結衣「あ、やっはろー。ヒッキー」

八幡「おす」

結衣「今日から二年生だねー！ワクワクするよね」

八幡「学年上がるだけだろ……」

結衣「いやいや、変わるのは沢山あるよ！例えば……クラスとか」

八幡「……クラス変わっても俺は問題ないな……男友達いないし」

結衣「も、もしかしたらあたしと一緒になれるかもよ？」

八幡「まぁ、うちの学校クラス4つしかないしな」

結衣「ヒッキーならもっといい学校いけたのに……まぁあたしは助かったけどさ」

八幡「無理して良いとこ行く理由とかも無かったしな……小町の事とか考えたら一番近いとこが無難なんだよ」

結衣「ぁ……そうだよね。ごめん」

八幡「……何でお前が謝るんだよ」

結衣「そう……だけど何となく、ね？あはは……」

八幡「……気にするなよ。お前には、その？何？散々助けてもらってるからな」

結衣「……う、うん」

二年前、両親が小町と出掛け先で事故にあった

その事故で両親は他界、小町は両足に大怪我を負った

勿論今は一人で歩くことは出来る

だけど、昔に比べて激しい運動とか機敏な動きは出来なくなってしまった

最初なんてリハビリで歩くのですらキツそうだった

思うように動けなくなったショックでずっとショボくれてた小町を励ましてくれたのが由比ヶ浜だ

だから、俺は由比ヶ浜に感謝しているのだ

……そんなこともあってこいつに謝られるのはばつが悪いのだ

八幡「さっさと行こうぜ……クラス替えの張り紙を見る時間も必要だしな」

結衣「……うん」

ガハマさん幼なじみとか最高だな

結衣「そっか。今日入学式なんだよねぇ」

八幡「……そりゃぁ、なぁ」

結衣「知ってる子くるかなぁー」

八幡「多いんじゃないのか……うちの学校偏差値高くないし……俺は後輩もほとんど知らんから関係ないが」

結衣「……ふぅん」

八幡「……どうした？」

結衣「……べつにー？」

八幡「お、おい？由比ヶ浜？」

結衣「ぁ！クラス一緒じゃん！やったね！ヒッキー！」

不機嫌だと思ったらすぐ笑顔か……

ほんと百面相なやつだよな、こいつ

結衣「ほら、行こ？」

八幡「悪い、その前に先生に渡すもんがあるかさ、先いっといてくれ」

結衣「そうなん？」

八幡「春休みの課題を少し、な」

結衣「うん、わかった」

八幡(……さっさと職員室に)

女生徒「……」ｷｮﾛｷｮﾛ

八幡(……別の学校の制服？確か総武の制服)

女生徒「……」

やばい、目があった

何となく頭を下げる

別にこれは礼儀や挨拶で下げたわけでもなく反射的に自分が下であるという事を示してしまう俺の癖みたいなもんだ

頭を下げたことで視線が外れたのだ

そのままそそくさと職員室に言ってレポート出してしまえばいい

八幡(……随分と美人なやつだったな)

今時珍しい黒髪のロングだったな……

「ご苦労さん」

八幡「いえ、それじゃあ」

八幡(俺だけ課題増やすってあの先生も酷いよなぁ……美人だけどさ)

女生徒「……」ｷｮﾛｷｮﾛ

八幡「え」

女生徒「……ぁ」

八幡「……」

八幡(えぇ……何でまだここにいるの)

女生徒「……何か用？いくら私が可愛いからってそんな目で見ないでくれるかしら？」

うわぁ……何こいつ、頭いたい子か

八幡「いや、そんな事ないから」

さっさとクラス行ってしまおう

女生徒「……待ちなさい」

八幡「え……」

女生徒「……その」

八幡「……？」

女生徒「……しょ、職員室は何処かしら」

八幡「……はい？」

結衣「遅かったね。ヒッキー」

八幡「ああ、ちょっとな……」

結衣「何かあったん？」

八幡「いや、大丈夫だ……」

何だったんだあの女は……

結衣「そう？」

八幡「ああ、先生来たぞ」

結衣「あ、うん」


「今日からお前らは二年生だ。後輩も出来る、先輩として模範的な生活をするように心掛けること」


八幡(一年の時も似たようなこと言ってたよなぁ)

