何の変哲もない恋愛話 (14)

1週目

(お、可愛い子だ)

「○○です。よろしくお願いします」

俺のバイト先に女の子が入ってきた。
普通に街中に居そうな、黒髪の女の子だった。

「よろしくお願いします」

「はい。・・・・・・・」

無言の空間が俺と彼女の間に流れる。
気まずい、初対面特有の何も言えないあの雰囲気だ。

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「あ、そうだ。お仕事教えなきゃね」

「はい、よろしくお願いします」

俺は足りない脳みそで言葉を捻りだし、コンビニの仕事を教える。
レジ打ち。前出し。検品。接客の用語。etc....

新人の人に教える業務が終わると

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

またお互い無言になってしまった。
何を話せば良いのか分からない。
初対面は特に気を使ってしまう。
そんな女の子と会話した事無いだの、付き合った事も無いだの、そんな内気なキャラでは俺は無いんだけど。

「○○さんはさ、学生さん?」

「はい、○○大学に通ってます」

お、大学行ってるのかぁ、凄いなぁ。

「大学行ってるんだぁ。凄いねぇ」

「全然凄くないですよー。△△さんは?学生さんなんですか?」

来たか、その質問。
俺はこの質問が嫌いなんだ。
若くて学生じゃないのなんていくらでもいるのに、学生じゃない事を言うと、微妙な雰囲気になる。
後味の悪い感じがどうも嫌なんだよなぁ。

「俺、社会人なんだ。ここでバイトしてるの」

「・・・・あー。そうなんですねー」

ほら来た。
この何とも言えない雰囲気。
「聞いちゃったよ・・・」みたいなやつ。

「まぁねー。一回社員で働いてたんだけどさ、どうも合わなくてね。探してる感じかな」

「そうなんですねー」

そして、無言。
まぁ、俺だって何度も経験してきた事だから、慣れてるんだけど。

「あ、時間だ。それじゃあ、お疲れ様でしたー」

「はい、お疲れ様でした」

彼女は時間を見たらそそくさと22:00きっかりにあがった。

俺はと言うと、24時まで残るシフトなので彼女を見送る形で残って仕事をした。

2週目

「お疲れ様ですー」

「お疲れ様ーー」

時間は17:00彼女が出勤して来る時間だ。
1週間が経って、彼女は少しずつ慣れて来たのか、明るくなってきた。
俺も、いつの間にか敬語が取れて、普通に会話をしていた。

「△△さん、宅急便のやり方何ですけど・・・」

「あれ?オーナーに教わって無かったんだ」

「はい、オーナーは少しだけ私の接客見て、他の店舗行っちゃったので、あんまり・・・」

困った表情になる彼女。
クソオーナーめ。仕事しろ。

「えっとね、宅急便の用紙持ってくるでしょ・・・?あ、着払いとか事前に聞いてねー」

「ーーーこんな感じかな。じゃ、トレーニングしてみよっか」

「なるほど・・・はい」

彼女はつつがなく教えた通りにやる。
覚えは良いし、接客も良し。
ここで働くのにピッタリな人だ。

「そういえばさ、大学出たら何するとかって決めてるの?」

「んー。特に決まって無いんです。親にとりあえず大学行っとけって言われて行ってるだけなので」

今どきのやつか。
とりあえず親の言いなりになるやつね。

「そっかー。夢とか見つかるといいねぇ」

「アハハ、そんな夢とか大きいの私無いんですよー」

「ただ、普通に暮らせれば良いかなって」

これも最近のニュースで言ってた欲望が無い若者ってやつかな?
・・・まぁ、俺も若者だし、そんな感じか。

「それじゃ、お疲れ様でしたー」

「おつかれさーん」

22:00。彼女と別れる時間だ。
少し名残惜しいな。

そんなこんなで、24:00まで俺は仕事をして帰路についた。

3週目
「お疲れ様ですぅー」

「はーい」

彼女も大分慣れてきた。少し考える所はあるけども、接客等はもうお手の物だ。

「何か分からない事ってある?少しでもあったら教えてー」

「そういえば、電子マネーチャージする時なんですけどー」

「ああ、良くあるやつね」

足りない場合の対処の仕方を俺は教えた。

「ありがとうございます」

「分からなかったら何でも聞いてね。オーナーあんまり教えない人だから」

「そうですよねー。私、あんまり教わった覚えが無いんですよ」

オーナーが仕事をしないのは昔からで慣れてはいるんだけど、腹ただしい。
誤発注しまくるぞコラ。

「それにしても、ここのお客さんって態度悪い人多いですよね」

「あーー・・・、まぁね。居酒屋とパチンコ屋が近いからさ。必然と・・・ね?」

「ナンパ?なのかな?声かけてくるお客さんも多くてめんどくさいですよーー」

「あははは、若い女の子はここ珍しいから。それに○○さん。いい子だし明るいからね」

「おばあちゃん子だったんです、私。だからかなー。凄いお年寄りの人に人気なんですよ」

困った様な笑いを見せてくる彼女。
最初にくらべたらとても話しやすい印象になったな。

「○○さんは凄い落ち着いてて大人っぽいですよね。私の1個上なんて聞いて驚きました」

「あーー。大人っぽいって言うのかな?老けて見えるってことじゃない?」

「全然!なんか何が起きても落ち着いて対処してるし、凄いなって思います!」

そりゃあなぁ、ここ働いてて長いし。
昔から年相応に見られないのが正直な所の悩みなんだよなぁ。
もっとキャッキャッしたいってのもある。

「もう少しチャラチャラしても良いのかなって思うけどね」

「えー、私はチャラ男より、落ち着いてた人のが良いですよー。うるさいのって疲れるんですよね」

「最近、年の差婚が流行ってるのはそう言うのもあるのかもね」

気づいてみれば、10、20歳離れてる人が選ばれる理由も分からなくも無い。
ダンディーに憧れるのかも。

「・・・あ、お疲れ様でしたー」

「はい、お疲れさん」

いつも通りの彼女が退勤する時間だ。
このままずっと話してたいと思ってしまうくらい、心地よいのだが、我慢しなきゃね。
彼氏くらい居るだろうし。

そんな彼女の背を見送って、俺はまた仕事をした。

誰もが体験した事ありそうな感じで進めれたらと思ってます。
よろしくお願いします。

俺゛は゛こ゛ん゛な゛経゛験゛し゛た゛こ゛と゛な゛か゛っ゛た゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛

まぁそれはおいといて乙

元7時~11時のコンビニ店員だけどこんな経験なんてなかった

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