絵里『そう、あなたと一緒にいたの』
絵里『今日の練習は中止って花陽にも伝えてくれる?』
希「おっけ~」
ピッ
花陽「誰から?」
希「あ、起きてたん」
花陽「うん、たった今」
希「電話はエリち。今日の練習は中止だって」
花陽「なんで?」
希「にこっちと海未ちゃんが風邪ひいたって」
花陽「昨日、二人ともコンコン咳してたもんね」
希「この季節が風邪がはやってるからなあ」
希「ちゃんと体温めんと」ギュッ
花陽「希ちゃん///」
希「ということで、早速」
花陽「――よろしくお願いします」
ワシワシ
花陽「ぴぎゃ!」
希「ふふ、どうや」
花陽「か、必ず耐えてみせる」
花陽「わしわしの効かない女に、花陽はなってみせます」
希「ありがと、花陽ちゃん」
ワシワシ
花陽「ぴぎぃ!」
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―――――――
〈数日前〉
希「隙あり!」
ワシワシ
花陽「ひゃあ!」
希「相変わらず花陽ちゃんはわしわしのしがいがあるなあ」
花陽「や、やめてよ~」
希「ほい、仰せの通りに」
花陽「ふう……もう希ちゃん!」
希「ごめんごめん」
希「けど、どうしても止められんの」
希「ウチ、《1日1回わしわしをしないと爆発する病》なんよ」
花陽「エエエェェエ!?そうだったのォ!?」
希「うん」
花陽「大変なんだね」
希(え、信じたん?)
花陽「それじゃ、これからは言ってからしてね」
花陽「希ちゃんのためなら、いくらでもわしわしされるよ」
希「花陽ちゃん……」
希(もう、どんだけピュアエンジェルなんや、この子は)
希「ありがと」
花陽「えへへ」
花陽「あ、でも学校が休みの日はどうしてるの?」
希「え?」
花陽「だって、わしわしする相手がいないんじゃ……」
希(あかん、どうしよう)
希「えっと、それはやねー」
希(そうや!)
希「実はな、1日1回っていうのはあくまでウチが決めた目安で」
希「本当は週に7回わしわしをしないと爆発するんよ」
花陽「ということは」
希「そう。1日2回やれば次の日しなくてもいい」
花陽「5日で7回やれば、土日はしなくてもいい」
希「そういうことや」
花陽「だからあんなに皆にわしわししてたんだね」
希「そうなんよ」
希「でも、皆に本当のことを言うたら、いろいろと気を遣われそうで」
花陽「希ちゃん……」
希「勢いでつい花陽ちゃんに言っちゃったけど」
花陽「ううん、わたし、嬉しいよ」
花陽「希ちゃんのこと、もっと分かったようで」キラキラ
希(うう、この瞳の前で今更ウソだなんて言えんよ)
花陽「ねえ、希ちゃん。今度の連休、泊まりに行っていい?」
希「え、どうして?」
花陽「そこで花陽にいっぱいわしわしして」
花陽「そしたら、当分のあいだ安全になるでしょ」
花陽「それに、希ちゃんの家にも上がってみたいなー、なんて」モジモジ
希「花陽ちゃん」
ギュー
花陽「ひゃ!ど、どうしたの、希ちゃん?」
希「ウチ、花陽ちゃんのこと大好きや」
花陽「ありがとう、嬉しいな///」
〈土曜日〉
花陽「お邪魔します」
希「遠慮なくくつろいで」
花陽「希ちゃんのおうち、アパートだったんだね」
花陽「泊まって迷惑じゃないかな」
希「気にせんでもええよ。ウチ、一人暮らしやから」
花陽「そうだったんだ」
希「ところで夕飯はなに食べたい?」
花陽「う~ん」
希「やっぱりお米?」
花陽「希ちゃんのつくってくれるものなら何でもいいよ」
希「お、ウチに料理つくらせる気なん?」
花陽「あ、いや、そういうわけじゃ――」
希「よっしゃ、花陽ちゃんのためや、腕ふるうよ」
花陽「あ、ありがとう」
希「やっぱここはおうどんさんかな~」
希「ありゃ」
花陽「どうしたの?」
希「切らしてたみたい」
希「しょうがない、お肉でも焼こうか」
花陽「うん、楽しみ」
希「それに、ほっかほかのご飯も用意するよ」
花陽「うわあぁぁ!ありがとう!」
希「その間、花陽ちゃんはシャワーでも浴びてきたら?」
花陽「いいの?」
