P「吾輩は豚である」 (43)
デレマス時子様SSです。
ちょっとキャラ崩壊注意。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455895465
法子「ただいま戻りましたーっ」ガラ
ちひろ「法子ちゃん。おかえりなさい」
法子「あ、時子さんっ、ただい――」
時子「こんの豚ァっ! なんて服着せてくれるのよ!」パシ–ン
P「い、いやだって時子様も結構嬉しそうだったじゃないですか!」
法子「……あの、時子さん、なんであんなに怒ってるんですか?」
ちひろ「なんでもプロデューサーさんが結構可愛い系のフリフリな服を番組で時子ちゃんに着せたらしくて、帰ってからずっとあの調子なのよ」
時子「番組直前で言うんじゃないわよ! あんなタイミングで出演拒否なんて出来るわけないでしょうが!」
P「それでも着てくれる時子様はお優しく慈愛溢れた女神であることこの上ありません!」
時子「私が舌先三寸で騙されると思ったら大間違いよ……?」
時子「さあ、弁明をなさい……それくらいの猶予は与えてあげるわ……!」ギリッ
P「え、えっとですね時子様……弁明の前に実は別件でもう一件ありまして」
時子「…………なんですって?」ヒク
P「次のお仕事なのですが……」ゴソゴソ
P「こ、このような時子様の御魅力を十二分に引き出す白ビキニでのグラビア撮影となっております!」
時子「 」ブチィッ
法子「け、結構きわどいですね……」
P「いえっ、スタイルも世界一な時子様なら絶対に似合いますから!」
ちひろ「でも本当は?」
P「個人的にも時子様が着てるのをとても見たいです」キッパリ
時子「この豚ァァァァァァァァァ!」ゴゴゴゴゴゴゴ
P「ヒイイイイイイ!」ガタガタ
時子「今日こそ主従関係をはっきりさせてやるわ!」ピシッ
P「たっ、助けてください法子! ちひろさんっ!」ダッ
時子「逃げるな豚ァっ!」パシ–ン
P「痛いっ!」ベシャッ
時子「ホラホラホラホラホラホラホラホラぁ!」ビシッ ベシィッ
P「あいっ、いたっ、やっ、やめてェ! ウソですやめないでっ!」
時子「ほらっ、貴方は私の何なのか、事務所のみんなに聞こえるよう大きな声で言いなさい!」ビシィッ
P「わっ、私は豚ですっ! 時子様にお仕えする豚ですぅっ!」
時子「アーハッハッハッハッハ! いい格好ね、豚はそれでいいのよ! わかったら卑しく惨めな格好で許しを乞いなさい!」ベシッ ビシッ
P「ああっ、もっと! もっと強くお願いします時子様!」
時子「この変態っ、ドMっ、メガネデブっ、若ハゲっ、チビっ、人間失格っ!」ビシバシベシビシッ
P「ああああああぁぁぁぁぁぁんっ!」ビクンビク–ン
ちひろ「いつものね」
法子「いつものですね」
―更衣室―
P「ふう、今日も充実した一日だった」ヌギヌギ
P「……さすがは時子様」
早苗「おっはよー」ガチャ
P「おはようございます、片桐さん」
早苗「おっすP君、今帰り?」
早苗「……って上半身裸で鏡見て何やってんの? 公然猥褻物陳列罪でシメられたいの?」
P「いえ、時子様におしおきされたので、念のため跡を見ておこうかと」
早苗「ああ、相変わらずだね時子ちゃんも……」
P「うん、問題ないですね」
早苗「問題ないって……結構赤いけど大丈夫なの?」
P「ん? 大丈夫ですよ、こんなの」
P「時子様も気を遣ってかバラ鞭を使ってくれてますし」
早苗「バラ鞭?」
P「ええと、叩く部分が何本かに分かれてるのがバラ鞭とか房鞭と呼ばれていて、一本なのが一本鞭です」
早苗「ごめん、お姉さんノーマルだからどう違うのかわかんないよ」
P「バラ鞭は音は派手ですがあまり痛くないんです」
P「逆に一本鞭はめちゃくちゃ痛いです。はるか昔は死刑に使われてたくらいで」
早苗「ふーん……知らなくていい知識を知っちゃった気分だよ」
■豚Pからのアドバイス■
一本鞭は本当に痛いです。
それがクセになる人もいますが、SM初心者はバラ鞭から始めましょう!
