【孤高のキラークイーン】 (44)

【吉兆に迫る影】
私はツイていない。産まれてこの方色恋沙汰に縁はなく、けどそれでも良いかと生きてきた
十代の頃はそれで良かった。いずれ素敵な人の方から来るのだろうと楽観視しているだけなのだから

私は醜いと言うほど酷いわけでもないし(お世辞にも可愛らしいと言えるわけではないんだけど)性格も人に言われるほど難があるわけじゃあない
多分自分を磨くことをしてこなかったが故に誰にも言い寄られず生きてきたと言うわけだ
流石に20後半に差し掛かってきた私は危機感を覚えた。そして遂に、自分を磨く決心をしたのだ

「ここね…【エステ・シンデレラ】」

友人に勧められた美容エステには何やら「愛と出逢うメイクいたします」だなんて大袈裟な事が書いてあった
愛と出逢うだなんてそんなことあるわけないじゃあない。だなんて私に一笑に伏す余裕はなかった
仰々しい謳い文句の万が一の可能性にだってすがり付きたい私は恐る恐る期待しつつ入ってみることにした

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457145812

「あら、いらっしゃいませ~…お入りになって?」

こじんまりとしたお店の中には何だか低血圧の様な雰囲気を纏っている可愛らしい女性がいた
こちらまでダラっとしてしまいそうな雰囲気を持っている

「あのぉ…友人の紹介で来たんですけど…」

何だかこの雰囲気に少しだけ不安感を覚えてしまう。本当に大丈夫なのか?この店もこの人はと

「言わなくてもわかるわ…このお店にいらっしゃるお客様は皆同じ事をお考えになってらっしゃるもの、フゥ~…」

くるくる回る椅子に座りながら彼女は気だるげに話し掛けてくる

「【愛と出逢うメイクいたします】…この看板に偽りなしよ。絶対に愛に出会わせてあげるわ」

私はゆっくりと彼女の差し出した椅子に座る
すると壁に飾ってある賞状が目についた
パリ、ロンドン、ニューヨーク…と世界各国のコンクールで優勝した賞状が所狭しと飾ってあるのだ
もしかして本当にスゴい人なんじゃないかなと期待が膨らむのを感じる。無論話し方以外はだが

「私の名前は辻彩…低血圧気味なしゃべり方しちゃうけど許してくださいね?コレでも仕事への意欲はありますの」

辻先生はそう言うと一枚の表を差し出した
どうやら愛と出逢うメイクとやらの料金表らしい
愛と出逢うメイクから芸能人と結婚するメイクまで幅広く載っていた。と言うより芸能人と結婚するメイクと言うのは笑い所なんでしょうか?

「私はそこらのエステティシャンと違って美しい身体を作る訳じゃあないの。私は『幸福の顔』を作るメイクをするの」

「『幸福の顔』を…?」

辻先生曰く、人相を変えることで愛される顔を作り、愛と出逢う運勢を持たせるらしいのだ
まるで良くあるカルト宗教の飲めば元気になるお水みたいだななんて思ってしまった
だが一回千円、騙されたと思ってその愛と出逢うメイクとやらをしてもらうことにした

「貴女の場合…手はとても魅力的ねぇ…フゥ…見とれてしまうほどに美しい。けれどまるで愛を引き寄せないわね。寧ろ…初回サービスで手もいじらせてもらうわ。顔は眉を少し弄ればとても良くなるわね。早速始めましょう」

私はベッドに寝転がされると静かに目をつぶった
期待と不安を織り混ぜた気持ちはまるで何時間も過ぎ去ったかのように感じてしまう

「良いわよ…フゥ…効果はたった『30分』。けれどその『30分』の間だけ貴女はシンデレラになれる。愛と出逢うシンデレラにね」

私はお金を払い短くお礼を言うとすぐに表に出た
貴重な『30分』を無駄にしたくない一心だったのだ。何かを彼女が言いかけていた様な気もしたが私は結局聞かずじまいだった


エステ・シンデレラで辻彩は気だるげにまた椅子にもたれ掛かった。さっきの彼女に気になることが一つだけ残っていた
あの手…見とれてしまうほどに美しいあの手だ
一言やはり気を付けてと言うべきだったろうか?
美しいものは時に妖しいモノすら惹き付けてしまうかもしれないと言うことを
今度来たときに言おうかなと考えるのをやめて彼女は気だるげに一息ついた

何だか周りが私を見ている気がする
まるで不思議なことに気分は高翌揚して今までの自分と違ったかのように感じていた

「きゃっ!」

そうやってふわふわと歩いていたせいか不注意に誰かにぶつかってしまった
直ぐ様ぶつかった人は手を差し伸べてくれたのだ。コレも愛と出逢うメイクのお陰なのだろうか?