希「もちろん。練習後の乙女のケアを阻むほどウチは鬼じゃないよ」
花陽「そ、そういうことじゃなくて~」
希「浴室はあっちやから」
花陽「じゃあ使わせてもらうね」
カポーン
シャー
花陽「ふう、いいお湯」
花陽「人の家のお風呂ってなんか新鮮だな」
花陽「凛ちゃんのおうち以外じゃ初めてかも」
花陽「♪」
花陽「シャンプーも使わせてもらいます」
シャカシャカ
ザー
希「ふふふ」
ガララ
花陽「はあ、さっぱりさっぱり」
ワシワシ
花陽「ぴゃあ!」
希「ウチもいーれーて」
花陽「の、希ちゃん」
花陽「もう!」
希「はは、怒らんといて」
希「ウチ、今日まだわしわししとらんかったんよ」
花陽「だからってお風呂中に……」
希「ごめん。けどウチ、怖かったん。もしかしたら爆発するかもって」
花陽「……花陽、わしわしを克服してみせるね」
希「どうしたの急に?」
花陽「そうすれば、希ちゃんがいつしてきても平気だし」
花陽「希ちゃんも気兼ねなくできるでしょ」パアア
希(うう、天使や、大天使パナエルや)
希「ちょうどご飯が炊けたみたいやね」
花陽「ジュル」
希「ウチ、これからお肉焼くから」
希「花陽ちゃんはご飯だけでも食べてる?」
花陽「はい!」
希「じゃ、大盛りにしとくね」
希「はい、召し上がれ」
花陽「いただきます!」
パクパク
希「いっぱい食べてな~」
花陽「ふぁい」モグモグ
希「じゃ、今日はもう寝ようか」
花陽「うん」
希「それじゃ、お休み前のわしわしや」
花陽「どうぞ」
ワシワシ
花陽「ひゃう!」
希「わしわしは簡単に攻略できんよ」
花陽「な、なんとしても……あう!」
希(なんか悪い気もするけど)
希(この際、存分に堪能させてもらうよ、花陽ちゃん)
―――――――
花陽「いただきます」
希「ごめんね、こんな簡単な朝食で」
花陽「そんなことないよ」
花陽「このご飯も、目玉焼きも、すっごくおいしいよ」
希「ありがとう」
希「花陽ちゃん、今日なんか予定ある?」
花陽「とくにないよ」
希「じゃ、練習が休みになっちゃったから」
希「二人で遊びに行かへん?」
花陽「うん、ぜひ」
希「遊園地とかどう?」
花陽「え?」
希「やっぱちょっと子どもっぽいかな」
花陽「そんなことないよ。わたし、遊園地大好き」
希「それじゃ、決まりやね」
希「やっぱ休日なだけあって混んでるな~」
花陽「だね」
希「あ、花陽ちゃん。入場料はウチが出すね」
花陽「え、そんな、悪いよ」
希「せめてものお礼や。受け取って」
花陽「う、うん。じゃあお言葉に甘えて」
希「やっぱり花陽ちゃんは素直なええ子やね」
花陽「///」
希「最初はどれに乗りたい?」
花陽「あんまり激しいのはちょっと……」
希「ふんふん、それじゃここはベタにメリーゴーランドで」
希「花陽ちゃーん、こっち向いてー」
花陽「へへ」ピース
希「1周するごとに別のポーズ決めてな~」
花陽「エエエェェエ!?」
子ども「お姉ちゃんうるさい」
子ども「メリーゴーランドには静かに乗ってよね」
花陽「ご、ごめんなさい」
希「これは鏡の迷宮やね」
花陽「わたし、こういうの苦手です」
希「そんなら、はぐれんように手つなぎや」ギュッ
花陽「わっ!……ありがとう、希ちゃん」
希「任しとき」
希「ウチのスピリチュアルパワーなら一発でゴールや」
希「……」
花陽「……」
希「……」
希「出口どこ?」
希「負けんよー、花陽ちゃん」
花陽「わたしも負けません」
希「レディ、ゴー」
ブーン
希「ゴーカートとはいえ、運転は難しいなあ」
花陽「花陽はとある遊園地でゴーカートを極めた女」
花陽「この勝負、負けるはずありません!」
花陽「ここでスピードを上げ、一気に離します」
希「あ、花陽ちゃんが思いっきり壁に激突した……」
希「だ、大丈夫!?」
希「ほーれほれほれー」
花陽「希ちゃん、あんまり早く回さないでぇー」
希「コーヒーカップの醍醐味はこれやん?」
花陽「ひいいいー」
希「どんどん飛ばすよー」
花陽「ひゃああああー」
―――――――
花陽「はあはあ」グッタリ
希「ごめん花陽ちゃん。ウチ、調子乗りすぎたわ」
