ここは神が失われた世界――
神は自らの存在を封印する際、己の力を宿した宝珠をこの世に残した。
「世界中に散らばったこれらの宝珠には、我が力が込められている」
「この宝珠を全て集めた者は、どんな願いでも叶えられるであろう」
という言葉とともに……。
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いつしか時の流れに埋もれていったこの伝説は――
永き時を経て、現代に甦ることとなる。
きっかけは、著名な考古学者が、ある遺跡の石碑に記された文字の解読を成功させたことだった。
考古学者「……石碑にはこう記されておりました」
考古学者「宝珠を全て集めし者、いかなる願いでも叶えられる、と」
『宝珠を全て集めれば、どんな願いでも叶えられる』
このおとぎ話のような伝説は、世界中の眠れる野心に火を付けた!
悪の組織――
ボス「フハハハハッ! どんな願いでも叶えるときたか! 面白い!」
手下「つまりボスの悲願である世界征服ですら思うがまま、ということですな」
ボス「宝珠はワシらが必ず集めてやる! 必ずな!」
軍事大国――
皇帝「側近よ、今のうちに捜索班を組織するのだ!」
皇帝「いかなる手を使ってでも、全ての宝珠を我らが手に収めよ!」
側近「御意!」
宗教団体――
教祖「神なきこの世界……神の力が宿った宝珠は我々の手にあるべきもの……」
教祖「宝珠を集め、この世に“神の国”を再興する……これこそ我々の使命」
信者「ははーっ!」
大富豪――
大商人「富を集め、人を弄び、贅を尽くす……こんな生活にも飽き飽きしていた頃だ」
大商人「あのような荒唐無稽なおとぎ話に乗ってみるのもまた一興……」
大商人「宝珠を集めたら、とりあえず世界の支配者にでもなってみるのもよいか」
テロリスト集団――
リーダー「宝珠を集め、宝珠の力で、世界を焼き尽くすのだ!」
リーダー「金と欲にまみれた愚か者どもに制裁を! 正義は我らにありッ!」
部下「我らにあり!」
まだ見ぬ野心家達――
「宝珠を集め、我々以外の民族を根絶やしにしてくれよう!」
「この地上に私が夢に描いた理想郷(ユートピア)を作るのだ!」
「かつて恐竜が栄えた憧れの時代……あの時代を宝珠の力で……!」
「世界中の女をワシのものにしてやる……ぐひひひ……」
「人間はちゃちゃっと滅ぼして、地球を動物たちの楽園に作り替えちゃうよーん!」
そして、平凡な若者でさえも――
男「宝珠を全て集めれば……真に平和な社会を築くことができるかもしれない!」
男「ならこのぼくが全ての宝珠を集めてみせる!」
水面下で、血で血を洗う宝珠争奪戦への序曲が奏でられつつあった……。
数日後、石碑の解読がさらに進捗したということで、考古学者が再び記者会見を開いた。
考古学者「先日お話しした神の力を宿した宝珠についてですが――」
考古学者「さらなる新事実が浮かび上がりましたので、ここにご報告させて頂きます」
世界中が固唾を飲んで中継を見守った。
考古学者「宝珠ですが……数は全部で10億個あるそうです」
考古学者「ほらこれ。そこら中に転がってるので、皆さん一度は見たことがあるのでは?」ヒョイッ
考古学者「以上で、報告とさせていただきます」
「あれ宝珠だったのかよ!」 「カラフルな石ころとばかり……」 「10億って、多すぎるわ!」
「こういうのって、ふつう7個とか8個だろ!」 「誰が集めるか、んなもん!」 「無理ゲーすぎる……」
血で血を洗う宝珠争奪戦――
そんなもの起きなかったことは言うまでもない。
― END ―
4人パーティのひとかな?
よかった
なんか割と効果的に思えてしまう
良いオチだった
乙
?「将軍様のために集めるニダ」
10億個集めた時に寿命が尽きそう
まぁ本気で封印したかったらこれくらいするよな
乙
学者「本物は7個だけど発表したら戦争になるからその辺の石ころ10億個を宝珠ってことにしといて俺はそれ集めよっと。必要な経費はこれまでの研究で集まったし」
>>20
俺もそう思った
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