「あ、ありがとう…ございます」

顔を上げた先に居た人は高級ブランドのスーツを嫌味なく着こなし、目鼻立ちが整った気品溢れる顔をしていた
あのエステは本物だったに違いない

「いえ…ボーッとしていてすいません。お詫びといっては何ですが…あのカフェでお茶でもいかがですか?」

こんな素敵な人が私を誘ってくれている。やはりあのエステは本物だった!私はやっと人生初の愛と出逢うことが出来たのだ!
私は降って沸いたかのような幸福に酔いしれながらはいと返事させてもらった

「すいませんでした…仕事終わりはどうも気が抜けてしまって…あぁ、自己紹介が忘れてましたね。私の名前は吉良吉影と言います」

彼は私の目をじっと見ながらそう名のって見せた

吉良吉影…会社員としてカメユーデパートで働いているらしく、今は別荘地に住んでいるらしい。だが私は相槌を打つのを忘れてしまうほどにボーッとして居た
すると突然彼は私の手を掴んだ。と言っても乱暴にではなく優しく、丁寧に扱っていた

「美しい手ですね…とても。ここまで綺麗な手に会ったのは初めてかもしれないなぁ…」

褒められるとついつい照れてしまう。ここまで異性に誉められたのは初めてなのかもしれない

吉良さんは私に暇があればともう少し何処かへ行かないかと提案してくれたのだ
私は二つ返事で了承するとそのまま彼と一緒に海辺へと行くことにした
このまま…このままずっとこの時間が止まって幸福だけが続いたら…そう願わずにはいられない

(辻先生…私、今幸せを掴めてます…!)

心の中で辻先生へと感謝せずにはいられなかった。やっと愛を掴むことが出来たのかもしれないからだ

「ここら辺で良いかな…?人気もなくてとても静かで美しい場所だよ…」

清らかな風が私の髪を撫でる。心にまで吹くかのような風は私の中のネガティブな感情までも拭い去っていく

私は今、幸せの絶頂に居た。確実に私は幸せの絶頂に。時計をちらりと見ると『30分』はとうの昔に過ぎ去っていたようだった

不意に私は彼に名前を呼ばれる。私は幸せを感じながら彼へと振り返った

唐突に彼の両腕が私の首筋に伸びた。万力のごとく容赦せずに彼は私の細い首をへし折るかのように締め上げる

「人気もなくて…とても静かで…ここなら誰も…来ないさ…」

叫ぼうにも声がでない。涙で前が霞む。彼の表情は今までに見たこともないほど恍惚としていて狂喜すら感じさせる笑みをたたえていた

どうして?私は幸せの絶頂に居たんじゃ…コレはきっとそう、そうに違いないの

「こ……れ…は…悪い……ゆ……め…よ…」

きっと今に醒める、今に元の世界に。幸せに満ちた少し前に…幸せな『30分』へと戻れる…

その時気付いた、私の幸せは、幸せな『30分』はもう終わってたことを。とうの昔に、幸せは過ぎ去っていたようだったことを

幸せは絶望へと転落し、私の意識は一瞬で暗闇に堕ちていった

私は動かなくなった彼女を地面に落とした。体力が落ちてきたのだろうか?そろそろジムにでも通うべきだろうか。おっさん臭くてたまらないことを考えてしまうのは嫌だなぁと思った

「こんなにも…」

私は切り落とした彼女の左手を後生大事に抱えると残った余分な部分を消すことにした
ついでに前の『彼女』も。一緒に消してしまうことにした
ガスの漏れるような音を立てながらゆっくりと消え去っていく。跡形もなく、まるで音もなく爆破されていくかのように

やはりここ最近は爪の伸び方からして調子良かったようだ。こんなにも綺麗な手に出逢えるなんて

「私はツイているかも…な。さぁいこうか。まだまだ君と色々なところに行きたいんだよ」

私は胸ポケットに入った新しい『彼女』にそう告げるとこの場所を後にした


END

以上【吉兆に迫る影】でした
読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました!
久々に書くとコテハンミスっちゃうしダメだなぁ…誤字とかもしあれば脳内補完してもらえると嬉しいです

もしや、以前花京院の墓参りに行く承太郎やサンタナがカーズに逆らった過去話の人?

