道
うん、道
なんか目開けたらものっそい長い道が続いてんやけど
えっ、何これ
私、さっきまで何してたっけ? どこいたっけ?
うーん
うーーん
うーーーん
うん
思い出せへん
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449844202
あ、これあれや
夢やね
あれやね、め、め、めい…………明晰夢!
それだ、よく覚えてたあたし。これは起きたらアイスも辞さない構えである
目の前の道はめちゃんこ長いし、遠くなんて見えへんし
ほんと、どこまで続いてんやろこれ
んー、っと……
右を向くと、くろ
左を向いても、くろ
真っ黒
えっ、こわ。ちかよらんとこ……でも、ちょっと気になるなぁ
うーん…………や、なしなし! 今はなし! こわいわけやないし、うん、決して
後ろは……
わっ
すごっ、なにこれ……色?
文字通り、色取り取りの色がたくさん……って、よく見たら、なんやろ、あれ
ぞう……象? 緑のゾウさんがおる。あと、キリンさん……斑点はどこやっちゃったん?まっ黄色やん君
わっ、ライオンもおる! めっちゃ灰色やん……てか、大丈夫? 襲って来たりせーへん?ちょいとこわいんやけ
ど
あ、凄い紅い犬がいる……蒼い猫もいる。凛ちゃんが好きそうやなぁ……追っかけっこして楽しそう
……って! ライオンの近く通って大丈……あ、素通りした……微動だにしないやん……
何かの群れもいる。なんやろ……銀色の、魚? 凄いなぁ、お魚さんもお空飛べる時代になったかぁ
あとは……おー、金ぴかのお猿さんなんかもいるやん。なんか紗南ちゃんのやってたゲームに似たようなんおっ
たなぁ。もっとおっきかったけど
見逃してた、皆の上に鳥もいるやん。虹色の鳥
きれーだなー……
あ……何か、全体的に見たら虹みたいやなぁ。色んな色が混ざり合って、虹に見える
悪い気はしないなぁ……綺麗
……ん? あれ、飛行船もある。なんやろ? 他のみたいに、なんや変な色はしてへんし
…………うーん
なんか、みたことあるよーなカンジ、しなくもないよーな
んー……
あー……
…………あー、思い出した
前、見たやつや。前に夢で見た飛行船やんね。いつやっけなぁ……去年の誕生日? うん、確かそう、そのはず
そういえば、色取り取りのみんなもあのときにいたよね。思い出した
ん? てことはこれ、あのときの夢の続きやんね
うーん
前を見返しても、やっぱりながーい道だけ
どーしよ、これ。とりあえず進むべき? なんて聞いても誰も答えてくれへんし
じゃっ、ちょいと歩いてみましょっと
道、道、道……
歩けど歩けど道ばかり。景色もなーんも変わんない
あ、でも、後ろにあった虹はもうちっちゃくなってる
どんどん遠ざかっていって、後ろには道しかなくなっちゃった
ちょっと寂しいな。もう一度虹を見に、戻ってみる? なんて、冗談は笑うのが礼儀でしょ、飽きれないで笑ってよ、って
笑ってくれる相手は、今ここにいないけれど
やっぱりさ、この道の先が気になるんよねー
なんやかんや行って、しゅーこちゃんだって興味が尽きない女の子な訳だし、気になるものはしゃーないしゃー
ない
行けるとこまで行ってみよー
ふぅ……結構歩いた、思ったより遠くまで来たなぁ
虹はぜーんぜん見えなくなっちゃった
あの夢を見ていた頃の私の顔なんて、もう忘れちゃったよ
どんな顔してたかな? きっと、今の私とは全然違うんだろうな
まぁ、いい意味でも悪い意味でも、泣いたり笑ったり、今の私と比べたら何かが違うんだろうって、確証はないけれど
でもきっとそんな気がする
たくさん歩いた
足跡の無い道だったけど、自分なりに上手く歩いてきたはず
そう信じたいなぁ
Pさんに出会って、スカウトされて
皆に出会って、一緒に頑張って
シンデレラになることが出来た
あの時、私が選んだ道は正しかったのかな、って
道すがら思い出したり
後悔でも失念でもないし、嫌な思い出でもないけれど、少しだけ口の中が酸っぱくなったり
結局さ、今の私はシンデレラなんだけど、今でも夢のようっていうか、なんていうか……
私の幼いときの夢なんて、お金持ちになりたーい! とか、なんもしたくなーい、だらだらしてたーい! 宿題したくなーい!とか
お腹すいたー! とか。そんな下らないものばかりだったけれど
シンデレラになりたいって思った私の幼い夢は、灰をかぶった今でも眺めてる
実感が沸かない訳じゃないんだけど、まだ私の思う本当のシンデレラにはなれていないのかもね
って悩んでる位だから、私自身まだ分かっていないんだけど
ずーっと、ずーっと悩んでる
何度も、何度も、何度も
キミと一緒に
全てが変わるかもしれない蜘蛛の糸をよじ登ってさ、Pさんに出会って、アイドル活動初めてさ
Pさんと出会った時は、運命? とか、なんとか感じちゃったりしてさー
あー、私の人生、これから変わるんだろうなー……とか思ってたら予想以上に変わっちゃって!
