美羽「明日はバレンタインデーですねー」友紀「そうだねー」 (44)

下記作品の後日談となっております。

一作目・【デレマス】姫川友紀「美羽ちゃん。あたし、プロデューサーのこと――」
【デレマス】姫川友紀「美羽ちゃん。あたし、プロデューサーのこと――」 - SSまとめ速報
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二作目・友紀「美羽ちゃんも一緒に、野球観戦に行かない?」
友紀「美羽ちゃんも一緒に、野球観戦に行かない?」 - SSまとめ速報
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三作目・姫川友紀「プロデューサー。あたし、プロデューサーのこと――」
姫川友紀「プロデューサー。あたし、プロデューサーのこと――」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445692117/)

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美羽「やっぱり、プロデューサーさんにあげるんですか?」

友紀「まあ、そりゃあねえ」

美羽「おぉ……」

友紀「おぉって何?」

美羽「いや、なんていうか。大人の余裕すら感じますね!」

友紀「まあねー。一応大人ですし? 」

友紀「っていうか、日頃からお世話にもなってるからね。お礼も込めてさ」

美羽「別に隠さなくてもいいんですよー。もう」

友紀「隠してる訳じゃないって!」




友紀「そういう美羽ちゃんこそ、誰かにあげるの?」

美羽「そうですねー。やっぱりプロデューサーさんにはあげようかと」

友紀「へえ」

美羽「……妬いてますか?」ニヤニヤ

友紀「別に?」

美羽「もう、ユッキーさんったらー」アハハハ

友紀「だから別に妬いてないって!」

美羽「本当ですか-?」

友紀「本当だよ。プロデューサーが他にアイドルからチョコを貰うのは分かってるし。それもみんながプロデューサーを信頼してる証だしね」

美羽「おお、流石は大人!」

友紀「まあねー」フフーン



美羽「ついでに、加奈ちゃんさんも、プロデューサーにあげるそうですよ」

友紀「へえー」

美羽「未央ちゃんと久美子さんもプロデューサーにあげるとか」

友紀「へえ」

美羽「あと、心さんや藍子さんやあいさんとかもプロデューサーにあげるそうです」

友紀「……へえ」



美羽「……」ニウニウ

友紀「何かな、美羽ちゃん」

美羽「言え、べっつにー?」

友紀「ちょっとー?」




友紀「いや、いいんだけどね。あたしだって、ちゃんとしたチョコ用意してるんだから」

美羽「どんなチョコですか?」

友紀「それはひみつ!」

美羽「えー」

友紀「だから、他の子がどんなチョコをあげたって、別にあたしも気にしないもん?」


奏「あら、そうなの?」

美羽「あ、奏さん」オツカレサマデスー

奏「じゃあ、プロデューサーにどんなチョコでもいいかしら?」オツカレサマ

友紀「別に? あげる人の自由じゃないかな」

奏「自由ねえ」



奏「じゃあ、あたしの唇にチョコを塗って、それをプロデューサーに……」

友紀「ちょ、ちょ、ちょ!?!?!?」




奏「あら、ダメかしら?」

友紀「いやーちょっと大胆すぎると言うか……」

志希「ねえねえなんの話―?」

奏「明日はバレンタインでしょ? プロデューサーさんへのプレゼントはどうしようかなって?」

志希「そうだねー」



志希「あたしはやっぱり素敵なスメルでクラクラしているウチに、あたしをどうぞって感じかなー?」

美羽「おおー……?!」

友紀「あ、あたしもどうぞって!?!? 志希ちゃん?!」

志希「ピッチピチで食べ頃だよ~」ニャハハー

友紀「食べごろとか関係ないし! ダメだからね!」




美羽「……」ハッ!