「さて、今日は入学式なんだが、それと同時にお前たちに新しいクラスメイトが出来た」

結衣「へ？」

八幡「ん……？」

「では入って」

雪乃「……雪ノ下雪乃です」

八幡「……げ」

結衣「ほぇー、すっごい美人」

雪乃「……」

「え？ゆ、雪ノ下さん？自己紹介は」

雪乃「特に話すことはないです」

「そ、そう？じゃあ、席はあの空いてる場所だから」

八幡「……」

結衣「あ、よろしくね、雪ノ下さん。あたしは由比ヶ浜結衣だよ。んで、こっちはヒッキー」

雪乃「……どうも、由比ヶ浜さん」

八幡「お前それ、俺の自己紹介じゃないぞ……比企谷八幡だ」

雪乃「……別に聞いてないわ」

八幡「……それもそうか」

結衣「な、何かギスギスしてない？」

結衣「はー……入学式も終わったねー」

八幡「ああ」

結衣「そうだ！雪ノ下さんこれから何から用事とかあるん？」

雪乃「どうして？」

結衣「いやさ！転校してきたばっかだし皆と仲良くって意味でカラオケとかどうかなって」

雪乃「悪いけど、そんな時間はないの」

結衣「え？ゆ、雪ノ下さん？」

八幡「……放っとけ、あんましつこく誘うな」

結衣「……そう、だよね。ちょっと慣れ慣れしすぎたかな……そうだ、ヒッキーも」

八幡「行かない」

結衣「だ、だよね……」

八幡「じゃあな」

結衣「……はぁ」

八幡「……」

いろは「あー！見つけたぁ！」

八幡「……え」

いろは「せんぱーい！」

八幡「うぉ……い、一色？お前なんでここに」

いろは「はーい、先輩の愛しの後輩、一色いろはちゃんですよ、ここにいるのは新入生だからですよー」

八幡「誰が愛しのだよ……離れろ」

いろは「えー？それよりそれよりー、これから暇ですよねー？ですよね？」

八幡「暇じゃない、これから帰ってゲームするんだよ」

いろは「それは暇って言うんですよ。どうも結衣先輩もいないみたいですし……私と遊びにいきましょー」

八幡「……お前こそ、暇じゃないだろ。どう考えても……」

いろは「え？いやいや、確かに新しい人間関係の構築とかありますけどー、めんどいですし」

八幡「お前ほんと黒いよな……俺に構ってないでさっさと行ってこい」

いろは「それはお断りです」

八幡「あのなぁ……またそのうち会うんだから初日ぐらい人付き合いしとけよ」

いろは「うわぁ……この人心にも思ってないことをペラペラと……」

八幡「いいから行ってこい。じゃあな」

いろは「あ、ちょっと先輩！」

八幡(そういや小町が冷蔵庫空っぽだって嘆いてたし買い出ししてくるか……)

八幡「卵安いし……豚肉は後で冷凍だな」

安めの食材を多目に買い込んでいく

まぁ、これだけあれば暫くは大丈夫だろう

小町が重いもの持つ必要もなくなるだろうしな

八幡「……ついでに新作の本もチェックしとくか……」


本屋に入りあらかたのチェックを済ます

八幡「……ぁ」

両手に買い物袋ぶら下げて歩いていたら少しだけ通行の邪魔になった

本屋の狭い空間だから通行の幅も狭い

やっぱ買い物する前に来るべきだったな

八幡「……すいません」

「大丈夫ですよ。こっちこそごめんね」

八幡「……」

……随分と綺麗に笑う人だったな

八幡「……さっさと帰るか」

八幡「ただいまー」

小町「おかえりーお兄ちゃん」

八幡「おう、さっさと晩飯作るから待ってろ」

小町「お兄ちゃん今日始業式なのに何でこんなに早いの」

八幡「始業式になにかあるわけ？何かあったことなんてないぞ」

小町「……もー、そんなに小町に気をつかわなくていいのに」

八幡「いいんだよ。ほれ、大人しく座っとけ」

小町「むー」

結衣「おーい、起きてー、ヒッキー」

八幡「……もう朝か」

結衣「うん、ご飯出来てるよ」

八幡「……まさか……お前が作ったのか」

結衣「ち、違うし！てかあたしだって練習してるんだからね！」

八幡「いや……お前の料理はなぁ……」

結衣「もう！早く着替えて降りてきなよ」

八幡「ああ……」

とりあえずここまで
質問とかあれば答えます

モデルのゲームとかあるん？

乙期待

何系のエロゲー考えてる？

>>13
カツ丼と天丼ならどっちが好き？

特にモデルになってるエロゲーはないです
凌辱系ではないよ
カツ丼好きよ

結衣「雪ノ下さんって人付き合い苦手そうじゃん？」

八幡「んー、まぁ、そうかもな」

結衣「やっぱいきなりの転校とかで戸惑ってると思うんだぁ」

八幡「……そうか？」

結衣「うん！だからあたし、雪ノ下さんと仲良くなろうって思うの」

結衣「どうかな？」

八幡「……いや……それは勝手だけど……余計なお世話な気がするけどなぁ」

二年生になってからかれこれ二週間

転校生こと雪ノ下雪乃は相変わらず愛想のあの字もない

話しかけても二、三言葉を交わすだけで特に仲良くしようという気を感じない

それどころか話しかけないでくれというオーラすら出ている

なのにだ……あのアホはそんな雪ノ下ずっとアタックを仕掛けていた


結衣「雪ノ下さーん授業でわからないことある？あ、でも総武ってうちより遥かに頭いいんだっけ……」

雪乃「……」

結衣「雪ノ下さん、ご飯一緒食べない？」

雪乃「一人で食べるわ」

結衣「雪ノ下さんって何処ら辺に住んでるの？」

雪乃「そんな事を聞いてどうするの？」

結衣「雪ノ下さん、雪ノ下さん」

雪乃「そんな何度も呼ばないでくれないかしら？」

……ほんと、しつこいぐらいだなあいつ

まぁ、それがあいつの良いとこで、そんなあいつだから今でもこんな俺と付き合っていけてるんだろうけど


しかし、まぁ……

何度話しかけてもムスッとされてたらきついよな

……だからと言って話に割り込むのもなぁ……

結衣「……ぁ」

1由比ヶ浜に声をかける
2二人の関係だ、声をかけない

安価↓1

1

1

八幡「由比ヶ浜」

結衣「ヒッキー……あ、あははー、やっぱ難しいよねー」

八幡「そりゃ、いきなりあれはなぁ……」

いきなり馴れ馴れしくされてはいそうですかと仲良くなれるやつなんて少ないと思う

特に雪ノ下みたいなタイプは

結衣「けどね！絶対いい人だと思うんだよ。雪ノ下さん」

八幡「……根拠は？」

結衣「えっとね、雪ノ下さん色々と裏方でやってるんだよ、皆やりたくなさそうな雑用とかさ」

八幡「……あいつが？」

結衣「うん、何か学校の雑用とかよくしてるよ」

八幡「……ふぅん」

何か何か意外だな

結衣「……やっぱ嫌われてるのかなぁ」

八幡「嫌われてるって訳じゃないだろう」

結衣「そうかな？」

八幡「ああ、ほんとはもう放っておけって言うつもりだったんだけどな」

結衣「ええ！？ヒッキーそんなつもりだったの！？」

八幡「……まぁ、お前がちゃんと友達になるつもりなら、上手く行くんじゃねーの」

上っ面だけの関係なんか、あいつは求めないタイプなんだろう

でも、ちゃんと付き合っていこうとしているんなら、いつかはその気持ちが届くんじゃないの？

何時になるかはわからんけど

少なくとも俺はそうしてもらったよ

……お前に

絶対言わないけどな

八幡「繕ってないで、お前の気持ちをちゃんと伝えてやればいいんじゃねーの」

結衣「……気持ち……」

廊下

八幡「と言ってもそう上手くはいかないだろうな」

あの手のやつは人付き合いが嫌どころか邪魔と思ってる可能性すらある

いくら由比ヶ浜でもなぁ……

いろは「せーんぱい」

八幡「……またうるさいのが……」

いろは「え？誰のことです？結衣先輩？」

八幡「確かにあいつも騒がしいが……お前の事だよ」

というか先輩をあっさりうるさい扱いしたぞこいつ

いろは「まぁまぁ、良いじゃないですか」

八幡「そうだな。じゃあな」

いろは「あーん！もう先輩ってほんとツンデレさんですね！」

八幡「誰がツンデレだよ……何か用なわけ？」

いろは「今日の放課後遊びましょーよー、前は断られましたけど今日は逃がしませんよ？」

八幡「断る」

いろは「断るのを断ります」

八幡「お前なぁ……」

いろは「良いじゃないですかー！後輩の入学祝にちょろっと付き合うぐらい」

八幡「お前のちょろっとは長すぎるんだよ……」

いろは「はいはいー、そういう訳でよろしくお願いしますね！」

八幡「おい……えぇ……？」

八幡「……あいつも本当強引だよなぁ」

放課後

結衣「あ、雪ノ下さん！待ってー」

雪乃「ちょ、ちょっと、くっつかないで」

結衣「まぁまぁ」

八幡「頑張ってくれ……」

さっさと家に……そういや、平塚先生に呼び出されてたんだっけ

だけど職員室行ったら一色に捕まるかもしれないしなぁ……

1さっさと校門へ
2仕方ないが職員室へ

安価↓1

2

2

小町ルートを狙いたい

>>26
頑張れば入れるかもしれない

……呼び出されたなら仕方ない、行くしかないだろ

あの人無視すると怖いし

八幡「失礼します」

平塚「おー、来たか比企谷」

結衣「へ？ヒッキー？」

雪乃「……」

八幡「お前ら……どうして」

雪乃「先生……助っ人というのはまさか」

平塚「ああ、比企谷のことだ。頼りないが一度受けたら最後までやる男だ。そこらの男よりは信用できる」

雪乃「ですが……」

平塚「雪ノ下」

雪乃「……わかりました」

あの、何を勝手に盛上がってるのかしらないが俺は全く話についていけないんだが

八幡「先生……俺は早く帰りたいんですが」

平塚「まぁ待て、君にはこのふざけたレポートを提出した罰を受けて貰おうと思ってな」

平塚先生がピラピラとしている用紙は俺が春休みに提出した課題だ

八幡「いや、そもそも俺は真面目に書きましたよそれ」

平塚「馬鹿者が。どうして高校生活を振り返ったらこうなる。私は君にこれを渡したとき上手くやってみろとも言ったはずだろ」

八幡「そう言われましても……」

平塚「なに、やって貰いたいものもそこまで難しいものではない。見ての通り女手しかなくて困ってるんだ」

八幡「……先生は男っぽ……ひぃぃ！」

平塚「ああ、すまん比企谷。お前の横に虫が飛んでいてな……で、何を言おうとしたんだ？」

八幡「わ、わかりましたよ。やればいいんですよね。で、何をするんです？」

