友紀「アハハハハハ」美羽(ユッキーさんが壊れた) (46)


四月・上旬

美羽(うー、海外の長期ロケがあったから、事務所に来るの久しぶり)

美羽(みんなに会えるの、楽しみだなー)

時子「あら、美羽じゃない」

美羽「時子さん! お疲れ様です」

時子「海外ロケに行ってたんでしょ、御苦労さま」

美羽「そうなんですよ」ア、オミヤゲドーゾ

時子「ロケはどうだった?」アリガト

美羽「大変だったけど、楽しかったですよ! 色んな物も見れましたし。サボテンとかパンダとかライオンとかとか」

時子「どこへロケに行ったのよ、貴方?」

美羽「でも、あれですよね……楽しかったですけど、夜一人になったとき、なんだか寂しくなっちゃって……」

時子「……ふうん?」


美羽「そんなとき、時子さんもなりませんか……とーきこきょーを想う事が!」ドヤッ!



時子「黙りなさい」ペシンッ

美羽「痛いっ!」





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時子「全く、くだらないこと言ってないで。同じレッスン受けるんでしょ? 早く荷物置いてきなさい」

美羽「はーい」

時子「ああ、事務所に粗大ゴミがあるから。気をつけてね」ジャ

美羽「粗大ゴミ?」

美羽(ああ、四月になったし、いらないモノをまとめてあるのかな)


 ガチャ

美羽「お疲れ様でーす」



友紀「」ボロッボロ




美羽「ユッキーさーん!?!?」




美羽「ど、どうしたんですか!? ユッキーさん! まるで誰かに襲われたみたいな!」

美羽「ラ、ライオンですか!? それともパンダに!?!?」

美羽「ハッ!? サボテンですね! サボテンなんですね!」

モバP(以下P)「落ち着け、美羽」

美羽「うわっ!? プロデューサーさん。一体何が?」

P「それには訳があってだな……」


美羽「え……! まさかプロデューサーさん!? 酷い、どうして!?」

P「なに、オレ信頼ないの?」


P「これはだな……時子様がやったんだ」

美羽「時子さんが? どうして。喧嘩ですか、それとも朝から調教?」

P「不穏なこと言うのやめてくれない?」

P「理由はな……これだ」ガサッ

美羽「スポーツ新聞?」

P「見出しをみてみろ」




『連敗止まらず。どうした、キャッツ?!』




美羽「……あー、なるほど」ナットク




美羽「で、どれくらい連敗してるんですか?」

P「十一連敗」


美羽「うわー……今年のキャッツは絶好調って、ユッキーさん言ってたのに」

P「オープン戦はな。ただ、先々週の金曜に開幕してからがなー」

美羽「先々週の金曜に開幕で、今日が木曜日……」

美羽「って事は、二勝しかしてないんですか!?」

P「……あのな、美羽。プロ野球の試合は基本的に、月曜日が休みなんだ」



美羽「あそっか、先々週の金曜日に開幕だから、月曜日が二回過ぎてる」



美羽「……じゃあ、開幕してからキャッツは」


P「一勝もしてない……」




友紀「」ボロボロ




美羽「いやいや、キャッツがボロボロだからって、何でユッキーさんも時子さんにボロボロにされてるんですか?!」

美羽「もしかして、時子さん、スターのファンで日々のうっぷんをこの期に一気にぶつけたとか!?」

P「いや、友紀から頼んだんだ」

美羽「ユッキーさんから? ハッ! つまりキャッツがボロボロだから、自分もボロボロになるというファンの鏡的な奴ですか?!」

P「それはファンの鏡なのか?」

美羽「じゃあ、なんで」

P「それはだな――」


――



P(キャッツ昨日も負けたしなー。落ち込んでるんだろうな、友紀)

時子『あら、どうしたのよ浮かない顔して』



P『おう、時子様か、おはよう』

時子『何かあったのかしら』

P『いやあ、ちょっと心配な奴がいてな』

時子『ふうん……?』

 ガチャ

友紀『おはよう! プロデューサー、時子さま』

P(あれ、昨日よりも元気になってる……?)