早苗「ねえ、今更だけど二人は好きでやってるんだよね?」
P「?」
早苗「いや、はたから見ると二人とも楽しそうだからみんなスルーしてるけど……」
早苗「本当は嫌だけどやってる、なんてことないよね?」
早苗「時子ちゃんがそんなことするとは思えないけどさ、一緒に働く職場の仲間としては、一応ね」
P「ははは、まさか。僕は仕事でこんな趣味を兼ねた扱いをしてもらって本当に充実してますよ」ニコッ
P「仕事に影響がない程度で済むようバラ鞭を使ってくれていますし……
P「鞭の跡が見えない箇所になるよう気遣いしてくれる時子様は本当に優しいです」
早苗「それ、優しいって言うのかな……ヤンキーが顔はばれるとまずいから腹殴っとけってのと同じ気がするけど」
早苗「って言うか早く服着なさいよ」
P「ああ、これはお見苦しいものを失礼しました」ゴソゴソ
早苗「んもー、ぷよぷよでだらしない身体だなー。ほら、お腹のお肉つまめるじゃない」プヨ–ン
P「あっ、くっ、くすぐったいですよ片桐さん」ビクプルッ
早苗「お、ナイスプルプル」
早苗「もうちょっと引き締めなさいよ、若いんだから」プニプニ
P「いえ、時子様に罵っていただくためにも身体的コンプレックスは多いほうがドMとしては何かと有用なんですよ」
早苗「……本当に真性なんだね、P君。私には理解できない世界だよ」プヨプヨ
時子「ちょっと、着替えるだけで何をぐずぐずしているのよ豚。早く私を送って行きな――」ガチャ
早苗「あ」プニ
P「と、ときっ、あっ、アイエエエエ!?」バッ
時子「…………」
時子「そう……仕事も終わったというのにご主人様を待たせて他のアイドルといちゃついてたなんて」フッ
時子「いい身分ね、豚の分際で」ニッコリ
P「ひいっ!?」ビクッ
早苗「あー、時子ちゃん? 無駄だと思いつつ念の為に言っとくけど、P君のせいじゃないからね?」
早苗「偶然会ってどうでもいい話が弾んじゃっただけだから」
P「い、いえ……時子様との約束を守れなかった僕が悪いんです」
時子「ええ、ごめんなさいね早苗……この豚は私が責任持って二度と粗相をしないよう、躾けておくから」ニコッ
早苗「そ、そう?」
時子「さて、豚」
P「は、はいっ!」ビク
時子「覚悟はいいわね?」スラッ
P「ヒイイイイイイイイイイイイ!?」
早苗「あ、一本鞭……」
P「お願いします時子様! その鞭は痛いのでご勘弁ください!」ドゲザ–
時子「誰が人間の言葉で喋っていいと言ったのよ!」ピシ–ン
P「あひい!」ビクン
時子「豚なら豚らしくブヒブヒ鳴きなさいよ! ほらっ、ホラっ、ほらぁっ!」バシッバシッバシッ
P「ぶっ、ぶひいいいいいぃぃぃ!」
時子「アーハッハッハッハッハ! なんて無様なのかしら! それでも私より年上の男なの!?」
P「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」(喜んでる)
早苗「……警備員呼ばれない程度にしときなよ、お二人さん」バタン
早苗「仲いい……のかな、あれは」スタスタ
-時子マンション-
法子「今日のお食事会、楽しみだね晴ちゃん!」
晴「でも珍しいっつーかあんまり想像できないよな、時子が料理作るなんて」
晴「あいつお嬢様なんだろ? そもそも料理出来るのか?」
法子「自信がなかったらあたし達、お呼ばれしないと思うよ」
晴「まあそうだな。他の奴も呼ばれてるのか?」
法子「プロデューサーは来るって言ってたよ」