おかえりなさい!

>>10
覚えていてくれてる人がいて感激です
もう少し書くんでまた人が来たらリクエストしてもらえると嬉しいです

【銀の騎士の凱旋】

フランス某所の墓地
昼下がりの木漏れ日が死者達の眠りを優しく包んでいた
そこへフラりフラりと一人の青年が歩いてきた

銀色の頭髪は円柱のようにセットされていて鍛え抜かれた両腕が露出している
耳の半分に割れたハートのイヤリングは風に遊ぶかのように揺れていた

だがもっと目を引くのは至るところに巻かれた彼の包帯に生々しい傷跡だ。左手の指はまるで削ぎ落とされたかのように二本無かった

「ただいま…シェリー…」

彼―ジャン・P・ポルナレフはそっと美しい花束を大切な女性の墓へと供えた

妹の墓前に来るといつも彼の脳裏に思い返されるのは彼女といた日々だった

彼女は自分を慕い、また自分も兄として彼女を守り愛している。今でも
時に喧嘩もした。子供の頃自分の飼っていた熱帯魚を猫に食べさせられた時には怒ったが今ではそれは良い思い出だ

『兄としてシェリーを守りなさい。一人の紳士として、そして兄として』

父から常に言われ続けた言葉は一つの指針となり、心の支えとなった
彼女を護る。どんなものからも守ってみせる
さながら姫に仕える騎士のように彼女を守って見せる

そう自分は誓っていた。だから生まれつき持っていた『力』も間違った振るい方をせずにいられた

だが自分は彼女を護ることが出来なかった

あの雨が降った忌まわしい日
プレゼントした傘を嬉々として持っていく彼女があんな無惨な最期にならなくても良かったんじゃあないのか?
雨だから少し面倒だなんて考えずに彼女を迎えに行ってやれば。俺が側についていれば
あんな辱しめを受けて死ぬことなんて無かったんじゃあないかって

彼は呪った。自分の運命を、無力さを
そして奇跡的に意識を取り戻した妹の友人から聞いた『両手とも右手の男』を殺して見せると誓った。自分の護るためだけのハズだった『力』で復讐を果たしてみせると

ただひたすらに自分を鍛え続けた。精神だけでなく肉体を鍛え、技を鍛えた
空を裂く程の剣捌きを身に付け、自分の身体を動かすよりも精密に動くように鍛練を積み、残像を残すほどの速度で動けるように

どんな過酷で厳しい訓練も鍛練も、妹の無念を晴らす為ならと10年耐え続けた
そして敵討ちのための戦いへ赴いた

「シェリー……俺は…その敵討ちのための旅路で『友』に出会ったんだぜ?」

俺はその敵討ちの旅路のことを彼女へ話した
自分の『力』だけで必ず仇を討とう。たとえ刺し違えてでも奴を殺してみせよう
そんな俺に、誰かのために使うための『力』だってことを身を呈して思い出させてくれた熱血漢がいたこと
カッコ良く犠牲になろうなんて自分の命を省みない俺をカッコ良く助けた世界で一番カッコいい犬がいたこと

そしてたった45日間の旅路で辛いことも楽しいことも乗り越え、本当に『友』としての絆を育むことの出来る人に出逢えたこと

復讐のために始まった旅路で俺は本当に大切な事をやっと思い出すことができた
自分にとってどんな『力』が必要だったのかを
誰かを殺める『力』なんて願っていた訳じゃあないんだってことを

俺が本当に欲していたのは誰かを護ることの出来る『力』だってことを思い出させてくれたんだ

「だから俺は…今度は誰かのためにこの『力』を使ってみせる。お前が好きだったこの故郷は…俺が護ってみせるから」

俺は彼女へそう決意を告げると俺を送り出すかのような優しい暖かい陽の光に包まれて墓地を後にした
風で小さく、笑うように墓前の花が揺れた

END

【銀の騎士の凱旋】完結です。読んでくださった方いらっしゃれば感謝します

ジョジョ限定ですがもしリクエストがあれば全力で書かせていただきます。よろしくお願いします

前書いたやつってのが気になるな…

>>17
【THE・WORLDは止められない】で検索してもらったら出てきますよ~

ジョルノでなんか書いてください

>>19
リクエストありがとうございます!
全力で書かせてもらいます

この素晴らしいSSの数々ッ!僕は敬意を表するッ!
フーゴで短編書いて下さい!ミスタが何でもしますから!

乙!

うっひょい!!待ってましたぁー!!
FFでお願いします!

【闇夜に輝くは星のように】

イタリア某所某高級レストラン
辺りは何時もの雰囲気とうって変わって物々しいものとなっていた
一つのテーブルを除いて他の客は一切居らず、ウェイター達は恐れからの震えを隠しきれない
テーブルを囲んでいる男達は皆老齢でありあっさりと人を殺しそうな恐ろしさを纏っていた

もう少し付け加えれば悪いことを平然とやるであろう覚悟、と言うよりも開き直りのような質の悪いものが感じられた

「まだ来ないのかね君達のボスは?」

上品な料理を下品にかじっている老齢の男はフォークを二人の人物に向けた

一人は気品のあるスーツに身を包んでおり程好く着こなしてはいるが年齢は目の前の男よりも二回りほど下だろうか?良く見ればまだまだ若々しいところが見れる。金色の髪は優雅に流れている
そしてもう一人はボスの腹心であるペリーコモ…尤もそのペリーは原因不明の自殺をしたそうで今いるのはその息子であるジャンルッカである

「もう少々お待ちいただけないでしょうか…」

緊張した面持ちでジャンルッカはそう答えた
イタリアの裏社会を支配している『パッショーネ』、その集会がこのレストランにて開かれようとしていたのだ

ifみたいな話はありなんすかね
ありなら究極カーズがジョセフたちを倒した世界とか

ストレイツォが吸血鬼と戦って憧れ、自ら吸血鬼となった

それならサンタナが流法に憧れても…良いよな…

「しかしボスも急に姿を見せようだなんて何を考えているのだ?」

肉の垂れた顎を撫でながら裏社会の重鎮の一人が尤もな疑問を呈した
『パッショーネ』においての最大の謎、それはボスの正体である
ボスの腹心である人物でもその姿を直接見たなどと言う人物はいない
下手に探ればボス自らに抹殺されると言うのだから恐ろしい限りだ

「ジャンルッカ…君ならわかるんじゃあないのかい?」

この疑問に答えられそうなのはやはりボスに忠誠を誓い最も誓い存在だったはずのジャンルッカだろう
だが彼ですら首を斜めに振るのみだった。彼にすらもわからないと言うことだ

見たいリクエスト
・由花子が康一に惚れた理由(彼女だったら一目惚れもありそうだけど、何かしらきっかけはありそう)
・ディアボロの過去の真実(なぜ母親ず家の地下にいてああなったのか神父を殺した理由は見つかっただけなのか?)
・エシディシがなぜカーズに付いて行ったのか
・七部スタンド使いが大統領と出会った話
・承太郎が家族と離れていったわけ


駆ける者だけでいいので書いてください。お願いします!

なかなか遠慮がないな

結構な太さだな

「一体ボスは何を考えているんだ?今まで通りやらせてくれさえすれば問題はないと言うのにわざわざこんなタイミングで姿を見せようだなんてなぁ…」

裏社会で名を馳せる男達は皆同じことを考えていた。今まではきっちり払うべきものを払ってさえやれば何でも見逃していたあのボスが何かしら要求する
これは下手をすれば自分達の利益が減ってしまうことに繋がるのだ。それだけは嫌である

「あの、失礼ながら私の考えを申し上げても良いでしょうか…?」

この考えに水を差したのは先程からジャンルッカの隣にいた金髪の青年である

今の今まで皆が存在を忘れていたような青年だ

「…言ってみたまえ」

どうせ我々に上手いこと取り入ろうとする若造でしかないだろう。適当に喋らせて墓穴を掘る様でも見てやろう

「まずブチャラティのチームが裏切ったのはご存知だと思います…ほんの数日前にですがね」

「あぁあの若造の…小生意気に市民なんかと馴れ合っていた」

「俺は他のギャングとは違うなんて一線を画した存在ぶっていたアイツか。無謀なことをする」

この場の多くの人々が彼に対して一輪の同情と若さに対する哀れみ、そして嘲笑をくれてやった
たたその事をしなかったのはジャンルッカと金髪の青年だけだった
ジャンルッカは知っていた。パーパはそのブチャラティに協力をしていたと。そして結果的にその行為はボスへの裏切りに繋がっていたことも
忠誠を誓っていたボスを裏切っていたこの事実は彼のパーパはにとっても彼にとっても複雑なモノだった

