っち自身の説明は終わりっす!
   みんなここまでは大丈夫っすか? このビッグウェーブにノれないヤツはドンドン置いてっちゃうぜー!」

冬馬「……やべえ。ここまで笑いが一つしか起こってねえのに今日確実に一番充実してるぞ俺」

翔太「今すっごくナチュラルに四季さんを尊敬してるよ僕」

北斗「まさかこんなミラクルが起こるとは……」

実際テンションはともかく古文の授業が面白い先生ってこんな感じの噛み砕きまくって話ししてくれてから授業してくれる先生だよね

古文って今も昔も日本人は変わってないって所を教えられると楽しくなるよね


四季「ハイハーイ! そんじゃあここからは本題の文章そのものを読んでいくっすよ! みんな準備はいいっすかー?」

四季「枕草子はなんといってもその冒頭の書き出しが有名っすからね!
   このホワイトボードに原文が書かれた紙を貼るんで、その後にオレが現代語訳して解説していくっす!」

冬馬「……おお」

翔太「……どうしよう、なんか僕勉強って楽しい気がしてきたよ!」

北斗「俺も中高生時代に帰ったみたいで懐かしいな。ワクワクするね」

四季「枕草子の出だしは春夏秋冬それぞれの季節でどの時間帯が一番イイ感じか清っちが自分語りしてる内容っすよ!」

四季「全部説明すると長くなっちゃうんで今日のところはひとまず春についての解説をしていくっす! よいしょっと……」ペタッ

四季「ハイ、コレ! 清っちの清っちによる清っちのための春考察っすね!」バンッ!


 『春はあけぼの。やうやうしろくなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる』


四季「みんなご存知、“春はあけぼの”。あけぼのっていうのは夜明けのことっす」

四季「暗い夜が明けて太陽っちが昇り始める頃、向こうに見える山の端っこ、要は空とくっついてる部分がだんだん白くなってくると」

四季「少し明るくなって雲っちが紫っぽい色に変わり
   細く横に流れてる様子が1日の内で一番サイコーって清っちは言ってるわけっすね!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「確かに明け方って空気も澄んでるし静かでなんとなくそういうキレーな情景が浮かんでくる感じがするっす!」

四季「今から1000年も前のとっくに死んでる人が書いた文なのに現代に生きてるオレらにも共感出来る……」

四季「その頃のリアルな様子なんて実際には分かんないっすけど
   なんかどことなくちゃんと今と当時が繋がってる感があって感慨深いっすよね!」

冬馬「はー……」

翔太「……ねえ、この人本当に四季さん? 偽物じゃないよね? いっそ怖くなってきた」

北斗「ゆとりだのさとりだの言われてるけど今の日本も捨てたもんじゃないね」


四季「ところでこの文章を読んで雰囲気的になんか気付いたことはないっすか? ここは女性の心理に詳しい北斗っち、どうぞ!」

北斗「ん、俺? うーん、そうだな……すごくハッキリ言い切ってるよね。
   彼女は自分のこの意見にとても強い確信を持っているという感じが出てるかな」

四季「イェーイ! 北斗っち、マジサイコーイケてるっす! まさしくその通り!!」

四季「清っちは『個人的には私はこう思う』っていう消極的な言い方はしてないんすよね」

四季「『春はあけぼのなの! 絶対コレが一番に決まってるの!』っていう自信満々な断言をしてるんすよ」

四季「そのところから清っちはそれだけ式部っちに負けず劣らず気性が激しくてとにかくキッパリハッキリしたアグレッシブな女の人だったことが窺えるっす!」

四季「式部っちが表面上はしおらしく無知な振りをしてた姿とは本当に対照的っすよね!」

四季「悪い言い方をすれば頑固で思い込みの激しい自己チューな部分も感じられるかも?
   枕草子には自慢話がとにかく多いんで、そこんとこが清っちは性格悪いとか言われたりもするゆえんっすね」

四季「でもそんなトコも含めてなんだか人間臭くて今も昔も人ってのは変わんねーなーってのが分かってくるっすよね!」

冬馬「……すげえ。さっきまでの自分達が恥ずかしくなってくるレベル」

翔太「ホントだよ……何が空気嫁に夜の社交ダンスだよ……馬鹿じゃないの僕たち……」

北斗「まあそれは主に柏木さんのせいだけど……」


四季「けどそんな気の強さとは裏腹に情景描写そのものは繊細で目線が細やかっす。日本的な感性の香りってヤツがするっすね!」

四季「枕草子には暗い話ってほとんどないんすよ。とにかく明るく華やかな宮中の様子が延々描かれてるっす」

四季「じゃあ実際その通りの暮らしを清っち達はしてたのか? 答えはノーっす!
   ホントのとこはすっげードロドロした部分も大いにあったっす」

四季「自分の娘を天皇っちに嫁がせればその子供を次の天皇候補に出来るわけっすからね。
   やっぱそういう権力争いも日々絶えなかったわけっすよ」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「つまり清っちは敢えてその手の暗い部分は書かなかったんす。
   定子っちをヘコませないためにひたすら楽しい話で盛り上げようとしたと」

四季「清っちの自分の主人に対する一途な想いとプライドが垣間見えるっすよね!」

四季「事実、定子っちは若くして難産で亡くなっちゃってるんすけど、清っちはそれにショックを受けてその後キッパリ宮仕えからは引退してるっす」

四季「さっきは清っちと式部っちはライバルって言ったっすけど、清っちの方が式部っちをどう思ってたかって資料は残ってないんすね」

四季「清っちが引退した時期と式部っちが彰子っちに仕えるためにやって来た時期も入れ違いなんで、ぶっちゃけこの2人は直接対峙したわけではないんすよ」

冬馬「ほおお……」

翔太「為になる~」

北斗「なんかもう普通に感心しちゃってるな……」


四季「さーて、んじゃここらで日本の文学を語るにあたって今度は外側からも見ていきましょーよ!」

冬馬「外側?」

四季「外側、要するに諸外国から見た日本ってことっすね。
   内側からだけじゃなく外からも俯瞰して覗いてみることで見えてくるものもあると思うんすよ!」

翔太「なるほどねー」

四季「“黄金の国ジパング”って言葉はみんな聞いたことあるっすよね?」

冬馬「あるある」

北斗「響き的にカッコイイよね」

四季「13世紀にマルコ・ポーロが東方見聞録で紹介したことで知られてるっすけど、まーその内容はガバガバっす。
   日本人は食人族とか書かれてたりね。そもそもジパングは日本のことじゃない説もあるっすし」

四季「要はまだまだ昔は西洋の方じゃ日本はワケ分かんない謎の国とされてたってことっす」

翔太「うんうん」

冬馬「航海時代とかロマンあっていいよな。やっぱり海賊は男にとって永遠の夢だぜ」

北斗「冬馬はそういうの大好きだよね」

四季「あと日本と言えばやっぱ江戸時代の鎖国っすよね。ガチ引きこもりっす。日本人シャイ過ぎっす。
   オランダと中国以外とは交易しねーよってイキっちゃったわけっすね!」

