とある町
ドガァアアアアアアアアアン!
町人1「きゃぁあああ!」
町人2「痛い……痛い……」
怪人「ヴァハハハハ!いいぞ!もっと苦しめ!もっと喚け!」
怪人は自分の行った破壊に陶酔するように見入っていた。
怪人「気持ちいい。やはり惨劇は甘美だ……ッ!」
幼女「うぇえーーん!ママー!ママー!」
怪人「……」ジロリ
怪人は幼女を見ると、そちらへと歩み寄った。
そして、左の身体の一部たる鋏を振り上げた。
???「やめなさいっ!」
怪人「!?」
魔法少女クール「おまえなんかに、誰にも危害は加えさせないっ!」
怪人「魔法少女か……。クックック」
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怪人は魔法少女を認識すると、すぐに戦闘体勢に入った。
――同胞殺しを逃してなるものか。
怪人「俺とお前は初対面だな。だが俺にはお前を殺したい理由がある。クックック」
魔法少女クール「私だって、悪さをするおまえを見過ごすわけにはいかないっ!」
クールは剣状の魔法媒体を前に、構えた。
マスク・ザ・レッドかな?
怪人「へえ、お前、魔法は媒体を介しないと使えないクチか。クックック」
怪人「こりゃあハズレ(雑魚)だったかもな……」
怪人は安い挑発をした。おそらくこの程度で乗っかるほど甘い相手ではないだろう。
魔法少女クール「そんなこと関係ない。私は、悪党をやっつけるだけ……ッ!」
睨み合ったまま、時間が過ぎてゆく。このまま膠着状態が続いていてはよろしくない。
そう判断したのはクールのほう。
※
>>3すいません、オリジナルです。
魔法少女の区別化をはかるため、名前をつけさせました。
クールの構える剣から、水色で線状の魔法陣が射出された。
それはそのまま怪人の方へと向かっていく。
怪人「クックック、どの程度の魔法かは知らぬが俺ならこの程度一瞬で砕けるわ」
怪人が左の鋏で思いっきり魔法陣を叩いた。
すると、魔法陣が魔法として発現した。
怪人「ぬぁああああ!?拘束!?」
クール(や、やった!)
怪人の鋏が、水のようなもので包み込まれ動かせなくなっていた。
怪人「たかが、その程度で、いい気に……」
怪人「なるなよぉおおおおおおおお!」
怪人は腹部を思い切り膨らませ、そして、収縮させる。
怪人「ブフォアアアアアアア!」
一般人とはかけ離れた身体性能を持つ怪人の肺活量。それは、まるで台風のような風圧を発生させた。
魔法少女クール「あっ!?」
車よりも強力な暴威を真正面から受けたクールは、後ろへと吹き飛ばされた。
大きく打ち付けられ、クールの肺から空気が抜けた。
魔法少女クール「が……はっ!」
ズズズ、と壁から下へとずり下がっていく。
怪人「俺の武器は鋏だけじゃあないんだからな」
怪人「それで?お前はいつまでそこにいるんだ?もう立てないのか?」
魔法少女クール「いた……」
怪人「それじゃあお前を殺してから残党狩りでもさせてもらおうかな」
はよ
ピクッ、と魔法少女の身体が動いた。
魔法少女クール「させ……ない。させない。させないっ!」
怪人「ほう」
魔法少女としてはまだ未熟なクール。そんなクールは攻撃の受け方など知る由もなかった。
魔法少女という性能に助けられ、辛うじてクールは生きていた。
怪人「まあ、死にかけだったら何をやっても無駄とは思うんだがね」
――どうバラしてやろうか。
怪人の考えは、殺すから、破壊するに変わっていた。
当初こそ、苦戦すると考えていた魔法少女が、全くもって弱かったのだ。
敵ではなく、弱者という認識になるのは無理もない。
怪人「鋏はお前の魔法で封じられちゃったから、腹パンで気が済むまで殴ろうかな」
怪人「魔法少女になったことが残念だったな。俺の一撃なら“一般人”は即死で済むんだが、そうはいかねぇもんな?」
魔法少女クール(……どうにかしないと)
この状況でクールが考えていた事は、どうやって他の人が逃げる時間を稼ごうか、という事。
自分ではなく、他者を思いやる。
その魔法少女としての理念はこの段階となっても揺るぐ事は無かった。
怪人「力は抑えるからよ、出来るだけ苦しめよ」
怪人は余裕の笑みを浮かべ、クールの方へと進む。もったいぶるかのような足取りで、ゆっくりと。
怪人「おや?」
コツンと足が何かにぶつかった事に気付いた。
怪人「もうこんなもの必要ないよな?」
魔法少女クール「あ……」
おそらく、殴った事で剣を落としたのだろう。
怪人はそれを拾うと、握力で思い切り握りつぶした。