P『お前、大丈夫なのか?』

友紀『何が?』

P『ほら、だって昨日もキャッツは負けたじゃないか』

友紀『その事、へーきへーき超平気。だってぇ、あたし気がついたんだもーん』アハハ

P『気がついた? 一体何に』



友紀『これは全部、夢なんだって』シンダメ


P(あ、これあかんパターンの奴だ)



友紀『だって考えてみなよー。キャッツが開幕から十一連敗するわけないじゃーん。しかも開幕の相手はスターだったんだよ? スターに連敗? ありえないって』アハハ

時子『ねえ、豚。友紀の奴、頭大丈夫なの?』

P『いや、ちょっと疲れててな。現実逃避というか……』

友紀『だから現実じゃなくて夢でしょー』アハハー

時子『ダメみたいね』

P『その、友紀。俺はお前に現実をまっすぐ向き合って欲しい。だから……』



友紀『だったら。時子さま、あたしをしばいてみてよ!』

時子『あァ?』

P『えー……なんでそうなるんだよ』




友紀『夢かどうか確かめるなら、誰かにひっぱたいてもらうのが一番でしょ!?』

P『せめてほっぺをつねるとかでも……』

友紀『時子さま、やってみて!!』

時子『嫌よ、あたしをなんだと思ってるの貴方』

友紀『ほらーやっぱり夢じゃん! 現実だったら喜んで鞭打ってくるでしょ?』アハハ


時子『あァ?』プッツーン


P『ちょっ……』

時子『……そうね、なら貴方の望む現実通り、やってあげましょうか?』ビシンッ!

友紀『さあ、遠慮なく!!』

P『ゆ、ゆ、友紀ーー!!!!!』


――


美羽「その結果が、これって訳ですか……」




友紀「」チーン


2015年Denaかな?


美羽「途中で止めてくださいよ、プロデューサーさん」

P「もちろん止めようとしたよ、だけど」

美羽「あー、プロデューサーさん、調教済みですもんね」シカタナイ

P「泣くよ俺?」


P「じゃなくてだな……」



友紀『ほらほら、どうしたの! もういっちょ!! もういっちょ!』

時子『ふんっ、いいわ!! やってやろうじゃない!!』



P「って感じで、謎にスポコンだったもんで」

美羽「そこだけだと、時子さんがしごかれてるようにも聞こえますね……」

P「しばかれてたのは友紀の方だったけどな」




友紀「ハッ」ムックリ

美羽「あ、友紀さん起きました?」オハヨーゴザイマース

友紀「……全身痛い」

美羽「でしょうね」

友紀「って事は、やっぱり夢!?」

P「なんでそうなる」

友紀「だって、キャッツは負けてるし、あたしも痛いし、連敗だし、美羽ちゃんいるし」

美羽「私はロケから帰ってきだけです」

友紀「っは。プロデューサー、新聞!」ガバッ

P「おい!」


『連敗止まらず。どうした、キャッツ?!』


友紀「……変わってない」

美羽「変わりませんよ……」



友紀「……ハハ」


P「ゆ、友紀?」



友紀「アハハハハハ」

美羽(ユッキーさんが壊れた)




美羽「大丈夫ですか?」

友紀「大丈夫な訳ないよ!! なんで! 負けすぎ?! どうなってるの?!」

美羽「私に言われても……」

友紀「こんなの私のキャッツじゃなーい……」

P「残念ながらお前の愛するキャッツの今の姿だよ」

友紀「いや、そんなはずない! きっとどこか別の世界じゃ八勝三敗はしてるはず!!」

美羽「微妙にリアルな数字ですね」

P「諦めろ。お前の生きる世界はここだし、現実を受け入れろって」

友紀「……そう、だけど。あたしじゃどうしようもないもん」ションボリ

美羽「そ、そんな事ないですよ! 一生懸命応援してあげれば、それも選手の力になります!」

友紀「……じゃあ、こうしちゃいられないね!」

美羽「って、言いますと?」

友紀「今すぐ応援に行くんだよ!!」



美羽「まだ午前中ですよ。試合は夕方からですよね」

友紀「応援に時間は関係ないよ!」

P「流石に関係あるって……試合もやってない球場で、一人応援するつもりか?」

友紀「うん!」

P「怖いよ!」

友紀「あたしは勝利の女神なのー!! 行かなきゃキャッツがー!!」

P「友紀が行った試合も負けてるぞ?」

友紀「それは言わないで」

美羽「というか、ユッキーさんも私と同じレッスンですよね……」

友紀「そんなもん放っておけばいいんだよ!」



ベネトレ「何を放っておくんだって?」ガシッ

友紀「あ」



美羽「ト、トレーナーさん」

ベネトレ「お前らが遅いから来て見れば。勝手にサボろうとするとはな。えらい御身分になったようだな。友紀」

友紀「ち、違うの、キャッツが……キャッツが!!」

ベネトレ「ああ、ニュースで見たよ。連敗してるんだろ」

友紀「だから、あたしが勇気づけてあげなきゃ」

美羽「ユッキーさんのゆーきーを分けてあげるという事ですね!」


ベネトレ「そうだな、彼らを勇気づけるように、ファンであるお前を徹底的にしごいてやろう」

友紀「何でそうなるの!?」

美羽(私のギャグ完全スルー)

ベネトレ「うるさい、来い!」グイッ

友紀「あー……」ズルズル

ベネトレ「美羽も早く来い」

美羽「あ、はい……」



P「しょうがない、今日は夕方から空いてるし、友紀に付き合うか」

美羽「そうしてあげてください」


――


――夜
美羽「あ、テレビで野球やってるー。えっとキャッツは今?」

美羽(七対二で、キャッツが優勢なんだ。それにもう八回。今日は勝てそうだなー)

――


次の日

美羽「おはようございまーす」ガチャ




友紀「」チーン


美羽「ユッキーさーん!?」



美羽「え、なんで!? 昨日勝ったんじゃ!?」

P「説明しよう」

美羽「プロデューサーさん」オハヨウゴザイマス

P「確かに八回までは勝ってたがしかし九回に怒涛の二ケタ得点をかまされ、見事逆転負けを喫したのさ」

美羽「ええぇ……っていうかプロデューサーさんも顔色悪いですよ」

P「友紀のやけ酒に付き合ってな……」ウゥ

美羽「ああ、ユッキーさんも二日酔いですか……」


友紀「」チーン


美羽「事務所で寝るなら、今休めば良かったのに」

P「いや、今日は昼前から夜まで仕事があるからな、そうもいかないんだ」

美羽「ええぇ、それでここまで飲んだんですか? 大人としてどうなんですか、それ」

P「そう言うな。酷い負け方をしたし、キツかったんだろう……」




友紀「あたしなら大丈夫」ムクッ

美羽「あ、起きた」オハヨウゴザイマース


友紀「確かにキツかったけど、負けた選手はもっとキツいんだよ」

P「そうだろうなあ」ウンウン

友紀「こういう時こそファンが支えなきゃね」

P「そうだそうだ」ウンウン

友紀「だから、今日も応援に行こう!」

P「そう――」ウン?


P「いや待て。今日は夜まで仕事だって」

友紀「早上がりで」

P「無理無理、夜までがっつりだから」

友紀「じゃあ、休む! ……のは……駄目?」

P「駄目に決まってるだろ」

友紀「だよねー」

美羽「あたりまえじゃないですか……」




友紀「仕方ない、今日は美羽ちゃん応援よろしく!!」

美羽「って、え!? わ、私がですか?」

友紀「だって、あたしが行けないなら、誰かが行かなきゃ!!」

美羽「他のファンの人が行くと思いますよ」

P「まあまあ、俺からも頼むよ、美羽」

美羽「別に、今日の夜は空いてますし、いいですけど」

友紀「ほんと? 流石、美羽ちゃん! 今度お礼するから」

美羽「期待してますよー」

友紀「デイゲームもまた別の魅力が……」フフフッ

美羽「あ、お礼は野球観戦以外でお願いします」




――


美羽(という訳で、試合を見に来たけど)

久美子「はあ、凄い熱気ねー」

美羽「久美子さん、今日はありがとうございます。一人だとちょっと不安だったんで」

久美子「いいのいいの、今日は私も暇だったし」

久美子「それに、この球場の人みんなが私の磨き上げた美貌に注目すると思えばね!」ドヤ!

美羽「みなさんが見るのは磨き上げた野球技術ですけどね」

久美子「分かってるわよ、冗談だって」モウッ

久美子「でも、キャッツって調子悪いんでしょ? 今日も負けたりして」

美羽「不吉な事言わないでくださいよ」

久美子「ごめんごめん」

 プレイボール
 ワーワーワー

美羽「あ、始まりましたね」

――


――



  カキーン
ワーワー
   ワーワー
ゲームセット!

