あの日の光景を思い出すエレン

巨人が壁の中に入って来て
母さんを食われ
無力な自分達はただただ逃げる事しかできなかった

でも もう今はあの日とは違う

エレンが地下室の鍵を懐から取り出して見つめている

ハンジ「…いよいよ だね…」

エルヴィン「………」

リヴァイ「エルヴィン お前の追い求めてきた夢とやらが ここにあれば良いな じゃねえとここにたどり着くまでに死んだ兵士達はクソ無駄死にだ」

エルヴィン「ああ それをこれからこの目で確かめるよ」

エルヴィンは疲弊しきっている

アルミン「いよいよだね エレン」

アルミンがエレンの肩を叩く

一瞬ハッとして、アルミンの方を振り向くエレン

エレン「あ ああ…本当に長かった…ここにたどり着くまでに沢山の尊い命が犠牲になった…親父がたどり着かなきゃならねえってまで言った俺ん家の地下室…この先に皆の犠牲の代償になる物があるのか…？」

エレンが鍵を強く握りしめながら呟く


ミカサ「エレン 大丈夫 きっとこの先に全ての答えがある 死んでいった人達を生かすも殺すもこの先のあなた次第」

ミカサがエレンの肩を叩き強い口調で言い聞かす

エレン「ミカサ…ああ…だよな…」

リヴァイ「だと良いがな」

エレンが地下室に繋がるドアの鍵穴に鍵を差し込む

ガチャ

施錠が外され、ドアを開くと
地下室に続く階段が姿を現した

一同「……………」

誰もが息をのむ。

ハンジ「…よし じゃあ行くとしよう 行って確かめよう この先にあるとされる世界の真実を！」

エレン「…は はい…！」

エルヴィンの指示でジャンを含む数人の生き残った兵士がエレン宅の入り口付近にて警備にあたる

ジャン「おい エレン」

エレン「？」

ジャンの呼び掛けに振り向くエレン

ジャン「別にお前には何の責任も無いんだがよ…サシャとコニー…死んだ仲間達のためにもこの先に人類の希望がある事を願ってるぜ…」

そう言い放つジャンの顔は暗い

エレン「ああ…」

一同は地下室への階段を一歩一歩
降りて行く

一段 また一段と階段を下る一同

しばらくすると扉が見えてきた

エレン「……」

エレンは皆と視線を合わせて無言で
頷く

それに合わせて皆もまた頷く

ドアの取っ手に手をかけるエレン

エレン「この奥に…」

グリシャのフラッシュバック

（ミカサやアルミン皆を救いたいのならー）

エレン「父さんの残したこの世界の謎が」

グリシャのフラッシュバック

（必ず地下室にたどり着かなくてはならないー）

ガチャ

扉が開いた

目の前に広がる光景 そこには

エレン「……ッ！」

エルヴィン「……！」

アルミン「こ これは…！？」


一歩部屋へと入るエレン

エレン「こ これって…」

そこには狭くも無く特別広いとも言えない普通の部屋が広がっていた

机や本棚には見たことも無いような書籍が並べられていた

リヴァイ「これがお前が知りたがっていたものなのか？エルヴィン」

エルヴィンは口を半開きにし、部屋の隅々を見渡していて、リヴァイの問いかけにもまるで気付いていないようだ


ハンジ「これがグリシャさんがエレンにたどり着けと言い放った地下室？あまりにも普通過ぎて何とも言えない…」

エレン「…ええ 」

エレンも何がなんだかといった表情で辺りを見渡す

ふと机に目をやると、何やら書類のような物が山積みにされてあった

エレンは近寄り それに触れる

エレン「父さん……」

が、そのとき

ﾋﾞﾘﾘｯ

エレン「！？」

エレンの脳内に異変が起きた

エレン「…ッ！ああっ！ああああ！」

ミカサ「エレン！？」

アルミン「エレンどうしたの！？」

ミカサ アルミンが心配してエレンに近寄る

意識が朦朧としているエレン

エレン「…あ あ…？」

エレンの脳内で溢れ出る記憶

全てグリシャの視点

猿巨人の中身だった人物がグリシャに何かを告げている

若き日のグリシャが猿巨人の中身だった人物と言い争いをしている

故郷と呼ばれる場所での壁内人に対する異常な敵対心に疑問を抱き単身壁に向かうグリシャ

キースに出会うグリシャ

エレンは 記憶を辿る中ふと思い出す

グリシャの言葉

人間の探求心とは誰かに言われてー

エレン「父さんも…同じだったの…？」


アルミン「エレン大丈夫なの？しっかりしてよ！？」

エレンの中の記憶はまだ遡る

グリシャがどこかでフリーダと会い話をしている場面

フリーダの悲しいながらも何かを覚悟した表情が見える場面

グリシャがフリーダを捕食する際
フリーダが一瞬だけ微笑んでいるように見える場面

初めて巨人にエレンに捕食される場面