四季「とはいえ実際は朝鮮とか琉球とも関わってたんで、言っちゃえばハンパなヤンキーみたいなもんっす!」

四季「でもそんな風にA.T.フィールド全開で引きこもられちゃったら、遠い国の外国人からしたら日本は相変わらず意味不明な島って認識のままっすよね?」

冬馬「だよなあ」

翔太「日本ってヘンな国なのかな?」

北斗「まあどこの国にも変なとこはあるけどね」


四季「だーけーどー! そんな謎の国である当時の日本が出てくる貴重な文献として世界的に超有名な小説がヨーロッパで書かれてるんすよ!
   これはなんだか分かるっすか? ヒントは旅行っす!」

翔太「えー? なんだろ……」

冬馬「分かんねえ……」

北斗「……ガリバー旅行記?」

四季「オッケーイ!! 北斗っちマジマジマックス冴えてるぅー!!」

四季「そうっす、ガリバー旅行記っす! 18世紀にアイルランドの作家ジョナサン・スウィフトによって書かれた架空の旅行記っすね!」

冬馬「あー。なんかガキん時に絵本で読んだ記憶はあるな」

四季「そーそー、なんとなく絵本とかで読んでみんな童話的なイメージがあるかもしんないっすけど……」

四季「実はこの小説はイギリス批判とか政治批判とか、すっげーキョーレツな風刺が込められたバリバリブラックな話なんすよ!」

翔太「え、そうなの?」

四季「そうっす! 主人公のガリバーが小人の国や巨人の国に流れついちゃってなんやかんやみたいな楽しいファンタジーな内容だと思ったら大間違いっすよ!」

四季「とんでもなく最凶のキレ味を持った超絶問題作っす! マジスウィフトガチヤベーっす! イッちゃってるっす!」

北斗「ああ……確かに彼は人間嫌いだったっていうのは聞いたことあるな」

四季「ガリバー旅行記にはラピュータっていう空を飛ぶ島も出てくるんすよ。天空の城ラピュタの元ネタっすね!」

冬馬「ほー」

翔太「そうだったんだ~」

四季「で、そのラピュータの次にガリバーが行く島が日本なんっす。
   1709年にガリバーは日本に上陸して江戸から長崎まで旅行したってことになってるんすよ」

四季「ちなみに踏み絵の話とか日本人の乗った海賊船の話なんかも出てくるっす!」


四季「つまり基本的に架空の国を旅する話の中で日本だけが唯一実在する国として登場するわけっすね。
   1709年っていうのは江戸幕府将軍、徳川綱吉が亡くなった年っす!」

四季「さてさて、じゃあこの綱吉っちが出したメガ奇妙キテレツな政策と言えばー? 翔太っちどうっすか?」

翔太「え? えーっと、アレだよね。犬のやつ」

四季「グーッド!! 生類憐れみの令、お犬様マンセーの時代っすね!!」

四季「綱吉っちが亡くなったのは2月でガリバーが日本を訪れたのはその後の5月なんで、実はその時点で既に生類憐れみの令は廃止されてるんすけどね」

四季「でも日本にはまだまだ動物マンセーの風潮は残ってたわけっす!」

四季「その動物様サイコーな当時の日本の空気を元ネタにしたんじゃないか? って言われてるのが次に話すフウイヌム編っすよ!」

四季「この小説の最後にガリバーはそのフウイヌムっていう理想的な統治のされている国に行くわけっすけど」

四季「そこではなんと生物カーストの一番上に立ってるのが馬で、逆に人間が家畜として扱われてるって設定なんっすよ!」

冬馬「へええ……」

翔太「ふーん。知らなかった!」

北斗「古典って面白いなあ」

四季「まあ正確にはあくまで建て前上はヤフーっていうフィクションの生き物ってことにはなってるんすけどね」

四季「でも明らかに人間がモデルの生き物っす。
   そのヤフーが家畜扱いされ、反対に馬が覇権を握ってる国がサイコーの理想郷として描かれている……」

四季「つまりスウィフトは人間はとかく醜くてどうしようもない存在だと。
   いっつも争ったり僻んだりしてばっかのしょーもない生き物だと考えてたわけっす」


四季「これは清っちの時代の権力争いとも通底してるっすよね。
   同じことが常にいつの世もどこの国でも繰り返されてるってことっす」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「さらにこれは猿の惑星とか藤子・F・不二雄先生のミノタウロスの皿なんかとも共通するテーマっすね。
   立場を入れ替えてみることで皮肉を浮き彫りにする、逆転の発想っす!」

冬馬「……リアルにびっくりするくらいめちゃくちゃ勉強になってるんだけど。なにこれ、ハイパーパネェ」

翔太「マジガチアツいね」

北斗「ウルトラスーパーデラックスにあげぽよだよ」

四季「そんで肝心のガリバー旅行記の具体的なその描写なんすけど」

冬馬「おう。なんだなんだ?」ワクワク

翔太「なになに?」ワクワク

北斗「気になるね」


四季「……とにかくウンコ! ひたすらウンコ! ハイパーウンコ! 隙あらばウンコ!
   マジそこかしこにウンコだらけの完全スカトロ小説っす!!」

冬馬「…………は?」

翔太「ウ、ウンコ……?」

北斗「ウンコ……」

四季「ウンコっす!!」

冬馬「……ウンコ……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」


四季「ウンコ!!!!」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「……ああ、チクショウ……高校生にもなってウンコで笑っちまった……。
   なんか自分自身に失望してるんだけど……あがっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「なんでウンコって単語はこんなに無駄に面白くて魅惑的なんだろうね……いったあー!!??」

 バチーンッ!

北斗「小学生時代に既に一生分は笑ってるはずなのに大人になってもやっぱりウンコで笑ってしまうのは何故なんだろうな……ヤッダーバァァァ!!??」

 バチーンッ!


四季「よーするに人間は糞尿垂れ流してばかりの文字通りクソみたいな存在だと!
   馬の糞ほどの価値もないくだらない生物だと!」

四季「人間なんてただのウンコ製造機に過ぎないとスウィフトは考えてたんすね。
   スウィっち、人間に絶望し過ぎっす。マジ人類補完計画発動5秒前っすよ……」

冬馬「ヤベェな……」

翔太「ゲンドウ並みのメンタリティじゃん……」

北斗「旧劇のトラウマが蘇るね……」

四季「ちなみにこのヤフーは今から60年前に日本で書かれた伝説のガチグロSM小説家畜人ヤプーのモデルにもなってるっすよ」

冬馬「SMって……」

翔太「……それはどういう話なの?」

四季「ハイパー上級者ドM野郎向けのポルノ本っすね!! SFに見せかけたレベルマックスな調教物語っす!!」

冬馬「ええ……」

翔太「……なんかいらない情報まで増えてる……」

北斗「……俺、一応それ読んでみたことあるよ。キツ過ぎて途中で断念したけど」

冬馬「うわ、お前ドMだったのかよ……引くわー」

翔太「流石にそれは僕もドン引きだよ。失望しました、北斗君のファンやめます」

北斗「だから途中でギブアップしたんだって……」

四季「まー最終的に何が言いたいかというと、そんな感じで枕草子から始まって源氏物語に東方見聞録にガリバーに徳川綱吉に家畜人ヤプーに……と
   いろんなものを紐付けて調べていくと覚えやすいし同時に古典も歴史も文学も学べて超お得ってことっすね!!」