平塚「まぁ、簡単に言うと運搬作業さ」

八幡「運搬？」

平塚「ああ、入学式用に校門とか目立つとこに花を飾っていたんだがそれを元の位置に戻して貰おうと思ってな」

八幡「はぁ……でもそういうのって普通生徒会とかがやるんじゃ」

平塚「うむ、私はまだこの学校の勤務二年目と一番の若手だ。勿論年も若い。だからこういった力仕事が回ってくるんだよ」

……若手の辺りをすごく強調してきたな……

というか、体よく先生の雑用を押しつけられたって事か……

平塚「ま、頑張りたまえ、配置表は雪ノ下に渡してある。協力してやってくれ」

八幡「……わかりました」

さっさとやればすぐに終わるだろ

雪乃「……」

結衣「よーし、がんばろー！」

八幡「……お前は元気だな……」

雪乃「これが運ぶ場所よ」

八幡「……げ、見事に校内中にあるじゃねぇか……別館まであるし」

雪乃「ええ。加えてサイズもバラバラで重い奴もあるわ」

結衣「ほぇー重労働だねぇ」

八幡「……はぁ」

雪乃「……やりたくないのなら帰っていいわよ」

結衣「ゆ、雪ノ下さん？」

雪乃「元々は私一人でやるつもりだったし、無理にやる必要なんてないもの」

結衣「無理なんてしてないよ！」

雪乃「……」

結衣「確かに重たいの持つの大変だし嫌だって思うけど、雪ノ下さん一人にやらせるなんてもっと嫌だよ」

雪乃「……由比ヶ浜さん」

八幡「……俺はとりあえず一番遠いとこから順番に持ってくからお前らは近いとこから埋めていってくれ」

別館の四階とか花瓶置いてあったっけ？

普段意識してないからこういうの記憶にないよな

八幡「よっ……重……」

……本当言うなら俺は帰りたかったけど

この見るからにぶっきらぼうで不器用な雪ノ下と上手くやりたいって由比ヶ浜は言ってるんだ

それなら少しぐらい助け船だすのもいいだろ

……すっぽかすと平塚先生の鉄拳が飛んできそうだしな

結衣「よーし！あたし達もいこ！雪ノ下さん」

雪乃「由比ヶ浜さん乱暴に持ち上げたら危ないわよ」

結衣「小さいのなら三つぐらい持てそうだよね」

雪乃「駄目よ。貴女がそれをやると落としそうだわ……」

結衣「えぇ！？あたしそこまでドジじゃないよ！？」

雪乃「お願いだから止めてちょうだい……ほんとは二つ持たせるのも怖いのだから」

結衣「全く信用されてない！？」

放課後の別館は主に文芸部の活動場所になってる

音楽室には吹奏楽部がいるし、美術室には美術部がある

科学室とか家庭科室とかも別館にあるからそのまんま部室として使われている訳だ

別館の四階は音楽室となっていてその廊下には勿論吹奏楽部の練習の音が響いている

八幡「よっと……」

廊下の指定された場所に花を置く

大きめの花瓶だったこともあり少し疲れた

ふぅ……と息を吐いて階段に向かった

階段を降りようとしたら上の階から女生徒が降りてきた

……この上って屋上だけど

何となく、足を止めた

何というか、こういった人気がないときに階段降りる時後ろに付かれるのって苦手なんだよな

後ろから落とされそうだし

何か見られてる気がしてムズムズしてしまう

一瞬女生徒がチラリとこちらを見た

……が、すぐに目線を反らし降りていく

拒絶のオーラだしまくりのおっかない奴

そんな印象だ

八幡「……別の階段使って戻るか」

何だかんだで大体一時間かそこらで運び終えた

八幡「ふぅ……」

結衣「おつかれーヒッキー、ゆきのん」

雪乃「お疲れ様……ゆきのん？」

結衣「うん、ゆきのん」

雪乃「ゆきのんはやめてくれないかしら」

結衣「まぁまぁ、ゆきのん、これから平塚先生に報告行くんだよね。あたしも付いていくからさ」

雪乃「だから、ゆきのんは……」

八幡(少しは進展したのかね……)