本当に驚いたし、笑って、泣いたし……今でもついて行けてるかどうか、自分に対して半信半疑よ
結局、私達は認め合わなきゃダメだったんだよね
私自身の本心と、私の本心と
時代も背景もそぐわない。遺物だったんだよ。自分を変えなきゃダメなんだって
だから私は壁画の夢を抜け出して、今迄の私じゃダメなんだって、今迄の私を投げ捨てて、新しい自分になったんだって
本当にそれが出来ていたかは分からないけれど、少なくとも自分ではその為に全力でやってきたつもりだし
その結果は成功したって言えるようなものなのかも分からないけれど、やっぱり来るところまで来たから
灰かぶりに恥じないよう、ガラスの靴を履きこなさないとね
堂々と、シンデレラでいないと! まだまだ楽しい未来が、続くからねー!
なーんて考えてたらもう道は終わりそう
案外短かったなー。まぁ、今そんなに長い道を歩く必要なんてないだろうし
そもそも必要じゃあないでしょ!
さ、色んな希望が混ざった虹の向こうには明日があって、ひとひらの想いはもう曝け出して
私だけに似合うシンプルスカイなんてお空にぎょーさん広がってるし。吐き出した愛は熱かったけれど、割と美
味しかったし
もうそろそろ起きんといかんよねー
このまま寝てたら夜寝れなくなっちゃうし。アイドルとしてそれはマズいもん
あ、久しぶりにけんけんぱしよー。懐かしわぁ、昔よーやっとったわ……今度紗枝ちゃんとか誘って皆で遊ぼっと
じゃあその前の練習っちゅーことで
ほっ、と……せーのっ
けん、けん、ぱっ
けーん、けーん、ぱっ!
おー……
ここが道の終わりかぁ……ちょっと眩し過ぎて見えへんなー
どういう原理で光ってるんかな?志希ちゃんなら分かるかなぁ。ん、こういうのは晶葉ちゃんかな?
って、これ私の夢やしさすがに無理やろなー
なんて、小難しく考えるのしゅーこちゃん得意やないし、パパッと見にいっちゃおっ
よっと!
―――――――――――――――
――――――――――
―――――
ブーッブーッ
「……むぁ」
ブーッブーッ
「うー……すまほすまほ……」
「……あー、めっちゃ寝てた。えーっと…………うわ、何このLINEの量」
「紗枝はん、奏、フレちゃん、志希ちゃん…………ほぼほぼ皆やん!?」
「あ、あー! そっか、誕生日じゃん! 日付変わってる!? うわぁー、自分の誕生日をこんな感じで迎えるとは……」
「ひゃー……皆に返信せんとなー」
「……っし、っしっと! これでおっけーかな」
「うー……身体いった……机で爆睡するかね普通……」
「…」
「……あー、夢……」
「あ、Pさんからもきてる」
「…」
「…………んー、うん」
ピッ
prrr prrr
『どうしたんだ? もしかして誕生日祝いの催促とか』
「あーそれもあるかも。ふふっ、なんて」
『はは、そうか。なんにせよ、誕生日おめでとう』
「へへ、ありがとう。プレゼント期待してるね?」
『楽しみにしとけ』
「やたっ」
『ん』
「それでさ」
『ん?』
「夢」
『夢?』
「うん。夢、見てさ」
『うん』
「色々。思った。……んーで! 色々、言いたいことあるの」
『あぁ』
「でも、あたしそういうのニガテじゃん」
『そうだな』
「否定してよー」
『事実だし』
「ひどーい!」
『はは』
「だからね、後でいっぱいお話しよーと思います」
『後で? まーた何か企んでるな』
「へへー」
『随分寝てたみたいだな』
「うん」
『ちゃんと寝ろよ。明日も待ってるんだから』
”千年後の雨になって”
「明日ってか、今日ね!」
”僕らは降るだろう”
『あぁ、そうだった』
”太陽とも解り合って”
「んふふ。でさー、アタシ何も食べてへんのよねー。ちなみに気分はアイス!」
”虹を出せるかな”
『…………あぁ、全く』
”叶ったら”
「ということでPさん」
”叶ったら”
『うん』
”叶ったら”
「お腹すいたーん♪」
綺麗だろーな!
踏み外した崖っ淵でも、手を掴んでくれたあなたがいて。
誰でも持ってる明日はもう来ちゃったし、色んな希望が混ざった虹はもうずっとずっと後ろにある。
私だけに似合う空はもう見つけたし、熱くて吐き出した愛もとっくに飲み干した。
それでも、雨上がりに見た幻を、今も覚えてる。
足跡の無い道を選んで、ずいぶん歩いたな。
荒野の果て、どこかにきっと、足跡残ってる。
それだけが、生きた証。
それだけが、私達の誇り。
おめでとう!おめでとう。
前作です
【モバマス】幸子「ボクは忘れませんよ」
【モバマス】幸子「ボクは忘れませんよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448441186/)
おつ
はっぴーばーすでー
乙
めんどくさい子だ(褒め言葉)もう少し荒野にいる時の心境が見たかったかも
やっぱり書くと思ったぜ、乙
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません