男「そんな……やっとやっと来れたのに……」
店主「ほらにいちゃん店閉めるから出てくれ」
男「うっ……ぐすっ……あ、あっあぁ……」
店主「おいおい何も泣くことねぇだろ。明日もう少し早く来りゃいいだけなんだからよ」
男「明日じゃダメなんです、妹が……妹が……」
店主「妹？」
男「妹は明日にはもう死んでいるかも知れないんです。医者からは恐らく今日が最後の夜になるだろうって
だから好きな物をいっぱい食べさせてあげて下さいって……」
店主「……」
男「妹が言ったんです、ここの唐揚げが食べたいって……本人は食べたこと無いくせに友人がこの店をすごく褒めてたって
だから私もみんなと同じもの食べてみたいって……」
店主「……」
男「でも妹に聞いた店の場所は所詮人から聞いた内容で必死で探したんですけどこんな時間に……ダメな兄ちゃんでごめんな、
兄ちゃん初めて行く場所でも大丈夫って言ったけど、お前の最後のお願い聞いてあげられないよ……」
店主「あんた……」
男「店主さん無理を言ってすいません、今日はもう帰ります」
店主「おい、待ちな」
男「えっ」
店主「うちの店の味を知りもしないで死なれたら寝覚めが悪いんだよ」
男「てっ店主さん」
店主「金は負けてやらないからな」
男「はいっ！」

店主「ほらよ」
男「ありがとうございます、ありがとうございます」
店主「なぁに良いってことよそれににいちゃん必死でうちのこと探してくれたっていうじゃ無いか
ここで何もしないでいたら男じゃねぇよ」
男「本当にありがとうございます、あのお代は？」
店主「600円だ。ちゃんと妹に買ってきたって言えよ」
男「分かりました。じゃあこれ」
店主「600円ちょうどだな、まいどあり」
男「あっあとポイントカード持ってるんでスタンプお願いします」
店主「ん？」
男「え？」

完