黒井「高木順一朗の生き様」 (135)
※元ネタあり・書き溜め・長編です
※オリジナルキャラ有り、オリジナル要素も強いです
『』→過去 「」→現在です
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○『ああ・・・あああああああ・・・!!!』
○『ああああ・・・・!!!』
○『○美・・・!!○美・・・・!!!』
○『わたしの・・・わたしのせいだわ・・・・!!』
○『ああああああああああああ!!!!』
小鳥『うう・・・ううう・・・・・・・・・!!』グス・・・
高木『ーーーーー・・・・・・』
黒井『・・・しけた面だな、高木・・・』
高木『・・・黒井・・・』
黒井『・・・』
黒井『・・・貴様の娘のことは・・・まぁ・・・』
黒井『気の毒、だったな・・・』
高木『・・・・・・』
・・・梅雨のある日、高木は娘の遺骨を墓に埋めた
一歳になったばかりの娘が、風邪を引き
みるみるうちに容体が悪化、そのまま帰らぬ人となった・・・
高木は、墓の前で呆然と立ち尽くし
高木の妻は、延々と泣き崩れていた・・・
・・・・・・・・・-----------
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【765プロダクション/居間】
高木「・・・・・・・・」
高木「(・・・あれから十数年・・・)」ボー・・・
高木「(・・・未だに自分の身に起こった全てが、つい昨日の出来事のように思い浮かぶ・・・)」
チラ・・・
高木「(そろそろ・・・○美の命日か・・・)」
ガチャ キィィィ・・・
高木「(・・・・・・ん?誰だ・・・?)」
黒井「・・・ウィ・・・」
高木「お、おお、黒井、か・・・?」
黒井「・・・・・・高木・・・」
黒井「・・・・・・」
黒井「・・・相も変わらずしけた面だな、高木~!」
黒井「・・・ん~?一足早く隠居生活か~?いい歳こいた中年がみっともないと思わんのかね」ニヤニヤ
高木「ハハ・・・黒井は暫く見ない間に派手さに磨きが掛かったな・・・」
黒井「ハッ!貴様がウジウジしている間に961プロダクションを立ち上げ、一儲けさせてもらっているのでな!」フン
高木「あ、ああ、そうか・・・やはり社長になったか・・・」
高木「お前はあの企業のプロデューサー職じゃ収まらんと思っていたよ・・・」
黒井「フン!腑抜けの貴様にそんな事言われたくないものだね」
高木「・・・で、どうした?黒井・・・。うちに来るなんて数年振りじゃないか・・・」
黒井「・・・・・・」
黒井「」ドン!!!
高木「・・・!?・・・こ、これは?」
黒井「ワインだ、○○の1×××年物。弱小中年の貴様には一生手が出せないような、な」クックック
高木「・・・ああ、そう、だな・・・。」
黒井「・・・察しの悪い奴め!!早くグラスを出せ!」
高木「・・・!・・・あ、ああ。ちょっと待っててくれ・・・」
黒井「フンッ・・・」
・・・トットットットッ
黒井「ん?なんだぁ?ワインの注ぎ方も知らんのか高木~!」ニヤニヤ
高木「は、はは・・・すまんな、どうも不器用でな」
黒井「チッ・・・調子が狂う・・・」ボソッ
高木「じゃあ頂くよ、乾杯」
・・・カコン
高木「すまない、ありがとう・・・」クイッ・・・
黒井「(イラッ)・・・私は貴様に礼を言われに来たのではない」グイッ!
高木「・・・なら何の用だ?私にはもう何もないのだよ・・・放っておいてくれ・・・」
ガッ!!
黒井「ッ貴様~!!!!」
高木「ぐ!!むぐっ!!む、胸倉を・・・!;;」
黒井「この私に二度も胸倉を掴ませるな!!!!」
高木「・・・・!」
黒井「・・・清算しに・・・!清算しに来たのだ!!」
高木「せ、清算・・・?」
黒井「961プロは軌道に乗った!今なら貴様の全盛期の三倍は払ってやる!!」
黒井「・・・貴様が、貴様がどうしてもと言うのなら・・・チャンスを与えてやってもいい!!」
高木「ひ、引き抜こうとしてくれてるのか・・・?」
高木「ハ、ハハ・・・方針も考え方も違うお前と手を組めるわけがないじゃないか・・・」
高木「第一・・・お前が一番嫌だろう?」
黒井「それも踏まえて言っているのだ!肥溜めの中に居すぎて頭もおかしくなったか!?」
黒井「なにが”765プロダクション”だ!名ばかりで、従業員は貴様一人だ!!」
黒井「思い出にすがるな!!前を向け!!」
黒井「この私が敗者の人間に手を差し伸べているのだ!!大人しく言うことを・・・!!」
黒井「・・・・・・~~~~!!!」
パッ
高木「ゲッ!ゲホッゲホッ・・・は、ははは、まさか黒井からそんな事を言って貰える日が来るとはな・・・」
黒井「チッ、胸糞悪い・・・」
~~~~~~~~~
【大手○○プロダクション/高木・黒井の若かりし頃】
ガチャ
高木『営業から戻りましたー』
『お前は・・・自分の仕事をなんだと思ってるんだ!!!!』
高木『!!?・・・な、なんの騒ぎですか・・・!?』
『たっ、高木さん・・・!』
『高木さんの後輩の黒井さんが、担当アイドルの仕事、ダブルブッキングしちゃったみたいで・・・』
『ほら、あの性悪課長に代わってから、何かと黒井さんのこと煙たがってたじゃない?・・・』
『今まで黒井さんが完璧だっただけに、ここぞとばかりに責めていて、ああもう、見てられないわ・・・』
『本来咎められるべきは、裏でこそこそ遊んでる課長の方なのに・・・』
高木『く、黒井・・・!』
課長『黒井!お前はいつかやらかすと思っていたが、これはもう引き返せないミスだよなぁ!?』
黒井『・・・ですから、引き返すも引き返さないも、今後、重々気を付けますと・・・』
課長『おかしいと思ってたんだ!お前のような小ズルい奴が一度も失敗しないなんてなぁ~~!?』
課長『えぇ!?報告してないだけで実は余罪があるんだろう!??汚い黒井のことだからな~~~!!!』
黒井『(・・・コイツ、たかが仕事がダブった程度でいい気になりおって・・・)』ムカムカ
課長『・・・いや、ある。余罪はある!絶対だ!・・・だから、ほら、公になる前にこれやるから書いとけ。今日中だぞ』ニヤニヤ
黒井『(た、退職届けの用紙だと~・・・!?・・・フ、フン!こんなプロダクション、こっちから願い下げだ・・・!)』スッ・・・
ガシィッ!!!
黒井『!?』
課長『・・・なんの真似だね高木?』
高木『い、いくら課長だって、そんな権限ないでしょう・・・!?』
黒井『・・・ッ手を離せ高木・・・!!私に恥を掻かせるな・・・!!!』
課長『なんだね!?君もクビになりたいのか!!?あぁ!!?』
高木『か、課長!!貴方こそ!奥さんに黙って取引先の△さんや□さんに手を出したり、皆が仕事をしてる中寝ていたり、散歩と称して半日帰ってこなかったり・・・!!』
高木『ク・・・クビになるべきは、アンタのほうだーー!!!!!!』
課長『なっ・・・!!!!!;;』アセッ
・・・・・・・・・シーン・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・ソ、ソウダー!・・・オ、オマエガクビダー!・・・
カチョウガヤメロー!!オマエガヤメロー!!クービクービ!!
クービ!クービ!クービ!クービ!クービ!
課長『ぐっ、ぐうううう!!!!;;』アセアセ
高木『はっ、はぁ、はぁ・・・』ゼェゼェ
黒井『・・・いい加減に!!・・・手を離せ・・・!!』ブンッ
高木『あ!・・・す、すまなかった・・・』
黒井『フン、私に恥をかかせてくれたな・・・』
課長『それは俺の台詞だぁぁああああ!!!お前ら、全員・・・クビだクビだクビだー!!!!!』
~~~~~~~~~
高木「・・・あ、ああ、あのあと私たちが謹慎処分で済んだ話か・・・」
高木「・・・しかし、そんな昔のこと覚えているだなんて、意外と情に厚いんだな」ハハハ・・・
黒井「フン!!勘違いをして貰っては困るな!私は人をこき使ってやるのは好きだが、人に何かされるのが無性に腹立つだけだ!!」
高木「・・・あの課長は結局、左遷されたんだっけな」
黒井「私としては、あんな輩を未練がましく残しておいた当時の○○プロには嫌気が差したがね!」
黒井「・・・しかーし!961プロには一寸の無駄もない!!究極の精鋭陣で成り立っている!!」ワイングイー!
高木「ハハハ・・・実に黒井らしい」
高木「・・・ほら、お前の酒だ、お前が飲め」
トットットット・・・
黒井「チッ・・・下手糞め・・・!んぐっ・・・」クイッ
黒井「プハッ・・・!・・・いいか?この私がここまで言っているのだ!」
黒井「・・・正直なところ、貴様には才能がある・・・」
高木「黒井・・・」
黒井「それを!こんな!誰も所属していないプロダクションの中で!腐らせていっていることが!!とてつもなく!!許せんのだ!!!!」ガタン!!!
ユラ・・・
ユラユラ・・・
ゴトンッ・・・!!