晴「ふーん。それにしても腹減ったなー、せっかくだから期待しとくか」ニヒ
法子「お土産にドーナツもいっぱい持って来たからたくさん食べてね!」パァァ
晴「あ、あぁ」
晴(大丈夫かな時子……)
法子「お邪魔しまーっす!」
晴「うーっす」ガチャ
P「法子と晴ですか。おはようございます」プラーン
晴「うわぁっ!?」ズサッ
法子「きゃ――――――っ!?」///
晴「なっ、な、なな何やってんだプロデューサー!?」
法子「し、しゃちほこみたいになって吊られてる……」
P「時子様からのありがたいおしおきの最中です。騒がないようにお願いしますよ、近所迷惑になりますので」
晴「アンタがオレ達の精神衛生に迷惑だよ!」
P「何を言いますか、これは吊られる者への身体の負担も考えて、亀甲縛りと後ろ手縛りに加え吊り責めを合体させた芸術的な縛り方ですよ!」ブラーン
晴「知るかっ!」
法子「ううぅ……」///
■豚Pの緊縛講座■
亀甲縛り:ご存知緊縛のテンプレート。緊縛の中でも「最も美しい」と呼ばれる幾何学的模様が素敵です。
縛られる方も手足が使えるのでプレイ中も色々と便利。
後ろ手縛り:その名前の通り、両腕を背中でひとつに固定する縛り方です。
構造上、肩あたりへの負担が大きく、負担なく縛るのには慣れが必要です。
吊り縛り:縛り方自体は後ろ手縛りに似ていますが、基本、四本の縄を使用し高レベルな技術を要します。
脱臼や骨折の危険性もあるため、プレイハウスでもなければ素人は手を出さないのが吉です。
時子「あらいらっしゃい、早かったのね」スタスタ
法子「と、時子さん……」
晴「おい時子、なんだよあれ」
P「自分のプロデューサーをあれだなんて感心しませんよ!」プラプラ
晴「そんな姿で凄んでも迫力ねーよ」
時子「ああ、見苦しくて悪いわね。あの豚、ちょっと昨日仕事でミスをやらかしたものだから、今日一日吊るしておくことにしたの」
時子「いないものとして扱っていいわ。インテリアとでも思ってちょうだい」
法子「思えませんよさすがに……」
時子「そうね。インテリアとしては悪趣味すぎるわ」
法子「それ以前の問題だと思いますけど……」
時子「あんな豚の事なんて考えるだけでも汚らわしいわ。忘れなさい」
晴「相変わらず扱いがひどいな」
時子「食事の準備は出来てるからリビングに行ってなさい」
時子「私はちょっと後片付けしてから行くから」
法子「あっ、手伝います!」
時子「いらないわ。火を点けっぱなしだから止めてくるだけよ」スタスタ
法子「あっ、お鍋で何か作っていたんですか?」トコトコ
時子「作ってはいないわ。煮てるだけ」
法子「煮てるだけ?」
時子「ほら」ザバァ
法子「 」
晴「なんだそれ……縄?」
時子「縄の手入れよ。二人が来る前に終わらせておこうとしたのだけど」
■豚Pの緊縛講座その②■
緊縛で使う荒縄はお湯で煮て油を塗りこむことで見た目も美しく丈夫に使い続けることが出来ます。
使う都度買ってもいいのですが、やっぱり手に馴染んだ道具をお勧めします。
時子「大丈夫よ、この鍋は縄専用だから」
晴「当たり前だ」
時子「さ、食事にしましょう」
法子「わぁ、美味しそう!」
晴「中華か……普通にうまそうだな」
晴(なんで豚料理ばっかりなのかはスルーしとこう)
時子「美味しそう、ではなく美味しいのよ。四の五の言わずに食べなさい」
法子「いただきます」スッ
晴「いただきまーす」モグ