奏「どうかしたの、美羽?」

美羽「あれです! 志希さんの言ってる事は、敷居が高いんです!」

奏「敷居が高い?」

美羽「そうですよ! 『シキ』さんだけに! 『シキ』イが高いんです!」ドヤァ




奏「……そうね、お上手だけど。それは、このタイミングで使う言葉じゃないわね」

志希「語感を優先しちゃって安易なミスを決めちゃったねー。残念」

友紀「スライダーがすっぽ抜けちゃった感じだね」

美羽「細かい所は眼をつむってくださいよ!!」



――夜

友紀「うー。さっむー!」

美羽「ホントですね。お昼間はけっこう暖かったのに」

友紀「こう寒いと、おでんとか食べたくなるよねー」

美羽「あー、いいですねおでん」

友紀「それに、ビールとか……あぁ、今から楓さんに連絡しようかなー?」

美羽「あはは……」

友紀「お酒が恋しくなるくらい寒いよー」

美羽「今夜から明日にかけて、雪が降るって話ですもんね」

友紀「雪かー。ってことは……ホワイトバレンタイン?」

美羽「そうですねー。いいじゃないですか、ユッキーさん。ユッキーさんは雪が似合いますもん! だって――」

友紀「ユキだけに、でしょ?」

美羽「ああ、オチとらないでください!」

友紀「いやいや、バレバレな采配だから」アハハ

美羽「もう……」


友紀「積るのかな、雪?」

美羽「どうでしょう、でも、積もるといいですね! せっかくですし」

友紀「雪合戦とか出来ちゃうぐらい積ると面白いよね」

美羽「後はカマクラとか作って」

友紀「中でお酒を飲む!」

美羽「お酒はどうでしょう?」

友紀「えー、おいしいと思うよ?」

美羽「そうですね、カマクラを作る為に、しっかり仕事をして頂けたら、特別に!」

友紀「はは、じゃあ頑張んないとね!」

美羽「まずは雪がつもるかどうかですけど」

友紀「そうだねー」アハハ
―――


とりあえず、今はここまでです。
残りは出来れば明日か、来年のバレンタインにでも……

美羽ちゃん滑ってるなー(笑)



――2月14日・事務所

友紀「なんて事は言ったけど」

美羽「すっごく降りましたねー……ていうか、すっごく降ってますね」マッシロ

友紀「窓からの景色がまるで雪国に見たい……」

美羽「ホントですねー」

友紀「雪合戦とかしたいけど、こう吹雪いてたらそれも出来ないしなー。渡すもの渡したら、家でのんびりお酒でも飲んでよ」

美羽「友紀さん、今日はオフなんですね。チョコを渡すためにワザワザ来たんですか?」

友紀「まあ、ね。折角だし」

ちひろ「プロデューサーさんに用事だったんですか」

友紀「うわ!? ちひろさんいつの間に?」

ちひろ「さっきからいましたよ?」

美羽(気がつかなかった……)



ちひろ「でも、ついてないですね。プロデューサーさん、今日は事務所に来れるかどうか……」

美羽「え、何でですか?」

ちひろ「この雪ですから、交通トラブルでいろんなスケジュールがズレにズレてまして。それの調整で走り回ってるんですよ」

ちひろ「と言う訳で、私もこれから出掛けますね。途中でプロデューサーさんと会うと思いますけど、何か伝えておきましょうか?」

友紀「あー、うんうん。大丈夫」

ちひろ「では」


ガチャ

友紀「プロデューサー、今日来ないかもしれないんだ」

美羽「というより、プロデューサーに連絡とかしなかったんですか?」

友紀「驚かせようかなーと思って。失敗だったよ」




友紀「まあいいや。せっかく事務所に来たんだし、少しだけ待ってようよ。ねっ!」



美羽「あ、私も仕事で直ぐに出ちゃいます」

友紀「えー、そうなの?!」

美羽「そりゃ用事もなく事務所には来ないですよ」

友紀「って事はあたし一人って事かー」

美羽「一人で大丈夫ですか?」

友紀「問題ない問題ない」アハハ

―――
――


友紀(とは言ったけど)


ポツーン


友紀(一人だと暇だなー)




友紀(雪が降ってるせいか、いつもより静かに感じる……)



友紀「……今なら事務所で素振りしてもいいかな?」

 ガチャ

時子「あら、友紀じゃない」

友紀「時子さま。お疲れさまー……って?」

コノニモツドーシマス?  ソコニオイトイテ
ドスン
ドーモー  ゴクロウサマ

友紀「……なに、その荷物?」

時子「カカオよ」

友紀「カカオって……もしかして時子さま、今からプロデューサーにあげるチョコ作るの!?」

時子「何、その驚きよう」

友紀「いや、なんて言うか意外だなーって」

時子「上に立つ者は、時に下の者に施しを与えるものよ」



時子「それに、別に作るとは言っていないわ」




友紀「え、だってカカオってチョコの原料でしょ。それにダンボールで器具とも持ち込んで」

時子「器具なんてないわよ。カカオだけ」

友紀「え?」

時子「この中身、カカオだけよ」

友紀「え!? それ全部?!」

時子「そうよ」

友紀「っていうか何でカカオだけなの……」

時子「知っているかしら、豚って雑食なのよ」フフッ





友紀「時子さま、なに言ってるの?」

時子「どうやら貴方には躾が必要なようね」ビシッ!

友紀「なんで?!」




時子「はあ、貴方といると疲れるわ」マッタク

時子「プロデューサーもいないのね。ワザワザ来て上げたのに」チッ

友紀「この雪だから色々大変みたいだよー。一緒に待つ、時子さま?」

時子「なんで私が時間を割かなきゃいけないのよ。それに別の用事もあるし」

友紀「別の用事?」

時子「貴方には関係――」



 ガチャ

法子「お疲れさまでーす!」

友紀「あー、法子ちゃん、お疲れー!」

法子「時子さん、やっぱりここにいたー!」

時子「……法子、貴方なんでここに?」

法子「この雪だから、早く家を出たんだけど思ったより早く駅に着いたんだ。待ち合わせには時間があったし、もしかしたら時子さんもいるかなーって思って!」



友紀「待ち合わせって、二人でどこか行くの?」

法子「うん! バレンタイン限定ドーナッツセットがある喫茶店見つけて。時子さん誘ったの!」

時子「ちょっと法子。ベラベラ喋りすぎよ」

法子「別にいいでしょ、隠してる訳でもないし?」

時子「まあ……はあ。そうね」

時子「じゃあ、行くわよ」

法子「あれ、まだ約束の時間には早いよ?」

時子「もう一緒にいるんだからその時間に拘る理由があって?」

法子「それもそっか! じゃあね、友紀さん!」

友紀「じゃあね、法子ちゃん、時子さま」

時子「お疲れ」

 ヤイノヤイノ

―――
――

友紀「……時子さまと法子ちゃんって、なんか不思議な組み合せだよなー」


友紀(でも、バレンタインに一緒に出掛けるのはいいよなー)

友紀(あたしも約束しとけば……)

友紀「って、無理かー。プロデューサーは仕事あるだろうし」

ガチャ

あい「おや、友紀くんじゃないか」

心「お疲れさま☆」

友紀「あいさんに、心さん。お疲れさまー」

あい「今日はレッスンかい?」

友紀「うんうん、そうじゃないけど。二人はレッスン?」

心「まあねー……ってか、レッスンもないのに何でいる訳。こんな雪降ってるのに?」

友紀「いやあ、ちょっとねー」

あい「心さん、察してあげるべきだろ。今日はほら」

心「あぁ、なるほどね」



あい「だけど、プロデューサーは確か、朝から大忙しなんだろ」

友紀「あいさん、知ってるんだ」

あい「事務所に来た時に、何か資料を取りに来たようでね。ばったり会ったよ」

心「はぁとも聞いたよ。この雪じゃあねー。いくらホワイトバレンタインだからって、限度があんぞ♪ って感じ」

あい「ああ。そうだ、申し訳ないとは思ったが、先に渡させても貰ったよ」

友紀「なにが?」

あい「今日はバレンタインだろ。プロデューサーにチョコをさ」

友紀「ああ、そうなんだ」

あい「……フフッ」

友紀「どうしたの、いきなり」

あい「動揺のそぶりもないとは、流石だと思ってね。少し羨ましいよ」

友紀「動揺するような事じゃないでしょ。プロデューサーが他の子からチョコを貰っても」

心「うへー、無自覚。シュガーマシマシな感じー。やってらんね☆」

友紀「なんでそーなるの!?」




友紀「ところで、どんなチョコレートをあげたの?」

心「やっぱ気になってんじゃん」

友紀「いや、みんな色々工夫してるみたいだし」

あい「別に工夫ってほどじゃないさ。ちょっとビターに仕上げただけよ」

心「あいのはビターどころじゃないだろ☆」

友紀「どんなのあげたの?」

心「カカオ100%のチョコだってよ」

友紀「カカオ100%って、それチョコなの?」

あい「親しくなっても、甘くする気はないってことさ」

友紀「おおー、なんかカッコいい……」




心「ところで、さっきから気になってたんだけど、あの段ボールなんなの?」

友紀「時子さまからのバレンタインだって」

あい「ほう、彼女がプロデューサーに?」

心「それはいいんだけど、ダンボール? どゆこと。まさか、中身一杯にチョコレートが入ってるとか」

友紀「うんうん、カカオだって」

あい「カカオ?」

友紀「うん、中身全部カカオ」

心「カカオ」

友紀「全部カカオ」

あい「カカオ……」




心「……100%」

あい「何か言いたい事でもあるのかい?」




心「べっつにー? ただ、時子とけっこう気が合いそうじゃね?」

あい「どうしてだい」

心「同じカカオ100%じゃん♪」

あい「まちたまえ、私のはちゃんと加工してあるぞ」

友紀「そっか、あいさんは時子様と似たような物を渡したんだー」

あい「だから未加工と同列に並べないでくれないかい?」



あい「全く……まあいいさ。私はこれで失礼させてもらうよ」

友紀「もう帰るの?」

あい「残る理由もないしね――それに、この後は薫くんと用事があるんだ」

友紀「へえ」

あい「良かったら友紀くんも来るかい? 薫くんも、君なら問題ないよ」


友紀「うーん、今回はいいや」

あい「ふふっ、そう言うと思ったよ」




心「じゃあ、はぁとが行っていい?」

あい「心さんは、誰かと予定とかないのかい?」

心「あったら言わねえよ。殴るぞ☆」

あい「はは、冗談さ」

心「じゃあ、こんな奴はほっぽいて、薫ちゃんとあんたとはぁとの三人水入らずでいこーぜ」

あい「と言う訳だ。それではね、友紀くん」

友紀「うん、お疲れさま!」

心「お疲れ様☆」

 ヤイノヤイノ


ポツーン

友紀(また一人になっちゃった)

友紀(暇だなー。スポーツ新聞でも買ってこようかな)

友紀(気がついたらいい時間だし……お腹も減ってきたな)


友紀「……ちょっとコンビニ行こ」

―――
――



友紀「うーん、紅白戦の結果なー。今年から新体制だけど、どうなんだろー。って、いけない、いけない。あたしがキャッツを信じなくてどうするの……」

友紀「ほかのチームは……」パラ

友紀「フムフム、このチームはなー」パラ

友紀「ここのドラ1いいよなー。うちに来て欲しかったけど。いや、キャッツのドラ1とドラ2も悪くないけどさ」パラ


友紀「……スターの所はいいや」パラパラ


友紀「んっ?」パラッ

友紀「これは……ほう、ほう」



友紀「……へえ、奇麗な体……胸も、大きいし。なかなか。……」

 ガチャ

仁奈「あー、友紀おねーさん! お疲れ様でごぜーます!」

藍子「お疲れ様です」

友紀「うわっ!? 仁奈ちゃんに藍子ちゃん。お、お疲れ!」


藍子「? どうしたんですか、慌ててるみたいですけど」

友紀「え、うんうん、別に?!」

仁奈「友紀おねーさん、新聞読んでたんでごぜーますか?」

友紀「そうそう、ほら、野球の記事が載ってるから!」ネ、ホラ!

