水ノ魔女「なんで私達いつもこんなことしてるのー?」
灰ノ魔女「こんなこと、とは?」
水ノ魔女「毎日毎日、魔法で島の海岸から水面を割る練習! これ何の意味があるの?」
灰ノ魔女「なんでだったかしらね、忘れちゃったわ」
水ノ魔女「変なのー」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461738048
「命の重さ」
7円…急性の下痢による脱水症から子どもの命を守る経口補水塩1袋
13円…ポリオ経口ワクチン1回分
65円…1錠で4~5リットルの水を浄化できる浄化剤50錠
436円…使い捨ての注射器50本
545円…10リットルの水を運搬・貯水することができる折りたたみ式の貯水容器3つ
763円…ワクチン用保冷箱1個(熱に弱いワクチンを一定の温度に保った状態で運搬できるようにするための器材)
1199円…子どもを持つ親1人分の抗レトロウィルス剤、1カ月分
1199円…栄養不良の子どものために特別に開発された、高カロリービスケット20箱
1853円…使用済みの予防接種用注射器と注射針を安全に廃棄するための箱25個
1万0900円…はしかから子どもを守るための予防接種用ワクチン700回分
2万1800円…子ども1人分の抗レトロウィルス剤(液状)、1年分
10万9000円…子ども1人に対する抗レトロウィルス治療、5年分
65万4000円…緊急保健キット1キット
196万2000円…移動式浄水装置1基。1万5000人に安全な飲料水を提供することができる
9600万0000円…一人の先天的な心臓疾患を抱えた劣等DNAを持った子供が一人だけ救われる
水ノ魔女「灰の! 灰の!」とててっ
灰ノ魔女「なぁに水の」
水ノ魔女「島の浜辺で拾ったの! これなぁにー?」
灰ノ魔女「あら……それは本よ」
水ノ魔女「ほん?」
灰ノ魔女「貴女が砂浜に絵を描いているように、他にも文字や絵を書いて残せるよう作られた物の事よ」
水ノ魔女「乾かせば中が読めるかな?」
灰ノ魔女「ええ、読めるわ」
期待
灰ノ魔女「はぁ……手紙が届かないわね」スタスタ
灰ノ魔女「何かあったのかしら、あの子…」
灰ノ魔女「……」ピタッ
灰ノ魔女(今、何か……)
< フワァアアア!
灰ノ魔女(風?)スタスタ
水ノ魔女「あ、灰の! こうやって風を当てたら乾くかと思ってるんだけど、どうかな!」
灰ノ魔女「……ページを一枚一枚破って並べたらダメじゃないかしら」
見てるぞ
水ノ魔女「今日はどうしようかな」
灰ノ魔女「あら、何か悩んでるの?」
水ノ魔女「今夜辺りに雨が降るみたいなんだけど、洪水になるまで強まらせるか小雨にするか……」
灰ノ魔女「……この小さな島でそれは勘弁して貰いたいわね、前にそれで酷い目にあったのだから」
水ノ魔女「そうなの?」
灰ノ魔女「ええ、あの時はびっくりしたものよ」
「ただいまー! 釣れたよ魚! 見ろ見ろ!」ドタタッ
灰ノ魔女「おかえりなさい『音の』、四日も釣りに行って何匹釣れたの?」
音ノ魔女「こんなにデカい魚が一匹釣れた! どうだ灰の!」
灰ノ魔女「……それ、大きいけど亀じゃないアナタ」
音ノ魔女「亀だったのか……」
灰ノ魔女「海に帰して来なさい」
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,--、_ノ:: `ー':: 、ミー---‐,,l ,/ // └─‐┐ナ┐┌┘ _ ヘ____
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ヽ :l:::: ト:;;;;;;;;;/-/__........... /
灰ノ魔女「思ったのだけどね」
音ノ魔女「ん?」
灰ノ魔女「貴女、この島に来てからずっと魚釣りばかりしているわね? 『力』を使えば直ぐにでも釣れるのに使わないし」
音ノ魔女「オレの力ならそれも出来るけど、そういう事よりもオレは潮風の音を聞いてたいんだよ」
灰ノ魔女「……なるほどね」
音ノ魔女「なぁ! おっぱい揉んで良いか!」ワキワキ
灰ノ魔女「貴女って突然変な事ばかりするから、魚釣りもそれかと思ってたのよ」