冬馬「おお……おおおお……なんか……なんかスゲェ! 俺でもちょっと頭良くなった気がする!!」

翔太「うんうんっ! 僕にも勉強楽しめる脳ミソがあったんじゃないかって思えてきたよ!」

北斗「これだけの知識よく持ってるよね。すごいよ。伊瀬谷君はこういうのっていつもどうやって調べてるの?」

四季「丸暗記っす!!」

冬馬「……ん?」


四季「ただの一夜漬けっす!! 今日のためにプロデューサーちゃんが用意してくれた資料徹夜で暗記してきただけっす!!」

冬馬「……おい!!」

四季「ぶっちゃけオレ、古典とか興味ないっす!! 歴史も興味ないっす!! 読書嫌いっす!!」

四季「過去のこととか正直どーでもよくないっすか? それより今と未来を見つめた方が絶対有意義だと思うんすよオレ!!」

四季「そもそも清っちとかリア友でも何でもない全然知らない人っすし!!」

北斗「それはそうだけども。それはそうだけども」

四季「なんかフレンドリーに清っちとか呼んじゃったけど、清っちの方だってぜってぇ誰だよコイツって思ってるはずっす!!」

四季「知らねえよこんなチャラいピンクメガネ、馴れ馴れしく私のこと話してんじゃねーよって思ってるだろうし!!」

翔太「いや……まあ。そりゃ確かに僕たちも知らないけど……」

四季「あとオレは犬よりネコっち派なんで! そこんトコは譲れねーっす! 綱吉っちとかクソ食らえっすね!!」

冬馬「……さっきまでの充実してたと思ってた時間はなんだったんだ……」

翔太「ある意味今日一番貴重な時間をドブに捨てたよ……」

四季「それとオレは人間嫌いじゃないんで! スウィっちとかまったく共感出来ないっす!
   マジガチ何様なんすか? スウィっちって。ネガ入り過ぎっすよ! もっとポジティブにアゲてけなかったんすかね?」

冬馬「お前……」

四季「ついでにスカトロも全然興味ないっすし! ウンコとかマジどーでもいいっす!
   なんすかウンコって! ウンコで笑っていいのは小学生までっすよ!!」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

四季「じゃあそんなわけなんで! オレの授業はこれで終わりっす! お疲れっした!! あー肩凝ったー!」ゴキッ

四季「無い頭使ったら甘いもんが欲しくなったっすねー。帰りにあめちゃんでも買ってくかな~」スタスタスタ…

四季「んじゃ! ジュピターのみんな、バイバイシュー☆ この後も頑張って下さいねー!」

 ガラッ! バタンッ!


冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

……いやそれだけ丸暗記出来たら東大でも通るわ!

アイドルだからねドラマの台本覚えるノリでやってたんじゃない?

まあ本人は勉強のやる気なさそうだから確かに暗記力意味ないけどね

一人でやってたのにものすごく濃密だったわ

ナチュラルにディスったな

うんこで笑ってケツしばかれるアイドル達がいるらしい…

チンコもウンコに並んで子供にウケる魔法の単語
マンコは変な空気になるから一部のみ笑う


冬馬「……なあ」

北斗「……なに?」

冬馬「……アイドルがウンコで笑うのってアウトか?」

翔太「……セーフかアウトかで言ったらアウトじゃない?」

冬馬「……マジで?」

翔太「少なくとも僕と冬馬君はまだしも北斗君はキャラ的にダメでしょ。ファンの女の子たちドン引きだよ」

北斗「でも俺平成版ドクタースランプで育った世代だし……あいつはあいつは顔デカいで笑ってた子供だったし……」

冬馬「ふざけんなよ、俺はアラレちゃん音頭しか認めてねえぞ」

翔太「冬馬君ってほんと懐古厨だよね」

北斗「典型的な面倒臭いオタクだな」

翔太「自分だって平成生まれのクセにね」

冬馬「うるせえよ。うる星やつらかお前らは」

翔太「え?」

北斗「え?」

冬馬「ごめん」

翔太「冬馬君のカレー……」ボソッ

冬馬「やめろ」

翔太「っていうかさ。一晩で丸暗記って普通にすごくない? なんであれで勉強出来ないの?」

北斗「あれだけの記憶力があるなら普通に出来るはずだよね」

冬馬「その能力をもっと別のところに生かせよあいつは」

翔太「ああもう、せっかく四季さんはあの無駄メガネや医者メガネとは違うと思ったのにとんだメガネだったよ。これだからメガネは」

冬馬「メガネそのものに罪はねえだろ」

北斗「メガネ否定は岡村君まで否定することになるぞ」


翔太「そういえば北斗君はそのなんとかヤプーってやつ読んだんでしょ? 結局どういうストーリーなの?」

北斗「俺も最初の方しか読んでないから分からないけど……確か女性が絶対的な権力を握ってて男はその奴隷にされてるっていう世界観だったよ。
   なんか肉体改造されて人間椅子にされたりしてたかな」

冬馬「うわあ……」

翔太「うええ……」

冬馬「っつーか一夜漬けってことはあいつ絶対部分部分で適当に誤魔化して間違えたこと言ってるぞ……」

翔太「……結局どこまでが正しくてどこが間違ってるの……? 分かんなくなってきた……」

冬馬「もう頭の中にウンコしか残ってねえ……」

北斗「なんかドヤ顔で綺麗な情景が浮かぶとか共感出来るとか言ってたけど絶対そんなの思い浮かんでないし共感もしてないよね」

冬馬「下手したら本気で太陽は西から昇って東に沈むと思ってんじゃねえかあいつ」

翔太「なんだっけ、ガリバーがラピュタで……ああもういいや」

北斗「まあそこは翔太がこれから自分で調べてみたらいいんじゃない?
   彼自身は適当に喋ってただけだろうけど、実際いろんなことを調べて学んでみるのはいいことだよ」

翔太「えー……やだ、面倒臭い。もう何見てもウンコとSMとメガネしか浮かんでこないし」

冬馬「勉強とかクソだな」ペッ

北斗「せっかく芽生え始めた勉学に対する意欲の萌芽が一瞬で摘み取られたな……」


翔太「まあそれにジブリの最高傑作は千と千尋だしね」

冬馬「何言ってんだ、もののけ姫で結論出てるから」

北斗「まあまあ、ここは間を取って紅の豚ってことでいいじゃないか。カッコイイってこういうことだし」

冬馬「は? じゃあ聞くけどお前ポルコに掘られてもいいのかよ?
   いくら中身がイケメンでも流石に豚に処女はやれねえわ。その点俺はアシタカにならケツを押し通られてもいい」

翔太「まあアシタカの方は冬馬君のケツなんか押し通りたくないだろうけどね」

北斗「確かにアシタカはカッコイイ。それは認める。
   でもいくらなんでもカヤからもらった首飾りをサンにあげてしまうのはどうなんだ?」

冬馬「いいんだよ、フンドシ穿いててもイケメンなんだぞアシタカは」

北斗「いいや、一番はポルコだ。ロリコンに見せかけて彼は最終的にはちゃんとジーナさん選んでるからね。しっかり貫き通してるから」

翔太「そんなこと言ったらハクなんて最初から最後までずっと千尋一筋だよ。
   迷ってすらいないよ。やっぱり千と千尋がナンバーワンだね」

冬馬「でもあいつ川じゃん。おかっぱだし」

翔太「おかっぱの何が悪いのさ。イケメンにしか似合わない選ばれし者の髪型だよ。
   ハクかブチャラティかイザークくらいしか許されないよ」

冬馬「民間人のシャトル撃ち落とした上にラクシズに寝返った奴のどこがイケメンなんだよ。
   ブチャラティ先輩と並べていいレベルの存在じゃねえわ。他が酷いせいで相対的に許されてるだけだろあいつ」

北斗「まあでもイザークにはシホがいる時点で勝ち組だよね」

翔太「そういえば北斗君ってディアッカに似てない?」

冬馬「言われてみれば……」





 ガラッ!