「その結果ブチャラティは…彼は死んでしまいました…彼は風になったのです」

金髪の青年はただ悲しげに呟いた
そしてその時、唐突に事態は起こった

ニット帽にチェック柄のセーターからは腹が出ている。そしてブーツ
そして片手には拳銃を持っている青年がドアを思い切り蹴破ったのだ
幹部の集会に拳銃を片手に突入してくる。コレはまさに襲撃と言わずして何と言うべきか
側にいたウェイターは耐えきれないと言わんばかりに駆け足で厨房へ逃げ、席に座っていた幹部たちも慌てて椅子から立ち上がった

「お前は…ブチャラティのチームのミスタとかいう小僧じゃないか!何をしてるのかわかっているのか!?」

「ブチャラティは死んだと言うのに、まさかボスへの奇襲か!?無謀な奴め!」

幹部の一人が拳銃を取り出すと震える指で引き金を引いた。情けない姿勢から三発きっちり撃ってみせた
だが青年は対して動揺を見せることなくボーッと突っ立っていた。まるで目の前の拳銃に気付いていないかのように

「あぁ…ゆっ…指がぁ…」

次の瞬間痛みにへたれこんでいたのは不可解なことに撃った幹部の方だった。指は抉れて三本ほど吹っ飛んでしまっていた
ミスタは一切引き金を引いてはいない。だがミスタは傷ひとつなく銃弾はまるで何者かに弾かれたかのように幹部の方へ向かい、指を吹き飛ばしていたのだ

「いきなり撃ち込みやがって…今お前に撃ち込んでやっても良いが四発目になっちまうからな。4は不吉だから見逃しといてやる」

ミスタは幹部の一人を一瞥するとそのままテーブルの奥の方に目をやる

「外の奴等ものしといたぜ…ジョジョ、いやこの場じゃあボス、か」

全員がミスタの呼んだジョジョと言う青年に視線を集める
金髪の青年、ジョルノ・ジョバァーナはフーッと溜め息をつくと三本ほどテーブルに残っていた葉巻を手に取った

「ブチャラティを…彼をあなた方は嘲笑った。所詮は若造だと。無謀だと」

そのまま吹き飛ばされた幹部の手を取り少しの間握りしめる
次の瞬間には不思議なことにまた指が戻っていた。痛みもなく傷も全く見えはしないほどに治っていたのだ

「だが彼の命を賭けた行動は、この腐った社会を変えるために必要だったんです…全てを浄化する黄金の風に彼はなったのですから」

彼は静かにテーブルに座った。不思議と誰もが一言も話はしなかった
ただその青年のカリスマ性に誰もが見とれてしまっていたからだ。その無類のカリスマ性に皆無意識に惹き付けられた

「自己紹介が遅れましたね…僕はパッショーネのボス、ジョルノ・ジョバーナ。ジョジョと呼んでください」

そこにパッショーネのボスは自らの姿を見せた
ただ誰もが無意識の内に陶酔と恐怖を感じていた

「恐れることはないんですよ…僕と友達になろう…ただ友達に…ね」

その甘言に皆忠誠を誓う事にした。恐怖から逃れるために、安心するために皆友達になることを選んだのだ

この日、新たなボスとしてジョジョが幹部たちに正式に認められた。新生パッショーネはこの日を境にして始まったと言える日だった

そして次の日、ある青年がボスに呼び出されることになった。ジャンルッカである

「失礼します…ジョジョ…」

恐る恐る彼のいる図書室へ向かう。彼は学生であるが授業には滅多にでない。主に本を読むためにここに来ている

「ここだよ。よく来てくれたねジャンルッカ」

ジョジョはゆったりとした雰囲気で読んでいる本を閉じた。彼に促されるままにジャンルッカは側の椅子に腰掛けた

「前に頼まれた件ですが…麻薬を取り扱っていたチームのメンバーはわかりました。ですがあまりにも危険すぎやしないでしょうか?あのコカキがいるんですよ…?それを彼らに任せると言うのも無理な話じゃないでしょうか?」

麻薬チームと呼ばれていた主要なメンバーに対抗する人物
それはよりによってブチャラティ達を、ジョジョを裏切ったフーゴに任せると言うのだ
無理やり見つけ出すように言われていて探してはいるが…何故ジョジョは彼にしようと言うのか?