法子「ん……」マグマグ
法子「おいしい!」パァァ
晴「すげえな時子! こんな美味い豚料理始めて食ったよ!」バクバク
時子「チッ」
晴「舌打ちされた!?」
時子「他人が幸せそうにしてるとドン底に叩き落としたくなるのよ」
晴「それもう心の病気じゃないか?」モグモグ
晴「美味いのはいいけどよ」モグモグ
時子「何よ、文句でもあるのかしら」
法子「ちょっと……量が多いですね……」パク
晴「オレと法子じゃこんなに食えねーよ」
時子「確かに立食パーティーでも開けそうなくらい作ってしまったわね」
時子「パンがなければ豚を食えばいいのよ」
法子「割といい政治家さんですね」
時子「パンがなければ死ねばいいのよ」
晴「圧政にも程があるだろ!」
時子「なぜかしら、衆愚は私が飢えない為に口減らしに死ぬべきだわ」
法子「それじゃあ、ご馳走様でした時子さん!」
晴「すげー美味かったよ。また呼んでくれよな」
時子「気が向いたらね」
法子「ありがとうございました、お土産のドーナツ食べて下さいね!」ドッサリ
時子「え、えぇ……ありがたくいただくわ」
晴「じゃあなー、ごちそうさん」
バタン
時子「……さて、どうしようかしら、これ」ズラ–
時子「法子と晴をもてなす為とは言え……ちょっと張り切りすぎちゃったわね……私としたことが」
時子「いいえ、持て余すキャパシティあってこそのこの結果よね。むしろ当然よ」フンス
時子「料理……プラス法子のドーナツ数十個」
時子「ドーナツはなんとか今日明日で食べ切れそうだけど、料理を捨てるのは……料理された豚に罪はないし、可哀想よね」
時子「ちょっと、豚!」
P「お呼びでしょうか、時子様」プラ–ン
時子「豚は雑食なんだから、何でも食べるわよね?」
P「はい、伊達に太っている訳ではありませんので、人並以上には」
時子「これ全部、食べられる?」
P「…………お、多いですね」
時子「今回ばかりは断っても寛大な心で許してあげるわ」
時子「仮に料理が全部パンで、食べるのがみちるでも可能かどうか……」
P「……やりましょう」スルリ
時子「正気? 骨は拾わないわよ?」
時子「あとさり気に縄抜け会得してるんじゃないわよ。豚の癖に生意気ね」
P「目の前に並べられた食事は発泡スチロールだろうが美味しく食べるのが究極肥満体(デブ)のさだめ……」トッ
P「それがましてや時子様の作った料理となれば、僕が食べない理由がありませんよ」
P「時子様が手ずから作った料理……それは僕にとって砂漠での水のようなもの」
P「僕は時子様の作ったものならば、死と引き換えにしてでも食べます!」カッ
時子「あ、当たり前じゃない……私の作った料理を残すなんて……万死に値する罪だわ……」
P(褒められて照れる時子様、超女神)
P(そんな事言ったら本気で殺されるので言いませんが)
P「いただきますっ!」パァン
時子「さて……私もドーナツの為にお茶を淹れなきゃね」
P「うおおおおおおお!」ガツガツ
時子「…………ドーナツ、全部食べ切れるかしら、これ」
P「ああっ、美味しすぎるぅっ!」モッシャモッシャ
時子「共食いね。とても惨めだわ」クスッ
P「ありがたいお言葉!」バクバク
―翌日―
時子「…………」
飛鳥「おはよう……今日も皆にとっていい一日であるといいね」ガチャ
ちひろ「あら、おはよう飛鳥ちゃん」
飛鳥「おや……?」キョロキョロ
飛鳥「Pに用があって来たのだけれど、営業かな?」