麗「し、失礼する……」

 デデーン 全員アウトー


麗「……えっ?」

レスは時事を取り込んでゆくスタイル


神楽麗
http://imepic.jp/20160807/618270
元ヴァイオリニスト。2人組アイドルユニットAltessimoに所属
犬と馬が好きで真面目な中性的クラシック系アイドル


麗「……何故今わたしは笑われたのだろうか……ごく一般的に入ってきただけなのだが……」

翔太「……ハク様! リアルハク様来た!!」

冬馬「ハク様!」

北斗「ハク様!」

麗「えっ」

翔太「ハク様ハク様! わたしのことは?」

麗「え? え?」

翔太「わたしのことは?」

麗「……ハク様と呼べ?」

翔太「ハク様!!」

冬馬「ハク様!!」

北斗「ハク様!!」

麗「……わたしはどう反応すればいいのだろう」

翔太「ごめんね、気にしないで。そんなことより来たのが麗さんってことはやっぱり……」

麗「ん、ああ。わたしの担当は音楽だ。今日はみなさんにショパンについて解説していきたいと思う」

冬馬「……おお! これはマジで期待出来そうだぞ!!」

翔太「しかも音楽って北斗君も得意な分野じゃん! 北斗君はずっとピアノやってたもんね!」

北斗「うん。今度こそまともな授業が受けられそうだ」

麗「しかし申し訳ないのだが、みなさんには最初にひとつ謝っておかなければならないことがある」

冬馬「ん? なんだ?」

麗「……すまない。本当は今日ここには都築さんも来る予定になっていたのだが……」

翔太「なにかあったの?」

麗「……直前になってまたフラフラとどこかへ消えてしまった」

翔太「ああ、うん。そこは最初から大体分かってた」

冬馬「まああの人はそういう人だろ」

北斗「基本省エネに生きてる人だからね……」


麗「本当に申し訳ない……。ま、まあここは気を取り直して本題の授業の方に入ってゆこうと思う!
  ……っと、その前に一度アウト分があったな」

木星「あっ……」




 バチーンッ!

木星「めそっ!!」


麗「それでは改めて話してゆこう。フレデリック・ショパンは19世紀に活躍したポーランド出身の作曲家だ。
  39歳という若さで亡くなっているがその生涯には200曲以上もの作品を残している」

麗「ロマン派の彼の紡ぐその音色の類いまれな美しさはピアノの詩人とも呼ばれるほどだ」

麗「英雄ポロネーズ、幻想即興曲、葬送行進曲、ノクターン、革命、黒鍵、蝶々、木枯らしなどが特に有名だな。
  わたしの好きな子犬のワルツも彼の作品だ」

冬馬「ふむふむ」

翔太「四季さんと違って麗さんの言うことは本当に素直に信じられるね!」

北斗「いいよねショパン。俺も大好きだよ」

麗「それから別れの曲というのもある。これはみなさんも聴いたことがあると思うのだがどうだろうか?」

冬馬「あー……タイトルだけなら分かるけどどんな曲だったっけ?」

翔太「えーっと、どうだろ」

麗「うむ。それでは分かりやすいように少しそこにあるピアノで弾いてみようと思う。
  わたしの専門はヴァイオリンなので拙い演奏で聞き苦しいかもしれないが……」

翔太「いやいやいや、全然そんなことないって。僕なんて猫ふんじゃったも弾けないし」

冬馬「塾なのになんでピアノ置いてあんのかと思ったらそういうことか」

北斗「神楽君のピアノが聴けるなんて嬉しいね」

麗「いえ、そんな大したものではないのだが……。では」スッ


 タンタンタタターン タタタターン タタタターンタ タタタタターン♪


冬馬「おっ、これなら俺でも聴いたことあるぜ」

翔太「僕も僕も。なんか悲しい感じの曲だよね」

麗「今弾いたのは触りの部分だけだがこれが別れの曲だ。正式名称はエチュード10の3ホ長調。
  エチュードというのは練習曲という意味で、ショパン22歳の時の作品だ」

冬馬「22歳!? すげえな、今の北斗とほとんど変わんねえ歳で作ってんのか」

翔太「天才っているもんだね~」

北斗「本当に美しい旋律だよね。惚れ惚れするよ」

麗「彼は家族や友人に恵まれ比較的幸福な少年期をワルシャワで送ったが、その後はウィーンやパリなどを転々としている。
  当時のポーランドというのはとにかく激動の時代だったのだ」

麗「国力が弱まりロシアに支配され、独立を目指して起こした蜂起も鎮圧されてしまった」

麗「またフランスでも7月革命などが起こり、そうした近隣の国の影響も大きく……」

麗「結局祖国への想いが人一倍強かったショパンだが20歳で音楽家としての大成を願った周囲の後押しもあり国を出る決意をした後
  死ぬまで二度と故郷の地を踏むことは出来なかった」

翔太「自分の生まれ育った国に帰れなかったの? なんか可哀想だね」

冬馬「映画のターミナルみたいだな」

北斗「トム・ハンクスのやつだよね」

麗「そんな彼のポーランドに対する郷愁の念が込められているのがこの別れの曲だ」

翔太「ああ~、なるほどね。だからなんか寂しい感じの曲なんだ」


麗「ちなみに日本では別れの曲という名前で広く知られているが
  実はこれは1934年にドイツで作られたショパンの自伝的映画が翌年日本で公開された際に付けられた邦題だ」

翔太「へー! そうなんだ!」

冬馬「今から80年以上前か……まだ俺の婆ちゃんも生まれてねえな」

麗「海外では悲しみ、親しみなどの名称で呼ばれることが多い。
  またショパンは同じく作曲家であるフランツ・リストとも親しかったことで有名だ」

冬馬「リスト……それも名前だけなら聞いたことあるけど」

北斗「リストはとにかく難しいんだよね」

麗「ああ、彼の曲は大変難易度が高いことで知られ、超絶技巧と呼ばれている。
  プロのピアニストですらなかなか弾きこなせないほどで、今でも史上最高のピアニストとの呼び声も高い」

麗「さらに付け加えると彼は女性にもとてもモテたそうだ」

翔太「……なんかラノベの俺TUEEE系主人公みたいなスペックだね」

冬馬「俺そういうのスゲー腹立つわ。死ねばいいのに。あ、もう死んでた」

翔太「まんま北斗君じゃん、リストって」

北斗「いやいやいやいや、俺なんてとても彼の足下にも及ばないよ」


麗「それからショパンはジョルジュ・サンドという男装の作家と大恋愛をしたことでも知られている」

冬馬「……男装? そんな昔に男装趣味の女なんていたのか」

翔太「真さんみたいな感じ?」

北斗「真ちゃんはとても女の子らしい子だけどね」

麗「ジョルジュ・サンドというのはペンネームで本名はオーロール・デュパンという。
  代表作には愛の妖精などがあるな。彼女はとても社交的な人物でサロン……上流階級者たちの集いの場にも頻繁に出入りしていた」

麗「そのため非常に交友関係が広く、あのバルザックも彼女のことは高く評価している」

翔太「バルザック? 誰それ?」

麗「ゴリオ爺さんや谷間の百合などを書いたフランスの文豪だ。
  彼は非常に毒舌なことで知られるが彼女に対する点は甘く、ベアトリクスという自身の小説の中にサンドをモデルにした登場人物も出している」

麗「それだけサンドという女性が人を魅了せずに置かない才気に溢れる人物だったということだろう」

冬馬「ほほう……」

麗「当時は女性はその能力を家庭内で発揮すべき、つまり良妻賢母であることを求められた」

麗「そんな中でズボンを穿き、破天荒な振る舞いをする彼女はバルザックのような例外を除き、多くの人々から大変な批判を受けたそうだ」

北斗「俺はそういう型破りな女性ってすごく好きだけどなあ。もしその時代に生きてたら是非彼女と恋をしてみたかったね」


麗「先ほどのリストの紹介でショパンとサンドは出会ったのだが、彼も当初は彼女に対していい感情は持っていなかったらしい」

麗「『なんという感じの悪い女だ、本当に女性なのかどうかすら疑わしい』というような感想を漏らしている」

翔太「そこから恋愛に発展したの? 第一印象最悪なとこから始まるとかラブコメの王道じゃん。少女漫画?」

麗「もっとも26歳で出会い、その後恋仲になってから9年ほど続いた彼らの関係もショパンの死の2年前、37歳の時に解消し2人は破局している」

翔太「えー!? なんで? 漫画だったらそのままサンド大勝利コースだよね?」

冬馬「まあでも真中も最後は東城じゃなくて西野選んでるしな。なんで東城じゃダメだったんだよ。ふざけんなよ」

北斗「東城は行動するのが遅過ぎたんだ……仕方なかったんだよ。それに西野は可愛くて健気な良い子だからな」

翔太「あれにはさつき派の僕も激おこだよ」

麗「……その話はよく分からないが、とにかくサンドとショパンは最終的には決別している」

冬馬「なんで上手くいかなかったんだ?」

麗「真実は当の本人たちにしか分からないだろうが……つまるところ性質的に彼らは正反対だったのだろうな」

麗「気難しく病弱で生涯結核に悩まされた繊細なショパンに対し、サンドは非常にストイックで潔癖な人物だったらしい」

麗「また一説にはサンドはその……ふ、不感症だったのではないかとも言われている」

翔太「不感症!!」

冬馬「不感症!!」

麗「……」カァ~ッ…

不感症!!


翔太「不感症だって冬馬君!! 不感症!!」

冬馬「不感症!! 不感症か!!」

北斗「不感症かあ……」

麗「……ゴホンッ! と、とにかく!
  そんな繊細な青年であったショパンと男勝りなサンドとでは食い違ってしまう部分が大いにあったのだろうと推察される」

麗「またサンドには既に2人の子供がいたのだが親子関係が良くなかったらしいな。
  そんなサンドの娘の肩をショパンが持ったことで恋仲に決定的な亀裂が入ったとも言われている」

麗「批判も多かったサンドとショパンの関係は人々からの好奇の目に晒された。
  その人目を避けるためとショパンの療養も兼ねて2人はひと冬の間マジョルカ島に滞在している」

麗「サンドは非常にまめまめしくショパンの看病をしたそうだが……
  介護を続ける内に恋人というよりももはや看護士のような気持ちになっていったようだな」

麗「彼はサンドにとって既に手のかかる自分の息子の1人のように思えてきてしまったのだろう」

麗「ショパンの方も女性としての愛情や癒やしを求めていたサンドが自身の情熱に応じてくれず
  だんだんつれない態度に変わっていったことに不満を抱いていたと……」

冬馬「なるほど!! つまりショパンは欲求不満だったわけか!!」

翔太「なるほどね!! そういうことか!!」

北斗「納得の理由だな」

麗「ああもうっ!! 敢えてぼかした言い方をしたのだからそこは深くツッコまないでくれっ!!」

冬馬「深く突っ込む!!」

翔太「深く突っ込む!!」

麗「~~~~っ!!」

深く突っ込む!!

ウンコチンコを卒業して「つっこむ」に反応する中学男子にクラスアップしたな


翔太「深く突っ込むだって冬馬君!! 深く突っ込む!!」

冬馬「深く突っ込む!! 深く突っ込むか!!」

翔太「ところで深く突っ込むってどういうこと!?」

冬馬「バカヤロウ、そんなもん俺が知ってるはずねえだろ!! 知ってたら今頃もっと薔薇色の人生送ってるわ!!」

翔太「それもそうだね!!」

冬馬・翔太「あっはっはっはっは!!」

 デデーン 冬馬、翔太、アウトー




冬馬・翔太「エンッッ!!!!」

 バチーンッ!



麗「……どうもわたしはあの2人のノリには付いてゆける気がしないのだが」

北斗「それで正しいんだ。間違っても君はあんな風にはなっちゃいけないぞ。お兄さんとの約束だ」

麗「……はあ。もういい。ではここまでを踏まえて次はみなさんに実践的にピアノを教えてゆこうと思う」

翔太「ええ~? 僕ショパンなんか絶対弾けないよ~!」

冬馬「俺も……」

麗「いや、ここはまずもっと簡単な曲から始めよう。みなさんも知っているだろう、カエルの……」

翔太「あ、分かった。カエルの合唱ね」

冬馬「……なんか一気に難易度下がったな。幼稚園児かよ。もしかして俺らナメられてんのか?
   ショパン全然関係ねえし。え、それとももしかして関係あんの?」

北斗「いや、カエルの合唱は確かドイツの民謡だったはずだよ」

麗「まったく無関係というわけでもない。
  ショパンも16歳の時にドイツ民謡スイスの少年を主題にした変奏曲を作っているからな」

翔太「16歳で? へえ~」

麗「また幼い頃から聞き馴染んでいた祖国ポーランドの民謡も彼は非常に愛していた」

麗「それに日本の国家である君が代もドイツ人の作曲家フランツ・エッケルトが現在の形に編曲しているからな」

冬馬「ほー」

麗「それでは最初にまずはわたしが一度弾いてみよう。カエルの……」

翔太「はいはい、カエルの合……」

麗「ヤドクガエルの合唱だ」

 デデーン 全員アウトー


冬馬「………結局お前もそっち系のネタで来るのかよ!! だああああっっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「このネタが分かる自分がイヤだ……んぎゃっ!!??」

 バチーンッ!