高木「ッ!・・・つ、妻の、遺影が・・・」アセ
スッ・・・・・・・ギュウ・・・
黒井「~~~~~ッッッ!!!!”それ”が妻だと!!?お前の女房はもうこの世にいない!!!」
高木「うっ、うるさい・・・・・・!!」ギュウ・・・
黒井「現実を見ろ!!!貴様はもう一人なんだぞ!!!!」
高木「うぅ・・・!!」ギュウ・・・
黒井「・・・弱小中年がいつまでも無いものにすがりおって~~!!」
黒井「この私が!後先短い老いぼれの面倒を見てやると言っているんだ!!!大人しく首を縦に振ればいいだろう!!!!」
高木「・・・・・・・・・うう」ギュウ・・・
黒井「・・・ハァッ・・・ハァッ・・・!!」
高木「・・・・・く・・・・」
高木「・・・・・・黒井・・・」
黒井「・・・・・・!」
高木「・・・・・・・・・私を・・・」
高木「・・・私を・・・このまま765プロと共に・・・」
高木「・・・死なせては・・・くれないだろうか・・・」
黒井「・・・きっ!!貴様という奴は~~~~!!!!」イライライラ
黒井「・・・ああ!勝手にしろ!!・・・社会の螺旋からも、自分の人生からも逃げ続けている貴様は!勝手に後悔し続け!!さっさと死んでしまうといい!!!」
黒井「・・・ハァ・・・ハァ・・!!・・・・・・ッフン、時間と体力の・・・無駄だったな」
高木「・・・・・・・・・」
黒井「では、失礼する!・・・そのワインはくれてやる!腐っていく貴様への冥土の土産だ!!」ツカツカツカ
高木「・・・・・・黒井・・・」
高木「・・・黒井、訪ねてくれて、うれしかったよ・・・」
黒井「・・・フン!」
ガチャ!! バタン
高木「・・・・・・」
高木「(・・・・・・・・・)」
高木「(・・・妻はもう・・・いない、か・・・・)」
高木「・・・○・・・・・・」ギュウ・・・
高木「○・・・---------」・・・
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【大学時代】
高木『ティンときた!』
○『は・・・はい・・・?』
高木『・・・あ、いや、素敵な人だなー・・・なんて・・・』アタフタ
○『(へ、変な人・・・)』ソソクサ
高木『あ!・・・待っ・・・!;;;』
ドンッ!!
○『あっ・・・!!ご、ごめんなさい・・・!!』
黒井『ごめんだと~?私にぶつかっておいてその一言で済ますつもりかね・・・!?』ズズズズ・・・
○『ひ、ひぇ・・・』ガクブル
黒井『見ろ・・・このジャケット、皺が出来ちゃったじゃあないか!!ドイツの職人に作らせた○十万のこのジャケットが~~~~~ッッッ!!』ドドドドドドド
高木『や、やめろー!その人は悪くないー!!!』ダッ
○『!!』
黒井『・・・なんだ貴様はぁ・・・まるで肥やしの足りない畑で育った、不恰好なじゃがいものような面白い顔つきをしているな~~』
高木『(じゃ、じゃが・・!!?く、黒井の奴!悪口は台本になかっただろうが~~!!!)』
黒井『(この私に協力をせがむなど笑止!!女性の口説き方ぐらい自分で学んでおくんだったな~~~!?高木~~~~!!!!)』
○『あ・・・ああ・・・』アセアセ
黒井『(レディの前でせいぜい大恥かくんだな!!)』ゴォォォ
高木『ッ!!このやろう!!!!!』ゴォォォ
ドカドカ!バキッ!ベキボキ!!
黒井『ぶほへぇ!!!!』ズザザー!!
○『あっ!!!』
高木『ゼェゼェ・・・参ったか・・・』
○『・・・あ!あの・・・ありがとうございました!』
高木『!』ブイ!
○『(うわ!・・・変な人・・・)』
・・・・・・
・・・・・・・・・-----
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【たるき亭上階/2階空きスペース】
高木『(私もようやく独立か・・・)』
○『ここが新居・・・そして貴方の新しい職場になるんですね・・・』
高木『・・・なぁ○、名前は765プロダクションにしようと思ってるんだ』
○『?・・・ええ、いいですけど・・・なぜ”765”なの?』
高木『はっはっは!私と君の生まれ月が、7月と5月だからさ』ハッハッハ
高木『それに・・・君のお腹の子も、順調に進めば6月には生まれるそうじゃないか・・・』ナデナデ
○『だから”765”・・・?でもこの子、7月にずれてしまうかもって・・・』
高木『そのときは私の誕生日、7月6日から取ったとすればいいさ!』ハッハッハ
○『もう!適当な人・・・』フフ
高木『でもティンときている!この子はきっと6月に生まれる!!』
○『ふふ・・・また根拠もなく』
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【たるき亭】
ガヤガヤガヤ・・・
黒井『貴様に先に独立されてしまうとはな・・・』
高木『なに、黒井は才能があるんだ。私の勘がティンときている!』
黒井『・・・高木、前から言おうと思っていたが、”ピーン”が言えないなら口にするな。耳障りだ』
高木『?・・・なんのことか分からんが。・・・しっかし・・・お前とは同じ会社にいた頃、よっく反発し合っていたが・・・喧嘩がないのも寂しいもんだな!』ハッハッハ
黒井『気味の悪いこと言わないでくれたまえ。・・・まぁ、貴様のアイドルに対すり考えはどうかと思うがね。アイドルなぞ駒同然!大衆を魅了する偶像を作り出せばいいのだ!』グビグビ
高木『(カチン)・・・いいや、アイドルはだな。黒井『待て』
高木『・・・?』
黒井『貴様、プロダクションを立ち上げたはいいが、アイドルの方に目星は付けているのか?』
高木『あ、ああ、それはだな、これからティン!と来た子をスカウトして・・・』
黒井『甘い!!甘すぎる!!・・・貴様はどうなってもいいが・・・この私が協力してやって捕まえた○とやら・・・女房を路頭に迷わせることは、この私が許さん!!』
黒井『今すぐ金づるを捕まえて、馬車馬の如く働かせ、金を稼ぐべきだ!!』ウィー!
高木『か、金づるだと!?黒井!!お前飲みすぎだぞ!!』
黒井『ウィ!高木ぃ!!!今度ウチの○○プロダクションでアイドルオーディションがある・・・!』ウィーック
黒井『お前が、”ティン”、ときたアイドルを・・・俺が内緒で765に・・・』zzzz・・・
高木『く、、、黒井・・・』
黒井『なむ・・・こに・・・』zzzzz・・・
高木『(すまん・・・恩に着る・・・)』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・------------
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【961プロ】
黒井「(チッ・・・高木の奴め・・・すっかり腑抜けになりおって~~~・・・!!)」イライラ
黒井「(・・・・・・・・・)」イラ・・・
黒井「・・・」
ガラガラ・・・
黒井「(写真・・・大学時代・・・)」
黒井「(私と、高木と、高木の女・・・か)」
パラ・・・
黒井「(こっちは高木の娘の・・・○美?といったか・・・)」
黒井「(”じゃがいも顔じゃなくて良かったな”、などと言った覚えが・・・)」
黒井「(うーん・・・でも、腹が立つからメークインあたりにしてやろう)」
「・・・・・・ん!!」
パラ・・・
黒井「(ーーーーーーー・・・これは・・・765プロ初のアイドル・・・。コイツを・・・、コイツを私が紹介したせいで・・・)」フルフル
「・・・っさん!!」
冬馬「おっさん!!!」
黒井「ぬおわあああああああああ!!!!」ドンガラガッシャン
冬馬「!!?・・・ど、どうしたんだよ、らしくねぇ・・・」
黒井「フ、フン!冬馬か!!いるならいると言え!」
冬馬「何度も呼びかけてたっつーの」
冬馬「・・・で、今度のオーディションもジュピターが勝ち取ったわけだが、ミーティングとかはしなくていいのか?」
黒井「ウィ、貴様たちももう素人ではない。何かあったらケツは拭いてやるから、自分らで考えろ」
冬馬「おっさん・・・」
黒井「分からないか?”任せる”、ということだ!ミーティングくらい自分たちで出来るようになれ!私は忙しいのだ!」
冬馬「・・・わ、分かったって、伝わってるよ;;」
冬馬「・・・あ!そんでよ」
黒井「ん?」
冬馬「おっさんが言ってた中年副社長候補とやらは引き抜けたのか?」
黒井「”弱小”中年副社長候補だ!!!!」ガーッ!!
冬馬「うわっとっと・・・そんな大声出さなくてもいいだろ・・・!」
黒井「」イライライライラ・・・
冬馬「(・・・まっ、その様子じゃ駄目だったみたいだな・・・)」
冬馬「・・・わーったよ。取り合えずミーティングはこっちでやる、次のオーディションでも決めててくれよ。また実力で勝ち取ってやるからよ!」ソソクサー
黒井「当たり前だ・・・!」イライライラ・・・
黒井「(高木め・・・!高木の奴め・・・!!!)」イライラ
黒井「(!!・・・・・・・・・)」イライラ・・・
黒井「(・・・・・・・・・)」・・・
黒井「(・・・---------------)」
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【765プロ/起業当初】
※『※※ ※と言います!右も左も分かりませんが、アイドルになりたいです!よろしくおねがいします!』ペコ!