ちひろ「プロデューサーさんは今日はお休みですよ」
時子「…………」ソワソワ
飛鳥「珍しいね。どこか身体が悪いのかな?」
ちひろ「食べ過ぎだそうですけど」
飛鳥「ふうん……?」
時子「あの馬鹿……無茶しすぎなのよ」チッ
時子「ああ、誰もいじめられないとイライラするわ」
時子「かと言って女の子をいじめる訳にも行かないし……うっ」
時子「……お、お腹が……法子、手強い子ね……」
―事務所―
時子「寒いにも程があるわ……」ブルッ
時子「なぜ冬なんてものがこの世に存在するのかしら……」
時子「豚」
P「はっ。ここに」スッ
時子「地球の公転速度を半年分ほど早めなさい」
P「世界レベルのヘレンさんでもないと無理です!」
時子「そんな事も出来ないなんて、それでも栄えある私の奴隷なの?」
P「も、申し訳ありません……」
時子「じゃあいいわ、代わりにココアを持ちなさい」
P「イエス、マム」ペコ
時子「何よその執事ぶった動き。調子に乗らないでよ、鬱陶しい」ゲシッ
P「あふんっ」///
美優「あ、時子ちゃん」
時子「あら……美優じゃない」
美優「よかった、探してたのよ」
時子「豚、美優の分も淹れなさい。五秒以内よ」
P「はいっ!」ダッ
時子「用件は何かしら」
美優「えっと、そうね……」
P「お待たせしました!」ハァハァ
P「三船さん、どうぞ」スッ
美優「ありがとうございます」ニコ
美優「実は……時子ちゃんに鞭の使い方を教えて欲しくて」
P「!?」カチャッ
時子「あら、美優も奴隷を飼うことにしたの?」
P「三船さん!?」
美優「そ、そんな訳ないでしょ!」///
美優「今度の衣装で女王様の衣装を着ることになって……それで」
時子「あら残念。美優ならぴったりだと思うけど」
美優「絶対似合わないと思うけど……」
時子「そうねぇ……」
時子「美優。鞭を振るう時は情を以って相手を叩くことが大切よ」
美優「情……?」
時子「無遠慮に欲望のまま叩くだけではただの暴力。そうならない為にも、相手のことを思いやるのが一番大切だと思うわ」
美優「ううん……なんだか矛盾してる気がするけど」
時子「鞭を打つのは攻撃じゃないの。相手を躾け、相手の為を思って、より良い相互関係を築くのが本質だと私は思うわ」
時子「どれくらいの強さで叩けばいいのか、どの程度までなら大丈夫なのか」
時子「端から見たら歪つかも知れないけれど、やり取りの過程で分かり合うのも一つの人間関係だと思うわよ」
美優「じゃあ、時子ちゃんとプロデューサーさんもそうなんだね」クス
時子「え……あっ」ハッ
P「と、時子様……そんなにも僕の事を!」ブワッ
時子「な、なに勘違いしてるのよこの豚っ!」ゲシッ
P「ほブっ!」
美優「ぷ、プロデューサーさん、大丈夫ですか?」
時子「…………」ユラリ
P「いたた……はっ!?」
時子「……あんまり調子に乗ると、いくら寛容な私でも怒るわよ」スッ
時子「貴方は人間じゃあない。家畜でしょう?」
時子「ねえ豚? 家畜である豚との間に人間関係なんてある訳ないわよねえ?」ギロッ
P「は、はい……そうですぅ」ガタガタ
美優(まるで汚物を見るような目で……)
美優(私にはあんな顔できない……絶対……)ゾクッ
■豚PのSM講座■
SとMの関係は誤解されがちですが、上下関係でありながら対等です。
Sはただの暴力にならないよう、Mはエゴイスティックなマゾにならないよう、適度な距離をパートナーと見つけましょう。
明るく楽しい主従関係を!