美羽「って、おー!」

久美子「え、これキャッツの勝ちでしょ! やったね!」

――


――次の日

美羽「おはようございまーす」

友紀「美羽ちゃん!!」

美羽「あ、ユッキーさん……ってうわ!?」



友紀「やったね!! 美羽ちゃん! 勝った、勝ったんだよ!」ダキツキー

美羽「ちょっと……嬉しいからって朝から元気すぎですって」

友紀「だって、勝ったんだよ! 嬉しくてさーもー」

友紀「ホントですね」

美羽(これで安心かな? ついてきてくれた久美子さんも楽しんでくれたみたいだし、昨日は行って良かった)

友紀「勝てるって事は……これは現実?」アレッ?

美羽「急に落ち込まないでくださいよ……ほら、ここから怒涛の巻き返しをしてくれますよ! みんなキャッツを見てこう言いますよ! キャーッツエーって!」

友紀「おーっし、今日も応援、頑張るぞー」

美羽「あ、あのですね、キャッツと、『キャーッツ』エー、って」

友紀「ここは勝利の女神のあたしが行って、勢いづけてあげなくちゃ!!」

美羽「ユッキーさーん。スルーですか?」


美羽(まあ、元気になってくれたし、いっか)

――




次の日。


美羽「お疲れ様でーす」



友紀「」チーン



美羽「ああ……」

P「説明しよう」

美羽「説明しなくていいです。結果は知ってますから」

友紀「何で、あたしが行くと負けるんだ……」ムクッ



友紀「エイプリルフール?」

美羽「とっくに過ぎてますよ」

友紀「あ、美羽ちゃん」オハヨー

美羽「今気がついたんですか……」オハヨーゴザイマス




友紀「……」ジー

美羽「……あの?」

P「?」

友紀「美羽ちゃん、今日も応援行ってくれない?」

美羽「え? まあいいですけど」

――


ワーワー
ワーワー

美羽「あ、勝った!」

――


――次の日

美羽「おはようございまーす」

友紀「あ、おはよう美羽ちゃん」

美羽「ユッキーさん! 勝ちましたね、キャッツ!」



美羽「これで二勝目です!」ブイッ!

友紀「うん、そうだねー」フフッ

美羽「?」

美羽(元気だけど……なんか変なような……?)