< サァァアアア・・・
音ノ魔女「おっ」
水ノ魔女「音の、どうしたの?」
音ノ魔女「今日は良い歌声だと思ってさ」
水ノ魔女「お歌?」
音ノ魔女「ああ、いつもはちょっと寂しい声を乗せてんだけどさ」
音ノ魔女「今日は良い事でもあったのかもな、綺麗なんだ、風に乗った歌声がよ」
灰ノ魔女「素敵ね、私や水のにはそういう感知タイプの能力が無いから羨ましいわ」
水ノ魔女「ねー! 私も風さんのお歌聴きたい!」
音ノ魔女「……」
音ノ魔女(違うんだよ、これが)
音ノ魔女(オレがいつも聴いてるこの風は多分……『魔女』の能力で吹いてる風だ)
音ノ魔女(世界の何処かで歌ってる奴がいんのさ、風を使って……)
< サァァアアア・・・
音ノ魔女「あぁ……本当に綺麗だな」
水ノ魔女「あ、いたいたー! 音のー!」とててっ
音ノ魔女「んぁ? 朝っぱらからどうしたんだよ水の」
水ノ魔女「灰のが今夜の夕食とってきてーって!」
音ノ魔女「別にオレ達は食べなくても平気だろうに」
水ノ魔女「でも食事は必要なの!」
音ノ魔女「あいつはな、まーいいさいいさ? オレがちゃっちゃと獲ってくよ」
水ノ魔女「私も手伝えって言われたから、二人でとってこよー!」
水ノ魔女「いっぱいとれたねー」
音ノ魔女「そりゃ、オレが魚群を音波で見つけてからお前が海面に弾けばなぁ……?」
水ノ魔女「難しいんだよ? 質量が違うんだもん」
音ノ魔女「そういや前にそんなこと言ってたな」
水ノ魔女「前って?」
水ノ魔女「音のには、この話をするの初めてだよ?」
音ノ魔女「……」
音ノ魔女「そうだっけか?」
ん、何か謎が出てきたねwkwk
ところで、これって前作とかある?
んで、百合っぽい話だったりします?
>>14
前作はありませんが、他二つのスレと同じ世界観で百合要素は多めです
DODの雰囲気をクリームで薄めた様な感じにする予定です
灰ノ魔女「話があると聞いたけど、どうしたの?」
音ノ魔女「昨日さ、オレと水ので魚獲ってきたろ?」
灰ノ魔女「ええ」
音ノ魔女「あん時にオレ、うっかり『前のアイツ』の話をしちまったんだ」
灰ノ魔女「……それで?」
音ノ魔女「やっぱりアイツは覚えてなかったよ」
灰ノ魔女「……そう…」
音ノ魔女「なぁ、灰の」
灰ノ魔女「…なぁに」
音ノ魔女「もう次の発作まで時間がない、オレ決めたよ」
音ノ魔女「明日の間にこの島を出よう」
灰ノ魔女「……現状、私達の足じゃ本土まで半分も進む前に海に浸かる事になるわよ?」
灰ノ魔女「水のが能力をもっと使いこなせていた頃にまで戻れれば話は別かもしれないけど……」
音ノ魔女「オレがどうにかする」
灰ノ魔女「出来るの?」
音ノ魔女「お前と水のが限界になってきたら、そのタイミングからオレがやる」
音ノ魔女「……長くは保たないだろうが、お前達が回復するまで粘ってやるよ」
灰ノ魔女「音の…」
音ノ魔女「任せろよ、『お姉ちゃん』」
水ノ魔女「灰の! おはよー!」とててっ
灰ノ魔女「おはよう水の、話は音のから聞いたわね?」
水ノ魔女「うん! 今まで私に海を割らせてたのはこの島を出るためだったんだねー!」
灰ノ魔女「そういうことよ、今日はこの島から本土まで天候も荒れないし『怖いもの』も出て来ないからね」
水ノ魔女「そっかー、でもどうしてこの島を出るの?」
< 「島の外に友達がいんのさ」
水ノ魔女「お友達?」くるっ
音ノ魔女「そう、友達だよ」
音ノ魔女「オレと灰のはどうしてもそいつに会いたい、会わなきゃいけないんだ」
水ノ魔女「わかった! なら私もがんばるね!」
灰ノ魔女「方角は私が指示するわ、途中で深い海域があるからそこは私が貴女達を抱えて水面を走るから」
水ノ魔女「それ以外は私が道を作ればいいのかな」
灰ノ魔女「そうよ」
灰ノ魔女(……魔力が如何に膨大にある私達でも、百里以上の距離を徒歩で渡り切るのは至難の技)
灰ノ魔女(私一人が二人を抱えて走っても、三分の一を走るのが精一杯……水のが頑張ってもその倍で打ち止め)
灰ノ魔女(期待してるわよ、音の)チラッ
音ノ魔女(ああ、任せな)ニコッ
水ノ魔女「えーい!」キィンッ
ザッバァアアアンッ!!