北斗「ほんとだよ……ぐあああっっ!!!!」

 バチーンッ!



麗「……ところでこのヤドクガエルとはなんだ?
  いや、そういう生物がいること自体は知っているのだが……確か鮮やかな体色と強い毒を持つ南米産のカエルだとか……」

北斗「知らなくていい。君は一生知らなくていいから。そのままの清い君でいてくれ」

麗「あとカンナビ……」

冬馬「やめてくれ。本当にやめてくれ」

麗「ぐじら4ご……」

翔太「やめて。本当にやめて」

麗「……? どうも要領を得ないな……まあいい。とりあえず早速このカエール……いや、ヤドクガエールの合唱を」

翔太「言い直さなくていいから……」

麗「みなさんにヤドクガエってもらう」

冬馬「動詞にするな」

麗「全員でヤドクガエろう」

北斗「やめて」

麗「ヤドクガエ……」



 ガラッ!

四季「ちーっす! あっ、いたいた! 麗っちー!」ブンブン

麗「……伊瀬谷?」

冬馬「……なんで戻ってきてんだあいつ」

何かと思ったら闇がふかかった

どういうことなの……?


四季「いやー、そういや麗っちもここ来てるんだったってこと忘れてたっすよ! メンゴメンゴ! 横槍メンゴ☆」

四季「しっかしさっきからホント太陽っちがマジサンシャインっすよね! 全然さりげなくないし!
   ギンギラギンに全開でメガアッチィからアイスでも食って帰ろうかと思ってるんすけど麗っちも一緒にどーかなって!」

麗「えっ。わ、わたしもか……?」



冬馬「どんだけフリーダムだよあいつ」

翔太「いいなあ、僕もアイス食べたい……」

北斗「ぬ~べ~といいギンギラギンにさりげなくといい、何故彼は現役高校生なのにそんなことは知っているんだろう……」


麗「いや……しかし、わたしはまだ……」チラッチラッ

四季「あー、どうしよっかなー! 今日は奮発してトリプル頼んじゃおっかなー!」

麗「……? トリプル? アイススケートの話だったのか?」

四季「あれっ、麗っち31知らないんすか!? メガウマっすよ!
   まあもうチャレンジ・ザ・トリプルは終わっちゃってるっすけど! オレ的にはやっぱポッピングシャワーが一番っすね!!」

麗「チャレンジ……? シャワー……??」

四季「あと初心者はコーンよりカップの方がオススメっす!!」

麗「……よく分からないが……わたしのような若者文化に疎い人間がそのようなところへ行ってもきっと店側に迷惑をかけてしまうだけだろう」

四季「いやいやいや、なに言ってんの! ジイさんじゃないんすから! そんなのただの慣れっすよ慣れ!
   誰だって最初は素人っす! ってか注文の仕方くらいオレが教えるし!」


麗「う、む……そうか。しかし伊瀬谷は何故そこまでわたしに親切にしてくれるのだ?
  わたしのような者といてもつまらないだろうに……」

四季「ええ? だってオレらもうズッ友っしょ?
   あれ、それとももしかしてそう思ってたのオレだけ!? うわ、ガチハズかしーっす!」

麗「ずっとも? ずっともとはなんだ?」

四季「ずっと友達って意味っすよ!」

麗「………友達!!」キュピーン!


麗「行く!! 行くぞ!! わたしは行く!!」ガタタッ!

四季「おっ、さっすが麗っち! メガマックスノリいいっすね! んじゃさっそくハイパーアゲてシューゲキしちゃおうぜー!」

麗「おお! ハイパーにアゲるぞわたしは! 友達だからな!!」

四季「そうっす、友達っす! ほら言うじゃないっすか、人類みんな穴兄弟って! まー清っちはダチじゃないっすけど!!」

麗「ああ! 穴兄弟だ! 意味は知らないが! 友達だからな!!」

四季「穴兄弟っす!!」

麗「穴兄弟だ!!」

 デデーン 全員アウトー




冬馬「……なんなんだよこのノリ……っつーかいきなりテンション上がり過ぎだろ……なばっっ!!??」

 バチーンッ!

翔太「まあ麗さんこれまでずっと友達いなかったみたいだから……いっづっっ!!!!」

 バチーンッ!

北斗「泣けてくるな……ごあっっ!!??」

 バチーンッ!



麗「それではすまないがわたしはこれで失礼させてもらう!!」

四季「そんじゃジュピターのみんな、改めてバイシューっす! どうもー☆」ペコッ

冬馬「ああ、もういいからさっさと帰れ」

翔太「四季さんって限りなくウザいけど、この天井知らずなコミュ力の高さだけは本気で尊敬するよ」

北斗「A.T.フィールドとかまったくないよね」

蛇口の穴兄弟

麗くん的には夕凪とかネムネムだな(お世話になってる感)

見てる人も大概闇が深くて草
てかそもそもネタの意味が分かったってことはつまりそういうことじゃないか

分からない俺に解説プリーズ

祭典関係だよ

涼ちんや咲さんで使わなかった事に良識を感じる。
冬馬はともかく、翔太は反応しちゃ不味いだろ。

わからない人はお父さんに聞いてみよう
……わかっちゃうお父さんは嫌だな


<麗っちはどのアイスにするっすか?

<よく分からないが何でも食べるぞわたしは! 友達だからな!

<穴兄弟っすからね!!

<ああ! 穴兄弟だからだ!!



冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

冬馬「……はあ。ひとまずうるせえのはこれでやっと去ったな」

翔太「そうだね。まあまだ油断は出来ないかもしれないけど」

北斗「この授業っていつまで続くんだろうね」

冬馬「とりあえずもう国語だのショパンだの小難しいのはいらねえわ。体育でいいだろ体育で。ドッジボールやろうぜ」

翔太「でもそういう体育会系の人となると多分漣さんとかタケルさんとか悠介さんたち辺りが来るよ」

冬馬「あー……タケルと蒼井兄弟はともかく牙崎さんは面倒臭そうだな……」

北斗「ぶっちゃけ冬馬って俺様キャラとかいって売り出してるけど今じゃ完全に牙崎君にその座奪われてるよね」

翔太「もうただの俺様(笑)だよね。名前に牙が入ってる時点で最初から漣さんの勝ちは決まってたんだよ。
   今の牙の抜けた冬馬君なんてただのツンデレツッコミキャラでしかないもん」

冬馬「うっせえよ。んなこと言ったら北斗なんてアイドル王子とか言われてるけどウチの事務所にはガチ王子いんじゃねえか」

北斗「……つくづく315プロってなんなんだろうな」

翔太「アイドル……アイドルってなんだろう」

冬馬「そんなことより今は……」



 ガラッ!