黒井『ビジュアルもいい、歌もそこそこ、ダンスも磨けば光る・・・』
黒井『どうだ?高木?なかなかの逸材とは思わないか?』ニヤニヤ
高木『ウ、ウム・・・しかし、ティン・・・とはだね・・・』ボソボソ
黒井『何を生意気抜かしてるんだ!折角貴様を匿ってまでオーディション会場に連れて行ってやったというのに!貴様は首を傾げてばかりで誰にするかも決めずに・・・!!』イライラ
黒井『仕方なく!この私が直々に選んでやった人材に文句をつけるのか!?』カーッ
高木『い、いや・・・それは・・・だね』
※『』アセアセ
○『まぁまぁ黒井さん・・・未来のアイドルさんが困ってるじゃないですか。・・・順一郎さん?貴方もそんなに意地を張らずに・・・』
○『※さん・・・こんな狭いプロダクションだけど、この人、プロデューサーとしてはしっかりしてるみたいだから・・・お給金は少ないけど・・・がんばってね』ニコ
※『あっ!はい!!』
○『この人で頼りなかったら敏腕プロデューサーの黒井さんもいるからね』ニコ
高木『うぉい!!』
黒井『ふっふっふ・・・逃げたくなったらいつでも逃げてきていいんだぞー?私のスケジュールは、虫けら同然の貴様にはハードルが高いかも知れんがな~・・・』ニヤニヤ
高木『なっ・・・!なんて意地悪なことを言うんだ!!』
※『』アセアセ
高木『・・・・・・・・・※くん、だね。私が社長兼プロデューサーの高木だ。目指すはトップアイドル!・・・いいね?』
※『あ!は!はい!!!よろしくお願いします!!!』
~~~~~~~~~
九ヵ月後・・・
【公園/オフの日】
高木『(黒井が選んだだけあって、※君はみるみるうちにDランクまで駆け上がってくれた・・・)』
高木『(しかし・・・最近、事務所の物が無くなって来ていることがどうも気がかりだ・・・)』
高木『(大事なものは持ち歩くようにしているが・・・)』
高木『(・・・・・・・・・)』
高木『(※くん・・・・・・・)』
高木『(※くんのお給料はちゃんと出ているし、あの子の年代にしたら平均以上の・・・!!!』
高木『!!!な、なにを考えているんだ私は!ア、アイドルを疑うなどど・・・!』アセアセ
???『~~~♪』スタスタスタ・・・
高木『ーーーーーーー・・・・・・ん?』
小鳥『~~♪~♪』スタスタスタ・・・
高木『(あ、あの女性・・・!)』
高木『ティ、ティンときたぁ!!!!!!!』ティティーン!!
高木『まっ、待ちたまえ!君っ!!待ちたまえー!!』タッタッタッタ!
小鳥『え・・・?は、はいいいいいい???え!?ええ!?えええ!!』スタスタスタタタ!!
高木『いや!!行かないで!!!待ちたまえ~~!!!!』タッタッタッタッタ!!
小鳥『ひぃいいいいい!!ふ、不審者だわあああああ!!!!』ポパピプペェェ!!
ピーポーピーポー・・・
【警察署】
○『はい・・・うちの主人がお騒がせしたみたいで・・・。・・・いえ!本当に765プロダクションという会社で社長をしておりまして・・・変質者ではなく・・・はい・・・本当にただのスカウトでして・・・』ペコペコ・・・
高木『(うぅぅ・・・・;;;;)』
小鳥『あ、あのー・・・すみませんでした・・・。まさか本当に不審者の方じゃないだなんて・・・』オドオド
※『と、とんだ災難でしたね高木社長・・・』
高木『あ、ああ、いや、、どれもこれも私の責任だ・・・。あんなスカウトの仕方だ・・・不審者と思われても仕方あるまい・・・』ショボーン
ブロロロロロ・・・!!! キキキー!!・・・ガチャ!
黒井「ウィ、数ヶ月振りだな~・・・?高木ぃ・・・」クククク・・・
黒井『聞いたぞ!貴様、遂に未成年に手を出したそうじゃあないか!!』ケラケラケラ
高木『くっ黒井・・・・・・!』ショボーン
黒井『クックックック・・・貴様のしょぼくれた顔は実に気分を良くさせてくれる・・・!』
黒井『(・・・ん・・・)』
小鳥『・・・』パァアアアア・・・!!!
黒井『・・・!!!!』
小鳥『?』パァアアアアア・・・!!!
黒井『(な、なんだこの娘の・・・あ、有り余るようなオーラは・・・)』
黒井『(たっ、高木~~~・・・!!!)』イライライラ
高木『(は、はは・・・お前も気付いたか!黒井・・・。この子は、とんでもない才能の持ち主だと・・・!)』
黒井『(・・・ふ、ふんっ!!ダイヤの原石も磨き手が半端者じゃあただの石ころ同然だ)』イラ
○『ーーーーー・・・はい・・・ええ、どうも、はい・・・すみま、せ・・・!!!・・・う、うううううう!!!!』グ・・ググ・・・
小鳥『え!?え!!?・・・』
警察官『・・・奥さん?どうしましたー・・・?奥さん・・・!?』
※『たっ、高木社長!!○さんが・・・!!○さんが・・・!!!!』
高木『!!!!う、うずくまったりして、どうしたんだ!!!○!!○!!!』アタフタ
○『じゅ、じゅんいちろうさん・・・きゅ、救急車を・・・』ズキズキズキズキ
○『う、生まれる~~~・・・』ズキズキズキズキ
高木『ああ、あああああ!!!な、なんてことだ!!!』アタフタアタフタ
警察官『い、今、署の電話から救急車呼びますから待っててくだ・・・黒井『この馬鹿が!!!』』
高木『!!!!?;;;』
黒井『貴様の嫁が身籠っていただなんて聞いていなかったぞ私はぁ~~~っ!!』イライラ
高木『すっ、すまん、言い出すタイミングがだな!!!;;;』アタフタアタフタ
ガチャ!! ブロロロロ・・・!!
黒井『言い訳はいい!!さっさと乗せろ!!この女房不幸者め!!!』
高木『くっ、黒井!!!スマン!!!!』アタフタアタフタ
~~~~~~~~~
【病院】
高木『あ、ああ・・・心配だ・・・なんであんな無理をさせてしまったんだ・・・ただでさえ高齢出産だっていうのに・・・』ソワソワソワソワ・・・
黒井『』イライライライラ・・・
高木『くそ!!中はどうなってるんだ・・・!○が心細いときに、出産に立ち会えないだなんてあんまりだ・・・!!』
黒井『』イライライライライライラ・・・
高木『ああ・・・神様・・・○の子を・・・私と○の子をどうか無事に・・・』ソワソワソワソワ・・・
黒井『・・・こんの間抜けが~!子を宿す嫁を寒い夜に出す奴がいるか!!!』ムキー!!
黒井『挙げ句の果てには神頼みだと~・・・!?私が神に祈るとしたらただただ貴様に”天誅を下してください”だ!!!』ムカカー!!
小鳥『(・・・けっ、結局流されてこんなところまで着いてきちゃったわぁ・・・う、家には連絡したし、心配はしてないと思うけど・・・)』
※『・・・・・・・・・』ジッ
小鳥『・・・・・・』
※『・・・・・・・・・』ジッ
小鳥『(え、えっと・・・さっきからこの女の人、私のこと見てるけど・・・)』
※『チッ、あたしより綺麗とか死ねよ・・・-------』ボソ
小鳥『ーーーーーーーーー・・・え?なにか言・・・・・・』
オ・・・
オギャー・・・オギャー・・・オギャー・・・
高木・黒井『『!!!?』』ガタッ!!!
高木『やっ・・・!!!!』フルフルフル・・
黒井『・・・・~~!!!!!!』フルフルフル・・・
高木・黒井『『やった!!!!!!』』ダキッ
小鳥『!!?』
小鳥『(あ、あんまり仲良さそうに見えなかった二人が・・・喜びのあまり抱き合・・・)』
小鳥『(こ、これが男の友情・・・!!//)』キュンキューン
※『わぁー!!!やりましたね高木社長!!』バンザーイ
黒井『(ハッ!!)・・・はっ!離れろ!!気持ち悪い!!』バシィ!
高木『ハ!ハハハ!!!看護婦さん!!男の子ですか!?女の子ですか!?』
カラカラカラ・・・
○『ふふふ・・・あなたの声・・・扉で遮られても、よーく響くのね・・・』
看護婦『静かにしてください・・・!!まったく・・・!男共ときたら・・・』
高木『お、おあぁああああ!!!』パアア
スゥスゥ・・・
○『女の子、だそうよ・・・』ニコ
黒井『(チラ)・・・まるで猿だな・・・』
高木『おい』
黒井『クックック、高木のようなじゃがいも顔じゃなくて良かったな』クククク
高木『くっ、黒井~~~!!!』グググ・・・
高木『~~!!・・・』
高木『・・・』
高木『』ペコ・・・
黒井『・・・なんの、真似だ』
高木『ありがとう、お陰で無事に娘が生まれた・・・』
高木『ありがとう!!ありがとう・・・!!!』
○『順一郎さん・・・。・・・私からも、ありがとう。黒井さん、恩人だわ・・・』
黒井『フ、フン!・・・潰すべき競争相手が居なくなってしまったら困るからな!!』
黒井『・・・頭を上げろ!高木!!今後、貴様が私に頭を下げるときは、この私に敗北した日だけにしてもらおうか!!!』
高木『黒井・・・!』
※『黒井さんったら恥ずかしがっちゃって~~!』
黒井『こっ、小娘風情が図に乗るな!!』ムカーッ!
看護婦『しーずーかーに・・・!!!』
○『ーーーーーー・・・あ・・・ねぇ貴方?』
高木『うん・・・?』
○『日付・・・変わってから生まれたんだわ・・・』チラ
高木『あ・・・』
○『フフフ・・・”6月”、生まれね・・・』ニコ
高木『!!・・・ははは!やっぱり私の勘は間違いではなかったか!!』パァア
高木『やはり名前を765プロダクションにして正解だった!!』ムッハー!
黒井『ん?・・・おい、高木、日付が変わっているだと?』
高木『・・・・・・?あ、ああ!!』
黒井『・・・2○歳の※はともかく、無関係の小娘をこんな時間まで・・・』
小鳥『』アセアセ
高木『き、君は幾つだね・・・?』
小鳥『じゅ・・・1○歳です・・・』
黒井『10代の未成年をこんな時間まで残しておく奴がいるかーーーー!!!!』ムカー!!!
高木『わ、わぁああああ!!!すっ、すまない!!君ィ!!!!』
小鳥『あ・・・う、家には連絡しましたから・・・!それに、流れでついてきちゃったの私の方ですし・・・!』アワワ
黒井『そういう問題ではなぁあああああい!!!!』ムカカカー!!!
