提督「では、今回の海上輸送作戦が無事終了した事を祝して、乾杯!」
島風「かんぱーい!」
ビスマルク「乾杯!」
俺が乾杯の挨拶をすると、二人も大声でそれに続く。三人でグラスを当てると、かちんといい音がした
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つい先日、我が鎮守府は無事に大規模作戦を終了させた。そのため、周りは祝勝会の準備をしていて忙しい
きっと当日は盛り上がって三人だけでいることは難しいと思った俺は、執務室をカウンターバーに改装し、こっそり二人を誘って一足先に祝勝会を行うことにした
お酒を用意してくれる早霜を含めると四人なんだけど
提督「ぷはぁっ! 大規模作戦が終わったあとの一杯は格別だな!」
ビスマルク「ええ、まったくね!」
酒を呑みテンションの高い俺とビスマルクを見て、右隣に座る島風は首を傾げる
島風「提督ってお酒を呑むと元気になるよね」
提督「そうか?」
ビスマルク「ええ、島風の言う通りよ」
左隣に座るビスマルクが島風に同意したので、俺はちびちびと呑みながら思い返してみるが、まったく思い出せない
提督「そうなのか。あまり酒を呑まないから自覚が無いな」
ビスマルク「自覚が無いというよりは、記憶にないと言った方が適切ね」
そう言ってから、またグラスを傾けて酒を呑む
提督「……その可能性も否定できないな。正直なところ、全然思い出せない」
島風「ええっ!? それって良くないんじゃ……」
提督「だ、大丈夫だろう。そこまで多量に呑んでるわけじゃないし」
本気で心配する島風に俺は苦笑いしながら言う
ビスマルク「そうやって楽観視して、後で取り返しの無いことにならないといいけど……」
ビスマルクは半分呆れながら言い、早霜にグラスを渡して酒を注いでもらっている
提督「ま、まあこの件は医師に相談するとして……今回の大規模作戦について色々思い出話でもしようか」
この話題が続くのは少し困るので、俺は別な話題を出して話をそらす
島風「ちゃんと相談するならいいけど……あっ、無くなったからおかわり頂戴!」
早霜「お任せください」
早霜は島風からグラスを受け取ると、酒を注いでグラスを渡した
提督「おっ、二人とももう呑み切ったのか……早いな」
ビスマルク「あなたが一杯に時間を掛け過ぎているだけよ」
島風「おっそーい!」
二人からほぼ同時に指摘される。島風に至っては酔ってきたのか笑顔で遅いと言うだけだが
提督「あ、味わってるから仕方ないだろ……それと島風のそれ懐かしく聞いたわ」
会話が途切れること無く、三人で――たまに早霜も会話に混じってきたけど――楽しい時間を過ごした
―――
――
―
祝勝会が始まってしばらく経つと、島風はうとうとし始め、寝てしまう
島風「ていとく……むにゃむにゃ……」
ビスマルク「あらあら、もう寝ちゃったのね」
提督「俺の膝に頭乗っけて……本当に弱いんだな」
俺がそっと髪を撫でると、ぴくっと反応するが、またすやすやと寝息を立てる。その様子を三人で見て微笑ましくなる
ビスマルク「まったくね。今日はもうお開きにするの?」
提督「うーん、十分呑んだけどもう少し話をしたい気分だな。島風には悪いけど、二人だけで続けるか?」
俺が提案すると、少し考えてから私も行くと答え、空になったグラスを早霜に渡した。俺も自分と島風のグラスを早霜に渡す
島風をどうしようかと考えていると早霜と目が合い、そこで思いついた
提督「そうだ、早霜が良ければ島風を部屋まで運んでもらってもいいかな?」
早霜「島風さんの部屋にですか?」
提督「そうそう。俺とビスマルクが騒いでいたら寝にくいだろうし」
早霜「分かりました」
早霜が引き受けてくれるのを確認してから、俺は起きないよう気を付けながら島風を抱きかかえ、執務室のソファに寝かせる
提督「……これでよし」
島風が寝ていることを確認して、執務室の扉の前まで移動し、早霜の方を向く
提督「運び終えたら部屋に戻ってていいからな。片づけとかは妖精さんに伝えてあるから気にしないでくれ」
早霜「はい、分かりました」
ビスマルク「今日は付き合ってくれてありがとう。また今度、お酒を振る舞ってくれると嬉しいわ」
早霜「……どういたしまして」
去り際にビスマルクがお礼を言うと、早霜は少し照れくさそうにしていた
―――
――
―
二人が執務室を出てから、早霜はグラスを洗ったりして片づけを済ませる
早霜「……さて、酔っ払いを部屋まで運んでしまいましょうか」
早霜は島風を起こさないようにおぶって、執務室を後にした
――――――――――
ビスマルク「あなたの部屋に来るのも久しぶり……寒いわね」
提督「夜まで戻らないから電源落としたままだったな……ちょっと我慢してくれ」
そう言ってAdmiralは急いでエアコンを点け、急いで半纏を見つけて私に手渡してくれる
羽織ると寒さがかなり緩和されて過ごしやすくなったわ
半纏を取り出した後も、Admiralはクッションを二つ取り出して一つを私に手渡し、それを使って座った
ビスマルク「ありがとう。あなたは平気?」
提督「平気だ」
ビスマルク「そう? 少し震えているように見えるけど」
私が指摘すると、Admiralは言葉を詰まらせる
ビスマルク「……無理しないで、こっちに来なさい」
提督「……分かった」
手招きをすると、Admiralはクッションを引きずりながら近づいてくる
そのまま抱きついてきたりは……しないわね。分かっていたけど
ビスマルク「近づくだけじゃ暖まらないじゃない……困った人ね」
半ば強引に私から抱きしめる。するとAdmiralは驚きながらも腕を回して抱き返す
ビスマルク「Admiral、あなたはもう少し積極的になるべきよ」
提督「あはは……」
ビスマルク「あははじゃないわよ。もう……」
この人はいつもそう。あまり自分からスキンシップを取りたがらない
自発的にする場合も、撫でるとかくらいで抱きしめたりすることは滅多にない。そこが不満なのよね
ビスマルク「……あなたは、もう少し自発的にこういう事ができるようになるべきよ」
提督「うーん、確かにその通りではあるとは思うけど……」
ビスマルク「それは意外ね。てっきり相手から来ることを待っているだけだと思っていたわ」
提督「……」
目をそらしたわね。つまり、そう考えていたことがあるってことよね
ビスマルク「……あなた、まさか」
提督「待て待て。あくまでこれは前の話であって、今は自分からも出来るようにならないといけないって自覚はしてるぞ」
ビスマルク「そう。なら……今練習しなさい」
提督「……えっ?」
私の提案にAdmiralは困惑する
ビスマルク「自覚があるなら、今から何度かして、慣れてしまえばいいじゃない」
提督「た、確かにそうだな」
ビスマルク「じゃあ、一旦離れて」
私が腕を離すと、Admiralも腕を離して少し離れる
ビスマルク「後は分かるわね?」
提督「分かっているさ」
ビスマルク「なら、ちゃんとしなさいよ」
私が座ってじっと待っていると、Admiralは少しずつ距離を詰めて来る。行く所まで行ってるのに、今更恥ずかしがるのもおかしい話だけど
提督「その……目を閉じてもらえるか?」
ビスマルク「……恥ずかしいの?」
提督「まあ、そんなところだ」
ビスマルク「仕方ないわね……」
ゆっくり目を閉じると、少しの間の後に後頭部に腕を回され――
ビスマルク「……」
提督「……」
――久しぶりのキスをした。目は開けてないけど、唇に当たる感触で分かった
提督「……ふう」
ビスマルク「……まさかそっちをするとは思わなかったわ」
提督「いやー、目を閉じたビスマルクを見ていたらつい……」
ついって……まったく、変な人よね
でも、好きになってしまったから私も私ね。だからもう練習とかどうでもいいわ
ビスマルク「……まだ足りないわ。あなたもそうでしょう?」
提督「もちろん」
ビスマルク「ふふっ、なら決まりね」
私達は、飽きるまで何度も口づけを交わし続ける。部屋はもう充分暖まっていたけど、そんな事を忘れて熱くて甘い時間を過ごした
―――
――
―
二人共満足し、落ち着いた頃にAdmiralが私に問いかける
提督「ところで、ここ最近殆どここに来なかったけど、何でだ?」
ビスマルク「簡単に言うと、他の艦娘と仲良くしていたからね」
提督「へー、例えば誰と?」
ビスマルク「そうね……戦艦や空母達と一緒に呑んだり、駆逐艦の子達に付き合ったり、あとは色々あるけどとにかく会話をしてお互いを知ることをしていたわ」
私が答えると、Admiralは関心する
提督「なるほどな……俺といる時以外は、鎮守府の艦娘達とも仲良くやってるんだな」
ビスマルク「ええ。一人一人知っていれば、戦いの時に連携を取りやすくなるし、何より親しい人が多くなれば楽しいじゃない」
提督「それは最もだな。となると……誰かの部屋に泊まったりするのか?」
ビスマルク「そうね……大体は飲み会した後に泊まる事が多いわ。次の日は部屋の中が凄いことになっていたりするわ」
提督「そ、そうなのか」
Admiralは苦笑いするけど、その光景を目の当たりにしたら苦笑いじゃ済まなそうね。内緒にしとくけど
ビスマルク「……もしかして、淋しかったかしら?」
提督「……興味なくしたんじゃないかって不安はあったな」
質問の意図をなんとなく読み取って聞き返すと、Admiralはそっぽを向きながら答える。あら、これはいいことを聞いたわね
ビスマルク「そんなこと無いわ。安心しなさい。不安なら今日は一緒に寝てもいいのよ?」
提督「そうだな……一緒に寝るか」
提督が監督に見えてサッカーかと思った
ああ^~
ビスマルク「分かったわ。あ、それともう一つ」
提督「?」
ビスマルク「あの子じゃなくて、私と一緒に居たい時は遠慮なく言いなさい」
私は呑みに誘われやすいからと付け足していうと、Admiralは頷く
きっと、前よりは積極的に動いてくれるだろうと信じることにしたわ
日付が変わった時には布団の用意が終わり、私達は抱き合いながら眠りにつく
今日の夜はAdmiralの温もりを久しぶりに感じられて、幸せだった――
――――――――――
今回の話はこれで終わりです
艦これSSが気づいたら20作目になってました
早いですね
次の話は特に決めてません
では依頼してきます
読んでくれてありがとうございました
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乙です
おつー
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