― 魔王城 ―
勇者「魔王! 姫様を返せ!」
姫「勇者様、来て下さったのですね!」
魔王「ぬうう……。まさか、ここまでたどり着くとは……生意気な!」
魔王「しかし、貴様がいかに強かろうと絶対にワシには勝てん!」
魔王「ここで勇者の息の根を止め、姫と世界を我が物にしてくれるわァッ!」
何という偶然
勇者「はあああああっ!」
魔王「ぬがああああっ!」
ガキンッ! キンッ! ギィンッ!
姫「頑張って、勇者様!」
魔王「ぬぇいっ!」
ブオンッ!
勇者(空振りしてスキができた!)
勇者「だあああああっ!」タタタッ
ザシュッ……!
魔王「ぐはぁっ……! この、ワシが……やられる、とは……」
姫「やったわ! さすが勇者様!」
魔王「フフフ……残念だったな、勇者よ」
勇者「な!?」
勇者「どうして……!? たしかに俺はお前を切り裂いたはず……!」
魔王「貴様が今倒したのは、魔力で作り出したワシの分身に過ぎなかったのだ!」
魔王「死ねぇい!」フォンッ
シュバァッ!
魔王「我が暗黒の刃が、勇者を真っ二つにしおったわ! フハハハハ……!」
姫「いやぁぁぁっ!」
勇者「甘いな、魔王!」
魔王「ゆ、勇者!? なぜ貴様がそこにおるのだ!」
勇者「お前の刃が真っ二つにしたのは、俺の残像さ!」
魔王「なんだとォ!?」
勇者「この技で決める! 雷神斬り! ――たあぁぁぁっ!」
ズガガガァンッ!
勇者「――直撃だ!」スタッ
姫「すごいわ、勇者様!」
魔王「フッ……ヒヤリとさせられたわ」シュゥゥ…
勇者「なっ……!? ほとんど効いてないだって……!?」
魔王「雷がワシを直撃する寸前、同程度の雷を出し、威力を相殺したのだよ」
勇者「そんな手があったとは……!」
魔王「愚かなる勇者よ、魔力を込めた我が拳でトドメを刺してくれよう!」ブオッ
ドゴォンッ!
魔王「人間とは軽いものよ……壁まで吹き飛びおったわ!」
姫「そ、そんな……」
勇者「大丈夫さ、姫」ムクッ
魔王「起き上がっただと!?」
勇者「攻撃を受けた瞬間、わざと後ろに飛んで衝撃を逃がしていたからね」
魔王「ぬうう……こしゃくなマネを……!」
勇者「決着をつけてやる! でぇやぁぁぁっ!」
ザンッ!
魔王「ぐげあぁぁぁぁぁっ……!」ブシュゥゥゥゥゥ…
姫「魔王の体から大量の血が……! これで決着ということね!」
魔王「フン、今の一撃程度でワシを倒せるわけなかろう」
勇者「なに!? あれだけ大量の血を流したというのに……!」
魔王「懐に血のりを仕込んでいたのだよ! まんまと騙されおって!」
勇者「しまった……!」
魔王「ショックは大きかったようだな! 我が魔力の波動を受けてみよ!」ズォォ…
ズドォンッ!
魔王「ふん、これを受けて立ち上がれる人間などおらんわ」
姫「ウソよ……勇者様がやられるなんて……」
勇者「たしかに立ち上がれないだろう……まともに受けていたら、な」
魔王「ぬう……! 貴様、不死身か!?」
勇者「不死身なわけないだろ? ……あの一瞬で急所を外しておいたのさ」
魔王「おのれぇ……!」
勇者「次は俺が急所を狙う番だ! 覚悟しろ!」シュバッ
ザクッ……!
魔王「ごふぅっ! ワ、ワシの心臓……がぁ……!」
姫「ついに……ついに勇者様が勝ったのね!」
魔王「フハハ……この程度でいい気になるなよ!」
勇者「そんな……心臓を潰した感触はたしかにあったのに……!」
魔王「ワシには心臓が二つあるのだ。一つ潰れたところでどうということもない!」
勇者「くっ……!」
魔王「しかし、人間の心臓は一つのはず! ――もらったァ!」ビッ
ボォンッ!
勇者「うぐっ……!」ドサッ…
姫「ああっ……!」
勇者「間一髪だった……」ムクッ
魔王「なにぃ!?」
勇者「この宝石を胸につけておいたおかげで助かったよ」
魔王「ぐ……! その宝石には魔法攻撃を軽減する効果がある……運のいいヤツめ!」
勇者「さぁ、いよいよ年貢の納め時だな、魔王!」ダッ
ドバシュッ……!
魔王「ぐぎゃあああああっ……!」ボシュゥゥゥ…
姫「今度こそやったのね、勇者様!」
魔王「フハハハハハ……!」
勇者「なんだと! 魔王がもう一人……!?」
魔王「残念だったな。今、貴様が倒したのはワシの影武者に過ぎん!」
勇者「影武者だと……!? くそっ、やられた……!」
魔王「おかげで貴様の手の内は全て分かった! これで終わりだ!」ボワァッ…
ドゴォォンッ!
姫「魔王の大魔法が! これではもう……!」
勇者「俺もお前の手の内は全て見切ったぞ!」シュゥゥ…
魔王「ぬおっ!? 貴様、たしかに今殺したはず……!」
勇者「自分の代わりに死んでくれる、身代わりアイテムを使ったのさ」
魔王「そんなものを用意していたとは……あなどれぬ奴!」
勇者「これで条件は五分五分になった! 改めて勝負だ、魔王!」
魔王「よかろう……来いっ!」
ガキィンッ! バリバリッ! ギィンッ! ズガガァンッ! ドォンッ!
姫「…………」
姫「 覇 姫 滅 閃 波 ァ ! ! ! 」
ズオッ!!!
勇者&魔王「うっ、うわぁぁぁぁぁ……っ!」ジュワッ…
ヒュゥゥゥ……
姫「馬鹿どもが……」
姫「分身だの、急所だの、影武者だの、身代わりだのとチマチマと……」
姫「回避不能なほどに広範囲に及ぶ圧倒的な一撃でケリをつける」
姫「これぞ、戦闘における最上の策ッ!」
― 完 ―
姫つええw
乙!
姫カッコイイ抱いて!!
ワロタ
深夜独特のこのノリ好き
さすが姫……声援だけのお飾りではなかったか……
乙!
決められたターン以内に敵を倒せないとゲームオーバーになる戦闘ですね
なお似たような技をぶっぱしたがぶっぱし過ぎて対策練られたラスボスが過去にいた模様
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