「何故裏切った彼なのかって思ったかい…?それはね、彼じゃなきゃ出来ない。それだけさ」

それに彼等には成長してもらいたいからね、そう付け加えた
それにきっとブチャラティなら裏切り者だからと処罰するような事はしないだろう。そう思ったからでもあった
麻薬チームを取り締まる最後を彼がやってこそ、彼は裏切りから解放されるだろう。そうすれば彼は戻ってこれるだろう。裏切る前に

そうですよね、ブチャラティ。と心の中で彼は今は亡き戦友に語りかけた

To Be continue……

【闇夜に輝くは星のように】完結です
読んでいただいた方ありがとうございました!
次は>>21さんのリクエストにお応えさせていただきます。よろしくお願いします

ミキタカでお願いします。
どんな感じになるか楽しみなので

何故か孤高のキラーカーンに空目してしまった…

【幸福知らずなパープルヘイズ】

組織に戻って早くも一ヶ月が経った
ジョジョやミスタは幹部クラスの地位を検討していたそうだが僕は丁重にそれを断った
第一僕は上に立つような人物ではないし、それに贔屓で上に置かれれば反感をいたずらに買うかもしれないからだ
そんなことになっては目も当てられないだろう

「だからってまたあんたと組むわけ?冗談でしょ?」

「しゃーないぜシーラ。コレもボスからのご命令だからな、ぼっちゃんは俺達が守らなきゃなぁってわけだぜ」

早い話が実績を積んで幹部になれば全く問題はない。と言うわけだ
ただ単独行動よりチームで行動する。チームは向こうが決めた物で反論は認めない
この条件が彼等の提示したものだった

「ボスが決めてなければ真っ先にこんなチーム辞めてるわ。あの人も何を考えていらっしゃるのかしら…」

「まっ、お守りは任せとけって。俺がついてりゃ両手をあげて安心出来るってな?」

よりにもよって何故この二人と組まなきゃいけないんだ…

「何が両手をあげて安心よ。あんたが大船でも泥船に乗る方がはるかにマシよ」

彼女はシーラE。まだ少女と言うべきな幼さと意思の強さを持っている顔立ちをしている
服装はまるで踊り子のようであり一見ギャングには見えない容姿である
彼女は目の前の男のいつもの軽口に飽き飽きしながらも一応は相手にしてやっていると言わんばかりな態度で書類に目を通していた

「へっ照れるなよシーラ。このムーロロに任せとけって。な?」

こっちはカンノーロ・ムーロロ。シーラEとは対称的にいかにもギャングですと言わんばかりの格好で格好つけている。寧ろ滑稽でしかないのだが
往年のギャング映画から出てきたかのようなボルサリーノ帽子を弄りながらシーラに大口を叩いている。これもまたいつものことだ

「二人とも無駄口を叩く前にさっさと働いてください。書類を見る目が止まってますよ。あとムーロロさん、僕をぼっちゃん呼ばわりは止めてください」

何故この二人なのか。正直な話僕一人の方が早く仕事できる確固たる自信があった

「ムーロロが話し掛けてくるからよ。あんたも早く仕事しなさいよ」

シーラは目の前の書類に半ば埋もれながら不満をぶつけるかのように書類を殴っている
すると書類のシワがまるで唇のようになり、果てには口のようになると書類の内容を読み上げ始めた

「お前みたいに読み上げてくれたら楽なんだけどよぉ…ってかなんでこんな無駄な仕事しなきゃいけねぇんだよ。シノギの計算だったりよりももっとギャングらしいことがしたいぜ」

ムーロロは嫌々ながらも書類に目を通しては適当に判子を押している。と言うかちゃんと読んでいるのだろうか。心配になる速度である

「ちゃんと把握しておくのも大事なんですよ。適当に判子押さないでくださいね面倒事が増えるんで」

僕も書類の山に押し潰されそうになりながらキッチリとパソコンに打ち込んでいく
パッショーネの拡大によって広がった影響力は仕事量も巨大にさせているのだ

その中でも僕らのチームの地域は前任が適当にちょろまかしたりを繰り返してたらしいので上納金をもう一度洗わされることになっていた
その面倒事を押し付けられたのが僕らだったと言うわけだ

はよ

来てくれ

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