藍子「?」


友紀「そ、それより二人はどうしたの? レッスン?」

藍子「これからお仕事なんです」

友紀「同じ現場なんだ」

藍子「いえ、実を言えば違うんです、場所は近いんですけど」

仁奈「本当はプロデューサーが送ってくれるはずだったんでごぜーますが、雪のせいで色々大変らしーです」

藍子「だから、現場まで私が送る事になったんですよ」




仁奈「仁奈は雪が降ってくれてうれしーですが、大人はそうじゃないそうでごぜーます」

友紀「そんなことないって、ホントは大人も嬉しいんだよ?」

仁奈「ほんとうでやがりますか?」

友紀「そうそう、あたしなんかすっごくワクワクしてるもん!」

仁奈「仁奈もワクワクでごぜーます!」


友紀「そうだ、明日にでもみんなでカマクラ作ろうか?」

仁奈「かまくら!」

友紀「藍子ちゃんも一緒にね!」

藍子「ええ、是非……あら、あの荷物は?」

友紀「ああ、時子さまの、プロデューサーへのバレンタインだって」




藍子「あれ全部ですか! 凄いですね……」

友紀「全部カカオらしいけどね」

藍子「チョコじゃなくて、カカオですか……?」

藍子「ああ、でもほら。カカオって体にいいっていいますし、時子さんなりの気遣いなのかもしれませんね」

友紀「豚は雑食とか言ってたけどね」

藍子「ええ……」

仁奈「プロデューサーは豚でやがりますもんね!」

藍子「ちょっと仁奈ちゃん!? 誰からそんなこと聞いたの?!」

仁奈「時子おねーさんがそう言ってやがりましたよ?」

藍子「あのね、あまり言わない方がいい事もあるかなって」

友紀「あはははは」




藍子「……そう言えば、友紀さんはプロデューサーにチョコをあげたんですか?」

友紀「うんうん、タイミングが合わなくてねー。とりあえずここで待ってようかと」

藍子「連絡はしてあるんですか?」

友紀「いやいや、プロデューサーも仕事で忙しいんだからね。もし戻ってきたら渡すよ」

仁奈「それなら! 友紀おねーさんも一緒に来やがりますか?」

友紀「現場に?」

藍子「いいんじゃないですか。それだったらプロデューサーに会えますし」


友紀「ダメダメ、関係ないあたしが言ったら迷惑でしょ?」

藍子「そんなことはないと思いますよ」

友紀「ありがとうね、二人とも。でも大丈夫だって。待ちくたびれたら、机の上にでも置いて帰っちゃえばいいし」



仁奈「友紀おねーさんは、一人でもさみしくねーでごぜーますか?」




友紀「えっ?」

仁奈「仁奈は一人でさみしーです。でも友紀おねーさんはだいじょーぶでやがるんですか」

友紀「そうだねー。まあ、寂しくないと言えば嘘になるけど」



友紀「でも、今は大丈夫かな。プロデューサーや、みんながいるから」

友紀「一人でも、一人じゃないって分かってるもん!」

仁奈「仁奈には、ちょっとむずかしーです」


仁奈「むずかしーでやがりますが、でも、なんだか分かる気がします!」

友紀「おー、仁奈ちゃんも違いが分かる大人だねー?」

藍子「仁奈ちゃん、そろそろ」

仁奈「はいです! じゃあ、友紀おねーさん。さよならです!」

友紀「うん、明日の約束忘れないでよー」

仁奈「もちろんでごぜーます!」

友紀「藍子ちゃんも」

藍子「はい、未央ちゃんや茜ちゃんも誘ってみますね」

友紀「よろしくー」


 ガチャ


友紀「……」

友紀「えっと、さっきのページは……」パラパラ



―――
――

友紀「……」キリッ

ブンッ!