冬馬「ん?」

握野「……」スタスタ…

冬馬「……あー。次は握野さんか……」

翔太「……今度こそ本当にまともそうな人材だけどどうせまた酷いんでしょ?」フンッ

北斗「そろそろ本格的に翔太の性格が荒み始めてるな……」


握野英雄
http://imepic.jp/20160812/631420
信玄ニキと同じFRAMEに所属。元警察官。悪人顔で誤解されやすいが本人自身は子供好きな優しい性格


握野「……」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

握野「……」

 シーン…

木星「……?」


握野「……あー。悪い。ここでみんなにはひとつ非常に残念な知らせがある」

冬馬「……は?」

翔太「えー……なんなのもう……やめてよ……」

北斗「なんか妙に暗い顔してるけど……」

握野「実は……その、先刻、嘆かわしいことに某所で悪質な事案が発生した。
   よって急遽今からその謝罪会見を執り行いたいと思う」

冬馬「はあ? 事案って……」

翔太「なに? 何の話? 翼さんがまたなんかやらかしたの?」

北斗「さあ……」

冬馬「っつーか授業の方はどうなったんだよ。これは一体何の授業なんスか?」

握野「……強いて言うなら現代社会っすかね。ある意味今の日本社会の闇の深さを知るいい機会にはなると思う」

握野「みんなはこの件を反面教師にしてくれぐれもああいう人間には決してならないよう、お天道様に顔向け出来る立派な大人になって欲しい」

冬馬「……」

翔太「……」

北斗「……」

握野「……じゃあ入ってきてくれ」

冬馬「……なんなんだよ一体」



 ガラッ!

咲「……」スタスタ…

翔太「あ、咲さん」

神谷「……」ゾロゾロ

巻緒「……」ゾロゾロ

東雲「……」ゾロゾロ

北斗「カフェパレの他の人達まで……?」

あずさ「……」テクテク

冬馬「……なんだなんだ。三浦あずさもいるぞ」

765P「……」スタスタ…

翔太「……最後は765のお兄さん……? どういうこと……?」


握野「……うん。これで全員揃ったな。じゃあさっそく始めてくれ」

765P「……はい」スッ

咲「……」

神谷「……」

巻緒「……」

東雲「……」

あずさ「……」


翔太「……ちょっと待って。咲さん……765のお兄さん……謝罪会見……これって……」

冬馬「まさか……」

北斗「これは……」




765P「えー。今回、俺、世界のナムピーは笑ってはいけないジュピター企画中に男の娘であり
     メイドである水嶋咲さんにセクハラをかまし、不快な思いをさせてしまい深く謝罪致します」

 デデーン 全員アウトー



765P「……まず俺が咲サイドがセクハラだと訴える行為を働いた経緯を説明しますと
     迷子になったあずささんを彼らのカフェまで迎えに行った際、そこで運命的な出会いを果たしてしまったことが主な原因です」

765P「メイドとして一生懸命働く咲の姿……揺れるツインテール、首筋にうっすら滲む汗、眩しい笑顔、白く輝くニーハイソックス、絶対領域……」

765P「そういったものを初めて間近に目の当たりにして、つい俺の中のリビドーが強く反応してしまったことは事実であります」


765P「具体的にその状況を述べると客席まで料理を運んでいる咲が後ろを向いた際
     その可愛らしいヒップがいやらしく動いたもので俺はそこで『アラっ』と思ってしまい、ついお尻を触ろうとしてしまいました……」

765P「企画前に読んだ薄い本では男の娘は即堕ちしていたのです」

765P「俺が咲さんのお尻を触ろうとしてしまったことは紛れもない事実であります。
     しかし男の娘×メイドという組み合わせといえば一般的にどスケベなイメージがあるということも事実であります」

765P「よって、ここは一つ喧嘩両成敗ということで水に流して頂けないかと思っている所存でございます……」

咲「違うもん……っ!! あたしどスケベなんかじゃないもんっ!! あたしはただ可愛いものが大好きなだけで……っ!!」ガタッ!

巻緒「サキちゃん……!」

神谷「咲……」

あずさ「……プロデューサーさん」

東雲「……そんないい加減な理由ではこちらはとても納得出来ませんね。
   言い逃れがしたいのならばもっとちゃんとした言い分をお聞かせ願えますか?」

765P「……ではまず謝罪の前になぜ俺があのような行動をとってしまったのか? その経緯を説明させて頂きます」

765P「その理由の一端には先日のニコ生があります。
     そこで発表された涼ちんのCVを三瓶さんが続投されるという朗報についテンションが上がりに上がってしまい……」

765P「俺の中で基本3ヶ月周期にやってくる男の娘ブームが今回、早めにやってきてしまったことも原因のひとつであることは否めません」

765P「あ、あと九十九君、大吾君、もふもふえん、Legendersも声帯実装おめでとう」


765P「……まあとにかくそんなわけで現在、俺の中で『わぁい!』な気持ちが膨れに膨れ上がってしまったことは致し方ないことかと思われます」

765P「さらに付け加えるならば俺はモバマスではCuPを担当しています。
     そして一般的にCuPはホモというのは周知の事実であります」

765P「ですから咲のエッチなメイド姿を目の当たりにした俺に『アラ、いいですねえ』の波が何度も押し寄せて来ちゃったことは仕方のないことであり」

765P「決して罪悪感があった訳ではないので、示談という形で穏便に処理して頂きたいと思っている所存であります」

神谷「………ふざけるなッ!!」ガタッ!

神谷「咲は……咲は今泣いているんだ!!」

咲「あたし……あたしっ……!」グスッ

巻緒「サキちゃんっ!」

東雲「……反省の色無し、と。話になりませんね」

あずさ「プロデューサーさん……見損ないました!! どうしてその子なんですか!? 私じゃダメだったんですか!?」

765P「違います!! 俺はあずささんだって大好きです!! おっぱい大好きです!! 
     癒し系お姉さん大好きです!! でもそれとこれとは話が別なんだ!!」

765P「俺は米が好きです! 炊きたてのふっくらごはんは大好きなんです!
     でもたまにはパンを食べたくなる時だってある! そういうことなんですよ……!!」

765P「確かに和食は美味しい! アジの開きも出汁巻き卵も味噌汁も大好きだ!!
     でも時にはメロンパンやピザやラーメンやクリームシチューをたらふく食べたくなる日もあるでしょう!?」

765P「洋食や中華の誘惑に負ける日だってある!! これは言わばただの生理現象なんだ……!!」

北斗「……確かメロンパンとクリームシチューは日本発祥だったはずだけど」

俺もセクハラしたい

このPは駄目すぎる。誰か律子さん呼んできて……


765P「そもそもが男だとか女だとかそんなのは些細な問題なんですよ!! 可愛いは正義なんです!!」

765P「女が女の子を、男が男の娘を好きになって何が悪い!? はるちはもゆきまこもひびたかもすべて美しいじゃないか!!
     人が人を愛するということに何も変わりはないじゃないですか……ッ!!」

765P「確かにおっぱいは素晴らしい!! 柔らかくたわわに実ったおっぱいは最高だ!!
     でもだからといってつるぺたに価値がないなどという道理は断じてない!!」

765P「俺は千早の胸も男の娘の胸も等しく至高のものだと思っています!! おっぱいに貴賤なんかないんです!!」

765P「むしろ男の娘は無いしあるのが前提なんだからそこがいいんだろうが!!
     見た目は女の子に見紛う可愛さなのに脱がせた時に初めて分かる『あっ、やっぱり女の子とは違うんだ……』感がサイコーなんだよ!!!!」