小鳥『ひ、ひいいいいいい!!!』
・・・・・・
・・・・・・・・・
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【765プロ/居間】
高木『(音無くんと、音無くんの家族を何とか説得して、アイドルとして育てることとなって一年・・・)』
高木『やはり音無くんは只者ではなかった。・・・この一年の間にBランクアイドルにまで成ってくれた・・・)』
高木『(・・・しかし、そうなると、最近ようやくCランクに上がった※くんのケアが大切だ・・・)』チラ
※『・・・・・・・・・』ペラ・・・ペラ・・・
高木『(自分が載っている雑誌を大人しく見ているが、心の中は穏やかではないはずだ・・・)』
高木『(負けず嫌いで、どこか底の知れないところのある※くん・・・)』
高木『(どう声を掛けてあげるべきか・・・)』
小鳥『高木社長、私そろそろ次の現場に行かないとー・・・』
高木『お!おお!そうだったね音無くん!!』
○『あらあら、アイドルのお仕事を忘れては駄目じゃないですか』フフフ
高木『で、では行って来るのでな!!』アタフタ
高木『※くん!○!・・・○美のことを見ていてくれたまえ』
○美『きゃっきゃ・・・』
○『わかっていますよ。今日は雨風が強いみたいですし・・・気をつけて行ってくださいね』ニコ
高木『ははは・・・分かっているとも』
※『行ってらっしゃい高木社長!、小鳥!』ニコ
小鳥『はーい、行ってきまーす!!』
ガチャ バタン
※『(・・・・・・・・・)』
※『(・・・・・・)』
○『・・・あら?※ちゃん、ボーッとしてどうかしたの?』
※『あっ!いえ!(アセアセ)・・・・・・あっ!そ、その新しい衣装は小鳥のですか?』
キラキラキラ・・・
○『あっ、これ?・・・フフフ、違うわ』
※『?』
○『順一朗さんがね?・・・”○美が大きくなったら着せるんだ”って・・・』
○『”ティンときている、この子はアイドルの素質がある”・・・なーんて』
○『親馬鹿もいいところよね。○美は一歳になったばかりだっていうのに・・・』フフフ
※『そ、そうなんですか・・・』
○『さーて・・・と、ようやく完成~♪』パァァ
○『慣れないことして肩が凝っちゃったわぁ・・・』コキッ・・・コキッ・・・
※『社長たちが出掛ける前からずっと作ってましたけど・・・巾着・・・ですか?』
○『え!?・・・き、巾着・・・』
※『あ・・・え、えっと・・・』
○『順一朗さんに似ちゃったかしら・・・ぶきっちょね・・・。作り直さなきゃ・・・』セッセッ・・・
※『(・・・・・・・・・)』
※『(・・・・・・・・・・・・・ッチ・・・)』
~~~~~~~~~
○『ふー・・・』パァァ・・・
○『いーっぱい愛情を注いで作ったから、今度は大丈夫ね~』ボロ・・・
※『・・・・・・・・・』
チラ・・・
○『あ、もうお夕飯の時間ね・・・』
○『※ちゃん?今晩は食べていく?』
※『あ!はい!じゃあ頂いちゃおっかなー!!』
○美『きゃっきゃ』
○『はいはい、○美もお腹が空いたわよね~、今作ってあげますからね~』ニコニコ
○『・・・・・・あらやだ・・・○美に食べさせようと思ってた××を切らしてたわ・・・』
※『あ、じゃあ私、○美ちゃんと一緒にお留守番してましょうか?』
○『・・・ごめんなさいね、頼んじゃってもいいかしら?』
※『はい、○美ちゃんとの留守番は、もう慣れっこですから!!』
○『うふふ、じゃあお言葉に甘えて・・・、・・・○美ちゃんのことよろしくね』
○美『きゃっきゃ』
※『はい!行ってらっしゃい○さん!!』
○『はーい』ニコニコ
ガチャ・・・ バタン
○美『きゃっきゃ』
※『(・・・)』
※『(・・・・・・)』
※『(・・・・・・・・・ーーーーーー)』
~~~~~~~~~
ガチャ
○『ただいま帰り・・・』
ビュウウウウウウ・・・・
○『うっ!!さ、寒い!!!』
○『(ま、窓が開いている!?なんで・・・)』
○『!!!!!』
○『○美!?※ちゃん!?』ドタドタドタ!!
○美『うー・・・うー・・・ケホッケホ・・・』ブルブルブル・・・・・・
○『ああ!○美!!!○美!!!寒かったわね!!辛かったわね!!』ダキ!
○美『ゲホッゲホッ・・・エ・・・エエエ・・・』ゲェ・・・
○『!!?・・・きゅ、救急車!!!』ガタッ
ピポパ・・・
○『(オドオドオド・・・)・・・!すみません!119番ですか!?・・・はい!娘が!雨風にさらされたみたいで!!体温がとても低く・・・もどしてしまっていて・・・!!!とっ、とにかく早く・・・!!あ、住所は・・・ええと・・・お、大田区矢口、に、二丁目!!いっ、1番地の765号です!!はやくっ・・・!はやくきてください!!!!!』
ガチャ!!
○『な、なんで窓が!!!ご、強盗・・・!!?』
○『と・・・とにかく窓をしめなきゃ・・・!!!』
ガラガラガラ!!!ピシャ!!
○『!!・・・・・・※・・・※ちゃんは・・・』キョロキョロ
○『!!?』
”おまえら ぜんいん しんじまえ”
○『なに・・・この・・・書置き・・・』
○『※・・・ちゃん・・・?』ガタガタ・・・
○美『ゲホッ・・・ゲホッ・・・』
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・---
~~~~~~~~~
・・・
【765プロ】
黒井『・・・・・・・・・』
高木『・・・・・・・・・』
小鳥『○さん・・・』グス
○『ううぅ・・・○美・・・○美・・・』
黒井『(・・・・・・※の奴は、事件当日、車にはねられて即死・・・)』
高木『・・・・・・・・・』
黒井『(※の遺族は運転していた男から慰謝料を貰ったらしいが、それ以上の多額の慰謝料を高木達に支払い、その後・・・一家で心中・・・)』
黒井『(・・・・・・なんとも、気分の悪い話だ・・・)』
高木『・・・・・・・・・』
黒井『・・・高木』
高木『・・・・・・・・・』
○『ううう!!!私のせい!!私のせいだわ!!!』
○『信用しきって、※ちゃんに○美を預けたから!!私の・・・私の・・・!!!!』ブワッ
小鳥『○さん!!○さんはなにも・・・!!!』グス
高木『・・・・・・・・・』
ギュ・・・
○『!・・・順一朗さん・・・順一朗さん・・・・!!!』
高木『・・・・・・・・・!!』ギュウウ・・・
○『ああああああああああ!!!!』ポロポロポロ
黒井『(高木・・・あれから涙の一つも・・・。)』
小鳥『うううう・・・』グスッ グスッ
黒井『(・・・・・・・・・)』
黒井『(・・・)』
黒井『(・・・これは・・・これは私の責任だ・・・)』フルフル・・・
・・・短い期間に二人のアイドルをB・Cランクにし、世に送り出した765プロは、
この事件を切っ掛けに評判がガタ落ち、仕事は一気に激減した。
・・・更に不幸とは続くもので、娘を失った悲しみからか、
高木の妻は日を追うごとに精神的にも身体的にもボロボロになっていった。
そんな中、不気味なほど冷静さを保っていた高木は、一つの決断を下したのだ。
~~~~~~~~~
【765プロ】
小鳥『ア、アイドルを・・・やめなさいって・・・』
高木『音無くん、やめなさいと言っても、”ウチでは”、ということだよ』
小鳥『そ、そんな・・・高木社長・・・』
高木『Bランクアイドルにまでなってくれた音無くんが・・・あの事件を切っ掛けに仕事が激減・・・本当に申し訳ないと思っている』
小鳥『社長・・・!社長が謝ることなんかじゃ・・・!』
高木『○○プロでなら、君を黒井に任せたら、きっと輝かしい未来が待っているだろう』
高木『頭の切れる黒井のことだ、きっと悪いイメージのすべても払拭してくれる・・・』
高木『君は、トップアイドルの素質がある・・・』
小鳥『社長・・・』グス・・・
ガチャ!!!!!
小鳥『!!』
黒井『高木~~~~!!!!!!辛気くさい面でも拝みに来てやろうと思えばなんて温いことを・・・!!!!』ツカツカツカツカ
高木『・・・黒井』
グイッ!!
小鳥『きゃあ!』
黒井『見損なったぞ!!!高木ィ!!!』ググググ・・・
高木『・・・人の胸倉を掴むな』ググググ・・・
黒井『ああ!あの事件の払拭など、この私の手に掛かればそう難しくはないだろう!!!』
高木『なら一層お前に音無くんを・・・』
バキィ!!!
黒井『殴られないと分からないのか貴様は!!!わざわざ○○プロに移籍させなくても765プロに所属させたまま払拭ぐらいしてやる!!!!』
高木『(・・・・・・・・・)』
黒井『私より先に独立した貴様が!!情けない事を抜かすな!!!!!』
ヨロヨロ・・・
○『あ、ああ・・・黒井さん・・・やめて・・・やめてください・・・』
小鳥『!!○さん!・・・お身体に障りますから寝てないと・・・!』
○『わたしが・・・わたしがわるかったんです・・・』
黒井『・・・○・・・か・・・!』
バッ!!!