友紀「あのねー、美羽ちゃん。私は気がついたんだよ」

美羽「えっと、何にですか?」

友紀「勝利の女神っていうのは、ずっと決められた人間がなるものじゃないんだって。毎年変わるんだって」

美羽「はあ……?」

友紀「だからね、美羽ちゃん」

美羽「はい」



友紀「結婚しよ」


美羽「……はい?」


友紀「結婚しよ、美羽ちゃん」マガオ

美羽「い、いやいやいや!? な、なに言ってるんですか!?」



友紀「美羽ちゃんは勝利の女神なんだよ!! だからキャッツの為に! キャッツの為に!!」

美羽「ユッキーさん錯乱しすぎ! 仮に私が勝利の女神だからって、なんでユッキーさんと結婚に!?」

友紀「そりゃあ、いつも球場に居てもらうためだよ!」

美羽「意味分かんないですから!?」

友紀「ファンのあたしと家族になる=毎日球場に足を運ぶだよ?」

美羽「その理論ガバガバですよ! てゆーか家族だからって毎日は行きませんよ?!」

友紀「一緒に気持ち良くなろうよ!」

美羽「拒否します!」



友紀「あたしとじゃ嫌なの?!」

美羽「いや、なんというか色々そういう事じゃないというか」アセアセ

友紀「あーそっか。美羽ちゃんまだ十四歳だもんね。結婚出来ないかー!!」アー

美羽「問題はそこじゃないです!!」

友紀「大丈夫、あたしは待てるよ!! 一年でも二年でも!」

美羽「だから年齢じゃないですって!? 確かにユッキーさんの事は好きですけど。そういう好きとはまた別というか……」

友紀「あ、そっか。そうだね。ゴメンゴメン」

美羽「ユッキーさん、分かってくれました」ホッ…



友紀「女神は毎年変わるんだから。今すぐ家族にならなきゃ意味ないか。美羽ちゃんが女神なのは今年だけだもんね」アハハー



美羽「」





友紀「ああそうだ。なら、あたしとプロデューサーが今すぐ結婚しよう!!」

美羽「うえっ!?!?」

友紀「で、美羽ちゃんを養子に迎えれば問題ないね。完璧だよ!」

美羽「何もかもが完璧じゃないですよ!」

友紀「いいじゃん、一年だけ! 一年だけでいいから!!」

美羽「期間限定!?!?」

美羽「いやいやいや。そんな軽く……第一結婚って、けっこうーんな問題ですから!」

友紀「美羽ちゃん黙って!」

美羽「ユッキーさんこそ黙ってください!!」


時子「二人とも黙りなさい」ヒュッ

友紀「イタッ!」ビシッ

美羽「イッ!」バシッ



時子「事務所の中でなに騒いでんのよ。うるさい」

美羽「と、時子さん、いつの間に」

時子「さっきよ。仕事の資料を取りに来たの。全く、くだらないことでわーわー喚かないでくれる?」

友紀「くらだなくないよ! あたしにとっては命がけなの!!」

美羽「ユッキーさん。いい加減、冷静になってくださいよ……」

友紀「今のあたしは誰にも止められないよ!!」

時子「なら豚でも呼んでくる?」

友紀「今はプロデューサー、関係ないじゃん!」



時子「そう? 豚は貴方の結婚相手なんでしょ?」



友紀「」



友紀「あーいや……やっぱ冷静に行こうかな……アハハッ」プシュー

美羽(ユッキーさん、顔真っ赤)



時子「チッ……豚もちひろもいないし、なんだか疲れたわ。お茶して来る。豚かちひろにあったら、後で取りに行くって言っといて」

美羽「あっ、時子さん」

時子「あァ?」

美羽「助かりましたけど、何で私まで叩いたんですか?」

時子「勢いよ」ジャッ

美羽「ええー……」オツカレサマデス


 ガチャ

美羽「さて……」

友紀「美羽ちゃん、さっきはごめんね」アハハ

美羽(ユッキーさん、まだ顔赤い)

美羽「ユッキーさんがそれだけ好きなのは、分かってますから」



友紀「いや、もちろんプロデューサーは好きだけど――」アタフタ

美羽「キャッツの話です」



美羽「もう、家族にならなくたって、野球観戦位なら一緒に行きますよ」

友紀「本当?」

美羽「勿論ですよ! 毎日は厳しいですけど……今日、二人で行きましょう!」

友紀「うん!」


――



ガヤガヤ

友紀「うー、今日こそは勝ってくれよー」

美羽「任せてくださいよ、なんて言っても、勝利の女神の私がついてますから!」ドヤッ

友紀「えー」

美羽「ユッキーさんが言ったんじゃないですか!」

友紀「うそうそ、冗談だよ。期待してるからね! 声出していこー!」

美羽「はい!」

 プレイボール!

   ガヤガヤ

――


美羽「おお、もう九回で一対三……負けてますね……」

友紀「大丈夫! 二点差なら、うまく繋げばイケる!」

美羽「今から表のキャッツの攻撃ですけど……」

友紀「うー打てよー!!」

  カキーン

美羽「おお」

友紀「ライト。深い!」

美羽「二塁まで行きましたよ!」

友紀「落ち着いて落ち着いて……」

美羽「次の人は……フォアボール!」

友紀「おし!」

友紀「そして次は……」

 カキーン

美羽「打った!」


友紀「これは、伸びるぞ伸びるぞ……入った。三点追加!!!!!!」



美羽「四対三! 逆転ですね!!!」

 カキーン

美羽「次の人も打った!」

友紀「一塁だけど、まだノーアウト。これは、これはイケるぞ、イケるぞー!」

美羽「でも、油断は出来ませんよ。前だってここから逆転されてましたし……」

友紀「今日は大丈夫だよ!! なんて言ったって、勝利の女神、美羽様がついてるんだから」


美羽「!」 


美羽「そうですね……今の私の応援力はまさに、スーパー美羽……いえ」

友紀「?」



美羽「メガみう、ですから! 女神だけに!!」ドヤァ!!


 ポーン アウト! 
ランナートビダシテ、モドレナイ! ゲッツー!


美羽「あら?」




 サンシン! チェンジ

フォアボール!

デッドボール!

友紀「あれ?」

ワーワー
ケンセイ、ソレタ、ソレタ

アサイフライ……トレナイ! マサカノラッキュウ!