765P「だからこそ尻!! 男の娘は尻なんです!! 確かに尻と言えば貴音、貴音と言えば尻、それは揺るぎのない事実ではある!!」

765P「だけどそんな女性らしい丸みを帯びたパンパンの大きな尻も素晴らしいが男の娘のキュッと締まった控えめお尻もまたマーヴェラスだ!!
     この頃流行りの男の娘!! お尻の小さな男の娘!! 実にいいじゃないか!!」

765P「あと『貧乳キャラはそれを恥らってる姿がいいんだろ、恥じらいのない貧乳はクソ』とか言う奴いるけど違うだろ!!
     恥じらいのない貧乳だってそれはそれでアリだろうが!!!!」


765P「何故みんな性別だとか恥じらいだとかそういうおっぱいに付随する余分なものにばかりこだわるんだ!!
     おっぱいはおっぱいとしてただそこにあるだけなのに!!」

765P「目の前におっぱいという山があるから登る!! それだけなんですよ!! 例えそれが山じゃなく谷だとしても!!」

765P「アラアラ、いいですねえ!! 右も左もいいですねえ!! 上から下までいいですねえ!!
     この精神ッ!! この精神こそが重要なんです!! ああ!! 大好きだッ!!」ドンッ!


冬馬「あんたは好きでも当の女の方はドン引きだと思うぞ」

翔太「一番おっぱいにこだわってるの765のお兄さんだよね」

北斗「まあどんな女性もみんなそれぞれ素晴らしいっていうのには同意するけど……俺は男の娘属性はないからなあ」

冬馬「っつか恥じらいはめちゃくちゃ大事だろ。そこは譲れねえよ。
   恥じらいとジェラシーのない管理人さんなんか管理人さんじゃねえ」

翔太「まあ一番はこずえちゃんなんだけどね」

北斗「全員魅力的で一番なんか決められないけど強いて言うなら俺は朱美さんがいいなあ」

765P「とにかく!! 俺が男の娘という存在に劣情を催すのはごく普通な自然の摂理であり!! 何もやましいことではないということです!!!!」

握野「……言いたいことはそれで全部か?」

765P「……はい」

握野「ではここで全員にケツを……いや、決をとる。この一件、Alice or Guiltyか各々が判決を下してくれ」

握野「まずはアリスだと思う人間。挙手を頼む」

全員「…………」

 シーン……

握野「ではギルティだと思う人」

全員「…………」スッ

握野「……決まりだな」

765P「!?」


765P「ちょ、待ってくれ!! だから俺は何も悪くなっ……!」

 デデーン 765P、人としてアウトー







 ガラッ!!

律子「らっしゃああああああああッッッ!!!!!」バキィッ!!

765P「げぶふぉぉぉっっ!!??」

冬馬「あ、メガネ女来た」



律子「っしゃあ!! ッシャオラッ!! 反省しろコラァッ!!」バキッ! ドゴッ!

765P「おうっ!! ばうっ!! あいたー!?」

律子「あなたは!! 人として!! 恥ずかしく!! ないんですかッ!!」ドコッ! ゴキッ!

765P「ぶふぉっ! ぐぼふぉっ!」

律子「何が男の娘ですか!! 何が尻ですか!! この!! ド変態がッッ!!!!」ガッ!

冬馬「……少なくとも男の娘に関してはあんたも人のこと言えねえだろ。いとこ的な意味で」


律子「おらあっ!! 次は逆エビ反り固めからの腕ひしぎ十字固めじゃあああああああああ!!!!!!」ギリギリギリギリッ…!

765P「あ゛あ゛ああああああああああ!!!!!!」ビクンビクンビクンッ

律子「自分の過ち分かってんのかコラァッ!! よそ様の事務所の子にまで迷惑かけて!! 真面目に仕事しろやっ!!
   テメェの下半身の中身より重要なもんがいっぱい溜まってんですよこっちには!!!!」メキメキメキッ!

765P「ぐあああああああああ!!!!!」

あずさ「……あ、あの律子さん……いくらなんでもそこまでしなくても……」オロオロ…

咲「そ、そうだよ。あたしも別にそこまで気にしてないし……っていうかこれ最初からそういう台本……」

律子「あ゛ん?」ギロッ!

あずさ「ひぃっ!」

咲「ひぃっ!」

律子「あなた達は黙ってて下さい」ゴゴゴゴゴゴ…

あずさ「ひゃいっ!」

咲「ひゃいっ!」


765P「ゲフッ、ちょ、律子……マジで死ぬ……死ぬから……」

律子「……普段のプロデューサー殿の勤務態度の積み重ねがこの事態を招いているんですよ……?」

765P「ごめんなさい!! ごめんなさい!! もうしません!! これからは真面目に仕事しますから!!」

律子「その程度じゃ全然足りてないんじゃボケェッ!! ッシャア!!
   まだまだ行くぞオラァッ!!!! 己の日頃の行いを悔い改めろオラァ!!!!」ゴキャァッ!!

765P「あああああああああああッッッ!!!!!!」







翔太「……なんか僕、なんだかんだであの2人が一番お似合いな気がする」

冬馬「まあ秋月ならいつあいつが暴走しても楽勝で止められるだろうしな」

北斗「彼女に身体密着させて関節技かけてもらえるなんてご褒美以外の何物でもないじゃないか」

冬馬「お前やっぱドM入ってるだろ」

握野「傍観してるとこ悪いっすけど、冬馬さん達もさっきのアウト分あるっすからね?」

木星「……………………」








 バチーンッ!

木星「いっぱいいっぱいッ!!!!」





 ――某進学塾前

山村「皆さんお疲れ様です。勉強の方はどうでしたか? しっかり大事な知識は身に付けられましたか?」

冬馬「……とりあえずああいう人間にだけはなっちゃいけねえってことはよく分かった」

翔太「もういっそ本気で英雄さんに手錠かけてもらってブタ箱ぶち込んどいた方がよかったんじゃないの? あの人」

北斗「でもあれでプロデューサーとしては本当に敏腕だからね」

冬馬「世の中間違ってるな……」

山村「それでは時間が惜しいのでさっさと次の場所へ移動しましょうか!」

冬馬「……マジでまだ続くのかよ……勘弁しろよ……」

翔太「これまでの人生の中でこれほど絶望したことはないよ……ああ、お尻痛い……」

北斗「……それで今度は一体どこへ連れてく気なんだ?」

山村「ええ、今度は……」



 ジュピターの受難はまだまだこんなものでは終わらない……!!
 この先の彼らには一体どんな罠が待ち受けているのか?
 彼らのケツと自尊心の安全は保たれるのか? アイドルとは一体なんなのか?
 そもそも彼らは本当にアイドルなのか?
 それは誰にも分からない……


 ―――続く

とりあえずここで一旦区切ります
次スレはまたその内立てます、読んでくれた方ありがとうございました

一旦乙
笑わせてもらったよー

なんて酷いSSなんだ……

続編楽しみに待ってます

乙ヘーイ!
企画が終わる頃には、3人のケツがお姫ちん並みに腫れ上がってそうだな…

おつおつ、続きも待ってる

男の娘はいいゾ

北斗「……笑ってはいけないジュピターか……」
北斗「……笑ってはいけないジュピターか……」 - SSまとめ速報
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