高木『!・・ゲホッゲホッ・・・ようやく離してくれたか・・・』
○『!!・・・ああ、○美・・・!!○美!こわくないのよ・・・!!』ギュウウウ・・・
黒井『・・・!?』
高木『・・・黒井・・・○の調子がどんどん悪くなってきているんだ・・・』
高木『最近は、私が○美のために買っていた衣装を、○美だと思い込んでいる・・・』
高木『あの衣装は・・・火葬の時に、一緒に入れてやろうとしたんだ』
高木『ただ、○が見たこともないような形相で拒んだものでな・・・』
黒井『・・・・・・』
高木『・・・もう・・・・・・・』
高木『・・・もう、無理なんだ・・・』
黒井『・・・なんだと?』
高木『・・・もう、音無くんの事、見てやれそうもないんだ』
小鳥『しゃ、社長・・・』
高木『大の大人が口にすることではないが・・・』
高木『もう、私には、余裕がないんだよ・・・』
黒井『・・・・・・・・・!!!』
小鳥『しゃ、社長・・・・・・!!!!』ポロポロ
ガシッ!!!
小鳥『・・・え!!』
黒井『来い・・・!!!』
高木『・・・・・・・・・』
小鳥『い、嫌です!!社長!!高木社長!!!』ポロポロポロ
黒井『いいから来いと言っているんだ!!!!』ツカツカツカツカ!!
小鳥『嫌だ・・・!!離して・・!社長!!社長!!!』ポロポロポロ
○『ああ・・・○美・・・○美・・・』ギュウウ・・・
高木『・・・・・・・・・』
ガチャ!!バタン!!!
高木『(すまない・・・音無君・・・黒井・・・)』
~~~~~~~~~
【たるき亭前】
小鳥『はなして・・・!!!はなして!!!!!』バッ!!!
黒井『ピーピーピーピー喚くな!!!高木の様子を見ただろう!!!』
小鳥『うううう・・・!!』ポロポロ
黒井『○○プロで面倒を見てやる!!ついて来い!!!!』
小鳥『いやです!!!高木社長と○さんのそばにいます!!!』
黒井『聞き分けの悪い小娘め・・・!!!これだから10代の甘ちゃんは嫌いなのだ!!!』
小鳥『○○プロなんて行きません!!!!!』
黒井『~~~~!!!いいか!?何人もの著名なアイドルを排出している○○プロに来れば、私の元に来れば、貴様の未来は約束されたようなものなんだぞ!!!』
小鳥『嫌です!!!!嫌だ!!!!』ポロポロポロ
黒井『きっ、貴様~~~~ッ!!!!・・・もういい!!!どこへでも行ってしまえ!!!』
小鳥『うう・・・!!!』
小鳥『ううううう!!!!』ダッ!!!
黒井『(チッ・・・糞餓鬼めが・・・!!!)』イライラ・・・
黒井『(・・・・・・)』イラ・・・
黒井『(・・・・・・)』・・・
黒井『(くそっ・・・くそ・・・・・・・!!!)』
黒井『(・・・・・・すまない・・・)』
黒井『(高木・・・!・・・すまなかった・・・!!!)』ポロ・・・ポロ・・・
・・・音無 小鳥は、その日を境に姿を見せなくなった
高木の言葉に対する、彼女なりの配慮だったのだろう
・・・それから何年か過ぎた後・・・高木の妻は、
ある朝、突然、冷たくなっていたそうだ
私は葬儀に立ち会った
高木は、淡々と弔辞を読み
○を娘と同じ場所へと埋めてやった
・・・葬儀中、高木の顔には涙一つ伝わなかった
~~~~~~~~~
【765プロ】
高木『すまんな黒井、最後まで居てもらって・・・』
黒井『ウィ、貴様の女房とは大学時代からの知り合いだったのでな』
高木『ハハハ、ナンパした日が懐かしいな』
黒井『・・・貴様に初めて敗北を喫した日を私は一度たりとも忘れはしないぞ』フン
高木『根に持ってるとは黒井らしいな』
黒井『フン!!・・・』
黒井『・・・・・・葬儀に、音無小鳥は来ていなかったようだが・・・』
高木『音無くんか・・・ああ、呼ばなかったんだ』
黒井『なに?貴様たちのことをあそこまで慕っていたのにか』
高木『・・・あんな事を言ってしまった手前・・・呼びづらくてな・・・』
黒井『・・・つくづく愚か者めが。後から知った方が悲しむぞ』
高木『音無くんには、このプロダクションで起こったこと・・・思い出させたくないんだよ・・・』
黒井『それとこれとは、別の話だと思うがね』
高木『ハハハ・・・私もまだ・・・混乱しているのかも知れないな・・・』
黒井『(・・・・・・・・・高木・・・)』
黒井『ーーーーーー・・・しかし、久々にこの弱小プロダクションに来たが、このゴミ袋の量はなんだ。閉じてもいないじゃあないか』チラ
高木『あ、ああ・・・途中だったんだ。葬儀でバタバタしていてなかなか捗らんくてな』ハハ・・・
黒井『だらしないところは相変わらずだな・・・』
黒井『・・・・・・ん・・・?』
パラ・・・
黒井『この布の切れ端は・・・』
高木『ああ・・・○美に着せようと思っていた衣装の破片だよ』
黒井『・・・・・・』
高木『言ってはいなかったが、ずっと”それ”を見るのが辛くてな・・・』
黒井『・・・なにもバラバラにすることはないだろう』
黒井『それに・・・一緒に火葬してやれば良かったじゃないか』
高木『ははは・・・言われてみれば確かにそうだな・・・』
黒井『・・・・・・』
高木『ああ、そうだ黒井、帰るときにゴミを捨てるの手伝ってくれないか?』
黒井『・・・この私を顎で使うとはいい度胸だな』フン
高木『そんなこと言って持ってくれてるじゃないか・・・すまないな』
ダッダダッダッダ・・・!!!
ガチャ!!
小鳥『高木社長!!・・・』ハァハァ
高木『お!・・・音無くん・・・!?』
小鳥『み、水臭いです・・・なんで、なんで言ってくれなかったんですか・・・!!!』
高木『な、なぜ妻が亡くなったと・・・』
黒井『・・・私が教えた』
高木『黒井!!!・・・』
黒井『小娘が葬儀に参列していないのは、おかしいと思ったのでな』
黒井『この小娘も、後から知るよりはずっといいだろう』
小鳥『・・・社長・・・呼ばれてなかったのに・・・来ちゃって・・・ごめんなさい・・・』ポロポロ
高木『・・・いや・・・謝るのは私だ・・・伝えなくてすまなかった・・・』
高木『○に・・・○に・・・線香をあげてやってほしい・・・』
高木『君からあげられれば○もきっと喜ぶ・・・』
小鳥『はい・・・はい・・・!!』ポロポロポロ
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・------
~~~~~~~~~
【765プロ】
カン カーン・・・
高木「○・・・○美の墓参り・・・行ってきたよ・・・」
高木「君の分もお線香はあげたから、嫉妬はしないでくれたまえ・・・」ハハ・・・
高木「(・・・・・・・・・)」
高木「(・・・・・・昼、か)」
ガラッ・・・・・・
高木「(我が家も随分サッパリとしたものだ・・・)」
高木「(・・・・・・)」
高木「(・・・黒井の奴、すっかり皺だらけになっていたな・・・)」
高木「・・・」グゥウ・・・
高木「さて、たるき亭でも行くかな・・・」カタン・・・
【たるき亭】
「あ!あのおじさん”むしょく”で有名なおじさんだー!!」
「こ、こら!!聞こえるでしょう!!黙って食べなさい!!」
店員「すみません、テーブル席しか空いてませんが・・・」
高木「ああ、構わんよ」
高木「(私もすっかり有名人だな・・・)」ガタ
店員「ご注文どうぞー」
高木「いつもので・・・」
店員「はい、・・・店長!ランチセットひとつー!」
高木「さて、何をして時間を潰すかな・・・」
ひょこん
高木「・・・ん?」
◇「おじさんムショクなのー?」
高木「・・・??」
高木「(目の前に座って・・・誰の子だ?)」キョロキョロ
高木「!!」ティン・・・
◇「ねー!ムショクってなーに?」
高木「(い、今の感覚・・・!?・・・い、いや、ま、まさかな・・・)」
◇「ねーねー!」
高木「・・・・・・あ・・・え、ええと」
高木「誰の子かな?」
◇「ねーねー!!」ブンブン
高木「こ、こら!わ、私の腕を振り回さないでくれ!!」アセアセ
◇「ムショクってなんなのー!!」
高木「(いっ、一体誰の連れ子だ・・・!しつけがなってないぞ・・・!)」
◇「・・・」ジー
高木「す、すみません!・・・この子、どなたの子ですか・・・?」
シーン・・・・・・
ジロ・・・ジロ・・・
ナンダアノオッサン・・・・・・ホットケホットケ・・・(ザワザワ・・・)
高木「(うぐ!!・・・なぜ皆、怪訝な顔で私を見るのだ・・・)」
◇「ねーねー!!」
高木「(お、親はトイレにでも行っているのか・・・!?)」
◇「ムショクってなーにー!!!!」ガーッ!
高木「(うう!・・・こ、これは適当なことを言って誤魔化すしかないか)」
高木「・・・うぉ、うぉっほん!!」
◇「?」
高木「む、”むしょく”というのはだね・・・」
◇「! うんうん!」
高木「・・・」
高木「!」ティン!
高木「・・・ゆ、”夢”に”職”と書いて”夢職”というのだよ!!」
◇「へー!!!じゃあユメのお仕事してるのー!?」
高木「あ、ああ、そうだよ」ニコ
◇「・・・ユメのお仕事ってなーに?」
高木「(ム・・・ムムム・・・!)」
高木「!」ティン!