花陽「激しいのは嫌いって言ったのに~」
希「それじゃ、最後に定番中の定番、あれ乗ろうか」
花陽「観覧車……うん、そうだね」
希「あのね、花陽ちゃん」
花陽「なに?」
希「ウチ、実は遊園地来たの初めてなんよ」
花陽「そうなの?」
花陽「でも、あんなに詳しかったり」
希「雑誌とかの受け売り」
花陽「そっか」
花陽(希ちゃん、ご両親が忙しいって言ってたから……)
希「ごめん、何か変なこと言ったみたいやね」
花陽「ううん」
花陽「で、どうだった?初めてきた遊園地の感想は」
希「もう最高やった!」
花陽「良かった」
希「みんながハマるのも分かるわ」
花陽「今度は、皆でまた来ようね」
希「そうやね」
花陽「あ、見てみて、希ちゃん」
希「うわあ」
花陽「きれいな夕日だね」
花陽「なんか、心が洗われそう」
希「花陽ちゃんはもとから充分きれいやん」
花陽「そ、そんなこと――」
希「ウチが言うんやから間違いない!」
花陽「えへへ、ありがとう」
花陽「でも、そういう希ちゃんもそうだよ」
希「え?」
花陽「いつも皆ことを優しく見守ってくれて」
花陽「μ's結成のときも、穂乃果ちゃんたちと同じくらい頑張ってくれて」
花陽「きっと、希ちゃんがいなかったら、わたしたち全員揃わなかった」
花陽「だからね、今回、不謹慎かもしれないけど、嬉しかった」
花陽「わたし、やっと希ちゃんに恩返しができる」
花陽「希ちゃんの役に立てる、そう思うと――」
花陽「だから希ちゃん、これからも遠慮なくわしわししてね」
希「花陽ちゃん……」
花陽「ふう、やっと言えた……なんてね」
花陽「ねえ希ちゃん」
花陽「観覧車ってやっぱりいいね」
花陽「ほら、街があんなに小さく」
花陽「怪獣にでもなった気分」
花陽「シャーー!……なんて、凛ちゃんなら言うかな」
花陽「って、そんなわけないか」
希「花陽ちゃん」
希「ごめんなさい」
花陽「え?ど、どうしたの突然……」
希「ウチな、ウソついてた」
花陽「ウソ?」
希「わしわししないと爆発するなんて、ウソ」
花陽「ええ!?」
希「本当にごめんね」
花陽「どうしてそんなこと」
希「わしわしを正当化するための方便」
希「けど、もう限界や」
希「これ以上花陽ちゃんにウソつき続けたら罰が当たる」
希「お天道様がそう告げたんよ」
希「ううん、違う」
希「ウチがもう、耐えられなくなった」
希「勝手やけどね」
花陽「希ちゃん……」
希「嫌いに……なっちゃった……?」
ダキッ
希「……花陽ちゃん」
花陽「良かった」
花陽「希ちゃんが変な病気じゃなくて」
花陽「本当に」
希「……」
花陽「爆発しないんだよね」
希「うん」
花陽「危なくないんだよね」
希「うん」
花陽「これからも、一緒にいれるんだよね」
希「うん」
希「ありがとう、花陽ちゃん」
ダキッ
花陽「希ちゃんのウソのおかげで」
花陽「花陽は素敵な時間を過ごせたよ」
のぞぱないいぞ~
―――――――
にこ「ぎゃ!」
ワシワシ
希「にこっち、風邪はすっかり治ったみたいやね」
にこ「の~ぞ~みぃ~」
希「スキンシップやん」
にこ「ならあんたにもしてやろうかぁ?」
希「ほな、優しくな」
にこ「待ちなさいのぞ――って、あれ?」
希「どうしたん?」
にこ「いや、いつもの希ならわしわし返しされる前に逃げるから……」
希「たまにはウチもわしわしを味わわんとね」
にこ「いい心掛けじゃない」
にこ「この恨み、今こそ――」
ササッ
ワシワシ
にこ「ぎょえ!」
にこ「あんたねえ~」
希「ごめんな、にこっち」
希「ウチ、《1日2回わしわししないと爆発する病》なんよ」
にこ「そんなもん信じる馬鹿がいるか!」
ワシワシマックス
にこ「ひぎい!」
希「そんな言葉遣いはあかんで!」
にこ「分かったから、もうやめて~!」
花陽「あははは(汗)」
おしまい
初乙
あったけぇ
つまんね
のぞぱないいぞ!
これはいいのぞぱな
かわいい
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