怪人「それじゃあ、存分にヤらせてもらおうか?死んだ同胞の分までな」
魔法少女クール「……」
覚悟は出来ている。魔法少女になったその日から。
いつかくるだろうと思っていた。
――でも、こんなに早く終わりが来るなんて。
怪人「それじゃあ、いっぱーつ……」
腹に当たる寸前でピタリと拳がとまる。
怪人はギョロリと右を向いた。
魔法少女クール「え?」
クールもそちらへ目を向ける。
幼女「お……お姉ちゃんを、はなしてよっ」
幼女が、ポカポカと、そう表現するのが相応しいほどに弱々しい拳で怪人を叩いていた。
怪人「また戻ってきたのか、お嬢ちゃん」
魔法少女クール「だめっ!逃げて!」
怪人「助けてもらった命を捨てに来たんだな?しょうがない子だな」
怪人「潰れて死ねよっ!」
幼女「あ……」
魔法少女クール「やめてーーーー!」
ちょいとま間を空けて書きます
再開
あまり時間は取れませんが
瞬間、眩いばかりの光が解き放たれた。
怪人「何だ!?」
攻撃の手をやめ驚いて振り返る。
そこには煌く光を反射する澄み渡った水を背景に、立ち上がるクールの姿があった。
怪人「ありえん!あれだけのダメージを受けてまだ動ける、だと!?」
魔法少女クール「傷なんて関係ない。おまえなんかに、誰もしなせないっ!」
クールが前に手を翳すと、背後の水が鋭い槍となり怪人目指して突撃してくる。
怪人(魔法媒体はどうしたんだ?まさか、覚醒か!?)
怪人「おおおおおおおお!お前、それは……」
言葉を紡ぐよりも、攻撃を止めた方がいい。
瞬時にそう判断した怪人は地面を強く蹴り、クールに向けて正面突きを――
――水の壁がそれを簡単に防いだ。
怪人「バカな!?」
魔法少女クール「私はもう、誰も守れないなんて……そんな言い訳はしない!」
魔法少女クール「私は、おまえを倒す!」
強い光を宿した眼差しに、怪人は気圧されてしまった。
怪人「どうなって……」
魔法少女クール「力を貸して」
クールの言葉に呼応するかのように、一つの剣が舞い降りた。
水で出来た、透明で、それでいて強さを感じさせる剣。
怪人「魔法少女は、やはり――」
魔法少女クール「――はぁっ!」
怪人「ぐぁああああああああああああ!」
クールの一閃により、怪人は散った。
大方の人間は町から去っていた。
クールは避難しそこねた人がいないか見て回っていた。
まだ傷付いた身体を引きずり、町を歩く。
魔法少女クール「誰かいませんかー?残っている人はいませんかー?」
メガホンのように口にてを当てて喋るが応答は無い。
と、小さく掠れた声が何処かから聞こえた。
?「た……助け……」
魔法少女クール「!! どこですか? どこにいますか!?」
?「瓦礫の下だ。助けてくれ……」
急いで近くの瓦礫をひっくり返すと、そこには傷だらけ、埃だらけの男がいた。
魔法少女クール「大丈夫ですか?」
男「う、うん。大丈夫だ。でも、肩を貸してくれないかな?」
魔法少女クール「は、はいっ!分かりました」
クールは隣町へ男を運ぼうとした。
身体は負傷中だが、人一人に肩を貸すくらいは容易い。
男「魔法少女って、凄いんだね」
魔法少女クール「そ、そうですか?」
男「いつも町や人をまもってくれて感謝してるんだ」
魔法少女クール「ありがとうございます!私はまだ未熟ですが、微力ながら役に立てる事が出来てたら嬉しいです」
男「微力じゃないよ、凄く助かってるよ」
やがて、大通りに差し掛かった時
男「あ、こっちにしてくれない?」
魔法少女クール「そっちは遠回りですよ?」
男「いや、こっちでいいんだ」
魔法少女クール「そうですか……」
――何でこんな所を?
半ば疑問のまま、連れて行く。
その道は暗く狭い路地裏だった。
魔法少女クール「ここ通りづらいですから、私が負ぶいましょうか?」
男「えっ!?いや、恥ずかしいしいいよ」
魔法少女クール「そうですか。それじゃ、ちょっと詰めますね」
クールは男の触れ合うところまで接近した。
抵抗はあまりなかった。
男(あまりきにしないタイプなのかな……?)
男にとっては逆にこちらの方が窮屈だ。しかし、善意を断るわけにもいかない。
ここは我慢をしよう。
それから奥へ奥へと進むと余計に暗くなっていく。
魔法少女クール「だんだん暗くなっていきましたよ?この先って行き止まりじゃないですか?」
男「……まさか?そんなこと……ないさ……」
ちょっとここまでにします。
見てくれた方に感謝をば
おつはよ
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