高木「・・・ゆ、夢を叶えてあげる職業のことさ!」
◇「?」
高木「・・・アイドルを目指したい、そんな願いを叶えてあげること!」
高木「・・・それがおじさんの仕事だよ」
◇「へーすごーい!!わたしアイドルだいすきー!!」
高木「は、はは・・・」
◇「ありがとー!!!」トテテテテ・・・
高木「(よ、ようやく離れてくれたか・・・)」
~~~~~~~~~
【たるき亭前】
高木「(ふー・・・食べた食べた・・・)」
◇「」ジーッ
高木「(・・・ん?・・・つ、ついてきてたのか!!!)」
◇「」ジーッ
高木「(・・・今時珍しくお守りなんかぶらさげて・・・)」
◇「おじちゃんどこに住んでるのー?」
高木「ん?わ、私かね・・・私はこの上の階に・・・」
◇「あそびにいくー!!」トテテテテ!
高木「あ!こ、こらこら!!だっ、駄目だ!何を言って・・!!」アタフタ
【765プロ】
ガチャ
◇「カギしめてなーい!!」
高木「こらこらこら・・・!ま、待ちたまえ・・・!」ゼェゼェ
◇「わたし知ってるよー?こういうの、”ぶようじん”って言うの!」
高木「い、いい加減に・・・!!」ゼェゼェ・・・
ダキカカエー
◇「あ」
高木「ほら!ここはおじさんのお家だから、帰りなさい!」
◇「やだー!!遊びたいのー!!」ジタバタジタバダ!!
高木「だめだ!親御さんも心配するだろう!たるき亭にいる親御さんの元へ早く・・・!」
◇「お母さんならいっちゃったもん!!」
高木「~~!!な、なら、交番まで連れて行ってあげるから・・・!」
◇「・・・うー!けち!!自分で帰れるからいいよ!離して!!」ピョン!
◇「けちけちけーち!!!」ベー
トテテテテテ・・・
高木「ま、まったく・・・なんて子だ・・・」
高木「・・・・・・ん?」
高木「こ、これは・・・・・・」
高木「お!お守り!!落としていってるじゃないか!!」
高木「き、君ぃ~~~~!!!」ドタドタドタドタ
~~~~~~~~~
【公園】
高木「・・・ゼェゼェ・・・な、なんて足の速い・・・ど、どこへ行ってしまったんだ・・・」ヒューヒュー
ザワザワザワ・・・
高木「・・・?・・・人だかり・・・?」
黒井「!!!!」
黒井「き・・・貴様~~~~~!!!!」ムカムカムカ
高木「く、黒井じゃないか!!」
冬馬「?・・・誰だ?このオッサン」
黒井「貴様は黙って撮影を続けていろ!!」
冬馬「へいへい・・・ったく、なに怒ってんだか・・・」ソソクサー
高木「黒井・・・!」ゼェゼェ
黒井「・・・あの日、この私にあそこまで言わせておきながら、姿を見せるとはいい度胸じゃあないか!!!」
黒井「・・・それとも何か?頭を深々と垂らし”やっぱり961プロダクションに入れてください~”とでも言うつもりか~~?」ニヤニヤ
黒井「まぁ・・・今この場で頼むんだったらまだ考えてやらんでもないぞ?」ニヤニヤ
高木「黒井・・・このくらいの、小さな女の子を見なかったか・・・?」
黒井「・・・な、なに~~~~?」イライラ
高木「首からさげていたお守りを・・・忘れてしまったみたいでな」
黒井「フン!!くだらない・・・何かと思えば初老の戯言とはな・・・」
高木「ほ、本当だ!ほら!」パッ
黒井「今時お守りなんざ首からさげている奴がいるか!!!」ムカー!
黒井「そんな古臭いやり方を好むのはせいぜい貴様ぐらいだろうが!!」ムカカー!!
黒井「アイドルの方針にしろなんにしろ・・・全てにおいてズレているのだよ貴様は!!」
高木「み、見なかったということだな・・・すまない、貴重な時間を割いてしまったな」
黒井「チッ!!都合の悪いことは聞き流す!成長せん男だ・・・!!」
高木「(仕方ない・・・たるき亭の主人に預かってもらうとするか・・・)」トボトボ
黒井「あっ!!ま、待て・・・・!!」
高木「」トボトボトボ・・・
黒井「(・・・こ、この腑抜けが~~~・・・聞く耳をだな~・・・)」イライラ・・・
~~~~~~~~~
数日後・・・
【765プロ】
高木「・・・昼か・・・たるき亭にでも行くかな」ガタ
ボロ・・・
高木「ん?」
高木「・・・あ!こ、このお守りは・・・!」
高木「いかん・・・すっかり忘れてしまっていたぞ」アセアセ
高木「(・・・はぁ、たるき亭に行くついでに持っていくとするか)」
コンコン・・・
高木「?・・・来客か?」
「・・・すみませーん、応募させていただきました天海と申しますがー・・・」
高木「(お、応募・・・?なんのことだ?)」
「すみませーん・・・」
・・・コンコン
高木「なにかの勧誘か・・・?・・・はぁ、面倒なことになったな・・・」
高木「腹が減っているのだが・・・」
「高木順一朗さんはいらっしゃいませんかー・・・?」
高木「(・・・今はフルネームまでバレてしまうのか・・・怖い世の中だな・・・)」
「すみませーん・・・」
高木「・・・」
高木「・・・」グゥ~~・・・
高木「(腹も減っているし、適当にあしらって帰ってもらうとするか・・・)」
ガチャ
春香「あっ!」
高木「はいはい、うちは何も要りませんよ」
春香「・・・?」
春香「え、えっとー・・・私、765プロダクション様の求人を拝見して、アイドルになりたくて応募させていただいたんですけど・・・」
高木「?・・・何を言っているのだね・・・ウチは求人なんて・・・」
高木「・・・!!!!!!」ティン!!!!
春香「え、でも・・・この間うちの新聞に挟まってたんですが・・・」オドオド
高木「ティ・・・ティンと・・・きた」
春香「へ?てぃ・・・てぃん・・・?」
高木「(・・・十数年・・・忘れかけていた感覚が・・・い、いま、鮮明に・・・)」
春香「あ、あのー・・・ええと・・・あ!これ・・・その求人なんですけど・・・」パラ
高木「・・・む?」
高木「(・・・た、確かに・・・。わ、私のサインまで書かれているな・・・)」
高木「(しかも、この765プロの落款印・・・十数年前まで使っていたものだ・・・)」
高木「(ここまで手の込んだ事をする奴は・・・く、黒井か・・・?)」
春香「技術がなくてもやる気があるならオッケーだって、履歴書を送れば飛び込み面接も可って書かれてあったので伺わせて頂いたんですけど・・・」オドオド
高木「い、いや、でもだね・・・私はとうの昔に・・・」
春香「わ、私!!せいいっぱい頑張りますから!!お願いします!!」ペコ!
高木「い、いや・・・・」
春香「夢だったんです!!!アイドル!」
春香「わ、私、なにも取り柄がないですけど・・・このチラシを見たときに、なにか居ても立ってもいられなくなっちゃって・・・!!」
春香「オ、オーディションのこととか、アイドルのこととか!いっぱい調べてきました!!」
春香「せめて面接を・・・お願いします!!」ペコ!!
高木「(うう・・・なんて活気に満ち溢れた子だ・・・。・・・だが、私は・・・)」
春香「~~~~!!」
春香「お、お母さんに内緒で!お小遣い使って!二時間掛けてここまで来ました!」
春香「面接を受けさせてくれるまで帰れません!!」
高木「(ううう・・・!!)」
高木「(し、仕方ない・・・形だけでもしてやるか・・・)」
高木「・・・わかった」
春香「ほ、本当ですか!?」
高木「・・・詳しいことは下のたるき亭で話すとしよう」
春香「はい!!!」パアア
~~~~~~~~~
【たるき亭】
高木「(な、なんて子だ・・・)」
高木「(聞けば聞くほど・・・知れば知るほどアイドルに向いている・・・)」
高木「(それに、このオーラ・・・)」
春香「それで・・・私、決心して・・・」パアアアアア・・・!!
高木「(・・・し、しかし・・・!!私はもう・・・!!)」
春香「アイドルに・・・・」
春香「・・・た、高木・・・さん?」
高木「」フルフルフル・・・
春香「(ああ・・・駄目だったかな・・・)」
高木「あ、天海くん、と言ったね・・・?」
春香「あ・・・はい!」
高木「君の熱意は十分に伝わったよ。・・・結果は後日連絡する。それでいいかね?」
春香「は、はい!よろしくお願いします!!」ペコ!