この時間で二人がどんな会話をしたのかはわからないが、それでも少しは距離が縮まったのだろうか

少しは雪ノ下の対応も柔らかくなってる気がしなくもない

……後は報告だけだろうし、あいつらに水指すのもあれだ

俺はさっさと帰ろう

下駄箱に置いてきた鞄を取りに戻り、校門から出る

いろは「せーんぱい♪遅かったじゃないですかぁー」

……そこにはとてつもなく笑顔の一色がとてもどす黒い声を出して待っていたのだ

いろは「放課後空けてくださいって言ったのに45分も可愛い後輩を待たせるなんて酷いです」

八幡「怖い、この子怖い」

いろは「……何してたんですか？」

八幡「ぁー……少し野暮用でな」

いろは「……また厄介事抱えてるんですかぁ？」

八幡「……またってなんだよ。俺はそういうの抱えることないぞ」

いろは「……そうですねぇー先輩が抱えるのは小町ちゃんと……結衣先輩ぐらいですもんね」

八幡「小町が何だって？」

いろは「……何でもないですよー」

八幡「……で、何処まで連れていかれるんですか。俺は」

いろは「スーパーですよー」

八幡「え、何で」

いろは「ご飯作るからです」

八幡「ふぅん……頑張れよ。じゃあな」

いろは「駄目です」

八幡「何でだよ……俺さっさと帰って晩飯の用意したいんだよ」

いろは「ああ、それなら大丈夫ですよ。私が作るんですから」

八幡「……はい？」

いろは「先輩唐揚げとかでいいですか？」

八幡「いや、ちょっと待て！何でお前がうちの夕飯を作るんだよ」

いろは「小町ちゃんに許可は貰いましたよ」

八幡(あの馬鹿……)

いろは「まぁまぁ、たまには小町ちゃんも違う味が欲しくなるじゃないですか。小町ちゃんにも暫く会えてませんし、元気かなぁと思いまして」

八幡(……こいつなりに気を使ってくれてる……のか？)

事故があった当時は何だかんだ由比ヶ浜だけじゃなく一色もちょくちょく顔を見せてくれていた

その一色が小町を気にしてくれてと言うなら……無下に断ることも出来ないだろう……

八幡「……わかったよ。頼む」

八幡「ただいまー」

いろは「お邪魔しますー」

小町「いらっしゃいませー！いろはさん！」

いろは「久しぶりぃー！小町ちゃん。と言っても卒業式以来かな？」

小町「お久し振りですー！そうですそうですー！高校生活どうですかー？」

いろは「んー、ボチボチかなぁー」

小町「あ、とにかく中にどうぞ、くつろいでください」

いろは「はいー！失礼しますー」

八幡「……とりあえず着替えるかな」

一色がいてくれたお陰でやっぱり小町は助かってたのだろう

学年は違うけどかなり気を使ってくれていると小町からよく話を聞いていた

着替えが終わったのでリビングに戻る

八幡「うーす」

いろは「あ、おかえりなさい先輩」

小町「お兄ちゃんおかえりー」

八幡「……何やってんの」

いろは「制服エプロン！男の夢ですよね！しかもこんな可愛い後輩がですよ！」

八幡「はいはい、可愛い可愛い」

いろは「むー、心がこもってないなぁ……」

小町「大丈夫ですよ、いろはさん」

小町「あんなこと言ってじっくり爪先までいろはさんの事見てましたから」

いろは「えぇー、やだ先輩エッチですね。でもどうしてもって言うなら……」

八幡「何もしないからな……」

いろは「ちぇー、まぁいいですよー先輩の胃袋をガッチリと掴みますから」

小町「……お兄ちゃんも一緒に作ったらぁ？」

ニヤニヤとしながら俺をつついてくる

俺は……

1,一色の料理の腕がわからないから手伝う
2,一色を信じて折角なのでご馳走になる

安価↓1

２

いつヒロインが殺し合いを始めるんだろう?(型月・ニトロのエロゲー感)