友紀「……」

友紀「いや、今のスイングじゃだめか……。もっとこう軸を意識して、力に逆らわず」

友紀(うーん、やっぱ新聞丸めたのじゃ、バットの感覚は掴めないな)

友紀(新聞より、マイクの方が感覚をつかみやすいなー)



友紀「……どっかにマイクないかな?」

 ガチャ

美羽「お疲れさまでーす」

友紀「お、美羽ちゃん」

美羽「あれ、ユッキーさん。まだいたんですか。もう夕方ですよ」

友紀「本当だ、もうこんな時間。外が紅い……っていうか、もう雪は止んでる?」

美羽「少し前に。でもたくさん積もってますよ」

友紀「本当? じゃあ明日はみんなでカマクラ作りだね!」

美羽「あ、いいですねー」



美羽「それで、まだいるということは、プロデューサーさんにはまだ?」

友紀「戻ってこないねー」

美羽「それは残念ですね」

友紀「まあ、残念じゃないと言えば嘘になるけど。こればかりは仕方ないでしょ。約束してなかったあたしも悪いし」

美羽「でも、せっかくの休みが潰れちゃったじゃないですか」

友紀「あんな天気だったら、どうせ家でゴロゴロしてただけよ。ここにいた方が色々な子が来て楽しかったし」

美羽「事務所に来れば皆さんいますもんね」


友紀「美羽ちゃんはなんで事務所に? 今日はもうお仕事ないでしょ?」

美羽「いえいえ、もしかたら、ユッキーさんがまだいるかなーと思って」

友紀「戻って来てくれたの?」

美羽「あのですね……これ、どうぞ!」



友紀「え、チョコレート。あたしに?」

美羽「友チョコです!」



友紀「へえ、ありがとう! でもプロデューサーにあげるのは?」

美羽「それはちゃんとありますよ! そっちはプロデューサーさんのはちょっと気合いが入ってますよー」

友紀「へえ?」



美羽「板チョコで、イタチチョコなんて、我ながら中々……」

友紀「板? 今なんか言った?」

美羽「あー、秘密です」

美羽「って、あの荷物は?」

友紀「カカオ」

美羽「カカオ? え、どういうことですか」

友紀「時子さまから、プロデューサーへのバレンタイン」

美羽「カカオ?」

友紀「全部ね」




美羽「え、全部?!」

友紀「全部カカオ」

美羽「あれ全部」

友紀「うん」

美羽「……か」

友紀「か?」




美羽「勝てない……」ガックリ

友紀「何と戦う気?」


美羽「いえ、別に……」

友紀「だけど、本当に晴れたね」

美羽「ですねー。雪に反射して、夕焼けが凄く……こんなに綺麗だと、なんだか、泣けてきちゃいますね」



友紀「よっと」ガラッ

美羽「わっ、急に窓をあけないでくださいよ!」

友紀「うわー。すっごい寒いー」

美羽「もう……」

友紀「寒いけど、気持ちいいね」

美羽「本当ですね」

友紀「まだしばらく寒いのかな?」

美羽「来週になったら、一気に暖かくなるそうですよ」

友紀「あ、そうなんだ。寒いのも今のうちかー」

美羽「寒いのが終わったら、春が来ますね」

友紀「春になったら、また野球も新しいシーズンが始まるなー。うー、楽しみ!」

美羽「ユッキーさんったら」アハハ

友紀「野球じゃなくて、あたし達も新しいシーズンになるからね。今から準備しとかなきゃね」




美羽「……ねえ、ユッキーさん。私たちの新しいシーズンは、どうなるんですかね?」



友紀「どーだろう。事前予想ってあんまり当てにならないからなー」



友紀「ただ、やれることをやるだけじゃないかな?」

美羽「そうですよね」


美羽「楽しみ、ですね」

友紀「うん、そうだね」



美羽「うう、ちょっと冷えちゃった。何か温かい飲み物買ってきますよ」

友紀「いってらっしゃーい」

ガチャ

友紀「……うう、あたしも冷えちゃった。窓締めよ」ガララッ

友紀「あたしの分も頼めば良かった……あたしも買いに行こ」

ガチャ

友紀「あら、美羽ちゃん? 早い……」



モバP(以下P)「あれ、友紀?」



友紀「おっ、プロデューサー! おかえり。お仕事は?」

P「ああ、思ったより早く終わって……って言うか何でここに――」

友紀「もう、野暮な事を聞かないでよ」

P「ああ……」

P「? この荷物はなんだ。なんか頼んだっけ?」

友紀「時子さまからのバレンタインだよ」

P「時子さまから?」

友紀「カカオだって。全部」

P「これ全部かよ……」

友紀「凄いよねー」

P「……カカオ100%か」

友紀「あ、あいさんの?」

P「ん、お前もあいさんと会ったのか」

友紀「うん、聞いたよ。カカオ100%のチョコでしょ」

P「そう、100%。これで100%は2個目だ」

友紀「愛されてるね」アハハ

P「ホント、全く」ハハ




友紀「……あー、プロデューサー」

友紀「今年はキャッツも新体制で楽しみだよねー」

P「ああ、そうだな」

友紀「楽しみと言えば……?」


P「楽しみと言えば、あれかな。やっぱり。バレンタインだし、やっぱり」


友紀「はい、ユッキの特性チョコ」ヒョイ

P「おう、ありがとう」

友紀「これで、プロデューサーのシーズンもばっちりだよ」

P「開けてみても?」

友紀「もちろん!」



P「これは……マンゴー?」

友紀「そう、チョコでコーティングしたの」



P「なるほど、この時期はキャンプか」

友紀「そう! それに――」

P「地元の名産品、だろ?」

友紀「おお、流石はプロデューサー」

P「名監督だろ?」

友紀「じゃあ、そんな名監督にはこちらも授けましょう」



スッ


P「……!」



友紀「……ン。どう?」ヘヘッ




友紀「お気に召して貰えただろーか?」

P「……もう一回は?」

友紀「欲張るのはだーめ。ここは事務所だし、それに……」

 ガチャ

美羽「あ、プロデューサーさん!」

P「美羽。お前も居たのか」

美羽「お邪魔でした?」

P「そんな事ないって」



友紀「そうだ、バレンタインなんだし、三人でこれからどこか行かない?」

美羽「いいんですか?」



友紀「勿論、プロデューサーも奢りがいがあるでしょ?」

P「待て待て、今日はバレンタインデーだろ。そこは女性が奢るべきでは?」

友紀「うーん、どうしよっかなー」

美羽「いっそ、くじ引きでやるのはどうですか?」

友紀「くじ引き」

美羽「そうです!」


美羽「目をつぶって、当たりがどれかバレンタイン感じで引きましょう!」



P「じゃあ美羽に奢ってもらうか」

友紀「それがいいかもね」


美羽「えー!? ちょっとー!」


P「冗談だよ」ハハハ


美羽「バレンタインなんですから、甘ーく評価してくださいよー」



友紀「まあ、誰が奢るかは置いといてさ……」



友紀「行こっ! 美羽ちゃん。プロデューサー!」





美羽「明日はバレンタインデーですねー」友紀「そうだねー」 《終》

おしまいです。
続きを書く気はなかったのですが、復刻で無事、無事に秋色センターの友紀を引き当てる事が出来たので。
しかも丁度バレンタインじゃーんって事でそれも絡めて、後日談だしのんびりで良いかーと思いこんな感じになりました。

読んでくれた人、本当にありがとうございました。

おつ

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