春香「あ!・・・これ、私の携帯の連絡先です!」
春香「履歴書・・・届いてなかったみたいですし、履歴書には実家の連絡先書いちゃったので・・・」
高木「・・・ああ、分かった。必ず君の携帯に連絡しよう」
高木「(・・・はぁ・・・何をしてるのだ・・・私は・・・)」
~~~~~~~~~
【765プロ】
”「ぬぁに~~!?765プロの求人を書いたかだって~~!!?」”
高木「あ、ああ、黒井以外に考えられなくてな」キーーーン・・・
”「いつまでもウジウジしている弱小中年ポンコツプロダクションの求人など!この私が書くわけないだろう!!」”
高木「い、いや、最近うちに訪れてきてくれただろう?・・・実は密かにウチの求人広告を作っていたのかと・・・」
”「ハッ!!!遂にプロダクションのみならず、頭の方もポンコツになったか!?高木~~!!!」”
高木「い、いやしかし・・・この求人は・・・」パラ・・・
”「そもそも!!そもそもだ!!!」”
高木「・・・あ、ああ」
”「・・・貴様のプロダクションが機能しなくなって十数年!!何故今更765の求人を書く必要がある!!」”
高木「そ、それは確かにそうだな・・・」
”「そんな小さな嫌がらせをするくらいなら、とっくの昔に貴様の事務所なぞ潰しているわ!!」”
”「フン!!私は忙しいのだ!!老人の介護をしている時間はないので失礼する!!アデュー!!」”
ガチャ!! ツーツーツー・・・
高木「・・・じゃ、じゃあ一体誰がこの広告を作ったんだ・・・」
コンコン・・・
高木「!?・・・ま、また誰か来た・・・」
コンコン・・・
高木「こ、今度は一体なんだ・・・」オドオド
「すみません・・・求人を見て応募させていただきました如月と申します。・・・飛び込みの面接に来ました」
「あっ!!ずるいの!・・・ミキはね、星井美希って言うの!めんせつ、受けさせて欲しいな!」
「みんなについて来たお陰で辿り着いたわ~。・・・あっ、私、三浦あずさと申します~」
高木「な、なんだなんだ!!どうなってる!!」アワアワ
「すみませーん!私、秋月と申しますー!!同じく求人を拝見させて頂き・・・」
「うー!わたし高槻っていいますー!」「・・・は、萩原ですぅ・・・」
高木「ああ!!いったいどうなっているんだ!!!」アワアワアワ
~~~~~~~~~
次の日・・・
【765プロ/夜】
高木「(き、昨日だけで13人も応募者が来たぞ・・・)」クタクタ・・・
高木「(中には○○プロのときの親友の娘もいた・・・)」
高木「(・・・さ、更に困ったことに・・・)」
高木「(その誰もが才能に満ち溢れているということだ・・・)」
高木「・・・・・・・・・」
高木「こ、ここは黒井を頼って・・・」ポパピプ・・・
ガチャ キィィ・・・
高木「?・・・」
高木「・・ま、また誰か来たぞ・・・」オドオド・・・
◆「すみませーん・・・」
高木「ティンときた!!!」
◆「わっ!!・・・」
高木「あっ!・・・す、すまない・・・」
高木「き、君も応募者・・・かね?」オドオド
◆「応募・・・?」
◆「・・・わ、私はただ、妹がこちらでお守りを無くしたと言っていたので・・・」
高木「!!・・・あ、ああ、あのときの!」
高木「ああ、よかった!・・・お守りならここに・・・」ボロ・・・
◆「あ!これです!・・・妹がご迷惑お掛けしたみたいで申し訳ありませんでした」ペコ
高木「ははは・・・随分やんちゃな子だったよ」
高木「・・・見たところ、君は小学生かな?」
◆「はい!今四年生です!」
高木「しっかりしてるね~・・・でも、こんな夜遅くに出歩いたらご家族の方も心配するだろう」
◆「あはは、近くなんで大丈夫です」
◆「・・・あ!」
トテテテ・・・
高木「あ、こらこら!中に・・・」
◆「すごーい!トロフィーだー!」
高木「ああ・・・それかね」
高木「音無くんというアイドルが○○杯に出たときの・・・◆「も、もしかして・・・!!?」」
高木「・・・?」
◆「もしかして・・・音無小鳥・・・さん・・・!!?」
高木「・・・あ、ああ・・・そうだが」
高木「よく知っているね、君が生まれる少し前のアイドルだっていうのに・・・」
◆「えへへ・・・だってお母さんが小鳥さんの大ファンだったから!!」
高木「ほ~、そうか!・・・嬉しいな~!」
◆「”おとなし”って苗字珍しいし、ピンってきたんだぁ~!!」
高木「はっはっは!勘の鋭い子だ」
高木「・・・どれ、音無くんの物はこれだけではないぞ~」ガララ・・・
高木「ちょっと待っていなさい」ガサゴソ・・・
◆「へー!この棚、いろいろ入ってるんだね~!!」ガサゴソガサゴソ・・・
高木「あ!こら・・・勝手にいじっちゃ・・・」
◆「あー!!!」
高木「!!?・・・ど、どうしたんだね」
◆「※ちゃんの賞状があるー!!!」
高木「!!!!!」
高木「す、捨ててなかったのがあったのか・・・」
◆「※ちゃんも素敵だったってお母さん言ってたよ!」
高木「あ、ああ・・・そう、だな」ズキ・・・
◆「でも※ちゃんは酷いことしちゃったっても言ってた!」
高木「あ、ああ・・・よ、よく知っているね・・・」
◆「でもでも!※ちゃんのことも好きだったんだって!お母さんは!」
高木「そ、そうなんだね」
◆「・・・フンフーン♪」ガサゴソ・・・
◆「あっ!!」
”履歴書 「天海 春香」”
高木「!?・・・り、履歴書!?昨日来た天海くんのじゃないか・・・!!」
◆「かわいい人だねー、この子もアイドルだったの?」
高木「い、いや・・・その子はだね・・・」
◆「・・・・・・♪」ガサゴソ
高木「こ・・・!こらこら!もういじっちゃ・・・!!」
高木「・・・・・・!!?」
”履歴書 「水瀬 伊織」” ”履歴書 「菊池 真」”・・・
高木「(な、なにが起こってるんだ・・・!!先日やって来た子達の履歴書が・・・!!こんなところから・・・!!)」
◆「みんな美人で可愛い人ばっかり!」
高木「・・・・・・・・・」
◆「あ!ねぇ、おじさん!」
高木「・・・・・・・・・?」
◆「お母さんは、ずっと765プロのファンだって!」
高木「・・・・・・」
◆「もういちど立ち上がってほしいって!立ち直ってほしいって!そう言ってたよ!!」
高木「・・・・・・!」
◆「それじゃあ荒らしちゃってごめんなさいー!お母さんが心配するから帰るね!!」
ガチャ!! トテテテテテ・・・
高木「あっ!!ま、待ちたまえ!!君!!君ィ!!!」ドタドタドタ
ヒュウウウウウ・・・・
高木「(も・・・もういない・・・)」
高木「・・・」
ポツン・・・
高木「・・・お守り・・・また忘れていってるじゃないか・・・」
スッ・・・
高木「・・・」
高木「・・・・・・」
高木「・・・・・・・・・--------」
ヒュウウウウ・・・
???「・・・社長・・・」
???「こんな寒空の下、ボーッと突っ立っているだなんて、風邪引いちゃいますよ?」
高木「!?」
高木「・・・き、君は・・・!!」
小鳥「ふふふ・・・求人広告を見て、会社辞めて飛んできちゃいました」
小鳥「・・・もう一度765プロを始めるのに、呼んでくれないだなんて水臭いですよ・・・高木社長」
高木「お、音無くん・・・!!!」
小鳥「私、もうアイドルは出来そうもないですが・・・○さんのしていた事務くらいなら、やれますから・・・」
小鳥「面接・・・受けさせてくれますか・・・?」
高木「・・・・・・!!!」
高木「(まさか・・・音無くんが来るだなんて・・・!!)」
高木「・・・・・・・・・」パッ・・・
高木「(あの子の・・・お守り・・・)」
高木「(・・・”もう一度立ち上がってほしい、立ち直ってほしい”・・・か)」
高木「(・・・・・・・・・!!!!!)」ギュッ!!
高木「ーーーーーー・・・・・・ああ!勿論だとも!!入りたまえ!!」
小鳥「はい!・・・グ・・グス・・・」
高木「・・・はっはっは・・・君は昔から涙脆いな」
小鳥「グス・・・だって・・・だって・・・」ポロ・・・
高木「さぁ、外は寒い・・・入りたまえ・・・」
小鳥「はい・・・うぇえええん・・・!!」ポロポロ・・・
ブロロロロロロロ・・・・
冬馬「おっさん、なんでこんなとこで車停めたんだよ」
黒井「黙れ!私の車だ。私の勝手で停めて何が悪い!」
黒井「・・・・・・」チラッ
黒井「(・・・不可思議なことを言うものだから、最後ぐらい看取ってやろうと来てみれば・・・)」
黒井「(あれは・・・いつかの小娘じゃないか・・・)」
黒井「(フン・・・何が765プロの求人を書いたか?、だ)」
黒井「(貴様が自分で書いて出したんだろうが)」
黒井「(・・・765の求人を出せばあれだけ懐いていた小娘が来ないわけがない!!全て計算済みということか!高木の奴め・・・!!)」
黒井「(・・・・・・・・・・・・・)」
黒井「(・・・もう、引き抜きのことは、諦めてやるとするか・・・)」
冬馬「・・・おい、おっさん。明日はえーんだから早く帰してくれよ」
冬馬「?・・・おっさん、なに笑ってんだよ気味わりぃ」
黒井「うるさい!!帰るぞ!!!」
ブロロロロロー!!!
黒井「(フン!・・・貴様が立ち直ったのなら私は私の出来ることをしてやる・・・!!)」
黒井「(まずは、765プロのイメージアップからだな・・・)」クックック・・・
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・------
~~~~~~~~~
一年後・・・
【765プロ/社長室】
高木「まぁ、かけてくれたまえ」
黒井「ウィ、くだらん用だったら直ぐ帰るぞ」
高木「なーに、退屈はさせんさ」
ゴトン・・・
高木「ワインだ、○○の1×××年物。・・・私も手に入れた」
黒井「・・・!!!」
高木「765プロは安泰だ。皆のお陰でもあるが、お前のお陰でもある・・・黒井・・・」
黒井「フ!フン!!・・・私のお陰だと?何を言・・・」
高木「765プロの記事・・・全てお前の仕業だろ?」
黒井「なっ!!!!」
高木「バレているよ」ハッハッハ
黒井「チィ・・・!・・・早く注げ!!酒が不味くなる!!」
高木「ああ、分かった分かった」
トットットット・・・
高木「ほら」
黒井「~~~ッ!!!!相変わらず下手糞めが~~~!!!貸してみろ!!!」
・・・・・・・・・スゥー・・・
高木「ほう・・・!」
黒井「こう注ぐのだ!!・・・これは貴様が飲め!!」
高木「注いでくれたのか?・・・ありがとう」ニコ
黒井「御託はいいからさっさと乾杯しろ!!変態プロダションの弱小社長めが!!」
カコン・・・
高木「変態?」クイッ
黒井「女ばかりを揃えた事務所など!変態以外の何者でもないだろうが!!」クイッ
高木「ははは・・・確かに女性ばかりだ・・・そう言われても仕方ないかもな」
黒井「プロデューサーは男のようだが・・・奴はアイドル共に現を抜かしている変態プロデューサーだ!!」グイー!!