エロゲーの世界（マブラブオルタ）じゃないのか？（猜疑）

多分黒円卓が襲ってくると思うんですけど

ほのぼの学校生活を描いたスクールデイズ展開はまだですか？

いろはは結構嫌いだけどこのSSのいろはは好き

どこぞの聖杯戦争は起きないけど選択や√によってはドロドロがある
基本はゆるい学園物と思ってくれ

八幡「……あいつが自分で作るっていうなら待ってるさ」

小町「何か意外な答えだね」

八幡「そうか？」

小町「うん、お兄ちゃんの事だから台所を汚されないか心配だーとか何だかんだ理由つけて手伝いに行くと思ってた」

八幡「……いや、自分から料理作るって言うぐらいだから自信あるんだろ」

チラリと一色がいる台所の方に視線を送る

多少戸惑いながらも料理を作ろうとしている一色がいる

動きこそぎこちなさそうだがあれは慣れてない他所の台所だからだろう……多分

小町「……そうだねぇーいろはさんはお兄ちゃんの前では強がるからなぁー」

八幡「あいつが強がるってどういう事だ？」

滅茶苦茶我儘に振り回してくるぞ、あいつ

小町「……大ヒントー。いろはさんは中学まで料理をしたことがありませんでしたー」

八幡「はい？」

小町「……はぁ……駄目兄だなぁ……」

八幡「ようは中学で料理に目覚め立って事だろ？」

小町「……そうだよー」

いきなり大ヒントとか言い出したから何か裏でもあるのかと思ったぞ……

つうか強がりと料理が繋がってないんだが……

小町「お兄ちゃんー」

八幡「んー？」

小町「いろはさんも女の子だって考えてあげてよねー」

八幡「考えるのも何もあいつ自身が女ってのを武器にガンガン攻めてくるから忘れたこともないぞ……」

ほんと、女の子ってズルい

特にあいつは自分がどう動けばいいか自覚してる分たちがわるい

いろは「あ、先輩ーお皿ってどれ使えばいいいですかぁー？」

八幡「ああ、手伝うよ」



小町「……どっちがお姉ちゃんになるのかなぁ」

いろは「ど、どうですか？」

八幡「……どうって」

一色が作ったのは唐揚げだ

衣はサクサクとしているし身はどうやったかはわからないがかなり柔らかい

味付けだって昔母さんが作ってくれていた唐揚げにそっくりで……まぁ、一言で言うなら旨い

だが、しかし

それをそのまま伝えるのは負けた気がして悔しい

俺だって料理はある程度やってるし、一色に負けた気がするのは癪なのだ

いろは「……」

……なのだが、不安そうに此方を見る一色を見ると意地を張るのが申し訳なくなる

八幡「……ぁー……旨いよ」

いろは「ほ、ほんとですか！よかったぁ……あ、いや、当たり前ですよね！甲斐甲斐しく後輩が作った料理なんですから！」

小町「本当美味しいですよいろはさん！小町毎日食べたいぐらいですよー」

八幡「それは一色に迷惑だろ……」

いろは「本当ー？小町ちゃんに言って貰えると自信ついちゃうよ」

小町「是非是非ー、自信付いちゃって下さいよー」

八幡「聞いちゃいないのね……」

八幡「一色、もう21時になるし送るから帰るぞ」

いろは「おー先輩の自転車送迎も久しぶりですよね」

八幡「今回はイタズラとかは辞めろよな……」

いろは「それは先輩次第ですかねぇ」

八幡「おい……」

いろは「それじゃあ小町ちゃん。お邪魔したました」

小町「いえいえ！また是非来てくださいー」

いろは「うん！またね！」

八幡「じゃあ行くか」

小町「お兄ちゃん。ちゃんと送り届けるんだよ」

八幡「わかってるよ」

いろは「春とはいえやっぱり冷えますね」

八幡「……そうだな」

いろは「最後にこの自転車の後ろに乗ったのは何時でしたっけ？」

八幡「どうだったかな……」

いろは「……少なくとも先輩が卒業してからは乗れてませんよ」

八幡「お、おい？」

いろは「寒いからくっついてるだけですよ……勘違いしないで下さい」

八幡「あ、ああ、それは大丈夫なんだが」

その、色々と当たってるんだけど……背中に

いろは「……」

八幡「……そういや、さ」

いろは「はい？」

八幡「その、今日の晩飯もそうだけど……中学の時はありがとう……な」

いろは「え？」

八幡「小町の事、ずっと気にかけてくれてたんだよな……だから、その……な」

いろは「……ぷ。先輩がお礼とか似合いませんよ？」

八幡「あのなぁ……俺だってたまにはあるんだぞ」

いろは「……そうですね」

トンっと背中に新しくなにかがもたれ掛かってかた

多分一色の頭なんじゃないかと思う

それと同時に少しだけ、一色の腕の力が強くなった

それ以来一色は喋るのをやめたので俺も黙ってペダルをこぎ続けた

出来るだけ、荒々しくならないように集中しながら

いろは「……ごめんなさい」

だから、本当に細々しく彼女が呟いた言葉を、俺は聞き逃してしまったのだ

小町「起きろーお兄ちゃん」

八幡「なぁ……小町」

小町「なぁに？」

八幡「いくら俺が起きないからってベッドから叩き落とすのはどうかと思うぞ」

小町「仕方ないでしょー、ずっと起こしてるのに起きないんだから」

八幡「……怪我したらどーすんだ」

小町「こんな落差1mもないとこで怪我なんてしないよ。顔洗っておいで」

八幡「……うぃ」

段々と起こし方がエスカレートしていってないか俺の妹は

打ち付けた背中を擦りつつ顔を洗いに行く

今日も学校生活の始まりだ……

小町「おはよーお兄ちゃん」

八幡「おはよ……あれ、由比ヶ浜は？」

小町「今朝はやることがあるって言ってたよー、先に学校に行ってるってさー」

八幡「そっか」

小町「あ、お兄ちゃんごめんね、今日小町も寝坊しちゃって……その、お弁当が……」

八幡「ん……気にすることないぞ、行しにコンビニでも寄っていくからさ」

小町「ほんとごめんね」

八幡「良いって。無理して作らなくてもいいんだからさ」

小町「うん……」

八幡「じゃあ俺も行ってくるから、小町も学校に遅れるなよ？」

小町「うん。大丈夫。いってらっしゃい」

さて、昼飯の確保か……

1,コンビニに寄る
2,学食でいいからさっさと学校に行くか

安価↓1

1

2

1

コンビニでおにぎりでも買っておくか……

学食は混むしな

少し学校へ向かう道からは離れるがコンビニに向かう

ここのコンビニは人通りを避けるような場所にあるので朝のこの時間でも比較的空いてる

中に入りさっさとおにぎりとお茶を掴み会計を済ます

「362円になります」

「お疲れ様でした。お先です」

小銭を引っ張り出そうとしてると中から人が出てきた

そいつの顔は見た覚えがあった

制服は着ていないが昨日音楽室前の階段ですれ違った女だ

こんなとこでバイトしてるんだな

……いやまて、この時間に？

向こうは俺に気がついてないのかスタスタと歩いていってしまう

「……お客様？」

八幡「……あ、すいません」

忘れる事にして会計を済ませて学校に向かう

八幡「……苦学生、ってやつか」

何も見なかった事にするのがお互いのためだろう

寄り道したせいで少しおくれたが遅刻せずに教室についた

八幡「……？」

……教室についたのはいいのだが、先に来たはずの由比ヶ浜がいない

後五分もしないうちにチャイムがなるが大丈夫か

どうも雪ノ下もいないから二人で何かをやっているのだろう

……別に気になってる訳じゃないけど

何となく推測しただけだ

小町はしょっちゅう俺に勘が鈍いだの空気読めないだの言うが、そんなことはないと思うんだがなぁ……

一限の準備をしているとバタバタと考えていた二人が入ってきた

結衣「せ、セーフ」

雪乃「はぁ……はぁ……だから、もっと余裕を持ちなさいと……言ったのよ」

結衣「あ、おはよヒッキー」

八幡「ああ、おはよ」

雪乃「ぜぇ……ぜぇ」

八幡「……おい、雪ノ下が死んでるけどどうしたんだ」

結衣「ぁ、うん、ちょっと掃除をね……ギリギリまでやってたらダッシュでこっち戻ることになっちゃって」

……雪ノ下はどうやら体力があまりないようだ

息も絶え絶えに椅子につく姿はとても普段のクールなあいつには見えなかった

程なくチャイムが鳴ったので話はそこまでになった

結衣「よーし！昼休みだぁ！」

八幡「お前は元気だなぁ……」

結衣「ヒッキーご飯だよご飯」

八幡「ああ……」

結衣「ゆきのんも一緒に食べよ！」

雪乃「いえ、私は一人で……」

結衣「そんなこと言わないでー！お願いゆきのーん！」

雪乃「ちょっと、抱きつかないで……暑苦しいわ」

結衣「えへへー、ゆきのんいい匂い」

雪乃「わ、わかったから匂いを嗅ぐのはやめて頂戴」

結衣「じゃあ一緒にご飯食べてくれる？」

雪乃「ええ……」

結衣「やった！」

……随分と仲がよさそうな二人を尻目に俺は……

1,クールに立ち去る
2,教室で食べる

安価↓1

2

乙乙～

1