サヨナラ、サヨナラー
    ワーワー

友紀「ええぇ……」


美羽「う、うそー……?」



――




美羽「負けちゃいましたね……」

友紀「美羽ちゃんがあのギャグを言った瞬間からね」

美羽「私のせいですか……ね?」ショボーン

友紀「まさか、そんな訳ないって」アハハ

友紀「美羽ちゃんのギャグが滑ったぐらいで負けるなら、まだ連敗が続いてるもん」

美羽「地味に酷くないですか?」

友紀「まあ、結局勝利の女神とか、そういうジンクスは気にしても仕方がないと言うか。結局、選手がどう頑張るかだからね」

美羽「そう、ですね」

友紀「あたしたちファンは、ただ選手たちを信じて、応援するだけだよ!」


美羽「だったら、ファンの声を伝えるために、また明日も応援に行きましょう!」

友紀「うん、もちろん!!」



友紀「……ところで、美羽ちゃん?」

美羽「なんですか?」

友紀「しばらくの間、ちょっとギャグを遠慮して、貰えないかな?」

美羽「えっ?」

友紀「その、美羽ちゃんのアイドルの幅を広げるために、あえてね? 変な意味はないんし?」

友紀「別にジンクスとか、関係ないよ?」アハハ……

美羽(あ、やっぱり気にするんだ……)





友紀「アハハハハハ」美羽(ユッキーさんが壊れた) 《終》

おまけ


一週間後。

友紀「ふっふーん」

美羽「ユッキーさん、ご機嫌ですね」

友紀「そりゃあねぇ、昨日もキャッツは勝ったんだから!」

美羽「この一週間で、四勝でしたっけ?」

友紀「そうそう! まだまだ五割には遠いけど、この調子なら、あっという間だよ! じゃあ、あたしはレッスンがあるから!! またねー」ガチャ

美羽「もう、調子がいいんだから」フフッ

響子「お疲れさまー」

美羽「お、響子ちゃんお疲れさまー!」

響子「さっき、友紀さんとすれ違ったけど、なんだかご機嫌だったね? いい事あったのかな」

美羽「ほら、キャッツが勝ったから」

響子「そっか。凄い逆転ホームランだったもんねー」



美羽「あれ? 響子ちゃんも野球見たの?」

響子「久美子さんに誘われて、観戦に行ったんだ」

美羽「久美子さんと?」

響子「うん。この前、美羽ちゃんと見に行ったんでしょ? それから興味持ったみたいなんだ。まだまだミーハーだから、友紀さんには秘密でって、言ってたけど。今週だけで、もう四回は言ってるって」

美羽「四回?」

美羽(確か、キャッツは今週四回勝ってて……私が見行った時は、両方とも久美子さんについて来て貰って)


美羽(もしかして、勝利に女神って……?)



響子「? どうかしたの、美羽ちゃん」

美羽「うんうん、何でもない」

美羽(このことは、黙っておこう……)


《終劇》

 おしまいです
 
 いやあ、先月の末から個人的に怒涛の日々でした。
 ガチャで来い来い言ってた美羽がまさか本当に来るとは思っておらず狂乱し、しかも連続してユッキが月末。
 しまいにゃエイプリルフールのネタに二人とも登場(共演したとは言っていない)。
 二人の担当としてこんなに幸せな日々が続いていいのだろうかという勢いでした。 
 まあ、幸せには痛みも伴いますが(主に財布の中身)。
 え、ユッキは引けたかって?
 いやー、凛ちゃんって本当、天使ですよねー……

 読んで頂きまして、本当にありがとうございました。

昔書いたものも。
よろしければ、こちらもお願いします。

◎少し前に書いた美羽とユッキのシリーズです。
【デレマス】姫川友紀「美羽ちゃん。あたし、プロデューサーのこと――」
友紀「美羽ちゃんも一緒に、野球観戦に行かない?」
姫川友紀「プロデューサー。あたし、プロデューサーのこと――」
美羽「明日はバレンタインデーですねー」友紀「そうだねー」


あと、最近の怒涛の日々で書いた作品たちです
《モバマス》美羽「幸子ちゃん。私の相談聞いてくれる?」
一ノ瀬志希「幼馴染と小さな嘘」《モバマス・エイプリルフール》

あ、総選挙は是非とも美羽かユッキにお願いします。

乙 面白かった 俺もユッコに入れるわ

ベネトレ……ベネットかな?

>>41
パッション的には合ってますけどノー超能力でお願いします。

>>42
べ、ベストだネ、トレーナー(ふぇいふぇい風)……?
すいません素で間違えました。

ゆきみうで「おっ」と思ったらやっぱりそうだった
面白かった

>>44
「おっ」っと思われただけで、とても嬉しいです。
 本当は、もうこの二人のはいいかなーと考えていたのですが、連続ガチャ+エイプリルフールダブル出演が来たので……
 お気に召していただけたら幸いです。

乙乙

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