高木「はっはっはっは、そう言ってくれるな、彼は有能だ」グイ
黒井「・・・ほら、貴様の酒だ!貴様が飲め!」
・・・・・・・・・スゥー・・・
高木「・・・なんだか懐かしいやり取りだな」
黒井「フン!!」
高木「これからも、765プロをよろしく頼むよ」クイ
黒井「・・・~~~!!誰が頼まれてやるか!!今度は記者にとんでもないものを書かせてやる!」グイー!
高木「あーそれは困るな」ハッハッハ
黒井「困れ困れ!!」ムカー!!
黒井「チッ・・・・・・」クイッ
黒井「・・・!・・・・・・しっかし、貴様はまだ個性だのなんだの甘ったれたことを言ってるらしいな~?」
高木「うむ、そうだとも!アイドルは一人一人見極め、個性を伸ばしていくべきだ!」
黒井「いいや!!アイドルとはだな・・・!!」
高木「むっ、やるか!?我が宿敵め!!」
黒井「貴様の捻じ曲がった根性!今日こそ叩き直してくれるわ!!!」
~~~~~~~~~
黒井「」グゥ・・・
高木「ヒック・・・なんだ、寝てしまったのか・・・?まだまだこれからという時に・・・」
黒井「」グピー・・・
高木「・・・お前は酒に強い方だが、私より弱いところは変わらずだな」ハハハ・・・
高木「ふー・・・酒を持ってくるか・・・」ガタ・・・
ポロ・・・
高木「ん?なんだ・・・?」
高木「これは・・・」
高木「いつかの・・・お守り・・・」
スッ・・・
高木「・・・あの日、このお守りを預かってから、いろいろな事が様変わりしたんだっけな・・・」ハハ・・・
高木「ははは、いつ見ても不恰好なお守りだ・・・・・・・・・」
高木「・・・・・・・・・」
高木「・・・・・・・・・・・・」
高木「・・・あの子、結局取りに来なかったな・・・」
・・・ガチャ! キィィ・・・
高木「?・・・誰か入ってきた・・・?」
高木「・・・今日は全員出払って、夜まで帰って来ないはずだが・・・」
ガチャ
高木「!・・・き、君、社長室まで何の用かね・・・!」
高木「(!!!!)」
高木「ティンときた!!!」ティーン!!
■「??・・・ティン・・・?」
高木「・・・あ、いや!な、何か用かね・・・?」
■「すみません・・・一番下の妹がいつだかお守りを忘れたみたいで・・・」
高木「ああ!!あのときの・・・!!」
高木「丁度、お守りのことが気に掛かっていたところだったんだ!!」
スッ・・・
高木「・・・これだね?」
■「ああ!これですこれ!・・・はぁ~~、良かった~~~・・・」ホッ
高木「ハハハ・・・しかし一年越しに取りに来るなんてなぁ」
■「どうもすみませんでした」ペコ
高木「いやいや、気にすることはない。私もすっかり忘れてしまっていてね・・・」
高木「・・・見たところ、君は中学生かな?」
■「はい、中学○年生です」
高木「ハッハッハ・・・ならお酒は振る舞えないな!」
高木「待っていてくれたまえ、この一年越しの奇跡に乾杯といこうじゃないか」
■「ま、待ってください!!!」
高木「!!・・・な、なんだね?」
■「わ、私・・・飛び込み面接に・・・来ました!!」
高木「(飛び込み面接・・・?一年前の春香くん達以来、ピタリと止んだのだが・・・)」
高木「あ、いや・・・いいだろう、君には光るものがある・・・!」
■「ほ、本当ですか!?」
■「あ・・・!こ、この日の為に衣装も持ってきたんです・・・!」パッ!
キラキラキラ・・・
高木「!!!!!!」
高木「・・・こ、これは・・・!!!」
キラキラキラ・・・
高木「君は・・・君は・・・・・!!!!」
■「子供の私でも簡単に着られるような衣装なんですけど・・・」キュッキュ
ヒラリ・・・
高木「ああ・・・・!」
高木「ああ・・・あああああ・・・!!」
■「私の憧れで、お母さんが大好きだったアイドル」
■「・・・小鳥さんの、”空”・・・歌います」
・・・・・・~~~♪
高木「ああ・・・ああああ・・・!!!」ジワッ・・・
~~~♪~~~♪
~♪ ・・・~~~~♪
高木「(そんな・・・!・・・こんなことが・・・!!!)」
~~~♪・・・~~~♪
~~♪~~~~♪
高木「・・・・・・・・・!!!」
■「・・・はいっ、最初のサビの部分まで・・・!」
高木「君は・・・君は・・・」フルフル・・・
高木「・・・○美・・・○美なのか・・・・・・!?」ツー・・・
■「・・・・・・・・・」
高木「今まで来ていた子も全部・・・○美なのか・・・!!?」ポロポロ・・・
高木「こ、この十数年の成長を・・・私に・・・私に見せてくれていたのか・・・!?」ポロポロ・・・
■「・・・・・・」
・・・・・・・・・---------
「・・・さん」
○美「・・・お父、さん・・・」
高木「お守りを渡して・・・私を守ってくれていたのか・・・!?進ませてくれていたのか・・・!!?」ポロポロポロ
○美「ううん・・・」
○美「進む決心をしてくれたのは・・・お父さんだよ・・・」
高木「○美・・・○美・・・!!」ポロポロ・・・
○美「ねぇお父さん・・・?・・・わたし・・・わたし、アイドルになれそう・・・?」
高木「ああ・・・!!なれるとも・・・!!なれるとも・・・!!」ポロポロ・・・
高木「!!そうだ!私が直々にプロデュースしてやろう!!」グシグシ
高木「よ!よ-し!!久々に腕がなるぞ~~~~!!」ハハハ
○美「・・・お父さん・・・駄目だよ・・・」
○美「・・・私、死んじゃってるから・・・」
高木「ハハハ!!・・・ハ・・・!!・・・○・・・○美・・・」ポロ・・・
高木「すまない・・・すまなかった・・・」ポロポロ・・・
高木「あの日・・・!!・・・辛かったろう・・・苦しかったろう・・・」ポロポロ・・・
高木「私はずっとあの日のことを・・・○美「・・・いいんだよ」
高木「○美・・・!!!」ポロポロ・・・
○美「なんにも気にしなくていいの・・・」
○美「私は・・・ただ・・・」
○美「ただね・・・」
○美「・・・お父さんが元気になってほしかった・・・」
○美「お父さんがあの日仕事に行ったこと、後悔し続けてほしくなかった・・・」
○美「お父さんが活き活きと仕事してるとこ、また見たかった・・・」
○美「お父さんが買ってくれた衣装・・・着て見せたかった・・・」
高木「○美・・・!!!○美・・・・!!!」ダキッ!!!
○美「お父さんのこと、お父さんって、呼びたかった・・・」
○美「それだけなの・・・」ジワ・・・
○美「お母さん、すごく感謝してたよ・・・?」
○美「”○美のことがあったから、お母さんが亡くなるまでずっと傍を離れないでいてくれたんだ”って・・・”最後まで一緒にいてくれたんだ”って・・・」ポロ・・・
高木「うううううううう!!!」ポロポロポロポロ・・・
○美「でも、お父さん、ずっと泣かないから・・・二人で心配してたんだよ・・・?」ポロポロ・・・
○美「我慢して我慢して・・・溜め込んで溜め込んで・・・」
○美「泣きたいときは、泣いたらいいんだよ・・・?」ポロポロ・・・
高木「うううううう!!!○美・・・!○美・・・!」ギュウウ・・・ ポロポロ・・・
○美「えへへへ・・・お父さん、あったかいね・・・」ギュ・・・
○美「765プロダクション・・・また、活気が出たね・・・」グス・・・
高木「○美、○美・・・!!おかげで・・・!おかげで765プロダクションは・・・もう心配いらないよ・・・!!」ポロポロ・・・
○美「・・・うん、見てたから知ってる」フフ
○美「・・・お父さん・・・いっぱい大変だったのに・・・いっぱい辛い思いしたのに・・・」
○美「また元気になってくれて・・・ありがとう・・・」
○美「もう、頑張らなくて、いいんだよ・・・」
○美「いっぱい頑張ってくれたから・・・もうがんばらなくていいんだよ・・・」
高木「うう・・・!!うううううううう!!!」ポロポロポロ
○美「行こう・・・ほら、お母さんも・・・待ってる」
高木「・・・うううう・・・・!!!」ポロポロ・・・
高木「・・・・・・!!!!」ポロポロポロ・・・
高木「・・・・!!・・・・・・・・あ・・・ああっ・・・!!!!」ブワ・・・
ーーーー・・・順一朗さん・・・お疲れ様・・・ーーーー
ーーーー・・・いーっぱい・・・ありがとう・・・ーーーー
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・ーーーーーー
・・・十数年の時を経て、再び会社を急成長させ
様々なSランクアイドルを一年で育て上げた765プロ
そして、そのプロダクションの社長
高木順一朗はその日、静かに息を引き取った
享年55歳。若すぎる死だった
・・・しかし、彼の成し遂げた偉業と
一年の中で起きた数々の奇跡は
永遠に語り継がれることとなる。
・・・
・・・・・・ウィ、奴の話は、これで終いだ
うまく記事にしてくれたまえよ・・・
・・・
・・・・・・ーーーーーー
・・・・・・・・・ーーーーーーーー
終わり
素晴らしい。涙止まらない、ありがとうございます
乙乙
徳丸さん…
乙
チクショウ…泣けるじゃないか…
まさか社長で泣く日が来るとは
乙
よかった
乙
▲
ちょっと読みづらいけど面白かったよ
乙
おお…………マジか…………
乙
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