時子「……ん?」
美優「ど、どうしたの時子ちゃん?」
時子「そう言えば、美優の衣装を選んだのって――」ギロッ
美優「……あ、えっと」チラ
P「え、あ、僕ですか?」
P「えっと……そうなりますね、えへへ★」テヘペロ
時子「 」ブチィ
時子「ねえ豚、どういう事?」ゴゴゴゴゴゴゴ
P「はわっ、あわわわわわわ!」ガクブル
時子「これは貴方の趣味なのかしら?」ドドドドドドドドドド
P「えと……そ、そうですっ!」バ–ン
時子「こんの色ボケ豚ぁぁぁぁぁっ!」バシッビシッ
P「これこれーっ!」ゾクゾク
美優「あ、あの私は別に」
時子「美優は黙ってなさい」
美優「……はい」
時子「ご主人様を差し置いて担当アイドルに自分の趣味を押し付けるだなんて……」
時子「いっそのこと去勢してやろうかしら?」
P「去勢っ!?」
時子「子孫を残すなんて貴方には地球の創造よりも大それたことでしょう?」ギリリリ
P「そ、それだけはご勘弁ください時子様!」
時子「だったら身の程弁えなさいっ、この豚っ、生姜焼きにもなれない産業廃棄物がっ!」
P「あぁんっ、いいっ、いつもより痛いぃぃっ!」ビクンビクン
美優(……時子ちゃん、ひょっとしたらプロデューサーさんに対してやきもち焼いているのかしら?)
美優(だったらちょっと可愛いけど……)
時子「アーハッハッハッハッハ! 跪け、命乞いをしろ! 小僧から石を取り戻せ!」ピシッペシッベシッ
P「ありがとうございます! ありがとうございます!」
美優「…………ないわね」
PM.22:00
P「ふう……やっと終わった」コキッ
P「お疲れ様ですちひろさん。すいません、お先に失礼します」
ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」
ちひろ「あの、帰る前に少しお話、いいですか?」
P「はい? いいですよ」
ちひろ「時子ちゃんのことなんですけど……」
P「なんでしょうか?」
ちひろ「たまにわざと怒らせるような事してますよね?」
P「え?」
ちひろ「まさか、叩かれたいがためにわざと時子ちゃんを怒らせたりしてませんよね?」
ちひろ「そうだったらちょっと問題ですし……」
P「…………」
P「いいですかちひろさん」キリッ
ちひろ「な、なんでしょう」
P「Mとは、主に肉体的苦痛と精神的苦痛を快感へと変換します」
P「痛いから興奮するんじゃないんです。もしそうだったら自傷行為をすればいいだけですから」
ちひろ「言われてみれば、そうですね」
P「理由もないのに怒られて叩かれたところで怒りが湧くだけです!」
P「自分が悪い、という怒られる必然性があって初めて興奮するんですよ!」
ちひろ「そ、そうですか」
P「相手がドMだからって何言ってもいいと思ったら間違いですよ」プンスカ
■豚PのSM講座②■
M=殴られたい人、S=傷つけたい人ではありません。
ドMだからと言っていきなり殴っても喧嘩になるだけです。
日常生活まで持ち込んでいる人はほとんどいませんので、もし知り合いにいてもちょっと変わった趣味だと捉えると良いでしょう。
P「それに叩かれたいだけの為にやっている訳ではありませんよ」
P「それではただのマゾのエゴです」
ちひろ「そうですよね。プロデューサーさん、(性癖はともかく)仕事はきちんとこなしてくれますし」
P「……時子様に叩かれたい、というのは本音ですが」
ちひろ(そこは本音なんだ)
P「……時子様は」
P「ああ見えて、脆いお方です」
ちひろ「脆い、ですか」
ちひろ「……わかる気がします」
P「ええ。時子様は素晴らしいスペックと絶対の自信を持つ方ですが、それ故に周囲との差異や距離感がストレスとなりかねません」
P「最近はようやく法子や三船さんなどと打ち解けてくれたようですが……」
P「そのストレスを適度に発散させてあげるのもプロデューサーの仕事だと思ってます」
P「まあ、さっきも言ったように叩かれるのが好きなドMなのは本当ですけど」
P「ええ、今や天職だとすら思ってますよ」
P「僕は時子様を世界中の誰もが崇めるアイドルにする」
P「その為なら、なんでもしますよ僕は」
ちひろ「……ふふっ」
ちひろ「いいコンビなんですね」
P「いい女王様はいいMが育てるものです。逆もまた然りですよ」
ちひろ「いや、SとかMとかの話はしてませんよ?」
P「またまた、ちひろさんも女王様として中々の素質を持っていると密かに思ってますよ、僕は」
ちひろ「いえ、だからですね」
P「女王様でもないのに鬼とか悪魔なんて呼ばれ、その傍らで女神と呼ばれる……」
P「まさに女王様の理想像です!」
ちひろ「あの」
P「ああっ、この新しい女王様を育てる歓び……麗奈や巴も有望株だし、プロデューサーやっててよかった!」
ちひろ「ちょっと、プロデューサーs」
P「どうでしょう! 僕と一緒に女王様の道を歩んでみては!?」
ちひろ「…………」プチン
ちひろ「じゃあドMのプロデューサーさん、ちょっと間違えてスタドリ多めに仕入れちゃったので十セットほど買って下さい」
P「えっ……いや、今月はちょっと」
ちひろ「買ってくれますよね?」ニッコリ
P「あ、あの」
ちひろ「あら、プロデューサーさんはアイドルの奴隷なんでしょう?」
ちひろ「だったらアイドルの為にもたくさん頑張らなきゃいけませんよね?」ゴゴゴゴゴゴゴ
P「あっ……あああっ、そのゴミどころかATMを見るような目つき……素敵ですぅ!」クネクネ
ちひろ「いいから買えよ」
P「はっ、はいぃっ、買いますぅっ! 買わせてくださいっ!」ドゲザ–
P「余計な出費を……おのれちひろさん、マゾ男の扱いをわかっていらっしゃる……!」
時子「あら豚、今帰り?」
P「時子様?」
P「なぜこんな時間に……」
時子「なんだっていいでしょ」
時子「ついでに家まで送って行きなさいよ」
P「ええ、いいですよ」
時子「…………」
ブロロロロロロロロ
P「来週はいよいよライブですね」
P「最近は時子様もアイドルとしても箔がついて来ましたし、僕としても嬉しい限りです」
時子「当然でしょ、私を誰だと思ってるの」
P「はい! この調子で日本中のM男を時子様の下僕にしちゃいましょう!」キラキラ
時子「…………」
時子「……ねえ、豚」
P「はい?」
時子「さっきの話、本当なのかしら」
P「……えっ」
時子「ちひろと話していたじゃない」
P「あ……聞いてたんですか」
時子「車を止めなさい」
P「は、はい」キッ
時子「さあ、答えなさいよ」ズイッ
時子「私がアイドルとして大成して……それで貴方はどうしたいのよ」
P「どうしたい、って……」
時子「私がアイドルの頂点に立つのは必然。それは当たり前のことだからいいわ」
時子「けど、貴方はそれでいいのかしら?」
時子「結果的に多くの下僕を従えたら、私は冴えない貴方なんて見向きもしなくなるかも知れないのよ」
P「……いいんですよ」
時子「いいって……あんたね――」
P「僕は要領も良くないし、元々この外見もあってどこでも虐められてました」
P「僕がMになったのも、一種の逃避だったのかも知れません」
P「そんな僕でも唯一、胸を張って自慢できるものが出来たんです」
P「貴女です、時子様」
時子「…………」
P「いつでも自信満々で、人を人とも思わない傲岸さで周囲のすべてを引っ張り、覆していく……」
P「初めて会った時、本当にこんな人がいるのかと思いました」
P「僕はそんな時子様のお役に立てるのなら――」
時子「ふざけんじゃないわよ、この豚!」グイッ
P「うわっ!?」ドッ
P「と、時子様、か、顔が近――」ドキドキ
時子「貴方はどうしようもなく惨めで卑しい、この世界で一番情けない豚よ」
時子「お金も教養も学歴もない、背も低いし額は後退しておまけにデブだわ」
P「お、おっしゃる通りです……」
時子「けれど――」
時子「私が生涯で唯一、自分から選んだ豚なのよ」
P「と……とき――」ドッドッドッ
時子「この先も世界一のアイドルとなる私に仕えるつもりでいるのなら」
時子「豚は豚なりの、矜持と自尊心を持ちなさい」
P「……は、はい……」
時子「……チッ」
時子「私としたことが……何を言ってるのかしら」
時子「本当に……もう」
P「と、時子様、あの」
時子「何よ」
P「そ、そろそろ顔を」
時子「豚」
P「はっはいっ!」
時子「……今夜だけ、私を呼び捨てで呼ぶことを許可するわ」
P「…………っ!」
P「め、命令……ですか?」
時子「違うわ」
時子「……『お願い』よ」
時子「…………」
美優「あ、時子ちゃん」
美優「この間はありがとう、おかげで――」
時子「……」ウトウト
美優「……珍しいわね。時子ちゃんが事務所で寝てるなんて」
美優「うふふ、寝顔かわいい」
早苗「おはよっすー」ガチャ
美優「早苗さん、おはようございます」
美優「時子ちゃんが寝てますので、静かにしてあげてください」シ–
早苗「ありゃ、これは珍しい」
早苗「……寝てても女王様ポーズなのは流石時子ちゃんだね」
美優「疲れてるんでしょうか?」
早苗「さあねえ。ひょっとしたら疲れるような何かを昨日したのかもよー?」ニシシ
美優「さ、早苗さん……」///
早苗「時子ちゃんのアイドル以外の交友関係って謎に包まれてるからねえ」
早苗「こんなに美人なんだし、恋人の一人や二人いてもおかしくないでしょ」
美優「時子さんと話している男性と言えば、プロデューサーさんくらいしかいませんものね」
早苗「いやー、P君はないでしょー」
美優「う、うーん……」
早苗「あ、そうだ」ニャマリ
早苗「これ、耳元で愛の言葉を囁いたら相手が誰かわからないかな?」ウキウキ
美優「もう、早苗さん……悪趣味ですよ?」
早苗「でも美優ちゃんも気になるでしょ?」
美優「それは……まぁ」
早苗「ではでは……」ソー
早苗「『時子、愛してるよ』」ボソボソ
美優「……」ドキドキ
時子「…………ん」ピク
時子「ふふ……そう、ね……たまには、悪く……ないわ」クスッ
早苗「おっ? 効果あり?」
時子「私もよ……P……」ムニャムニャ
美優「 」
早苗「 」
P「あ、おはようございます。三船さん、片桐さん」
美優「 」カチーン
早苗「 」コチーン
P「ど、どうしたんですか? 完全に固まっちゃって」
時子「む……」パチ
P「おや時子様、おはようございま――痛いっ!?」ビシッ
P「い、いきなり何を!? ぼ、僕何か粗相をしましたか?」ジンジン
時子「何か……とても不愉快な思いをした気がするわ」スラッ
P「それだけですか!?」
時子「それだけよ」
美優「 」
早苗「 」
時子「とりあえず――」
時子「這いつくばりなさい、私の豚」ニコリ
END
拙文失礼いたしました。
SMバーとか非日常的でいいですよね。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
時子様愛を感じるこれはよいものだ
乙
素晴らしいSSだった
(´・ω・`)ときこさまー
豚は出荷よー!
(´・ω・`) そんなー
>>37
かな子は?
>>39
死ね
出荷すらされずに殺されるかな子かわいそう
モバつけろや
かな子は風俗落ち
このSSまとめへのコメント
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