灰ノ魔女「五秒したら元に戻るわよ! 走って二人共!」バッ
水ノ魔女「うん! 行くよー!」バッ
音ノ魔女「しゃあ! 遅れんなよ二人共ぉっ!」バッ
灰ノ魔女(失敗したら海の中……それで死ぬ事はない)
灰ノ魔女(けど、魔力も無しに泳ぎ続ければ間違いなく逃げられない……)
灰ノ魔女(あれに出会わなければ……)
< ジャブジャブッ……
灰ノ魔女「はぁ……はぁ……」ヨロッ
音ノ魔女「おい、生きてるか灰の……」ザバッ
灰ノ魔女「そんな簡単には死なないわよ、それより水のの状態は……?」
音ノ魔女「魔力が枯渇してる、こいつ俺に無理させないように今まで以上に魔法を使いやがった」
灰ノ魔女「……」
音ノ魔女「よっ、と」ガシッ
水ノ魔女「あぅ……」
音ノ魔女「オレの背中におぶられてなよ、まったく」
灰ノ魔女「それにしても幸運だったわね、天候も荒れる事なく……例の『アレ』に襲われる事も無かった」
音ノ魔女「けど思ったより焦っちまったな、予定してた一番近い港町に辿り着けてないぜ?」
灰ノ魔女「いいえ、着いてるわ」
音ノ魔女「あぁ?」
灰ノ魔女「……ここよ、地形が少し歪になってるけど…ここがその港町」
音ノ魔女「瓦礫と土砂しか無いここがそうだってのか!?」
灰ノ魔女「そういう事になるわね……」
音ノ魔女「どうなってやがる!? たった二年前までは普通だったろう!?」
音ノ魔女「何か災害があったなら、オレの耳がそれを聴き逃すわけねぇ!」
灰ノ魔女「……」
灰ノ魔女「何かあったとすれば、あの子が手紙を届けに来なかった事がそうかもね」
音ノ魔女「時期がずれたか、トラブルじゃねえのか?」
灰ノ魔女「そのトラブルがこの港町を襲ったとするなら、あり得なくは無い」
灰ノ魔女「これだけ町が粉砕されてるとなると、無いかもしれないけど……探しましょう、手がかりを」
灰ノ魔女「『手紙ノ魔女』、彼女とこの港町に何があったのかを調べるのよ」
< ガラガラッ……
音ノ魔女「……クソ、何処も死体だらけだ」
音ノ魔女(灰の、そっちは何か見つかったか?)ボソッ
< (力を使って会話しなくてもいいのに)
音ノ魔女(何がいるかわからないだろ?)ボソッ
< (それもそうね、こっちは大勢の町の人を見つけたわ)
< (外傷から見て魔法や人間の武器によるものではないわね)
音ノ魔女(チッ、まさか本当に津波が?)
< (どうやら違うみたいね、こっちへ来て音の)
音ノ魔女「何か見つけたか……!」バッ
< スタッ
音ノ魔女「灰の!」
灰ノ魔女「音の、これを見て」
音ノ魔女「……教会か、って何でここに? 確かこの教会って港町の端にあったよな?」
音ノ魔女「ここは町の中心部だろ? ……周りの建物の名残も跡形もないけど」
灰ノ魔女「でもこの建物は無傷でしょう」
音ノ魔女「……」
灰ノ魔女「ここから何かが起きて、地形が変質するほどの『力』が行使された」
灰ノ魔女「その結果この港町は死んだのね」
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